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特許7416869薬物モニタリングツール、方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】薬物モニタリングツール、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240110BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022111831
(22)【出願日】2022-07-12
(62)【分割の表示】P 2021040417の分割
【原出願日】2018-01-23
(65)【公開番号】P2022137191
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】62/451,391
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ピチラー, ロマン
(72)【発明者】
【氏名】スポッツ, ゲラルド
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-526542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物モニタリングツールであって、
サンプリングされた患者の薬物動態学的(PK)プロファイルのベイズモデルに基づく患者のPKプロファイルを受信するように構成されているデータ受信機と、
図的な制御要素を含む対話的なユーザインターフェースであり、
前記図的な制御要素が、
前記対話的なユーザインターフェース内でスライド可能であるとともに、
前記対話的なユーザインターフェース内での前記図的な制御要素の位置に対応する特定の時における時間変化する治療的血漿タンパク質レベルについての要求に対応する患者の入力を受信するように構成されており、該対話的なユーザインターフェースが
記患者の前記PKプロファイル及び凝固因子VIIIの投与された用量に基づいて前記患者の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの図形表示を前記患者に表示することと、
前記図的な制御要素への前記患者の入力に基づき、前記特定の時に対応する前記患者の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを表示することと、
を行うように構成されている対話的なユーザインターフェースと、
を備える、薬物モニタリングツール。
【請求項2】
前記患者の前記PKプロファイルを受信すること、及び/又は最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくとも一つに応答して前記薬物モニタリングツールの機能群にアクセスできるように構成されているアクティブ化ツールキットをさらに備える、請求項1に記載の薬物モニタリングツール。
【請求項3】
前記対話的なユーザインターフェースが、
前記特定の時における前記患者の前記凝固因子VIIIの濃度範囲を示す、前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルに関連付けられた前記図形表示内に複数のゾーンの輪郭を描くことであって、前記複数のゾーンが、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、身体的活動について安全とみなされる第1の濃度範囲内にあることを前記患者に示す安全ゾーンと、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが第2の濃度範囲内にあり、身体的活動が限定されるべきであることを前記患者に示す危険ゾーンと、
を含む、描くこと
を行うように構成されている、請求項1に記載の薬物モニタリングツール。
【請求項4】
前記複数のゾーンの各々が、前記患者内の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの特定の濃度範囲に関連付けられている、請求項3に記載の薬物モニタリングツール。
【請求項5】
前記図的な制御要素が、前記特定の時を選択するために前記図形表示内でスライド可能である、請求項1に記載の薬物モニタリングツール。
【請求項6】
前記患者の前記PKプロファイルが、前記患者の体重、フォン・ウィルブランド因子(vWF)レベル、及び/又は年齢のうちの少なくとも1つにさらに基づいている、請求項1に記載の薬物モニタリングツール。
【請求項7】
AES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有するQRコードを生成するように構成されているQRコード生成器をさらに備える、請求項6に記載の薬物モニタリングツール。
【請求項8】
薬物モニタリングツールによって実行される、薬物モニタリングする方法であって、
前記薬物モニタリングツールにおいて、サンプリングされた患者の薬物動態学的(PK)プロファイルのベイズモデルに基づく患者のPKプロファイルを受信するステップと、
対話的なユーザインターフェースであって、対話的なユーザインターフェース内でスライド可能である図的な制御要素を含む対話的なユーザインターフェースにおいて、前記患者の前記PKプロファイル及び凝固因子VIIIの投与された用量に基づく前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの図形表示を表示するステップと、
前記対話的なユーザインターフェース及び前記図的な制御要素を介して、前記対話的なユーザインターフェース内での前記図的な制御要素の位置に対応する特定の時における前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルについての要求に対応する入力を受信するステップと、
前記対話的なユーザインターフェースにおいて、前記特定の時に対応する前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルは、前記対話的なユーザインターフェースにおいて、
前記凝固因子の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、身体的活動について安全とみなされる第1の濃度範囲内にあることを前記患者に示す安全ゾーン、又は
前記凝固因子の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが第2の濃度範囲内にあり、身体的活動が限定されるべきであることを前記患者に示す危険ゾーン
のいずれかとともに表示される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記安全ゾーン及び前記危険ゾーンが、前記患者内の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの特定の濃度範囲に関連付けられている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者が、前記患者の前記PKプロファイルを受信すること、及び/又は最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくとも一つに応答して前記薬物モニタリングツールの機能群にアクセスできるようにするステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記PKプロファイルを受信するステップが、少なくともPKプロファイル情報を含む患者情報を記憶するキューアール(QR)コードをスキャンするステップと、
前記QRコードに記憶された前記患者情報を抽出するとともに処理するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
AES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有する前記QRコードを生成するステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記QRコードが、患者特定情報、患者生理学的データ、患者投与情報、及び/又は前記患者のPKプロファイル情報、のうちの少なくとも1つ、又はそのあらゆる組み合わせを含み、前記患者投与情報が特定の凝固因子VIII薬物についての予防的投与レジメンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記患者の前記PKプロファイルが、前記患者の体重、フォン・ウィルブランド因子(vWF)レベル、及び/又は年齢のうちの少なくとも1つにさらに基づいている、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
リモートサーバシステムと、薬物モニタリングツールと、を備える薬物モニタリングシステムであって、
前記リモートサーバシステムは、
サンプリングされた患者の薬物動態学的(PK)プロファイルのベイズモデルを含むモデル生成器と、
PKサーバであり、
前記ベイズモデルと、患者の体重、フォン・ウィルブランド因子レベル、及び年齢のうちの少なくとも1つとに基づく患者のPKプロファイルを決定すること
を行う、PKサーバと、
を含み、
前記薬物モニタリングツールは、
凝固因子VIIIの前記患者への投与された用量及びタイミング並びに前記患者の前記PKプロファイルに基づく、前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの図形表示を表示する対話的なユーザインターフェースを含み、前記図形表示が図的な制御要素を含み、
前記図的な制御要素は、
前記対話的なユーザインターフェース内でスライド可能であるとともに、
