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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】治具及び装着方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20240115BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
B24B45/00 A
H01L21/304 631
H01L21/304 621B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020001193
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021109262
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】和田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】力石 利康
(72)【発明者】
【氏名】服部 真人
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-207277(JP,A)
【文献】特開2019-177444(JP,A)
【文献】特開2011-121128(JP,A)
【文献】米国特許第04998384(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-7/30
B24B21/00-51/00
B24D3/00-99/00
B23B31/00-33/00
B23Q3/00-3/18
B23Q5/00-5/58
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を研削又は研磨するための工具が装着される円盤状のマウントと、該マウントに連結され該マウントを回転させるためのスピンドルと、を含む加工ユニットの該マウントに該工具を装着するとき、又は、該マウントから該工具を取り外すときに用いられる治具であって、
該工具を下方から支持する板状の支持部と、
該支持部の外周部に設けられ、該マウントに掛止される複数の掛止部と、
該複数の掛止部の各々に設けられる仮止め用ネジと、を備え、
該仮止め用ネジは、該工具が該支持部に支持された状態で、該マウントに形成されている貫通穴を介して、該工具の基台に形成されている螺合穴に螺合可能であることを特徴とする治具。
【請求項2】
該支持部は、該支持部の平坦な上面よりも上方に突出し、該工具の研削砥石又はパッド部が該支持部の該上面に接触しない態様で該基台を支持する突起部を更に有することを特徴とする請求項1記載の治具。
【請求項3】
被加工物を研削又は研磨するための工具が装着される円盤状のマウントに治具を使用して該工具を装着する装着方法であって、
該工具を下方から支持する板状の支持部と、該支持部の外周部に設けられた複数の掛止部と、を有する該治具の該複数の掛止部を該マウントに掛止して、該支持部及び該工具を該マウントの直下に位置付ける工具配置ステップと、
該工具配置ステップの後、該複数の掛止部の各々に設けられる仮止め用ネジを、該マウントに設けられた貫通穴を介して、該工具の基台に設けられた螺合穴に螺合し、該基台を該マウントに密着させる工具密着ステップと、
該工具密着ステップの後、該仮止め用ネジが螺合されていない螺合穴に固定用ネジを螺合し、該工具を該マウントに固定する第1の工具固定ステップと、
該第1の工具固定ステップの後、該仮止め用ネジを外し、該治具を該マウントから取り外す治具取り外しステップと、
該治具取り外しステップの後、該仮止め用ネジが取り外された螺合穴に、固定用ネジを螺合する第2の工具固定ステップと、を備えることを特徴とする装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を研削又は研磨するための工具を加工ユニットのマウントに装着するとき又は工具をマウントから取り外すときに用いられる治具、及び、治具を使用してマウントに工具を装着する装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを製造する工程においては、通常、研削・研磨装置を用いて複数のデバイスが表面側に形成された半導体ウェーハの裏面側を研削及び研磨する。具体的には、研削・研磨装置の粗研削ユニット及び仕上げ研削ユニットを用いて半導体ウェーハの裏面側を順次研削した後、研削・研磨装置の研磨ユニットを用いて研削後の裏面側を研磨する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
