IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7418567基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット
<>
  • 特許-基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット 図1
  • 特許-基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット 図2A
  • 特許-基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット 図2B
  • 特許-基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット 図3
  • 特許-基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット 図4
  • 特許-基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット 図5
  • 特許-基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット 図6
  • 特許-基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-11
(45)【発行日】2024-01-19
(54)【発明の名称】基板のエッジ膜厚均一性を向上させる処理キット
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
C23C16/44 J
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022525855
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020057790
(87)【国際公開番号】W WO2021087002
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】16/672,327
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ ムハンナド
(72)【発明者】
【氏名】ラシード ムハンマド エム
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-244244(JP,A)
【文献】特開2013-179054(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0229849(US,A1)
【文献】特表2007-524236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0237891(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理チャンバ内で使用する処理キットであって、
基板支持体を取り囲むように構成された環状本体であり、前記環状本体が、上部、下部、ならびに前記上部および前記下部を貫く中心開口を有し、前記上部が、前記環状本体の外径を画定する上フランジに結合された側壁を含み、前記上部が、前記側壁を貫いて配置された複数の第1の穴を含み、前記上部が、1つまたは複数の加熱要素を含む、前記環状本体と、
前記環状本体の周囲に配置されたシールドであり、前記シールドが、前記複数の第1の穴に流体接続された排気口を含む、前記シールドと
を備える処理キット。
【請求項2】
前記シールドが、前記環状本体のスロットに入って前記シールドを前記環状本体に取り外し可能に結合するように構成されたキーを含む、請求項1に記載の処理キット。
【請求項3】
前記1つまたは複数の加熱要素が、前記環状本体を加熱するために、前記環状本体の周囲の異なる角位置に配置された複数のヒータロッドを含み、前記複数のヒータロッドのそれぞれのロッドが独立して制御可能である、請求項1に記載の処理キット。
【請求項4】
前記複数のヒータロッドが、前記上部の前記上フランジの中に軸対称に配置された、請求項3に記載の処理キット。
【請求項5】
複数のヒータロッドが8本のヒータロッドを含む、請求項3に記載の処理キット。
【請求項6】
前記環状本体が、前記上部の前記上フランジに結合されたリングを含み、前記複数のヒータロッドが前記リングの中に配置された、請求項3に記載の処理キット。
【請求項7】
前記環状本体が、前記上部に結合されたリングを含み、前記リングが、前記環状本体を加熱するための抵抗加熱器を含む、請求項1に記載の処理キット。
【請求項8】
前記上部の前記上フランジが、前記上フランジから半径方向外側へ延びる、前記環状本体をリッドアセンブリに位置合わせするための複数の耳を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の処理キット。
【請求項9】
前記上フランジが、前記上フランジの上面から延びる、前記環状本体をシャワーヘッドに位置合わせするための複数のピンを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の処理キット。
