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特許7418504コア-シェル化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルターおよびディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】コア-シェル化合物、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルターおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 57/00 20060101AFI20240112BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240112BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240112BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20240112BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240112BHJP
   C09B 23/14 20060101ALI20240112BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240112BHJP
   C09B 67/22 20060101ALI20240112BHJP
   C07D 259/00 20060101ALI20240112BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240112BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20240112BHJP
【FI】
C09B57/00 X CSP
G03F7/004 505
G02B5/20 101
H05B33/12 E
H05B33/14 A
C09B23/14
C09B67/20 F
C09B67/22 Z
C07D259/00
G09F9/30 349A
G09F9/30 365
H10K59/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022103283
(22)【出願日】2022-06-28
(65)【公開番号】P2023014985
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0094348
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 光 源
(72)【発明者】
【氏名】鄭 義 樹
(72)【発明者】
【氏名】朴 世 嬉
(72)【発明者】
【氏名】朴 宗 姫
(72)【発明者】
【氏名】鄭 周 昊
(72)【発明者】
【氏名】韓 圭 ▲せき▼
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-076995(JP,A)
【文献】特表2019-532918(JP,A)
【文献】特表2019-530765(JP,A)
【文献】特開2020-184073(JP,A)
【文献】特許第7167350(JP,B2)
【文献】特表2019-532145(JP,A)
【文献】特表2020-523318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 57/00
G03F 7/004
G02B 5/20
H10K 59/10
H05B 33/12
H10K 50/10
C09B 23/14
C09B 67/20
C09B 67/22
C07D 259/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるスクアリリウム系コア、および
前記スクアリリウム系コアを囲むシェル、
からなるコア-シェル化合物:
【化1】

前記化学式1中、
~Rは、それぞれ独立して、アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基であり、
およびRは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
~Lは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0または1である。
【請求項2】
前記アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基は、下記化学式Sで表される、請求項1に記載の化合物:
【化2】

前記化学式S中、
は、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、*は連結地点である。
【請求項3】
前記スクアリリウム系コアは、下記化学式1-1または化学式1-2で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【化3】

【化4】
【請求項4】
前記スクアリリウム系コアは、610nm~640nmで最大吸光波長を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記シェルは、下記化学式2で表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【化5】

前記化学式2中、
およびLは、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
nは、2以上の整数である。
【請求項6】
前記化学式2で表されるシェルは、下記化学式2-1で表される化合物である、請求項に記載の化合物。
【化6】
【請求項7】
前記コア-シェル化合物は、下記化学式Aで表される化合物または下記化学式Bで表される化合物である、請求項1に記載の化合物。
【化7】
【請求項8】
前記コア-シェル化合物は、緑色染料である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載のコア-シェル化合物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記コア-シェル化合物は、前記感光性樹脂組成物を構成する固形分の総質量に対して10質量%~50質量%の含有量で含まれる、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記感光性樹脂組成物は、顔料をさらに含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記顔料は、黄色顔料を含む、請求項11に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記顔料は、緑色顔料をさらに含む、請求項12に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含む、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記感光性樹脂組成物は、有機光電子素子に含まれるカラーフィルター用である、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
