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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】投与量測定システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20240112BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/20 510
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020536176
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2018086102
(87)【国際公開番号】W WO2019129621
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】17306953.5
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シャーバッハ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/142511(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03058970(EP,A1)
【文献】特表2013-505433(JP,A)
【文献】特表2014-531283(JP,A)
【文献】国際公開第2017/070391(WO,A2)
【文献】特表2017-508596(JP,A)
【文献】特表2015-529481(JP,A)
【文献】国際公開第2015/136513(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスのための投与量測定システムであって、該薬剤送達デバイスは、薬剤リザーバと、該薬剤リザーバから薬剤を投薬するように軸方向に可動の投薬部材を含む投薬機構とを含み、ここで、投薬部材は、親ねじを含み、投薬機構は、親ねじを駆動部材に対して軸方向に変位させて薬剤リザーバから薬剤を投薬するように回転するように構成された駆動部材をさらに含み、該投与量測定システムは:
親ねじの軸方向変位を測定するように構成されたセンサユニットであって、信号を伝送し、信号が親ねじから反射されるように構成され、反射信号を検出するように構成されるセンサユニットと;
投薬部材の測定された軸方向変位に基づいて、薬剤リザーバから投薬された投与量を判定するように構成されたプロセッサとを含む、前記投与量測定システム。
【請求項2】
センサユニットは、投薬部材がセンサユニットから離れるように動いて薬剤リザーバから薬剤を投薬するように位置するように構成される、請求項1に記載の投与量測定システム。
【請求項3】
センサユニットは、伝送部材を含み、信号は、伝送部材を通って伝送され、好ましくは伝送部材は光ガイドを含む、請求項1または2に記載の投与量測定システム。
【請求項4】
センサユニットは、駆動部材内で移動する信号を伝送するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の投与量測定システム。
【請求項5】
センサユニットは、薬剤送達デバイスと一体化される、請求項1~のいずれか1項に記載の投与量測定システム。
【請求項6】
センサユニットは、薬剤送達デバイスに取外し可能に取付け可能である、請求項1~のいずれか1項に記載の投与量測定システム。
【請求項7】
薬剤送達デバイスは、薬剤を投薬するために使用者によって作動可能なアクチュエータ
を含み、センサユニットは、アクチュエータに取り付けられるように構成される、請求項1~のいずれか1項に記載の投与量測定システム。
【請求項8】
アクチュエータは、空間を含み、センサユニットは、該空間内に少なくとも部分的に受け入れられるように構成される、請求項に記載の投与量測定システム。
【請求項9】
アクチュエータが作動しているときのみ、プロセッサが薬剤リザーバから投薬された投与量を判定するように構成される、請求項またはに記載の投与量測定システム。
【請求項10】
アクチュエータは、作動したときに第1の位置から第2の位置へ動くように構成され、センサユニットは、アクチュエータとともに第1および第2の位置間で動くように、アクチュエータに取り付けられるように構成される、請求項のいずれか1項に記載の投与量測定システム。
【請求項11】
投与量測定システムは、薬剤送達デバイスに固定されるように構成された第1の部材と、第1の部材に取外し可能に取付け可能である第2の部材とを含み、好ましくは、第2の部材は、プロセッサを含む、請求項1~10に記載の投与量測定システム。
【請求項12】
第1の部材は伝送部材を含む、請求項に従属する請求項11に記載の投与量測定システム。
【請求項13】
請求項1に記載の投与量測定システムを含む投与量測定デバイス。
【請求項14】
薬剤送達システムであって:
薬剤リザーバおよび該薬剤リザーバから薬剤を投薬するように軸方向に可動の投薬部材を含む投薬機構を含む薬剤送達デバイスと;
請求項1に記載の投与量測定システムとを含む前記薬剤送達システム。
【請求項15】
薬剤リザーバは、薬剤を収容する、請求項14に記載の薬剤送達システム。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか1項に記載の投与量測定システムを使用して、薬剤送達デバイスから投薬された薬剤の投与量を判定する方法であって、薬剤送達デバイスは、薬剤リザーバと、該薬剤リザーバから薬剤を投薬するように軸方向に可動の投薬部材とを含み:
センサユニットが、投薬部材の軸方向変位を測定することと、
プロセッサが、投薬部材の測定された軸方向変位に基づいて、薬剤リザーバから投薬された投与量を判定することとを含む前記方法。
【請求項17】
投薬部材は、親ねじを含み、投薬機構は、親ねじを駆動部材に対して軸方向に変位させて薬剤リザーバから薬剤を投薬するように回転するように構成された駆動部材をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
センサユニットは、投薬部材がセンサユニットから離れるように動いて薬剤リザーバから薬剤を投薬するように位置するように構成される、請求項16または17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投与量測定システムに関する。本発明はまた、投与量測定デバイス、薬剤送達システム、および薬剤送達デバイスから投薬された薬剤の投与量を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による定期的な治療を必要とする様々な疾病が存在する。そのような注射は、医療従事者または患者自身によって適用される注射デバイスを使用して実行することができる。一例として、1型および2型の糖尿病は、たとえば1日1回または数回のインスリン用量の注射によって、患者自身が治療することができる。たとえば、充填済みの使い捨てインスリンペンを注射デバイスとして使用することができる。別法として、再利用可能なペンを使用することもできる。再利用可能なペンでは、空の薬剤カートリッジを新しいものに交換することが可能である。いずれのペンにも1組の一方向針が付随しており、これらの針は使用前に毎回交換される。次いでたとえば、投与量ノブを回して、インスリンペンの用量窓またはディスプレイから実際の用量を観察することによって、注射予定のインスリン用量をインスリンペンで手動で選択することができる。次いで好適な皮膚部分に針を挿入し、インスリンペンの注射ボタンを押下することによって、用量が注射される。インスリン注射を監視すること、たとえばインスリンペンの誤った取扱いを防止すること、またはすでに投与された用量を追跡することが可能になるように、たとえば注射済みインスリン用量の情報など、注射デバイスの状態および/または使用に関係する情報を測定することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改善された投与量測定システム、投与量測定デバイス、薬剤送達システム、および薬剤送達デバイスから投薬された薬剤の投与量を判定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、薬剤送達デバイスのための投与量測定システムが提供され、薬剤送達デバイスは、薬剤リザーバと、薬剤リザーバから薬剤を投薬するように軸方向に可動の投薬部材を含む投薬機構とを含み、投与量測定システムは:投薬部材の軸方向変位を測定するように構成されたセンサユニットと;投薬部材の測定された軸方向変位に基づいて、薬剤リザーバから投薬された投与量を判定するように構成されたプロセッサとを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、センサユニットは、既存の薬剤送達デバイスの端部に、薬剤送達デバイスの大幅な修正を必要とすることなく取り付けることができる。たとえば、既存の薬剤送達デバイスが親ねじを含む投薬部材を有する場合、センサユニットは、親ねじの軸方向変位を測定するように、たとえば薬剤送達デバイスの近位端に取り付けることができる。
【0006】
センサユニットは、投薬部材がセンサユニットから離れるように動いて薬剤リザーバから薬剤を投薬するように位置するように構成することができる。
【0007】
一実施形態では、センサユニットは、信号を伝送し、前記信号が投薬部材から反射されるように構成され、センサユニットは、前記反射信号を検出するように構成される。一実施形態では、センサユニットは、信号が親ねじの近位向きの面から反射されるように構成される。
【0008】
一実施形態では、センサユニットは、伝送部材を含み、前記信号は、伝送部材を通って伝送される。したがって、伝送部材は、信号を投薬部材に向かって誘導するのに役立つ。したがって、センサ自体は、投薬部材に近接して位置する必要がない。伝送部材は、光ガイドを含むことができる。
【0009】
一実施形態では、投薬部材は、親ねじを含み、投薬機構は、親ねじを駆動部材に対して軸方向に変位させて薬剤リザーバから薬剤を投薬するように回転するように構成された駆動部材をさらに含む。したがってセンサは、薬剤送達デバイスの径方向寸法を低減させるように、親ねじと軸方向に位置合わせして設けることができる。
【0010】
一実施形態では、センサユニットは、駆動部材内で移動する信号を伝送するように構成される。駆動部材は、駆動スリーブとすることができる。駆動スリーブは、略円筒形の周壁を含むことができる。
【0011】
投薬部材は、薬剤リザーバから薬剤を投薬するようにハウジングに対して軸方向に可動の構成要素とすることができる。
【0012】
一実施形態では、センサユニットは、薬剤送達デバイスと一体化される。
【0013】
一実施形態では、センサユニットは、薬剤送達デバイスに取外し可能に取付け可能である。したがって、薬剤送達デバイスを処分することができ、薬剤送達デバイスを処分する前に、再利用のためにセンサユニットを薬剤送達デバイスから取り外すことができる。
【0014】
一実施形態では、センサユニットは、光センサ、磁気センサ、音響センサ、または容量センサのうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