【請求項10】
前記環状本体および前記シールドがアルミニウムでできている、請求項1~7のいずれか1項に記載の処理キット。
【請求項11】
前記環状本体および前記シールドがともに、そこを通して基板を収容するためのカットアウトを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の処理キット。
【請求項12】
前記上部の外側壁が、第1のプレナムを画定するための環状凹部を含み、前記第1のプレナムが、前記シールドの内面と前記環状凹部によって画定された表面との間に画定された、請求項1~7のいずれか1項に記載の処理キット。
【請求項13】
前記下部が、下フランジおよび上フランジ、ならびに前記下フランジと前記上フランジの間に配置された側壁を含み、前記シールドの前記内面および前記下部の前記側壁が、互いに前記下部の反対側に配置された凹部によって前記第1のプレナムに流体結合された第2のプレナムを画定する、請求項12に記載の処理キット。
【請求項14】
前記環状本体が、前記環状本体の上面から延びる複数の位置合わせピンを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の処理キット。
【請求項15】
前記複数の第1の穴が異なるサイズを有する、請求項10に記載の処理キット。
【請求項16】
処理ボリュームを画定するチャンバ本体であり、前記チャンバ本体がリッドを含む、前記チャンバ本体と、
前記処理ボリューム内に配置された基板支持体と、
請求項1~7のいずれかに記載の処理キットと、
前記処理ボリューム内の前記基板支持体の反対側の前記環状本体の上面に配置されたシャワーヘッドと
を備える処理チャンバ。
【請求項17】
前記1つまたは複数の加熱要素が、前記環状本体を加熱するために、前記環状本体の周囲の異なる角位置に配置された複数のヒータロッドを含み、前記複数のヒータロッドが、前記上部の外側壁から半径方向内側へ延びる、請求項16に記載の処理チャンバ。
【請求項18】
前記1つまたは複数の加熱要素が、前記環状本体を加熱するために、前記環状本体の周囲の異なる角位置に配置された複数のヒータロッドを含み、前記環状本体が、前記上部に結合されたリングを含み、前記複数のヒータロッドが、前記上部に結合された前記リングの中に配置された、請求項16に記載の処理チャンバ。
【請求項19】
ポンプポートをさらに備え、前記上部および前記シールドが第1のプレナムを画定し、前記下部および前記シールドが第2のプレナムを画定し、前記第1のプレナムが、前記第2のプレナムを介して前記ポンプポートに流体結合された、請求項16~18のいずれか1項に記載の処理チャンバ。
【請求項20】
前記上部の内面が、前記シャワーヘッドの外面の輪郭に対応する輪郭を有する、請求項16~18のいずれか1項に記載の処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般に基板処理装置に関し、より詳細には、基板処理装置内で使用する処理キットに関する。
【背景技術】
【0002】
堆積チャンバは通常、基板上に形成された特徴の上に材料層を堆積させるために使用される。原子層堆積(ALD)および化学気相堆積(CVD)は材料層を堆積させるために使用される堆積技術である。ALDプロセスの一例は、ガスのパルスの逐次導入を含む。例えば、ガスのパルスの逐次導入の1回のサイクルが、第1の反応物ガスのパルス、それに続くパージガスのパルスおよび/またはポンプ排気、それに続く第2の反応物ガスのパルス、ならびにそれに続くパージガスのパルスおよび/またはポンプ排気を含むことがある。第1の反応物および第2の反応物の別々のパルスの逐次導入は、これらの反応物の単層の基板の表面への交互自己制御吸収に帰着することがあり、したがって、このような逐次導入は、1サイクルごとに材料の単層を形成する。このサイクルを、堆積材料が所望の厚さになるまで繰り返すことができる。第1の反応物ガスのパルスと第2の反応物ガスのパルスの間のパージガスのパルスおよび/またはポンプ排気は、チャンバ内に過剰な量の反応物が残留していることにより反応物が気相反応する可能性を低減させる役目を果たす。
【0003】
本発明の発明者は、いくつかの堆積プロセス中に処理中の基板の周辺領域の温度が不均一であると、堆積材料の厚さが基板を横切って不均一になることを観察した。
【0004】
したがって、本発明の発明者は、堆積チャンバ内で使用する改良された処理キットを提供した。
【発明の概要】
【0005】