請求項に記載の感光性樹脂組成物を硬化してなる感光性樹脂膜。
【請求項17】
請求項16に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルター。
【請求項18】
有機光電子素子を構成する、請求項17に記載のカラーフィルター。
【請求項19】
前記有機光電子素子は、モバイルディスプレイ用である、請求項18に記載のカラーフィルター。
【請求項20】
請求項17に記載のカラーフィルターを含むディスプレイ装置。
【請求項21】
前記ディスプレイ装置は、モバイルディスプレイ装置である、請求項20に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア-シェル化合物、これを含む感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を硬化してなる感光性樹脂膜、該感光性樹脂膜を含むカラーフィルター、および該カラーフィルターを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは、LCD(Liquid Crystal Display)およびOLED(Organic Light Emitting Diode)等のディスプレイ装置、イメージセンサーなどの各種表示装置に広く利用されるもので、その応用範囲が急速に拡大している。一般に、カラーフィルターは、画素間の境界部を遮光するために透明基板上に定められたパターンで形成されたブラックマトリックス層、およびそれぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色)が定められた順序に配列された画素部が順次に積層された構造を取っている。カラーフィルターを実現する方法の1つである顔料分散法は、ブラックマトリックスが提供された透明な基質上に、着色剤を含有する光重合性組成物をコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後、非露光部位を溶剤で除去して熱硬化させる一連の工程を繰り返すことによって着色薄膜が形成される方法である。顔料分散法によるカラーフィルター製造に使用される着色感光性樹脂組成物は、一般に着色剤である顔料分散液、アルカリ可溶性樹脂、光重合単量体、光重合開始剤、エポキシ樹脂、溶剤とその他添加剤などからなる。上記の特徴を有する顔料分散法は、携帯電話、ノートパソコン、モニター、TVなどに用いられるLCDの製造に活発に応用されている。しかし、最近は、多様な長所を有する顔料分散法を利用したカラーフィルター用感光性樹脂組成物においても、優れたパターン特性だけでなく、より向上した性能が要求されている。特に、高い吸光効率と共に高輝度および高明暗比の特性が至急に要求されている実情である。
【0003】
顔料型の感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターでは、顔料粒子のサイズによる輝度および明暗比の限界が存在する。また、イメージセンサー用カラー撮像素子の場合、微細なパターン形成のためにより小さい分散粒度が要求されるようになる。
【0004】
このような要求に応えるために、顔料の代わりに粒子を形成しない染料を導入した感光性樹脂組成物を製造して、吸光効率、輝度および明暗比などの分光特性が改善されたカラーフィルターを実現しようとする試みが続いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許第2005-0020653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、モバイルディスプレイ装置を構成する有機光電子素子用カラーフィルター内の緑色画素を構成するコア-シェル化合物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記コア-シェル化合物を含む感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記感光性樹脂組成物を硬化してなる感光性樹脂膜を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、上記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供することある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、上記カラーフィルターを含むディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記化学式1で表されるスクアリリウム系コアおよび前記スクアリリウム系コアを囲むシェルからなるコア-シェル化合物を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
上記化学式1中、
~Rは、それぞれ独立して、アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基であり、
およびRは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
~Lは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~10の整数である。
【0014】
上記アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基は、下記化学式Sで表され得る。
【0015】
【化2】
【0016】
上記化学式S中、
は、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、*は連結地点である。
【0017】
上記化学式1中のn1およびn2は、それぞれ独立して、0であり得る。
【0018】
上記化学式1中のn1およびn2は、それぞれ独立して、1~10の整数であり得る。
【0019】
上記スクアリリウム系コアは、下記化学式1-1または化学式1-2で表される化合物であり得る。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
上記スクアリリウム系コアは、610nm~640nmで最大吸光波長を有することができる。
【0023】
上記シェルは、下記化学式2で表される化合物であり得る。