粗研削ユニット、仕上げ研削ユニット及び研磨ユニットの各々は、鉛直方向に略平行に配置された円柱状のスピンドルを備える。各スピンドルの下端部には、円盤状のマウントが固定されている。
【0004】
各マウントの外周部には、通常、マウントの厚さ方向に貫通する複数の貫通穴が形成されている。各マウントの下面には、粗研削ホイール、仕上げ研削ホイール、研磨パッド等の工具が取り付けられる。マウントの下面と向き合う各工具の一面側には、ボルトがそれぞれ螺合する複数の螺合穴が形成されている。
【0005】
工具をマウントに取り付ける際には、例えば、作業者が手で工具を支持した状態で、貫通穴と螺合穴とが重なる様にマウントと工具との位置を調整した後、貫通穴を介して螺合穴にボルトを固定する。これにより、工具はマウントに装着される。また、工具をマウントから取り外す場合には、作業者が手で工具を支持した状態で螺合穴からボルトを取り外す。
【0006】
この様な工具の着脱作業は、装置の点検等のために定期的に行われる。しかし、研削ホイールや研磨パッド等の工具は比較的重いので、着脱作業には労力を有する。この労力を軽減するために、取り付け用治具が提案された(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
当該治具は、上面側が閉じた円筒状の昇降台を有する。昇降台は、円筒の中心軸の周りの所定方向に回転させることで上昇する様に構成されている。この治具を用いて、研削ホイールをマウントに装着するときには、まず、マウントの直下に配置されたチャックテーブル上に治具を配置する。
【0008】
そして、昇降台の上面に研削ホイールを載置し、昇降台を回転させることで研削ホイールを上昇させる。しかし、昇降台の上昇量には限界があるので、通常、昇降台を最大限上昇させた後、スピンドルを下降させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2002-283211号公報
【文献】特開2012-152832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば、手作業でスピンドルを下降させる際、作業者が操作を誤るとマウントの下面と研削ホイールの一面とが衝突して、研削ホイールや研削装置の破損につながるリスクがある。
【0011】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、マウントに工具を装着する際に、工具や装置の破損のリスクを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、被加工物を研削又は研磨するための工具が装着される円盤状のマウントと、該マウントに連結され該マウントを回転させるためのスピンドルと、を含む加工ユニットの該マウントに該工具を装着するとき、又は、該マウントから該工具を取り外すときに用いられる治具であって、該工具を下方から支持する板状の支持部と、該支持部の外周部に設けられ、該マウントに掛止される複数の掛止部と、該複数の掛止部の各々に設けられる仮止め用ネジと、を備え、該仮止め用ネジは、該工具が該支持部に支持された状態で、該マウントに形成されている貫通穴を介して、該工具の基台に形成されている螺合穴に螺合可能である治具が提供される。
【0013】
好ましくは、該支持部は、該支持部の平坦な上面よりも上方に突出し、該工具の研削砥石又はパッド部が該支持部の該上面に接触しない態様で該基台を支持する突起部を更に有する。
【0014】
