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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20240110BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20240110BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L33/58
G02B3/08
H01L33/52
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021146883
(22)【出願日】2021-09-09
(62)【分割の表示】P 2019148937の分割
【原出願日】2019-08-14
(65)【公開番号】P2022001871
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2018190129
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福中 敏昭
(72)【発明者】
【氏名】松下 浩二
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533598(JP,A)
【文献】特開2004-259958(JP,A)
【文献】特開平05-138934(JP,A)
【文献】特開2010-103628(JP,A)
【文献】特開2011-249419(JP,A)
【文献】特開2011-193033(JP,A)
【文献】特開平05-013786(JP,A)
【文献】国際公開第2014/125800(WO,A1)
【文献】特表2016-502071(JP,A)
【文献】特開2013-122447(JP,A)
【文献】特開2003-185496(JP,A)
【文献】特開2008-278260(JP,A)
【文献】特開2016-148658(JP,A)
【文献】特表2008-501963(JP,A)
【文献】特開2013-190243(JP,A)
【文献】米国特許第06266197(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
G02B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子が1素子又はマトリクス状に配列された光電変換チップと、前記光電変換チップを露出させるように前記光電変換チップの側面を覆う第一封止部材と、を有する光電変換ブロックと、
レンズと、前記レンズの一方の面及び他方の面を露出させるように前記レンズの側面を覆う、樹脂材料で形成された第二封止部材と、を有するレンズブロックと、を備え、
前記光電変換素子が発光素子であり、
前記レンズブロックは、前記レンズの前記一方の面と前記第二封止部材とで形成された凹部を有し、前記凹部の底面の少なくとも一部は前記レンズの一方の面で形成され、前記凹部の側壁は前記第二封止部材で形成されており、前記凹部が前記第一封止部材から露出する前記光電変換チップを覆うように配置され、前記第二封止部材のうち前記凹部の側方に配置された側壁部の内壁は、前記底面に対して傾斜しており、前記光電変換チップに面する前記凹部の開口面における開口の面積が、前記レンズの一方の面を含む前記凹部の前記底面の面積よりも大きくなっており、
前記光電変換ブロックは、前記光電変換チップと電気的に接続されたICチップを備え、
前記ICチップは、前記第一封止部材で覆われており、
前記光電変換ブロックは、前記光電変換ブロックの前記レンズブロックとは反対側の面に形成された再配線層を有し、
前記ICチップは、前記光電変換チップと再配線層で電気的に接続され、
前記ICチップは、前記第一封止部材で、前記ICチップの側面又は側面と上面とが覆われている
光デバイス。
【請求項2】
光電変換素子が1素子又はマトリクス状に配列された光電変換チップと、前記光電変換チップを露出させるように前記光電変換チップの側面を覆う第一封止部材と、を有する光電変換ブロックと、
レンズと、前記レンズの一方の面及び他方の面を露出させるように前記レンズの側面を覆う、樹脂材料で形成された第二封止部材と、を有するレンズブロックと、
ICチップと、前記ICチップの側面又は側面と上面とを覆って封止する第三封止部材と、側面が前記第三封止部材に覆われて封止され、前記ICチップと電気的に接続された導体と、を有するICブロックと、
を備え、
前記光電変換素子が発光素子であり、
前記レンズブロックは、前記レンズの前記一方の面と前記第二封止部材とで形成された凹部を有し、前記凹部の底面の少なくとも一部は前記レンズの一方の面で形成され、前記凹部の側壁は前記第二封止部材で形成されており、前記凹部が前記第一封止部材から露出する前記光電変換チップを覆うように配置され、前記第二封止部材のうち前記凹部の側方に配置された側壁部の内壁は、前記底面に対して傾斜しており、前記光電変換チップに面する前記凹部の開口面における開口の面積が、前記レンズの一方の面を含む前記凹部の前記底面の面積よりも大きくなっており、
前記導体は、前記光電変換ブロック側の面において露出しており、前記光電変換ブロックと電気的に接続されており、
前記ICブロックは、前記ICチップの前記光電変換ブロックと反対側の面に形成された再配線層を有し、
前記導体は、前記第三封止部材を前記光電変換ブロック側から前記光電変換ブロックと反対側の面に貫通して前記再配線層と電気的に接続されている
光デバイス。
【請求項3】
前記凹部の底面は円形状であり、
前記凹部の底面の全面は、前記レンズの一方の面で形成されている
請求項1または2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記底面の全面は、前記レンズの一方の面で形成され、
前記側壁部の内壁は、前記レンズの近傍で、前記凹部に対して断面視で曲線状に突出または窪んでいる
請求項3に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記側壁部の前記光電変換ブロックと対向する面と前記側壁部の内壁とが、曲面によって連続的に形成されている
請求項4に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記凹部の底面は円形状又は矩形状であり、
前記レンズは矩形状であり、
前記凹部の底面は、前記レンズの一方の面と、前記第二封止部材とで形成されている
請求項1または2に記載の光デバイス。
【請求項7】
矩形状の前記レンズは、平面視において前記凹部の底面の外周と所定の距離を置いて配置されている
請求項6に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記第二封止部材は、前記レンズの前記一方の面の周囲に溝部を有している
請求項6又は7に記載の光デバイス。
【請求項9】
前記レンズブロックは、開口を有する枠部材を備え、
前記レンズが前記開口内に配置された状態で、前記レンズの側面及び前記枠部材が前記第二封止部材で覆われている
請求項1から8のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項10】
前記光電変換ブロックと前記レンズブロックとを接続する接続部材を備え、
前記接続部材は、前記光電変換ブロックの前記光電変換チップが露出する領域の外側に設けられる
請求項1から9のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項11】
前記接続部材は、前記光電変換ブロックの前記レンズブロックとの対向面の一部に、該対向面の周方向の一部に設けられ、空隙を形成した状態で前記光電変換ブロックと前記レンズブロックとが接続されている
請求項10に記載の光デバイス。
【請求項12】
前記光電変換ブロックは、一部が前記第一封止部材から露出する複数の外部端子を有している
請求項1から11のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項13】
前記光電変換チップは、複数の前記光電変換素子の端子を兼用する端子部を有しており、
前記端子部は、前記外部端子のいずれかと電気的に接続されている
請求項12に記載の光デバイス。
【請求項14】
前記レンズは、フレネルレンズ又はバイナリーレンズである
請求項1から13のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項15】
前記光電変換ブロックは、前記光電変換チップと電気的に接続され、前記ICブロック側の面に露出する接続端子を有しており、
前記接続端子は、前記ICブロックの前記導体と電気的に接続されている