【0024】
【化5】
【0025】
上記化学式2中、
およびLは、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
nは、2以上の整数である。
【0026】
上記化学式2で表されるシェルは、下記化学式2-1で表される化合物であり得る。
【0027】
【化6】
【0028】
上記コア-シェル化合物は、下記化学式Aで表される化合物または下記化学式Bで表される化合物であり得る。
【0029】
【化7】
【0030】
上記コア-シェル化合物は、緑色染料であり得る。
【0031】
本発明の他の一実施形態は、上記コア-シェル化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0032】
上記コア-シェル化合物は、上記感光性樹脂組成物を構成する固形分の総質量に対して10質量%~50質量%で含まれ得る。
【0033】
上記感光性樹脂組成物は、顔料をさらに含むことができる。
【0034】
上記顔料は、黄色顔料を含むことができる。
【0035】
上記顔料は、緑色顔料をさらに含むことができる。
【0036】
上記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤および溶媒をさらに含むことができる。
【0037】
上記感光性樹脂組成物は、有機光電子素子に含まれるカラーフィルター用であり得る。
【0038】
また本発明の他の一実施形態は、上記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0039】
上記カラーフィルターは、有機光電子素子に含まれ得る。
【0040】
上記有機光電子素子は、モバイルディスプレイ用であり得る。
【0041】
また本発明のさらに他の一実施形態は、上記カラーフィルターを含むディスプレイ装置を提供する。
【0042】
上記ディスプレイ装置は、モバイルディスプレイ装置であり得る。
【0043】
その他本発明の側面の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、モバイルディスプレイ装置を構成する有機光電子素子用カラーフィルター内の緑色画素を構成するコア-シェル化合物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0046】
本明細書で特別な言及がない限り、「置換」または「置換された」とは、化合物中の官能基のうちの1つ以上の水素原子が、ハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH、NH(R200)またはN(R201)(R202)であり、ここで、R200、R201およびR202は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換の脂環族有機基、置換または非置換のアリール基。および置換または非置換のヘテロ環基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基で置換されたことを意味する。
【0047】
本明細書で特別な言及がない限り、「アルキル基」とは、炭素数1~20のアルキル基を意味し、具体的には炭素数1~15のアルキル基を意味し、「シクロアルキル基」とは、炭素数3~20のシクロアルキル基を意味し、具体的には炭素数3~18のシクロアルキル基を意味する。「アルコキシ基」とは、炭素数1~20のアルコキシ基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルコキシ基を意味し、「アリール基」とは、炭素数6~20のアリール基を意味し、具体的には炭素数6~18のアリール基を意味する。「アルケニル基」とは、炭素数2~20のアルケニル基を意味し、具体的には炭素数2~18のアルケニル基を意味し、「アルキレン基」とは、炭素数1~20のアルキレン基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルキレン基を意味し、「アリーレン基」とは、炭素数6~20のアリーレン基を意味し、具体的には炭素数6~16のアリーレン基を意味する。
【0048】
本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート基」とは、「アクリレート基」と「メタクリレート基」の両方共に可能であることを意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方共に可能であることを意味する。
【0049】
本明細書で別途の定義がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。また「共重合」とは、ブロック共重合またはランダム共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体またはランダム共重合体を意味する。
【0050】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、その位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0051】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「*」は同一または異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0052】
本発明は、上記化学式1で表されるスクアリリウム系コアおよび当該スクアリリウム系コアを囲むシェルからなるコア-シェル化合物を提供する。
【0053】
カラーフィルターが適用された携帯電話またはノートパソコンのようなモバイルディスプレイ装置の場合、室外で使用される時間が多いため、カラーフィルターに使用される感光性樹脂組成物の耐光特性が非常に重要である。そのため、大部分の場合に染料に比べて耐光特性に優れた顔料分散液がカラーフィルター用着色剤として適用されてきた。しかし、緑色または青色カラーフィルターに主に使用されるフタロシアニン系顔料分散液の場合、それ自身耐光特性には優れているが、長時間太陽光に露出されると、共に使用される有機材料の分解を起こし、これによってカラーフィルターの輝度低下を起こすという問題がある。
【0054】
そこで、染料が適用されたカラーフィルター用感光性樹脂組成物の足りない耐熱性、耐薬品性および耐光特性を改善するために、過剰量の硬化剤およびエポキシ化合物などを添加することによってこのような問題を克服しようとした。しかし、改善の程度がわずかであり、特に最近は高品質のモバイルディスプレイ装置に対するニーズが次第に高まり、低温の硬化条件でも耐薬品性に優れた染料を含むカラーフィルター用感光性樹脂組成物に対する要求が一層高まっている。
【0055】
