(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】感熱記録媒体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 5/40 20060101AFI20240110BHJP
B41M 5/42 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41M5/40 210
B41M5/42 210
B41M5/42 320
(21)【出願番号】P 2020050580
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 海斗
(72)【発明者】
【氏名】清水 健司
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-108518(JP,A)
【文献】特開2010-094981(JP,A)
【文献】特開平06-106855(JP,A)
【文献】特開平04-065287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/40
B41M 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、第一アンダー層を形成することと、
前記第一アンダー層上に、第二アンダー層および感熱記録層の順となるように、前記第二アンダー層および前記感熱記録層をカーテン同時塗工により形成することと、
を含むことを特徴とする感熱記録媒体の製造方法。
【請求項2】
さらに前記感熱記録層上に、オーバー層を形成することを含む、請求項1に記載の感熱記録媒体の製造方法。
【請求項3】
前記第一アンダー層上に、第二アンダー層、感熱記録層およびオーバー層の順となるように、前記第二アンダー層、前記感熱記録層および前記オーバー層をカーテン同時塗工により形成する、請求項2に記載の感熱記録媒体の製造方法。
【請求項4】
前記第一アンダー層を、ロッドブレード法により形成する、請求項1から3のいずれかに記載の感熱記録媒体の製造方法。
【請求項5】
前記第一アンダー層を、カーテン塗工法により形成する、請求項1から3のいずれかに記載の感熱記録媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録媒体は、例えば、生鮮食料品、弁当、惣菜用等のPOS分野、図書、文書等の複写分野;ファクシミリ等の通信分野、券売機、レシート、領収書等の発券分野、航空機業界のバッゲージ用タグなどの多方面に幅広く用いられている。
近年では、用途の多様化と装置の高性能化に伴い、感熱記録媒体に対し、高感度化、高画質化等より高度な品質が要求されている。
【0003】
従来から、第一アンダー層、第二アンダー層、及び感熱記録層をロッド法やブレード法等を用いて、それぞれ単独で形成した感熱記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、第一アンダー層と第二アンダー層とをカーテン同時塗工で形成し、第二アンダー層上に、ブレード法を用いて感熱記録層を単独で形成した感熱記録媒体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、感度及び精細性に優れる感熱記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の感熱記録媒体は、支持体と、支持体上に第一アンダー層と、第一アンダー層上に第二アンダー層と、第二アンダー層上に感熱記録層と、を有する感熱記録媒体であって、前記第二アンダー層及び前記感熱記録層が、カーテン同時塗工されて形成され、感熱記録媒体の表面の表面平滑度が1,000s以上である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、感度及び精細性に優れる感熱記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の感熱記録媒体の製造方法における、第二アンダー層及び感熱記録層をカーテン同時塗工で形成するときの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の感熱記録媒体の一例を示す概略図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の感熱記録媒体の他の一例を示す概略図である。
【
図2C】
図2Cは、本発明の感熱記録媒体の他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(感熱記録媒体)
本発明の感熱記録媒体は、支持体と、前記支持体上に第一アンダー層と、前記第一アンダー層上に第二アンダー層と、前記第二アンダー層上に感熱記録層と、更に必要に応じて、保護層、粘着剤層、及びその他の層を有し、前記第二アンダー層及び前記感熱記録層が、カーテン同時塗工されて形成され、前記感熱記録媒体の表面の表面平滑度が1,000s以上である。
【0009】
前記第二アンダー層及び前記感熱記録層としては、カーテン同時塗工されて形成される。
前記カーテン同時塗工とは、感熱記録層用塗布液などの2種以上の塗布液を別々のヘッドから、又は、1つのヘッドにおける2つの塗布口から、同時にカーテン膜を塗布する方法である。本発明では、第二アンダー層及び感熱記録層が、カーテン同時塗工されて形成されることにより、感熱記録層の表面平滑度が高く、感度及び精細性が良好な感熱記録媒体を実現することができる。また、2層以上の層をカーテン同時塗工することで、工程数の低減、設備導入コストの低減を図ることができる。
【0010】
ここで、
図1は、本発明の感熱記録媒体の製造方法における、第二アンダー層及び感熱記録層をカーテン同時塗工で形成するときの概略図である。
図1に示すように、第一アンダー層12A上に、ヘッド16Aから第二アンダー層用塗布液からなるカーテン膜16Bを塗布し、第二アンダー層12Bを形成する。このとき、第二アンダー層12B上に、前記ヘッド16Aに隣接するヘッド17Aから感熱記録層用塗布液からなるカーテン膜17Bを塗布し、感熱記録層13を形成する。これにより、第二アンダー層12Bと感熱記録層13とを同時に形成することができる。
【0011】
前記表面平滑度としては、1,000s以上であり、1,600s以上が好ましく、2,000s以上がより好ましい。前記表面平滑度が1,000s以上であることで、感度及び精細性が良好な感熱記録媒体を実現することができる。
前記表面平滑度の測定方法としては、王研式平滑度計を用いて、JIS P-8155に基づき測定することができる。
【0012】
ここで、
図2Aは、本発明の感熱記録媒体の一例を示す図である。
図2Aに示すように、本発明の感熱記録媒体1は、基材11上に第一アンダー層12Aを設け、第一アンダー層12A上に第二アンダー層12Bを設け、更に、第二アンダー層上に感熱記録層13を設ける。また、
図2Bに示すように、感熱記録層13上に保護層14を設けることもでき、
図2Cに示すように、基材11の感熱記録層13側とは反対側の面上に粘着剤層15を設けることもできる。
【0013】
特許文献1に記載の従来の感熱記録媒体では、第一アンダー層、第二アンダー層、及び感熱記録層をそれぞれ単独で形成しているため、支持体表面の凹部に第一アンダー層が染み込む影響で感熱記録層の表面の表面平滑度が低下し、感度及び精細性が低下するという問題がある。また、第一アンダー層、第二アンダー層、及び感熱記録層を形成するための塗布工程と乾燥工程とをそれぞれ必要とするため、工程数が多くなるという問題がある。
また、特許文献2に記載の従来の感熱記録媒体では、第一アンダー層と第二アンダー層とをカーテン同時塗工することで工程数を減らしているが、感熱記録層を単独で形成しているため、支持体表面の凹部に第一アンダー層が染み込む影響で感熱記録層の表面の表面平滑度が低下し、感度及び精細性が低下するという問題がある。
【0014】
そこで、本発明者らが鋭意検討を行った結果、支持体と、前記支持体上に第一アンダー層と、前記第一アンダー層上に第二アンダー層と、前記第二アンダー層上に感熱記録層を有する感熱記録媒体であって、前記第二アンダー層及び前記感熱記録層が、カーテン同時塗工されて形成され、感熱記録媒体の表面の表面平滑度が、1,000s以上であることによって、感度及び精細性に優れる感熱記録媒体を実現できることを知見した。また、本発明の感熱記録媒体は、第二アンダー層と感熱記録層とをカーテン同時塗工することによって、感熱記録媒体の表面の表面平滑度が、1,000s以上とすることができる。
【0015】
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、ロイコ染料、顕色剤、及び結着樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0016】
-ロイコ染料-