請求項2に記載の光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば赤外線デバイス等の光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズで光を光電変換素子に集光して、光の検出を行うセンサが提案されている。例えば、物体が発生する赤外線によって物体の温度を検出する赤外線センサにおいて、レンズで赤外線を赤外線素子に集光することで、センサから離れた位置の物体の温度を検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-049073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなデバイスでは、レンズ及びレンズを支持するレンズホルダをシリコンを切削して形成している。しかしながら、レンズホルダをシリコンで形成すると、レンズ以外の部分(すなわち、レンズホルダ)を透過した赤外光が赤外線センサ素子に入射し、測定誤差が生じる原因となる場合がある。このため、レンズホルダの内壁を赤外光を透過しない金属等によって保護しており、レンズ形成工程が煩雑となる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、容易な工程で形成可能であり、かつ小型で、測定精度の高いレンズ付きの光デバイスを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る光デバイスは、光電変換素子が一素子又は、マトリクス状に配列された光電変換チップと、光電変換チップを露出させるように光電変換チップの側面を覆う第一封止部材と、を有する光電変換ブロックと、レンズと、レンズの一方の面及び他方の面を露出させるようにレンズの側面を覆う、樹脂材料で形成された第二封止部材と、を有するレンズブロックと、を備え、光電変換素子が発光素子となっている。レンズブロックは、レンズの一方の面と第二封止部材とで形成された凹部を有し、凹部の底面の少なくとも一部はレンズの一方の面で形成され、凹部の側壁は第二封止部材で形成されており、凹部が第一封止部材から露出する光電変換チップを覆うように配置され、第二封止部材のうち凹部の側方に配置された側壁部の内壁は、底面に対して傾斜しており、光電変換チップに面する凹部の開口面における開口の面積が、レンズの一方の面を含む凹部の底面の面積よりも大きくなっている。また、光電変換ブロックは、光電変換チップと電気的に接続されたICチップを備え、ICチップは、第一封止部材で覆われており、光電変換ブロックは、光電変換ブロックのレンズブロックとは反対側の面に形成された再配線層を有し、ICチップは、光電変換チップと再配線層で電気的に接続され、ICチップは、第一封止部材で、ICチップの側面又は側面と上面とが覆われている。
また、本発明の他の態様に係る光デバイスは、光電変換素子が1素子又はマトリクス状に配列された光電変換チップと、光電変換チップを露出させるように光電変換チップの側面を覆う第一封止部材と、を有する光電変換ブロックと、レンズと、レンズの一方の面及び他方の面を露出させるようにレンズの側面を覆う、樹脂材料で形成された第二封止部材と、を有するレンズブロックと、ICチップと、ICチップの側面又は側面と上面とを覆って封止する第三封止部材と、側面が第三封止部材に覆われて封止され、ICチップと電気的に接続された導体と、を有するICブロックと、を備え、光電変換素子が発光素子となっている。レンズブロックは、レンズの一方の面と第二封止部材とで形成された凹部を有し、凹部の底面の少なくとも一部はレンズの一方の面で形成され、凹部の側壁は第二封止部材で形成されており、凹部が第一封止部材から露出する光電変換チップを覆うように配置され、第二封止部材のうち凹部の側方に配置された側壁部の内壁は、底面に対して傾斜しており、光電変換チップに面する凹部の開口面における開口の面積が、レンズの一方の面を含む凹部の底面の面積よりも大きくなっている。また、導体は、光電変換ブロック側の面において露出しており、光電変換ブロックと電気的に接続されており、ICブロックは、ICチップの光電変換ブロックと反対側の面に形成された再配線層を有し、導体は、第三封止部材を光電変換ブロック側から光電変換ブロックと反対側の面に貫通して再配線層と電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、薄型でありつつ特性変動を抑制した光デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係る光デバイスの一構成例を示す概略図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る光デバイスに用いるレンズブロックの一構成例を示す概略図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る光デバイスに用いるレンズの一構成例を示す概略図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る光デバイスの製造工程を説明する工程断面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る光デバイスの製造工程を説明する工程断面図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る光デバイスに用いるレンズブロックの他の構成例を示す概略図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る光デバイスに用いるレンズブロックの他の構成例を示す概略図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る光デバイスに用いるレンズブロックの他の構成例を示す概略図である。
図9】本発明の第一実施形態に係る光デバイスに用いるレンズブロックの他の構成例を示す概略図である。
図10】本発明の第一実施形態に係る光デバイスに用いるレンズブロックの他の構成例を示す概略図である。
図11】本発明の第一実施形態に係る光デバイスに用いるレンズブロックの他の構成例を示す概略図である。
図12】本発明の第二実施形態に係る光デバイスの一構成例を示す概略図である。
図13】本発明の第三実施形態に係る光デバイスの一構成例を示す概略図である。
図14】本発明の第四実施形態に係る光デバイスの一構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
【0010】
1.第一実施形態以下、第一実施形態に係る光デバイスについて、図1~9を参照して説明する。第一実施形態に係る光デバイスは、例えば、赤外線等の光を検出することによって人の存在を検知する人感センサとして用いられる。
【0011】
(光デバイスの構成)
図1(A)~図1(D)は、第一実施形態に係るレンズブロック10及びセンサブロック50を備える光デバイス100の構成を説明するための図である。図1(A)は光デバイス100の一構成例を示す平面図、図1(B)は、図1(A)でIB-IB線で示す光デバイス100の一構成例を示す断面図である。また、図1(C)は、光デバイス100の一構成例を示す底面図であり、図1(D)は、図1(C)に示す底面から見たセンサブロック50の各部の配置及び構成を示す概略図である。
【0012】
図2は、図1(B)等に示す光デバイス100のレンズブロック10を説明するための図であり、図2(A)はレンズブロック10の一構成例を示す平面図、図2(B)は、図2(A)でIIB-IIBで示すレンズブロック10の一構成例を示す断面図である。本実施形態では、光デバイス100が図示しない回路基板と接続される面(外部接続端子が設けられる面)を底面とし、外部接続端子が形成される面とは反対側の光が入射する面(レンズブロック10側の面)を上面として説明する。
【0013】
図1(A)~図1(D)に示すように、光デバイス100は、レンズ20を有するレンズブロック10と、光電変換チップ60を有するセンサブロック50と、レンズブロック10及びセンサブロック50を接続する接続部材1とを備えている。光デバイス100は、光入射面となるセンサブロック50の一方の面(図1(B)中のセンサブロック50の上面)50a側に、レンズブロック10が配置されている。光デバイス100では、光がレンズブロック10中のレンズ20を介してセンサブロック50の光電変換チップ60に入射し、センサブロック50で光が検出される。
以下、レンズブロック10、センサブロック50及び接続部材1についてそれぞれ説明する。
【0014】
(レンズブロック)
図2に示すように、レンズブロック10は、レンズ20と、レンズ20の側面20cを覆う封止部30とを有している。封止部30は、レンズブロック10の凹部12の側方に配置された側壁部として機能する。また、レンズブロック10は、図1(A)に示すような、貫通した開口h1を有するフレーム材40を有している。レンズ20は、フレーム材40の開口h1内に配置された状態で側面が封止部30に覆われている。レンズブロック10では、レンズ20と封止部30とにより、凹部12が形成されている。
