(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】切削方法及び切削装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/12 20060101AFI20240110BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240110BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20240110BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240110BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20240110BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B24B49/12
H01L21/78 F
B24B49/10
B24B27/06 M
B23Q17/00 F
B23Q17/24 C
(21)【出願番号】P 2019150369
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 直子
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-204497(JP,A)
【文献】特開2016-139645(JP,A)
【文献】特開2018-129425(JP,A)
【文献】特開2015-046541(JP,A)
【文献】特開2013-059833(JP,A)
【文献】特開2001-144034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0318395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-3/60
B24B21/00-51/00
B24D3/00-99/00
B23Q17/00-23/00
B28D1/00-7/04
H01L21/301;21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削ブレードがスピンドルの先端に装着された切削装置で被加工物を切削する切削方法であって、
該切削ブレードは、出荷前に被加工物を切削した切削溝の幅の情報を少なくとも含む識別コードを有し、
該切削装置は、該識別コードの読み取り手段を備え、
該読み取り手段で該スピンドルに装着される前の該切削ブレードの該識別コードを読み取り出荷前の切削溝の幅の該情報を入手する識別コード読み取りステップと、
該識別コード読み取りステップを実施した後、該切削ブレードを該スピンドルの先端に装着するブレード装着ステップと、
該ブレード装着ステップを実施した後、被加工物を切削し
て、該被加工物に切削溝を
加工内容情報で定められた本数形成する切削ステップと、
該切削ステップで形成された切削溝を撮像し該切削溝の幅を検出する幅検出ステップと、
該幅検出ステップで検出された該切削溝の幅と、該識別コード読み取りステップで入
手した出荷前の切削溝の該幅とを比較する比較ステップと、
該比較ステップで比較した該幅検出ステップで検出された該切削溝の幅と、該識別コード読み取りステップで入手した出荷前の切削溝の該幅とに許容範囲以上のずれがある場合に警告を発信する警告発信ステップと、
該切削ステップと該幅検出ステップと該比較ステップとを実施した後、該警告発信ステップで、該切削溝の幅と該出荷前の切削溝の該幅とに許容範囲以上のずれがないと判定した場合に、製品被加工物の全てのストリートを切削する製品切削ステップと、
を備えた切削方法。
【請求項2】
該切削ステップでは、該製品被加工物とは異なるダミー被加工物を切削する、請求項1に記載の切削方法。
【請求項3】
該切削ステップでは、複数の該切削溝を形成し、
該幅検出ステップでは、複数の該切削溝のうち最後に形成された該切削溝の幅を検出する、請求項1または請求項2に記載の切削方法。
【請求項4】
切削装置であって、
被加工物を保持する保持手段と、
出荷前に被加工物を切削した切削溝の幅の情報を少なくとも含む識別コードを有し該保持手段で保持された被加工物を切削する切削ブレードと、該切削ブレードが交換可能に装着されるスピンドルと、を有した切削手段と、
該切削手段を該保持手段に対して相対的に移動させる移動手段と、
該識別コードの読み取り手段と、
該保持手段で保持された被加工物を撮像する撮像手段と、
少なくとも該移動手段を制御する制御手段と、を備え、
該制御手段は、
該読み取り手段で該スピンドルに装着される前の該切削ブレードの該識別コードを読み取り入手した出荷前の切削溝の幅の該情報を記憶する記憶部と、
被加工物に
加工内容情報で定められた本数形成された切削溝を撮像した撮像画像から該切削溝の幅を検出する幅検出部と、
該幅検出部で検出された該切削溝の幅と、該記憶部に記憶された出荷前の切削溝の該幅とを比較する比較部と、
出荷前の切削溝の幅に対して設定された溝幅の許容範囲を記憶する許容範囲記憶部と、
該比較部で比較した該幅検出部で検出された該切削溝の幅と、該記憶部に記憶された出荷前の切削溝の該幅とに該許容範囲記憶部で記憶された許容範囲以上のずれがある場合に警告を発信する警告発信部と、を有
し、
