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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/195 20060101AFI20240111BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240111BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/20 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/746 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/738 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/18 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 36/752 20060101ALI20240111BHJP
   A61K 38/01 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
A61K31/195
A61P17/02
A61K47/46
A61K8/44
A61K8/9789
A61Q19/00
A61K9/08
A61K36/20
A61K36/746
A61K36/53
A61K36/738
A61K36/18
A61K36/28
A61K36/61
A61K36/73
A61K36/752
A61K38/01
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021504004
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2020007894
(87)【国際公開番号】W WO2020179587
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2019038677
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥家 圭悟
(72)【発明者】
【氏名】池田 良
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105395463(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105434211(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108685789(CN,A)
【文献】特開平10-265321(JP,A)
【文献】特開2003-267882(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104042450(CN,A)
【文献】特開2017-193506(JP,A)
【文献】特開2008-184387(JP,A)
【文献】NEWS RELEASE 株式会社ディーエイチシー 「DHC 濃密うるみ肌 薬用 美白化粧水」「DHC 濃密うるみ肌 薬用 美白乳液」新発売のお知らせ,2016年02月29日,https://top.dhc,co.jp/cOntents/guide/newsrelease/pdf/160229.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 36/00-36/9068
A61K 8/00-8/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トラネキサム酸、トラネキサム酸セチルエステル及びトラネキサム酸メチルアミド、ならびにこれらの塩から選ばれる1種以上、及び、
(B)下記(B-1)~(B-2)群から選ばれる1種以上
(B-1)シルバーバイン抽出物及びイロハモミジ抽出物
(B-2)ノニ果汁
を含有する外用剤。
【請求項2】
(A):(BI)で表される、(A)成分と(BI)成分との含有質量比が、20,000:1~0.5:1である請求項1記載の外用剤。
【請求項3】
(BI)成分が下記成分である場合、
シルバーバイン抽出物の含有量が0.00025~0.05質量%、
イロハモミジ抽出物の含有量が0.0005~0.1質量%、
ノニ果汁の含有量が0.01~4質量%
である、請求項1又は2記載の外用剤。
【請求項4】
(A)トラネキサム酸、トラネキサム酸セチルエステル、トラネキサム酸メチルアミド、ならびにこれらの塩から選ばれる1種以上を含有する外用剤に配合する、上記(A)成分の結晶化抑制剤であって
(BII)下記(B-1)~(B-3)群から選ばれる1種以上
(B-1)マヨラナ抽出物、シルバーバイン抽出物、ウメ抽出物、イロハモミジ抽出物、エイジツ抽出物、ゼニアオイ抽出物、アルニカ抽出物、ユーカリ抽出物及びローヤルゼリー抽出物
(B-2)ノニ果汁及びレモン果汁
(B-3)コンキオリン加水分解物及びシルク加水分解物
を含有する結晶化抑制剤
【請求項5】
(A):(BII)で表される、(A)成分と(BII)成分との含有質量比が、20,000:1~0.5:1である請求項4記載の結晶化抑制剤。
【請求項6】
(BII)成分が下記成分である場合、