前記対話的なユーザインターフェース内での前記図的な制御要素の位置に対応する特定の時における前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルについての要求に対応する患者の入力を受信するように構成されており、
前記対話的なユーザインターフェースが
前記図的な制御要素への前記患者の入力に基づき、前記特定の時に対応する前記患者の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを表示する
ように構成されている、薬物モニタリングシステム。
【請求項17】
前記対話的なユーザインターフェースが、前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルに関連付けられた前記図形表示内の複数のゾーンの輪郭を描くように構成されており、前記複数のゾーンが、少なくとも、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、身体的活動について安全とみなされる第1の濃度範囲内にあることを前記患者に示す安全ゾーンと、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが第2の濃度範囲内にあり、身体的活動が限定されるべきであることを前記患者に示す危険ゾーンと、
を含む、請求項16に記載の薬物モニタリングシステム。
【請求項18】
前記患者のPKプロファイルを記憶するQRコードを生成するQRコード生成器を更に備えており、
前記薬物モニタリングツールは、前記QRコードを読むカメラと、前記QRコードから前記患者のPKプロファイルを抽出するコードプロセッサと、を更に備えており、
前記QRコード生成器が、スキームバージョン、クリニックの患者ID、体重、アルファ、ベータ、K21、V1、持続時間、投与間隔、FVIIIベースライン、目標値、時間の上回り、時間の下回り、及びタイムスタンプからなる群から各々独立に選択される複数のフィールドを使用して前記QRコードを生成する、請求項16に記載の薬物モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本出願は2017年1月27日に提出された米国特許仮出願第62/451,391の利益を主張するものである。上記出願の教示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景】
【0002】
[0002]凝固因子VIIIは傷害又は出血に応答して活性化される血液凝固タンパク質である。凝固因子VIIIが相対的に低いレベルである人は、傷害及び/又は原因のない自発性の出血による、長引く出血を内部的又は外部的に発症しやすい。皮膚の出血は深刻ではないが、関節、筋肉、及び内臓の内出血は恒久的な損傷、美的欠陥、又はさらには死を引き起こすことがある。
【0003】
[0003]血友病Aの患者は低いレベルの凝固因子VIIIを引き起こす遺伝的な欠陥を有している。患者の凝固因子VIIIの量は、正常レベルに対する相対パーセントで表される。凝固因子VIIIが5~40%の患者は、軽症型の血友病Aを有するとみなされる一方、凝固因子VIIIが1~5%の患者は、中等型の血友病Aを有するとみなされる。凝固因子VIIIが1%未満の患者は、重症型の血友病Aを有するとみなされる。
【0004】
[0004]血友病Aの患者(又は、処置をしないと凝固因子VIIIの低いレベルを有する患者)の処置としては、これらの患者に凝固因子濃縮物(例えば、治療的血漿タンパク質)の定期的な注射を行うことが挙げられる。凝固因子濃縮物は、患者の自然発生の凝固因子VIIIに対する代替物、又は補充物として作用する。そのような治療的血漿タンパク質の一例が、Shire製ADVATE薬物である。いくつかの例において、患者は制御できない内出血の発生に応答して治療的血漿タンパク質を受ける。代替的に、患者は将来的な出血の可能性を低減するために治療的血漿タンパク質の予防的処置レジメンを処方されることもある。患者が所定の閾値を下回るあらゆる可能性を回避するために、多くのヘルスケア事業者は、患者が毎日、2日毎、3日毎、又はより長い日数毎に治療的血漿タンパク質注射を受けることを要する処置レジメンを設計している。現在、患者には注射イベントを記録するための電子的日記が与えられている。残念ながら、そのような日記はそれを見て患者が活動レベルを計画できるような利用可能なデータを与えるものではない。例えば、現在のシステムでは、患者が注射イベントの後のあらゆる時間的なポイントにおいて、例えばサッカーをするなどの活動に参加することになっている場合、患者は出血のリスクを確認することができない。特に、現在の電子的日記では、患者は予防的な注射イベントの後の時間的にあらゆる所与のポイントにおける自身の因子レベルを判断することができず、そのようなソースによって提供される情報の有用性を著しく制限する。
【概要】
【0005】
[0005]本開示の実施形態は、予防的な注射イベントに続いて、患者が個別化された、凝固因子VIIIレベルのリアルタイム指標を見ることができるようにする薬物モニタリングツールを提供する。開示される薬物モニタリングツールは、患者が出血イベントを著しく低減できるようにすることが有利である。例えば、薬物モニタリングツールによって提供される凝固因子VIIIのリアルタイム指標は、患者があらゆる所与の時点における身体的活動の量及び/又は強度に関連するインフォームド決定を行えるようにする。薬物モニタリングツールが低いレベルの凝固因子VIIIの指標を与える一例において、患者はスポーツのような身体的に傷害を起こすような活動に参加することを控えること、身体的に傷害を起こすような活動に参加するために凝固因子VIIIの非予防的な用量を自己投与することを決定すること、又は次の予防的な注射まで出血のリスクが低い活動を選択すること(例えば、読書などの静的な活動)ができる。したがって、薬物モニタリングツールは利用可能な情報の欠如に起因する患者の出血イベントを除去することが有利である。
【0006】
[0006]一実施形態において、薬物モニタリングツールは患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを受信するように構成されているデータ受信機を備える。ツールは、患者内の時間変化する薬物濃度レベルを患者に提示するように構成されている対話的なユーザインターフェースも備える。時間変化する薬物濃度レベルは対象薬物の投与された用量及び患者のPKプロファイルに基づいている。
【0007】
[0007]別の実施形態において、薬物モニタリングツールが開示される。ツールは患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを受信するように構成されているデータ受信機を備える。加えて、ツールは、患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを患者に表示するように構成されている対話的なユーザインターフェースを備える。時間変化する治療的血漿タンパク質レベルは凝固因子VIIIの投与された用量及び患者のPKプロファイルに基づいている。
【0008】
[0008]ある実施形態の一態様において、患者のPKプロファイルはサンプリングされた患者のPKプロファイルのベイズモデルに基づくことができ、さらに、患者の体重、フォン・ウィルブランド因子(「vWF」)レベル、及び/又は年齢のうちの少なくとも1つに基づくことができる。
【0009】
[0009]別の態様において、データ受信機は少なくともPKプロファイル情報を含む患者情報を記憶するキューアール(QR)コードをスキャンするように構成されているカメラであってもよい。追加的に、薬物モニタリングツールはQRコード(登録商標)に記憶された患者情報を抽出するとともに処理するように構成されているQRコードプロセッサをさらに備えることができる。
【0010】
[0010]いくつかの態様において、データ受信機はセキュアサーバからPKプロファイルを受信するように構成されている通信インターフェースであってもよい。この態様において、受信されたPKプロファイルは暗号化されていてもよく、通信インターフェースは暗号化されたPKプロファイルを復号化するようにさらに構成することができる。
【0011】
[0011]他の例示的な実施形態において、薬物モニタリングツールはAES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有するQRコードを生成するように構成されているQRコード生成器をさらに備えることができる。QRコード生成器は薬物モニタリングツールから離れたセキュアサーバに配置されてもよい。
【0012】
[0012]QRコードは、患者特定情報、患者生理学的データ、患者投与情報、及び/又は患者のPKプロファイル情報、のうちの少なくとも1つ、又はそのあらゆる組み合わせを含むことができる。患者投与情報は特定の凝固因子VIII薬物についての予防的投与レジメンを含むことができる。
【0013】
[0013]別の態様において、薬物モニタリングツールは、前記患者のPKプロファイルを受信すること、及び/又は凝固因子VIIIの最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくとも1つに応答して薬物モニタリングツールの機能群にアクセスできるように構成されているアクティブ化ツールキットをさらに備えることができる。
【0014】
[0014]他の態様において、対話的なユーザインターフェースは、あらゆる所与の時間における患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量の図形表示を表示するように構成することができる。図形表示は、治療的血漿タンパク質の時間変化量に関連付けられるゾーンの輪郭を描くことができる。
