(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】カプロラクタム製剤
(51)【国際特許分類】
C08G 69/14 20060101AFI20240115BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240115BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20240115BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
C08G69/14
C08J3/20 Z CFG
C08K7/02
C08L77/00
(21)【出願番号】P 2017559328
(86)(22)【出願日】2016-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2016060459
(87)【国際公開番号】W WO2016180832
(87)【国際公開日】2016-11-17
【審査請求日】2019-05-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-02
(32)【優先日】2015-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】デボア,フィリップ
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】瀧澤 佳世
【審判官】近野 光知
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538928(JP,A)
【文献】特表2014-501309(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103509336(CN,A)
【文献】国際公開第2011/070959(WO,A1)
【文献】特開2005-082809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
C08G69/00-69/50
C08J3/00-3/28
B29C47/00-47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
(A)少なくとも1種のラクタム、
(B)少なくとも1種の触媒、
(C)少なくとも1種の活性剤、及び
(D)少なくとも1種の繊維材料
を含む重合可能な混合物(pM)の製造方法であって、
押出機中で、少なくとも500s
-1のずり速度で、成分(A)、(B)、(C)及び成分(D)を混合することを含み、
前記押出機中で成分(A)、(B)、(C)及び成分(D)を混合することが、以下の工程:
a)前記押出機中に、成分(A)及び(D)を含む第1の混合物(M1)を提供する工程と、
b)前記押出機中の前記第1の混合物(M1)に成分(C)を添加して、前記押出機中で第2の混合物(M2)を得る工程と、
c)前記押出機中の前記第2の混合物(M2)に成分(B)を添加して、前記押出機中で重合可能な混合物(pM)を得る工程と
を含む、方法。
【請求項2】
工程c)の後、以下の工程
d)工程c)で得られる前記重合可能な混合物(pM)をペレット化し、ペレット化された重合可能な混合物(gpM)を得る工程
を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c)で成分(B)を添加することから、工程d)でペレット化された重合可能な混合物(gpM)を得ることまでの間にかかる時間が、10分以下である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)及び工程c)が同時に行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記押出機が、少なくとも以下のセクション:
(I)第1のセクション、
(II)第2のセクション、及び
(III)第3のセクション
を含み、
前記押出機の第1のセクション(I)中で第1の温度(T1)を有し、前記押出機の第2のセクション(II)中で第2の温度(T2)を有し、前記押出機の第3のセクション(III)中で第3の温度(T3)を有し、前記第2の温度(T2)が105℃~220℃の範囲にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記押出機の第1のセクション(I)中で20℃~70℃の範囲の第1の温度(T1)を有し、及び/又は、前記押出機の第3のセクション(III)中で20℃から105℃未満の範囲の第3の温度(T3)を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記押出機の第2のセクション(II)が、2~10個の混錬ゾーン及び1~10個の搬送ゾーンを備え、及び/又は、前記押出機の第3のセクション(III)が、1~5個の混合ゾーン、1~5個の混錬ゾーン、2~10個の搬送ゾーン、及び1~5個の流れ制限ゾーンを備える、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記重合可能な混合物(pM)が、いずれの場合にも前記重合可能な混合物(pM)の総質量に基づいて、28.5~90質量%の成分(A)、1~20質量%の成分(B)、0.5~10質量%の成分(C)、及び8.5~70質量%の成分(D)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