マヨラナ抽出物の含有量が0.0005~0.1質量%、
シルバーバイン抽出物の含有量が0.00025~0.05質量%、
ウメ抽出物の含有量が0.001~0.2質量%、
イロハモミジ抽出物の含有量が0.0005~0.1質量%、
エイジツ抽出物の含有量が0.0008~0.32質量%、
ゼニアオイ抽出物の含有量が0.0028~0.56質量%、
アルニカ抽出物の含有量が0.0005~0.1質量%、
ユーカリ抽出物の含有量が0.0005~0.1質量%、
ローヤルゼリー抽出物の含有量が0.0005~0.1質量%、
ノニ果汁の含有量が0.01~4質量%、
レモン果汁の含有量が0.05~10質量%
である、請求項4又は5記載の結晶化抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラネキサム酸を含有する外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラネキサム酸は、止血作用や抗炎症作用を有し、歯磨剤、医薬品等に広く使用されている。また、荒れ肌改善作用や美白作用を有し、化粧品等の皮膚又は毛髪用外用剤としても使用されている。
【0003】
しかしながら、トラネキサム酸は水溶性である一方で非常に結晶性が高く、水分の蒸発により、容易に結晶が析出するという課題があった。このようなトラネキサム酸の結晶化抑制の方法としては、フィチン酸(特許文献1:特開2018-48097号公報)、ポリヒドロキシ酸(特許文献2:特開2013-121955号公報)を併用する方法等が提案されている。しかしながら、トラネキサム酸の結晶化抑制効果にさらに優れた方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-48097号公報
【文献】特開2013-121955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、トラネキサム酸の結晶化抑制効果を有する外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の成分を併用することで、顕著なトラネキサム酸の結晶化抑制効果が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は下記外用剤を提供する。
1.(A)トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体及びこれらの塩から選ばれる1種以上、及び、
(B)下記(B-1)~(B-3)群から選ばれる1種以上
(B-1)マヨラナ抽出物、シルバーバイン抽出物、ウメ抽出物、イロハモミジ抽出物、エイジツ抽出物、ゼニアオイ抽出物、アルニカ抽出物、ユーカリ抽出物及びローヤルゼリー抽出物
(B-2)ノニ果汁及びレモン果汁
(B-3)コンキオリン加水分解物及びシルク加水分解物
を含有する外用剤。
2.(B)成分が、(B-1)マヨラナ抽出物、シルバーバイン抽出物、ウメ抽出物、イロハモミジ抽出物、エイジツ抽出物、ゼニアオイ抽出物、アルニカ抽出物、ユーカリ抽出物及びローヤルゼリー抽出物から選ばれる1種以上である1記載の外用剤。
3.(B)成分が、(B-2)ノニ果汁及びレモン果汁から選ばれる1種以上である1記載の外用剤。
4.(B)成分が、(B-3)コンキオリン加水分解物及びシルク加水分解物から選ばれる1種以上である1記載の外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顕著なトラネキサム酸の結晶化抑制効果を有する外用剤を提供することができる。これにより、トラネキサム酸の効果が十分に発揮できると共に、外用剤の外観も良く、使用感も良好なものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体及びこれらの塩から選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。トラネキサム酸は、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸である。トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸セチルエステル等のエステル誘導体、トラネキサム酸メチルアミド等のアミド誘導体が挙げられる。塩としては、特に限定されず、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属塩、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ステアリルアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。
【0010】
(A)成分の含有量は特に限定されないが、外用剤中1~5質量%が好ましく、1~2質量%がより好ましい。
【0011】
[(B)成分]
(B)成分は、下記群から選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
(B-1)マヨラナ抽出物、シルバーバイン抽出物、ウメ抽出物、イロハモミジ抽出物、エイジツ抽出物、ゼニアオイ抽出物、アルニカ抽出物、ユーカリ抽出物及びローヤルゼリー抽出物
(B-2)ノニ果汁及びレモン果汁
(B-3)コンキオリン加水分解物及びシルク加水分解物
【0012】