該警告発信部が、該切削溝の幅と該出荷前の切削溝の該幅とに許容範囲以上のずれがないと判定した場合に、製品被加工物の全てのストリートを切削する切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置で被加工物を切削する切削方法及び切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン等で構成されたウェーハをストリートに沿って切削ブレードで切削して、個々のデバイスに分割する切削装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前述した切削ブレードは、工場からも出荷前にウェーハを切削して切削溝を形成し、切削溝の幅が計測されている。切削ブレードは、計測で得られた切削溝の幅の値がカーフ幅として、2次元コードやバーコード等の識別コードに格納され、識別コードが切削ブレード上や切削ブレードを収容する収容ケースに付けられて、所定のカーフ幅であることを謳って出荷されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、切削ブレードは、スピンドルの先端に装着される際に、スピンドルの軸心に対して僅かに傾斜した状態で装着されてしまうことがある。切削ブレードは、スピンドルの軸心に対して僅かに傾斜した状態で装着された状態で被加工物を切削すると、被加工物を切削し形成された切削溝の幅が出荷前に計測されかつ識別コードに格納されたカーフ幅よりも広がってしまう。
【0006】
また、切削ブレードは、スピンドルの先端に装着される際に僅かに損傷されて、損傷した事に気づかれずにスピンドルに装着されてしまった場合も、被加工物を切削し形成された切削溝の幅の出荷前に計測されかつ識別コードに格納されたカーフ幅との差が大きくなってしまう。切削ブレードが損傷すると、切削中に切削ブレードの切り刃が蛇行する場合、切削溝の幅がカーフ幅よりも広くなり、切り刃が割れたりかけたりした場合、切削溝の幅がカーフ幅よりも狭くなって、正常に切削できなくなる。
【0007】
切削ブレードは、例えば、ウェーハを切削した際に、想定していたカーフ幅よりも実際に切削して形成した切削溝の幅が広がると、ストリートから切削溝やチッピングと呼ばれる欠けがはみ出して、デバイスのアクティブエリアを損傷しかねないため、改善が切望されていた。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、実際に被加工物を切削して形成した切削溝の幅と出荷前に計測されたカーフ幅との差が許容値以上であることを検出することができる切削方法及び切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の切削方法は、切削ブレードがスピンドルの先端に装着された切削装置で被加工物を切削する切削方法であって、該切削ブレードは、出荷前に被加工物を切削した切削溝の幅の情報を少なくとも含む識別コードを有し、該切削装置は、該識別コードの読み取り手段を備え、該読み取り手段で該スピンドルに装着される前の該切削ブレードの該識別コードを読み取り出荷前の切削溝の幅の該情報を入手する識別コード読み取りステップと、該識別コード読み取りステップを実施した後、該切削ブレードを該スピンドルの先端に装着するブレード装着ステップと、該ブレード装着ステップを実施した後、被加工物を切削して、該被加工物に切削溝を加工内容情報で定められた本数形成する切削ステップと、該切削ステップで形成された切削溝を撮像し該切削溝の幅を検出する幅検出ステップと、該幅検出ステップで検出された該切削溝の幅と、該識別コード読み取りステップで入手した出荷前の切削溝の該幅とを比較する比較ステップと、該比較ステップで比較した該幅検出ステップで検出された該切削溝の幅と、該識別コード読み取りステップで入手した出荷前の切削溝の該幅とに許容範囲以上のずれがある場合に警告を発信する警告発信ステップと、該切削ステップと該幅検出ステップと該比較ステップとを実施した後、該警告発信ステップで、該切削溝の幅と該出荷前の切削溝の該幅とに許容範囲以上のずれがないと判定した場合に、製品被加工物の全てのストリートを切削する製品切削ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記切削方法は、該切削ステップでは、該製品被加工物とは異なるダミー被加工物を切削しても良い。
【0011】
前記切削方法は、該切削ステップでは、複数の該切削溝を形成し、該幅検出ステップでは、複数の該切削溝のうち最後に形成された該切削溝の幅を検出しても良い。
【0012】
本発明の切削装置は、被加工物を保持する保持手段と、出荷前に被加工物を切削した切削溝の幅の情報を少なくとも含む識別コードを有し該保持手段で保持された被加工物を切削する切削ブレードと、該切削ブレードが交換可能に装着されるスピンドルと、を有した切削手段と、該切削手段を該保持手段に対して相対的に移動させる移動手段と、該識別コードの読み取り手段と、該保持手段で保持された被加工物を撮像する撮像手段と、少なくとも該移動手段を制御する制御手段と、を備え、該制御手段は、該読み取り手段で該スピンドルに装着される前の該切削ブレードの該識別コードを読み取り入手した出荷前の切削溝の幅の該情報を記憶する記憶部と、被加工物に加工内容情報で定められた本数形成された切削溝を撮像した撮像画像から該切削溝の幅を検出する幅検出部と、該幅検出部で検出された該切削溝の幅と、該記憶部に記憶された出荷前の切削溝の該幅とを比較する比較部と、出荷前の切削溝の幅に対して設定された