一実施形態では、センサユニットは、前記信号が投薬部材の端部から反射されるように構成される。センサユニットは、信号が投薬部材の近位向きの面から反射されるように構成することができる。したがって、センサユニットは、デバイスの径方向寸法を低減させるために、投薬部材の近位側に位置することができる。
【0016】
一実施形態では、投与量測定システムは、ディスプレイを含む。ディスプレイは、投与量情報を表示するように構成することができる。
【0017】
一実施形態では、薬剤送達デバイスは、薬剤を投薬するために使用者によって作動可能なアクチュエータを含み、センサユニットは、アクチュエータに取り付けられるように構成される。アクチュエータは、空間を含むことができ、センサユニットは、空間内に少なくとも部分的に受け入れられるように構成される。
【0018】
一実施形態では、アクチュエータは、作動したときに第1の位置から第2の位置へ動くように構成され、センサユニットは、アクチュエータとともに第1および第2の位置間で動くようにアクチュエータに取り付けられるように構成される。1つのそのような実施形態では、プロセッサは、アクチュエータが第2の位置にあるときのみ、薬剤リザーバから投薬された投与量を判定するように構成される。
【0019】
一実施形態では、投与量測定システムは、アクチュエータが作動しているときのみ、プロセッサが薬剤リザーバから投薬された投与量を判定するように構成される。これは、プロセッサが不正確な投与量情報を提供することを防止するのに役立つ。
【0020】
一実施形態では、投与量測定システムは、薬剤送達デバイスに固定されるように構成された第1の部材と、第1の部材に取外し可能に取付け可能である第2の部材とを含む。第2の部材は、プロセッサを含むことができる。したがって、第1の部材は、薬剤送達デバイスとともに処分することができ、第2の部材をさらなる薬剤送達デバイスの第1の部材に取り付けて再利用することができる。一実施形態では、第1の部材は伝送部材を含む。
【0021】
本発明によれば、本発明による投与量測定システムを含む投与量測定デバイスも提供される。
【0022】
本発明によれば、薬剤送達システムも提供され、薬剤送達システムは:薬剤リザーバおよび薬剤リザーバから薬剤を投薬するように軸方向に可動の投薬部材を含む投薬機構を含む薬剤送達デバイスと;本発明による投与量測定システムとを含む。薬剤リザーバは、薬剤を収容することができる。
【0023】
本発明によれば、薬剤送達デバイスから投薬された薬剤の投与量を判定する方法も提供され、薬剤送達デバイスは、薬剤リザーバと、薬剤リザーバから薬剤を投薬するように軸方向に可動の投薬部材とを含み、この方法は:投薬部材の軸方向変位を測定することと;投薬部材の測定された軸方向変位に基づいて、薬剤リザーバから投薬された投与量を判定することとを含む。
【0024】
一実施形態では、投薬部材は、親ねじを含み、投薬機構は、親ねじを駆動部材に対して軸方向に変位させて薬剤リザーバから薬剤を投薬するように回転するように構成された駆動部材をさらに含む。一実施形態では、センサユニットは、投薬部材がセンサユニットから離れるように動いて薬剤リザーバから薬剤を投薬するように位置するように構成される。この配置により、薬剤送達デバイスをより細くすることが可能になる。
【0025】
本発明の上記その他の態様は、以下に記載する実施形態から明らかであり、以下に記載する実施形態を参照することによって解明される。
【0026】
本発明の実施形態について、例示のみを目的として添付の図面を参照して次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】注射デバイスおよび投与量測定システムを含む本発明の第1の実施形態による薬剤送達システムの分解図である。
図2図1の注射デバイスの摺動要素の斜視図である。
図3図1の注射デバイスの数字スリーブ(number sleeve)の斜視図である。
図4図3の数字スリーブの別のセクションの斜視図である。
図5図1の注射デバイスの駆動ばねの斜視図である。
図6A図1の注射デバイスのボタンおよび数字スリーブの斜視図である。
図6B図1の注射デバイスのボタンおよび数字スリーブの別の斜視図である。
図7図1の注射デバイスの駆動機構の部材の斜視図である。
図8A図1の注射デバイスの駆動スリーブの斜視図である。
図8B図1の注射デバイスのクラッチ板の斜視図である。
図9A図1の注射デバイスの用量設定シーケンスを示す側面図である。
図9B図1の注射デバイスの用量設定シーケンスを示す側面図である。
図10図1の注射デバイスのボタンおよびハウジングの斜視図である。
図11A図1の薬剤送達システムの後部の断面側面図である。
図11B図11Aの薬剤送達システムの後部の拡大断面側面図である。
図12A図1の注射デバイスの駆動スリーブと数字スリーブとの間の相互作用を示す図である。
図12B図1の注射デバイスの駆動スリーブと数字スリーブとの間の相互作用を示す図である。
図13図1の投与量測定システムの側面図である。
図14図1の投与量測定システムのブロック図である。
図15】本発明の第2の実施形態による薬剤送達システムの一部の断面側面図である。
図16】本発明の第3の実施形態による薬剤送達システムの一部の断面側面図である。
図17】本発明の第4の実施形態による薬剤送達システムの一部の断面側面図である。
図18】本発明の第5の実施形態による薬剤送達システムの一部の概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に記載する薬物送達デバイスは、患者に薬剤を注射するように構成することができる。たとえば送達は、皮下、筋肉内、または静脈内で行うことができる。そのようなデバイスは、患者または看護師もしくは医師などの医療従事者が操作することができ、様々なタイプの安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器を含むことができる。デバイスは、カートリッジに基づくシステムを含むことができ、封止されたアンプルを使用前に穿孔する必要がある。これらの様々なデバイスによって送達される薬剤の体積は、約0.5ml~約2mlの範囲とすることができる。さらに別のデバイスは、大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを含むことができ、ある時間(たとえば、約5、15、30、60、または120分)にわたって患者の皮膚に付着して、「大」容量の薬剤(典型的には、約2ml~約10ml)を送達するように構成される。
【0029】
特有の薬剤と組み合わせて、本明細書に記載するデバイスはまた、必要とされる仕様の範囲内で動作するようにカスタマイズすることができる。たとえば、デバイスは、特定の期間(たとえば、自動注射器の場合は約3~約20秒、LVDの場合は約10分~約60分)の範囲内で薬剤を注射するようにカスタマイズすることができる。他の仕様は、低レベルもしくは最小レベルの不快さ、または人的要因、保管寿命、有効期限、生体適合性、環境的考慮などに関係する特定の条件を含むことができる。そのような変動は、たとえば薬物の粘性が約3cP~約50cPの範囲に及ぶことなどの様々な要因によって生じる可能性がある。したがって、薬物送達デバイスは、サイズが約25~約31ゲージの範囲の中空の針を含むことが多い。一般的なサイズは17および29ゲージである。
【0030】
本明細書に記載する送達デバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動機能を含むことができる。たとえば、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動化工程のためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって提供することができる。エネルギー源は、たとえば、機械、空気圧、化学、または電気エネルギーを含むことができる。たとえば、機械エネルギー源は、エネルギーを貯蔵または解放するためのばね、てこ、エラストマー、または他の機械機構を含むことができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源は、単一のデバイス内に組み合わせることができる。デバイスは、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きに変換するためのギア、バルブ、または他の機構をさらに含むことができる。
【0031】
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動機能は各々、起動機構を介して起動することができる。そのような起動機構は、アクチュエータ、たとえばボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。自動機能の起動は、1つの工程または複数の工程を含むプロセスとすることができる。すなわち、使用者は、自動機能が行われるように、1つまたはそれ以上の起動構成要素を起動する必要がある。たとえば、1つの工程を含むプロセスでは、使用者は、薬剤の注射を行うために、ニードルスリーブを自身の体に当てて押し下げることができる。他のデバイスは、複数の工程を含む自動機能の起動を必要とする。たとえば、使用者は、注射を行うために、ボタンを押し下げて、ニードルシールドを後退させる必要がある。
【0032】
加えて、1つの自動機能の起動によって1つまたはそれ以上の次の自動機能を起動し、それによって起動シーケンスを形成することができる。たとえば、第1の自動機能の起動により、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの少なくとも2つを起動することができる。いくつかのデバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動機能が行われるように、特有の一連の工程を必要とする。他のデバイスは、一連の独立した工程によって動作することができる。
【0033】
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。たとえば、送達デバイスは、薬剤を自動的に注射するように構成された機械エネルギー源(典型的には、自動注射器で見られる)と、用量設定機構(典型的には、ペン注射器で見られる)とを含むことができる。
【0034】
「遠位」という用語は、注射部位に比較的近い位置を指し、「近位」という用語は、注射部位から比較的離れた位置を指す。
【0035】
図1は、薬剤送達デバイス1および投与量測定システム60を含む薬剤送達システムの第1の実施形態の構成要素の分解図である。
【0036】
本実施形態では、薬剤送達デバイス1は、注射デバイス1の形態である。注射デバイス1は、ダイヤルグリップ2の形態の用量ダイヤル2と、細長い窓7を有する本体またはハウジング3と、数字スリーブ4の形態の用量スケールドラム(dose scale drum)とを含む。
【0037】
数字スリーブ4は、その外周面に、遠位端から近位端へ螺旋パターンで延びる外側ねじ山5を有する。数字スリーブ4は、数字スリーブ上に印刷された印6を保持する。印6は、数字スリーブ4上に螺旋パターンで位置する。
【0038】
注射デバイス1は、摺動窓12を有するゲージ構成要素として構成された摺動要素11をさらに含む。
【0039】
注射デバイス1は投薬機構をさらに含み、投薬機構は、ねじりばね14の形態の駆動ばね14と、トリガボタン18と、クラッチ板19と、最終用量ナット(last dose nut)20と、駆動スリーブ21と、クラッチばね22と、親ねじ23の形態の投薬部材と、親ねじ23の遠位端に設けられた支承部24とを含む。