(B-1)マヨラナ抽出物、シルバーバイン抽出物、ウメ抽出物、イロハモミジ抽出物、エイジツ抽出物、ゼニアオイ抽出物、アルニカ抽出物、ユーカリ抽出物及びローヤルゼリー抽出物
【0013】
本実施形態において「抽出物」には、上記植物等を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
【0014】
マヨラナ(学名:Origanum majorana、英名:Sweet marjoram)は、シソ科に属する植物である。抽出物は葉から抽出されるものが好ましい。マヨラナ抽出物の医薬部外品成分表示名称としては、マヨラナエキスが挙げられ、商品としては、マジョラム抽出液BG(丸善製薬株式会社製)が挙げられる。
【0015】
シルバーバイン(学名:Actinidia polygama、英名:Silver Vine)は、マタタビ科に属する植物であり、シルバーバイン果実はマタタビである。抽出物は果実から抽出されるものが好ましい。シルバーバイン抽出物の医薬部外品成分表示名称としては、シルバーバイン果実エキスが挙げられ、商品としては、シルバーバイン抽出液BG30(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0016】
ウメ(学名:Prunus mume Siebold et Zuccarini)はバラ科に属する植物で、ウメ果実はその果実である。抽出物は果実から抽出されるものが好ましい。ウメ抽出物の医薬部外品成分表示名称としては、ウメ果実エキスが挙げられ、商品としては和ism<ウメ>(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0017】
イロハモミジ(学名:Acer palmatum)は、カエデ科カエデ属に属する植物である。抽出物は葉から抽出されるものが好ましい。イロハモミジ抽出物の化粧品成分表示名称としては、イロハモミジ葉エキスが挙げられ、商品としては和ism<モミジ>(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0018】
エイジツ(学名:Rosa multiflora)は、バラ科バラ属に属するノイバラの成熟果実を乾燥させたものである。エイジツ抽出物の医薬部外品成分表示名称としては、エイジツエキスが挙げられ、商品としてはエイジツ抽出液BG-01(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0019】
ゼニアオイ(学名:Malva mauritiana L.)は、アオイ科ゼニアオイ属に属する植物である。抽出物は花部から抽出されるものが好ましい。ゼニアオイ抽出物の医薬部外品成分表示名称としては、ゼニアオイエキスが挙げられ、商品としてはマローモイスチャー(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0020】
アルニカ(学名:Arnica montana L.)は、キク科ウサギギク属に属する植物である。抽出物は花部から抽出されるものが好ましい。アルニカ抽出物の医薬部外品成分表示名称としては、アルニカエキスが挙げられ、商品としてはアルニカ抽出液BG(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0021】
ユーカリ(学名:Eucalyptus globules Labillardiere又はその他近縁植物)は、フトモモ科に属する植物である。抽出物は葉から抽出されるものが好ましい。ユーカリ抽出物の医薬部外品成分表示名称としてはユーカリエキスが挙げられ、商品としてはユーカリ抽出液BG(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0022】
ローヤルゼリーは、ミツバチが分泌する成分である。ミツバチとしては特に限定されず、ヨーロッパミツバチ(学名:Apis melifica L.)、トウヨウミツバチ(学名:Apis indeca Radoszkowski)等が挙げられる。ローヤルゼリー抽出物の医薬部外品成分表示名称としてはローヤルゼリーエキスが挙げられ、商品としてはローヤルゼリー抽出液BG(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
抽出原料は特に限定されず、そのまま又は粉砕等をしてもよい。ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。
【0024】
抽出溶媒は特に限定されないが、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0025】
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を抽出溶媒として使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比が9:1~1:9(容量比)であることが好ましく、7:3~2:8(容量比)であることがさらに好ましい。また、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族ケトンとの混合比が9:1~2:8(容量比)であることが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水と多価アルコールとの混合比が8:2~1:9(容量比)であることが好ましい。