それぞれのゾーンは、患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量の特定の濃度範囲に関連付けられ得る。
【0015】
[0015]対話的なユーザインターフェースは、特定の時間における患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量についての要求に対応する患者の入力を受信するように構成されている図的な制御要素も含むことができる。対話的なユーザインターフェースは特定の時間における患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量の図形表示を表示するようにさらに構成することができる。
【0016】
[0016]さらなる実施形態は、薬物モニタリングツールによって実行される薬物モニタリングする方法を含む。方法は、患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを受信することを含む。加えて、方法は、対話的なユーザインターフェースが患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを患者に表示できるようにすることを含む。時間変化する治療的血漿タンパク質レベルは凝固因子VIIIの投与された用量及び患者のPKプロファイルに基づいている。
【0017】
[0017]ある実施形態の一態様において、患者のPKプロファイルはサンプリングされた患者のPKプロファイルのベイズモデルに基づくことができ、さらに、患者の体重、フォン・ウィルブランド因子(「vWF」)レベル、及び/又は年齢のうちの少なくとも1つに基づくことができる。
【0018】
[0018]別の態様において、方法は少なくともPKプロファイル情報を含む患者情報を記憶するキューアール(QR)コードをスキャンすることを含むことができる。加えて、方法はQRコード内に記憶された患者情報を抽出すること、及び処理することを含むことができる。
【0019】
[0019]他の態様において、方法はセキュアサーバからPKプロファイルを受信することを含むことができる。受信されたPKプロファイルは暗号化されていてもよい。したがって、方法は暗号化されたPKプロファイルを復号化することを含むこともできる。
【0020】
[0020]さらなる態様において、方法はAES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有するためにQRコードを生成することを含むことができる。
【0021】
[0021]特定の態様において、QRコードは、患者特定情報、患者生理学的データ、患者投与情報、及び/又は患者のPKプロファイル情報、のうちの少なくとも1つ、又はそのあらゆる組み合わせを含む。患者投与情報は特定の凝固因子VIII薬物についての予防的投与レジメンを含むことができる。
【0022】
[0022]また、方法は、患者が、患者のPKプロファイルを受信すること、及び/又は最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくともに応答して薬物モニタリングツールの機能群にアクセスできるようにすることを含むことができる。
【0023】
[0023]さらなる態様において、方法はあらゆる所与の時間における患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量の図形表示を表示することを含むことができる。図形表示は、治療的血漿タンパク質の時間変化量に関連付けられるゾーンの輪郭を描く。それぞれのゾーンは、患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量の特定の濃度範囲に関連付けられる。
【0024】
[0024]本開示の別の実施形態は薬物モニタリングシステムを含む。薬物モニタリングシステムは治療的血漿タンパク質投与レジメン装置及び薬物モニタリングツールを備える。
【0025】
[0025]治療的血漿タンパク質投与レジメン装置は、サンプリングされた患者の薬物動態学的(PK)プロファイルのベイズモデルを作成するように構成されているモデル生成器を備える。ベイズモデルは(i)治療的血漿タンパク質のクリアランス、及び(ii)患者の年齢又は体重のうちの少なくとも1つに基づく治療的血漿タンパク質についての分布容積関連性、を含む。治療的血漿タンパク質投与レジメン装置は、PKサーバも備える。PKサーバは、ベイズモデル、患者内の治療的血漿タンパク質の半減期、及び患者の年齢又は患者の体重のうちの少なくとも1つに基づいて患者の近似のPKプロファイルを決定するように構成されている。PKサーバは、患者の近似のPKプロファイルに基づいてある時間期間を通しての用量及び治療的血漿タンパク質レベルを含む治療的血漿タンパク質投与レジメンを決定すること、患者に用量を適用するための投与間隔を受信することに応答して治療的血漿タンパク質投与レジメンを修正すること、及び修正された治療的血漿タンパク質投与レジメンをクライアントデバイスに送信すること、を行うようにも構成されている。
【0026】
[0026]薬物モニタリングツールは、患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを受信するように構成されているデータ受信機を備える。加えて、薬物モニタリングツールは、患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを患者に表示するように構成されている対話的なユーザインターフェースを備える。時間変化する治療的血漿タンパク質レベルは、凝固因子VIIIの投与された用量及び患者のPKプロファイルに基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
[0027]前述は、異なる図面を通じて同一の参照符号が同一のパーツを指す添付の図面に図示されるように、以下の本開示の例示的な実施形態のより詳細な説明から、明らかとなろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本開示の実施形態を図示する際には強調されたものが配置される。
【0028】
図1】[0028]本開示の例示的な実施形態による、薬物モニタリングツールが動作する例示的な薬物動態学的(PK)環境を示す。
【0029】
図2】[0029]本開示の例示的な実施形態による、特定の患者のPKプロファイルを生成するための方法の流れ図である。
【0030】
図3】[0030]本開示の例示的な実施形態による、PKプロファイルをQRコードに変換するための方法の流れ図である。
【0031】
図4】[0031]本開示の例示的な実施形態による、薬物モニタリングツールの対話的なユーザインターフェースを示す。
【0032】
図5】[0032]本開示の例示的な実施形態による、例示的なリモートサーバ、薬物モニタリングツール、及びエコシステムモニタリングシステムの詳細なブロック図である。
【詳細な説明】
【0033】
[0033]本開示の例示的な実施形態の説明は以下のとおりである。
【0034】
[0034]本開示は、予防的な注射イベントに続いて、患者が個別化された、凝固因子VIIIレベルのリアルタイム指標を見ることができるようにする薬物モニタリングツールに関する。例えば、薬物モニタリングツールはユーザが凝固因子VIIIのリアルタイムのレベルを判断できるようにする因子メータを含む。そのような情報を手にすると、患者は、例えば、彼らが身体的に傷害を起こすような活動(例えば、サッカーなどのスポーツ)に参加すべきかどうかを判断するためにより良い準備ができるであろう。したがって、薬物モニタリングツールは患者が彼らの凝固因子VIIIレベルの正確な情報に基づいて彼らの活動レベルに関してインフォームド決定を行えるようにする。加えて、薬物モニタリングツールによって提供される因子メータは、予防的な注射イベントの後あらゆる所与の時間において、患者がそのシステム内で凝固因子VIIIの時間変化量を決定できるようにする。そして患者は予測された凝固因子VIIIレベルに基づいて、将来の活動レベルを計画できることが有利である。
【0035】
[0035]本明細書で使用されるように、用語「凝固因子VIII」、「FVIII」、又は「rAHF」は、完全なBドメインの少なくとも一部を有するあらゆるFVIII分子を指し、ネイティブFVIIIに関連付けられる生物活性を呈する。本開示の一実施形態において、FVIII分子は完全長のFVIIIである。FVIII分子はFVIII:CをエンコードするDNAにハイブリダイズすることができるDNAシーケンスによってエンコードされるタンパク質である。そのようなタンパク質はドメインA1-A2-B-A3-C1-C2の間、又はその内部の様々なサイトでアミノ酸欠失を含むことができる。FVIII分子はさらにネイティブ凝固因子FVIIIのアナログであってもよく、1つ又は複数のアミノ酸残基が部位特異的突然変異誘発によって置換されている。
【0036】
[0036]用語「組み換え因子VIII」(rFVIII)はあらゆるrFVIII、異種若しくは自然発生するもの、組み換えDNA技術によって得られるもの、又はその生物活性誘導体を含んでもよい。本明細書で使用されるように、「内因性FVIII」は処置を受けることを意図される哺乳類から生ずるFVIIIを含む。その用語は導入遺伝子又は哺乳類に存在するあらゆる他の外部DNAから転写されるFVIIIも含む。本明細書で使用されるように、「外因性FVIII」又は治療的血漿タンパク質は哺乳類から生じていない凝固因子FVIIIを含む。
【0037】