【0040】
ハウジング3の遠位端に取り付けることができるカートリッジホルダ25が設けられ、カートリッジホルダ25は、薬剤が充填されたカートリッジ26を受け、カートリッジ26内には栓(図示せず)が位置する。支承部24が遠位方向に動くとき、支承部24は栓を変位させ、したがって両頭針カニューレなどの投薬インターフェースがカートリッジ26の遠位端に取り付けられているとき、薬剤がカートリッジ26から投薬される。
【0041】
数字スリーブ4は、数字スリーブ上部27と呼ばれる上部数字スリーブ部材27と、数字スリーブ下部28と呼ばれる下部数字スリーブ部材28とを含む。用量ダイヤル2およびボタン18は、別個の個々の構成要素である。本実施形態では、すべての構成要素が、機構の共通の主長手方向軸の周りに同心円状に位置する。本体またはハウジング3はまた、外側ハウジングまたは筐体に固定された本体要素とすることができる。
【0042】
ボタン18は、用量ダイヤル2に恒久的にスプライン連結される。ボタン18はまた、ボタン18が押下されていないときは数字スリーブ上部27にスプライン連結されるが、このスプラインインターフェースは、ボタン18が押下されると切り離される。ボタン18が押下されると、ボタン18上のスプラインがハウジング3上のスプラインに係合し、投薬中のボタン18(したがって、用量ダイヤル2)の回転を防止する。これらのスプラインは、ボタン18が解放されると係合解除され、用量をダイヤル設定することが可能になる。
【0043】
用量ダイヤル2は、ハウジング3に軸方向に拘束される。用量ダイヤル2は、スプライン連結インターフェースを介してボタン18に回転不能に拘束される。数字スリーブ下部28は、数字スリーブ4を形成するための組立て中に数字スリーブ上部27に強固に固定され、数字スリーブ4の成形ツールおよび組立てを簡略化するために別個の構成要素である。このサブアセンブリは、並進運動ではなく回転を可能にするように、要素(図示せず)を遠位端に向かって保持することによってハウジング3に拘束される。数字スリーブ下部28は、一連の数字の形態の指標で印付けられており、これらの指標は、ダイヤル設定された薬剤の用量を示すための摺動要素11の窓12およびハウジング3内の窓7を通して見える。
【0044】
クラッチ板19は、数字スリーブ4にスプライン連結される。クラッチ板19はまた、ラチェットインターフェースを介して駆動スリーブ21に連結される。ラチェットは、数字スリーブ4と駆動スリーブ21との間に各用量単位に対応する戻り止め位置を提供し、時計回りおよび反時計回りの相対回転中に異なる歯の傾斜角に係合する。摺動要素11は、スプライン連結インターフェースを介してハウジング3に対する回転を防止するが並進運動は可能にするように拘束される。摺動要素11は、数字スリーブ4内に切り込まれた螺旋形の外側ねじ山5に係合する螺旋機能をその内面に有し、したがって数字スリーブ4が回転すると摺動要素11は軸方向に並進運動する。摺動要素11上のこの螺旋機能はまた、設定することができる最小および最大用量を制限するために、数字スリーブ4内に切り込まれた螺旋の端部に対する止め当接部を作成する。
【0045】
最終用量ナット20は、数字スリーブ4と駆動スリーブ21との間に位置する。最終用量ナット20は、スプライン連結インターフェースを介して数字スリーブ4に回転不能に拘束される。最終用量ナット20は、数字スリーブ4と駆動スリーブ21との間に相対回転が生じたとき、ねじインターフェースを介して駆動スリーブ21に対して螺旋経路に沿って動く。駆動スリーブ21は、クラッチ板19とのインターフェースからクラッチばね22との接点まで延びる。ダイヤル設定中は数字スリーブ4とのスプライン連結歯インターフェースが係合されないが、ボタン18が押下されると係合され、投薬中の駆動スリーブ21と数字スリーブ4との間の相対回転を防止する。
【0046】
ハウジング3とのさらなるスプライン連結歯インターフェースは、用量設定中の駆動スリーブ21の回転を防止する。ボタン18が押下されると、駆動スリーブ21およびハウジング3が係合解除され、駆動スリーブ21が回転することが可能になる。用量設定中、使用者が用量ダイヤル2を回転させる作用によって、螺旋形の駆動ばね14に力が加わってエネルギーが貯蔵される。ばねエネルギーは、機構の投薬がトリガされるまで貯蔵され、機構の投薬がトリガされた時点で、貯蔵されているエネルギーを使用して、カートリッジから使用者へ薬剤を送達する。駆動ばね14は、一端がハウジング3に取り付けられ、他端が数字スリーブ4に取り付けられる。駆動ばね14は、組み立てたときに事前に巻かれており、したがって機構がゼロ単位にダイヤル設定されているとき、数字スリーブ4にトルクを印加する。用量を設定するために用量ダイヤル2を回転させる作用により、数字スリーブ4がハウジング3に対して回転し、駆動ばね14にさらに力が加えられる。
【0047】
親ねじ23は、スプライン連結インターフェースを介して駆動スリーブ21に回転不能に拘束される。回転したとき、親ねじ23は、ハウジング3とのねじインターフェース(図示せず)によって、駆動スリーブ21に対して軸方向に動かされる。支承部24は、親ねじ23に軸方向に拘束されており、液体薬剤カートリッジ26内の栓に作用する。
【0048】
駆動スリーブ21、クラッチ板19、およびボタン18の軸方向位置は、駆動スリーブ21に近位方向の力を印加するクラッチばね22の作用によって画成される。このばね力は、駆動スリーブ21、クラッチ板19、およびボタン18を介して反応され、「静止」しているとき、用量ダイヤル2を介してハウジング3へさらに反応される。このばね力により、ラチェットインターフェースが常に係合していることが確実になる。「静止」位置では、ボタンスプラインが数字スリーブ4に係合し、駆動スリーブの歯がハウジング3に係合することも確実になる。ハウジング3は、液体医薬品カートリッジ26およびカートリッジホルダ25、用量数および摺動要素を見るための窓、ならびに用量ダイヤル2(図示せず)を軸方向に保持するその外面上の機能に対する位置を提供する。取外し可能なキャップは、カートリッジホルダ25の上に嵌り、ハウジング3上のクリップ機能を介して保持される。
【0049】
図2は、窓12と、摺動要素11の内面上の雄ねじ機能29とを有する摺動要素11の内側を示し、雄ねじ機能29は、数字スリーブ4の外側ねじ山5(図3参照)に係合する。ねじ機能29は、ゼロ用量当接部(zero dose abutment)30および最大用量当接部(maximum dose abutment)31を有する。図3に示すように、外側ねじ山5は、ねじ山5の一端にゼロ用量当接部32を有し、外側ねじ山5の他端に最大用量当接部33を有し、したがって薬剤および使用者プロファイルに合うように、ゼロから事前に画成された最大までの間で増分的に任意の用量サイズを選択することができる。デバイスの組立て中に施された複数の事前に巻かれているターンを有する駆動ばね14は、数字スリーブ4にトルクを印加し、ゼロ用量当接部によって回転が防止される。
【0050】
図4に示すように、数字スリーブ4の内面は、引込み部34を有し、それに続いて溝35および引留め点36を有する。数字スリーブへの駆動ばね14の自動組立ては、大きい引込み部34および溝機能35を組み込むことによって実現することができる。組立て中に駆動ばね14が回転すると、駆動ばね14の一端のフック端37(図5参照)が溝機能35内に位置した後、数字スリーブ4内の引留め点36に係合する。
【0051】
図5に示すように、駆動ばね14は、少なくとも2つの異なるピッチを有する螺旋形のワイアから形成される。両端は「閉」コイル38から形成され、すなわちピッチはワイア径に等しく、各コイルは隣接するコイルに接触する。中心部分は「開」コイル39を有し、すなわちコイルは互いに接触しない。組立てに続いて、駆動ばね14の圧縮により、数字スリーブ4が一貫した方向にハウジング3に対して軸方向に付勢され、幾何公差の影響を低減させる。
【0052】
用量を選択するために、使用者は、ダイヤルグリップ2を時計回りに回転させる。図6Aおよび図6Bに示すように、ボタン18は内側スプライン40を有し、内側スプライン40は、数字スリーブ4の上部の対応するスプライン41に係合して、スプライン連結インターフェース40/41を作成する。ダイヤルグリップ2は、ボタン18にスプライン連結され、ボタン18は、ハウジング3の対応するスプラインに係合するための1組のさらなるスプライン42を有する。用量選択中、ダイヤルグリップ2の回転はボタン18へ伝達される。ボタン18は、スプライン40を介して数字スリーブ上部27にスプライン連結される(用量選択中のみ)。数字スリーブ上部27は、数字スリーブ下部28に恒久的に固定されて数字スリーブ4を形成する。したがって、ダイヤルグリップ2が回転すると、数字スリーブ4にも同一の回転が生成される。数字スリーブ4が回転することで、駆動ばね14に力が加えられて、駆動ばね14によって貯蔵されるエネルギーが増大する。数字スリーブ4が回転すると、摺動要素11は、数字スリーブ4とのそのねじ係合によって軸方向に並進運動し、それによってダイヤル設定された用量の値を示す。
【0053】
図7に示すように、駆動スリーブ21はスプライン43を有し、スプライン43は、ハウジング3の内側に形成された対応するスプライン44に係合して、スプライン連結インターフェース43/44を作成する。用量が設定されると、駆動スリーブ21の回転が防止され、数字スリーブ4は、そのスプライン連結歯43とハウジング3の歯44との係合によって回転する。したがって、数字スリーブ4によって駆動されるクラッチ板19と駆動スリーブ21との間に、ラチェットインターフェースを介して相対回転が生じる。
【0054】
図8Aおよび図8Bに示すように、駆動スリーブ21の端面は傾斜歯45を備え、クラッチ板19は傾斜歯46を備える。駆動スリーブ21の傾斜歯45は、クラッチ板19上の傾斜歯46とともにラチェットインターフェース45/46を形成する。
【0055】
クラッチ板19の外周には、数字スリーブ4上の対応する溝に係合するためのスプライン連結歯47が形成される。ダイヤルグリップ2を回転させるために必要とされる使用者トルクは、駆動ばね14を巻き上げるために必要とされるトルクと、ラチェットインターフェース45/46を緩めるために必要とされるトルクとの和である。クラッチばね22は、ラチェットインターフェース45/46に軸方向の力を提供し、クラッチ板19を駆動スリーブ21上へ付勢するように設計される。この軸方向の負荷は、クラッチ板19および駆動スリーブ21のラチェット歯45、46の係合を維持するように作用する。ラチェットインターフェース45/46を用量設定方向に緩めるために必要とされるトルクは、クラッチばね22によって印加される軸方向の負荷、ラチェットの時計回りの傾斜角、嵌合面間の摩擦係数、およびラチェット機能の平均半径に応じる。使用者が機構を1増分だけ増分させるのに十分にダイヤルグリップ2を回転させると、数字スリーブ4は、駆動スリーブ21に対して1ラチェット歯だけ回転する。この時点で、ラチェット歯45、46は、次の戻り止め位置へ再係合する。このラチェットの再係合によって可聴クリックが生成され、必要とされるトルク入力の変化によって触覚フィードバックが与えられる。
【0056】