溝幅の許容範囲を記憶する許容範囲記憶部と、該比較部で比較した該幅検出部で検出された該切削溝の幅と、該記憶部に記憶された出荷前の切削溝の該幅とに該許容範囲記憶部で記憶された許容範囲以上のずれがある場合に警告を発信する警告発信部と、を有し、該警告発信部が、該切削溝の幅と該出荷前の切削溝の該幅とに許容範囲以上のずれがないと判定した場合に、製品被加工物の全てのストリートを切削することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は、実際に被加工物を切削して形成した切削溝の幅と出荷前に計測されたカーフ幅との差が許容値以上であることを検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る切削ユニットを分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示された切削ユニットの切削ブレードの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示された切削ブレードが収容される収容ケースの平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る切削方法の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5に示された切削方法の切削ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示された切削方法の幅検出ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図8】
図8は、
図5に示された切削方法の幅検出ステップにおいて撮像ユニットが撮像して得た撮像画像を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る切削方法の切削ステップにおいて切削溝が形成されるミラーウェーハの斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る切削方法の切削ステップにおいて切削溝が形成されるドレスボードの斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態1及び実施形態2の変形例に係る切削装置の切削ユニットを分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る切削方法及び切削装置を図面に基いて説明する。
図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係る切削ユニットを分解して示す斜視図である。
図3は、
図2に示された切削ユニットの切削ブレードの斜視図である。
図4は、
図3に示された切削ブレードが収容される収容ケースの平面図である。
【0017】
実施形態1に係る
図1に示す切削装置1は、被加工物200を切削(加工)する装置である。実施形態1では、被加工物200は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハである。被加工物200は、表面201に格子状に形成された複数のストリート202によって格子状に区画された領域にデバイス203が形成されている。
【0018】
本発明の被加工物200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウェーハでもよく、ウェーハの他に、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、ガラス板等でも良い。被加工物200は、裏面204に円板状の粘着テープ206に貼着され、粘着テープ206の外周縁に内径が被加工物200の外径よりも大きな環状の環状フレーム205が貼着されて、環状フレーム205の内側の開口に支持されている。このように、実施形態1に係る被加工物200は、個々のデバイス203に分割される製品被加工物でもある。即ち、製品被加工物とは、種々の電子機器で用いられるデバイス203に分割される被加工物200をいう。
【0019】
図1に示された切削装置1は、被加工物200を保持テーブル10で保持しストリート202に沿って切削ブレード21で切削加工する装置である。切削装置1は、
図1に示すように、被加工物200を保持面11に吸引保持する保持手段である保持テーブル10と、保持テーブル10で保持された被加工物200を切削する切削ブレード21と切削ブレード21が交換可能に装着されるスピンドル22とを有した切削手段である切削ユニット20と、保持テーブル10で保持された被加工物200を撮影する撮像手段である撮像ユニット30と、制御手段である制御ユニット100とを備える。
【0020】
また、切削装置1は、
図1に示すように、切削ユニット20を保持テーブル10に対して相対的に移動させる移動手段である移動ユニット40を備える。移動ユニット40は、保持テーブル10を水平方向及び装置本体2の短手方向と平行なX軸方向に加工送りするX軸移動ユニット41と、切削ユニット20を水平方向及び装置本体2の長手方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸移動ユニット42と、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りするZ軸移動ユニット43と、保持テーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転するとともにX軸移動ユニット41により保持テーブル10とともにX軸方向に加工送りされる回転移動ユニット44とを備える。
