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特許7416866角度付きエッチングツール内での基板回転によるエッチング角度の制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】角度付きエッチングツール内での基板回転によるエッチング角度の制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20240110BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20240110BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L21/302 201B
H01J37/305 A
G02B5/18
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022105857
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2020565785の分割
【原出願日】2019-04-17
(65)【公開番号】P2022153387
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】15/993,135
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ティマーマン タイセン, ラトガー
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, モーガン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ シー.
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-516225(JP,A)
【文献】特開平08-015510(JP,A)
【文献】特開2003-185819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01J 37/305
G02B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に配置された1以上の第1の格子の第1の部分であって、前記第1の部分の各第1の格子が、第1の格子ベクトル及び第1の傾斜角を有する、第1の部分と、
前記基板の上に配置された1以上の第2の格子の第2の部分であって、前記第2の部分の各第2の格子が、前記第1の格子ベクトルと異なる第2の格子ベクトル、及び前記第1の傾斜角θ'1と異なる第2の傾斜角を有する、第2の部分と、
を備え
前記第1の格子ベクトルが、前記第1の傾斜角によって定義される前記基板の原点に対するそれぞれの第1の格子の第1の向きであり、
前記第2の格子ベクトルが、前記第2の傾斜角によって定義される前記基板の前記原点に対する前記第2の格子の第2の向きである、
光学デバイス。
【請求項2】
前記第1の傾斜角及び前記第2の傾斜角は、25°と75°の間である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
各第1の格子及び各第2の格子が、酸炭化ケイ素(SiOC)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化バナジウム(IV)(VOx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化チタン(TiN)、及び二酸化ジルコニウム(ZrO2)のうちの1以上の格子材料で構成される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
各第1の格子及び各第2の格子の前記格子材料は、1.5と2.65の間の屈折率を有する、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
不透明なハードマスクが各第1の格子及び各第2の格子の上に配置される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項6】
透明なエッチング停止層が、前記基板と各第1の格子及び各第2の格子の間に配置される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項7】
基板の上に配置された1以上の第1の格子の第1の部分であって、前記第1の部分のそれぞれの第1の格子が、第1の傾斜角、及び前記第1の傾斜角θ'1によって定義される前記基板の原点に対するそれぞれの第1の格子の第1の向きである第1の格子ベクトルを有する、第1の部分と、
前記基板の上に配置された1以上の第2の格子の第2の部分であって、前記第2の部分のそれぞれの第2の格子が、前記第1の傾斜角と異なる第2の傾斜角、及び前記第1の格子ベクトルと異なり且つ前記第2の傾斜角によって定義される前記基板の前記原点に対する前記第2の格子の第2の向きである第2の格子ベクトル、を有する、第2の部分と、
を備える光学デバイス。
【請求項8】
前記第1の傾斜角及び前記第2の傾斜角は、25°と75°の間である、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