成分(D)が、ガラス繊維材料、炭素繊維材料、アラミド繊維材料、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)繊維材料、ホウ素繊維材料、金属繊維材料、及びチタン酸カリウム繊維材料からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記重合可能な混合物(pM)中に含まれる成分(D)が、10~1000μmの範囲の長さの個別の繊維の形態を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記重合可能な混合物(pM)が成分(E)である少なくとも1種の増粘剤も含み、成分(E)が、熱可塑性のポリスチレン、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びナノフィラーからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法
。
【請求項12】
ポリアミド(P)の製造方法であって、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法により得ることができる重合可能な混合物(pM)を重合させてポリアミド(P)を得る、方法
。
【請求項13】
ポリアミド(P)の製造のために、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法により得ることができる重合可能な混合物(pM)を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のラクタム、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の活性剤、及び少なくとも1種の繊維材料を含む重合可能な混合物(pM)の製造方法に関する。さらに、本発明は、重合可能な混合物(pM)、及び重合可能な混合物(pM)の重合によりポリアミド(P)を製造する方法にも関する。さらに、本発明は、ポリアミド(P)、ポリアミド(P)製の成形品、及びポリアミド(P)の製造に重合可能な混合物(pM)を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、一般に、半結晶性ポリマーであり、非常に良好な機械的特性を特徴とするので、特に工業的に重要である。特に、それは、高い強度、剛性及び靭性、良好な耐薬品性、並びに、高い耐摩耗性及び耐トラッキング性(tracking resistance)を有する。これらの特性は、射出成形品の製造において特に重要である。高い靭性は、包装用フィルムとしてのポリアミドの使用において特に重要である。ポリアミドの特性は、釣り糸、登山用ロープ及びカーペットなどの織物の製造業におけるそれらの使用をもたらす。ポリアミドは、壁栓、ねじ及びボルト、及びケーブルバインダーの製造にも使用されている。ポリアミドはまた、接着剤、コーティング及びコーティング材料としても使用されている。
【0003】
近年、ポリアミド成形品は、単独で材料として、例えば自動車製造における金属材料の代替品として、ますます使用されてきており、動力伝達系内の部品だけでなく、金属製の車体部品も代替することができる。特に、繊維強化ポリアミド成形品はこの目的のために使用されている。繊維強化ポリアミド成形品の製造のための従来技術において、様々な方法が記載されている。例えば、成形品を製造する鋳型は繊維材料を含むことができ、ポリアミド製造用の対応するモノマーは鋳型に注入することができ、その後にそこでモノマーの重合を開始する。これは、一般に、モノマーの融点を超え、製造されるポリアミドの融点を超えない温度までの加熱のみを必要とする。
【0004】
繊維強化を含むポリアミド成形品製造の別の可能な方法は、例えば、WO 2014/086757に記載されている。ここでは、ラクタム、触媒及び活性剤を含む重合可能な組成物を自由流動性固体の形態で繊維材料に適用し、次いで高圧、及び重合可能な固体組成物が流動することができる温度で、前記繊維材料を処理し、最後に繊維材料を冷却する。次いで、繊維材料を成形プロセスに付することができる。この過程において、ラクタムは重合する。ここでは、ラクタムを重合させる。
【0005】
得られたポリアミド成形品は、優れた機械的安定性を本質的に有する。
【0006】
EP 2 789 641には、ラクタム及び/又はラクトン、触媒及び活性剤を含む組成物の製造方法が開示されている。それらは、例えば押出機で、成分を混合することにより製造される。EP 2 789 641に記載の方法は、これらの組成物の製造における良好な結果を提供する。該組成物は、充填剤及び/又は強化材も含むことができる。しかしながら、これらの充填剤及び/又は強化材は、他の成分と混合する間に押出機中に添加される場合、しばしば、かたまりを形成する傾向を有し、時にダイの閉塞を引き起こす不均質な混合物を得る。
【0007】
US 2010/0286343には、ガラス繊維強化のポリアミドの製造方法が開示されている。ここでは、ガラス繊維材料を、ラクタムモノマー及び重合触媒と混合し、押出機中でラクタムを重合するほど加熱する。これは、ガラス繊維強化のポリアミドを提供する。しかしながら、US 2010/0286343には、ラクタムが未重合の形態で存在するマスターバッチの製造方法が全く記載されていない。
【0008】
EP 0 459 199には、比較的高粘度のラクタム溶融物の製造が開示されている。該ラクタム溶融物は、ラクタム、並びに、任意に充填剤及び強化材を含む。該製造方法において、それらは攪拌によって均質化する。しばしば、かたまりを形成する傾向を有し、時にダイの閉塞を引き起こす不均質な混合物を得るので、これらのラクタム溶融物を製造することができないか、又は製造が困難であるという欠点を有する。
【0009】
したがって、ポリアミド(P)製の、優れた機械的安定性を有する成形品のさらなる製造方法、これらの成形品の製造を可能にする重合可能な混合物(pM)、及び対応する重合可能な混合物(pM)の製造方法は必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO 2014/086757