【0021】
保持テーブル10は、円盤形状であり、被加工物200を保持する保持面11がポーラスセラミック等の多孔質材から形成されている。また、保持テーブル10は、X軸移動ユニット41によりX軸方向に沿って移動自在で回転移動ユニット44により軸心回りに回転自在に設けられている。保持テーブル10は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面11に載置された被加工物200を吸引、保持する。また、保持テーブル10の周囲には、環状フレーム205をクランプするクランプ部12が複数設けられている。
【0022】
切削ユニット20は、保持テーブル10に保持された被加工物200を切削する切削ブレード21を着脱自在に装着した切削手段である。切削ユニット20は、保持テーブル10に保持された被加工物200に対して、Y軸移動ユニット42によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット43によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0023】
切削ユニット20は、
図1に示すように、Y軸移動ユニット42、Z軸移動ユニット43などを介して、装置本体2から立設した支持フレーム3に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43により、保持テーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0024】
切削ユニット20は、
図2に示すように、切削ブレード21と、切削ブレード21を先端に装着したスピンドル22とに加え、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43によりY軸方向及びZ軸方向に移動されかつスピンドル22を軸心回りに回転自在に収容したスピンドルハウジング23と、スピンドルハウジング23内に収容されかつスピンドル22を軸心回りに回転する図示しないスピンドルモータと、スピンドル22の先端に切削ブレード21を着脱自在に装着するフランジ機構24とを備える。
【0025】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、中央に装着孔211を有する円環状の基台212と、基台212の外周縁に設けられかつ被加工物200を切削する円環状の切り刃213と、識別コード214とを有する。識別コード214は、切削ブレード21を製造する工場からの出荷前に被加工物200を切削して形成された切削溝207(
図1中に点線で示す)の幅であるカーフ幅の情報を少なくとも含む。即ち、カーフ幅は、出荷前の切削溝207の幅である。
【0026】
実施形態1では、識別コード214は、
図2及び
図3に示す基台212の端面に設けられているが、本発明では、運搬の際に切削ブレード21を収容する
図4に示す収容ケース215の表面に設けられても良い。識別コード214は、例えば、前述したカーフ幅の情報を少なくとも示す、2次元コード、バーコード、又は文字と数字の少なくとも一方で構成されるスペック表記などで構成される。
【0027】
フランジ機構24は、スピンドル22の先端に設けられたねじ孔221に螺合するボルト25によってスピンドル22の先端に固定されるマウント26と、マウント26のボス部261の外周面に設けられた雄ねじ262に螺合するナット27とを備える。
【0028】
マウント26は、スピンドル22の先端を内側に通す円筒状のボス部261と、ボス部261のスピンドルハウジング23寄りの一端部から外周方向に突出したリング状のフランジ部263とを備える。ボス部261は、外周面に雄ねじ262が形成され、切削ブレード21の基台212の装着孔211内に挿入される。ナット27は、切削ブレード21の装着孔211内に挿入されたボス部261の雄ねじ262に螺合する。
【0029】
フランジ機構24は、スピンドル22の先端に固定されたマウント26のボス部261が装着孔211に通されて、雄ねじ262にナット27が螺合することで、フランジ部263とナット27との間に基台212を挟み込んで、切削ブレード21をスピンドル22の先端に装着する。また、フランジ機構24は、ナット27を雄ねじ262から取り外すことで、マウント26を介してスピンドル22に切削ブレード21を着脱自在とする。
【0030】
切削ユニット20のスピンドル22及び切削ブレード21の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
【0031】
X軸移動ユニット41は、保持テーブル10を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、保持テーブル10と切削ユニット20とを相対的にX軸方向に沿って加工送りするものである。Y軸移動ユニット42は、切削ユニット20を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、保持テーブル10と切削ユニット20とを相対的にY軸方向に沿って割り出し送りするものである。Z軸移動ユニット43は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、保持テーブル10と切削ユニット20とを相対的にZ軸方向に沿って切り込み送りするものである。