本発明の他の態様によれば、被加工物を研削又は研磨するための工具が装着される円盤状のマウントに治具を使用して該工具を装着する装着方法であって、該工具を下方から支持する板状の支持部と、該支持部の外周部に設けられた複数の掛止部と、を有する該治具の該複数の掛止部を該マウントに掛止して、該支持部及び該工具を該マウントの直下に位置付ける工具配置ステップと、該工具配置ステップの後、該複数の掛止部の各々に設けられる仮止め用ネジを、該マウントに設けられた貫通穴を介して、該工具の基台に設けられた螺合穴に螺合し、該基台を該マウントに密着させる工具密着ステップと、該工具密着ステップの後、該仮止め用ネジが螺合されていない螺合穴に固定用ネジを螺合し、該工具を該マウントに固定する第1の工具固定ステップと、該第1の工具固定ステップの後、該仮止め用ネジを外し、該治具を該マウントから取り外す治具取り外しステップと、該治具取り外しステップの後、該仮止め用ネジが取り外された螺合穴に、固定用ネジを螺合する第2の工具固定ステップと、を備える装着方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る治具は、工具を支持する板状の支持部と、支持部の外周部に設けられマウントに掛止される複数の掛止部と、複数の掛止部の各々に設けられる仮止め用締結ネジと、を備える。マウントには貫通穴が形成されており、工具の基台には螺合穴が形成されている。工具が支持部に載置された状態で、仮止め用締結ネジが貫通穴を介して螺合穴に螺合されると、工具は支持部から持ち上げられてマウントに装着される。
【0016】
それゆえ、当該治具を用いれば、工具を装着する際に、スピンドルを下降させる必要が無い。従って、スピンドルを下降させる操作を誤り、マウントの下面と工具とが衝突することもないので、工具や装置の破損のリスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】加工ユニット、研削ホイール及び治具を分離して示す斜視図である。
図2図2(A)は工具配置ステップを示す斜視図であり、図2(B)は工具配置ステップを示す側面図である。
図3図3(A)は工具密着ステップを示す斜視図であり、図3(B)は工具密着ステップを示す側面図である。
図4図4(A)は第1の工具固定ステップを示す斜視図であり、図4(B)は第1の工具固定ステップを示す側面図である。
図5図5(A)は治具取り外しステップを示す斜視図であり、図5(B)は治具取り外しステップを示す側面図である。
図6図6(A)は第2の工具固定ステップを示す斜視図であり、図6(B)は第2の工具固定ステップを示す側面図である。
図7】治具を使用してマウントに研削ホイールを装着する装着方法のフロー図である。
図8】治具を使用してマウントから研削ホイールを取り外す方法のフロー図である。
図9図9(A)は第2の実施形態に係る治具の斜視図であり、図9(B)は第2の実施形態に係る治具及び研磨パッドの一部断面側面図である。
図10】第3の実施形態に係る治具及び研削ホイールの一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、研削装置2が備える加工ユニット2a等の構造について説明する。図1は、研削装置2を構成する加工ユニット2a、研削ホイール12及び治具20を分離して示す斜視図である。
【0019】
加工ユニット2aは、円筒状のスピンドルハウジング4を有する。スピンドルハウジング4内には、円柱状のスピンドル6(例えば図2(B)参照)の一部が回転可能な態様で収容されている。スピンドル6の上端部には、モーター等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
【0020】
スピンドル6の下端部には、円盤状のマウント8が連結されている。スピンドル6を回転させると、スピンドル6を回転軸としてマウント8は回転する。マウント8の外周部には、マウント8の上面8aから下面8bまでそれぞれ貫通する複数の貫通穴10が形成されている。
【0021】
複数の貫通穴10は、マウント8の周方向に沿って離散的に配置されている。いずれの貫通穴10も、それぞれ後述する仮止め用ネジ26及び固定用ネジ28の軸部よりも大きな径を有する。
【0022】
マウント8の下面8b側には、被加工物を研削するための円環状の研削ホイール(工具)12が装着される。なお、研削ホイール12に代えて、被加工物を研磨するための円盤状の研磨パッド32(図9(B)参照)が装着されてもよい。
【0023】
研削ホイール12は、アルミニウム等の金属で形成された円環状のホイール基台14を有する。ホイール基台14の上面14a側には、複数の螺合穴14bが、ホイール基台14の周方向に沿って離散的に形成されている。各螺合穴14bの内周側面には、雌ネジが形成されている。
【0024】
螺合穴14bの数は貫通穴10の数と同じであり、本実施形態では、螺合穴14b及び貫通穴10の数は各々6個である。螺合穴14bは、上面14aから、ホイール基台14の下面14cに達しない所定の深さまで形成されている。