前記ロイコ染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記ロイコ化合物としては、例えば、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジエチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-クロルフタリド、3,3-ビス(p-ジブチルアミノフェニル)フタリド、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロルフルオラン、3-ジメチルアミノ-5,7-ジメチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ベンズフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロルフルオラン、3-(N-p-トリル-N-エチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-{N-(3’-トリフルオルメチルフェニル)アミノ}-6-ジエチルアミノフルオラン、2-{3,6-ビス(ジエチルアミノ)-9-(o-クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(m-トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロルアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-7-o-クロルアニリノ)フルオラン、3-N-メチル-N,n-アミルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’-クロロ-8’-メトキシ-ベンゾインドリノ-スピロピラン、6’-ブロモ-3’-メトキシ-ベンゾインドリノ-スピロピラン、3-(2’-ヒドロキシ-4’-ジメチルアミノフェニル)-3-(2’-メトキシ-5’クロルフェニル)フタリド、3-(2’-ヒドロキシ-4’-ジメチルアミノフェニル)-3-(2’-メトキシ-5’-ニトロフェニル)フタリド、3-(2’-ヒドロキシ-4’-ジエチルアミノフェニル)-3-(2’-メトキシ-5’-メチルフェニル)フタリド、3-(2’-メトキシ-4’-ジメチルアミノフェニル)-3-(2’-ヒドロキシ-4’-クロル-5’-メチルフェニル)フタリド、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-N-エチル-N-(2-エトキシプロピル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-N-メチル-N-イソブチル-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-モルホリノ-7-(N-プロピル-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-7-トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-5-クロロ-7-(N-ベンジル-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-7-(ジ-p-クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-5-クロル-7-(α-フェニルエチルアミノ)フルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-7-(α-フェニルエチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-5-メチル-7-(α-フェニルエチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ピペリジノフルオラン、2-クロロ-3-(N-メチルトルイジノ)-7-(p-n-ブチルアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)-6’-ジメチルアミノフタリド、3-(N-ベンジル-N-シクロヘキシルアミノ)-5,6-ベンゾ-7-α-ナフチルアミノ-4’-プロモフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-メシチジノ-4’,5’-ベンゾフルオラン、3-N-メチル-N-イソプロピル-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-N-エチル-N-イソアミル-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2’,4’-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-5-クロル-(α-フェニルエチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ピベリジノフルオラン、3-(N-ベンジル-N-シクロヘキシルアミノ)-5,6-ベンゾ-7-α-ナフチルアミノ-4’-ブロモフルオラン、3-N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-p-ジメチルアミノフェニル)-3-{1,1-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル}フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-{1,1-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル}-6-ジメチルアミノフタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(1-p-ジメチルアミノフェニル-1-フェニルエチレン-2-イル)フタリド、3-(p-ジメチルアミノフェニル)-3-(1-p-ジメチルアミノフェニル-1-p-クロロフェニルエチレン-2-イル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4’-ジメチルアミノ-2’-メトキシ)-3-(1”-p-ジメチルアミノフェニル-1”-p-クロロフェニル-1”,3”-ブタジエン-4”-イル)ベンゾフタリド、3-(4’-ジメチルアミノ-2’-ベンジルオキシ)-3-(1”-p-ジメチルアミノフェニル-1”-フェニル-1”,3”-ブタジエン-4”-イル)ベンゾフタリド、3-ジメチルアミノ-6-ジメチルアミノ-フルオレン-9-スピロ-3’-(6’-ジメチルアミノ)フタリド、3,3-ビス(2-(p-ジメチルアミノフェニル)-2-p-メトキシフェニル)エテニル)-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-ビス{1,1-ビス(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル}-5,6-ジクロロ-4,7-ジプロモフタリド、ビス(p-ジメチルアミノスチリル)-1-ナフタレンスルホニルメタン、ビス(p-ジメチルアミノスチリル)-1-p-トリルスルホニルメタンなどが挙げられる。
【0018】
前記ロイコ染料の50%累積体積粒径(D50)としては、0.1μm以上0.5μm以下が好ましく、0.1μm以上0.4μm以下がより好ましい。
【0019】
前記ロイコ染料の50%累積体積粒径(D50)を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-920、株式会社堀場製作所製)などが挙げられる。
【0020】
前記ロイコ染料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、感熱記録層全量100質量部に対し、5質量部以上40質量部以下が好ましく、10質量部以上30質量部以下がより好ましい。
【0021】
-顕色剤-
前記顕色剤としては、前記ロイコ染料が加熱時に反応して発色させるための種々の電子受容性物質を適用することができる。
【0022】
前記顕色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノール性物質、有機酸性物質、無機酸性物質、これらのエステル、又はこれらの塩などが挙げられる。
【0023】
前記顕色剤としては、例えば、没食子酸、サリチル酸、3-イソプロピルサリチル酸、3-シクロへキシルサリチル酸、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸、3,5-ジ-α-メチルベンジルサリチル酸、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、1,1’-イノプロピリデンビス(2-クロロフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジブロモフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジクロロフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-メチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4-イソプロピリデンビス(2-tert-ブチルフェノール)、4,4’-sec-ブチリデンジフェノール、4,4’-シクロへキシリデンビスフェノール、4,4’-シクロへキシリデンビス(2-メチルフェノール)、4-tert-ブチルフェノール、4-フェニルフェノール、4-ヒドロキシジフェノキシド、α-ナフトール、β-ナフトール、3,5-キシレノール、チモール、メチル-4-ヒドロキシベンゾエート、4-ヒドロキシアセトフェノン、ノボラック型フェノール樹脂、2,2’-チオビス(4,6-ジクロロフェノール)、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログリシン、フロログリシンカルボン酸、4-tert-オクチルカテコール、2,2’-メチルンビス(4-クロロフェノール)、2,2’-メチルンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