【文献】EP 2 789 641
【文献】US 2010/0286343
【文献】EP 0 459 199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、ポリアミド(P)製の成形品の製造を可能にする重合可能な混合物(pM)の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、下記成分、
(A)少なくとも1種のラクタム、
(B)少なくとも1種の触媒、
(C)少なくとも1種の活性剤、及び
(D)少なくとも1種の繊維材料
を含む重合可能な混合物(pM)の製造方法により達成され、
当該方法は、押出機中で、少なくとも500s-1のずり速度で、成分(A)、(B)、(C)及び(D)を配合する(compounding)ことを含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明で製造される重合可能な混合物(pM)は、貯蔵、輸送及び取り扱いが可能であり、後の時点でポリアミド(P)の製造に使用することもできる。さらに、重合可能な混合物(pM)の重合が、例えばRTM(Reaction Transfer Molding、反応トランスファー成形)又はRIM(Reaction Injection Molding、反応射出成形)の場合に2つの成分の使用を必要とする、任意の複雑な反応性重合プロセスを必要としないという利点を有する。逆に、重合可能な混合物(pM)は、さらなる成分を添加せず、重合することができる。したがって、本発明の重合可能な混合物(pM)は使える状態である。さらに、重合可能な混合物(pM)の重合によって得ることができるポリアミド(P)は、従来技術に記載されているポリアミドよりも、低い残留モノマー含量を示す。
【0014】
本発明で製造される重合可能な混合物(pM)を用いて製造されるポリアミド(P)、及びそれら製の成形品は、さらに、少なくとも1種の繊維材料(成分(D))の特に均一な分布を示し、これは、成形品の特に良好な機械的安定性及び強化を提供する。
【0015】
本発明で製造される重合可能な混合物(pM)は、射出成形プロセスに特に適している。当該射出成形プロセスにおいて、驚いたことに、少なくとも1種の繊維材料(成分(D))が重合可能な混合物(pM)中に含まれているが、しかし、射出成形プロセスの間にノズルは塞がれない。さらに、重合可能な混合物(pM)の重合は特に完全であり、これは、得られるポリアミド(P)中に低い残留モノマー含量をもたらす。
【0016】
以下、本発明の方法をより具体的に説明する。
【0017】
本発明の方法において、少なくとも500s-1のずり速度を有する押出機中で、成分(A)である少なくとも1種のラクタム、成分(B)である少なくとも1種の触媒、成分(C)である少なくとも1種の活性剤、及び成分(D)である少なくとも1種の繊維材料を配合する。
【0018】
本発明の目的のため、「配合」は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)を混合することを意味する。
【0019】
成分(A)、(B)、(C)及び(D)は、当業者に公知の任意の方法により、押出機中で配合することができる。例えば、成分(A)、(B)、(C)及び(D)は、共に押出機中に入れて、そこで配合することができる。最初に成分(A)、(B)、(C)及び(D)のうちの2つのみを押出機中に入れて、互いに混合(配合)させることは、同様に可能であり、かつ、本発明において好ましい。その後、未だに配合されていない成分(A)、(B)、(C)及び(D)のうちの1つを押出機中に入れて、既に配合した成分と配合させる。最後に、未だに配合されていない成分(A)、(B)、(C)又は(D)を押出機中に入れて、既に配合した成分と配合させ、重合可能な混合物(pM)を得る。さらに、成分(A)、(B)、(C)及び(D)のうちの2つを押出機中で配合したら、未だに配合されていない成分(A)、(B)、(C)及び(D)のうちの残りの2つを押出機中に入れて、既に配合した成分と配合させ、重合可能な混合物(pM)を得ることは可能である。この実施態様は好ましい。
【0020】
例えば、最初に成分(A)を押出機中に入れて、成分(B)と共に配合する。その後、成分(D)を添加して、成分(A)及び(B)と共に配合する。最後に、成分(C)を任意にさらなる成分(A)と共に添加して、既に押出機中に存在している成分(A)、(B)及び(D)と共に配合し、重合可能な混合物(pM)を得る。
【0021】
同様に、成分(A)及び成分(C)を押出機中に入れて、そこでそれらを配合する。その後、成分(D)を添加して、押出機中に含まれている成分(A)及び(C)と配合する。最後に、成分(B)を任意にさらなる成分(A)と共に添加して、既に押出機中に存在している成分(A)、(C)及び(D)と配合し、重合可能な混合物(pM)を得ることは可能である。
【0022】
特に好ましくは、最初に、成分(A)を成分(D)と共に押出機中で配合する。その後、同様に、成分(B)及び(C)を、さらなる成分(A)と共に、一緒に又は連続的に押出機中に入れて、既に押出機中に含まれている成分(A)及び(D)と配合する。
【0023】
成分(B)及び(C)を一緒に押出機中に入れる場合、好ましくは、成分(B)及び(C)を、それぞれに個別に、すなわち、互いに空間分離で、押出機中に入れる。さらに、好ましくは、成分(B)及び(C)を、さらなる成分(A)と共に、それぞれに押出機中に入れる。
【0024】
特に好ましい一実施態様において、押出機中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の配合は、以下の工程:
a)押出機中に、成分(A)及び(D)を含む第1の混合物(M1)を提供する工程と、
b)押出機中の第1の混合物(M1)に成分(C)を添加して、押出機中の第2の混合物(M2)を得る工程と、