[0037]FVIII分子は自然に、及び治療的製剤中に単一の遺伝子産物から生ずるポリペプチドの不均質分布として存在する。本明細書で使用されるように、用語「凝固因子VIII」は、血漿由来又は組み換えDNA技術の使用を通じて産生されたものかに関わらず、すべてのそのようなポリペプチドを指し、限定はしないが、FMIII模倣物質、fc-FVIIIコンジュゲート、水溶性ポリマーで化学的に修飾されたFVIII、及び他の形態又はFVIIIの誘導体を含む。FVIIIを含有する治療的製剤の市販されている例としては、ADVATE、HEMOFIL M、及びRECOMBINATE(シャイアー社(アメリカ合衆国、イリノイ州、バノックバーン)から入手可能)の商品名で販売されているものが挙げられる。他の製剤は主にFVIII分子の単一の亜集団を含み、分子のBドメイン部分を欠如している。
【0038】
[0038]本開示で有用なFVIII分子は完全長タンパク質、タンパク質の前駆体、タンパク質の生物学的に活性若しくは官能サブユニット若しくはフラグメント、及び/又はその官能誘導体、並びに以下で説明するようなその変形物を含む。凝固因子VIIIへの言及はそのようなタンパク質のすべての可能性のある形態を含むことを意味しており、FVIIIの形態のそれぞれはネイティブな完全なBドメインシーケンスの少なくとも一部又はすべてを有する。
【0039】
[0039]本明細書で使用されるように、「投与間隔」は患者に投与される複数回の投与同士の間で経過する時間の長さを意味する。凝固因子VIIIを含む治療的血漿タンパク質を投与する投与間隔は少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、又はそれより長くてもよい。投与間隔は、変化する患者の容体/性質、患者内の治療的血漿タンパク質の最低限容認可能(例えば、目標値)濃度への変化、及び/又は用量への変化に基づいて変わってもよい。
【0040】
[0040]図1は本開示の例示的な実施形態による、薬物モニタリングツール150が動作する例示的な薬物動態学的(PK)環境100を示す。環境100はモデル生成器125、QR生成器132、及びPKサーバ130を含むリモートサーバ120を含む。リモートサーバ120は特許医学的なサンプル110を記憶するデータ記憶装置115に通信可能に連結される。
【0041】
[0041]モデル生成器125はサンプリングされた患者データ110に基づいて1つ又は複数の患者の薬物動態学的(PK)モデルを生成するように構成されている。環境100は、1つ又は複数の薬物動態学的モデルに基づいて、患者、ヘルスケア事業者、及び/又は販売代理店に図形的な薬物動態学的な薬物投与ツール150を提供するように構成されている薬物動態学的(「PK」)サーバ130も含む。図示される実施形態において、PKサーバ130はネットワーク114(例えば、インターネット)を介して患者PKモデルを薬物モニタリングツール150に送信する。他の実施形態において、PKサーバ130はPKプロファイルをホスティングし、PKプロファイルは薬物モニタリングツール150によってアクセス可能である。これらの他の実施形態において、PKサーバ130は単一のサーバを含んでもよいか、又は代替的に、クラウドコンピューティングフレームワーク内で分散されてもよい。
【0042】
[0042]例示的なPKサーバ130及び/又はモデル生成器125は患者の薬物動態学的(PK)モデルを記憶するように構成されているデータベース115に通信可能に連結され得る。データベース115はRAM、ROM、フラッシュメモリ、磁気若しくは光学ディスク、光学メモリ、又は他の記憶媒体を含むあらゆるタイプのコンピュータ可読媒体を含むことができる。例示的なデータベース115は、ユーザが含むツール150を使用することに応答して生成された情報を記憶することもでき、例えば、患者情報、投与レジメン等を含む。いくつかの例において、データベース115は別個のサードパーティの記憶装置プロバイダによって管理されてもよい。
【0043】
[0043]いくつかの例において、PKサーバ130及び/又はモデル生成器125は、同一のサーバ(例えば、リモートサーバ120)及び/若しくはプロセッサによって提供されもよく、並びに/又は同一のエンティティによって動作させられてもよい。これらの例において、モデル生成器125の機能はPKサーバ130の機能とともに動作することができる。例えば、モデル生成器125は、薬物動態学的モデルを、ツール150を介してPKサーバ130から受信した治療的血漿タンパク質投与情報及び/又は患者情報で定期的に更新することができる。
【0044】
[0044]いくつかの例示的な実施形態において、薬物動態学的(PK)モデルを使用して患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを近似する。例えば、血友病Aについて患者特有の薬物動態学的プロファイルを決定するための現在の方法は、複数回の血液検査を実施することを含む。これらの血液検査は最初の採血を実施して患者の凝固因子VIIIのベースラインを決定することを含む。次いで、治療的血漿タンパク質が投与された後、48時間の注射後期間を通して、5回又はより多くの採血が実施される。諒解されるように、非常に多くの別個の採血のため、そのような手順は患者、ヘルスケア事業者及び検査機関にとって殊に厄介なものである。したがって、例示的なモデル生成器125は、変化する年齢、体重、性別、及び活動レベルを伴う患者のサンプルに基づいて、比較的正確な薬物動態学的モデルを生成するように構成されている。次いでこれらのモデルを使用して、患者をすべての採血及び後続の分析にかける必要なく患者の薬物動態学的プロファイルを決定するか、又は近似する。
【0045】
[0045]ある実施形態において、1つ又は複数の患者データのセットから選択される患者サンプル110を使用して、PKモデルが決定される。患者サンプル110は、例えば、上述の採血手順を使用して治療的用量レジメンを既に処方されている患者から選択することもできる。患者サンプル110はモデルを作成する目的で特別に採血手順を行ってもらうように選択された患者も含む。患者サンプル110は、1つの病院若しくは医療システムからの患者、及び/又は複数の病院、医療システム、地理的地域等から関連付けられる患者を含むことができる。
【0046】
[0046]患者サンプル110は、変化する年齢、体重(又は体格指数(「BMI」)、医学的条件、臨床検査データ、性別、及び/又は活動レベルの、患者についてのデータを含む。本明細書で説明される例において、サンプルの患者年齢は2歳から100歳の間で変動がある。いくつかの実装形態において、患者についてのデータは小児と成人の年齢層に分け、別個のモデルがそれぞれの層について生成されるようにしてもよい。患者データは追加的に又は代替的に、体重、性別、及び/又は活動レベルに基づいて区分することができる。
【0047】
[0047]言及したように、例示的な患者サンプル110は治療的血漿タンパク質が患者に注射される前の凝固因子VIIIの決定を含む。その後、一定の持続時間の後、それぞれの患者から注射後血液サンプルが収集される。他の例において、血液サンプルは異なる時間に収集されてもよく、及び/又は収集される血液サンプルの数はより少なくてもよく、若しくはより多くてもよいことを諒解すべきである。例えば、小児からは、より少ない血液サンプルが収集されてもよい。
【0048】
[0048]例示的なモデル生成器125は、治療的血漿タンパク質の注射後の時間を通してサンプリングされた患者における凝固因子VIIIの以前のナレッジを使用するベイズ分析を実施することによって、PK患者モデルを作成する。いくつかの例において、PKモデルを構築するための洗い出しデータが必要とされないように、モデル生成器125はそれぞれの患者のサンプリングされた投与履歴を、注射前の凝固因子VIIIレベルと併せて分析するように構成されている。他の実施形態において、モデル生成器125は、1つ又は複数の薬物動態学的モデルを作成するための注射後凝固因子VIIIレベルと併せて患者の洗い出しデータを使用してもよい。患者の洗い出しデータは、そのシステムにおいて患者が治療的血漿タンパク質を含まなくなるベースラインに対応する。
【0049】
[0049]例示的なモデル生成器125は、例えば、患者サンプルデータを使用して1つ又は複数のPKモデルを作成する。モデル生成器125は個別の患者サンプル110を1つ又は複数のポピュレーションプロファイル(例えば、年齢セット、体重セット、活動レベルセット、内因性凝固因子VIIIレベル、等)に結合し、ポピュレーションプロファイルは次いでそれぞれの薬物動態学的モデルについての基礎として使用される。例えば、モデル生成器125は患者サンプル110を異なる年齢、体重、及び/又は活動レベルについて、異なるセットにグループ化することができる。その全体が参照によって本明細書に組み込まれるBjorkmanらによる「Population pharmacokinetics of recombinant factor VIII - the relationships of pharmacokinetics to age and body weight」と題される白書に説明されるように、モデル生成器125はその後、それぞれのセットのグループ化された患者サンプル110に対して共変動の、及び統計的なモデリングを実施し、そのセットについてのポピュレーション薬物動態学的モデルを作成する。しかしながら、モデル生成器125は他のベイズ分析手法(例えば、単純ベイズ分類器)を使用してサンプリングされたデータ110をモデリングできることを諒解すべきである。
【0050】
[0050]図示される例において、モデル生成器125によって使用される共変動のモデルは、薬物動態学的パラメータ(例えば、治療的血漿タンパク質がどれくらいの速さで代謝されるか、内因性凝固因子VIIIレベル、等)と患者の性質(例えば、年齢、体重、臨床検査データ、性別、活動レベル、等)との関連性を決定する。モデル生成器125は、患者、測定誤差、及び薬物動態学的モデルに対するサンプリングされたデータ110のフィッティング内の誤差間での生体学的なバラツキの結果としての剰余分散に加えて、統計的なモデルを使用してサンプリングされた患者の間での薬物動態学的パラメータの分散を決定する。