【0026】
抽出方法は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬して抽出する。抽出温度は特に限定されず、低温、常温、加熱下で可溶性成分を抽出させればよい。適宜撹拌等を行ってもよい。抽出後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。適宜、公知の精製方法を用いてもよい。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
【0027】
(B-2)ノニ果汁、レモン果汁
ノニ(学名:Morinda citrifolia、和名ヤエヤマアオキ)の植物である。ノニ果汁は、果汁そのものでもよく、ノニの果実を自然発酵させて作られるノニジュースであってもよい。さらに上記抽出溶媒等に用いられるものを添加してもよい。医薬部外品成分表示名称としてはノニ果汁が挙げられ、商品としては和ism<ノニ果汁>(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
レモン(学名:Citrus limon)は、ミカン科の植物である。レモン果汁は、果汁そのものであってもよく、抽出されたエキスでもよい。医薬部外品成分表示名称としてはレモン果汁が挙げられ、商品としては和ism<レモン果汁>(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0029】
(B-3)コンキオリン加水分解物、シルク加水分解物
コンキオリン加水分解物は、真珠母貝(アコヤガイ、学名:Pinctada fucata)の真珠層に含まれる硬タンパク質であるコンキオリンを加水分解したものである。加水分解の方法は特に限定されず、例えば、酸、アルカリ又は酵素で加水分解すればよく、加水分解物の水溶液としてもよい。コンキオリン加水分解物の医薬部外品成分表示名称としては、加水分解コンキオリン液が挙げられ、商品としては真珠たん白抽出液BG-JC<NP>(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0030】
シルク加水分解物は、家蚕から得られる絹繊維を加水分解したものである。加水分解の方法は特に限定されず、例えば、酸、アルカリ又は酵素で加水分解すればよく、加水分解物の水溶液としてもよい。シルク加水分解物の医薬部外品成分表示名称としては、加水分解シルク液が挙げられ、商品としてはゴールデンシルク抽出液BG30(丸善製薬株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
(B)成分の含有量は特に限定されないが、外用剤中0.00025~10質量%が好ましく、0.0005~5質量%がより好ましく、0.0025~1質量%がさらに好ましい。この範囲とすることで、トラネキサム酸の結晶化抑制効果がより向上する。なお、「ノニ果汁」及び「レモン果汁」は果汁量であり、その他は固形分換算量である。
【0032】
特に下記の成分又はその塩の場合は、下記範囲が特に好ましい。
マヨラナ抽出物:0.0005~0.1質量%が好ましく、0.001~0.05質量%がより好ましく、0.005~0.01質量%がさらに好ましい。
シルバーバイン抽出物:0.00025~0.05質量%が好ましく、0.0005~0.025質量%がより好ましく、0.0025~0.005質量%がさらに好ましい。
ウメ抽出物:0.001~0.2質量%が好ましく、0.002~0.1質量%がより好ましく、0.01~0.02質量%がさらに好ましい。
イロハモミジ抽出物:0.0005~0.1質量%が好ましく、0.001~0.05質量%がより好ましく、0.005~0.01質量%がさらに好ましい。
エイジツ抽出物:0.0008~0.32質量%が好ましく、0.0016~0.16質量%がより好ましく、0.008~0.032質量%がさらに好ましい。
ゼニアオイ抽出物:0.0028~0.56質量%が好ましく、0.0056~0.28質量%がより好ましく、0.028~0.056質量%がさらに好ましい。
アルニカ抽出物:0.0005~0.1質量%が好ましく、0.001~0.05質量%がより好ましく、0.005~0.01質量%がさらに好ましい。
ユーカリ抽出物:0.0005~0.1質量%が好ましく、0.001~0.05質量%がより好ましく、0.005~0.01質量%がさらに好ましい。
ローヤルゼリー抽出物:0.0005~0.1質量%が好ましく、0.001~0.05質量%がより好ましく、0.005~0.01質量%がさらに好ましい。
ノニ果汁:0.01~4質量%が好ましく、0.02~2質量%がより好ましく、0.1~0.4質量%がさらに好ましい。
レモン果汁:0.05~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましく、0.5~1質量%がさらに好ましい。
コンキオリン加水分解物:0.001~0.15質量%が好ましく、0.002~0.075質量%がより好ましく、0.01~0.015質量%がさらに好ましい。
シルク加水分解物:0.0015~0.2質量%が好ましく、0.003~0.1質量%がより好ましく、0.015~0.02質量%がさらに好ましい。
【0033】