ダイヤルグリップ2に使用者トルクが印加されていない場合、数字スリーブ4は、クラッチ板19と駆動スリーブ21との間のラチェット係合45/46のみによって、駆動ばね14によって印加されるトルクを受けて後方へ回転することが防止される。ラチェットインターフェース45/46を反時計回り方向に緩めるために必要なトルクは、クラッチばね22によって印加される軸方向の負荷、ラチェット歯45、46の反時計回りの傾斜角、嵌合面間の摩擦係数、およびラチェット機能の平均半径に応じる。ラチェットインターフェース45/46を緩めるために必要なトルクは、駆動ばね14によって数字スリーブ4(したがって、クラッチ板19)に印加されるトルクより大きくなければならない。したがって、ラチェット傾斜角は反時計回り方向に増大し、これが当てはまることを確実にしながら、ダイヤルアップトルクが可能な限り低いことを確実にする。使用者は、ダイヤルグリップ2を時計回り方向に引き続き回転させることによって、選択された用量を増大させることを選ぶことができる。数字スリーブ4と駆動スリーブ21との間のラチェットインターフェース45/46を緩めるプロセスは、用量増分ごとに繰り返される。用量増分ごとに駆動ばね14内に追加のエネルギーが貯蔵され、ラチェット歯45、46の再係合によってダイヤル設定される増分ごとに可聴および触覚フィードバックが提供される。ダイヤルグリップ2を回転させるために必要とされるトルクは、駆動ばね14を巻き上げるために必要とされるトルクが増大するにつれて増大する。したがって、ラチェットインターフェース45/46を反時計回り方向に緩めるために必要とされるトルクは、最大用量に到達したときに駆動ばね14によって数字スリーブ4に印加されるトルクより大きくなければならない。
【0057】
最大用量限界に到達するまで、使用者が選択された用量を引き続き増大させた場合、数字スリーブ4は、摺動要素11上の最大用量当接部31(図2および図3参照)に係合する。これにより、数字スリーブ4、クラッチ板19、およびダイヤルグリップ2のさらなる回転が防止される。
【0058】
最終用量ナット20は、数字スリーブ4にスプライン連結されると同時に、駆動スリーブ21にねじ留めされ、したがって用量設定中の数字スリーブ4および駆動スリーブ21の相対回転により、最終用量ナット20は、そのねじ経路に沿って駆動スリーブ21上の最終用量当接部に向かって移動する。用量の選択中にどれだけの増分が機構によってすでに送達されたかに応じて、最終用量ナット20は、駆動スリーブ21とのその最終用量当接部に接触することができる。この当接部は、数字スリーブ4と駆動スリーブ21との間のさらなる相対回転を防止し、したがって選択することができる用量を制限する。最終用量ナット20の位置は、使用者が用量を設定するたびに生じた数字スリーブ4と駆動スリーブ21との間の相対回転の総数によって決まる。
【0059】
用量が設定されたとき、使用者は、任意の数の増分をこの用量から選択解除することが可能である。用量の選択解除は、使用者がダイヤルグリップ2を反時計回りに回転させることによって実現される。使用者によってダイヤルグリップ2に印加されるトルクは、駆動ばね14によって印加されるトルクと組み合わせると、クラッチ板19と駆動スリーブ21との間のラチェットインターフェース45/46を反時計回り方向に緩めるのに十分である。ラチェットインターフェース45/46が緩んだとき、数字スリーブ4内に(クラッチ板19を介して)反時計回りの回転が生じ、それにより数字スリーブ4がゼロ用量位置に向かって戻り、駆動ばね14が緩められる。数字スリーブ4と駆動スリーブ21との間の相対回転により、最終用量ナット20は、その螺旋経路に沿って最終用量当接部から離れるように戻る。
【0060】
図9Aおよび図9Bに示すように、設定された用量数のみが使用者に見えることを確実にするために、摺動要素11は、ダイヤル選択された用量に隣接して数字スリーブ4上に印刷された数字を覆うフランジまたは延長部を、窓区域の両側に有する。注射デバイス1は、個別の用量数表示に加えて、視覚フィードバック機能を含む。摺動要素11の遠位端は、ハウジング3内の窓48を介して摺動スケールを作成する延長部15(図1参照)を有する。窓48は、窓7より小さくすることができる。
【0061】
用量が使用者によって設定されると、摺動要素11は軸方向に並進運動し、その移動距離は、設定された用量の大きさに比例する。この機能は、設定された用量の近似サイズに関する明確なフィードバックを使用者に与える。注射デバイス1の投薬速度は、手動注射デバイスの場合より速くすることができ、したがって投薬中に数値用量ディスプレイを読み取ることはできない可能性がある。摺動要素11は、投薬中、用量数自体を読み取ることを必要としない投薬の進行に関するフィードバックを使用者に提供する。
【0062】
窓48は、摺動要素11上の不透明な要素がその下にある対照的な色付き構成要素49を露出することによって形成することができる。別法として、露出可能な要素49に粗い用量数または他の指標を印刷して、より精密な分解能を提供することができる。加えて、この表示は、用量設定および投薬中のシリンジ動作をシミュレートする。
【0063】
ほこりの侵入を低減させ、使用者が可動部材に触れることを防止するために、ハウジング3内の観察開口部7および48は、半透明な窓によって覆われる。これらの窓7、48は、別個の構成要素とすることができるが、この実施形態では、「ツインショット」成形技術を使用してハウジング3に組み込まれている。半透明材料の第1のショットにより、内部機能および窓が形成され、次いで不透明材料の「第2のショット」により、ハウジング3の外側カバーが形成される。
【0064】
用量の送達は、使用者がボタン18を軸方向に押し下げることによって開始される。ボタン18(図6Aおよび図6B参照)が押し下げられると、ボタン18と数字スリーブ4との間のスプライン40および41が係合解除され、ボタン18およびダイヤルグリップ2を送達機構から回転可能に切り離す。
【0065】
図10に示すように、ボタン18上のスプライン42は、ハウジング3上のスプライン50に係合し、投薬中のボタン18(したがって、ダイヤルグリップ2)の回転を防止する。ボタン18が投薬中に静止しているとき、投薬クリッカ機構においてボタン18を使用することができる。ハウジング3内の止め機能が、ボタン18の軸方向移動を制限し、使用者によって印加されるあらゆる軸方向の乱用負荷に反応して、内部構成要素を損傷するリスクを低減させる。
【0066】
図11Aに示すように、駆動スリーブ21とボタン18との間に配置されたクラッチ板19は、ボタン18によって軸方向に動かされる。さらに、駆動スリーブ21は、クラッチ板19によって軸方向に動かされる。図12Aおよび図12Bに示すように、駆動スリーブ21の軸方向変位により、駆動スリーブ21上のスプライン51が数字スリーブ4上のスプライン52に係合し、したがってスプライン連結歯インターフェース51/52が形成され、投薬中の駆動スリーブ21と数字スリーブ4との間の相対回転を防止する。
【0067】
駆動スリーブ21とハウジング3との間のスプライン連結歯インターフェース43/44(図7に示す)が係合解除され、したがって駆動スリーブ21は次に、ハウジング3に対して回転することができ、駆動ばね14によって数字スリーブ4およびクラッチ板19を介して駆動される。駆動スリーブ21が回転すると、そのスプライン係合によって親ねじ23が回転し、次いで親ねじ23は、ハウジング3に対するそのねじ係合によって前進する。また、数字スリーブ4が回転すると、摺動要素11が軸方向後方へそのゼロ位置まで横断し、それによってゼロ用量当接部(図2および図3に示す)が機構を止める。
【0068】
駆動スリーブ21またはハウジング3上のスプライン歯を傾斜させることが可能であり、その結果、ゼロ用量当接部30が用量の端部で数字スリーブ4、したがって駆動スリーブ21の回転を止め、ボタン18が解放されると、駆動スリーブ21とハウジング3との間のスプライン歯が、駆動スリーブ21をわずかな量だけ後方へ回転させる。これにより、親ねじ23が栓から離れて軸方向後方へ動き、数字スリーブ下部28がゼロ用量止め位置から回転し、起こりうるにじみを防止するのに役立つ。
【0069】
本実施形態では、投与量測定システム60は、注射デバイス1の近位端に取り付けられた投与量測定デバイス60の形態である。
【0070】
投与量測定デバイス60は、ハウジング61と、投与量情報を提示するためのディスプレイ62とを含む。しかし、代替実施形態(図示せず)では、ディスプレイ62が省略されることを理解されたい。
【0071】
図14に示すように、データ測定デバイス60はまた、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つまたはそれ以上のプロセッサ63を、1つまたはそれ以上のコンピュータ可読メモリ媒体64とともに含む。本実施形態では、コンピュータ可読メモリ媒体64は、プロセッサ63によって実行するためのソフトウェアを記憶することができるプログラムメモリ64Aおよび主メモリ64Bを含むメモリユニット64A、64Bを含む。
【0072】
1つまたはそれ以上のセンサ66を含むセンサユニット65が設けられる。センサユニット65は、投薬機構の投薬部材の動きを検出するように構成され、この例では、投薬部材は親ねじ23である。この特定の実施形態では、センサ66は、光センサ66を含む。光センサ66は、レーザなどの光源66Aと、光トランスデューサなどの光検出器66Bとを含む。
【0073】
センサユニット65は、以下により詳細に説明する光ガイド67をさらに含む。
【0074】
投与量測定デバイス60は、出力68、電力スイッチ69、および電池70をさらに含む。電力スイッチ69の作動により、投与量測定デバイス60の電源が投入および遮断される。
【0075】
一実施形態では、電力スイッチ69は、使用者によって作動される投与量測定デバイス60のハウジング61上のボタン69を含む。別の実施形態では、電力スイッチ69は、投与量測定デバイス60の電源を投入または遮断することによって、ディスプレイ62に印加される圧力に応答するように構成される。さらに別の実施形態(図示せず)では、電力スイッチ69は、使用者がボタン18を作動させたときに作動される。たとえば、電力スイッチ69は、ボタン18上に電気接点(図示せず)を含むことができ、この電気接点は、ボタン18が押下されて投与量測定デバイス60の電源が投入されると、注射デバイス1の異なる部材、たとえばハウジング3または数字スリーブ4上の第2の電気接点(図示せず)に電気接触する。第1および第2の電気接点が接触すると、電力回路を閉じることができ、したがって投与量測定デバイス60に電源が投入される。
【0076】