【0051】
[0051]例示的なモデル生成器125は、SAS(登録商標)ソフトウェアにおいて提供されるような一次積分近似法で非線形混合効果モデリング(NLMIXED手順)を使用して共変動な、及び統計的なモデリングを実施するように構成されている。図示される例において、モデル生成器125は2分画モデルを使用する。他の例において、モデル生成器125は1分画モデル又は3以上の分画のモデルを使用してもよい。図示される2分画の例において、第1の分画はクリアランス(「CL」)及び分布容積(Vl)の薬物動態学的パラメータを含む。CLは患者が1キログラム(「kg」)当たり1時間当たりミリリットル(「ml」)単位の治療的血漿タンパク質を代謝する時間の長さを指す。換言すると、クリアランスは治療的血漿タンパク質が患者から取り除かれる又は除去される効率及び速度の測定値である。
【0052】
[0052]1つ又は複数の薬物動態学的モデルを作成することに応答して、モデル生成器125はPKサーバ130に薬物動態学的モデル(複数可)を提供する。送信はローカルエリアネットワーク等のプライベートネットワークを介するもの、又はインターネット等のパブリックなネットワークを介するものであってもよい。モデル生成器125はさらにモデルをデータベース115に記憶してもよく、データベース115はさらにPKサーバ130によって1つ又は複数のインターフェースを介してアクセス可能であってもよい。他の例において、モデル生成器125はPKサーバ130と一体化されてもよい。
【0053】
[0053]例示のモデル生成器125はそれぞれの患者についてのモデルの精度を高めることができる。例えば、PKサーバ130は体重、年齢、性別、内因性凝固因子VIIIレベル、及び以前の処置についての投与レベルを含む、患者特異的な情報を受信することができる。投与推奨及び薬物動態学的プロファイルが、潜在的な患者の分散を考慮しつつも特定の患者により整合するように、モデル生成器125は以前の処置情報(例えば、投与の量、間隔、等)を使用してモデルの精度を高めるか、又は調整する。モデル生成器125はPKサーバ130に患者特異的なモデルを送信する。
【0054】
[0054]代替的に、PKサーバ130は、患者特異的な薬物動態学的分散を考慮するためにモデル生成器125によって提供される薬物動態学的モデルを使用して患者特異的なモデルを作成するように構成されている。このやり方において、特定の患者についての以前の処置情報を受信することに応答して、1つ又は複数のベースモデルがPKサーバ130によって精度を高められるか、又は調整される。PKサーバ130は、同一のヘルスケア事業者又は他のヘルスケア事業者による後続の使用のために、患者特異的なモデルをデータベース115に記憶するように構成されていてもよい。
【0055】
[0055]患者についてのPKプロファイルが生成されると、PKサーバはPKプロファイルを薬物モニタリングツール150に送信するように構成されている。いくつかの実施形態において、PKサーバ130は送信に先立ってデータファイルを暗号化することができる。ツール150が患者特異的な認証キーを有する場合、薬物モニタリングツール150が受信したPKプロファイルを開くこと、及び処理することだけができるように、暗号化は特定の患者に特異的であってよい。
【0056】
[0056]他の実施形態において、PKサーバ130はQR生成器132にPKプロファイルを提供することができる。QR生成器132は薬物モニタリングツール150によってスキャナ160を介してスキャンされ得るキューアール(QR)コードを生成することができる。QRコードは、QRコードを暗号化する既知の、又は知られることになる方法を使用して暗号化することもできる。いくつかの例において、QRコードの暗号化はPKプロファイルが生成された患者について特異的である。したがって、薬物モニタリングツール150が適切なセキュリティキー(複数可)及び復号ロジックを含む場合、薬物モニタリングツール150はQRコードをスキャンすること、及び処理することだけができる。特に、QRコードは薬物モニタリングツール150のユーザに提示され得る。次いでユーザはスキャナ160を使用してQRコードをスキャンする。いくつかの実施形態において、薬物モニタリングツールはアクティブ化ツールキット155を含む。アクティブ化ツールキット155は、患者が、患者のPKプロファイルを受信すること、及び/又は最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくともに応答して薬物モニタリングツール150の機能群にアクセスできるように構成されている。
【0057】
[0057]薬物モニタリングツール150がアクティブ化されると、ツール150はプロセッサ(複数可)165を介して、ツール150上の表示のための対話的なユーザインターフェース175を生成する。ユーザインターフェース175の例を、例えば図5を参照して、本明細書でさらに説明する。ユーザインターフェース175はあらゆる所与の時間における患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量の図形表示を表示するように構成されている。治療的血漿タンパク質の時間変化量に関連付けられるゾーンの輪郭を描く図形表示。それぞれのゾーンは患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量の特定の濃度範囲に関連付けられる。
【0058】
[0058]薬物モニタリングツール150は注射ポンプ140及び生体学的収集器135に通信可能に連結することができる。注射ポンプ140は特定の凝固因子VIII薬物を、投与レジメン/処置スケジュールに基づいて、自動的に投与するように構成することができる。いくつかの実施形態において、注射ポンプ140は、生体学的収集器135によって収集された生体学的なサンプルの結果に応答して特定の凝固因子VIII薬物の用量を投与するように構成することができる。例えば、収集器135は血液サンプルを収集し、患者の因子VIIIレベルを決定することができる。その量に応答して、注射ポンプ140は特定の凝固因子VIII薬物の用量を投与することができる。
【0059】
[0059]追加的に、環境100は、ネットワーク105に連結され、リモートサーバ120及び薬物モニタリングツールの両方と通信する、エコシステムモニタリングシステム180を含むことができる。システム180は患者が購入するための特定の凝固因子VIII薬物を準備するように、薬剤師に通知を提供することができる。例えば、患者が近い将来薬物を必要とするように、システム180は患者が残りの薬物の閾値量を有しているかどうかを判断することができる。同様に、システム180は、医師が患者に関連付けられるリアルタイムの情報を有していることを確認するために、医師に連絡を取ることができる。したがって、医師は必要が生じると、患者のケアをするために迅速な行動をとることができる。
【0060】
[0060]図2は本開示の例示的な実施形態による、特定の患者のPKプロファイルを生成するための方法200の流れ図である。205において、方法200は患者情報を収集すること(例えば、患者サンプル110、病歴、等)を含む。210において、方法200は患者についてPKプロファイル210を生成することを含む。PKプロファイルは、2014年6月20日に提出された米国特許出願公開第14/311,133号(現在2014年12月25日付けで米国特許出願公開2014/0379629号として公開されている)に説明されるように生成することができる。その教示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。215において、方法200は、PKプロファイルをエンコードすることを含む。いくつかの例において、PKプロファイルは既知の、又は知られることになる電子データエンコード手法を使用してPKサーバ130によってエンコードされ得る。220において、方法200は薬物モニタリングツール150にPKプロファイルを送信することを含む。
【0061】
[0061]図3は本開示の例示的な実施形態による、PKプロファイルをQRコードに変換するための方法300の流れ図である。310において、方法300はPKプロファイルから必須のデータポイントを抽出することを含む。例えば、以下の表1は例示の患者についてQRコードにエンコードされる情報を明らかにする。
【表1】


次いで320において、方法300は、上の表1からの情報を使用してQRコードを生成する。方法300はAES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有するためにQRコードを生成することができる。
【0062】
[0062]図4は本開示の例示的な実施形態による、薬物モニタリングツール(例えば、図1のツール150)の対話的なユーザインターフェース400を示す。対話的なユーザインターフェースはあらゆる所与の時間における患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量の図形表示405を表示するように構成されている。この例において、表示は電池の表示である。当業者であればあらゆる表示が薬物レベルの時間変化する本質を伝えるために使用できることを理解するであろう。治療的血漿タンパク質の時間変化量に関連付けられるゾーン415a~cの輪郭を描く図形表示405。例えば、安全ゾーン415aは凝固因子VIIIのレベルが多くの予期される活動レベルについて安全であるとみなされることを示している。警告ゾーン415bは、出血イベントを防ぐために患者が活動レベルを慎重に選択するべきである指標を患者に提供する。危険ゾーン415cは近い将来患者が特定の凝固因子VIII薬物の新しい用量を投与するべきことを示す。危険ゾーン415cはさらに、活動レベルを最小限にとどめるべきであることの指標を患者に提供する。