【0015】
(レンズ)
図3(A)~図3(C)を用いて、レンズ20について説明する。図3(A)は、レンズ20の一例であるフレネルレンズの平面図(レンズ面を示す図)、図3(B)は、図3(A)に示すフレネルレンズの断面を示す断面図である。また、図3(C)は、レンズ20の一例であるバイナリーレンズの断面を示す断面図である。レンズ20は、例えばシリコンやゲルマニウムで形成されたレンズであり、球面レンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ又はバイナリーレンズ等である。なかでも、レンズ20は、光デバイス100の薄型化のために、バイナリーレンズであることが好ましく、レンズが形成された反対の面は、平面であることが好ましい。
【0016】
レンズ20のレンズ面は、光の入射面となるレンズ20の一方の面(図2ではレンズ20の上面)20a側に形成される。レンズ20は、レンズ面の断面形状が、例えばブレーズド回折格子の鋸歯状断面形状である一般的なフレネルレンズ(図3(B))であっても良く、ブレーズド回折格子の鋸歯状断面形状が量子化された形状であるバイナリーレンズ(図3(C))であってもよい。バイナリーレンズにおける「ブレーズド回折格子の鋸歯状断面形状を量子化した形状」とは、ブレーズド回折格子の鋸歯状断面形状が、レンズ断面において複数のレベルに近似された階段形状をいい、例えば、鋸歯の斜面一つが複数段(例えば4段)の階段形状とされていることをいう。
【0017】
また、光の出射面となるレンズ20の他方の面(図2ではレンズ20の下面)20bは、平面となるように形成される。レンズ20の下面20bは、例えば、バックグラインド(BG)又はポリッシングによりレンズ20の厚みを調整しつつ平滑化される。
なお、レンズ20は、レンズ20の上面が平面であり、レンズ20の下面にレンズ面が形成された構成であってもよい。
【0018】
(封止部)
図2(B)に示すように、封止部30(第二封止部材の一例)は、レンズ20の側方から、センサブロック50方向に延びるように形成されている。封止部30は、樹脂材料で構成されており、光の入射面となるレンズ20の上面20a及び光の出射面となるレンズ20の下面20bが封止部30から露出するようにレンズ20の側面20cを覆っている。図2(B)に示す例では、封止部30がレンズ20の側面20cとともに下面20bの外縁部を覆っており、レンズ20の下面20bの中央部分に光の出射面が形成されている。レンズ20の上面20aの全面は、封止部30から露出している。このため、レンズ20の上面20aの全面が、光の入射面を構成している。
【0019】
封止部30は、上述したように、レンズブロック10の凹部12の側方に配置された側壁部として機能する。封止部30を構成する樹脂材料は、光の一例である赤外線を通さない材料であってよい。このため、封止部30により、レンズブロック10のレンズ20に入射する光の視野角を制限することができる。また、レンズブロック10のレンズ20以外の部分から凹部12内に赤外線が入射することを防止できる。更に、封止部30は、金型を用いて成型されているので、光電変換チップ60からレンズ20までの焦点距離を正確に形成できる。また、凹部12の側壁部として機能する封止部30の一部分を所定の高さで形成することができるため、レンズ20が光電変換チップ60に対して斜めに配置されることがない。このため、センサブロック50の光電変換チップ60における赤外線の測定精度を向上させることができる。さらに、封止部30の下面は、センサブロック50との接続面となる。センサブロック50との接続面が樹脂材料によって形成されていることにより、センサブロック50の上面50aに対して、接続部材1を介して配置しやすくなる。
【0020】
(凹部)
レンズブロック10では、レンズ20の光出射面となる下面20bと封止部30の内壁32とにより凹部12が形成されている。凹部12は、光デバイス100の焦点距離に対応する深さで形成される。なお、光デバイス100が人感センサとして用いられるレンズブロック10付きの赤外線センサである場合、凹部12の深さは例えば1mm以上とされる。凹部12の底面12aの少なくとも一部は、レンズ20の光出射面となる下面20bで形成され、凹部12の側壁12bは、封止部30の内側側面である内壁32で形成されている。本実施形態では、凹部12の底面12aの全面が、レンズ20の下面20bで形成されている場合の一例を示している。第一実施形態において、凹部12の底面12aは、レンズ20のうち赤外線等の光を透過させて実質的にレンズ20として機能する領域の形状を示している。レンズブロック10は、凹部12がセンサブロック50の封止部90から露出する光電変換チップ60を覆うように配置されている。レンズブロック10と、センサブロック50とは、接着剤等で構成された接続部材1により接続されている。
【0021】
凹部12の側壁12bは、凹部12の底面12a(レンズ20の下面20b)から開口面に向かって凹部12の径が徐々に大きくなるように、底面12aに対して傾斜している。すなわち、封止部30の内壁32は、凹部12の開口面の面積が凹部12の底面12aの面積よりも大きくなるように、底面12aに対して傾斜して形成されている。これにより、凹部12の側壁12bが底面12aに対して垂直な場合と比べて、レンズ20の下面20bから凹部12内に入射した赤外線が反射して、センサブロック50の光電変換チップ60に入射するのを防ぐことができる。
【0022】
(フレーム材)
フレーム材40は、レンズ20を配置するための開口h1を有する枠部材である。フレーム材40は、レンズ20を取り囲む環状部42と、環状部42からレンズブロック10の側面に向かって伸びる接続部44とを備えている。接続部44は、上面側の一部がハーフエッチングされており、環状部42と比較して厚みが薄く形成されている。環状部42は、レンズ20を取り囲む形状であればよく、環形状のフレームの一部が除去された形状であってもよい。
【0023】
フレーム材40は、レンズブロック10の上面10a及び側面10bにおいて、フレーム材40の一部が封止部30から露出している。すなわち、封止部30は、フレーム材40の環状部42の側壁面(内壁面及び外壁面)及び底面と、接続部44とを封止している。フレーム材40は、放射率が小さい部材であることが好ましく、例えば、放射率が0.3以下の部材であることが好ましい。放射率が小さい部材としては例えば、金属が挙げられ、具体的には、銅、銀、金、白金、ニッケル、パラジウムなどが挙げられる。
【0024】
フレーム材40が放射率の小さい部材である場合、センサブロック50が視野角内の赤外線量を精度よく定量することが可能になる。これは、フレーム材40の環状部42の主面(上面)が、レンズブロック10の光入射面となる上面10a側に向いて配置されているためである。これにより、測定対象物からレンズブロック10の外表面に向けて出力された赤外線が、放射率の小さいフレーム材40によって反射され、レンズブロック10に吸収されないため、レンズブロック10の温度変化(温度上昇)が抑制される。光電変換チップ60を構成する光電変換素子の一例である量子型赤外線センサ素子は、外部から入力される赤外線エネルギーと、量子型赤外線センサ素子自身が出力する赤外線エネルギーの差分に応じた信号を出力する。この外部から入力される赤外線エネルギーの発生源は、レンズブロック10の外側である外部視野と、レンズブロック10の凹部12の側壁12b(内部視野)となる。上述のとおり、フレーム材40を設けることにより、レンズブロック10の温度変化が抑制されるので、内部視野から量子型赤外線センサ素子に入力される赤外線量の変動が小さくなる。
【0025】
(センサブロック)
図1(B)に示すように、センサブロック50は、光電変換チップ60と、光電変換チップ60の周囲に配置された複数の外部接続端子70、光電変換チップ60と外部接続端子70とを電気的に接続する導体80、及び光電変換チップ60の受光面60aを露出させるように、光電変換チップ60の側面及び下面(光電変換素子62の半導体層が形成された面)を覆う封止部90とを備えている。図1(C)、図1(D)では、複数の外部接続端子70として、16個の外部接続端子70a~70pを示している。以下、図1(B)~図1(D)を参照して、センサブロック50について説明する。なお、図1(D)は、図1(C)に示すセンサブロック50を底面(図1(D)の下側)から見た場合のセンサブロック50の各部の構成を示す概略図であり、説明を容易にするために、封止部90がない状態のセンサブロック50の底面図を示している。
【0026】
(光電変換チップ)
光電変換チップ60は、例えば、光電変換素子62が1つ以上配置されたアレイセンサである。アレイセンサに対してレンズブロック10を配置することにより、より長距離の領域の赤外線を発する物体の検出ができ、さらに、アレイセンサの視野角に入った赤外線を発する物体の上下左右の動きを細かく検出することができる。本実施形態の光電変換チップ60は、図1(D)に示すように、16個の光電変換素子62が、縦4個×横4個で並べられて配置されている。また、光電変換チップ60は、16個の光電変換素子62の出力端子である複数の端子64を備えている。図1(D)は、封止部90を省略して示したセンサブロック50の底面図である。