【0032】
X軸移動ユニット41、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のパルスモータ及び保持テーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0033】
また、切削装置1は、保持テーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、パルスモータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル10のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。なお、実施形態1では、各位置は、予め定められた基準位置からのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の距離で定められる。
【0034】
また、切削装置1は、切削前後の被加工物200を収容するカセット51が載置されかつカセット51をZ軸方向に移動させるカセットエレベータ50と、切削後の被加工物200を洗浄する洗浄ユニット60と、カセット51に被加工物200を出し入れするとともに被加工物200を搬送する図示しない搬送ユニットとを備える。
【0035】
撮像ユニット30は、切削ユニット20と一体的に移動するように固定されている。撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された切削前の被加工物200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された被加工物200を撮影して、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0036】
また、撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された被加工物200に照明光を照射する落射照明(同軸照明ともいう)と、斜光照明とを備える。落射照明は、撮像素子の光軸と同軸に照明光を保持テーブル10に保持された被加工物200に照射する。斜光照明は、撮像素子の光軸に対して交差する方向に沿って照明光を保持テーブル10に保持された被加工物200に照射する。撮像ユニット30の落射照明及び斜光照明の光量は、予め設定される。
【0037】
制御ユニット100は、切削装置1の上述した構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を切削装置1に実施させるものである。即ち、制御ユニット100は、少なくとも移動ユニット40を制御する。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施して、切削装置1を制御するための制御信号を入出力インターフェース装置を介して切削装置1の上述した構成要素に出力する。
【0038】
また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0039】
また、切削装置1は、
図1に示すように、報知ユニット110と、読み取り手段である読み取りユニット120とを備える。報知ユニット110は、音と光とのうち少なくとも一方を発してオペレータに報知するものである。
【0040】
読み取りユニット120は、識別コード214を読み取って、識別コード214が示すカーフ幅の情報を制御ユニット100に出力する。識別コード214が2次元コード又はバーコードである場合、読み取りユニット120は、バーコードリーダである。識別コード214がスペック表記である場合、読み取りユニット120は、OCR(Optical Character Recognition/Reader:光学的文字認識装置)により構成される。
【0041】
また、制御ユニット100は、
図1に示すように、記憶部101と、幅検出部102と、比較部103と、許容範囲記憶部104と、警告発信部105とを備える。
【0042】
記憶部101は、読み取りユニット120で切削ブレード21の識別コード214を読み取り入手したカーフ幅の情報を記憶するものである。幅検出部102は、切削ユニット20が被加工物200に切削ブレード21の切り刃213を切り込ませて、被加工物200に形成された切削溝207を撮像ユニット30で撮像した撮像画像300(一例を
図8に示す)から切削溝207の幅を検出するものである。
【0043】
比較部103は、幅検出部102で検出された切削溝207の幅と、記憶部101に記憶されたカーフ幅とを比較するものである。許容範囲記憶部104は、オペレータにより登録された加工内容情報の切削溝207の幅の許容範囲である許容値を記憶するものである。なお、切削溝207の幅の許容値は、カーフ幅に対して設定された切削溝207の幅の許容範囲を示す値であって、切削ブレード21で被加工物200に形成した切削溝207の幅の良否を判定するための値でもある。切削溝207の幅の許容値は、切削溝207のカーフ幅との差が許容値以上であると、切削溝207の幅が不良と判定でき、切削溝207のカーフ幅との差が許容値未満であると、切削溝207の幅が良と判定できる値である。
【0044】