各第1の格子及び各第2の格子が、酸炭化ケイ素(SiOC)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化バナジウム(IV)(VOx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化チタン(TiN)、及び二酸化ジルコニウム(ZrO2)のうちの1以上の格子材料で構成される、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
各第1の格子及び各第2の格子の前記格子材料は、1.5と2.65の間の屈折率を有する、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
不透明なハードマスクが各第1の格子及び各第2の格子の上に配置される、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
透明なエッチング停止層が、前記基板と各第1の格子及び各第2の格子の間に配置される、請求項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
基板の上に配置された1以上の第1の格子の第1の部分であって、前記第1の部分の各第1の格子が、第1の格子ベクトル及び第1の傾斜角θ'1を有する、第1の部分と、
前記基板の上に配置された1以上の第2の格子の第2の部分であって、前記第2の部分の各第2の格子が、前記第1の格子ベクトルと異なる第2の格子ベクトル、及び前記第1の傾斜角θ'1と異なる第2の傾斜角θ'2を有する、第2の部分と、
を備える光学デバイスであって、
前記光学デバイスは、格子材料が上に配置された前記基板に、前記基板の面法線に対してイオンビーム角θで前記格子材料に接触するように設定されたイオンビームを投射することを含むプロセスによって形成され、
前記基板の前記第1の部分は、前記第1の部分の前記格子材料に接触する前記イオンビームにより形成される1以上の第1の格子の前記第1の格子ベクトルと前記イオンビームとの間の第1の回転角φ1で位置決めされ、
前記第1の回転角φ1は、前記基板の前記面法線に対して前記第1の傾斜角θ'1を有する前記1以上の第1の格子を形成するように選択され、
前記基板の前記第2の部分は、前記格子材料に接触する前記イオンビームにより形成される1以上の第2の格子の前記第2の格子ベクトルと前記イオンビームとの間の第2の回転角φ2で位置決めされ、
前記第2の回転角φ2は、前記基板の前記面法線に対して前記第2の傾斜角θ'2を有する前記1以上の第2の格子を形成するように選択され、前記第1の傾斜角θ'1と前記第2の傾斜角θ'2の少なくとも1つは、前記イオンビーム角θと異なる、
光学デバイス。
【請求項14】
前記イオンビーム角θは、25°と75°の間である、請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記格子材料が、酸炭化ケイ素(SiOC)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化バナジウム(IV)(VOx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化チタン(TiN)、及び二酸化ジルコニウム(ZrO2)のうちの1以上で構成される、請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記第1の回転角φ1及び前記第2の回転角φ2が、連立方程式θ=arctan(tan(θ'1)/cos(φ1))、θ=arctan(tan(θ'2)/cos(φ2))、及びΔφ=φ21によって選択される、請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記イオンビームは、リボンビーム、スポットビーム、又はフル基板サイズビームである、請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記第2の回転角φ2が前記第1の回転角φ1と異なる、請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記基板は、単一の通過で前記イオンビームを横断する、請求項13に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、概して、角度付きエッチングツールに関する。より具体的には、本明細書で説明される実施形態は、種々の傾斜角を有する格子を形成するために、角度付きエッチングツールを利用することを提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 基板上で種々の傾斜角を有する格子を形成するために、角度付きエッチングシステムが使用される。角度付きエッチングシステムは、イオンビーム源を収容するイオンビームチャンバを含む。イオンビーム源は、リボンビーム(ribbon beam)、スポットビーム(spot beam)、又はフル基板サイズビーム(full substrate-size beam)などの、イオンビームを生成するように構成されている。イオンビームチャンバは、基板の面法線に対して最適化された角度でイオンビームを向けるように構成されている。最適化された角度を変更するには、イオンビームチャンバのハードウエア構成を再構成する必要がある。基板は、アクチュエータに結合されたプラテン上に保持される。アクチュエータは、基板がイオンビームチャンバの軸に対してある傾斜した角度で位置決めされるように、プラテンを傾斜させるように構成されている。最適化された角度と傾斜した角度は、面法線に対するイオンビーム角をもたらす。