【0027】
光電変換素子62は、赤外線等の特定波長の光を透過する半導体基板と、半導体基板の裏面側に形成された受光部と、を備えている。半導体基板としては、例えばGaAs基板が用いられる。また、GaAs基板の他に、例えば、Si、InAs、InP、GaP、Geなどの半導体基板、若しくは、GaN、AlN、サファイヤ基板、ガラス基板などの基板が用いられてもよい。光電変換素子62は、光透過性を有する半導体基板がセンサブロック50のレンズブロック10側でセンサブロック50から露出するように配置されている。これにより、光電変換チップ60に入射した赤外線等の特定波長の光は、光電変換素子62の半導体基板の上面(受光面60a)から裏面(不図示)に透過して、半導体基板裏面に形成された受光部で受光される。光電変換素子62は、入射した光(赤外光)に応じた信号を出力するものである。信号の取り出し方としては電流出力でもよいし、電圧出力であってもよい。
【0028】
光電変換素子62には、視野角内の温度の絶対量に応じた信号を出力するものと、視野角内の温度の変化量に応じた信号を出力するものが存在する。前者の例としては量子型赤外線センサ素子などが挙げられ、後者の例としては焦電型赤外線センサ素子などが挙げられる。視野角内の温度の絶対量に応じた信号を出力する赤外線受光素子の方が、視野角内の温度の変化量に応じた信号を出力する赤外線受光素子に比べて、より多くの情報を出力するため、視野角内の温度の絶対量に応じた信号を出力する赤外線受光素子が好適に用いられている。量子型赤外線センサ素子の具体的な構成としては、PNまたはPIN接合を有する半導体積層部を有するものが挙げられる。PNまたはPIN接合を有する半導体積層部の具体例としては、インジウムおよびアンチモンを含む化合物半導体層を用いるものなどが挙げられる。冷却機構なく室温動作可能なものとする観点から、半導体積層部の一部にバンドギャップの大きいバリア層を設けることが好ましい。バンドギャップの大きいバリア層の一例としては、AlInSbが挙げられる。
【0029】
上述したように、複数の光電変換素子は、それぞれ、第一導電型及び第二導電型(P型又はN型)の半導体層が積層された半導体積層部を備えている。このため、光電変換素子62は、入射した光に応じた信号を取り出すために、第一導電型及び第二導電型の端子を備えている。すなわち、一つの光電変換素子62に対して、二つの端子が必要となる。例えば、光電変換チップ60は、16個の光電変換素子62を有しており、16個の第一導電型の端子と16個の第二導電型の端子の合計32個の端子64が必要となる。一方、光電変換チップ60は、16個の光電変換素子62のそれぞれから信号を取り出すための端子の一部(例えば第二導電型の端子)を共通化させることにより、本来必要な端子よりも少ない数の端子64を備える構成にしてもよい。例えば、上述した16個の光電変換素子62と接続される16個の第二導電型の端子を1つの端子に共通化させることができる。この場合、第一導電型の端子16個及び第二導電型の端子1個の合計17個の端子64を設けることができる。図1(D)に示すように、本実施形態の光電変換チップ60は、信号強さが落ちるデメリットがあるが、更に端子数を減らすことを目的として、16個の光電変換素子62と接続される端子を共通化させて8個の端子64を備える例を示している。光電変換チップ60では、一方向に並ぶ4個の光電変換素子62の第一導電型の端子それぞれを共通化させて一端子とし、第二導電型の端子それぞれを共通化させて一端子としている。同様にして、4個の光電変換素子62の群毎に一つの第一導電型の端子と一つの第二導電型の端子を設ける。これにより、光電変換チップ60では、4個の光電変換素子62の群を4列備えていることから、第一導電型の端子及び第二導電型の端子を4個ずつ、合計8個の端子64が設けられている。すなわち、端子64のそれぞれは、複数の光電変換素子62の端子を兼用している。
端子は、金属製のワイヤ等で形成された導体80により、外部接続端子とそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
(外部接続端子)
外部接続端子70は、図示しない回路基板等との電気的接続を図るために、一部が封止部90から露出して配置されている。本実施形態では、図1(C)に示すように、外部接続端子70として16個の外部接続端子70a~70pが、矩形状のセンサブロック50の各辺に4個ずつ並べられて、光電変換チップ60を取り囲むように配置されている。外部接続端子70は、例えば銅(Cu)により形成されており、外面にニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)及び金(Au)のめっきを順に施した積層めっきやすず(Sn)めっきが施されていることが好ましい。
【0031】
図1(C)に示すように、外部接続端子70は、センサブロック50底面の外周近傍において封止部90から露出している。また、図1(D)に示すように、外部接続端子70は、センサブロック50の底面側の一部(光電変換チップ60に近い部分)がハーフエッチングされ、厚みが薄く形成されている。図1(D)中、外部接続端子70のハーフエッチング部を斜線で示す。導体80は、外部接続端子70のハーフエッチング部に接続されている。本実施形態のセンサブロック50では、8個の端子64と接続された8本の導体80が、8個の外部接続端子70(70c~70j)に接続された例を示している。すなわち、センサブロック50において実質的に外部接続用の端子として機能する端子は、外部接続端子70c~70jとなる。
【0032】
(封止部)
封止部90(第一封止部材の一例)は、光電変換チップ60を露出させるように光電変換チップ60の側面を覆っている。封止部90は、樹脂材料で構成されており、光電変換チップ60の受光面60aを露出させるように、光電変換チップ60の側面を覆っている。なお、封止部90は、半導体基板を介して受光部に赤外線等の光が入射できるように形成されていれば良く、光電変換チップ60のどの面を覆っているかは特に制限されない。例えば、封止部90は、光電変換チップ60の側面の一部を覆っていなくてもよい。
【0033】
封止部90としては、量産性、機械強度等の観点から、樹脂材料を用いることが好ましい。封止部90は、例えば一般的な半導体デバイスで使われるエポキシ樹脂等の樹脂材料で形成される。また、封止部90を構成する材料は、エポキシ樹脂等の樹脂材料の他にフィラーや不可避的に混在する不純物などを含んでいてもよい。フィラーとしては、シリカやアルミナ等が好適に用いられる。フィラーの混合量は、封止部90を構成する材料中、50体積%以上99体積%以下であることが好ましく、70体積%以上99体積%以下であることがより好ましく、85体積%以上99体積%以下であることがさらに好ましい。
【0034】
(接続部材)
接続部材1は、例えば熱硬化型樹脂等の樹脂材料で構成されており、センサブロック50とレンズブロック10とを接続する。接続部材1は、例えばセンサブロック50の光電変換チップ60が露出する領域の外側に設けられる。これにより、接続部材1は、レンズブロック10の凹部12が光電変換チップ60を覆うようにしてセンサブロック50とレンズブロック10とを接続することができる。
【0035】
図1(B)に示すように接続部材1は、センサブロック50の上面50a(レンズブロック10との対向面)の一部に、対向面の周方向の一部に設けられ、センサブロック50とレンズブロック10との間に空隙を形成した状態で、センサブロック50とレンズブロック10とが接続されていてもよい。光デバイス100が高温環境下に晒された場合、センサブロック50とレンズブロック10とで区画された凹部12内の空気が膨張する。センサブロック50とレンズブロック10との間に空隙が形成されることで、膨張した空気が凹部12から空隙を介して排出されるため好ましい。特に、接続部材1として熱硬化型樹脂を用いた場合には、接続部材1の硬化時にセンサブロック50とレンズブロック10とが非常に高温な環境下に晒されるため、センサブロック50とレンズブロック10との間に空隙が形成されることがより好ましい。
【0036】
(光デバイスの製造方法)
以下、本実施形態に係る光デバイス100の製造方法を図4(A)から図4(F)及び図5(A)から図5(F)の工程断面図を用いて説明する。図4(A)から図4(F)は、レンズブロック10の形成工程を示している。また、図5(A)から図5(F)は、センサブロック50の形成する工程を示している。図4(A)から図4(F)、図5(A)から図5(F)では、図1(B)に示した断面に沿って、各工程を説明する。
【0037】
(レンズブロックの製造方法)