2,-ジヒドロキシジフェニル、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-[オキシビス(エチレンオキシ-P-フェニレンスルホニル)]ジフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p-ヒドロキシ安息香酸-p-クロロベンジル、p-ヒドロキシ安息香酸-o-クロロベンジル、p-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、p-ヒドロキシ安息香酸-n-オクチル、安息香酸、サリチル酸亜鉛、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸亜鉛、4-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-クロロジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、2-ヒドロキシ-p-トルイル酸、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸亜鉛、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸スズ、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、ステアリン酸、4-ヒドロキシフタル酸、ホウ酸、チオ尿素誘導体、4-ヒドロキシチオフェノール誘導体、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸エチル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸n-プロピル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸m-ブチル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸フェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)酢酸フェネチル、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)酢酸n-プロピル、1,7-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)3,5-ジオキサへプタン、1,5-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)3-オキサヘプタン、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、4-ヒドロキシ-4’-メトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-エトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-プロポキシジフェニルスルホン、4,4’-ビス(3-(フェノキシカルボニルアミノ)メチルフェニルウレイド)ジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ブトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソブトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4-ブトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-tert-ブトキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ベンジロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-フェノキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-(m-メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-(p-メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-(O-メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-(p-クロロベンジロキシ)ジフェニルスルホン、N-(2-(3-フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド、N-p-トルエンスルホニル-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N-p-トルエンスルホニル-N’-p-ブトキシカルボニルフェニルウレア、N-p-トリルスルホニル-N’-フェニルウレア、4,4’-ビス(p-トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記顕色剤の50%累積体積粒径(D50)としては、0.1μm以上0.5μm以下が好ましく、0.1μm以上0.4μm以下がより好ましい。
【0025】
前記顕色剤の50%累積体積粒径(D50)を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-920、株式会社堀場製作所製)などが挙げられる。
【0026】
前記顕色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ロイコ染料1質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。
【0027】
-結着樹脂-
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、澱粉又はその誘導体;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタクリル酸三元共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエマルション、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル共重合体等のラテックス、スチレン/ブタジエン共重合ラテックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、透明性や基材結着の観点から、ポリビニルアルコール樹脂が好ましい。
【0028】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感度向上剤として種々の熱可融性物質、補助添加剤、界面活性剤、滑剤、填剤、紫外線吸収剤、着色顔料などが挙げられる。
【0029】
--熱可融性物質--
前記熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルチミン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルチミン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類;p-ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β-ベンジルオキシナフタレン、β-ナフトエ酸フェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフト酸フェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、グリコールカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4-ジメトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジベンジロキシナフタレン、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メチルフェノキシ)エタン、1,4-ジフェノキシ-2-ブテン、1,2-ビス(4-メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4-ジフェニルチオブタン、1,4-ジフェニルチオ-2-ブテン、1,3-ビス(2-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p-(2-ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p-アリールオキシビフェニル、p-プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1-ジフェニルエタノール、1,1-ジフェニルプロパノール、p-ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3-フェノキシ-2-プロパノール、N-オクタデシルカルバモイル-p-メトキシカルボニルベンゼン、N-オクタデシルカルバモイルベンゼン、1,2-ビス(4-メトキシフェノキシ)プロパン、1,5-ビス(4-メトキシフェノキシ)-3-オキサペンタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4-メチルベンジル)、シュウ酸ビス(4-クロロベンジル)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