【0025】
ホイール基台14の下面14c側には、ホイール基台14の周方向に沿って複数の研削砥石16が離散的に配置されている。この研削ホイール12をマウント8に装着するときに、後述する治具20が用いられる。
【0026】
治具20は、円盤状の支持板(支持部)22を有する。支持板22は、ポリ塩化ビニル等の樹脂又はステンレス鋼等の金属で形成されている。なお、支持板22を樹脂で形成すれば治具20の重量が軽くなるので、支持板22が金属で形成されている場合に比べて、後述する装着等の作業が容易になる。
【0027】
支持板22の外周部22aには、複数の掛止部24が連結されている。本実施形態では、支持板22の平坦な上面22bの中心を挟んで対向する様に一対の掛止部24が設けられている。但し、掛止部24の配置は、図1に示す例に限定されない。
【0028】
例えば、支持板22の外周部22aには、支持板22の周方向において互いに略120度離れた態様で、3個の掛止部24が設けられてもよい。また、支持板22の周方向において互いに略90度離れた態様で、4個の掛止部24が設けられてもよい。なお、5個以上の掛止部24が設けられてもよい。
【0029】
掛止部24は、支持板22をマウント8に掛止するための構造を有する。本実施形態の掛止部24は、略L字形状のアームである。掛止部24は、外周部22aに連結された第1板部24aを有する。本実施形態の第1板部24aの一端部は、支持板22に対して固定されており、上面22bに対して略垂直な方向に延伸している。
【0030】
但し、第1板部24aの一端部は、第1板部24aが支持板22の外側へ回転可能な様に、蝶番等で支持板22に連結されていてもよい。例えば、外周部22aに3個以上の掛止部24が設けられる場合、第1板部24aの一端部が外周部22aに対して回転可能に連結される。
【0031】
第1板部24aの他端部には、第1板部24aの長手方向に略直交する態様で第2板部24bが連結されている。本実施形態における各第2板部24bは、外周部22aから上面22bの中心に向けて突出し、上面22bに略平行に配置されている。
【0032】
第2板部24bには、仮止め用ネジ26が挿入される貫通開口(不図示)が形成されている。本実施形態の仮止め用ネジ26は、ボルトである。第2板部24bの貫通開口は、仮止め用ネジ26の軸部よりも大きく、且つ、仮止め用ネジ26の頭部よりも小さい所定の径を有する。
【0033】
なお、貫通開口に挿入された仮止め用ネジ26の軸部において、第2板部24bの下側(裏面側)に位置する所定位置には、仮止め用ネジ26が貫通開口から抜けるのを防止するためのワッシャー(所謂、抜け止めワッシャー)が固定されてもよい。
【0034】
次に、図2(A)及び図2(B)から図7を用い、治具20を使用して研削ホイール12をマウント8に装着する装着方法について説明する。なお、図7は、治具20を使用してマウント8に研削ホイール12を装着する装着方法のフロー図である。
【0035】
本実施形態では、まず、工具配置ステップ(S10)を行う。図2(A)は、工具配置ステップ(S10)を示す斜視図であり、図2(B)は、工具配置ステップ(S10)を示す側面図である。
【0036】
工具配置ステップ(S10)では、まず、一対の掛止部24の第2板部24bの各貫通開口がマウント8の貫通穴10と鉛直方向で一致する様に、第2板部24bをマウント8の上面8aに掛止する。
【0037】
その後、マウント8、一対の掛止部24及び支持板22で規定される空間の側方から、ホイール基台14が上方に位置し且つ研削砥石16が下方に位置する態様で、研削ホイール12を差し込む。
【0038】
なお、研削ホイール12を差し込んだ後又は差し込む前に、螺合穴14bが、マウント8の貫通穴10の直下に位置する様に、研削ホイール12の向きを調整する。この様にして、支持板22で支持された研削ホイール12をマウント8の直下に位置付ける。
【0039】
ところで、工具配置ステップ(S10)では、治具20を掛止した後に研削ホイール12を差し込むことに代えて、支持板22で研削ホイール12を支持した状態で、一対の掛止部24の第2板部24bをマウント8の上面8aに掛止してもよい。
【0040】