図4(A)に示すように、まず始めに、耐熱性の粘着シート110を用意し、この粘着シート110の粘着層にリードフレーム140の表面140aを貼り付ける。リードフレーム140は、後に切断されて複数のフレーム材40となる。図4(B)に示すように、リードフレーム140の開口h1内にレンズ20を配置して、光入射面となるレンズ20の上面20aを粘着シート110の粘着層に貼り付ける。
【0038】
次に、図4(C)に示すように、リードフレーム140の表面140a側に下金型120を配置すると共に、リードフレーム140の裏面140b側に上金型130を配置する。そして、下金型120と上金型130とによりレンズ20を挟み込み、下金型120と上金型130とに挟まれた空間にサイドから溶融したエポキシ樹脂等の樹脂材料を注入し、充填後、硬化する。これにより、封止部30を形成する。図4(C)に示すように、例えば上金型130の下側の面は断面視で凹凸形状となっており、凸部130aがフッ素樹脂等で構成された樹脂シート150を介してレンズ20と対向している。この凸部130aによって、図4(D)に示すように、レンズブロック10に凹部12が形成される。
【0039】
図4(D)に示すように、レンズ20及びリードフレーム140を封止した封止部30を、下金型120及び上金型130間から取り出す。リードフレーム140の表面140a側から粘着シート110を除去する。粘着シート110の除去後、必要に応じてポストキュアを施す。
【0040】
図4(E)に示すように、封止部30の裏面側にダイシングテープ160を貼り付け、ダイシング装置によりダイシングして個片化する。以上により、図4(F)に示すように、封止部30及びリードフレーム140が個々のセンサブロックに切り離されて、図2(A)~図2(C)に示すレンズブロック10が完成する。
【0041】
(センサブロックの製造方法)
図5(A)に示すように、まず始めに、耐熱性の粘着シート180を用意する。次に、この粘着シート180の粘着層に、Ni、Pd及びAuを順に外装めっきした銅製のリードフレーム170の表面170aを貼り付ける。なお、粘着シート180としては、粘着シート110と同様のテープを用いることができる。
【0042】
次に、図5(B)に示すように、リードフレーム170が有する貫通した開口h2内に複数の光電変換素子62がマトリクス状に配置された光電変換チップ60を配置する。このとき、光電変換チップ60の受光面60aを粘着シート180の粘着層に貼り付ける。次に、図5(C)に示すように、光電変換チップ60とリードフレーム170との間をそれぞれ導体80を用いて接続する。
【0043】
次に、図5(D)に示すように、リードフレーム170の表面170a側に下金型190を配置すると共に、リードフレーム170の裏面170b側に上金型200を配置する。そして、下金型190と上金型200とによりリードフレーム170を挟み込み、下金型190と上金型200とに挟まれた空間内にサイドから溶融したエポキシ樹脂等を注入し、充填する。これにより、封止部90を形成する。なお、封止部90の材料としては、レンズブロック10の封止部30と同様の材料を用いることができる。
【0044】
次に、下金型190及び上金型200をそれぞれ移動させて、図5(E)に示すように、封止部90が形成されたリードフレーム170を両金型間から取り出す。そして、リードフレーム170の表面170a側から粘着シート180を除去する。粘着シート180の除去後、封止部90をより硬化させるためのポストキュアを施す。その後、封止部90及びリードフレーム170を図示しないダイシングテープに貼り付け、ダイシング装置によりダイシングして個片化する。以上により、図5(F)に示すように、封止部90及びリードフレーム170が個々のセンサブロックに切り離されて、図1(B)等に示したセンサブロック50が完成する。
【0045】
(レンズブロック及びセンサブロックの接続方法)
レンズブロック10とセンサブロック50とは以下のようにして接続される。まず、センサブロック50の上面50aに、例えば接着剤である熱硬化型樹脂を塗布する。接着剤を塗布する領域は光電変換チップ60以外の領域であればよく、例えばセンサブロック50の光電変換チップ60が露出する領域の外側に設けられる。接着剤が塗布されたセンサブロック50の上面50aに、レンズブロック10の裏面側(凹部50形成側)を接触させる。このあと、例えば熱処理を施して接着剤を硬化させる。
以上により、レンズブロック10とセンサブロック50とを接続して、図1(A)~図1(D)に示す光デバイス100が完成する。
【0046】
(第一実施形態の効果)
(1)本実施形態の光デバイス100では、レンズブロック10を、一方の面がレンズ面として加工された板状のレンズ20と、レンズ20の側面20cを覆う樹脂製の封止部30とで構成している。このため、レンズ20の形成が容易である。このため、光電変換チップ60と一定の焦点距離(例えば1mm以上)の深さを有する凹部12の形成が容易に精度良くできる。また、凹部12形成時に、シリコン等を切削加工する必要がなく、材料を有効に利用することができる。
【0047】
(2)本実施形態の光デバイス100では、樹脂成形により成型された封止部30によって、レンズブロック10の凹部12の側壁12bを構成することができる。封止部30を金型を用いて成型することにより、光電変換チップ60からレンズ20までの焦点距離を正確に形成することができる。また、凹部12の側壁部として機能する封止部30の一部分を所定の高さで形成することができるため、レンズ20が光電変換チップ60に対して斜めに配置されることがない。
【0048】
(3)本実施形態の光デバイス100では、放射率の小さい材料からなるフレーム材40を備えていても良い。この場合、測定対象物からレンズブロック10の外表面に向けて出力された赤外線が、放射率の小さいフレーム材40によって反射され、レンズブロック10の温度変化(温度上昇)が抑制される。このため、センサブロック50がレンズブロック10の温度変化に伴う赤外線量の変動を検出することを防止し、視野角内の赤外線量を精度よく定量することが可能になる。
【0049】
(変形例)
(1)本実施形態では、レンズブロック10の凹部12の底面12aの形状が円形状、すなわち凹部12の形状が円錐台形状である場合について説明したが、凹部12の形状はこれに限られない。例えば、レンズブロック10の凹部12の底面の形状が四角錐台形状であり、凹部12の形状が四角錐台形状となっていても良い。凹部12の形状を四角錐台形状に形成する場合には、封止部30を形成する際に、光出射面となるレンズ20の下面20bに樹脂材料が滲んだり、図4(C)に示す樹脂シート150が上金型130の凸部130aの角部で破れやすくなる場合がある。このため、凹部12の形状を四角錐台形状に形成する場合には、封止部30を、内壁32の斜面の広がりが大きい形状、例えば、凹部12の底面12aと側壁12bとのなす角度が120°以上等に形成することがより好ましい。
【0050】
(2)本実施形態では、レンズブロック10の凹部12の底面12aの形状が円形状であり、底面12aの全面がレンズ20の下面20bで形成される場合について説明したが、レンズブロック10の構成はこれに限られない。例えば、図6(A)~図6(C)に示すように、レンズブロック210の凹部212の底面212aよりも外形が小さい矩形状のレンズ220を用い、円形状の底面212aの一部が矩形状のレンズ220で形成され、円形状の底面212aの残りの部分が封止部230で形成されていてもよい。なお、図6(A)はレンズブロック210の平面図であり、図6(B)は図6(A)のVIB断面を示す断面図であり、図6(C)は、レンズブロック210の底面図である。この場合、矩形状のレンズ220は、平面視において底面212aの外周と所定の距離を置いて配置されていることが好ましい。凹部212の底面212aの外周とレンズ220の角部とが接している場合、封止部230の形成時に溶融した樹脂がレンズ220の下面220bに滲みやすくなる。レンズ220を、底面212aの外周と所定の距離を置いて配置することで、上述した樹脂滲みを抑制し、赤外光等の光の出射面の面積が小さくなり受光効率が低下する事を防止することができる。
【0051】
(3)図6(A)~図6(C)に示すレンズブロック210では、凹部212の底面212aの形状が円形状であったが、図7に示すように、レンズブロック310の凹部312の底面312aの形状が矩形状であっても良い。この場合、矩形状の底面312aの一部が矩形状のレンズ320で形成され、底面312aの残りの部分が封止部330で形成される。矩形状のレンズ320は、図6に示すレンズブロック210と同様に、平面視において底面312aの外周と所定の距離を置いて配置されていることが好ましい。なお、図7は、レンズブロック310の底面図である。
【0052】