--補助添加剤--
前記補助添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記補助添加剤としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-ターシャリーブチル-2-メチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-チオビス(6-ターシャリーブチル-2-メチルフェノール)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4」チオビス(2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-クロロフェノール)、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
--界面活性剤--
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-ジオール、2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
--滑剤--
前記滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物系ワックス、植物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
--填剤--
前記填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカルシウム、表面処理されたシリカ等の無機系微粉末;尿素ホルマリン樹脂、スチレン-メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の有機系微粉末などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂1質量部に対して、0.5質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上4.0質量部以下であることがより好ましい。
【0039】
--紫外線吸収剤--
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0040】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフェニル)メタン、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-{2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス{4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール}、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタアクリロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジーt-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
--着色顔料--
前記着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロムイエロー、酸化鉄顔料、モリブデン酸オレンジ、カドミウムレッド、硫化亜鉛化合物、ハンザイエロー、ハンザオレンジ、バラレッド、ピラゾロンレッド、リノールレッド、コーパーフタロシアニンブルー、コパールポリブロロフタロシアニンブルー、インダストロンブルー、イソジベンザトロンバイオレット、アンタントロンオレンジなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記感熱記録層用塗布液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ロイコ染料及び前記顕色剤を、前記結着樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの分散機により粉砕分散した後、さらに必要に応じて前記その他の成分等と共に混合して感熱記録層用塗布液を調製することができる。
【0043】
-感熱記録層用塗布液-
前記感熱記録層用塗布液の塗布方法としては、カーテン塗工法であり、後述する第二アンダー層用塗布液とのカーテン同時塗工によって、第二アンダー層上に塗布される。これにより、感熱記録層の表面平滑度が高く、感度及び精細性が良好な感熱記録媒体を実現することができる。
【0044】
-カーテン塗工法-
前記カーテン塗工法とは、感熱記録層用塗布液などの所望の塗布液を塗出するヘッド部分と塗布対象物との間に、塗布液からなる薄いカーテン膜を形成し、塗布対象物上にカーテン膜を塗布する方法である。
前記カーテン同時塗工とは、感熱記録層用塗布液などの2種以上の塗布液を別々のヘッドから、又は、1つのヘッドにおける2つの塗布口から、同時にカーテン膜を塗布する方法である。本発明では、これにより感熱記録層の表面平滑度が高く、感度及び精細性が良好な感熱記録媒体を実現することができる。また、2層以上の層をカーテン同時塗工することで、工程数の低減、設備導入コストの低減を図ることができる。
【0045】
カーテン同時塗工する塗布液としては、感熱記録層用塗布液及び第二アンダー層用塗布液に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する第一アンダー層用塗布液、保護層用塗布液等も挙げられる。
【0046】
前記カーテン同時塗工は、塗布対象物上に塗布液を自由落下させるため、カーテン同時塗工の際に塗布対象物と塗布液との間に気泡が入ることがあり、気泡が存在する状態で乾燥させると表面に膜が張り、その気泡が表面から抜けようとしてクレーター(噴火口形状痕)という噴火口に似た膜表面を突き破ったような穴が発生しやすい。
前記気泡の存在を確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感熱記録媒体の断面を走査型顕微鏡で観察する方法などが挙げられる。
【0047】
前記感熱記録層用塗布液の50%累積体積粒径(D50)は、0.10μm以上3μm以下が好ましく、0.10μm以上0.50μm以下がより好ましく、0.10μm以上0.40μm以下が特に好ましい。
【0048】
前記感熱記録層の乾燥後の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1.0g/m2以上20.0g/m2以下が好ましく、2.0g/m2以上10.0g/m2以下がより好ましく、2.0g/m2以上4.0g/m2以下が特に好ましい。
【0049】
前記感熱記録層用塗布液の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、後述する第二アンダー層用塗布液の表面張力よりも低いことが好ましい。前記感熱記録層用塗布液の表面張力が、第二アンダー層用塗布液の表面張力よりも低いことによって、感熱記録層が、第二アンダー層の表面の形状による影響を受けにくくなるため、高い表面平滑度を有する感熱記録媒体を実現することができる。
前記感熱記録層用塗布液の表面張力としては、例えば、34mN/m以上41mN/m以下が好ましく、35mN/m以上39mN/m以下がより好ましい。
【0050】
<第一アンダー層、及び第二アンダー層>
前記第一アンダー層、及び前記第二アンダー層としては、中空フィラーを含有することが好ましく、更に必要に応じて、顔料、結着樹脂、架橋剤、及びその他の成分を含有する。
なお、以下の説明において、中空フィラーを中空粒子と、アンダー層をアンダーコート層、保温層、又は中間層などと称することがある。
【0051】
-中空フィラー-
前記中空フィラーは、熱可塑性樹脂を外殻とし、内部に中空部を有し、さらに中空部に空気、又はその他の気体を含有するものである。熱膨張性微小球を加熱処理し、発泡することで得られる膨張済み中空フィラーであり、これ以上熱を加えても膨張しない状態の中空フィラーである。前記その他の気体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭化水素などが挙げられる。
【0052】
前記炭化水素の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中空フィラーの質量に対し、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上20.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上15.0質量%以下がさらに好ましい。前記炭化水素の含有量が、0.2質量%以上であると、キャレンダー処理による中空フィラーの潰れを抑制でき、感度低下を抑制することができる。
【0053】
前記中空フィラーとしては、その形状、大きさなどについては特に制限はなく、以下のような、体積平均粒径(Dv)、中空率(%)などを有していることが好ましい。
【0054】
前記中空フィラーの体積平均粒径(粒子外径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上6μm以下がより好ましい。前記中空フィラーの体積平均粒径が1μm以上10μm以下であると、アンダー層表面の平滑性を向上させることができ、印字の精細性を良好にすることができる。
【0055】