本明細書には、基板処理チャンバ内で使用する処理キットの実施形態が提供されている。いくつかの実施形態では、基板処理チャンバ内で使用する処理キットが、基板支持体を取り囲むように構成された環状本体であり、環状本体が、上部、下部、ならびに上部および下部を貫く中心開口を有し、上部が、環状本体の外径を画定する上フランジに結合された側壁を含み、上部が、側壁を貫いて配置された複数の第1の穴を含み、上部が、1つまたは複数の加熱要素を含む、環状本体と、環状本体の周囲に配置されたシールドであり、シールドが、複数の第1の穴に流体接続された排気口を含む、シールドとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、基板処理チャンバ内で使用する処理キットが、基板支持体を取り囲むように構成された環状本体であり、環状本体が、上部、下部、ならびに上部および下部を貫く中心開口を有し、上部が、上部の側壁を貫いて配置された複数の第1の穴を含み、上部が、1つまたは複数の加熱要素を含む、環状本体と、環状本体の周囲に配置され、環状本体に取り外し可能に結合されたシールドであり、シールドが、複数の第1の穴に流体接続された排気口を含む、シールドとを含み、環状本体およびシールドがともに、そこを通して基板を収容するためのカットアウト(cutout)を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、処理チャンバが、処理ボリューム(processing volume)を画定するチャンバ本体であり、チャンバ本体がリッドを含む、チャンバ本体と、処理ボリューム内に配置された基板支持体と、基板支持体の周囲に配置された環状本体であり、環状本体が、上部、下部、ならびに上部および下部を貫く中心開口を有し、環状本体が、環状本体の側壁を貫いて配置された複数の第1の穴を含み、上部が、1つまたは複数の加熱要素を含み、1つまたは複数の加熱要素が、環状本体の周囲に軸対称に配置された複数のヒータロッド(heater rod)または上部に結合されたリングの中に配置された抵抗加熱器のうちの少なくとも一方を含む、環状本体と、環状本体の周囲に配置され、環状本体に取り外し可能に結合されたシールドであり、シールドが、複数の第1の穴に流体接続された排気口を含む、シールドと、処理ボリューム内の基板支持体の反対側の環状本体の上面に配置されたシャワーヘッドとを含む。
【0008】
本開示の他の実施形態および追加の実施形態は以下で説明される。
【0009】
上に概要を簡潔に示した、後により詳細に論じる本開示の実施形態は、添付図面に示された本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を、範囲を限定するものとみなすべきではない。これは、本開示が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示のいくつかの実施形態による処理チャンバの概略側断面図である。
図2A】本開示のいくつかの実施形態による処理チャンバの概略部分側断面図である。
図2B】本開示のいくつかの実施形態による処理チャンバの概略部分側断面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による処理チャンバの概略上面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による処理キットの等角上面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による処理キットの等角上面図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による処理キットの側立面図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による処理チャンバの部分等角上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照符号を使用した。図は、一定の倍率では描かれておらず、明瞭にするために簡略化されていることがある。特段の言及がなくとも、1つの実施形態の要素および特徴が、別の実施形態に有益に組み込まれることがある。
【0012】
本明細書には、基板処理チャンバ内で使用する処理キットの実施形態が提供されている。いくつかの実施形態では、処理キットが、処理ボリュームからポンピングポートへ流れを導いている間のチャンバ部品上への不必要な堆積を低減させまたは防ぐために基板支持体のエッジの周囲の基板支持体のエッジのすぐ近くに配置されたライナを含む。処理中の基板上の温度均一性を向上させるために基板のエッジ領域とライナとの間の温度差を低減させるようにこのライナを有利に加熱するため、このライナは、1つまたは複数の加熱要素に結合されている。いくつかの実施形態では、基板のエッジ領域の近くの温度プロファイルを有利に制御するために、この1つまたは複数の加熱要素が独立して制御可能である。
【0013】
本明細書に記載された教示を組み込むのに適した処理チャンバの例には、米カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials,Inc.から販売されている高誘電率(すなわち高k)金属ALD堆積チャンバが含まれるが、Applied Materials,Inc.または他の製造会社から販売されている他のチャンバも有益であることがある。処理チャンバの以下の説明は、背景説明および例示のために示したものであり、以下の説明を、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0014】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による基板処理チャンバ(処理チャンバ100)の概略図である。処理チャンバ100は、チャンバ本体102およびリッドアセンブリ104を含み、チャンバ本体102内のリッドアセンブリ104の下に画定された処理ボリューム106を有する。チャンバ本体102のスリットバルブ120は、200、300、450mmなどの半導体ウエハ、ガラス基板などの基板をロボット(図示せず)が処理チャンバ100へ供給し、処理チャンバ100から取り出すためのアクセスを提供する。