【0003】
[0003] 種々の傾斜角を有する格子を利用するデバイスの一例は、光照射野ディスプレイである。種々の傾斜角を有する格子を利用するデバイスの別の一例は、導波結合器である。導波結合器は、拡張現実感デバイスに要求される特性に応じて、種々の傾斜角を有する格子を必要とする場合がある。更に、導波結合器は、光のインカップリング(in-coupling)及びアウトカップリング(out-coupling)を適切に制御するために、種々の傾斜角を有する格子を必要とし得る。角度付きエッチングシステムを使用して、次の導波結合器が先の導波結合器とは異なる傾斜角を有する格子を有する導波結合器、及び導波結合器の表面に対して種々の傾斜角を有する格子を有する導波結合器を、連続的に製造することは困難であり得る。
【0004】
[0004] 従来、基板上に種々の傾斜角を有する格子を形成するため、又は種々の傾斜角を有する格子を複数の基板上に形成するために、最適化された角度が変更され、傾斜した角度が変更され、及び/又は複数の角度付きエッチングシステムが使用される。最適化された角度を変更するためにイオンビームチャンバのハードウエア構成を再構成することは、複雑であり、再構成時間を必要とする。イオンビーム角を修正するために傾斜した角度を調整すると、格子の深さが不均一になり、複数の角度付きエッチングシステムを使用すると、製造時間が長くなり、複数のチャンバが必要になるので費用が増加する。
【0005】
[0005] したがって、基板上に種々の傾斜角を有する格子を形成し、連続する基板上に種々の傾斜角を有する格子を形成する方法が、当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 一実施形態では、格子形成法が提供される。本方法は、プラテン上に保持された第1の基板の第1の部分をイオンビームの経路内に位置決めすることを含む。第1の基板は、その上に配置された格子材料を有する。イオンビームは、第1の基板の面法線に対してイオンビーム角θで格子材料に接触し、格子材料内に1以上の第1の格子を形成するように構成されている。プラテン上に保持された第1の基板は、プラテンの軸の周りで回転され、イオンビームと1以上の第1の格子の格子ベクトルとの間に第1の回転角φがもたらされる。1以上の第1の格子は、第1の基板の面法線に対して第1の傾斜角θ'を有する。第1の回転角φは、式φ=cos-1(tan(θ')/tan(θ))によって選択される。
【0007】
[0007] 別の一実施形態では、格子形成法が提供され、結合器製造法が提供される。該方法は、プラテン上に保持された第1の基板の第1の部分をイオンビームの経路内に位置決めすることを含む。第1の基板は、その上に配置された格子材料を有する。イオンビームは、第1の基板の面法線に対してイオンビーム角θで格子材料に接触し、格子材料内に1以上の第1の格子を形成するように構成されている。プラテン上に保持された第1の基板は、プラテンの軸の周りで回転され、イオンビームと1以上の第1の格子の面法線との間に第1の回転角φがもたらされる。1以上の第1の格子は、第1の基板の面法線に対して第1の傾斜角θ'を有する。第1の回転角φは、式φ=cos-1(tan(θ')/tan(θ))によって選択される。第1の基板の第2の部分は、格子材料内に1以上の第2の格子を形成するように構成されたイオンビームの経路内に位置決めされる。第1の基板は、プラテンの軸の周りで回転され、イオンビームと1以上の第2の格子の面法線との間に第2の回転角φがもたらされる。1以上の第2の格子は、第1の基板の面法線に対して第2の傾斜角θ'を有する。第2の回転角φは、式φ=cos-1(tan(θ')/tan(θ))によって選択される。第1の基板の第3の部分は、格子材料内に1以上の第3の格子を形成するように構成されたイオンビームの経路内に位置決めされる。第1の基板は、プラテンの軸の周りで回転され、イオンビームと1以上の第3の格子の面法線との間に第3の回転角φがもたらされる。1以上の第3の格子は、第1の基板の面法線に対して第3の傾斜角θ'を有する。第3の回転角φは、式φ=cos-1(tan(θ')/tan(θ))によって選択される。
【0008】
[0008] 更に別の一実施形態では、格子形成法が提供される。本方法は、プラテン上に保持された基板の第1の部分と第2の部分をイオンビームの経路内に位置決めすることを含む。基板は、その上に配置された格子材料を有し、イオンビームは、基板の面法線に対してイオンビーム角θで格子材料に接触し、格子材料内に1以上の第1の格子及び1以上の第2の格子を形成するように構成されている。プラテン上に保持された基板は、プラテンの軸の周りで回転され、イオンビームと1以上の第1の格子の格子ベクトルとの間に第1の回転角φ1がもたらされ、イオンビームと1以上の第2の格子の格子ベクトルとの間に第2の回転角φ2がもたらされる。1以上の第1の格子は、基板の面法線に対して第1の傾斜角θ'1を有し、1以上の第2の格子は、基板の面法線に対して第2の傾斜角θ'2を有する。第1の回転角φ1及び第2の回転角φ2は、連立方程式θ=arctan(tan(θ'1)/cos(φ1))、θ=arctan(tan(θ'2)/cos(φ2)、及びΔφ=φ21によって選択される。