c)押出機中の第2の混合物(M2)に成分(B)を添加して、押出機中の重合可能な混合物(pM)を得る工程と
を含む。
【0025】
したがって、本発明は方法を提供し、該方法において、押出機中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の配合は、以下の工程:
a)押出機中に、成分(A)及び(D)を含む第1の混合物(M1)を提供する工程と、
b)押出機中の第1の混合物(M1)に成分(C)を添加して、押出機中の第2の混合物(M2)を得る工程と、
c)押出機中の第2の混合物(M2)に成分(B)を添加して、押出機中の重合可能な混合物(pM)を得る工程と
を含む。
【0026】
本発明において、より好ましくは、工程b)及びc)を同時に行う。
【0027】
したがって、本発明は方法を提供し、該方法において、工程b)及びc)を同時に行う。
【0028】
工程b)及びc)を同時に行う場合、第2の混合物(M2)は短時間だけ中間体として形成されることが自明である。したがって、好ましくは、工程b)及びc)を同時に行う場合、成分(C)及び成分(B)を同時に押出機中の第1の混合物(M1)に添加して、押出機中の重合可能な混合物(pM)を得る。
【0029】
したがって、本発明は方法を提供し、該方法において、工程b)及びc)を同時に行い、成分(B)及び成分(C)を押出機中の第1の混合物(M1)に添加して、押出機中の重合可能な混合物(pM)を得る。
【0030】
本発明において、さらに好ましくは、工程b)において、成分(C)をさらなる成分(A)と共に第1の混合物(M1)に添加するか、及び/又は、工程c)において、成分(B)をさらなる成分(A)と共に押出機中の第2の混合物(M2)に添加する。
【0031】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、工程b)で、成分(C)をさらなる成分(A)と共に第1の混合物(M1)に添加して押出機中で第2の混合物(M2)を得、及び/又は、工程c)で、成分(B)をさらなる成分(A)と共に押出機中の第2の混合物(M2)に添加する。
【0032】
工程a)において、第1の混合物(M1)は、当業者に知られている任意の方法によって提供することができる。例えば、最初に成分(A)を押出機中に入れ、その後に成分(D)を入れることができる。その後、成分(A)及び(D)を配合して第1の混合物(M1)を得る。
【0033】
好ましい実施態様において、その後、成分(C)を第1の混合物(M1)に添加する。その後、第1の混合物(M1)を成分(C)と配合して第2の混合物(M2)を得る。好ましい実施態様において、その後、成分(B)を第2の混合物(M2)に添加し、その後に成分(B)を第2の混合物(M2)と配合して重合可能な混合物(pM)を得る。
【0034】
成分(A)が押出機中の条件下で液体であることを前提として、工程a)は、任意の所要の温度で行うことができる。
【0035】
例えば、工程a)は、105~220℃の範囲の押出機のジャケット温度で、好ましくは110~180℃の範囲の押出機のジャケット温度で、特に好ましくは115~175℃の範囲の押出機のジャケット温度で行うことができる。
【0036】
本発明の目的のため、「液体」は、成分(A)が押出機内で輸送することができることを意味する。
【0037】
「押出機のジャケット温度」は、押出機のジャケットの温度を意味する。したがって、押出機のジャケット温度は、押出機の円筒の外壁の温度である。
【0038】
押出機のジャケット温度は、押出機中の成分の温度より高いことができ、同様に、押出機のジャケット温度は、押出機中の成分の温度より低いことも可能である。例えば、成分を加熱する場合、最初に押出機のジャケット温度は、押出機中の成分の温度より高いことが可能である。押出機中の成分を冷却する場合、押出機のジャケット温度は、押出機中の成分の温度より低いことも可能である。
【0039】
通常、本発明の方法の間に、押出機を加熱又は冷却する。押出機の加熱又は冷却は、当業者に公知の任意の方法により実現することができる。通常、押出機は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の配合の間に放出される摩擦熱によって加熱される。また、押出機は、例えば、押出機の円筒内の液体の循環によって、外部から加熱することもできる。この液体は、押出機の冷却に使用することもできる。これらのプロセスは、それ自体当業者に知られている。
【0040】
同様に、工程b)は、成分(A)が押出機中の条件下で液体である任意の所要の温度で行うことができる。好ましくは、好ましくは30~102℃の範囲の押出機のジャケット温度で、特に好ましくは35~100℃の範囲の押出機のジャケット温度で、工程b)を行う。
【0041】
工程c)において、成分(A)は既に部分的に重合し、ポリアミド(P)を得ることができる。工程c)における成分(A)の重合に関し、成分(A)の重合は、成分(A)のオリゴマーの形成を含むように定義されている。これらの反応は当業者に知られている。
【0042】
好ましくは、工程c)の後に成分(A)が実質的に未重合の形態で存在するように、工程c)を行う。本発明の目的のため、「実質的に未重合の形態で」は、いずれの場合にも使用される成分(A)の総量に基づいて、50%以下、好ましくは20%以下、特に好ましくは5%以下の成分(A)が重合した形態で存在することを意味する。
【0043】
同様に、工程c)は、成分(A)が押出機中の条件下で液体であり、かつ、成分(A)が実質的に未重合の形態で存在する任意の所要の温度で行うことができる。
【0044】
通常、工程c)の間の押出機のジャケット温度は、20℃から105℃未満の範囲、好ましくは30~102℃の範囲、特に好ましくは35~100℃の範囲にある。
【0045】