【0015】
基板支持体108は、処理チャンバ100内の基板受取り面上に基板を支持する。基板支持体108は、基板支持体108および基板支持体108上に配置されているときの基板を上げ下げするためのリフトモータに装着されている。基板支持体108を貫いて移動可能に配置されたリフトピンを上げ下げするため、処理チャンバ100内には、リフトモータに接続されたリフトプレート122が装着されている。リフトピンは、基板支持体108の表面の上で基板を上げ下げする。基板支持体108は、処理の間、基板を基板支持体108に固定するための真空チャック(図示せず)、静電チャック(図示せず)またはクランプリング(図示せず)を含むことができる。
【0016】
基板の温度を制御するために基板支持体108の温度を調整することができる。例えば、抵抗加熱器などの埋め込み加熱要素を使用して、または基板支持体108に熱エネルギーを供給するように構成された加熱ランプなどの放射熱を使用して、基板支持体108を加熱することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、基板支持体108の周縁の上にエッジリング116を配置することができる。エッジリング116は、基板支持体108の支持面を露出させるようにサイズが決められた中心開口を含む。エッジリング116はさらに、基板支持体108の側面を保護するためのスカートまたは下方へ延びる環状リップを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、動作の間、腐食性ガスまたは材料の堆積からチャンバ本体102を保護するために、チャンバ本体102の内壁(例えば1つまたは複数の側壁)に沿ってライナ114が配置されている。ライナ114は、ヒータ電源130に結合された1つまたは複数の加熱要素(図2Aおよび2Bを参照されたい)を含む。ヒータ電源130は、1つまたは複数の加熱要素の対応するそれぞれの加熱要素に結合された単一の電源または複数の電源とすることができる。いくつかの実施形態では、腐食性ガスまたは材料の堆積からチャンバ本体102を保護するために、ライナ114の周囲にシールド136が配置されている。いくつかの実施形態では、ライナ114およびシールド136がポンピングボリューム(pumping volume)124を画定する。ライナ114は、ポンピングボリューム124を処理ボリューム106に流体結合する複数の開口を含む。このような実施形態では、ポンプポート126に結合された真空ポンプによって処理チャンバ100からガスを排出すること、および処理チャンバ100の内側の所定の圧力または圧力範囲を維持することを容易にするために、ポンピングボリューム124がさらにポンプポート126に流体結合されている。
【0019】
処理ガスおよび/またはパージガスなどのガスをシャワーヘッド110を通して処理ボリューム106に供給するために、リッドアセンブリ104にはガス供給システム118が結合されている。シャワーヘッド110は、リッドアセンブリ104内の一般に基板支持体108の反対側に配置されており、処理ボリューム106に処理ガスを供給するための複数のガス分配穴を含む。
【0020】
本明細書では、処理ボリュームに対して露出した処理チャンバ100の部品であって、時間の経過に伴って定期保守および/または交換を経験する処理チャンバ100の部品を処理キットと呼ぶ。処理キットは、限定はされないが、ライナ114、シールド136およびエッジリング116を含む。
【0021】
例示的な処理動作では、ロボット(図示せず)によって基板が、スリットバルブ120を通して処理チャンバ100に供給される。基板は、リフトピンとロボットとの協働によって基板支持体108上に配置される。基板支持体108は、基板を、シャワーヘッド110の下面に近い位置に持ち上げる。ガス供給システム118によって処理ボリューム106に第1のガス流を、第2のガス流と一緒にまたは第2のガス流と順番に(例えばパルスで)注入することができる。第1のガス流は、パージガス源からのパージガスの連続流および反応物ガス源からの反応物ガスのパルスを含むことができ、または反応物ガス源からの反応物ガスのパルスおよびパージガス源からのパージガスのパルスを含むことができる。第2のガス流は、パージガス源からのパージガスの連続流および反応物ガス源からの反応物ガスのパルスを含むことができ、または反応物ガス源からの反応物ガスのパルスおよびパージガス源からのパージガスのパルスを含むことができる。次いでこのガスを基板の表面に堆積させる。過剰のガス、副生物および他の同種のものは、ポンピングボリューム124を通ってポンプポート126に流れ、次いで処理チャンバ100から排出される。