本発明は、偏光フィルムを含まないモバイルディスプレイ装置を構成する有機光電子素子用カラーフィルターに用いられる緑色染料に関する。ピクセルの大きさが小さくなりながら、顔料を利用した微細パターンの製造には限界があり、これを補完するために染料の開発が必要である。しかし、染料は顔料に比べてパターン製造時に加工性の面で問題があり、特に耐薬品性で非常に劣り、硬化および加熱工程以降は微細パターンを形成することが非常に難しかった。また、偏光フィルムを含まないモバイルディスプレイ装置を構成する有機光電子素子用感光性樹脂組成物の場合には、染料が感光性樹脂組成物を構成する固形分の総質量に対して約10質量%以上の含有量で過剰に含まれるため、それ自身が耐薬品性に優れた染料を開発する必要性は非常に大きいのが現状である。
【0056】
本発明者らは、幾多の試行錯誤を経た結果、コアをなすスクアリリウム系化合物の構造を限定した上で、少なくとも4個のアクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基を導入し、つまり、スクアリリウム系化合物は下記化学式1の構造に限定し、このコアをシェルで囲んで、1つのコア-シェル化合物を合成した。このように合成された本発明によるコア-シェル化合物は、それ自身耐薬品性に優れており、これを緑色染料として過剰量含む感光性樹脂組成物は、硬化および熱熱工程を経た後であっても、特に低温の硬化条件であっても耐薬品性の低下が大きくないため、モバイルディスプレイ装置を構成する有機光電子素子用緑色カラーフィルターに使用するには非常に適している。
【0057】
【化8】
【0058】
上記化学式1中、
~Rは、それぞれ独立して、アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基であり、
およびRは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
~Lは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~10の整数である。
【0059】
上記アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基は、下記化学式Sで表され得る。
【0060】
【化9】
【0061】
上記化学式S中、
は、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、*は連結地点である。
【0062】
上記化学式1で表されるコアは、4個以上のアクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基を有し得る。例えば、上記4個以上のアクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基は、全てスクアリリウム系コアを構成するアルキル基の置換基として存在することもでき、スクアリリウム系コアを構成するアリール基の置換基として存在することもできる。
【0063】
例えば、上記4個以上のアクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基のうちの少なくとも1つは、スクアリリウム系コアを構成するアリール基の置換基として存在し、上記4個のアクリロイルオキシ基またはまたはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基のうちの少なくとも1つは、スクアリリウム系コアを構成するアルキル基の置換基として存在することができる。
【0064】
例えば、4個以上のアクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基が上記のような位置に制御される場合、本発明によるコア-シェル化合物(染料)自体の耐久性をより大幅に向上させることができる。
【0065】
例えば、上記化学式1中、n1およびn2は、それぞれ独立して、0であり得る。
【0066】
例えば、上記化学式1中、n1およびn2は、それぞれ独立して、1~10の整数であり得る。
【0067】
例えば、上記化学式1で表されるコアは、アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基を4個含むことができる。アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基を1個~3個含むコアは、合成が容易であるが、化合物の耐久性自体が非常に劣り、特に低温での硬化工程、例えば85℃~150℃の温度で硬化時に耐薬品性が非常に劣り好ましくない。また、アクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基を5個以上含むコアは、合成が難しくて経済性が低下する場合がある。
【0068】
つまり、上記化学式1で表されるコアは、低温の硬化条件での耐薬品性および化合物の合成容易性の側面を全て考慮すると、4個のアクリロイルオキシ基またはα-アルキル置換アクリロイルオキシ基を有することが最も好ましい。
【0069】
例えば、上記スクアリリウム系コアは、下記化学式1-1または化学式1-2で表されるコアであり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0070】
【化10】
【0071】
【化11】
【0072】
例えば、上記化学式1で表されるコアは、610nm~640nmで最大吸光波長を有することができる。有機溶媒に対する溶解度が10%以上と優れた溶解度を有する染料化合物であるとしても、610nm~640nmで最大吸光波長を有することができない場合、透過度が低くて、モバイルディスプレイ装置を構成する有機光電子素子用緑色感光性樹脂組成物として使用されるには不適になり得る。
【0073】
上記シェルは、下記化学式2で表される化合物であり得る。
【0074】
【化12】
【0075】
上記化学式2中、
およびLは、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
nは、2以上の整数である。
【0076】
上記化学式2で表されるシェルは、下記化学式2-1で表され得る。
【0077】
【化13】
【0078】
例えば、上記コア-シェル化合物は、下記化学式Aで表される化合物または下記化学式Bで表される化合物であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0079】
【化14】
【0080】
例えば、上記コア-シェル化合物は、緑色染料であり得る。
【0081】
本発明の他の実施形態によれば、本発明によるコア-シェル化合物を含む感光性樹脂組成物を提供し、該感光性樹脂組成物は、例えば有機光電子素子に含まれるカラーフィルター用感光性樹脂組成物であり得る。
【0082】