工程c)で得られる重合可能な混合物(pM)は、一般に、工程c)の後に押出機から除去される。重合可能な混合物(pM)は、当業者に知られている任意の方法によって押出機から除去することができる。好ましくは、工程c)の後に重合可能な混合物(pM)をペレット化し、ペレットされた化重合可能な混合物(gpM)を得る(工程d))。
【0046】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、工程c)の後に、以下の工程:
d)工程c)で得られる重合可能な混合物(pM)をペレット化し、ペレット化された重合可能な混合物(gpM)を得る工程
を行う。
【0047】
重合可能な混合物(pM)のペレット化は、当業者に知られている。例えば、重合可能な混合物(pM)は、コンベヤベルト上で冷却してペレット化することができる。さらに、押出機からの除去の際に、重合可能な混合物(pM)が、ペレット化された重合可能な混合物(gpM)として、ペレットの形態で直接得られる。この実施態様において、任意のさらなるペレット化は必要としない。
【0048】
工程c)において成分(B)を第2の混合物(M2)に添加することから、押出機から重合可能な混合物(pM)を除去することまでの間にかかる時間は、通常10分以下、好ましくは5分以下、特に好ましくは1分以下である。
【0049】
工程d)において、工程c)で得られる重合可能な混合物(pM)をペレット化してペレット化された重合可能な混合物(gpM)を得る場合、工程c)で成分(B)を添加することから、工程d)でペレット化された重合可能な混合物(gpM)を得ることまでの間にかかる時間は、好ましくは10分以下、特に好ましくは5分以下、最も好ましくは1分以下である。
【0050】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、工程c)で成分(B)を添加することから、工程d)でペレット化された重合可能な混合物(gpM)を得ることまでの間にかかる時間は、10分以下である。
【0051】
本発明において、押出機のずり速度は、少なくとも500s-1、好ましくは少なくとも800s-1、特に好ましくは少なくとも1000s-1である。
【0052】
押出機のずり速度は、例えば500~25000s-1、好ましくは800~25000s-1、特に好ましくは1000~25000s-1の範囲にある。
【0053】
押出機のずり速度は、以下の式:
S= (π・d・N) / Δ
(式中、Sはずり速度であり、
dは、押出機スクリューの直径であり、
Nは、押出機スクリューの回転速度であり、
Δは、スクリューの外壁と押出機の内壁との間のギャップの幅である)
を用いて、計算することができる。
【0054】
押出機スクリューの直径(d)は、一般に10~300mm、好ましくは20~200mm、特に好ましくは50~100mmの範囲にある。
【0055】
押出機スクリューの回転速度(N)は、例えば50~2000rpm(1分当たりの回転数)、好ましくは80~1500rpm、特に好ましくは100~1200rpmの範囲にある。
【0056】
ギャップの幅(Δ)は、一般に10~500μm、好ましくは50~250μm、特に好ましくは100~200μmの範囲にある。
【0057】
含まれる成分に対する押出機によって加えられるずり応力(σ)は、押出機のずり速度(S)と押出機中に含まれる成分の粘度(η)との積から得られる。
【0058】
σ = S・η
【0059】
押出機中に含まれる成分の粘度(η)は、100s-1のずり速度及び100℃の温度でずり応力制御の回転粘度計により測定され、一般に2~1000mPas、好ましくは5~500mPas、特に好ましくは10~300mPasの範囲にある。
【0060】
したがって、ずり応力(σ)は、例えば2.5~12500Pa、好ましくは4~12500Pa、特に好ましくは5~12500Paの範囲にある。
【0061】
好適な押出機は、当業者に公知の任意の押出機、例えば一軸押出機又は二軸押出機である。本発明において、好ましくは二軸押出機である。一軸押出機及び二軸押出機は当業者に知られている。
【0062】
好ましくは、押出機は少なくとも2つのセクションを含む。
【0063】
特に好ましくは、押出機は、少なくとも、以下のセクション:
(I)第1のセクション、
(II)第2のセクション、及び
(III)第3のセクション、
を含む。
【0064】
押出機の個々のセクションには、押出機の当該セクションに含まれる、成分(A)、(B)、(C)及び(D)、並びに、任意の成分(E)の濃度が異なる。
【0065】
したがって、本発明は方法も提供し、当該方法において、押出機の第1のセクション(I)中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の濃度は、押出機の第2のセクション(II)中の及び第3のセクション(III)中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の濃度と異なり、押出機の第2のセクション(II)中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の濃度は、押出機の第3のセクション(III)中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の濃度と異なる。
【0066】
さらに、これらのセクションには、例えば、押出機のそれぞれのセクション中の温度範囲、及び任意に押出機のそれぞれのセクション中の圧力範囲が異なることができる。
【0067】