【0063】
[0063]インターフェース400は、ある薬物(例えば、特定の凝固因子VIII薬物)の現在の薬物レベル(例えば、因子レベル)の表示も含む。ユーザインターフェース400は、特定の時間における患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量についての要求に対応する患者の入力を受信するように構成されている図的な制御要素410をさらに含む。患者が図的な制御要素410をスライドさせることに応答して、対話的なユーザインターフェース400は、図的な制御要素410の位置に対応する特定の時間における患者内の治療的血漿タンパク質の時間変化量を表示するように構成されている。
【0064】
[0064]図5は例示的なコンピューティングデバイス3000の詳細なブロック図である。コンピューティングデバイス3000は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、サーバシステム、クラウドベースのコンピュータシステム、無線送信/受信ユニット(WTRU)(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、等)などの、あらゆる通信デバイスであってもよい。したがって、コンピューティングデバイス3000は例えば、リモートサーバ120、薬物モニタリングツール150、及び/又はエコシステムモニタリングシステム180であってもよい。
【0065】
[0065]この例において、デバイス3000はメインユニット3102を含む。メインユニット3102は、アドレス/データバス3106によって、1つ又は複数のメモリデバイス3108、他のコンピュータ回路3110、及び1つ又は複数のインターフェース回路3112と通信可能に連結される、1つ又は複数のプロセッサ3104を含むことが好ましい。プロセッサ3104は、マイクロプロセッサのINTEL PENTIUM(登録商標)、又はCORE(商標)ファミリーからのマイクロプロセッサなどの、あらゆる適切なプロセッサであってもよい。メモリ3108は揮発性メモリ、及び非揮発性メモリを含むことが好ましい。メモリ3108は上述のように環境100内の他のデバイスと対話するソフトウェアプログラムを記憶することが好ましい。このプログラムはあらゆる適切なやり方で、プロセッサ3104によって実行することができる。例示的な実施形態において、デバイス3000によってクラウドコンピューティングが利用され得るように、メモリ3108は「クラウド」の一部であってもよい。メモリ3108は、デバイス3000から検索される(又はデバイス3000を介してロードされる)文書、ファイル、プログラム、ウェブページ、患者サンプル、薬物動態学的モデル、患者の薬物動態学的プロファイル、等を示すデジタルデータを記憶することもできる。
【0066】
[0066]例示的なメモリデバイス3108はソフトウェア命令3123、患者サンプル/薬物動態学的モデル3124、アプリケーションインターフェース3126、ユーザインターフェースの特徴、許可、プロトコル、識別コード、内容情報、登録情報、イベント情報、及び/又は設定を記憶する。メモリデバイス3108は、ネットワーク又はシステムインターフェースの特徴、許可、プロトコル、設定、及び/又はデバイス3000による使用のための選好情報3128を記憶することもできる。本明細書で開示される方法及び装置の実装を容易にするために、多くの他のデータフィールド及びレコードがメモリデバイス3108に記憶され得ることが諒解されよう。加えて、あらゆるタイプの適切なデータ構造(例えば、フラットファイルデータ構造、リレーショナルデータベース、ツリーデータ構造、等)が本明細書で開示される方法及び装置の実装を容易にするために使用され得ることが諒解されよう。
【0067】
[0067]インターフェース回路3112は、イーサネット(登録商標)インターフェース及び/又はユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースなどのあらゆる適切なインターフェース規格を使用して実装することができる。データ及びコマンドをメインユニット3102に入力するために、1つ又は複数の入力デバイス3114がインターフェース回路3112に接続することができる。例えば、入力デバイス3114はキーボード、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント、イメージセンサ、文字認識、バーコードスキャナ、マイクロフォン、及び/又は発話若しくは音声認識システムであってもよい。
【0068】
[0068]1つ又は複数のディスプレイ、プリンタ、スピーカ、及び/又は他の出力デバイス3116はさらにインターフェース回路3112を介して、メインユニット3102に接続されてもよい。ディスプレイは、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、又はあらゆる他のタイプのディスプレイであってもよい。ディスプレイはデバイス3000の動作中に生成される視覚的な表示を生成する。例えば、ディスプレイはユーザインターフェースを提供することができ、またデバイス3000から受信した1つ又は複数のウェブページを表示することができる。ユーザインターフェースは、リンク、ボタン、タブ、チェックボックス、サムネイル、テキストフィールド、ドロップダウンボックス等を含む、デバイス3000のユーザから人間の入力のためのプロンプトを含むことができ、ユーザ入力に応答して、テキスト、静止画像、動画、音声、及びアニメーションなどの様々な出力を提供することができる。
【0069】
[0069]1つ又は複数の記憶デバイス3118はさらにインターフェース回路3112を介して、メインユニット3102に接続されてもよい。例えば、ハードドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、及び/又は他の記憶デバイスをメインユニット3102に接続することができる。記憶デバイス3118は、識別子、識別コード、登録情報、患者サンプル、患者情報、薬物動態学的モデル、患者の薬物動態学的プロファイル、処置レジメン、統計的なデータ、セキュリティデータ等、デバイス3000によって使用され得るようなあらゆるタイプのデータを記憶することができる。
【0070】
[0070]コンピューティングデバイス3000は、ネットワーク3121(例えば、インターネット)又はネットワーク3121に接続される無線送受信機3122への接続を介して他のネットワークデバイス3120とデータを交換することもできる。ネットワークデバイス3120は、あるタイプのデータを記憶するために使用され得る1つ又は複数のサーバ、及び1つ又は複数のデータリポジトリに記憶され得る特に大容量のデータを含むことができる。サーバはデータベース、プログラム、ファイル、ライブラリ、識別子、識別コード、登録情報、内容情報、患者サンプル、患者情報、薬物動態学的モデル、患者の薬物動態学的プロファイル、処置レジメン、統計的なデータ、セキュリティデータ等を含むあらゆる種類のデータを処理すること、又は管理することができる。サーバは大容量のデータを受信すること、送信すること、処理すること、及び記憶することに関する様々なアプリケーションを記憶し、動作させることができる。1つ又は複数のサーバの様々な設定が、環境100のデバイス3000をサポート、維持、又は実装するために使用され得ることを諒解すべきである。例えば、サーバはPKサーバ108、病院システム、患者、薬物製造元、サービスプロバイダ等のオペレータを含む様々な異なるエンティティによって動作させられ得る。さらに、一時的又は永続的のいずれかで、サーバ、例えば、メモリ3108又は記憶デバイス3118、にも記憶される、あるデータがデバイス3000に記憶されてもよい。ネットワーク接続はイーサネット接続、デジタル加入者線(DSL)、電話線、同軸ケーブル、無線接続等のような、あらゆるタイプのネットワーク接続であってもよい。
【0071】
[0071]デバイス3000へのアクセスは、適当なセキュリティソフトウェア又はセキュリティ対策によって制御することができる。個別のサードパーティクライアント又は消費者のアクセスはデバイス3000によって定義され、あるデータ及び/又はアクションに限定することができる。したがって、環境100のユーザはコンピューティングデバイス3000に登録することが要求され得る。
【0072】
[0072]本開示はその例示的な実施形態を参照して特に示し、説明してきたが、当業者であれば添付の特許請求の範囲によって包含される本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び細部における様々な変更がそこでなされ得ることを理解されたい。
[発明の項目]
[項目1]
患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを受信するように構成されているデータ受信機と、
前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを前記患者に表示するように構成されている対話的なユーザインターフェースであって、前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、凝固因子VIIIの投与された用量及び前記患者の前記PKプロファイルに基づいている、対話的なユーザインターフェースと、
を備える、薬物モニタリングツール。
[項目2]