【0009】
[0009] 上述の本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]一実施形態による、導波結合器の斜視正面図である。
図2A】[0011] 一実施形態による、角度付きエッチングシステムの側面概略断面図である。
図2B】[0012]一実施形態による、角度付きエッチングシステムの側面概略断面図である。
図3】[0013] 一実施形態による、基板の一部分の概略斜視図である。
図4】[0014] 一実施形態による、等価傾斜角θ’の式の結果のグラフである。
図5】[0015] 一実施形態による、格子の第1の部分と格子の第2の部分とを有する基板の概略上面図である。
図6】[0016] 一実施形態による、回転についての連立方程式の結果のグラフである。
図7】[0017] 一実施形態による、種々の傾斜角を有する格子を形成するための方法の流れ図である。
図8】[0018] 一実施形態による、種々の傾斜角を有する格子の部分を単一の通過で形成するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0019] 理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられている。
【0012】
[0020] 本明細書で説明される実施形態は、基板上に種々の傾斜角を有する格子を形成し、連続する基板上に種々の傾斜角を有する格子を形成する方法に関する。該方法は、プラテン上に保持された基板の部分をイオンビームの経路内に位置決めすることを含む。基板は、その上に配置されたハードマスクを有する。イオンビームは、基板の面法線に対してイオンビーム角θでハードマスクに接触し、ハードマスク内に格子を形成するように構成されている。基板は、プラテンの軸の周りで回転され、イオンビームと格子の面法線との間に回転角φがもたらされる。格子は、基板の面法線に対してθ'の傾斜角を有する。回転角φは、式φ=cos-1(tan(θ')/tan(θ))によって選択される。一実施形態では、基板上に種々の傾斜角を有する格子を形成することにより、ナノインプリントリソグラフィ(nanoimprint lithography)処理のための導波結合器又は導波結合器のマスターが形成される。
【0013】
[0021] 図1は、導波結合器100の斜視正面図である。後述する導波結合器100は、例示的な導波結合器であることを理解されたい。導波結合器100は、複数の格子108によって画定される入力結合領域102、複数の格子110によって画定される中間領域104、及び複数の格子112によって画定される出力結合領域106を含む。入力結合領域102は、マイクロディスプレイから強度を有する光(仮想画像)の入射ビームを受け取る。複数の格子108の各格子は、入射ビームを、各ビームが1つのモードを有する複数のモードに分割する。ゼロ次モード(T0)ビームは、導波結合器100内で屈折して戻されるか又は失われ、正の1次モード(T1)ビームは、導波結合器100を通って中間領域104に結合され、負の1次モード(T-1)ビームは、導波結合器100内をT1ビームとは反対の方向に伝播する。理想的には、仮想画像を中間領域104に向けるために、入射ビームが、入射ビームの強度の全てを有するT1ビームに分割される。入射ビームを入射ビームの強度の全てを有するT1ビームに分割する1つのアプローチは、複数の格子108の各格子の傾斜角を最適化して、T-1ビーム及びT0ビームを抑制することである。T1ビームは、T1ビームが中間領域104内の複数の格子110に接触するまで、導波結合器100を通って内部全反射(TIR)を受ける。入力結合領域102の一部分は、入力結合領域102の隣接部分からの格子108の傾斜角とは異なる傾斜角を有する格子108を有してよい。
【0014】
[0022] T1ビームは、複数の格子110のうちの1つの格子と接触する。T1ビームは、導波結合器100内で屈折して戻されるか又は失われるT0ビーム、T1ビームが複数の格子110の別の格子に接触するまで中間領域104内でTIRを受けるT1ビーム、及び導波結合器100を通って出力結合領域106に結合されるT-1ビームに分割される。中間領域104内でTIRを受けるT1ビームは、導波結合器100を通って中間領域104に結合されるT1ビームの強度が減衰(枯渇)するまで、或いは、中間領域104を通って伝播する残りのT1ビームが中間領域104の端部に到達するまで、複数の格子110の格子に接触し続ける。出力結合領域106に結合されたT-1ビームの強度を制御して、マイクロディスプレイから生成された仮想画像のユーザの視点からの視野を変調し、ユーザが仮想画像を見ることができる視野角を増大させるために、複数の格子110は、導波結合器100を通って中間領域104に結合されるT1ビームを制御するように調整されなければならない。導波結合器100を介して中間領域104に結合されるT1ビームを制御する1つのアプローチは、複数の格子110の各格子の傾斜角を最適化して、出力結合領域106に結合されるT-1ビームの強度を制御することである。中間領域104の一部分は、中間領域104の隣接部分からの格子110の傾斜角とは異なる傾斜角を有する格子110を有してよい。更に、格子110は、格子108の傾斜角とは異なる傾斜角を有してよい。