有利には、そのような配置は、ボタン18がハウジング3内へ押下され、したがってその動作位置にあるときのみ、投与量測定デバイス60が送達されている投与量を測定するように動作することを確実にするのに役立つ。これにより、投与量測定の精度を改善することができる。なぜなら、そうでない場合、ボタン18がハウジング3内へ軸方向に動き、それによりセンサユニット65が親ねじ23に向かって動き、したがってセンサユニット65と親ねじ23との間の距離(図11Aおよび図11Bに矢印「D」によって示す)が低減する動きは、薬剤リザーバに薬剤が再充填されているように、センサユニット65には見えるからである。さらに、ボタン18が解放されたとき、ボタン18がハウジング3から軸方向に動き、それによりセンサユニット65が親ねじ23から離れるように動き、したがってセンサユニット65と親ねじ23との間の距離「D」が増大する動きは、投与量が注射デバイス1から排出されたように、センサユニット65には見える。しかし、ボタン18がその動作位置にあるときのみ投与量測定デバイス60が送達されている投与量を測定するように動作することを確実にするのに役立つ他の配置も可能であることを理解されたい。たとえば、プロセッサ63は、使用者によるボタン18の作動に対応する距離Dだけセンサユニット65が親ねじ23に向かって動いたことを計算して初めて、注射デバイス1から投薬された投与量の測定を開始するように構成することができる。追加または別法として、ボタン18の解放に一貫した期間内にセンサユニット65が親ねじ23に対して距離Dだけ動いたことをプロセッサ63が計算した場合、プロセッサ63は、この投与量測定を無視することができ、またはボタン18が解放されているときのものとしてこの投与量測定にフラグを立てることができる。さらなる実施形態では、電力スイッチ69は、ボタン18を押下した結果、電力スイッチ69も同時に押下されて、投与量測定デバイス60の電源を投入し、かつ/またはボタン18を解放した結果、電力スイッチ69も解放されて、投与量測定デバイス60の電源を遮断するように配置される。別の実施形態では、投与量測定デバイスの電源を投入および遮断する電力スイッチ69の代わりに、スイッチ69を押下して、特定のプログラムまたはルーチンを実行することができ、たとえばプロセッサ63に投与量判定プログラムを実行させることができる。
【0077】
本実施形態では、プロセッサ63、コンピュータ可読メモリ媒体64、センサ66、出力68、および電池70は、ハウジング61内に位置する。しかし、代替実施形態(図示せず)では、これらの構成要素のうちの1つまたはそれ以上が、ハウジング61の外に位置することもできることを理解されたい。
【0078】
出力68は、wi-fiもしくはBluetooth(登録商標)などの無線ネットワークを介して別のデバイスと通信するための無線通信インターフェース、またはユニバーサルシリアルバス(USB)、mini-USB、もしくはmicro-USBコネクタを受けるソケットなどの有線通信リンクのためのインターフェースとすることができる。
【0079】
図11Aおよび図11Bは、投与量測定デバイス60および注射デバイス1の近位端を示す。
【0080】
ボタン18は、その近位面18Aにアパーチャ71を含み、アパーチャ71は、投与量測定デバイス60の少なくとも一部分をボタン18内の空間72に受け入れることができるように構成される。本実施形態では、クラッチ板19はアパーチャ73を含み、データ測定デバイス60の少なくとも一部分が、クラッチ板19内のアパーチャ73を通って延び、駆動スリーブ21の近位端内に受け入れられる。より詳細には、プリズム67が、投与量測定デバイス60のハウジング61から軸方向に延び、したがってプリズム67は、ボタン18の空間72およびクラッチ板19のアパーチャ73を通って延びる。プリズム67の端部67Aが、駆動スリーブ21の中空の中心内に受け入れられる。
【0081】
投与量測定デバイス60のハウジング61は、1つまたはそれ以上の取付け形成物(attachment formation)74を含み、取付け形成物74は、ボタン18上の対応する取付け形成物75に係合するように構成される。本実施形態では、投与量測定デバイス60の取付け形成物74は、ボタン18内のそれぞれの凹部75に係合する突出物74を含み、したがって投与量測定デバイス60をボタン18にクリップ留めすることができる。しかし、代替実施形態(図示せず)では、取付け形成物74が注射デバイス1の異なる構成要素上に設けられることを理解されたい。
【0082】
いくつかの実施形態では、取付け形成物74、75の係合は、投与量測定デバイス60がボタン18に取り付けられたときにボタン18に対して回転することができないようになっている。
【0083】
投与量測定デバイス60が注射デバイス1に解放可能に取付け可能である実施形態では、取付け形成物74、75は、投与量測定デバイス60の容易な取外しを可能にするクリップ型の配置を提供することができる。そのような配置は、投与量測定デバイス60が使い捨ての注射デバイス1とともに使用される場合、投与量測定デバイス60を注射デバイス1から取り外して再利用することが可能になることから有用である。取外し可能な投与量測定デバイス60はまた、使用者が投与量測定デバイス60の取付けおよび取外しを自在に行うことが可能になるため、さらなる柔軟性を使用者にもたらす。
【0084】
いくつかの実施形態では、取付け形成物74、75は、たとえば「スナップ嵌め」を使用して、投与量測定デバイス60を注射デバイス1に恒久的に取り付けるように構成することができる。別法として、投与量測定デバイス60は、他の方法で、たとえば接着によって、恒久的に取り付けることができる。そのような恒久的な取付けは、注射デバイス1が再利用可能である場合に有用である。取付け形成物74、75の数および/または位置は、注射デバイス1に対して1つの特定の向きにのみ、投与量測定デバイス60を注射デバイス1に取り付けることができるように構成することができる。
【0085】
光ガイド67は、投与量測定デバイス60が注射デバイス1に取り付けられたとき、光源66Aから放出される光が光ガイド67の長さに沿って軸方向に伝送され、次いで光ガイド67の端部67Aから伝送され、親ねじ23の近位向きの端面23Aに向かって誘導されるように構成される。光(図11Bに矢印「L」によって示す)は、親ねじ23の端面23Aから反射されて、再び光ガイド67に向かって移動し、光は光ガイド67に入り、光ガイド67を通って伝送される。したがって、反射された光は、光ガイド67を通って移動した後、センサ66に到達し、光は光検出器66Bによって検出される。
【0086】
光は、光ガイド67と親ねじ23の端面23Aとの間を概して軸方向に移動することができる。この例では、光は、光ガイド67から軸A-Aに対して角度をなして伝送され、したがって光が親ねじ23の端面23Aに当たると、光は中心軸A-Aに対して角度Xで端面23Aから反射される。軸A-Aは、本実施形態では注射デバイス1の中心軸A-Aであるが、代替実施形態では、中心軸A-Aに平行な軸とすることができ、または異なる向きを有することができる。次いで光は、中心軸A-Aに対して前記角度Xで再び光ガイド67に向かって移動し、次いで光ガイド67を通って軸方向に伝送された後、光はセンサ66に到達する。これを容易にするために、光ガイド67の端部67Aは、プリズム67Aを含むことができる。プリズム67Aは、光が中心軸A-Aに対して角度をなして光ガイド67から伝送されることを確実にする。
【0087】
光が光ガイド67の端部67Aに入ったときの反射光ビームLと中心軸A-Aとの間の距離Yは、光ガイド67の端部67Aと親ねじ23の端面23Aとの間の距離Dに依存する。光センサ66は、距離Yを検出するように構成される。たとえば、光検出器66Bは、光検出センサのアレイ(図示せず)を含むことができ、アレイのうちの異なる光検出センサは、距離Yの値が異なる反射ビームを検出する。光検出センサのアレイは、アレイ内に放射状に配置することができる。
【0088】
特定の実施形態では、センサ66は、迷光の影響を軽減するために、特定の周波数または特定の偏光特性を有する光のみを放出および/または検出するように配置することができる。センサ66は、レーザビームを放出および/または検出するように構成することができる。
【0089】
薬剤の送達中、駆動スリーブ21が回転して親ねじ23を回転させる。これにより、親ねじ23は、注射デバイス1のハウジング3または別の構成要素とのねじ係合によって、ハウジング3に対して遠位方向に軸方向に動く。したがって、親ねじ23の端面23Aは、センサユニット65から離れるように軸方向に動き、したがって親ねじ23の端面23Aとセンサユニット65との間の距離Dが増大する。センサユニット65と親ねじ23の端面23Aとの間の距離Dの増大により、中心軸A-Aと反射光ビームLが光ガイド67に入る点との間の距離Yが増大する。この距離Yの増大が、光検出器66Bによって検出される。センサユニット65がプロセッサ63に接続されているため、プロセッサ63は、距離Yの増大を検出することができ、したがって注射デバイスによって送達された医薬品の量を判定することができる。
【0090】
薬剤送達が完了したとき、親ねじ23は投与量測定デバイス60に対して軸方向に動くのを止め、その結果、距離D、したがって距離Yは一定のままである。したがって、センサ66からの信号は、実質上一定のレベルのままである。
【0091】
いくつかの実施形態では、プロセッサ63は、センサ66の出力の最後の変化から経過した期間を監視するように配置される。経過期間が所定の閾値に到達したとき、薬剤送達が完了したと見なし、プロセッサ63は、測定された距離Yの変化に基づいて、使用者へ送達された薬剤用量の判定を進める。
【0092】
次いでプロセッサ63は、判定された薬剤用量を主メモリ64B内に記憶する。プロセッサ63はまた、タイムスタンプ情報を記憶して、使用者への薬剤の送達を記録したログを提供することができる。次いでプロセッサ63は、電池電力を節約するために、投与量測定デバイス60の電源を切ることができる。別法として、使用者がボタン18および/またはボタン69を解放したとき、またはその直後に、投与量測定デバイス60の電源を遮断することができる。
【0093】
使用者が電力スイッチ69を起動することによって、投与量測定デバイス60の電源が再び投入されたとき、プロセッサ63は、使用者の記憶を支援するために、判定された薬剤用量情報を示すようにディスプレイ62を制御することができる。場合により、プロセッサ63は、判定された薬剤用量が送達されてからの経過時間を監視し、その経過時間情報も示すようにディスプレイを制御することができる。たとえば、プロセッサ63は、判定された薬剤投与量情報の表示と経過時間の表示との間の周期的な切換えをディスプレイ62に実行させることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、プロセッサ63は、センサユニット65と端面23Aとの間の薬剤送達の開始時の距離Dと、薬剤送達の終了時の距離Dとの差を計算することによって、駆動スリーブ21に対する親ねじ23の軸方向変位を計算するように構成される。プロセッサ63は、薬剤送達の開始時の距離Dと終了時の距離Dとの間の前記差に基づいて、送達された投与量を判定することができる。
【0095】
プロセッサ63はまた、コンピュータ(図示せず)などの別のデバイスに、判定された薬剤投与量を伝送することができ、判定された場合はタイムスタンプ情報も伝送することができる。上述したように、出力68は、無線通信リンクを使用して情報を伝送するように構成することができる。別法として、投与量測定デバイス60は、情報をコンピュータへアップロードすることを可能にするために、有線接続(図示せず)を使用して、コンピュータ(図示せず)に接続することができる。プロセッサ63は、情報をコンピュータへ周期的に伝送するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ62を省略することができる。いくつかの実施形態では、投与量測定システム60を使用して、特定の投与計画(dosage regime)の順守を監視することができる。
【0096】