例えば、本発明による感光性樹脂組成物は、波長540nmで90%以上の透過度を有することができ、波長600nm~640nmで10%以下の透過度を有することができ、波長450nmで5%以下の透過度を有することができるため、高透過型CIS用緑色カラーフィルターの実現に適している。つまり、本発明による感光性樹脂組成物は、高透過型CMOSイメージセンサー用であり得る。
【0083】
本発明による感光性樹脂組成物は、上記のコア-シェル化合物、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤および溶媒をさらに含むことができる。
【0084】
本発明によるコア-シェル化合物は、上記感光性樹脂組成物を構成する固形分の総質量に対して5質量%~50質量%、例えば10質量%~50質量%、例えば10質量%~40質量%、例えば10質量%~30質量%、例えば15質量%~30質量%の含有量で含まれ得る。このような含有量の範囲でコア-シェル化合物が含まれる場合、色再現率および明暗比に優れるようになるだけでなく、モバイルディスプレイ装置への適用に適している。
【0085】
上記感光性樹脂組成物は、顔料、例えば黄色顔料、緑色顔料またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0086】
黄色顔料の例としては、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0087】
緑色顔料の例としては、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59などが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0088】
顔料は、顔料分散液の形態で感光性樹脂組成物に含まれ得る。
【0089】
該顔料分散液は、固形分の顔料、溶剤および溶剤内に顔料を均一に分散させるための分散剤を含むことができる。
【0090】
固形分の顔料は、顔料分散液の総質量に対して1質量%~20質量%、例えば8質量%~20質量%、例えば8質量%~15質量%、例えば10質量%~20質量%、例えば10質量%~15質量%で含まれ得る。
【0091】
分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独または2つ以上混合して使用することができる。
【0092】
分散剤の市販品を例に挙げれば、BYK社製のDISPERBYK(登録商標、以下同じ)-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社製のEFKA(登録商標、以下同じ)-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社製のSolsperse(登録商標、以下同じ)5000、Solsperse12000、Solsperse13240、Solsperse13940、Solsperse17000、Solsperse20000、Solsperse24000GR、Solsperse27000、Solsperse28000など;または味の素株式会社製のPB711、PB821などがある。
【0093】
分散剤は、顔料分散液の総質量に対して1質量%~20質量%の含有量で含まれ得る。分散剤の含有量が上記範囲内である場合、適切な粘度を維持することができるため、感光性樹脂組成物の分散性に優れ、これによって製品への適用時に、光学的、物理的および化学的品質を維持することができる。
【0094】
顔料分散液を形成する溶剤としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができる。
【0095】
顔料分散液は、感光性樹脂組成物の総質量に対して10質量%~20質量%、例えば12質量%~18質量%の含有量で含まれ得る。顔料分散液の含有量が上記範囲内である場合、工程マージンの確保に有利であり、色再現率および明暗比に優れるようになる。
【0096】
バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂であり得る。
【0097】
アクリル系バインダー樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であり、1つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0098】
第1エチレン性不飽和単量体は、1つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0099】
第1エチレン性不飽和単量体は、アクリル系バインダー樹脂の総質量に対して5質量%~50質量%、例えば10質量%~40質量%で含まれ得る。
【0100】
第2エチレン性不飽和単量体の例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0101】
アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0102】
上記バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであり得る。バインダー樹脂の重量平均分子量が上記範囲内である場合、感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ、粘度が適切であり、カラーフィルター製造時に基板との密着性に優れている。
【0103】
バインダー樹脂の酸価は、15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであり得る。バインダー樹脂の酸価が上記範囲内である場合、ピクセルパターンの解像度に優れている。
【0104】
バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物の総質量に対して1質量%~30質量%、例えば1質量%~20質量%の含有量で含まれ得る。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内である場合、カラーフィルター製造時に現像性に優れ、架橋性が改善されて、優れた表面平滑性を得ることができる。
【0105】
光重合性単量体は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0106】
光重合性単量体は、エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こし、耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0107】
光重合性単量体の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0108】