【0015】
[0023] 導波結合器100を通って出力結合領域106に結合されるT-1ビームは、T-1ビームが複数の格子112のうちの1つの格子に接触するまで、導波結合器100内でTIRを受け、そこで、T-1ビームは、導波結合器100内で屈折して戻されるか又は失われるT0ビーム、T1ビームが複数の格子112の別の格子に接触するまで出力結合領域106内でTIRを受けるT1ビーム、及び導波結合器100から外へ結合されるT-1ビームに分割される。出力結合領域106内でTIRを受けるT1ビームは、導波結合器100を通って出力結合領域106に結合されるT-1ビームの強度が減衰(枯渇)するまで、或いは、出力結合領域106を通って伝播する残りのT1ビームが出力結合領域106の端部に到達するまで、複数の格子112の格子に接触し続ける。複数の格子112は、導波結合器100から外へ結合されるT-1ビームの強度を制御して、マイクロディスプレイから生成された仮想画像のユーザの視点からの視野を更に変調し、ユーザが仮想画像を見ることができる視野角を更に増大させるために、導波結合器100を通って出力結合領域106に結合されるT-1ビームを制御するように調整されなければならない。導波結合器100を通って出力結合領域106に結合されるT-1ビームを制御する1つのアプローチは、複数の格子112の各格子の傾斜角を最適化して、視野を更に変調し、視野角を増大させることである。中間領域104の一部分は、中間領域104の隣接部分からの格子110の傾斜角とは異なる傾斜角を有する格子110を有してよい。更に、格子112は、格子108及び格子110の傾斜角とは異なる傾斜角を有してよい。
【0016】
[0024] 図2Aと図2Bは、カリフォルニア州サンタクララに所在するApplied Materials, Inc.から入手可能なVarian VIISta(登録商標)システムのような、角度付きエッチングシステム200の側面概略断面図である。以下で説明される角度付きエッチングシステムは、例示的な角度付きエッチングシステムであり、他の製造業者からの角度付きエッチングシステムを含む他の角度付きエッチングシステムを使用して又は修正して、基板上に格子を形成することができることを理解されたい。
【0017】
[0025] 傾斜角を有する格子を形成するために、基板210上に配置された格子材料212が、角度付きエッチングシステム200によってエッチングされる。一実施形態では、格子材料212が、基板210上に配置されたエッチング停止層211上に配置され、パターン(patterned)ハードマスク213が、格子材料212の上に配置される。一実施形態では、格子材料212の材料が、各格子の傾斜角θ’及び基板210の屈折率に基づいて選択されて、光のインカップリング及びアウトカップリングを制御し、導波結合器を通る光の伝播を促進する。別の一実施形態では、格子材料212が、酸炭化ケイ素(SiOC)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化バナジウム(IV)(VOx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化チタン(TiN)、及び/又は二酸化ジルコニウム(ZrO2)含有材料を含む。格子材料212は、約1.5と約2.65の間の屈折率を有する。更に別の一実施形態では、パターンハードマスク213が、導波結合器が形成された後で除去される不透明なハードマスクである。例えば、不透明なハードマスクは、クロム(Cr)やシルバー(Ag)などの反射材料を含む。別の一実施形態では、パターンハードマスク213が、透明なハードマスクである。一実施形態では、エッチング停止層211が、導波結合器が形成された後で除去される不透明なエッチング停止層である。別の一実施形態では、エッチング停止層211が、透明なエッチング停止層である。
【0018】
[0026] 角度付きエッチングシステム200は、イオンビーム源204を収容するイオンビームチャンバ202を含む。イオンビーム源は、リボンビーム、スポットビーム、又はフル基板サイズビームなどの、イオンビーム216を生成するように構成されている。イオンビームチャンバ202は、基板210の面法線218に対して最適化された角度αでイオンビーム216を向けるように構成されている。最適化された角度αを変更するには、イオンビームチャンバ202のハードウエア構成を再構成する必要がある。基板210は、第1のアクチュエータ208に結合されたプラテン206上に保持される。第1のアクチュエータ208は、y方向及び/又はz方向に沿った走査運動でプラテン206を移動させるように構成されている。一実施形態では、基板210が、イオンビームチャンバ202のx軸に対して傾斜した角度βで位置決めされるように、アクチュエータが、プラテン206を傾斜させるように更に構成されている。最適化された角度αと傾斜した角度βは、面法線218に対するイオンビーム角θをもたらす。面法線218に対して傾斜角θ'を有する格子を形成するために、イオンビーム源204はイオンビーム216を生成し、イオンビームチャンバ202は、イオンビーム216を最適化された角度αで基板210の方へ向ける。第1のアクチュエータ208は、イオンビーム216が、イオンビーム角θで格子材料212と接触し、格子材料212の所望の部分上に傾斜角θ'を有する格子をエッチングするようにプラテン206を位置決めする。