前記中空フィラーの体積平均粒径の測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(Microtrac ASVR 日機装社製)を用いて測定することができる。
【0056】
前記中空フィラーの平均中空率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、71%以上95%以下が好ましく、80%以上95%以下がより好ましく、85%以上95%以下が特に好ましい。
前記平均中空率が71%以上95%以下であると、断熱性を十分担保することができ、熱エネルギーが支持体を通じて感熱記録媒体の感度を向上させることができる。
なお、ここで言う中空率とは、中空フィラーの外径と内径(中空部の直径)の比であり、下記式で表わされるものである。平均中空率は、算出された中空率を測定した中空フィラーの個数で除した値である。
中空率(%)=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100
【0057】
なお、前記中空フィラーは、前述したように熱可塑性樹脂を外殻とするものであるが、該熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル酸の単独重合体などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記中空フィラーに用いる単量体成分としては、特に限定はないが、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフイン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ビニルメチルケトン等のビニルケトン系単量体;N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン等のN-ビニル系単量体;ビニルナフタリン塩等を挙げることができる。単量体成分はこれらのラジカル重合性単量体を1種または2種以上を併用してもよい。なお、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
単量体成分がニトリル系単量体を必須成分として含むと、中空粒子の外殻を形成するシェルポリマーがガスバリア性に優れるため、感熱記録媒体のアンダー層に使用した際、キャレンダー処理による中空フィラーの潰れを抑制でき、感度低下を抑制できるため好ましい。ニトリル系単量体としては、アクリロニトリルや、メタクリロニトリル等が入手し易く、ガスバリア性および耐溶剤性が高いために好ましい。
【0058】
ニトリル系単量体がアクリロニトリル(AN)およびメタクリロニトリル(MAN)を含有する場合、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルの質量比率(AN/MAN)については特に限定はないが、好ましくは10/90~90/10、より好ましくは20/80~80/20、さらに好ましくは30/70~70/30である。ANおよびMAN質量比率が10/90未満であると、中空粒子の外殻を形成するシェルポリマーのガスバリア性が低下することがあり、感熱記録媒体のアンダー層に使用した際、キャレンダー処理による中空フィラーの潰れが発生し感度が低下する恐れがある。一方、ANおよびMAN質量比率が90/10を超えると、十分な中空率が得られないことがあり、感熱記録媒体のアンダー層に使用した際、断熱性不足により感度が低下する恐れがある。
【0059】
前記中空フィラーとしては、熱可塑性樹脂の全量に対して、ニトリル系単量体を80質量%以上含有することが好ましく、85質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することが特に好ましく、95質量%以上含有することが最も好ましい。前記中空フィラーにおいて熱可塑性樹脂の全量に対して、ニトリル系単量体を80質量%以上含有することにより、中空粒子の外殻を形成するシェルポリマーがガスバリア性に優れるため、感熱記録媒体のアンダー層に使用した際、キャレンダー処理による中空フィラーの潰れを抑制することができる。なお、前記中空フィラーの潰れの抑制と感熱記録媒体の精細性とを両立させる観点からは、前記ニトリル系単量体を85質量%以上95質量%以下とすることが好ましい。
【0060】
また、熱可塑性樹脂としては、上記したもののほかにも、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂類、尿素-ホルムアルデヒド樹脂類、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂類、フラン樹脂類等や付加重合によって生成する不飽和ポリエステル樹脂や架橋MMA樹脂、などを用いることができる。
【0061】
中空フィラーの外殻の成分の分析方法としては、例えば、ガスクロマトグラフィー/質量分析法などが挙げられる。
【0062】
前記中空粒子の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種の方法を用いることができるが、一般的には、芯物質として前記炭化水素を内包し、外殻が前記熱可塑性樹脂からなる発泡していないカプセル状態の熱膨張性樹脂粒子を作製し、この樹脂粒子を加熱発泡させる方法が用いられる。加熱発泡させる方法としては、例えば、乾式加熱膨張法、湿式加熱膨張法等が挙げられる。熱膨張性微小球を加熱膨張させる温度としては、60℃以上350℃以下が好ましい。
【0063】
-顔料-
前記顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウム、シリカ等の無機系微粉末;シリコーン樹脂粒子、尿素ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等の有機系微粉末などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
前記顔料の含有量としては、結着剤100質量部に対して、110質量部以上が好ましく、110質量部以上500質量部以下が好ましい。
【0065】
-結着樹脂-
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶性ポリマー及び水性ポリマーエマルションのいずれかが好ましい。
前記水溶性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシル基を有するポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、澱粉又はその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリウレタン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
前記水性ポリマーエマルションとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、カルボキシル基を有するアクリル樹脂等の変性アクリル樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル共重合体等のラテックス;酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルション、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
前記結着樹脂のアンダー層における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記中空粒子100質量部に対して、30質量部以上300質量部以下が好ましく、40質量部以上200質量部以下がより好ましい。
前記含有量が、30質量部以上300質量部以下であと、支持体とアンダー層の十分な結着力が得られ、発色性が良好となる。
【0068】
-架橋剤-
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾリン基を有する化合物、グリオキザール誘導体、メチロール誘導体、エピクロルヒドリン誘導体、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン、ヒドラジド誘導体、カルボジイミド誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、フィラー、滑剤、填料などが挙げられる。
【0070】
-第一アンダー層用塗布液-
前記第一アンダー層用塗布液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記結着樹脂、前記中空フィラー、水、及び好ましくは架橋剤、必要に応じてその他の成分と共に、分散機により分散させてアンダー層用塗布液を調製することができる。
前記第一アンダー層用塗布液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロッドブレード法、ロールブレード法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
【0071】
前記第一アンダー層の乾燥後の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3g/m2以上15g/m2以下が好ましく、5g/m2以上10g/m2以下がより好ましい。
【0072】
前記第一アンダー層用塗布液の粘度としては、例えば、50mPa・s以上5,000mPa・s以下が好ましく、50mPa・s以上2,000mPa・s以下がより好ましく、100mPa・s以上1,000mPa・s以下が特に好ましい。