警告発信部105は、比較部103で比較した幅検出部102で検出された切削溝207の幅と記憶部101に記憶されたカーフ幅とに許容範囲記憶部104で記憶された許容値以上のずれがある場合に、報知ユニット110を動作させて、警告を発信するものである。
【0045】
前述した記憶部101の機能は、記憶装置がカーフ幅の情報を記憶することにより実現される。比較部103及び警告発信部105の機構は、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを演算処理装置が実行することにより実現される。許容範囲記憶部104の機能は、記憶装置が許容値を記憶することにより実現される。
【0046】
次に、前述した切削装置1の加工動作、即ち、実施形態1に係る切削方法を図面に基いて説明する。
図5は、実施形態1に係る切削方法の流れを示すフローチャートである。
【0047】
実施形態1に係る切削方法は、スピンドル22に切削ブレード21を装着し、スピンドル22に装着された切削ブレード21を被加工物200に切り込ませて切削する切削装置1の加工動作である。即ち、実施形態1に係る切削方法は、スピンドル22に切削ブレード21を装着し、切削ブレード21がスピンドル22の先端に装着された切削装置1で被加工物200を切削する方法である。
【0048】
切削方法は、
図5に示すように、識別コード読み取りステップST1と、ブレード装着ステップST2と、切削ステップST3と、幅検出ステップST4と、比較ステップST5と、警報発信ステップST6と、製品切削ステップST7とを備える。
【0049】
実施形態1に係る切削方法、即ち切削装置1の加工動作の開始前では、オペレータが入力ユニットを操作して入力した加工内容情報を制御ユニット100が受け付けて登録する。なお、加工内容情報は、切削溝207の幅の許容値と、切削ステップST3において形成する切削溝207の本数等を含む。このために、許容範囲記憶部104は、切削溝207の幅の許容値を記憶する。実施形態1に係る切削方法、即ち切削装置1の加工動作は、オペレータが切削加工前の被加工物200を収容したカセット51をカセットエレベータ50に載置し、オペレータが入力ユニットを操作して入力した加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると、開始される。
【0050】
(識別コード読み取りステップ)
識別コード読み取りステップST1は、読み取りユニット120でスピンドル22に装着される切削ブレード21の識別コード214を読み取り、識別コード214が示すカーフ幅の情報を入手するステップである。加工動作を開始すると、識別コード読み取りステップST1に進み、識別コード読み取りステップST1において、切削装置1は、読み取りユニット120が切削ブレード21の識別コード214を読み取り、読み取って入手した識別コード214が示すカーフ幅の情報を制御ユニット100に出力する。識別コード読み取りステップST1では、制御ユニット100の記憶部101が、読み取りユニット120から入力したカーフ幅の情報を記憶して、ブレード装着ステップST2に進む。
【0051】
(ブレード装着ステップ)
ブレード装着ステップST2は、識別コード読み取りステップST1を実施した後、切削ブレード21を切削ユニット20のスピンドル22の先端に装着するステップである。実施形態1において、ブレード装着ステップST2では、オペレータが識別コード読み取りステップST1において識別コード214が読み取られた切削ブレード21をスピンドル22の先端に装着して、切削ステップST3に進む。
【0052】
(切削ステップ)
図6は、
図5に示された切削方法の切削ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。切削ステップST3は、ブレード装着ステップST2を実施した後、被加工物200を切削し、切削溝207を形成するステップである。
【0053】
実施形態1において、切削ステップST3では、切削装置1は、搬送ユニットにより被加工物200をカセット51から取り出して、保持テーブル10の保持面11に載置し、粘着テープ206を介して被加工物200を保持面11に吸引保持するとともに、クランプ部12で環状フレーム205をクランプする。切削ステップST3では、切削装置1は、移動ユニット40により保持テーブル10を撮像ユニット30の下方まで移動し、撮像ユニット30により保持テーブル10に吸引保持した被加工物200を撮像して、アライメントを遂行する。
【0054】
切削ステップST3では、切削装置1は、加工内容情報に基づいて、移動ユニット40により、切削ブレード21と被加工物200とをストリート202に沿って相対的に移動させて、被加工物200のストリート202を切削して、切削溝207を加工内容情報で定められた本数形成して、幅検出ステップST4に進む。なお、加工内容情報で定められた切削ステップST3において形成する切削溝207の本数は、1本以上であれば良い。
【0055】
(幅検出ステップ)
図7は、
図5に示された切削方法の幅検出ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
図8は、
図5に示された切削方法の幅検出ステップにおいて撮像ユニットが撮像して得た撮像画像を模式的に示す図である。幅検出ステップST4は、切削ステップST3で形成された切削溝207を撮像ユニット30により撮像して、切削溝207の幅を検出するステップである。