この場合、支持板22上に研削ホイール12を載置する際に、研削ホイール12の向きを調整できる。更に、研削ホイール12をゆっくりと降下させて支持板22上に載置できるので、治具20を掛止した後に研削ホイール12を差し込む場合に比べて、研削砥石16が支持板22で擦れて損傷することを防止できる。
【0041】
工具配置ステップ(S10)の後、工具密着ステップ(S20)が行われる。図3(A)は、工具密着ステップ(S20)を示す斜視図であり、図3(B)は、工具密着ステップ(S20)を示す側面図である。
【0042】
工具密着ステップ(S20)では、貫通穴10を介して各仮止め用ネジ26を螺合穴14bに螺合することにより、研削ホイール12を持ち上げて、ホイール基台14の上面14aをマウント8の下面8bに密着させる。
【0043】
この様に、本実施形態では、研削ホイール12をマウント8に装着する際に、スピンドル6を下降させる必要が無い。従って、スピンドル6を下降させる操作を誤り、マウント8の下面8bと研削ホイール12とが衝突する事態を防止できるので、工具や装置の破損のリスクを低減できる。
【0044】
工具密着ステップ(S20)の後、第1の工具固定ステップ(S30)を行う。図4(A)は、第1の工具固定ステップ(S30)を示す斜視図であり、図4(B)は、第1の工具固定ステップ(S30)を示す側面図である。
【0045】
第1の工具固定ステップ(S30)では、仮止め用ネジ26が螺合されていない螺合穴14bに貫通穴10を介して固定用ネジ28を螺合し、研削ホイール12をマウント8に固定する。本実施形態では、空いている4つの螺合穴14bのそれぞれに固定用ネジ28を螺合する。本実施形態の固定用ネジ28は、仮止め用ネジ26と同じボルトである。
【0046】
第1の工具固定ステップ(S30)の後、治具取り外しステップ(S40)を行う。図5(A)は、治具取り外しステップ(S40)を示す斜視図であり、図5(B)は、治具取り外しステップ(S40)を示す側面図である。
【0047】
治具取り外しステップ(S40)では、まず、全て(本実施形態では2個)の仮止め用ネジ26を研削ホイール12から取り外す。次に、例えば横方向に治具20をスライドさせて、治具20をマウント8から取り外す。
【0048】
なお、第1板部24aの一端部が支持板22の外側へ回転可能に連結されている場合、全ての仮止め用ネジ26を取り外した後、第1板部24aを支持板22の外側に回転させることで、治具20をマウント8から取り外してもよい。
【0049】
治具取り外しステップ(S40)の後、第2の工具固定ステップ(S50)を行う。図6(A)は、第2の工具固定ステップ(S50)を示す斜視図であり、図6(B)は、第2の工具固定ステップ(S50)を示す側面図である。第2の工具固定ステップ(S50)では、仮止め用ネジ26が取り外された螺合穴14bに貫通穴10を介して固定用ネジ28を螺合する。
【0050】
次に、マウント8に装着された研削ホイール12をマウント8から取り外す手順について説明する。図8は、治具20を使用してマウント8から研削ホイール12を取り外す方法のフロー図である。
【0051】
研削ホイール12を取り外す場合には、まず、掛止部24の貫通開口に対応する2箇所の固定用ネジ28を取り外した上で、マウント8に治具20の掛止部24を配置する(治具配置ステップ(S60))。
【0052】
治具配置ステップ(S60)の後、掛止部24の貫通開口及びマウント8の貫通穴10を介して、ホイール基台14の螺合穴14bに仮止め用ネジ26を螺合することで、治具20をマウント8及び研削ホイール12に固定する(治具固定ステップ(S70))。治具固定ステップ(S70)の後、全て(本実施形態では4個)の固定用ネジ28を取り外す(第1のネジ取り外しステップ(S80))。
【0053】
第1のネジ取り外しステップ(S80)の後、全て(本実施形態では2個)の仮止め用ネジ26を取り外すことで、研削ホイール12をマウント8から取り外す(第2のネジ取り外しステップ(S90))。これにより、研削ホイール12は、マウント8に掛止されている支持板22の上面22bに載置される。
【0054】
第2のネジ取り外しステップ(S90)の後、マウント8と支持板22との間から研削ホイール12を抜き出す、又は、治具20と共に研削ホイール12をマウント8から取り離す(工具取り離しステップ(S100))。
【0055】
この様に治具20を用いることで、研削ホイール12等の工具をマウント8から取り外す際にも、スピンドル6を下降させる必要が無い。従って、研削砥石16を上述の昇降台に衝突させることがないので、工具や装置の破損のリスクを低減できる。