【0073】
-第二アンダー層用塗布液-
前記第二アンダー層用塗布液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記結着樹脂、前記中空フィラー、水、及び好ましくは架橋剤、必要に応じてその他の成分と共に、分散機により分散させてアンダー層用塗布液を調製することができる。
前記第二アンダー層用塗布液の塗布方法としては、カーテン塗工法であり、感熱記録層用塗布液とのカーテン同時塗工によって、第一アンダー層上に塗布される。これにより、感熱記録層の表面平滑度が高くなり、感度及び精細性が良好な感熱記録媒体を実現することができる。
【0074】
前記第二アンダー層の乾燥後の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1g/m2以上20g/m2以下が好ましく、2g/m2以上10g/m2以下がより好ましい。
【0075】
前記第二アンダー層用塗布液の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、感熱記録層用塗布液の表面張力よりも高いことが好ましい。前記第二アンダー層用塗布液の表面張力が、感熱記録層用塗布液の表面張力よりも高いことによって、感熱記録層が、第二アンダー層の表面の形状による影響を受けにくくなるため、高い表面平滑度を有する感熱記録媒体を実現することができる。
前記第二アンダー層用塗布液の表面張力としては、例えば、38mN/m以上44mN/m以下が好ましく、40mN/m以上43mN/m以下がより好ましい。
<基材>
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、色調、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。以下、本明細書においては、基材を支持体と称することもある。
前記支持体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料、有機材料などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコーン、酸化シリコーン、酸化アルミニウム、SiO2、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、合成紙等の紙;三酢酸セルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体は、接着性を向上させる目的で、例えば、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理などにより表面改質することが好ましい。
前記支持体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上2,000μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下がより好ましい。
【0076】
<粘着剤層>
前記粘着剤層は、粘着剤からなる層であり、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記粘着剤層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル-アクリル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
【0077】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、粘着剤層に適用可能な成分と同様のものを用いることができる。
【0078】
本発明の感熱記録媒体の態様について特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、このままラベルとして用いてもよく、保護層上又は支持体上に、文字、マーク、絵、バーコード又はQRコード(登録商標)などの二次元コードなどの情報をプリントする層を設けてもよい。
【0079】
また、本発明の感熱記録媒体の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘着剤層上に剥離紙を貼り合わせることにより、スッテカータイプの感熱記録媒体としてもよく、感熱記録ラベルとして用いてもよい。
前記剥離紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中性紙、酸性紙、プラスチックなどを貼り合わせたものなどが挙げられる。さらに、基材の感熱記録層形成側と逆側に、カラー表示されたロゴ等の定型イラストや定型文がインクジェットあるいはオフセット等の印刷法により印刷してもよい。
本発明の感熱記録媒体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラベル状、シート状、ロール状、などとすることができ、さらに、基材上に前記剥離層を形成してロール状に巻回されたライナーレスタイプとすることができる。
【0080】
本発明の感熱記録媒体には張替防止用のミシン目を設けてもよい。このミシン目は、ミシン目部位の紙力強度を低下させることで、被着体から剥がそうとするときにラベル(粘着剤付きの感熱記録媒体)自体が破壊されやすくする。ミシン目の形状に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ミシン目は、一つの未カット部分長が1.5mm以下で且つカット部分長が未カット部分長に対して、2倍以上であることが必要であり、更に好ましくは3倍から10倍の範囲が好ましい。
前記感熱記録ライナーレスラベルの構造としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、ロール状、シート状、フィルム状などが挙げられる。これらの中でも、利便性の点で、ロール状が好ましい。
【0081】
<保護層>
保護層としては、結着剤、及び顔料を含有することが好ましく、滑剤、架橋剤を更に含有することがより好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。なお、本明細書においては、保護層をオーバー層と称することがある。
【0082】
<<結着剤>>
結着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性樹脂、水溶性樹脂エマルジョン、疎水性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低温低湿度条件下でのヘッドマッチング性の点から、水溶性樹脂が好ましい。
【0083】
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール;変性ポリビニルアルコール;メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;スチレン/無水マレイン酸共重合体;ジイソブチレン/無水マレイン酸共重合体;ポリアクリルアミド;変性ポリアクリルアミド;メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体;カルボキル変性ポリエチレン;ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体;メラミン・ホルムアルデヒド樹脂;尿素・ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐可塑剤性の点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0084】
疎水性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、エチレン/酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0085】
結着剤の平均重合度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,700以上が好ましい。結着剤の平均重合度が1,700以上であると、耐可塑剤性、及び低温低湿度条件下でのヘッドマッチング性を向上させることができる。
なお、結着剤の平均重合度は、例えば、JIS K 6726で定める試験法により測定することができる。
【0086】
<<顔料>>
顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウム、シリカ等の無機系微粉末;シリコーン樹脂粒子、尿素ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等の有機系微粉末などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
顔料の含有量としては、結着剤100質量部に対して、110質量部以上が好ましく、110質量部以上200質量部以下が好ましい。顔料の含有量が結着剤100質量部に対して110質量部以上であると、ロール形態で保管した場合でも、インク受容層の無機粒子が保護層表面に転写することを抑制することができる。
【0088】
<<滑剤>>
滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化ポリエチレンワックス、モンタンワックス、ステアリン酸亜鉛、シリコーンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0089】