【0022】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、上で説明したライナ114を含む処理チャンバの概略部分側断面図を示している。いくつかの実施形態では、チャンバ本体102およびリッドアセンブリ104への熱損失を最小限に抑えるために、ライナ114とシールド136のサブアセンブリが、チャンバ本体102およびリッドアセンブリ104と最小限に接触する。いくつかの実施形態では、ライナ114およびシールド136がともにチャンバ本体102から間隔を置いて配置されている。例えば、シールド136とチャンバ本体102との間に第1の間隙が配置されている。いくつかの実施形態では、この第1の間隙が約30ミルから約50ミルである。いくつかの実施形態では、環状本体220の外側壁とリッドアセンブリ104との間に第2の間隙が配置されている。いくつかの実施形態では、この第2の間隙が約30ミルから約50ミルである。いくつかの実施形態では、環状本体220の下面とチャンバ本体102との間に第3の間隙が配置されている。いくつかの実施形態では、この第3の間隙が約30ミルから約50ミルである。
【0023】
ライナ114は、基板支持体108の周囲に配置された環状本体220を含む。いくつかの実施形態では、環状本体220が、少なくとも約200W/mKの熱伝導率を有する材料でできている。いくつかの実施形態では、環状本体220が、アルミニウム、例えばアルミニウム6061またはアルミニウム6063でできている。いくつかの実施形態では、環状本体220が、上部210、下部214、ならびに上部210および下部214を貫く中心開口216を含む。いくつかの実施形態では、上部210の外側壁が、シールド136とともに第1のプレナム238を形成する環状凹部278を含み、第1のプレナム238が、シールド136の内面と環状凹部278の表面との間に配置されている。いくつかの実施形態では、環状凹部278によって画定された表面が側壁230を含む。いくつかの実施形態では、環状本体220の上部210の頂部から半径方向外側へ、リッドアセンブリ104上に載るための上フランジ228が延びている。上フランジ228は環状本体220の外径を画定する。いくつかの実施形態では、側壁230が、実質的に垂直な第1の部分、ならびに上方および半径方向外側へ延びる第2の部分を含む。いくつかの実施形態では、環状本体220が、環状本体220の側壁230を貫いて配置された複数の第1の穴218を含む。この複数の第1の穴218は、処理ボリューム106からポンプポート126への流れを容易にするように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、上部210の内面212が、シャワーヘッド110の外面224の輪郭に対応する輪郭を有する。いくつかの実施形態では、ライナ114とシャワーヘッド110との間の熱的結合を低減させるため、上部210の内面212とシャワーヘッド110の外面224との間に間隙がある。いくつかの実施形態では、ポンピングボリューム124が第1のプレナム238および第2のプレナム240を含む。図4に関して後により詳細に説明するように、第2のプレナム240は、シールド136および下部214の側壁によって画定される。
【0025】
いくつかの実施形態では、上部210が、1つまたは複数の加熱要素を収容するための1つまたは複数の開口232を含む。いくつかの実施形態では、図2Aに示されているように、この1つまたは複数の加熱要素が、環状本体220を加熱するための1つまたは複数のヒータロッド206を含む。いくつかの実施形態では、ヒータロッド206が、環状本体220の周囲に軸対称に配置されている。いくつかの実施形態では、ヒータロッド206がそれぞれ、約75ワットから約125ワットの電力を提供することができる。いくつかの実施形態では、環状本体220を摂氏300度まで加熱することができる。ヒータロッド206は、個別に制御することができ、または直列に接続することができる。いくつかの実施形態では、この複数のヒータロッド206が、上フランジ228の外側壁から半径方向内側へ延びる。いくつかの実施形態では、この複数のヒータロッド206が、上部210の中へ実質的に水平に延びる。
【0026】
いくつかの実施形態では、リッドアセンブリ104が、リッドアセンブリ104と環状本体220との間の境界面に1つまたは複数のOリングを収容するための1つまたは複数のOリング溝208を含む。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド110が、シャワーヘッド110と環状本体220との間の境界面に1つまたは複数のOリングを収容するための1つまたは複数のOリング溝204を含む。
【0027】
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による処理チャンバの概略部分側断面図を示している。いくつかの実施形態では、図2Bに示されているように、ライナ114が、環状本体220の上部210に取り外し可能に結合されたリング280を含む。リング280は、ライナ114を加熱するための1つまたは複数の加熱要素222を含む。いくつかの実施形態では、リング280が、上部210の上フランジ228の上面に取り外し可能に結合されている。いくつかの実施形態では、この1つまたは複数の加熱要素222が、リング280に埋め込まれた抵抗加熱器である。いくつかの実施形態では、この1つまたは複数の加熱要素222が、リング280の中に配置された複数のヒータロッドである。有利には、リング280は、ライナ114を完全に取り外す必要なしにリング280およびヒータロッドを取り外し、保守することを容易にする。