【0056】
実施形態1において、幅検出ステップST4では、切削装置1は、移動ユニット40により
図7に示すように、切削溝207の所定の位置を撮像ユニット30の下方に位置付け、撮像ユニット30により切削溝207を撮像して、
図8に例示する撮像画像300を取得する。なお、実施形態1において、切削ステップST3では複数の切削溝207を形成した場合、幅検出ステップST4では、複数の切削溝207のうち最後に形成された切削溝207の所定の位置を撮像して、撮像画像300を取得する。
【0057】
実施形態1において、撮像画像300は、被加工物200の表面201から受光する光量が多いので、
図8では、被加工物200の表面201を白地で示し、切削溝207から受光する光量が少ないので、
図8では、切削溝207を網掛けで示している。幅検出ステップST4では、幅検出部102が、撮像画像300に周知の画像処理を施して、撮像画像300から切削溝207を検出し、切削溝207の幅を検出して、比較ステップST5に進む。こうして、実施形態1において、切削ステップST3では複数の切削溝207を形成した場合、幅検出ステップST4では、複数の切削溝207のうち最後に形成された切削溝207の幅を検出する。
【0058】
(比較ステップ)
比較ステップST5は、幅検出ステップST4で検出された切削溝207の幅と、識別コード読み取りステップST1で入出したカーフ幅とを比較するステップである。比較ステップST5では、比較部103が、幅検出ステップST4において幅検出部102が検出した切削溝207の幅と、識別コード読み取りステップST1において識別コード214を読み取り、記憶部101が記憶したカーフ幅との差を算出して、切削溝207の幅とカーフ幅とを比較して、警告発信ステップST6に進む。
【0059】
(警告発信ステップ)
警告発信ステップST6は、比較ステップST5で比較した幅検出ステップST4で検出された切削溝207の幅と、識別コード読み取りステップST1で入手したカーフ幅とに許容値以上のずれがある場合に警告を発信するステップである。警告発信ステップST6では、警告発信部105が、幅検出部102で検出された切削溝207の幅と、記憶部101に記憶されたカーフ幅との差が、許容範囲記憶部104で記憶された許容値以上であるか否かを判定する(ステップST61)。
【0060】
警告発信ステップST6では、警告発信部105が、切削溝207の幅とカーフ幅との差が、許容値以上であると判定する(ステップST61:Yes)と、報知ユニット110を動作させて、切削溝207の幅とカーフ幅とに許容値以上のずれがあると警告を発信し(ステップST62)、切削ブレード21に不具合があるとオペレータ等に警告を発信して、切削方法、即ち切削装置1の加工動作を終了する。警告発信ステップST6では、警告発信部105が、切削溝207の幅とカーフ幅との差が、許容値以上ではないと判定する(ステップST61:No)と、製品切削ステップST7に進む。
【0061】
(製品切削ステップ)
製品切削ステップST7は、切削ステップST3と幅検出ステップST4と比較ステップST5とを実施した後、製品被加工物である被加工物200を切削するステップである。実施形態1において、製品切削ステップST7では、切削装置1が、切削ステップST3と同様に、被加工物200の全てのストリート202に切削ブレード21を切り込ませて切削し、切削溝207を形成した後、搬送ユニットにより被加工物200を洗浄ユニット60に搬送し、洗浄ユニット60で洗浄した後、搬送ユニットによりカセット51内に搬入する(ステップST71)。
【0062】
製品切削ステップST7では、制御ユニット100が、カセット51内の全ての被加工物200を切削したか否かを判定する(ステップST72)。製品切削ステップST7では、制御ユニット100が、カセット51内の全ての被加工物200を切削していないと判定する(ステップST72:No)と、ステップST71に戻り、切削ステップST3と同様に、カセット51から未切削の被加工物200を取り出した後、切削する。製品切削ステップST7では、制御ユニット100が、カセット51内の全ての被加工物200を切削したと判定する(ステップST72:Yes)と、切削方法、即ち切削装置1の加工動作を終了する。
【0063】
以上のように、実施形態1に係る切削方法及び切削装置1は、識別コード読み取りステップST1において識別コード214からカーフ幅の情報を入手する。切削方法及び切削装置1は、ブレード装着ステップST2において実際に被加工物200を切削する切削装置1のスピンドル22に切削ブレードを装着した後に、切削ステップST3において、被加工物200に切削溝207を形成する。切削方法及び切削装置1は、比較ステップST5において、切削溝207の幅と、カーフ幅とを比較する。その結果、切削方法及び切削装置1は、実際に被加工物200を切削して形成した切削溝207の幅とカーフ幅との差が許容値以上であることを検出することができるという効果を奏する。
【0064】
また、切削方法及び切削装置1は、切削溝207の幅とカーフ幅との差が許容値以上であることを検出できるので、製品被加工物である被加工物200を加工する際にストリートから切削溝207がはみ出してデバイスを損傷してしまうおそれを抑制できる。
【0065】
また、切削方法及び切削装置1は、切削ステップST3において複数の切削溝207を形成した場合には、幅検出ステップST4において最後に形成された切削溝207の幅を検出するので、切削ブレード21に不具合があることを発信できる。