【0019】
[0027] 従来、格子の隣接部分の傾斜角θ'とは異なる傾斜角θ’を有する格子の一部分を形成し、又は複数の基板上に異なる傾斜角θ’を有する格子を形成するために、最適化された角度αが変更され、傾斜した角度βが変更され、及び/又は複数の角度付きエッチングシステムが使用される。最適化された角度αを変更するためにイオンビームチャンバ202のハードウエア構成を再構成することは、複雑であり、再構成時間を必要とする。イオンビーム角θを修正するために傾斜した角度βを調整すると、イオンビーム216が、異なるエネルギーレベルで格子材料212と接触するにつれて、基板210の部分における格子の不均一な深さをもたらす。例えば、イオンビームチャンバ202のより近くに位置決めされた一部分は、イオンビームチャンバ202から更に離れて位置決めされた隣接部分の格子よりも深い格子を有することになる。複数の角度付きエッチングシステムを使用すると、製造時間が増加し、複数のチャンバを必要とするために費用が増加する。イオンビームチャンバ202を再構成すること、傾斜した角度βを調整してイオンビーム角θを修正すること、及び複数の角度付きエッチングシステムを使用することを回避するために、角度付きエッチングシステム200は、プラテン206のx軸の周りで基板210を回転させて格子の傾斜角θ'を制御するために、プラテン206に結合された第2のアクチュエータ220を含む。
【0020】
[0028] 図3は、基板302の一部分300の概略斜視図である。イオンビーム216の傾斜した角度β及び最適化された角度αは、基板302の面法線306に対するイオンビーム角θが一定であるように固定される。最適化された角度αは、約0度と約90度の間であり、傾斜した角度βは、約0度と約30度の間である。結果として得られるイオンビーム角θは、約0度と約90度の間である。イオンビーム角θは、好適には約25度と約75度の間である。というのも、約0度又は約90度に近いイオンビーム角θは、格子304が傾斜しないように、約0度又は約90度の傾斜角θ'を有する格子304をもたらすことになるからである。基板302は、プラテン206のx軸の周りで回転され、イオンビーム216と格子304の格子ベクトル308との間に回転角φがもたらされる。回転角φは、イオンビームチャンバ202を再構成することなく、イオンビーム角θを修正するために傾斜した角度βを調整することなく、及び、複数の角度付きエッチングシステムを使用することなく、傾斜角θ'を制御するように選択される。固定されたイオンビーム角θを有する、結果として生じる傾斜角θ'を特定するために、以下の等価傾斜角θ'の方程式のうちの1つが実施される。すなわち、sin(θ')=sin(θ)/√(1+tan2(φ)*cos2(θ))、及びtan(θ')=tan(θ)*cos(φ)である。φについて解くと、回転角φは、cos-1(tan(θ')/tan(θ))である。例えば、イオンビーム角θが45度であり、所望の傾斜角θ'が22.5度である場合、回転角φは、cos-1(tan(22.5)/tan(45))=65.53であるため、約65.53である。図4は、5度、22.5度、45度、67.5度、及び85度のイオンビーム角θに対する等価傾斜角θ’の方程式の結果を、回転角φの関数としてグラフ化したものである。エラー
【0021】
[0029] 一実施形態では、傾斜角θ'を有する格子304を、角度付きエッチングシステム200を用いて形成することができる。別の一実施形態では、傾斜角θ'を有する格子304が、約0度の最適化された角度αで基板302の面の形状寸法に対応する形状寸法を有するイオンビーム216を生成するイオンビームチャンバ202内に収容されたイオンビーム源204を有する、フルウエハ、液浸、又は格子エッチングシステムとしても知られるイオンビームエッチングシステムで形成されてよい。イオンビームエッチングシステムのプラテン206は、イオンビーム216が約25度と約75度の間のイオンビーム角θで基板302と接触するように、傾斜した角度βで基板210を位置決めするように構成されている。回転角φは、本明細書で説明されるように、傾斜角θ'を制御するように選択される。
【0022】
[0030] 図5は、格子506の第1の部分502、及び格子508の第2の部分504を有する、基板500の概略上面図である。イオンビーム216の傾斜した角度β及び最適化された角度αは、基板500の面法線に対するイオンビーム角θが一定であるように固定される。最適化された角度αは、約0度と約90度の間であり、傾斜した角度βは、約0度と約30度の間である。結果として得られるイオンビーム角θは、約0度と約90度の間である。イオンビーム角θは、好適には約25度と約75度の間である。というのも、約0度又は約90度に近いイオンビーム角θは、格子506及び格子508が傾斜しないように、約0度又は約90度の傾斜角θ'1を有する格子506及び約0度又は約90度の傾斜角θ'2を有する格子506をもたらすことになるからである。基板500は、プラテン206のx軸の周りで回転され、イオンビーム216と格子506の格子ベクトル510との間に回転角φ1がもたらされ、イオンビーム216と格子508の格子ベクトル512との間に回転角φ2がもたらされる。回転角φ1は、傾斜角θ'1を有する格子506を形成するように選択され、回転角φ2は、第1の部分502及び第2の部分504がイオンビーム216の経路内に位置決めされるように、イオンビームチャンバ202を横断する単一の通過を有する走査運動でプラテン206を移動させることによって、傾斜角θ'2を有する格子508を形成するように選択される。イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一の通過を用いて格子の2つ以上の部分を形成するために、以下の連立方程式が実施される。