光重合性単量体の市販品を例に挙げれば次のとおりである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックス(登録商標、以下同じ)M-101、同M-111、同M-114など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120Sなど;大阪有機化学工業株式会社製のV-158、V-2311などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-210、同M-240、同M-6200など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標、以下同じ)HDDA、同HX-220、同R-604など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260、V-312、V-335HPなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-309、同M-400、同M-405、同M-450、同M-710、同M-8030、同M-8060など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標)TMPTA、同DPCA-20、同-30、同-60、同-120など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295、同-300、同-360、同-GPT、同-3PA、同-400などが挙げられる。これら市販品は、単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。
【0109】
光重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0110】
光重合性単量体は、感光性樹脂組成物の総質量に対して1質量%~15質量%、例えば5質量%~10質量%の含有量で含まれ得る。光重合性単量体の含有量が上記範囲内である場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れている。
【0111】
光重合開始剤としては、感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤を使用することができ、例えばアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0112】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0113】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0114】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0115】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0116】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0117】
オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0118】
光重合開始剤としては、上記化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0119】
光重合開始剤は、光を吸収して励起状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されることもできる。
【0120】
光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0121】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物の総質量に対して0.01質量%~10質量%、例えば0.1質量%~5質量%の含有量で含まれ得る。光重合開始剤の含有量が上記範囲内である場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起き、優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れ、未反応の開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0122】
溶媒は、本発明によるコア-シェル化合物、顔料、バインダー樹脂、光重合性単量体、および光重合開始剤との相溶性を有するが、反応しない物質を使用することができる。
【0123】
溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0124】
これら溶媒のうち、好ましくは相溶性および反応性を考慮して、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;および/またはシクロヘキサノンなどのケトン類を使用することができる。
【0125】
溶媒は、感光性樹脂組成物の総質量に対して残部量、例えば30質量%~80質量%の含有量で含まれ得る。溶媒の含有量が上記範囲内である場合、感光性樹脂組成物が適切な粘度を有するようになり、カラーフィルター製造時に加工性に優れている。
【0126】
本発明による感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するためにエポキシ化合物をさらに含むことができる。
【0127】
エポキシ化合物の例としては、フェノールノボラックエポキシ化合物、テトラメチルビフェニルエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0128】
エポキシ化合物は、感光性樹脂組成物100質量部に対して0.01質量部~20質量部、例えば0.1質量部~10質量部の含有量で含まれ得る。エポキシ化合物の含有量が上記範囲内である場合、密着性、保存性などに優れている。
【0129】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、基板との接着性を向上させるためにカルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤をさらに含むことができる。
【0130】
このようなシランカップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0131】
シランカップリング剤は、感光性樹脂組成物100質量部に対して0.01質量部~10質量部の含有量で含まれ得る。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内である場合、密着性、保存性などに優れている。
【0132】
また、感光性樹脂組成物は、必要に応じてコーティング性向上および欠点生成防止効果のために界面活性剤をさらに含むことができる。
【0133】