【0066】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る切削方法及び切削装置を図面に基いて説明する。
図9は、実施形態2に係る切削方法の切削ステップにおいて切削溝が形成されるミラーウェーハの斜視図である。
図10は、実施形態2に係る切削方法の切削ステップにおいて切削溝が形成されるドレスボードの斜視図である。なお、
図9及び
図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、切削ステップST3において、切削ステップST3では、被加工物200と異なるダミー被加工物である
図9に示すミラーウェーハ200-1又は
図10に示すドレスボード200-2を切削して、切削溝207を形成すること以外、実施形態1と同じである。
図9に示すミラーウェーハ200-1は、母材が被加工物200と同じウェーハであって、表面201にデバイス203が形成されていなく、母材のみで構成されるものである。
【0068】
ドレスボード200-2は、平面形状が矩形状の板状に形成され、樹脂やセラミックスのボンド材に、WA(ホワイトアランダム、アルミナ系)、GC(グリーンカーボナイト、炭化ケイ素系)などの砥粒が混ぜ込まれて構成されている。実施形態2において、ドレスボード200-2は、切削ブレード21の切り刃213の外縁の中心とスピンドル22の軸心とを一致させるために、切削ブレード21により切削され、切削ブレード21の切り刃213を磨耗させるために用いられる。
【0069】
実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、ダミー被加工物であるミラーウェーハ200-1又はドレスボード200-2を被加工物200と同様に環状フレーム205で支持した状態でカセット51内に収容しておき、切削ステップST3において、カセット51からミラーウェーハ200-1又はドレスボード200-2を取り出して、切削溝207を形成した後、幅検出ステップST4において撮像画像300を取得した後、ミラーウェーハ200-1又はドレスボード200-2をカセット51内に収容する。
【0070】
実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、製品切削ステップST7において、実施形態1の切削ステップST3と同様に、カセット51から未切削の被加工物200を取り出した後、実施形態1の製品切削ステップST7と同様に、全てのストリート202を切削し、洗浄した後、カセット51に収容する。
【0071】
実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、切削溝207の幅と、カーフ幅とを比較するので、実施形態1と同様に、実際にミラーウェーハ200-1又はドレスボード200-2を切削して形成した切削溝207の幅とカーフ幅との差が許容値以上であることを検出することができるという効果を奏する。
【0072】
また、実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、切削ステップST3において、ダミー被加工物であるミラーウェーハ200-1又はドレスボード200-2を切削して切削溝207を形成するので、特に、切削溝207の幅とカーフ幅との差が許容値以上である場合に、被加工物200を切削することがないという効果を奏する。
【0073】
〔変形例〕
本発明の実施形態1及び実施形態2に係る切削方法及び切削装置を図面に基いて説明する。
図11は、実施形態1及び実施形態2の変形例に係る切削装置の切削ユニットを分解して示す斜視図である。なお、
図11は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
変形例に係る切削装置1は、
図11に示すように、切削ブレード21-1が切り刃213のみで構成されるワッシャブレードであり、フランジ機構24-1が、中央にボス部261を通す装着孔281を有した円環状の押さえフランジ28を備え、マウント26と押さえフランジ28との間に切削ブレード21を挟んで固定すること以外、実施形態1及び実施形態2と同じである。
【0075】
変形例に係る切削方法及び切削装置1は、切削溝207の幅と、カーフ幅とを比較するので、実施形態1及び実施形態2と同様に、実際に形成した切削溝207の幅とカーフ幅との差が許容値以上であることを検出することができるという効果を奏する。
【0076】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 切削装置
10 保持テーブル(保持手段)
20 切削ユニット(切削手段)
21,21-1 切削ブレード
22 スピンドル
30 撮像ユニット(撮像手段)
40 移動ユニット(移動手段)
100 制御ユニット(制御手段)
101 記憶部
102 幅検出部
103 比較部
104 許容範囲記憶部
105 警告発信部
120 読み取りユニット(読み取り手段)
200 被加工物(製品被加工物)
200-1 ミラーウェーハ(ダミー被加工物)
200-2 ドレスボード(ダミー被加工物)
207 切削溝
214 識別コード
ST1 識別コード読み取りステップ
ST2 ブレード装着ステップ
ST3 切削ステップ
ST4 幅検出ステップ
ST5 比較ステップ
ST6 警告発信ステップ
ST7 製品切削ステップ