【0028】
いくつかの実施形態では、一対のOリング溝204の間から一対のOリング溝208まで、環状本体220を貫いて差動ポンピングライン(differential pumping line)254が延びている。差動ポンピングライン254は、一対のOリング溝204と一対のOリング溝208との間に閉じ込められた処理ガスまたは副生物がポンプポート126に排出されることを保証するための差動ポンピングを容易にするように構成されている。いくつかの実施形態では、差動ポンピングライン254が、一対のOリング溝204の間から一対のOリング溝208の間まで半径方向外側へ延びている。
【0029】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による処理チャンバの概略上面図を示している。いくつかの実施形態では、ライナ114を加熱するため、複数のヒータロッド206が、ライナ114の周囲の異なる角位置に配置されている。いくつかの実施形態では、複数のヒータロッド206が8本のヒータロッドを含む。いくつかの実施形態では、矢印302A~Hが、ライナ114の周囲の複数のヒータロッド206の対応する位置を示している。図3には8本のヒータロッドの位置が示されているが、それよりも多くのまたはそれよりも少数のヒータロッド206を使用することができる。いくつかの実施形態では、複数のヒータロッド206が、環状本体220の上フランジ228の中に軸対称に配置されている。いくつかの実施形態では、複数のヒータロッドが、リング280の中に軸対称に配置されている。
【0030】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による処理キットの等角上面図を示している。いくつかの実施形態では、環状本体220の下部214が、下フランジ402および上フランジ404、ならびに下フランジ402と上フランジ404の間に配置された側壁408を含む。いくつかの実施形態では、側壁408が、そこを通して基板を収容するためのカットアウト410を含む。いくつかの実施形態では、下部214が、ライナ114をシールド136に取り外し可能に結合するように構成された特徴を有する1つまたは複数の結合面414を含む。いくつかの実施形態では、この1つまたは複数の結合面414が、下フランジ402の外面および上フランジ404の外面と同一平面上にある。いくつかの実施形態では、この1つまたは複数の結合面414が、シールド136のキー(key)(図5参照)を収容するためのスロット418を含む。いくつかの実施形態では、スロット418がL字形である。いくつかの実施形態では、この1つまたは複数の結合面414が、互いに下部214の反対側に配置された2つの結合面を含む。いくつかの実施形態では、カットアウト410が、隣り合う1つまたは複数の結合面414間に延びている。いくつかの実施形態では、上フランジ404が、上フランジ404の外面から半径方向内側へ延びる凹部412を含む。いくつかの実施形態では、凹部412が、互いに上フランジ404の反対側に配置されている。凹部412は、上部210から下部214へ流れを導くように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、環状本体220が、環状本体220の上面424から延びる複数の位置合わせピン420を含む。いくつかの実施形態では、この複数の位置合わせピン420が3本のピンを含む。いくつかの実施形態では、上フランジ228が、上フランジ228から半径方向外側へ延びる複数の耳(ear)422を含む。
【0032】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による処理キットのシールド136の等角上面図を示している。シールド136は、ライナ114と同じタイプの材料から作られたものとすることができる。いくつかの実施形態では、シールド136およびライナ114が加熱または冷却されたときのそれらの間の機械的応力を低減させまたは防ぐため、シールド136が、ライナ114と同じ材料またはライナ114と同様の熱膨張率を有する材料でできている。いくつかの実施形態では、シールド136が、シールドの内面502に配置された1つまたは複数のキー504であって、環状本体220の対応するスロット418に入ってシールド136をライナ114に取り外し可能に結合するように構成された1つまたは複数のキー504を含む。この1つまたは複数のキー504は、シールド136と一体に形成されたもの、または、さもなければ、シールド136に締結、接着または結合されたものとすることができる。いくつかの実施形態では、シールド136が、1つまたは複数のキー504の各々に対するファスナ開口508を含む。