例えば、押出機の第1のセクション(I)には、第1の温度(T1)を有し得る。本発明の目的のため、「第1の温度(T1)」は、第1のセクション(I)において、第1のセクション(I)の全体にわたって同一(一定)である正確に1つの第1の温度(T1)を有することができると意味する;同様に、押出機中で、2つ以上の第1の温度(T1)を有することが可能である。押出機の第1のセクション(I)において2つ以上の第1の温度(T1)を有する場合、第1のセクション(I)において温度勾配(temperature gradient)を有し、即ち、第1の温度(T1)が連続的に上昇又は低下することが可能である。同様に、一定の第1の温度(T1)の領域は、第1の温度(T1)が連続的に上昇又は低下する領域と交互になることが可能である。さらに、一定の第1の温度(T1)の領域の間に温度が突然に変化することも可能である。
【0068】
第1の温度(T1)は、好ましくは20~70℃、特に好ましくは25~50℃、特に好ましくは30~40℃の範囲にある。
【0069】
押出機の第2のセクション(II)には、第2の温度(T2)を有し得る。本発明の目的のため、「第2の温度(T2)」は、第2のセクション(II)において、第2のセクション(II)の全体にわたって同一(一定)である正確に1つの第2の温度(T2)を有することができると意味する;同様に、押出機の第2のセクション(II)中で2つ以上の第2の温度(T2)を有することが可能である。押出機の第2のセクション(II)において2つ以上の第2の温度(T2)を有する場合、第2のセクション(II)において温度勾配を有し、即ち、第2の温度(T2)が連続的に上昇又は低下することが可能である。同様に、一定の第2の温度(T2)の領域は、第2の温度(T2)が連続的に上昇又は低下する領域と交互になることが可能である。さらに、一定の第2の温度(T2)の領域の間に温度が突然に変化することも可能である。
【0070】
第2の温度(T2)は、好ましくは105~220℃、特に好ましくは110~180℃、特に好ましくは115~175℃の範囲にある。
【0071】
押出機の第3のセクション(III)には、第3の温度(T3)を有し得る。本発明の目的のため、「第3の温度(T3)」は、第3のセクション(III)において、第3のセクション(III)の全体にわたって同一(一定)である正確に1つの第3の温度(T3)を有することができると意味する;同様に、押出機の第3のセクション(III)において2つ以上の第3の温度(T3)を有することが可能である。押出機の第3のセクション(III)において2つ以上の第3の温度(T3)を有する場合、第3のセクション(III)において温度勾配を有し、即ち、第3の温度(T3)が連続的に上昇又は低下することが可能である。同様に、一定の第3の温度(T3)の領域は、第3の温度(T3)が連続的に上昇又は低下する領域と交互になることが可能である。さらに、一定の第3の温度(T3)の領域の間に温度が突然に変化することも可能である。
【0072】
第3の温度(T3)は、好ましくは20℃から105℃未満まで、特に好ましくは30~102℃、特に好ましくは35~100℃の範囲にある。
【0073】
好ましくは、第2の温度(T2)は、第1の温度(T1)とも、第3の温度(T3)とも異なる。
【0074】
したがって、本発明は方法を提供し、当該方法において、第2の温度(T2)は第1の温度(T1)と異なり、かつ、第2の温度(T2)は第3の温度(T3)と異なる。
【0075】
したがって、好ましくは、押出機は、少なくとも、以下のセクション:
(I)第1のセクション、
(II)第2のセクション、及び
(III)第3のセクション、
を含み、
押出機の第1のセクション(I)には、第1の温度(T1)を有し、第2のセクション(II)には、第2の温度(T2)を有し、第3のセクション(III)には、第3の温度(T3)を有し、第2の温度(T2)が105~220℃の範囲にある。
【0076】
したがって、本発明は、押出機が、少なくとも、以下のセクション:
(I)第1のセクション、
(II)第2のセクション、及び
(III)第3のセクション、
を含む、方法を提供し、
押出機の第1のセクション(I)には、第1の温度(T1)を有し、第2のセクション(II)には、第2の温度(T2)を有し、第3のセクション(III)には、第3の温度(T3)を有し、第2の温度(T2)が105~220℃の範囲にある。
【0077】
さらに、好ましくは、押出機の第1のセクション(I)中で、20~70℃の範囲の第1の温度(T1)を有し、及び/又は押出機の第3のセクション(III)中で、20℃から105℃未満までの範囲の第3の温度(T3)を有する。
【0078】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、押出機の第1のセクション(I)中で、20~70℃の範囲の第1の温度(T1)を有し、及び/又は押出機の第3のセクション(III)中で、20℃から105℃未満までの範囲の第3の温度(T3)を有する。
【0079】
第1の温度(T1)、第2の温度(T2)及び第3の温度(T3)という表現は、それぞれ、それぞれのセクションにおいて押出機のジャケット温度を意味する。したがって、押出機の第1のセクション(I)中に有する第1の温度(T1)は、押出機の第1のジャケット温度とも称される。したがって、本発明の目的のため、「第1の温度(T1)」及び「第1のジャケット温度」という表現は、同義語として使用され、したがって、同様の意味を有する。したがって、押出機の第2のセクション(II)中に有する第2の温度(T2)は、押出機の第2のジャケット温度とも称される。したがって、本発明の目的のため、「第2の温度(T2)」及び「第2のジャケット温度」という表現は、同義語として使用され、したがって、同様の意味を有する。したがって、押出機の第3のセクション(III)中に有する第3の温度(T3)は、押出機の第3のジャケット温度とも称される。したがって、本発明の目的のため、「第3の温度(T3)」及び「第3のジャケット温度」という表現は、同義語として使用され、したがって、同様の意味を有する。
【0080】
押出機のジャケット温度に関する上記の記載は、相応に、第1のジャケット温度、第2のジャケット温度及び第3のジャケット温度の決定に適用する。
【0081】