前記界面活性剤の例としては、BM Chemie社製のBM-1000、BM-1100など;DIC株式会社製のメガファック(登録商標、以下同じ)F142D、同F172、同F173、同F183など;3M社製のフルオラド(登録商標、以下同じ)FC-135、同FC-170C、同FC-430、同FC-431など;AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロン(登録商標、以下同じ)S-112、同S-113、同S-131、同S-141、同S-145など;デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製のSH-28PA、同-190、同-193、SZ-6032、SF-8428などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0134】
界面活性剤は、感光性樹脂組成物100質量部に対して0.001質量部~5質量部で使用することができる。界面活性剤の使用量がこの範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、染みが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れている。
【0135】
また、感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で、酸化防止剤、安定剤などのその他添加剤が一定量添加されてもよい。
【0136】
また、他の実施形態によれば、本発明による感光性樹脂組成物を硬化してなる感光性樹脂膜を提供する。
【0137】
また、本発明の他の実施形態によれば、上記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0138】
上記カラーフィルターは、有機光電子素子を構成することができる。
【0139】
例えば、有機光電子素子は、モバイルディスプレイ用であり得る。
【0140】
カラーフィルター内のパターン形成工程は次のとおりである。
【0141】
感光性樹脂組成物を支持基板上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程;上記塗布された感光性樹脂組成物を乾燥して感光性樹脂組成物膜を形成する工程;上記感光性樹脂組成物膜を露光する工程;上記露光された感光性樹脂組成物膜をアルカリ水溶液で現像して感光性樹脂膜を製造する工程;および上記感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含む。工程上の条件などについては、当該分野で広く知られた事項であるため、本明細書で詳細な説明は省略する。
【0142】
また、本発明の他の実施形態は、上記カラーフィルターを含むディスプレイ装置を提供する。
【0143】
例えば、上記ディスプレイ装置は、モバイルディスプレイ装置であり得る。
【実施例
【0144】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0145】
(化合物の合成)
合成例1:化学式Aで表される化合物の合成
4-ヒドロキシジフェニルアミン(4-hydroxydiphenylamine)(0.1mol)、γ-アセトプロパノール(γ-acetopropanol)(0.15mol)、SnCl・2HO(0.02mol)、およびポリ(メチルヒドロシロキサン)(poly(methylhyrdosiloxane))(0.2mol)をメタノールに入れて60℃で加熱して10時間攪拌した。生成したポリマーは、フィルターを通じて除去し、メタノールの一部を減圧蒸留を通じて除去した後、酢酸エチルで抽出して、10質量%塩酸と水とで洗浄した。抽出した有機層を減圧蒸留して、カラムクロマトグラフィーで精製し、中間体1を得た。
【0146】
中間体1(0.05mol)、およびEtN(0.11mol)をジクロロメタン(dichloromethane)に入れ、0℃に温度を調整した後、メタクリロイルクロリド(methacryloyl chloride)(1.05mol)を徐々に滴下して2時間攪拌した。ジクロロメタン(dichloromethane)で抽出して水で洗浄した。抽出した有機層を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して、中間体2を得た。
【0147】
中間体2(0.01mol)、スクアリン酸(squaric acid)(0.05mol)、およびトリエチルオルトホルメート(triethylorthoformate、TEOF)(0.15mol)をアミルアルコール(amyl alcohol)に入れて90℃で加熱して7時間攪拌した。減圧蒸留を通じてアミルアルコール(amyl alcohol)を除去し、カラムクロマトグラフィーで精製して、中間体3を得た。
【0148】
中間体3(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、2,6-ピリジンジカルボニルジクロリド(2,6-pyridinedicarbonyl dichloride)(20mmol)およびp-キシレンジアミン(p-xylylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解した溶液を、常温で5時間同時に滴下した。12時間後、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、下記化学式Aで表される化合物を得た。
【0149】
【化15】
【0150】
合成例2:化学式Bで表される化合物の合成
4-ヒドロキシジフェニルアミン(4-hydroxydiphenylamine)(0.1mol)、2-ヨードエタノール(2-iodoethaneol)(0.12mol)、およびKCO(0.15mol)をアセトンに入れ、50℃に加熱して12時間攪拌した。攪拌終了後、酢酸エチルで抽出して水で洗浄した。抽出した有機層を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製した後、得られた反応物と、γ-アセトプロパノール(γ-acetopropanol)(0.15mol)、SnCl・2HO(0.02mol)、およびポリ(メチルヒドロシロキサン)(poly(methylhyrdosiloxane))(0.2mol)とをメタノールに入れて60℃で加熱して10時間攪拌した。生成したポリマーは、フィルターを通じて除去し、メタノールの一部を減圧蒸留を通じて除去した後、酢酸エチルで抽出して、10質量%塩酸と水とで洗浄した。抽出した有機層を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーにょり精製して、中間体1を得た。
【0151】
その他、中間体合成などの工程は、合成例1と同様の方法で行って、下記化学式Bで表される化合物を得た。