(4)図6(A)~図6(C)に示すレンズブロック210では、凹部212の底面212a側において、レンズ220と封止部230とが同一平面上に(すなわちレンズ220の表面と封止部230の表面とが面一で)形成されていたが、このような構成に限られない。例えば、図8に示すレンズブロック410のように、凹部412の底面412aの一部がレンズ420で形成され、底面412aの残りの部分が封止部430で形成されており、かつ封止部430は、レンズ420の下面420bの周囲に溝部432を有していても良い。なお、図8は、レンズブロック410の断面図である。さらに、図9に示すレンズブロック410のように、凹部412の底面412aの一部がレンズ420で形成され、底面412aの残りの部分が封止部430で形成されており、底面412aの残りの部分の封止部430全体が溝部432となっていてもよい。この様な構成にすることで、さらに樹脂滲みを抑制し、レンズ420側面からの光の透過を防ぎ、レンズ420側面を封止部430でより強固に保持することが可能となる。なお、図9は、レンズブロック410の他の構成例を示す断面図である。図9では、図8と共通の部分には同一の符号を用いて説明している。
【0053】
封止部430を形成する際に、例えば図4(C)に示すような樹脂シート150が上金型130の凸部130aでレンズ420に押し当てられた場合、レンズ420の近傍(レンズ420の周囲の底面12aや、底面12aから側壁12bの半分以下の高さの側壁12bの領域)の樹脂シート150が変形する場合がある。具体的には、凸部130aが、平面視で凸部130aよりも外形の小さいレンズ420に押し当てられた場合、樹脂シート150のうち、凸部130aとレンズ420とに挟まれた部分は大きく圧縮される。また、樹脂シート150のうち、レンズ420の外周部分は、レンズ420による樹脂シート150への押圧がないため、凸部130aとレンズ420とに挟まれた部分と比較して下金型120方向に厚みを持った形状となる。このため、その状態で樹脂成形を行うことにより、封止部430は、レンズ420の下面420bの周囲に、樹脂シート150の形状に沿った溝部432が形成される。このようなレンズブロック410では、レンズ420と上金型130との密着度が高く、また、レンズ420の周囲で樹脂シート150が厚くなるため、レンズ420と上金型130との間に溶融樹脂が滲みにくくなる。このため、レンズ420の下面420bが樹脂で覆われず、レンズ420に入射した光の出射が遮られることを抑制することができる。
【0054】
(5)本実施形態では、図2(B)に示すように、レンズブロック10の凹部12の底面12aの全面がレンズ20で形成されている。また、凹部12の側壁12bは、凹部12の底面12a(レンズ20の下面20b)から開口面に向かって凹部12の径が徐々に大きくなるように、底面12aに対して傾斜している。すなわち、図2(B)に示すように、封止部30の内壁32の壁面は、断面視において、直線形状を有している。しかしながら、封止部30の内壁32の形状はこのような形状に限られない。
例えば図10(A)に示すように、レンズブロック510の封止部530の内壁532は、レンズ520の近傍で、凹部512に対して断面視で曲線状に突出する突出部532aを有していても良い。また、図11(A)に示すように、内壁532は、レンズ520の近傍で、凹部512に対して断面視で曲線状に窪んだ凹部532bを有していてもよい。ここで、「断面視で曲線状」とは、内壁532のレンズ520近傍からセンサブロック50側端部にかけて内壁532が曲面となっていることをいう。突出部532a又は凹部532bは、後述するように、封止部530形成時の樹脂シート150の変形に応じた形状に形成される。また、封止部530のセンサブロック50と対向する面534と内壁532とが、曲面536によって連続的に形成されていてもよい。ここで、図10(A)は、内壁532のレンズ520の近傍において突出部532aを備えるレンズブロック510を示す。また、図11(A)は、内壁532のレンズ520の近傍において凹部532bを備えるレンズブロック510を示す。
【0055】
図10(B)は、封止部530を形成する際の工程を示す。図10(B)に示すように、樹脂シート150が上金型130の凸部130aでレンズ520に押し当てられ、レンズ520近傍の樹脂シート150が変形する場合がある。具体的には、図10(B)に示すように、凸部130aが、平面視で凸部130aよりも外形の大きいレンズ520に押し当てられた場合、樹脂シート150のうち、凸部130aとレンズ520とに挟まれた部分は大きく圧縮される。また、凸部130aの外周部分では、樹脂シート150がレンズ520に沿うように変形する。このため、その状態で樹脂成形を行うことにより、封止部530は、内壁532のレンズ520の近傍に、凹部512に対して断面視で曲線状に突出する突出部532aを有する形状に形成される。
【0056】
また、封止部530を形成する際に、例えば図11(B)に示すように、樹脂シート150が上金型130の凸部130aの根本部分において、曲率を持った形状で上金型130に沿う場合がある。このため、樹脂シート150を用いて封止部530を形成した場合には、図11(B)に示すように、内壁532の凸部130aの根本部分に対向する部分は、樹脂シート150の形状に沿った曲線状に形成される。このようなレンズブロック510では、製造過程においてレンズ520と上金型130との密着度が高いと、レンズ520と上金型130との間に溶融樹脂が滲みにくくなる。レンズ520と上金型130との密着度を高めると、レンズブロック510には曲線状の変形である凹部532bが生じる。このため、凹部532bを備えるレンズブロック510は、レンズ520の下面520bが溶融樹脂で覆われておらず、レンズ520に入射した光の出射が遮られることを抑制することができる。
【0057】
(6)本実施形態では、赤外光等の光を受光する赤外線センサとしての光デバイスについて説明したが、光デバイスはこのような構成に限られない。例えば、光デバイスは、光電変換チップが赤外光等の光を発光する発光素子を有しており、光電変換ブロックの発光素子を覆うようにレンズブロックが接続された赤外線発光デバイスであっても良い。
【0058】
2.第二実施形態以下、本発明の第二実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1図5を参照しつつ、図12(A)~図12(D)を用いて、第二実施形態に係る光デバイス600の構成を説明する。図12(A)は、光デバイス600の一構成例を示す平面図、図12(B)は、図12(A)でXB-XB線で示す光デバイス600の一構成例を示す断面図である。また、図12(C)は、光デバイス600の一構成例を示す底面図であり、図12(D)は、底面から見たセンサブロック650の各部の配置及び構成を示す概略図である。
【0059】
(光デバイスの構成)
光デバイス600は、図12(A)~図12(D)に示すように、レンズブロック10と、センサブロック650と、センサブロック650と電気的に接続されたICブロック610とを備える。光デバイス600は、レンズブロック10と、センサブロック650と、ICブロック610とが積層されて配置されている。レンズブロック10とセンサブロック650とは、例えば熱硬化型樹脂等からなる接続部材1により接続される。また、センサブロック650とICブロック610とは、導電ペースト2により接続される。センサブロック650とICブロック610とは、電気的にも接続される。光デバイス600では、センサブロック650が光電変換チップ60に入射した光(赤外光)に応じた信号を出力し、ICブロック610においてセンサブロック650から出力された信号を信号処理する。ICブロック610で処理された信号は、ICブロック610と接続された図示しない回路基板に対して出力される。
以下、光デバイス600を構成する各部について説明する。
【0060】
(レンズブロック)
レンズブロック10は、第一実施形態に係る光デバイス100のレンズブロック10と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0061】
(センサブロック)
センサブロック650は、光電変換チップ60と、光電変換チップ60の周囲に配置された複数の接続端子670、光電変換チップ60と接続端子670とを電気的に接続する導体80、及び光電変換チップ60の受光面60aを露出させるように、光電変換チップ60の側面及び底面を覆う封止部90とを備えている。センサブロック650は、外部接続端子70に代えてICブロック610と接続可能な形状を有する接続端子670を有している以外は、一実施形態に係る光デバイス100のセンサブロック50と同様の構成である。このため、接続端子670以外の各部については説明を省略する。
【0062】