上記で詳細に説明した特有の実施形態は、本発明をどのように実施することができるかについての例示のみを意図したものである。投与量測定デバイス60および/または注射デバイス1の構成の多くの変形形態を考えることができる。たとえば、代替実施形態(図示せず)では、センサ66は代わりに、光源66Aによる光パルスの放出と光検出器66Bによる受信との間の時間遅延を検出し、センサユニット65と親ねじ23の端面23Aとの間の距離Dを判定する。距離Dが大きければ大きいほど、センサ66による光パルスの放出と反射パルスの受信との間の時間遅延も大きくなる。したがって、プロセッサ63は、受信した1つまたはそれ以上の光パルス間の遅延に基づいて、送達された投与量を判定することができる。いくつかの実施形態では、光ガイド67および/またはプリズム67Aを省略することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、センサ66は、センサと親ねじ23の端面23Aとの間の距離を測定するように構成された光学式三角測量センサを含み、レーザ三角測量センサを含むことができる。
【0097】
投与量測定システムにより、投薬機構の構成要素の回転を測定することなく薬剤リザーバから投薬された投与量を判定することが可能になる。したがって、センサユニットは、投薬部材に対して特定の回転方向を有する必要がなく、使用中に投薬部材に対して回転不能に固定する必要もない。
【0098】
図15を次に参照すると、本発明の第2の実施形態による薬剤送達システムが示されている。薬剤送達システムは、本発明の第1の実施形態を参照して上述した測定送達システムに類似しており、同様の機能は同じ参照番号を保持する。薬剤送達システムは、薬剤送達デバイス1および投与量測定システム80を含む。
【0099】
薬剤送達デバイス1は、注射デバイス1の形態である。投与量測定システム80は、注射デバイス1の近位端に取り付けられた投与量測定デバイス80を含む。投与量測定デバイス80は、ハウジング81、電池82、プロセッサ83、コンピュータ可読メモリ媒体(図示せず)、電力スイッチ(図示せず)、出力(図示せず)、およびユーザインターフェース84を含む。
【0100】
第1の実施形態の投与量測定システム60と第2の実施形態の投与量測定システム80との違いは、センサユニット65が省略され、代替のセンサユニット85に置き換えられていることである。センサユニット85はセンサ86を含み、本実施形態では、センサ86は、音響源(図示せず)、たとえばスピーカと、音響検出器(図示せず)、たとえばマイクロフォンとを有する音響センサ86である。一実施形態では、音響センサ86は超音波センサである。
【0101】
センサユニット85は、音響センサ86によって放出される音響信号が親ねじ23の端面23Aに向かって移動し、反射されて音響センサ86に向かって戻り、したがって反射信号が音響センサ86によって検出されるように配置される。音響センサ86は、プロセッサ83に接続される。
【0102】
プロセッサ83は、音響センサ86によって検出された反射信号の特性に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成され、信号の特性は、センサユニット85と親ねじ23の端面23Aとの間の距離Dに依存する。たとえば、プロセッサ83は、音響センサ86によるパルスまたは時変信号の放出と、音響センサ86による反射信号の受信との間の検出された時間遅延に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成することができる。センサユニット85と親ねじ23の端面23Aとの間の距離Dが大きければ大きいほど、信号の伝送と受信との間の時間遅延も大きくなる。したがって、プロセッサ83は、1つまたはそれ以上の信号の伝送と受信との間の遅延に基づいて、送達された投与量を判定することができる。別法または追加として、プロセッサ83は、伝送信号と受信信号との間の振幅の差である音響センサ86によって受信された反射信号の検出された減衰に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成することができる。センサユニット85と親ねじ23の端面23Aとの間の距離Dが大きければ大きいほど、信号の減衰も大きくなる。
【0103】
プロセッサ83は、投与量条件が満たされたとき、たとえば所定の投与量の薬剤が注射デバイス1によって送達されたとき、ユーザインターフェース84を動作させるように構成することができる。ユーザインターフェース84は、たとえば、ブザーおよび/またはライトを含むことができる。
【0104】
図16を次に参照すると、本発明の第3の実施形態による薬剤送達システムが示されている。薬剤送達システムは、本発明の第1の実施形態を参照して上述した測定送達システムに類似しており、同様の機能は同じ参照番号を保持する。薬剤送達システムは、薬剤送達デバイス1および投与量測定システム90を含む。
【0105】
薬剤送達デバイス1は、注射デバイス1の形態である。投与量測定システム90は、注射デバイス1の近位端に取り付けられた投与量測定デバイス90を含む。投与量測定デバイス90は、ハウジング91、プロセッサ(図示せず)、コンピュータ可読メモリ媒体(図示せず)、電力スイッチ99、電池(図示せず)、および出力(図示せず)を含む。
【0106】
第1の実施形態の投与量測定システム60と第3の実施形態の投与量測定システム90との違いは、センサユニット65が省略され、代替のセンサユニット95に置き換えられていることである。センサユニット95はセンサ96を含み、本実施形態では、センサ96は、音響源(図示せず)および音響検出器(図示せず)を有する音響センサ96である。音響センサ96は、支持部材97上に位置する。本実施形態では、音響センサ97は、音響信号を生成および/または検出するための1つまたはそれ以上の圧電トランスデューサ(図示せず)を有する圧電音響センサ97を含む。
【0107】
支持部材97は、ハウジング91から延び、したがって投与量測定デバイス90が注射デバイス1に取り付けられているとき、支持部材97は遠位方向に軸方向に延び、したがって支持部材97の端部97Aが駆動スリーブ21内に位置する。センサ96は、前記端部97A上またはその近傍に取り付けられ、したがってセンサ96は、親ねじ23の端面23Aに向かって誘導される。より具体的には、センサ96は、センサ96によって伝送される信号が端面23Aによって反射され、反射信号がセンサ96によって検出されるように配置される。
【0108】
センサ96は、センサ96からハウジング91へ延びる1つまたはそれ以上の導電素子98、たとえばトラックまたはワイアによって、プロセッサ(図示せず)に接続される。導電素子98は、支持部材97に接着することができ、または支持部材97内に埋め込むことができる。
【0109】
前述のように、プロセッサ(図示せず)は、センサ96によって検出された反射信号の特性に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成され、信号の特性は、センサユニット95と親ねじ23の端面23Aとの間の距離Dに依存する。たとえば、プロセッサは、センサ96によるパルスまたは時変信号の伝送と、センサ96による反射信号の受信との間の検出された時間遅延に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成することができる。別法または追加として、プロセッサは、信号の減衰に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成することができる。
【0110】
前述の実施形態では、ボタン18は、投与量測定デバイス60をボタン18の空間72内へ挿入することが可能になるように、アパーチャ71を含む。しかし、代替実施形態(図示せず)では、アパーチャ71が省略されることを理解されたい。たとえば、投与量測定システム60、80、90は、注射デバイス1内へ一体化することができ、したがって投与量測定システム60、80、90は、空間72内または注射デバイス1の異なる構成要素内に恒久的に受け入れられる。
【0111】
いくつかの実施形態(図示せず)では、投与量測定システム60、80、90は、注射デバイス1のうちボタン18以外の部分、たとえばハウジング3に、取外し可能に取り付けられ、または恒久的に固定される。
【0112】
前述の実施形態では、取付け形成物74、75は、ボタン18内のそれぞれの凹部75内に受け入れられた投与量測定デバイス60、80、90のハウジング61、81、91上の突出物74の形態である。しかし、他のタイプの係合取付け形成物または取付け方法を使用することもできることを理解されたい。1つの代替実施形態(図示せず)では、取付け形成物は、投与量測定デバイス60、80、90のハウジング61、81、91内のそれぞれの凹部内に受け入れられたボタン18上の突出物の形態である。別法として、投与量測定システム60、80、90は、注射デバイス1に接着することができる。一実施形態(図示せず)では、投与量測定システム60、80、90は、注射デバイス1と恒久的に一体化される。たとえば、投与量測定システム60、80、90は、注射デバイス1の製造中に注射デバイス1と一体化することができる。一実施形態では、投与量測定システム60、80、90のハウジング61、81、91は省略され、代わりに注射デバイス1の1つまたはそれ以上の構成要素、たとえばボタン18、駆動スリーブ21、および/またはハウジング3が、投与量測定システム60、80、90の構成要素を収容する。
【0113】
図17を次に参照すると、本発明の第4の実施形態による薬剤送達システムが示されている。薬剤送達システムは、本発明の第2の実施形態を参照して上述した測定送達システムに類似しており、同様の機能は同じ参照番号を保持する。薬剤送達システムは、薬剤送達デバイス1および投与量測定システム100を含む。
【0114】
薬剤送達デバイス1は、注射デバイス1の形態である。第2の実施形態の投与量測定システム80と第4の実施形態の投与量測定システム100との違いは、投与量測定システム100が注射デバイス1と一体化されていることである。本実施形態では、投与量測定システム100は、駆動スリーブ21の内側に取り付けられる。しかし別法として、投与量測定システム100を注射デバイス1の1つまたはそれ以上の他の構成要素、たとえばハウジング3、ボタン18、および/またはクラッチ板19に取り付けることもできることを理解されたい。
【0115】
いくつかの実施形態(図示せず)では、ハウジング101は、注射デバイス1の構成要素、たとえばハウジング3、ボタン18、および/またはクラッチ板19と一体形成される。
【0116】
前述のように、投与量測定システム100は、センサユニット(図示せず)、電池(図示せず)、プロセッサ(図示せず)、コンピュータ可読媒体(図示せず)、およびユーザインターフェース(図示せず)、たとえばブザーを含む。センサユニットは、親ねじ23の端面23Aによって反射される信号を伝送するように構成され、それによって反射信号は、センサユニットによって検出される。プロセッサ(図示せず)は、センサユニットによって検出された反射信号の特性に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成することができる。
【0117】
投与量測定システム100は、投与量測定システム100の構成要素のうちの1つまたはそれ以上を収容するハウジング101を含む。しかし、いくつかの実施形態(図示せず)では、ハウジングを省略することができ、したがって投与量測定システム100の前記構成要素が注射デバイス1に直接取り付けられることを理解されたい。
【0118】