押出機の各セクションは、少なくとも1つのゾーンをさらに含む。
【0082】
本発明の目的のため、「少なくとも1つのゾーン」は、正確に1つのゾーン、又は2つ以上のゾーンを意味する。
【0083】
押出機のセクションが正確に1つのゾーンを含む場合、押出機の当該セクションは当該ゾーンに対応する。
【0084】
ゾーンには、例えば、ゾーンの温度、ゾーンの圧力、及び/又はゾーンに含まれる要素が異なる。
【0085】
さらに、ゾーンにおいて、含まれる要素の長さが異なり得る。
【0086】
「含まれる要素」という表現は、例えば、搬送要素、流れ制限装要素、混合要素及び混練要素を意味する。押出機に含まれることができる好適な搬送要素、流れ制限装要素、混合要素及び混練要素は、当業者に知られている。
【0087】
搬送要素は、押出機内に含まれる成分の前方への輸送に役立つ。搬送要素を介して押出機の成分に作用するずり速度は、混合要素又は混練要素を介して押出機の成分に作用するずり速度より小さい。好適な搬送要素は、当業者に知られており、例えばスクリュー搬送要素である。
【0088】
混合要素は、押出機内に含まれる個々の成分の混合に役立つ。通常、混合要素を介して押出機の成分に作用するずり速度は、混練要素を介して成分に作用するずり速度より小さい。好適な混合要素は、当業者に知られており、例えば歯付き混合要素(toothed mixing elements)又はスクリュー混合要素である。
【0089】
同様に、混練要素は、押出機内に含まれる個々の成分の混合に役立つ。同時に、それらは、例えば成分(D)を粉砕する。通常、混練要素を介して押出機の成分に作用するずり速度は、混合要素を介して、及び搬送要素を介して成分に作用するずり速度より高い。好適な混練要素は、当業者に知られており、例えば、混練スクリュー、又は混練ブロック、例えばディスク混練ブロック若しくはショルダー混練ブロック(shoulder kneading blocks)である。
【0090】
流れ制限要素は、逆搬送効果を有する搬送要素とは異なり、したがって、押出機に含まれる成分の流れを制限する。通常使用される流れ制限要素は、それらの搬送方向が押出機の輸送方向とは反対の方向になるように取り付けられた搬送要素である。
【0091】
搬送要素を有するゾーンは「搬送ゾーン」とも称される。流れ制限要素を有するゾーンは「流れ制限ゾーン」とも称される。混合要素を有するゾーンは「混合ゾーン」とも称され、混練要素を有するゾーンは「混練ゾーン」とも称される。
【0092】
一実施態様において、押出機は、1~20個の搬送ゾーン、1~10個の流れ制限ゾーン、1~10個の混合ゾーン及び1~10個の混練ゾーン、好ましくは2~15個の搬送ゾーン、1~8個の流れ制限ゾーン、1~5個の混合ゾーン及び2~10個の混練ゾーン、特に好ましくは5~13個の搬送ゾーン、1~5個の流れ制限ゾーン、1~3個の混合ゾーン及び3~7個の混練ゾーンを有する。
【0093】
例えば、押出機の第1のセクション(I)は、好ましくは1~5個の搬送ゾーン及び任意に1~3個の混合ゾーン、特に好ましくは1~3個の搬送ゾーン及び任意に1個の混合ゾーン、特に好ましくは正確に1個の搬送ゾーンを有する。
【0094】
同様に、押出機の第2のセクション(II)は、好ましくは2~10個の混練ゾーン及び1~10個の搬送ゾーン、好ましくは2~8個の混練ゾーン及び1~8個の搬送ゾーン、特に好ましくは2~5個の混練ゾーン及び1~4個の搬送ゾーンを有する。
【0095】
さらに、押出機の第3のセクション(III)は、好ましくは1~5個の混合ゾーン、1~5個の混練ゾーン、2~10個の搬送ゾーン及び1~5個の流れ制限ゾーン、好ましくは1~4個の混合ゾーン、1~3個の混練ゾーン、2~8個の搬送ゾーン及び1~4個の流れ制限ゾーン、特に好ましくは1~3個の混合ゾーン、1~2個の混練ゾーン、2~5個の搬送ゾーン及び1~3個の流れ制限ゾーンを有する。
【0096】
したがって、本発明は方法を提供し、当該方法において、押出機の第2のセクション(II)は、2~10個の混練ゾーン及び1~10個の搬送ゾーンを有し、及び/又は押出機の第3のセクション(III)は、1~5個の混合ゾーン、1~5個の混練ゾーン、2~10個の搬送ゾーン及び1~5個の流れ制限ゾーンを有する。
【0097】
通常、少なくとも1個の搬送ゾーンの次に、少なくとも1個の混合ゾーン、又は少なくとも1個の混練ゾーン、又は少なくとも1個の流れ制限ゾーンを有する。
【0098】
通常、搬送ゾーンの次に、正確に1個の混合ゾーン、又は正確に1個の混練ゾーン、又は正確に1個の流れ制限ゾーンを有する。
【0099】
本発明において、好ましくは、押出機は、重合可能な混合物(pM)を取り出す時点の直前に、好ましくはマ重合可能な混合物(pM)を取り出すためのダイの直前に、混合ゾーンを有する。特に好ましくは、押出機は、重合可能な混合物(pM)を取り出す時点の直前に、好ましくは重合可能な混合物(pM)を取り出すためのダイの直前に、スクリュー構造中の少なくとも1個の歯付きディスク要素を有する混合ゾーンを有する。
【0100】
本発明の目的のため、「少なくとも1つの歯付きディスク要素」は、正確に1個の歯付きディスク要素、又は2個以上の歯付きディスク要素を意味する。2個以上の歯付きディスク要素が好ましい。特に好ましくは、2~5個の歯付きディスク要素である。
【0101】
本発明の好ましい実施態様において、成分(A)を押出機中に導入する工程a)において、第1の混合物(M1)を提供する。成分(A)を押出機中に導入する場合、成分(A)は、当業者に公知の任意の形態で、例えばペレット若しくは粉末の形態で、又は液体形態であり得る。
【0102】