滑剤としては、必要に応じて、公知であるその他の滑剤と組合せて使用することができ、その他の滑剤としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;セレシン等の鉱物系ワックス及びその誘導体;パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタン、ペトロラクタム等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス;硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油誘導体等の水素化ワックス;ステアリン酸・オレイン酸・エルカ酸・ラウリン酸・セバシン酸・ベヘン酸・パルミチン酸等の脂肪酸;アジピン酸・イソフタル酸等のアマイド;ビスアマイド、エステル、ケトン、金属塩及びその誘導体;アルキル変性のシリコーン樹脂又はアミド変性のシリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0090】
<<架橋剤>>
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水溶性樹脂の耐水化剤として、例えば、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0091】
保護層の形成方法としては、特に制限はなく、一般に知られている方法により形成することができ、例えば、顔料、架橋剤を別々に結着剤、その他の成分と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が0.1μm以上3μm以下になるまで粉砕分散した後、必要に応じて、滑剤等と共に、一定処方で混合して保護層用塗布液を調製し、感熱記録層上に塗布することによって保護層を形成する方法などが挙げられる。
【0092】
保護層用塗布液の塗布量としては、乾燥重量で0.1g/m2以上20g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上10g/m2以下がより好ましい。保護層用塗布液の塗布量が0.1g/m2以上20g/m2以下であると、耐可塑剤性、及び低温低湿環境下でのヘッドマッチング性を向上させることができる。
【0093】
<その他の層>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バックコート層、離型層などが挙げられる。
【0094】
<<バックコート層>>
前記バックコート層は、必要に応じて支持体の感熱記録層を設けない側の面上に設けることができる。
前記バックコート層は、フィラー、及び結着樹脂を含有し、更に必要に応じて、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記フィラーとしては、例えば、無機フィラー又は有機フィラーを用いることができる。
前記無機フィラーとしては、例えば、炭酸塩、ケイ酸塩、金属酸化物、硫酸化合物などが挙げられる。
前記有機フィラーとしては、例えば、シリコーン樹脂、セルロース、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などが挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記感熱記録層の結着樹脂と同様なものを用いることができる。
前記バックコート層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上20μm以下が好ましく、0.3μm以上10μm以下がより好ましい。
【0095】
<<剥離層>>
前記剥離層は、ライナーレス感熱記録媒体の場合に感熱記録層がある面の最表層に設けることができる。前記剥離層に用いる剥離剤としては、例えば、紫外線硬化型のシリコーン樹脂、熱硬化型のシリコーン樹脂、フッ素系の剥離剤などが挙げられる。 これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 これらの中でも、硬化速度が速く、経時での剥離安定性に優れる点から、紫外線硬化型のシリコーン樹脂が好ましい。
前記紫外線硬化型のシリコーン樹脂としては、カチオン重合により硬化するシリコーン樹脂、ラジカル重合により硬化するシリコーン樹脂があるが、ラジカル重合により硬化するシリコーン樹脂の場合、硬化時に体積収縮が大きく、支持体がカールしてしまうことがある。
前記剥離層の乾燥後の付着量は、0.2g/m2以上2.0g/m2以下であることが好ましい。前記乾燥後の付着量が、0.2g/m2以上2.0g/m2以下の範囲において、剥離力が適正であり、プリンタでの搬送時の紙詰まりを改善することができる。
【0096】
(感熱記録媒体の製造方法)
本発明の感熱記録媒体の製造方法は、第一アンダー層形成工程と、第二アンダー層形成工程と、感熱記録層形成工程と、さらに必要に応じてその他の工程を含み、第二アンダー層形成工程及び感熱記録層形成工程において、第二アンダー層及び感熱記録層が、カーテン同時塗工されて形成される。
本発明の感熱記録媒体の製造方法によって、表面平滑度が1,000s以上の感熱記録媒体を製造することができる。
【0097】
<第一アンダー層形成工程>
前記第一アンダー層形成工程としては、第一アンダー層用塗布液を塗布して、支持体上に第一アンダー層を形成する工程である。
前記第一アンダー層用塗布液を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バリバー法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
【0098】
<第二アンダー層形成工程>
前記第二アンダー層形成工程としては、第二アンダー層用塗布液を塗布して、第二アンダー層を形成する工程である。
前記第二アンダー層用塗布液を塗布する方法としては、カーテン塗工法であり、感熱記録層用塗布液とのカーテン同時塗工によって、第一アンダー層上に塗布される。これにより、感熱記録層の表面平滑度が高く、感度及び精細性が良好な感熱記録媒体を実現することができる。
【0099】
<感熱記録層形成工程>
前記感熱記録層形成工程としては、感熱記録層用塗布液を塗布して、前記第二アンダー層上に、感熱記録層を形成する工程である。
前記感熱記録層用塗布液を塗布する方法としては、カーテン塗工法であり、第二アンダー層用塗布液とのカーテン同時塗工によって、第二アンダー層上に塗布される。これにより、感熱記録層の表面平滑度が高く、感度及び精細性が良好な感熱記録媒体を実現することができる。
また、第二アンダー層と感熱記録層とは、カーテン同時塗工されて形成されるため、第二アンダー層と感熱記録層との境界面に気泡が存在することがある。
【0100】
なお、支持体において感熱記録層が形成される面には、感熱記録層用塗布液の塗布前にコロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理等の表面改質処理をしておくことが好ましい。これによって、支持体と感熱記録層との接着性を向上させることができる。また、これらの表面改質処理の他、例えば、スチレンーブタジエン重合体を含む層(易接着層)を基材の上に形成してから、前記スチレンーブタジエン重合体を含む層上に感熱記録層を形成することによって膜剥がれを防止することができる。
【0101】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、粘着剤層形成工程、保護層形成工程などが挙げられる。ステッカータイプの感熱記録媒体とする場合には、粘着剤層上に剥離紙を張り合わせることが好ましい。剥離紙を張り合わせる方法としては、特に限定はなく、汎用的に用いられている方法を用いることができる。
また、ライナーレスタイプの感熱記録媒体とする場合は、基材の感熱記録層形成側と逆側に、離型層用塗布液を塗布する。前記離型層用塗布液を塗布する方法としては、上述した第一アンダー層用塗布液を塗布する方法と同様の方法を用いることができる。
【0102】
<粘着剤層形成工程>
粘着剤層形成工程としては、従来用いられている形成方法を用いることができ、例えば、バーコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法等の塗布方法によって粘着剤を支持体上に塗布後、乾燥させることによって粘着剤層を形成することができる。
【0103】
<キャレンダー工程>
キャレンダーにより表面を平滑にする工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、マシンキャレンダー等が挙げられる。処理時圧力も特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、好ましくは10kg/cm2以上50kg/cm2以下である。
【0104】
(記録方法)
本発明の感熱記録媒体を用いた記録方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サーマルヘッド、レーザーなどが挙げられる。
前記サーマルヘッドとしては、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記レーザーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、9.3μm以上10.6μm以下の波長を有するCO2レーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。
【0105】
(用途)