接続端子670は、ICブロック610との電気的接続を図るために、センサブロック650の少なくともICブロック610側の面において封止部90から露出して配置されている。本実施形態では、図12(D)に示すように、接続端子670として16個の接続端子670a~670pが、矩形状のセンサブロック650の各辺に4個ずつ並べられて、光電変換チップ60を取り囲むように配置されている。図12(D)は、封止部90を省略して示したセンサブロック650の底面図である。接続端子670は、例えば銅(Cu)により形成されており、外面にニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)及び金(Au)のめっきを順に施した積層めっきやスズ(Sn)めっきが施されていることが好ましい。
【0063】
図12(D)に示すように、接続端子670は、センサブロック650底面の外周近傍において封止部90から露出している。また、接続端子670は、センサブロック650の底面側の一部がハーフエッチングされ、厚みが薄く形成されている。図12(D)中、接続端子670のハーフエッチング部を斜線で示す。導体80は、外部接続端子670のハーフエッチング部のうち光電変換チップ60に近い部分に接続されている。本実施形態のセンサブロック650では、光電変換チップ60の8個の端子64と接続された8本の導体80が、8個の外部接続端子670(670c~670j)に接続された例を示している。すなわち、センサブロック650において実質的に外部接続用の端子として機能する端子は、外部接続端子670c~670jとなる。なお、図12(D)では、接続端子670の光電変換チップ60に近い部分及びセンサブロック650の側面に近い部分にハーフエッチング部が形成されているが、ハーフエッチング部の形成領域はこれに限られない。センサブロック650から露出する接続端子670の非エッチング部は、ICブロックの接続ビア640と対向する位置に形成されていればよい。
【0064】
(ICブロック)
ICブロック610は、チップ状の信号処理IC620と、信号処理IC620と電気的に接続された再配線層630と、センサブロック650と信号処理IC620とを電気的に接続する接続ビア640とを備えている。また、ICブロック610は、信号処理IC620、再配線層630の一方の面及び接続ビア640の側面を封止する封止部660と、再配線層630と電気的に接続された外部接続端子680とを備えている。
【0065】
(信号処理IC)
信号処理IC620は、上面及び側面が封止部660で覆われており、底面が再配線層630と接している。信号処理IC620は、再配線層630及び接続ビア640を介してセンサブロック650と電気的に接続されており、センサブロック650の光電変換チップ60からの電流又は電圧等の信号を検出する検出回路や、当該信号を処理する信号処理回路等の回路を含む。また、信号処理IC620は、再配線層630と電気的に接続されており、処理された信号を再配線層630、外部接続端子680を介して図示しない回路基板に出力する。
【0066】
(再配線層)
再配線層630は、信号処理IC620及び封止部660の下側の面に形成されている。再配線層630は、一層又は複数層の絶縁層と、信号処理IC620と電気的に接続され、絶縁層上又は複数層の絶縁層間に設けられた再配線と、再配線と電気的に接続され外部接続端子680を設けるためのパッド(図示せず)とを備えている。再配線層630は、一般的な工程で形成され、再配線により、接続ビア640と信号処理IC620、及び信号処理IC620と外部接続端子680が接続されていればどのような構成でもよい。
【0067】
絶縁層は、反りが小さく、再配線との接合性に優れ、耐熱性の高い材料により形成され、具体的にはポリイミド等の樹脂材料により形成される。再配線は、例えば下地層及び導体層を有している。下地層は、例えば無電解めっき又はスパッタリングにより形成される。下地層は、例えば銅(Cu)により形成される。導体層は、下地層を電極として電気めっきにより形成する。導体層は、例えば銅(Cu)により形成される。
パッドは、外部接続端子680を再配線と接続するために設けられ、例えばNi層とAu層との積層膜により形成されている。
【0068】
(封止部)
封止部660は、樹脂材料で構成されており、信号処理IC620の上面及び側面を覆っている。また、封止部660が信号処理IC620の上面及び側面を覆うことにより、信号処理IC620の下面が再配線層630に対して露出する。また、信号処理IC620の上面側の樹脂を研磨によって削り、信号処理IC620の上面を露出させてもよい。信号処理IC620の上面を露出させることで、信号処理IC620が封止部660の樹脂材料の応力の影響を受けにくい構造にすることができる。
封止部660は、封止部90と同様の材料により形成される。
【0069】
(接続ビア)
図12(B)に示すように、接続ビア640は、封止部660を貫通する貫通孔662内に、例えば銅(Cu)等の導体を埋め込んで形成されたスルーモールドビア(TMV:Through Mold Via)である。接続ビア640は、センサブロック650の接続端子670の非エッチング部と対向する位置に形成される。接続ビア640は、下面に再配線層630を形成後の封止部660に、封止部660の上面から再配線層630と対向する封止部660の下面まで貫通する貫通孔662を設け、貫通孔662内に電気めっき等により銅(Cu)充填層を形成することにより形成される。
【0070】
(外部接続端子)
外部接続端子680は、再配線層630のパッドと接しており、信号処理IC620と電気的に接続されている。外部接続端子680は、例えば、はんだボールである。光デバイス600を図示しない回路基板に実装する際には、外部接続端子680のそれぞれが回路基板の所定位置に接するように配置する。このあと、リフローにより外部接続端子680を加熱後冷却することにより、光デバイス600と回路基板とをはんだ付けする。
【0071】
(第二実施形態の効果)
第二実施形態に係る光デバイス600では、第一実施形態における効果(1)(2)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態の光デバイス600では、レンズブロック10、センサブロック650及びICブロック610が積層されている。このため、検出回路や、信号処理回路等の回路を備えるICブロック610を有していながら小型な光デバイス600を得ることができる。
【0072】
3.第三実施形態以下、本発明の第三実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1図5図12(A)~図12(D)を参照しつつ、図13(A)~図13(D)を用いて、第三実施形態に係る光デバイス700の構成を説明する。図13(A)は、光デバイス700の一構成例を示す平面図、図13(B)は、図13(A)でXIB-XIB線で示す光デバイス700の一構成例を示す断面図である。また、図13(C)は、光デバイス700の一構成例を示す底面図であり、図13(D)は、底面から見たセンサブロック750の各部の配置及び構成を示す概略図であり、再配線層730の再配線731と、再配線層730を透過した状態のセンサブロック750の底面を示している。
【0073】
(光デバイスの構成)
光デバイス700は、図13(A)~図13(D)に示すように、レンズブロック10と、光電変換チップ60及び信号処理IC620を有するセンサブロック750とを備える。光デバイス700は、レンズブロック10と、センサブロック750とが積層されて配置されている。レンズブロック10とセンサブロック750とは、例えば熱硬化型樹脂等からなる接続部材1により接続される。光デバイス700では、センサブロック750の光電変換チップ60に入射した光(赤外光)に応じた信号を信号処理IC620に出力し、信号処理IC620において光電変換チップ60から出力された信号を信号処理する。信号処理IC620で処理された信号は、信号処理IC620と電気的に接続された図示しない回路基板に対して出力される。すなわち、光デバイス700は、第一実施形態のセンサブロック50に代えてセンサブロック750を備える点で相違する。このため、センサブロック750以外の構成については説明を省略する。
【0074】
(センサブロック)
センサブロック750は、光電変換チップ60と、信号処理IC620と、信号処理IC620と電気的に接続された再配線層730とを備えている。また、センサブロック750は、光電変換チップ60、信号処理IC620及び再配線層730の一方の面を封止する封止部760と、信号処理IC620と電気的に接続された外部接続端子680とを備えている。すなわち、センサブロック750は、第二実施形態のICブロック610が、さらに光電変換チップ60を備え、且つ接続ビア640を除去した構成である。
【0075】
(光電変換チップ)
光電変換チップ60は、第一実施形態に係る光デバイス100のセンサブロック50が有する光電変換チップ60と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0076】
(信号処理IC)