前述の実施形態では、光または音響センサを利用したのに対して、光もしくは音響センサに加えて、またはその代わりに、他のタイプのセンサを使用することもできる。たとえば、センサは、ホール効果センサなどの磁気センサを含むことができる。そのような例では、親ねじ23の近位端上に、または親ねじ23の近位端に向かって、1つまたはそれ以上の磁石(図示せず)を取り付けることができ、したがって親ねじ23の軸方向運動の結果、センサによって検出される磁界が変動する。別の例では、容量センサを使用することができ、センサユニット内に設けられた2つの板同士の間の静電容量に影響を及ぼす要素が、親ねじ23上に設けられる。他の例では、機械センサを機械スイッチおよび/またはトラックとともに使用して、ハウジング3または駆動スリーブ21などの注射デバイス1の構成要素に対する親ねじ23の相対運動を検出することができる。いくつかの実施形態(図示せず)では、センサユニットは、1つまたはそれ以上のタイプの複数のセンサを含む。
【0119】
さらに別の実施形態(図示せず)では、投与量測定システムは、超音波トランスデューサを含むセンサユニットを含む。場合により、超音波トランスデューサを注射デバイス1の外部部材、たとえばボタン18の近位面18Aに取り付けることもできる。超音波トランスデューサは、ボタン18を通って移動し、親ねじ23の端面23Aによって反射される超音波を伝送するように構成され、反射された超音波は、超音波トランスデューサまたは別の超音波センサによって検出される。プロセッサ(図示せず)は、超音波トランスデューサによって検出された反射信号の特性に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成され、信号の特性は、超音波トランスデューサと親ねじ23の端面23Aとの間の距離Dに依存する。たとえば、プロセッサは、超音波トランスデューサによる超音波信号の伝送と、超音波トランスデューサによる反射信号の受信との間の検出された時間遅延に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成することができる。別法または追加として、プロセッサは、超音波信号の減衰に基づいて、注射デバイス1から投薬された投与量を判定するように構成することができる。有利には、超音波トランスデューサは、既存の薬剤送達デバイスに対して、薬剤送達デバイスの修正を必要とすることなく適合させることができる。これは、超音波信号が構成要素を通って移動することができるからであり、したがってトランスデューサと親ねじとの間の信号の移動を容易にするために、薬剤送達デバイスの構成要素内にアパーチャを設ける必要はない。これはまた、たとえば磁気センサが使用され、磁気センサによって検出される親ねじ上に設けられた磁石に加えて、薬剤送達デバイスの構成要素がたとえばプラスチックから製造される場合に可能になる。
【0120】
図18を次に参照すると、本発明の第5の実施形態による薬剤送達システムの概略図が示されている。薬剤送達システムは、薬剤送達デバイス111および投与量測定システム110を含む。
【0121】
薬剤送達デバイス111は、注射デバイス111の形態である。薬剤送達デバイス111はハウジング112を含み、ハウジング112は、薬剤リザーバ(図示せず)およびプランジャ(図示せず)を含む投薬機構と、親ねじ113の形態の投薬部材と、駆動スリーブ114と、駆動ユニット115とを収容する。
【0122】
駆動ユニット115は、駆動スリーブ114をハウジング112に対して回転させるように構成される。駆動スリーブ114は親ねじ113に係合し、したがって駆動スリーブ114が回転すると親ねじ113が回転する。親ねじ113および駆動スリーブ114は、たとえばねじインターフェース(図示せず)を介して係合することができる。
【0123】
親ねじ113はハウジング112に係合し、したがって親ねじ113がハウジング112に対して回転すると、親ねじ113がハウジング112に対して軸方向に変位し、したがってプランジャは、薬剤リザーバ内を動いて、薬剤リザーバから薬剤を投薬する。したがって、駆動ユニット115が動作することで、駆動スリーブ114が回転し、したがって親ねじ113は、ハウジング112に対して軸方向に動いて、薬剤リザーバから薬剤を投薬する。
【0124】
駆動ユニット115は、付勢部材116およびロッキング機構117を含み、ロッキング機構117はアクチュエータ118に連結される。付勢部材116は、駆動スリーブ114を付勢してハウジング112に対して回転させるように構成される。付勢部材116は、心棒116Aに取り付けられ、したがって付勢部材116の第1の端部が心棒116Aに連結される。付勢部材116の第2の端部は、連結部材119によって駆動スリーブ114に連結される。本実施形態では、連結部材119は、付勢部材116の第2の端部に対して固定され、駆動スリーブ114の内面の溝(図示せず)内に受け入れられており、したがって連結部材119は、駆動スリーブ114に対して回転不能に固定される。
【0125】
ロッキング機構117は最初に、付勢部材116が駆動スリーブ114をハウジング112に対して回転させることを防止する。ロッキング機構117は、アクチュエータ118に連結され、したがってアクチュエータ118は、駆動スリーブ114を解放するように動作可能になる。ロッキング機構117は、たとえばロッキングピン(図示せず)を含むことができ、ロッキングピンは、最初に付勢部材116の第2の端部に係合して、ハウジング112に対する付勢部材116の動きを防止する。使用者がアクチュエータ118を作動させることで、ロッキングピンを付勢部材116の第2の端部から係合解除することができる。しかし、ロッキング機構は、異なる配置を有することができ、たとえば一実施形態(図示せず)では、付勢部材を解放するように動作する電磁ラッチを含む。
【0126】
薬剤送達デバイス111を動作させるために、使用者はアクチュエータ118を作動させ、その結果、ロッキング機構117が付勢部材116を解放し、したがって駆動スリーブ114がハウジング112に対して回転する。これにより、親ねじ113はハウジング112に対して回転しながら、ハウジング112に対して軸方向に動き、したがってプランジャ(図示せず)が薬剤リザーバ内で軸方向に動き、したがって薬剤リザーバから薬剤が投薬される。薬剤リザーバは、薬剤を患者へ送達するために、たとえば針に流体連結することができる。
【0127】
投与量測定システム110は、センサ121を有するセンサユニット120と、プロセッサ(図示せず)とを含む。本実施形態では、センサ121は、光源(図示せず)および光検出器(図示せず)を有する光センサ121である。本実施形態では、センサユニット120は、付勢部材116を支持する心棒116Aに取り付けられる。しかし、代替実施形態(図示せず)では、センサユニット120が薬剤送達デバイス111の異なる部材、たとえばハウジング112に取り付けられることを理解されたい。
【0128】
センサ121は、親ねじ113の端面113Aによって反射される信号を伝送するように構成され、それによって反射信号は、センサ121によって検出される。いくつかの実施形態(図示せず)では、センサユニット120は、センサ121から親ねじ113の端面113Aに向かって信号を伝送する光ガイドなどの伝送部材(図示せず)をさらに含む。
【0129】
プロセッサ(図示せず)は、センサユニット120によって検出された反射信号の特性に基づいて、注射デバイス111から投薬された投与量を判定するように構成され、信号の特性は、センサユニット120と親ねじ113の端面113Aとの間の距離に依存する。たとえば、プロセッサは、センサ121によるパルスまたは時変信号の伝送と、センサ121による反射信号の受信との間の検出された時間遅延に基づいて、注射デバイス111から投薬された投与量を判定するように構成することができる。別法または追加として、プロセッサは、信号の減衰に基づいて、注射デバイス111から投薬された投与量を判定するように構成することができる。
【0130】
代替実施形態(図示せず)では、センサ121は代わりに、親ねじ113の異なる部材に向かって誘導され、したがってセンサ121は、親ねじ113の前記異なる部材の軸方向変位を検出する。たとえば、センサ121は、親ねじ113の遠位向きの面(図示せず)によって反射される信号を伝送するように構成することができ、それによって反射信号は、センサ121によって検出される。1つのそのような実施形態では、親ねじ113は、薬剤が投薬されるとセンサ121に向かって動き、したがってセンサ121と親ねじの表面との間の距離が減少する。
【0131】
別の実施形態(図示せず)では、センサ121は、親ねじ113以外の駆動機構の構成要素によって反射される信号を伝送するように構成される。たとえば、駆動スリーブ114は、投薬部材を含むことができ、センサ121は、駆動スリーブ114の軸方向変位を検出するために、駆動スリーブ114によって反射される信号を伝送するように構成される。プロセッサ(図示せず)は、センサユニット120によって検出された反射信号の特性に基づいて、注射デバイス111から投薬された投与量を判定するように構成され、信号の特性は、センサユニット120と駆動スリーブ114との間の距離に依存する。別法として、投薬部材は、親ねじ113を薬剤リザーバ内のピストンに連結するプランジャロッド(図示せず)を含むことができ、センサ121は、プランジャロッドの軸方向変位を検出するために、プランジャロッドによって反射される信号を伝送するように構成される。プロセッサ(図示せず)は、センサユニット120によって検出された反射信号の特性に基づいて、注射デバイス111から投薬された投与量を判定するように構成され、信号の特性は、センサユニット120とプランジャロッドとの間の距離に依存する。
【0132】
本実施形態では、付勢部材116は、ねじりばね116の形態である。しかし、他のタイプの付勢部材が本発明の範囲に入ることも意図されることを理解されたい。さらなる実施形態(図示せず)では、付勢部材は省略され、代わりに駆動ユニットは電気モータを含み、電気モータは、駆動スリーブを回転させ、したがって薬剤を薬剤リザーバから投薬するように動作する。別法として、駆動ユニットは、駆動スリーブを回転させて薬剤を投薬するために使用者によって手動で回転させられる構成要素を含むことができる。
【0133】
いくつかの実施形態(図示せず)では、親ねじ13、113および駆動スリーブ21、114は省略され、代わりに駆動機構は、ハウジング3、112内で軸方向に動いて薬剤リザーバから薬剤を投薬する投薬部材の異なる配置を有する。たとえば、駆動機構は、投薬部材をハウジング内で軸方向に付勢して薬剤リザーバから薬剤を投薬するように構成されたコイルばねを含むことができる。投薬部材は、薬剤リザーバ内のピストンまたはプランジャに連結されたロッドを含む。ロッキング機構は最初に、コイルばねがハウジング内でロッドを動かして薬剤を投薬することを防止するために、コイルばねを圧縮位置で保持する。使用者は、アクチュエータを押下してロッキング機構を解放し、したがってコイルばねが解放され、ロッドをハウジング内で軸方向に動かして薬剤を投薬する。センサユニットは、投薬部材の軸方向運動を検出するように構成され、この実施形態では、投薬部材はロッドである。より具体的には、センサは、ロッドの部材によって反射される信号を伝送するように構成され、反射信号は、ロッドの軸方向変位を検出するために、センサによって検出される。プロセッサは、センサユニットによって検出された反射信号の特性に基づいて、注射デバイス1、111から投薬された投与量を判定するように構成され、信号の特性は、センサユニットとロッドとの間の距離に依存する。
【0134】