シールド136の外面512からファスナ開口508を通って1つまたは複数のキー504の各々の中へ延びるファスナによって、1つまたは複数のキー504の各々をシールド136に固定することができる。いくつかの実施形態では、シールド136が、そこを通して基板を収容するためのカットアウト506を含む。いくつかの実施形態では、カットアウト506が、環状本体220のカットアウト410と同様のサイズを有する。いくつかの実施形態では、シールド136が排気口510を含む。いくつかの実施形態では、排気口510が、カットアウト506の反対側に配置されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、上部210およびシールド136が第1のプレナム238を画定する。いくつかの実施形態では、シールド136の内面502、上部310の側壁230および下部314の上フランジ404が第1のプレナム238を画定する。第1のプレナム238は、複数の第1の穴218に流体結合されている。いくつかの実施形態では、処理ボリューム106から有利に均一に排気するために、ポンプポート126から遠くに配置された第1の穴の方がポンプポート126の近くに配置された第1の穴よりも大きくなるような態様で、複数の第1の穴218が異なるサイズを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、下部214およびシールド136が第2のプレナム240を画定する。いくつかの実施形態では、シールド136の内面502および下部214の側壁408が、上フランジ404と下フランジ402の間に第2のプレナム240を画定する。上フランジ404の凹部412は、第1のプレナム238から第2のプレナム240へ流れを導くための、第1のプレナム238と第2のプレナム240の間の開口を提供する。いくつかの実施形態では、上フランジ404の凹部412が2つの凹部412を含む。いくつかの実施形態では、凹部412が互いに上フランジ404の反対側に配置されている。動作時、処理ボリューム106からの流れは、複数の第1の穴218を通して第1のプレナム238の中へ導かれ、第1のプレナム238から凹部412を通して第2のプレナム240の中へ導かれ、第2のプレナム240から排気口510を通してポンプポート126の中へ導かれる。いくつかの実施形態では、凹部412から排気口510へ均一に流れを導くために、排気口510が、隣り合う凹部412間の実質的に等距離のところに有利に配置される。
【0035】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による処理キットの側立面図を示している。図6に示されているように、シールド136は、環状本体220に取り外し可能に結合されている。いくつかの実施形態では、シールド136が、環状本体220に結合されたときに、環状本体220の上部210の下面に当接する。いくつかの実施形態では、シールド136の外面512が上部210の外面602と同一平面上にある。いくつかの実施形態では、上フランジ228の下面から複数の位置合わせピン610が延びている。いくつかの実施形態では、環状本体220をリッドアセンブリ104と位置合わせするために、この複数の位置合わせピン610が、リッドアセンブリ104の中に配置されたスロットの中へ延びるように構成されている。いくつかの実施形態では、この複数の位置合わせピン610のそれぞれのピンが、複数の耳422の対応する耳の下面から延びている。
【0036】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による処理チャンバの部分等角上面図を示している。いくつかの実施形態では、環状本体220をリッドアセンブリ104に位置合わせするために、上部210の複数の耳422が、複数の耳422に対応する溝702の中へ延びるように構成されている。いくつかの実施形態では、1つの向きにだけ環状本体220をリッドアセンブリ104と位置合わせすることができるように、複数の耳422が非対称に配置されている。いくつかの実施形態では、環状本体220をシャワーヘッド110に位置合わせするために、上フランジ228から延びる複数の位置合わせピン420が、シャワーヘッド110に形成された特徴704とインターフェースするように構成されている。いくつかの実施形態では、特徴704が、シャワーヘッド110の外面から半径方向内側へ延びる凹部である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の加熱要素(例えばヒータロッド206)を収容するために、リッドアセンブリ104が、上部210の1つまたは複数の開口232の位置と一致する位置に1つまたは複数のスロット706を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口232が、上フランジ228の外側壁から半径方向内側へ延びている。
【0037】
以上の説明は、本開示の実施形態を対象としているが、その基本的範囲を逸脱しない範囲で、本開示の他の実施形態および追加の実施形態が考案される可能性がある。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7