前記患者の前記PKプロファイルが、サンプリングされた患者のPKプロファイルのベイズモデルに基づいており、さらに、前記患者の体重、フォン・ウィルブランド因子(「vWF」)レベル、及び/又は年齢のうちの少なくとも1つに基づく、項目1に記載の薬物モニタリングツール。
[項目3]
前記データ受信機が、少なくともPKプロファイル情報を含む患者情報を記憶するキューアール(QR)コードをスキャンするように構成されているカメラであり、
前記薬物モニタリングツールが、前記QRコードに記憶された前記患者情報を抽出するとともに処理するように構成されているQRコードプロセッサをさらに備える、項目1に記載の薬物モニタリングツール。
[項目4]
前記データ受信機が、セキュアサーバから前記PKプロファイルを受信するように構成されている通信インターフェースであって、前記受信されたPKプロファイルが暗号化されており、
前記通信インターフェースが前記暗号化されたPKプロファイルを復号化するようにさらに構成されている、項目1に記載の薬物モニタリングツール。
[項目5]
AES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有する前記QRコードを生成するように構成されているQRコード生成器をさらに備える、項目3に記載の薬物モニタリングツール。
[項目6]
前記QRコード生成器が、前記薬物モニタリングツールから離れたセキュアサーバに配置される、項目5に記載の薬物モニタリングツール。
[項目7]
前記QRコードが、患者特定情報、患者生理学的データ、患者投与情報、及び/又は前記患者のPKプロファイル情報、のうちの少なくとも1つ、又はそのあらゆる組み合わせを含み、前記患者投与情報が、特定の凝固因子VIII薬物についての予防的投与レジメンを含む、項目3に記載の薬物モニタリングツール。
[項目8]
前記患者の前記PKプロファイルを受信すること、及び/又は最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくともに応答して前記薬物モニタリングツールの機能群にアクセスできるように構成されているアクティブ化ツールキットをさらに備える、項目1に記載の薬物モニタリングツール。
[項目9]
前記対話的なユーザインターフェースが、あらゆる所与の時間における前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の時間変化量の図形表示を表示するように構成されており、前記図形表示が、前記治療的血漿タンパク質の前記時間変化量に関連付けられるゾーンの輪郭を描いており、それぞれのゾーンが、前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の前記時間変化量の特定の濃度範囲に関連付けられる、項目1に記載の薬物モニタリングツール。
[項目10]
前記対話的なユーザインターフェースが、特定の時間における前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の前記時間変化量についての要求に対応する患者の入力を受信するように構成されている図的な制御要素を含み、前記対話的なユーザインターフェースが、前記特定の時間における前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の前記時間変化量の前記図形表示を表示するように構成されている、項目9に記載の薬物モニタリングツール。
[項目11]
患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを受信するように構成されているデータ受信機と、
前記患者内の時間変化する薬物濃度レベルを患者に提示するように構成されている対話的なユーザインターフェースであって、前記時間変化する薬物濃度レベルが、対象薬物の投与された用量及び前記患者の前記PKプロファイルに基づいている、対話的なユーザインターフェースと、
を備える、薬物モニタリングツール。
[項目12]
薬物モニタリングツールによって実行される、薬物モニタリングする方法であって、
患者の薬物動態学的(PK)プロファイルを受信するステップと
前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを患者に表示することを対話的なユーザインターフェースにさせるステップであって、前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、凝固因子VIIIの投与された用量及び前記患者の前記PKプロファイルに基づいている、ステップと、
を含む、薬物モニタリングする方法。
[項目13]
前記患者の前記PKプロファイルが、サンプリングされた患者のPKプロファイルのベイズモデルに基づいており、さらに、患者の体重、フォン・ウィルブランド因子(「vWF」)レベル、及び/又は年齢のうちの少なくとも1つに基づく、項目12に記載の方法。
[項目14]
前記PKプロファイルを受信するステップが、少なくともPKプロファイル情報を含む患者情報を記憶するキューアール(QR)コードをスキャンするステップと、
前記QRコードに記憶された前記患者情報を抽出するとともに処理するステップと、
を含む、項目12に記載の方法。
[項目15]
セキュアサーバから前記PKプロファイルを受信するステップであって、前記受信されたPKプロファイルが暗号化されている、受信するステップと、前記暗号化されたPKプロファイルを復号化するステップと、
をさらに含む、項目12に記載の方法。
[項目16]
AES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有する前記QRコードを生成するステップをさらに備える、項目14に記載の方法。
[項目17]
前記QRコードが、患者特定情報、患者生理学的データ、患者投与情報、及び/又は前記患者のPKプロファイル情報、のうちの少なくとも1つ、又はそのあらゆる組み合わせを含み、前記患者投与情報が特定の凝固因子VIII薬物についての予防的投与レジメンを含む、項目14に記載の方法。
[項目18]
患者が、前記患者の前記PKプロファイルを受信すること、及び/又は最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくともに応答して前記薬物モニタリングツールの機能群にアクセスできるようにするステップをさらに含む、項目12に記載の方法。
[項目19]
あらゆる所与の時間における前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の時間変化量の図形表示を表示するステップであって、前記図形表示が、前記治療的血漿タンパク質の前記時間変化量に関連付けられるゾーンの輪郭を描いており、それぞれのゾーンが、前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の前記時間変化量の特定の濃度範囲に関連付けられる、ステップをさらに含む、項目12に記載の方法。
[項目20]
特定の時間における前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の前記時間変化量についての要求に対応する患者の入力を受信するように構成されている図的な制御要素を用意するステップと、
前記特定の時間における前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の前記時間変化量の前記図形表示を表示するステップと、
をさらに含む、項目19に記載の方法。
[項目21]
治療的血漿タンパク質投与レジメン装置と、薬物モニタリングツールと、を備える薬物モニタリングシステムであって、
前記治療的血漿タンパク質投与レジメン装置は、
サンプリングされた患者の薬物動態学的(PK)プロファイルのベイズモデルを作成するモデル生成器であり、
前記ベイズモデルが(i)治療的血漿タンパク質のクリアランス、及び(ii)患者の年齢又は体重のうちの少なくとも1つに基づく治療的血漿タンパク質についての分布容積関連性、を含む、モデル生成器と、
PKサーバであり、
前記ベイズモデル、前記患者内の前記治療的血漿タンパク質の半減期、及び前記患者の年齢又は前記患者の体重のうちの少なくとも1つ、に基づいて患者の近似のPKプロファイルを決定することと、
前記患者の前記近似のPKプロファイルに基づき時間期間を通しての用量及び治療的血漿タンパク質レベルを含む前記治療的血漿タンパク質投与レジメンを決定することと、
前記患者に用量を適用するための投与間隔を受信することに応答して前記治療的血漿タンパク質投与レジメンを修正することと、
前記修正された治療的血漿タンパク質投与レジメンをクライアントデバイスに送信することと、
を行うように構成されている、PKサーバと、
を含み、
前記薬物モニタリングツールは、
患者の前記薬物動態学的(PK)プロファイルを受信するように構成されているデータ受信機と、
前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルを前記患者に表示するように構成されている対話的なユーザインターフェースであり、前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、凝固因子VIIIの投与された用量及び前記患者の前記PKプロファイルに基づいている、対話的なユーザインターフェースと、
を含む、薬物モニタリングシステム。
[発明の条項]
[条項1]
薬物モニタリングツールであって、
(i)サンプリングされた患者の薬物動態学的(PK)プロファイルのベイズモデルと、(ii)前記患者の体重、フォン・ウィルブランド因子(vWF)レベル、及び/又は年齢のうちの少なくとも1つとに基づく前記患者のPKプロファイルを受信するように構成されているデータ受信機と、
対話的なユーザインターフェースであり、