いくつかの実施形態(図示せず)では、投与量測定システム60、80、90、100、110は、第1の部材と、第1の部材に取付け可能な第2の部材とを含む。第2の部材は、第1の部材に解放可能に取付け可能とすることができる。投与量測定デバイス60、80、90、100、110の第1の部材は、第2の部材上の対応する取付け形成物(図示せず)に係合するように構成された1つまたはそれ以上の取付け形成物(図示せず)を含むことができる。第1の部材または第2の部材の取付け形成物は、第1および第2の部材のうちの他方のそれぞれの凹部に係合する突出物を含むことができ、したがって第2の部材を第1の部材にクリップ留めすることができる。しかし、代替実施形態(図示せず)では、第2の部材は、異なる配置を介して第1の部材に取り付けられ、たとえば第1の部材内の凹部内に受け入れられ、したがって第1および第2の部材は、摩擦を介してともに保持されることを理解されたい。場合により、第1および第2の部材は、溝に係合する係合要素、たとえばレールを含むことができ、それにより第2の部材が第1の部材に取り付けられたとき、第2の部材に対する第1の部材の特定の回転方向が確保される。
【0135】
投与量測定システム60、80、90、100、110が第1および第2の部材を含むことで、第1の部材を注射デバイス1、111に取り付け、または注射デバイス1、111と一体化し、第2の部材を第1の部材に取外し可能に取り付けることが可能になる。したがって、第1の部材から第2の部材を取り外し、その第2の部材を異なる注射デバイス1、111の第1の部材に取り付けることによって、注射デバイス1、111および第1の部材を処分することができ、第2の部材を再利用することができる。電池、ユーザインターフェース、通信モジュール、プロセッサ、およびセンサのうちの1つまたはそれ以上は、第2の部材内へ組み込むことができる。したがって、第2の部材をさらなる注射デバイスの第1の部材に取り付けることによって、比較的高価なこれらの構成要素をさらなる注射デバイスとともに再利用することができる。
【0136】
一実施形態では、第1の部材は、注射デバイス1、111に固定された伝送部材、たとえば光ガイドを含む。第2の部材は、電池、プロセッサ、およびセンサを含む。第2の部材は第1の部材に取り付けられ、したがって伝送部材およびセンサが、センサユニットを形成し、伝送部材は、センサによって検出素子に向かって放出された信号を伝送し、また反射信号を再びセンサに向かって伝送することが可能である。薬剤送達が完了した後、第2の部材は第1の部材から取り外され、第1の部材は薬剤送達デバイスとともに処分される。別の実施形態(図示せず)では、第1の部材は、注射デバイス1、111に固定された支持部材と、支持部材上に設けられたセンサとを含む。第2の部材は、電池およびプロセッサを含む。第2の部材は第1の部材に取り付けられ、したがってセンサがプロセッサに接続され、したがってプロセッサは、変位部材の測定された軸方向変位に基づいて、薬剤リザーバから投薬された投与量を判定することが可能である。薬剤送達が完了した後、第2の部材は第1の部材から取り外され、第1の部材は薬剤送達デバイスとともに処分される。
【0137】
前述の実施形態では、薬剤送達デバイス1、111は注射デバイスを含む。注射デバイスは、ペン注射デバイスや自動注射器を含むことができる。しかし、薬剤送達システムは、異なるタイプの薬剤送達デバイスを含むこともできることを理解されたい。たとえば、薬剤送達デバイスは、患者の注射部位に取り付けられるパッチデバイスを含むことができる。薬剤送達デバイスは、ポンプデバイスとすることもできる。
【0138】
上記の実施形態について、インスリン注射器ペンからのデータの収集に関連して説明してきたが、本発明の実施形態は、他の薬剤の注射の監視などの他の目的で使用することもできることに留意されたい。
【0139】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を記述するために使用される。以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つの低分子もしくは高分子またはそれらの組合せを含みうる。例示的な薬学的に活性な化合物としては、低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、ならびにオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物も企図される。
【0140】
以下で「薬物送達デバイス」とも呼ばれる「薬剤送達デバイス」という用語は、薬物を人体または動物体に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものとする。限定されることなく、薬物または薬剤送達デバイスは、注射デバイス(たとえば、シリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内送達、皮下送達、筋肉内送達、もしくは血管内送達用に構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば、鼻用または肺用)、埋め込み物(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムでありうる。ここに記載される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用でありうる。
【0141】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬学的に活性な化合物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、薬物製剤の2つ以上の成分(たとえば、薬物と希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に薬物もしくは薬剤の2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0142】
本発明に記載の薬物送達デバイスおよび薬物は、多くの異なるタイプの障害の治療および/または予防のために使用可能である。例示的な障害としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。
【0143】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のための例示的な薬物としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、もしくはそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「誘導体」という用語は、元の物質と実質的に同様の機能性または活性(たとえば、治療効果)を有するように、構造的に十分同様である任意の物質を指す。
【0144】
例示的なインスリンアナログは、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0145】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストは、たとえば、リキシセナチド/AVE0010/ZP10/リキスミア、エキセナチド/エキセンジン-4/バイエッタ/ビデュリオン/ITCA650/AC-2993(ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド/ビクトーザ、セマグルチド、タスポグルチド、シンクリア/アルビグルチド、デュラグルチド、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0146】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセン/キナムロである。
【0147】
例示的なDPP4阻害剤は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0148】
例示的なホルモンとしては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0149】
例示的な多糖としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20/シンビスク、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0150】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。
【0151】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0152】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0153】
例示的な抗体は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0154】
本明細書に記載の化合物は、(a)化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および(b)薬学的に許容可能な担体を含む医薬製剤に使用可能である。化合物は、1つもしくはそれ以上の他の活性医薬成分を含む医薬製剤、または本化合物もしくはそれらの薬学的に許容可能な塩が唯一の活性成分である医薬製剤にも使用可能である。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書に記載の化合物と薬学的に許容可能な担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0155】
本明細書に記載のいずれの薬物の薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、もしくはK+、またはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1~C6-アルキル基、場合により置換されたC2~C6-アルケニル基、場合により置換されたC6~C10-アリール基、または場合により置換されたC6~C10-ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容可能な塩のさらなる例は当業者には公知である。
【0156】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)もしくはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0157】
本発明の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載する物質、構成、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本発明は、そのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
図1
図2
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図6A
図6B
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図8A
図8B
図9A
図9B
図10
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