【0056】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る治具20は、外周部22a側の上面22bに、ポリ塩化ビニル等の樹脂又はステンレス鋼等の金属で形成された複数の円弧状の突起部30を有する。図9(A)は、第2の実施形態に係る治具20の斜視図である。
【0057】
図9(A)に示す様に、突起部30は、例えば、各第1板部24aの一端部近傍に形成されるが、突起部30の配置は、この例に限定されない。上面22bには、3個以上の円弧状の突起部30が設けられてよい。また、突起部30の形状は円弧状に限定されず、円柱状であってもよい。
【0058】
突起部30上には、例えば、研磨パッド(工具)32が載置される。研磨パッド32は、円環状のパッド部34を有する。パッド部34は、例えば、高分子発泡体と、高分子発泡体に分散された複数の砥粒とで構成される。パッド部34の一面には、パッド部34の外径よりも大きな外径を有し、アルミニウム等の金属で形成された円盤状の基台36が固定されている。
【0059】
突起部30は、上面22bよりも上方に突出しており、突起部30の厚さは、パッド部34の厚さよりも大きい。それゆえ、研磨パッド32が支持板22上に配置されると、基台36が突起部30により支持され、パッド部34の下面は支持板22の上面22bに接触しない。
【0060】
図9(B)は、第2の実施形態に係る治具20及び研磨パッド32の一部断面側面図である。研磨パッド32の下面と支持板22の上面22bとの接触を防ぐことで、パッド部34の損傷等を低減できる。また、突起部30により、上面22bの径方向での研磨パッド32の位置決めが容易になる。
【0061】
なお、研磨パッド32に限らず、上述の研削ホイール12が、複数の突起部30で支持されてもよい。例えば、突起部30の厚さを、研削砥石16の下面14cから突出する厚さよりも大きくすれば、研削砥石16の下面が支持板22の上面22bに接触しない態様で、ホイール基台14を突起部30で支持できる。
【0062】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る治具20は、上面22b側の中央部に、上面22bよりも上方に突出している1つの円盤状の突起部30aを有する。図10は、第3の実施形態に係る治具20及び研削ホイール12の一部断面側面図である。
【0063】
突起部30aは、所定の突出長さを有する。所定の突出長さは、上面22bから突起部30aの頂面までの長さであり、例えば、研削砥石16の下面から円環状のホイール基台14の内周側に設けられている傾斜面(内周傾斜面)の最下点までの長さよりも大きい。また、突起部30aの外径は、ホイール基台14の内周傾斜面の最下点の開口径と略同じである。
【0064】
研削ホイール12が支持板22上に配置された場合に、研削砥石16の下面は上面22bに接触しない態様で、ホイール基台14の内周傾斜面が突起部30aの頂面の外周部により支持される。それゆえ、研削砥石16の損傷を低減できる。また、突起部30aにより、上面22bの径方向での研削ホイール12の位置決めが容易になる。
【0065】
なお、1つの円盤状の突起部30aに代えて、上面22b側の中央部に複数(例えば、3個以上)の円柱状の突起部を設けてもよい。この場合、当該複数の突起部により、研削砥石16の下面が支持板22の上面22bに接触しない態様で、ホイール基台14の内周側に位置する傾斜面が支持される。
【0066】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0067】
2 :研削装置
2a :加工ユニット
4 :スピンドルハウジング
6 :スピンドル
8 :マウント
8a :上面
8b :下面
10 :貫通穴
12 :研削ホイール(工具)
14 :ホイール基台
14a :上面
14b :螺合穴
14c :下面
16 :研削砥石
20 :治具
22 :支持板(支持部)
22a :外周部
22b :上面
24 :掛止部
24a :第1板部
24b :第2板部
26 :仮止め用ネジ
28 :固定用ネジ
30,30a :突起部
32 :研磨パッド(工具)
34 :パッド部
36 :基台
図1
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