θ=arctan(tan(θ'1)/cos(φ1))
θ=arctan(tan(θ'2)/cos(φ2))
Δφ=φ21
【0023】
[0031] 一実施形態では、傾斜角θ'1、傾斜角θ'2、及びΔφが、既知である。回転角φ1、回転角φ2、及びイオンビーム角θについての連立方程式を解くことにより、イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一の通過で、傾斜角θ'1を有する格子506及び傾斜角θ'2を有する格子508を形成することが可能になる。図6は、回転角φ1、回転角φ2、イオンビーム角θの連立方程式の結果を示すグラフである。45度のΔφで、40度の傾斜角θ'1を有する格子506と、20度の傾斜角θ'2を有する格子508とを形成するために、21.1度の回転角φ1及び61.1度の回転角φ2が、イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一の通過で、第1の部分502及び第2の部分504を形成することとなる。別の一実施形態では、イオンビーム角θ、傾斜角θ'1、傾斜角θ'2、及びΔφが既知であり、連立方程式は、回転角φ1及び回転角φ2について解かれる。したがって、傾斜角θ'1を有する格子506及び傾斜角θ'2を有する格子508は、イオンビームチャンバ202を再構成することなく、イオンビーム角θを修正するために傾斜した角度βを調整することなく、及び複数の角度付きエッチングシステムを使用することなく、イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一の通過で形成される。加えて、連立方程式は、格子の3つ以上の部分を形成するように拡張されてよい。
【0024】
[0032] 図7は、種々の傾斜角を有する格子を形成するための方法700の流れ図である。一実施形態では、方法700が、角度付きエッチングシステム200によって実行される。別の一実施形態では、方法700が、イオンビームエッチングシステムによって実行される。角度付きエッチングシステム200は、イオンビームチャンバ202内に収容された、リボンビームやスポットビームなどのイオンビーム216を生成するイオンビーム源204を含む。イオンビームチャンバ202は、基板210の面法線218に対して最適化された角度αでイオンビーム216を向けるように構成されている。プラテン206に結合された第1のアクチュエータ208は、基板210がイオンビームチャンバ202の軸に対して傾斜した角度βで位置決めされるように、基板210を走査運動で移動させ、プラテン206を傾斜させるように構成されている。第1のアクチュエータ208は、y方向及び/又はz方向に沿った走査運動でプラテン206を移動させるように構成されている。最適化された角度αと傾斜した角度βは、面法線218に対してイオンビーム角θをもたらす。
【0025】
[0033] 動作701では、その上に配置された格子材料212を有する第1の基板の第1の部分が、イオンビーム216の経路内に位置決めされる。イオンビーム216は、第1の基板の面法線218に対してイオンビーム角θで格子材料212に接触し、格子材料212内に1以上の第1の格子を形成する。第1の基板は、第1の部分をイオンビーム216の経路内に位置決めし、第1の基板をプラテン206の軸の周りで回転させ、イオンビーム216と1以上の第1の格子の格子ベクトル308との間に第1の回転角φをもたらすように構成されたプラテン206上に保持される。第1の回転角φは、1以上の第1の格子が基板の面法線218に対して第1の傾斜角θ'を有するように選択される。第1の回転角φは、φ=cos-1(tan(θ')/tan(θ))の回転角φの式によって選択される。一実施形態では、第1の部分が、導波結合器100の入力結合領域102に対応する。
【0026】
[0034] 最適化された角度αを変更するようにイオンビームチャンバ202を再構成することなく、イオンビーム角θを修正するように傾斜した角度βを調整することなく、及び、複数の角度付きエッチングシステムを使用することなく、第1の傾斜角θ'とは異なる第2の傾斜角θ'を有する第1の基板の第2の部分又は第2の基板の一部分上に1以上の第2の格子を形成するために、最適化された角度α及び傾斜した角度βは一定のままであり、一方、第1の基板又は第2の基板は、プラテン206の軸の周りで基板を回転させるように構成された、プラテン206に結合された第2のアクチュエータ220によって回転される。
【0027】
[0035] 動作702では、その上に配置された格子材料212を有する第1の基板の第2の部分が、イオンビーム216の経路内に位置決めされる。イオンビーム216は、第1の基板の面法線218に対してイオンビーム角θで格子材料212を接触し、格子材料212内に1以上の第2の格子を形成する。第2の部分は、イオンビーム216の経路内に位置決めされ、第1の基板は、プラテン206の周りで回転され、イオンビーム216と1以上の第2の格子の格子ベクトル308との間に第2の回転角φがもたらされる。第2の回転角φは、1以上の第2の格子が基板の面法線218に対して第2の傾斜角θ'を有するように選択される。第2の回転角φは、φ=cos-1(tan(θ')/tan(θ))の回転角φの式によって選択される。一実施形態では、第2の部分が、導波結合器100の中間領域104に対応する。