信号処理IC620は、第二実施形態の光デバイス600のICブロック610が有する信号処理IC620と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0077】
(再配線層)
再配線層730は、第二実施形態の光デバイス600のICブロック610が有する再配線層630とほぼ同様の構成である。図13(D)に示すように、再配線層730は、再配線731が、接続ビア640と信号処理IC620とを電気的に接続する代わりに光電変換チップ60と信号処理IC620とを電気的に接続する点で再配線層630と相違する。
【0078】
(封止部)
封止部760は、樹脂材料で構成されており、光電変換チップ60の側面、並びに信号処理IC620の上面及び側面を覆っている。また、封止部760が光電変換チップ60の側面を覆うことにより、光電変換チップ60の下面が再配線層730に対して露出する。また、封止部760は、光電変換チップ60と同様に、信号処理IC620の上面を露出させてもよい。信号処理IC620の上面を露出させることで、信号処理IC620が封止部760の樹脂材料の応力の影響を受けにくい構造にすることができる。
封止部760は、封止部90と同様の材料により形成される。
【0079】
(第三実施形態の効果)
第三実施形態に係る光デバイス700では、第一実施形態における効果(1)(2)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態の光デバイス700では、レンズブロック10と、光電変換チップ60及び信号処理IC620を有するセンサブロック750とが積層されている。このため、検出回路や、信号処理回路等の回路を備える信号処理IC620を有していながら薄型な光デバイス700を得ることができる。
【0080】
4.第四実施形態以下、本発明の第四実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1図5図12図12(D)、図13(A)~図13(D)を参照しつつ、図14(A)及び図14(B)を用いて、第四実施形態に係る光デバイス800の構成を説明する。図14(A)は、光デバイス800の一構成例を示す平面図、図14(B)は、図14(A)でXIIB-XIIB線で示す光デバイス800の一構成例を示す断面図である。また、図14(C)は、光デバイス800の一構成例を示す底面図であり、図14(D)は、図14(A)でXIID-XIID線で示す光デバイス800の一構成例を示す断面図である。
【0081】
(光デバイスの構成)
光デバイス800は、図14(A)~図14(D)に示すように、レンズブロック10と、光電変換チップ860及び信号処理IC620を有するセンサブロック850とを備える。光デバイス800は、レンズブロック10と、センサブロック850とが積層されて配置されている。レンズブロック10とセンサブロック850とは、例えば熱硬化型樹脂等からなる接続部材1により接続される。光デバイス800では、センサブロック850の光電変換チップ860に入射した光(赤外光)に応じた信号を信号処理IC620に出力し、信号処理IC620において光電変換チップ860から出力された信号を信号処理する。信号処理IC620で処理された信号は、信号処理IC620と電気的に接続された図示しない回路基板に対して出力される。すなわち、光デバイス800は、第一実施形態のセンサブロック50に代えてセンサブロック850を備える点で相違する。このため、センサブロック850以外の構成については説明を省略する。
【0082】
(センサブロック)
センサブロック850は、光電変換チップ860と、光電変換チップ860と電気的に
接続され、リードフレーム830上に配置された信号処理IC620とを備える。また、センサブロック850は、光電変換チップ860、信号処理IC620及びリードフレーム830の一部を封止する封止部890を備えている。すなわち、センサブロック850は、第一実施形態のセンサブロック50が、さらに信号処理IC620を備え、外部接続端子70の代わりに、外部接続端子を含むリードフレーム830を備えた構成である。
【0083】
(光電変換チップ)
光電変換チップ860は、例えば複数の赤外線受光素子である光電変換素子862が平面視で、1素子又は、マトリクス状に配列されたアレイセンサである。本実施形態の光電変換チップ860は、図14(C)に示すように、9個の光電変換素子862が、縦3個×横3個で並べられて配置された例を示している。また、光電変換チップ860は、光電変換素子862の出力端子である複数の端子864を備えている。図14(c)に示すように、本実施形態の光電変換チップ860は、6個の端子864を備えている。端子864は、導体80により信号処理IC620と電気的に接続されている。
【0084】
(信号処理IC)
信号処理IC620は、光電変換チップ860と導体80により接続されている以外は第二実施形態の光デバイス600のICブロック610が有する信号処理IC620と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0085】
(リードフレーム)
リードフレーム830は、例えば銅(Cu)により形成されており、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)及び金(Au)のめっきを順に施した積層めっきを形成することにより形成されている。図14(C)に示すように、リードフレーム830は、貫通した開口h3及びダイパッド832を有している。ダイパッド832は、フォトリソグラフィ技術により、その一部がダイパッド832の下面832b側からハーフエッチングされて形成されている。ダイパッド832の下面832bには、信号処理IC620が取り付けられる。リードフレーム830の開口h3内には、光電変換チップ860が配置されている。また、リードフレーム830は、複数の外部接続端子834を備えている。本実施形態では、ダイパッド832と離間して設けられた8つの外部接続端子834(834a~834h)を備えた例を示している。
【0086】
リードフレーム830の外部接続端子834は、ハーフエッチング部と非エッチング部とを備えている。ハーフエッチング部は、外部接続端子834の下面834iからハーフエッチングされて形成されており、信号処理IC620と接続された導体80が接続されている。外部接続端子834の非エッチング部は、センサブロック850の下面850bから露出しており、図示しない回路基板と接続される。また、図14(D)に示すように、リードフレーム830は、外部接続端子834以外の部分においても、センサブロック850の下面850bから露出する非エッチング部836を有している。非エッチング部836は、信号処理IC620を載置するダイパッド832と繋がって、形成されている。非エッチング部836は、表面実装により、はんだによって図示しない回路基板と接続されることにより、信号処理IC620で発生した熱を回路基板に放熱する機能を有する。
【0087】
(第四実施形態の効果)
第四実施形態に係る光デバイス800では、第一実施形態における効果(1)(2)に加えて、以下の効果を有する。
(1)本実施形態の光デバイス800では、レンズブロック10と、光電変換チップ60及び信号処理IC620を有するセンサブロック850とが積層されている。このため、検出回路や、信号処理回路等の回路を備える信号処理IC620を有していながら薄型な光デバイス800を得ることができる。
(2)また、本実施形態の光デバイス800では、信号処理IC620が銅(Cu)等で形成されたリードフレーム830上に配置されている。このため、リードフレーム830を介して信号処理IC620で発生した熱を放熱することができる。
【0088】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0089】
1 接続部材
2 導電ペースト
10,210,310,410,510 レンズブロック
12,212,312,512 凹部
20,220,320,420,520 レンズ
30,90,230,330,430,530,660,760,890 封止部
32 内壁
40 フレーム材
42 環状部
44 接続部
50,650,750,850 センサブロック
60,860 光電変換チップ
60a 受光面
62,862 光電変換素子
64,864 端子
70,70a~70p,270,680,834,834a~834h 外部接続端子
80 導体
100,600,700,800 光デバイス
332,432 溝部
610 ICブロック
630,730 再配線層
640 接続ビア
662 貫通孔
670,670a~670p 接続端子
830 リードフレーム
832 ダイパッド
836 非エッチング部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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