凝固因子VIIIの投与された用量及び前記患者の前記PKプロファイルに基づいて前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの図形表示を前記患者に表示することと、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルに関連付けられた前記図形表示内に複数のゾーンの輪郭を描くことであって、前記複数のゾーンが、少なくとも、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、身体的活動について安全とみなされる第1の濃度範囲内にあることを前記患者に示す安全ゾーンと、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが第2の濃度範囲内にあり、身体的活動が限定されるべきであることを前記患者に示す危険ゾーンと、
を含む、描くことと、
を行うように構成されている対話的なユーザインターフェースと、
を備える、薬物モニタリングツール。
[条項2]
前記複数のゾーンの各々が、前記患者内の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの特定の濃度範囲に関連付けられている、条項1に記載の薬物モニタリングツール。
[条項3]
前記患者の前記PKプロファイルを受信すること、及び/又は最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくともに応答して前記薬物モニタリングツールの機能群にアクセスできるように構成されているアクティブ化ツールキットをさらに備える、条項1に記載の薬物モニタリングツール。
[条項4]
前記対話的なユーザインターフェースが、特定の時間における前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルについての要求に対応する患者の入力を受信するように構成されている図的な制御要素を含み、前記対話的なユーザインターフェースが、前記特定の時間における前記患者内の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの前記図形表示を表示するように構成されている、条項1に記載の薬物モニタリングツール。
[条項5]
前記図的な制御要素が、前記複数のゾーンの間でスライド可能である、条項4に記載の薬物モニタリングツール。
[条項6]
前記データ受信機が、少なくともPKプロファイル情報を含む患者情報を記憶するキューアール(QR)コードをスキャンするように構成されているカメラであり、
前記薬物モニタリングツールが、前記患者のPKプロファイルを抽出するとともに処理するように構成されているQRコードプロセッサをさらに備える、条項1に記載の薬物モニタリングツール。
[条項7]
AES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有する前記QRコードを生成するように構成されているQRコード生成器をさらに備える、条項6に記載の薬物モニタリングツール。
[条項8]
薬物モニタリングツールによって実行される、薬物モニタリングする方法であって、
前記薬物モニタリングツールにおいて、(1)サンプリングされた患者の薬物動態学的(PK)プロファイルのベイズモデルと、(2)前記患者の体重、フォン・ウィルブランド因子(vWF)レベル、及び/又は年齢のうちの少なくとも1つとに基づく前記患者のPKプロファイルを受信するステップと、
対話的なユーザインターフェースにおいて、凝固因子VIIIの投与された用量及び前記患者の前記PKプロファイルに基づく前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの図形表示を表示するステップであって、前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルは、前記対話的なユーザインターフェースにおいて、
前記凝固因子の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、身体的活動について安全とみなされる第1の濃度範囲内にあることを前記患者に示す安全ゾーン、又は
前記凝固因子の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが第2の濃度範囲内にあり、身体的活動が限定されるべきであることを前記患者に示す危険ゾーン
のいずれかとともに表示される、ステップと、
を含む、方法。
[条項9]
前記安全ゾーン及び前記危険ゾーンが、前記患者内の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの特定の濃度範囲に関連付けられている、条項8に記載の方法。
[条項10]
患者が、前記患者の前記PKプロファイルを受信すること、及び/又は最初の予防的な注射のログを受信すること、のうちの少なくともに応答して前記薬物モニタリングツールの機能群にアクセスできるようにするステップをさらに含む、条項8に記載の方法。
[条項11]
前記PKプロファイルを受信するステップが、少なくともPKプロファイル情報を含む患者情報を記憶するキューアール(QR)コードをスキャンするステップと、
前記QRコードに記憶された前記患者情報を抽出するとともに処理するステップと、
を含む、条項8に記載の方法。
[条項12]
AES-256暗号化を使用して暗号ブロックチェーン化(CBC)及び公開鍵暗号標準(PKCS)パディングで暗号化された患者情報を有する前記QRコードを生成するステップをさらに備える、条項11に記載の方法。
[条項13]
前記QRコードが、患者特定情報、患者生理学的データ、患者投与情報、及び/又は前記患者のPKプロファイル情報、のうちの少なくとも1つ、又はそのあらゆる組み合わせを含み、前記患者投与情報が特定の凝固因子VIII薬物についての予防的投与レジメンを含む、条項11に記載の方法。
[条項14]
セキュアサーバから前記PKプロファイルを受信するステップであって、前記受信されたPKプロファイルが暗号化されている、受信するステップと、
前記暗号化されたPKプロファイルを復号化するステップと、
をさらに含む、条項8に記載の方法。
[条項15]
前記対話的なユーザインターフェースの図的な制御要素により、特定の時間における前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルについての要求に対応する患者の入力を受信するステップと、
前記特定の時間における前記患者内の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの前記図形表示を表示するステップと、
をさらに含む、条項8に記載の方法。
[条項16]
前記図的な制御要素が前記安全ゾーン及び前記危険ゾーンの間でスライド可能である、条項15に記載の方法。
[条項17]
リモートサーバシステムと、薬物モニタリングツールと、を備える薬物モニタリングシステムであって、
前記リモートサーバシステムは、
サンプリングされた患者の薬物動態学的(PK)プロファイルのベイズモデルを含むモデル生成器と、
PKサーバであり、
前記ベイズモデルと、患者の体重、フォン・ウィルブランド因子レベル、及び年齢のうちの少なくとも1つとに基づく患者のPKプロファイルを決定すること
を行う、PKサーバと、
を含み、
前記薬物モニタリングツールは、
凝固因子VIIIの前記患者への投与された用量及びタイミング並びに前記患者の前記PKプロファイルに基づく、前記薬物モニタリングシステムによって決定された前記患者の時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの図形表示を表示する対話的なユーザインターフェースであり、前記図形表示が、前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルに関連付けられた前記図形表示内に複数のゾーンの輪郭を描き、前記複数のゾーンが、少なくとも、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが、身体的活動について安全とみなされる第1の濃度範囲内にあることを前記患者に示す安全ゾーンと、
前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルが第2の濃度範囲内にあり、身体的活動が限定されるべきであることを前記患者に示す危険ゾーンと、
を含む、対話的なユーザインターフェース、
を含む、薬物モニタリングシステム。
[条項18]
前記対話的なユーザインターフェースが、特定の時間における前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルについての要求に対応する患者の入力を受信するように構成されている図的な制御要素を含み、前記対話的なユーザインターフェースが、前記特定の時間における前記患者内の前記時間変化する治療的血漿タンパク質レベルの前記図形表示を表示するように構成されている、条項17に記載の薬物モニタリングシステム。
[条項19]
前記図的な制御要素が、前記複数のゾーンの間でスライド可能である、条項18に記載の薬物モニタリングシステム。
[条項20]
前記患者のPKプロファイルを記憶するQRコードを生成するQRコード生成器を更に備えており、
前記薬物モニタリングツールは、前記QRコードを読むカメラと、前記QRコードから前記患者のPKプロファイルを抽出するコードプロセッサと、を更に備えており、
前記QRコード生成器が、スキームバージョン、クリニックの患者ID、体重、アルファ、ベータ、K21、V1、持続時間、投与間隔、FVIIIベースライン、目標値、時間の上回り、時間の下回り、及びタイムスタンプからなる群から各々独立に選択される複数のフィールドを使用して前記QRコードを生成する、条項17に記載の薬物モニタリングシステム。
図1
図2
図3
図4
図5