【0152】
【化16】
【0153】
比較合成例1:化学式C-1で表される化合物の合成
(1-メチル-ヘキシル)-フェニル-p-トリル-アミン((1-Methyl-hexyl)-phenyl-p-tolyl-amine)(100mmol)および3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(3,4-Dihydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione)(50mmol)をトルエン(300mL)およびブタノール(300mL)に入れ、還流して生成する水を、ディーンスターク(Dean-stark)蒸留装置で除去した。12時間攪拌後、反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して、スクアリリウム系化合物を得た。この化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、ピリジン-2,6-ジカルボニルジクロリド(Pyridine-2,6-dicarbonyl dichloride)(20mmol)、およびp-キシレンジアミン(p-xylylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解した溶液を、常温で5時間同時に滴下した。12時間後、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記化学式C-1で表される化合物を得た。
【0154】
【化17】
【0155】
比較合成例2:化学式C-2で表される化合物の合成
Propionic acid 2-{(2-cyano-ethyl)-[4-(2-hydroxy-3,4-dioxo-cyclobut-1-enyl)-phenyl]-amino}-ethyl ester(60mmol)、および1-(2-Ethyl-hexyl)-1H-indole(60mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れ、還流して生成する水をディーンスターク(Dean-stark)蒸留装置で除去した。12時間攪拌後、緑色反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して、非対称スクアリリウム系化合物を得た。この化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、ピリジン-2,6-ジカルボニルジクロリド(Pyridine-2,6-dicarbonyl dichloride)(20mmol)、およびp-キシレンジアミン(p-xylylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解した溶液を、常温で5時間同時に滴下した。12時間後、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して下記化学式C-2で表される化合物を得たる。
【0156】
【化18】
【0157】
比較合成例3:化学式C-3で表される化合物の合成
出発物質合成
【0158】
【化19】
【0159】
2,4-ジメチルジフェニルアミン(2,4-dimethyldiphenylamine)(0.1mol)、NaH(0.2mol)および炭酸エチレン(ethylene carbonate)(0.2mol)をDMF溶媒で140℃で16時間加熱した。酢酸エチルで抽出して水で洗浄した。抽出した有機層を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して中間体を合成した。これ以外の方法は、一般的な方法を用いて、コアを合成した。また、スクアリリウム系染料の合成は、合成例1と同様の方法で行って、下記化学式C-3で表される化合物を得た。
【0160】
【化20】
【0161】
(感光性樹脂組成物の合成)
実施例1~実施例3および比較例1~比較例5
下記表1に示す構成成分を、下記表1に示す組成で混合して、実施例1~実施例3および比較例1~比較例5による感光性樹脂組成物を製造した。
【0162】
具体的には、溶媒に光重合開始剤を溶かした後、2時間常温で攪拌し、ここにバインダー樹脂および光重合性単量体を添加して、2時間常温で攪拌した。次に、得られた混合物に、着色剤として上記合成例で製造した化合物(染料)および顔料(顔料分散液形態)を入れ、1時間常温で攪拌した。次に、酸化防止剤およびレベリング剤を入れ、得られた混合物を3回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0163】
【表1】
【0164】
評価1:耐光性の測定
脱脂洗浄した厚さ0.5mmの100mm×100mmのガラス基板上に、表1に示す配合比で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、85℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。次いで、塗膜に、365nmの波長を有するUVランプを使用して80mJ/cmの条件で全面露光した後、85℃の熱風循環式乾燥炉内で60分間乾燥させて、2.7μmの厚さの色試験片を作製した。
【0165】
得られた色試験片上に、感圧接着剤(pressure sensitive adhesive、PSA)フィルムを合紙して耐光評価用試験片を作製した後、100Wのキセノンランプに24時間曝露させて、耐光性を評価した。PSAフィルムが合紙された色試験片のキセノンランプ曝露前と後の色値を、膜厚測定用途マルチチャンネル分光器(MCPD、大塚電子株式会社製)で測定し、輝度維持率を下記数式1に基づいて算出し、その結果を下記表2に示した。
【0166】
【数1】
【0167】
評価2:低温耐薬品性の測定
評価1で作製した色試験片の上に、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)3mlを塗布した後、85℃ホットプレートに135秒間維持させた後、PGMEA処理前と後の色値を、膜厚測定用途マルチチャンネル分光器(MCPD、大塚電子株式会社製)を用いて測定した。色変化の尺度であるΔEab値を下記数式2に基づいて算出し、その結果を下記表2に示した。
【0168】
【数2】
【0169】
【表2】
【0170】
上記表2から明らかなように、本発明によるコア-シェル化合物を高い含有量で含む実施例1~実施例3の感光性樹脂組成物は、低温の硬化条件でも耐光性および耐薬品性に優れており、偏光フィルムを含まないモバイルディスプレイ装置を構成する有機光電子素子に使用されるには非常に適していることを確認できる。
【0171】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。