【0028】
[0036] 動作703では、その上に配置された格子材料212を有する第1の基板の第3の部分が、イオンビーム216の経路内に位置決めされ、イオンビーム216は、第1の基板の面法線218に対してイオンビーム角θで格子材料212に接触し、格子材料212内に1以上の第3の格子を形成する。第3の部分は、イオンビーム216の経路内に位置決めされ、第1の基板は、プラテン206の軸の周りで回転され、イオンビーム216と1以上の第3の格子の格子ベクトル308との間に第3の回転角φがもたらされる。第3の回転角φは、1以上の第3の格子が基板の面法線218に対して第3の傾斜角θ'を有するように選択される。第3の回転角φは、φ=cos-1(tan(θ')/tan(θ))の回転角φの式によって選択される。一実施形態では、第3の部分が、導波結合器100の出力結合領域106に対応する。
【0029】
[0037] 動作704では、第1の基板が除去され、第2の基板がプラテン上で保持される。動作605では、動作701~703が繰り返されて、第1の傾斜角θ'を有する1以上の第1の格子、第1の傾斜角θ'とは異なる第2の傾斜角θ'を有する1以上の第2の格子、並びに第1の傾斜角θ’及び第2の傾斜角θ’とは異なる第3の傾斜角θ'を有する1以上の第3の格子を、第2の基板上に形成する。
【0030】
[0038] 図8は、イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一の通過で種々の傾斜角を有する格子の部分を形成するための方法800の流れ図である。動作801では、その上に配置された格子材料212を有する基板500の第1の部分502及び第2の部分504が、イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一の通過を有するイオンビーム216の経路内に位置決めされる。イオンビーム216は、基板500の面法線218に対してイオンビーム角θで格子材料に接触し、格子材料内に1以上の格子506及び1以上の格子508を形成する。基板500は、イオンビーム216の経路内に第1の部分502及び第2の部分504を位置決めし、プラテン206の軸の周りで基板500を回転させ、イオンビーム216と1以上の格子506の格子ベクトル510との間に回転角φ1がもたらされ、イオンビーム216と1以上の格子508の格子ベクトル512との間に回転角φ2がもたらされるように構成されたプラテン206上に保持される。回転角φ1は、1以上の格子506が基板の面法線218に対して傾斜角θ'1を有するように選択される。回転角φ2は、1以上の格子508が基板の面法線218に対して傾斜角θ'2を有するように選択される。回転角φ1及び回転角φ2は、連立方程式を解くことによって選択される。
θ=arctan(tan(θ'1)/cos(φ1))
θ=arctan(tan(θ'2)/cos(φ2))
Δφ=φ21
【0031】
[0039] 一実施形態では、傾斜角θ'1、傾斜角θ'2、及びΔφが、既知である。回転角φ1、回転角φ2、及びイオンビーム角θについての連立方程式を解くことにより、イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一の通過で、傾斜角θ'1を有する格子506及び傾斜角θ'2を有する格子508を形成することが可能になる。別の一実施形態では、イオンビーム角θ、傾斜角θ'1、傾斜角θ'2、及びΔφが既知であり、連立方程式は、回転角φ1及び回転角φ2について解かれる。したがって、傾斜角θ'1を有する格子506及び傾斜角θ'2を有する格子508は、イオンビームチャンバ202を再構成することなく、イオンビーム角θを修正するために傾斜した角度βを調整することなく、及び複数の角度付きエッチングシステムを使用することなく、イオンビームチャンバ202を横断するプラテン206の単一の通過で形成される。加えて、連立方程式は、格子の3つ以上の部分を形成するように拡張されてよい。方法800は、後続の基板向けに繰り返されてもよい。
【0032】
[0040] 要約すると、基板上に種々の傾斜角を有する格子を逐次的に形成し、角度付きエッチングシステムを使用して、連続的な基板上に種々の傾斜角を有する格子を形成する方法が、本明細書で説明される。イオンビームチャンバを再構成することなく、傾斜した角度βを調整してイオンビーム角θを修正することなく、複数の角度付きエッチングシステムを使用することなく、傾斜角θ'を制御するのために回転角φを選択することを利用することにより、単一の角度付きエッチングシステムが、導波結合器を製造し、種々の傾斜角θ'を有する格子を有する導波結合器を製造することが可能になる。
【0033】
[0041] 以上の記述は、本開示の実施例を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施例及び更なる実施例が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8