(A):(B)で表される、(A)成分と(B)成分との含有質量比は20,000:1~0.5:1が好ましく、10,000:1~1:1がより好ましく、5,000:1~2:1がさらに好ましく、1,000:1~2:1が特に好ましい。この範囲とすることで、トラネキサム酸の結晶化抑制効果がより向上する。
【0034】
[任意成分]
本発明の外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、外用剤に通常用いられる成分を適量配合することができる。このような成分としては、例えば、美白剤、抗老化剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、酵素、植物抽出物等の機能性成分の他、油剤、界面活性剤、香料、色素、pH調整剤等が挙げられる。これらは、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて、適量を用いることができる。
【0035】
外用剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品等特に限定されない。皮膚用、頭髪用の外用剤に好適である。皮膚は、顔、頭皮、腕等の身体等、特に限定されないが、口腔内は含まない。外用剤の形態としては特に限定されず、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、エアゾール剤等にすることができる。トラネキサム酸の結晶化抑制効果が期待される形態としては、液剤、ローション剤等が挙げられる。
【0036】
外用剤、特に医薬部外品又は化粧品用の外用剤とする場合の用途としては、例えば、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム等の基礎化粧料;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー等の皮膚洗浄料;シャンプー、リンス、トリートメント等の頭皮及び毛髪化粧料;ファンデーション、リップ、マスカラ等のメイクアップ化粧料等が挙げられる。
【0037】
外用剤のpHは特に限定されず、25℃で3~8が好ましく、5~7がより好ましい。
【0038】
[トラネキサム酸の結晶化抑制方法]
本発明は、(A)トラネキサム酸、トラネキサム酸誘導体及びこれらの塩から選ばれる1種以上を含有する外用剤に、(B)下記群から選ばれる1種以上
(B-1)マヨラナ抽出物、シルバーバイン抽出物、ウメ抽出物、イロハモミジ抽出物、エイジツ抽出物、ゼニアオイ抽出物、アルニカ抽出物、ユーカリ抽出物及びローヤルゼリー抽出物
(B-2)ノニ果汁及びレモン果汁
(B-3)コンキオリン加水分解物及びシルク加水分解物
を配合する、トラネキサム酸の結晶化抑制方法を提供する。また、上記(A)成分と(B)成分とを含有するトラネキサム酸の結晶化抑制剤とすることもできる。それぞれ、好適な成分、配合量等は上記と同じである。
【実施例
【0039】
以下、試験例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。表中の「ノニ果汁」及び「レモン果汁」は果汁量であり、その他は固形分換算量である。
【0040】
下記成分について、表中に記載の濃度でトラネキサム酸の結晶化抑制試験を行った。結果を表中に併記する。
[試験例:トラネキサム酸の結晶化抑制]
(1)試験サンプル(pH5.5~6.5)
下記組成の組成物を作製した。
トラネキサム酸 2%
1,3-ブチレングリコール 30%
サンプル 表中の記載濃度
クエン酸1水和物 適量
クエン酸3ナトリウム2水和物 適量
精製水 残部
合計 100%
【0041】
(2)試験方法
上記組成物を下記プレートに3.0g/ウェルで添加し、室温で18時間保存後に下記(3)に記載の方法で画像解析を行った。
プレート
株式会社ステム社製
材質:PS(ポリスチレン)
プレートサイズ:128mm×86mm×20mm
型番:6穴(平底)
ウェル径×高さ(mm):φ33.5×16.7
【0042】
(3)画像解析
・画像解析
スキャナ:Docu Center-IV C5575(Fuji Xerox社製)
画像取り込み解像度:300dpi
画像解析ソフト:ImageJ(ver. 1.50i)
画像のウェル内部の領域をOvalツールによって円形に選択し、Analyze/MeasureでMean gray valueを測定した。
【0043】
(4)Mean gray valueの結果から、トラネキサム酸の結晶化抑制効果を下記基準で示す。数値が低いほど、トラネキサム酸の結晶化抑制効果が高いことを示す。
+++:10未満
++:10以上25未満
+:25以上40未満
-:40以上
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
表2~4の結果から、表2~4に記載サンプルにはトラネキサム酸の結晶化抑制効果を有することが確認された。
【0049】
[実施例]
精製水に精製水以外の成分を混合溶解して調製し、表4に示す組成の化粧水を得た。トラネキサム酸と抽出物以外の成分は、化粧品表示名称、及び()内はINCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)名で記載する。上記と同様の方法でトラネキサム酸の結晶化抑制効果を評価したところ、トラネキサム酸の結晶化抑制効果が確認された。
【0050】
【表5】
【0051】
試験例及び実施例で使用した原料を下記に示す。
【表6】