本発明の感熱記録媒体は、高い感度及び精細性を有し、かつ優れた耐ハンドクリーム性を備えているので、例えば、生鮮食料品、弁当、惣菜用等のPOS分野;図書、文書等の複写分野;ファクシミリ等の通信分野;券売機、レシート、領収書等の発券分野;航空機業界のバッゲージ用タグ、ピルケース、ピルボトルなどの多方面に用いることができる。
【0106】
(物品)
物品は、本発明の感熱記録媒体を有する。
【0107】
前記感熱記録媒体としては、本発明の感熱記録媒体を好適に用いることができる。
【0108】
本発明の感熱記録媒体を有するとは、本発明の感熱記録媒体を貼付、装着などをしている状態を意味する。
【0109】
本発明の物品としては、本発明の感熱記録媒体を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、梱包材、包装資材、包装紙などが挙げられ、特に、高耐溶剤性が要求される物品などが挙げられる。
【実施例】
【0110】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0111】
(感熱記録層用塗布液の調製例1)
<染料分散液>
・ロイコ染料(3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン):20質量部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコール10質量%水溶液(株式会社クラレ製、25-88KL):40質量部
・界面活性剤(日本乳化剤株式会社製、Newcol290、固形分濃度100質量%):0.2質量部
・イオン交換水:40質量部
【0112】
上記混合物を,サンドグラインダーを用いて、平均粒径が0.5μmとなるように分散して染料分散液を調製した。
【0113】
<顕色剤分散液>
・4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン:20質量部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコール10質量%水溶液(株式会社クラレ製、25-88KL):20質量部
・非晶質シリカ(水澤化学工業株式会社製、ミズカシルP527):15質量部
・界面活性剤(日信化学工業株式会社製、PD-001、固形分濃度100質量%):0.2質量部
・イオン交換水:60質量部
【0114】
上記混合物を、サンドグラインダーを用いて、体積平均粒径が1.0μmとなるように分散して染料分散液を調製した。
【0115】
次に、[染料分散液]20質量部、[顕色剤分散液]40質量部、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(固形分濃度47.5質量%)5質量部、イタコン酸変性ポリビニルアルコール10質量%水溶液10質量部、及びイオン交換水40質量部を混合攪拌して、感熱記録層用塗布液を調製した。
【0116】
(アンダー層用塗布液の調製例1)
・スチレン/ブタジエン共重合ラテックス(固形分濃度47.5質量%):9.7質量部
・ポリビニルアルコール10質量%水溶液(株式会社クラレ製、PVA117):11.5質量部
・焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、エンゲルハード社製):19.2質量部
・イオン交換水:59.6質量部
上記を混合攪拌して第一アンダー層形成液Aを調製した。
【0117】
(アンダー層用塗布液の調製例2~6)
前記アンダー層用塗布液の調製例1で用いた中空フィラー、結着樹脂、顔料の組成を、表1に示すものに変更した以外は、アンダー層用塗布液の調製例1と同様にしてアンダー層用塗布液B~Fを調製した。
【0118】
【0119】
(オーバー層用塗布液の調製例1)
<フィラー分散液の調整>
下記組成からなる混合物を、サンドグラインダーを用いて、30分間粉砕し、分散して、調製した。
・水酸化アルミニウム:30質量部
・イオン交換水:70質量部
【0120】
次いで、以下のように、前記フィラー分散液と各薬液とを混合攪拌して、オーバー層用塗布液を調製した。
・前記フィラー分散液:25質量部
・カルボキシル基を有するポリビニルアルコールの水溶液(株式会社クラレ製、KL-318、固形分濃度17質量%):43質量部
・ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(星光PMC株式会社製、WS-525、固形分濃度25質量%):12質量部
・イオン交換水:20質量部
【0121】
(実施例1)
基材として坪量62g/m2の紙表面に、乾燥付着量が7g/m2になるように、ロッドブレード法でアンダー層用塗布液Aを塗布し、第一アンダー層を形成した。
次に、カーテン同時塗工でアンダー層用塗布液B、感熱記録層用塗布液及びオーバー層用塗布液を同時に塗布し、第一アンダー層上に、アンダー層用塗布液Bからなる第二アンダー層を形成し、第二アンダー層上に、感熱記録層用塗布液からなる感熱記録層を形成し、感熱記録層上に、オーバー層用塗布液からなるオーバー層を形成し、感熱記録媒体を得た。このとき、第二アンダー層、感熱記録層及びオーバー層は、乾燥付着量がそれぞれ2g/m2、3g/m2、及び1.5g/m2となるように形成した。
【0122】
(実施例2~6及び比較例1~4)
実施例1において、第一アンダー層及び第二アンダー層の形成に用いるアンダー層用塗布液、及び各層の塗布方法を、表2に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録媒体を製造した。
【0123】
【0124】
次に、実施例及び比較例の感熱記録媒体における、「表面平滑度」を測定し、更に「感度」及び「精細性」を評価した。結果を表3に示す。
【0125】
(表面平滑度)
表面平滑度は、王研式平滑度計を用いて、JIS P-8155に基づき測定した。
【0126】
(感度)
感熱記録媒体を印字シミュレーター(大倉電機株式会社製)にて、ヘッド電力0.45w/ドット、1ライン記録時間20ms/line、走査線密度8×3.85ドット/mmの条件下で、パルス巾0.2ms~1.2msで印字し、印字濃度をマクベス反射濃度計RD-914(マクベス社製)にて測定した。この時、画像濃度1.0を得るために必要としたパルス巾を算出し、そのエネルギー値から、以下の数式にしたがって比較例1を基準とした場合の感度倍率を算出し、下記基準で評価した。
感度倍率=(比較例1のパルス巾)/(測定したサンプルのパルス巾)
【0127】
[評価基準]
◎:感度倍率が1.11以上
○:感度倍率が1.00超1.11未満
×:感度倍率が1.00以下
【0128】
(精細性)
各感熱記録材料(印刷部を設けない感熱記録材料)について、DATAMAX社製サーマルラベルプリンターI-4308を用いて印字速度8ipsで、印字濃度が0.80になるように任意の文字、画像を印字し、印字画像を目視観察し、下記基準で評価した。
【0129】
[評価基準]
◎:文字、画像、白抜けはない。
〇:文字、画像に僅かに白抜けがあるが、認識はできる。
△:文字、画像に僅かに白抜けがあり、一部認識できない部分が存在する。
×:文字、画像に白抜けがあり、認識できない。
【0130】
(総合評価)
各実施例及び比較例における最も低い評価を総合評価とした。
【0131】
【0132】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 支持体と、
前記支持体上に第一アンダー層と、
前記第一アンダー層上に第二アンダー層と、
前記第二アンダー層上に感熱記録層と、を有する感熱記録媒体であって、
前記第二アンダー層及び前記感熱記録層が、カーテン同時塗工されて形成され、前記感熱記録媒体の表面の表面平滑度が1,000s以上であることを特徴とする感熱記録媒体である。
<2> 前記表面平滑度が1,600s以上である、前記<1>に記載の感熱記録媒体である。
<3> 前記表面平滑度が2,000s以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の感熱記録媒体である。
<4> 前記第一アンダー層及び前記第二アンダー層の少なくともいずれかが顔料及び結着樹脂を含有する、前記<1>から<3>のいずれかに記載の感熱記録媒体である。
<5> 前記第一アンダー層の顔料が焼成カオリンである、前記<4>に記載の感熱記録媒体である。
<6> 前記第二アンダー層が中空フィラーを含む、前記<4>から<5>のいずれかに記載の感熱記録媒体である。
<7> 前記第一アンダー層及び前記第二アンダー層の結着樹脂の少なくともいずれかが、ポリビニルアルコール及びスチレン-ブタジエン共重合体の2種類である、前記<4>から<6>のいずれかに記載の感熱記録媒体である。
<8> 支持体上に、第一アンダー層を形成する第一アンダー層形成工程と、
前記第一アンダー層上に、第二アンダー層を形成する第二アンダー層形成工程と、
前記第二アンダー層上に、感熱記録層を形成する感熱記録層形成工程と、を含み、
前記第二アンダー層形成工程及び前記感熱記録層形成工程において、前記第二アンダー層及び前記感熱記録層が、カーテン同時塗工されて形成されることを特徴とする感熱記録媒体の製造方法である。
【0133】
前記<1>から<6>のいずれかに記載の感熱記録媒体、及び前記<7>から<8>のいずれかに記載の感熱記録媒体の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0134】
【文献】特許4793385号公報
【文献】特開2011-255554号公報
【符号の説明】
【0135】
1 感熱記録媒体
11 基材
12 アンダー層
13 感熱記録層
14 保護層
15 粘着剤層
16A,17A ヘッド
16B,17B カーテン膜