成分(A)が、固体の形態で、即ち、例えばペレットの形態で押出機中に導入される場合、したがって、通常、成分(A)は、最初に押出機中で液化されて、少なくとも1個の搬送ゾーン中に、好ましくは正確に1個の搬送ゾーン中に導入される。この少なくとも1個の搬送ゾーンの次には、成分(D)が添加される、少なくとも1個の混練ゾーン、好ましくは正確に1個の混練ゾーンを有する。通常、成分(D)が添加される、少なくとも1個の混練ゾーン、好ましくは正確に1個の混練ゾーンの次には、少なくとも1個のさらなる搬送ゾーン及び少なくとも1個のさらなる混練ゾーン、好ましくは2~10個の混練ゾーン及び1~10個の搬送ゾーンを有する。これらの2~10個の混練ゾーン及び1~10個の搬送ゾーンは、混練ゾーンの次には搬送ゾーンを有し、搬送ゾーンの次には混練ゾーンを有するように、交互に設けられる。その後、これらのゾーンにおいて、成分(A)を成分(D)と配合して、第1の混合物(M1)を得る。これは、本発明の方法の好ましい実施態様の工程a)に対応する。
【0103】
別の混練ゾーンにおいて、その後、成分(B)及び(C)を添加する。通常、この混練ゾーンの次には、少なくとも1つの搬送ゾーン及び少なくとも1つの混練ゾーン、並びに、任意に少なくとも1つの流れ制限ゾーン、及び成分(B)及び(C)を第1の混合物(M1)と配合して重合可能な混合物(pM)を得る少なくとも1つの混合ゾーンを有する。これは、本発明の方法の特に好ましい実施態様の工程b)及びc)の同時実施に対応する。
【0104】
この実施態様において、例えば、押出機の第1のセクションは、その中に押出機が成分(A)を含むセクションである。第2のセクション(II)は、成分(D)を押出機中に添加することから始まる。第3のセクション(III)は、成分(B)及び(C)を押出機中に添加することから始まる。
【0105】
他の好ましい実施態様において、最初に、成分(A)の第1の部分を押出機中に導入する。この導入は、相応に、成分(A)の導入に関する上記の記載及び優先事項(preferences)に適用する。その後、成分(D)を混練ゾーンに添加する。成分(D)が添加されるこの混練ゾーンの次には、少なくとも1つの搬送ゾーン及び少なくとも1つの混練ゾーンを有する;これらにおいて、成分(A)の第1の部分を成分(D)と配合して、成分(D)及び成分(A)の第1の部分を含む第1の混合物(M1)を得る。前記少なくとも1つの搬送ゾーン及び少なくとも1つの混練ゾーンは、相応に、上記の記載及び優先事項に従う。同様に、この工程は、本発明の方法の工程a)に対応する。
【0106】
さらなる混練ゾーンにおいて、その後、成分(A)の第2の部分を成分(B)と共に添加し、その後、成分(A)の第3の部分を成分(C)と共に添加する。通常、この混練ゾーンの次には、少なくとも1つの搬送ゾーン及び少なくとも1つの混練ゾーン並びに、任意に少なくとも1つの流れ制限ゾーン、及び成分(A)の第2の部分、成分(A)の第3の部分、成分(B)及び(C)を第1の混合物(M1)と配合して重合可能な混合物(pM)を得る少なくとも1つの混合ゾーンを有する。これは、本発明の方法の特に好ましい実施態様の工程b)及びc)の同時実施に対応する。
【0107】
この実施態様は好ましい。この実施態様において、例えば、押出機の第1のセクションは、その中に押出機が成分(A)の第1の部分を含むセクションである。第2のセクション(II)は、成分(D)を押出機中に添加することから始まる。第3のセクション(III)は、成分(A)の第2の部分、成分(A)の第3の部分、成分(B)及び(C)を押出機中に添加することから始まる。
【0108】
したがって、押出機の第1のセクション(I)において、押出機は成分(A)を含む。押出機の第2のセクション(II)において、押出機は成分(A)及び成分(D)を含み、押出機の第3のセクション(III)において、押出機は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含む。下記の段階で記載されている任意の成分(E)、及び少なくとも1つの増粘剤を押出機のセクションに添加する場合、このセクションも、その下流のセクションも、前記成分を含むことは自明である。
【0109】
通常、押出機中で配合する成分(A)、(B)、(C)及び(D)の量的割合は、製造される重合可能な混合物(pM)に含まれることを意図したものと同じである。例えば、いずれの場合にも成分(A)、(B)、(C)及び(D)の質量パーセンテージの合計に基づいて、28.5~90質量%の成分(A)、1~20質量%の成分(B)、0.5~10質量%の成分(C)、及び8.5~70質量%の成分(D)を、押出機中で配合する。
【0110】
好ましくは、いずれの場合にも成分(A)、(B)、(C)及び(D)の質量パーセンテージの合計に基づいて、37~80質量%の成分(A)、2~10質量%の成分(B)、1~5質量%の成分(C)、及び17~60質量%の成分(D)を、押出機中で配合する。
【0111】
特に好ましくは、いずれの場合にも成分(A)、(B)、(C)及び(D)の質量パーセンテージの合計に基づいて、45.5~70質量%の成分(A)、3~6質量%の成分(B)、1.5~3質量%の成分(C)、及び25.5~50質量%の成分(D)を、押出機中で配合する。
【0112】
本発明の好ましい実施態様において、まず成分(A)の第1の部分を押出機中に導入し、その後に成分(D)を導入し、その後に成分(A)の第2の部分及び第3の部分を成分(B)及び(C)と共に導入する場合、好ましくは、いずれの場合にも押出機中に導入する成分(A)の総量に基づいて、20~80%の成分(A)を成分(A)の第1の部分として導入し、80~20%の成分(A)を成分(A)の第2の部分及び第3の部分として導入する。特に好ましくは、いずれの場合にも押出機中に導入する成分(A)の総量に基づいて、40~60%の成分(A)を成分(A)の第1の部分として導入し、60~40の%成分(A)を成分(A)の第2の部分及び第3の部分として導入する。
【0113】
成分(A)、(B)、(C)、(D)、必要に応じて(E)、及び必要に応じて押出機中で配合することができる他の成分は、相応に、成分(A)、(B)、(C)、(D)、必要に応じて(E)、及び必要に応じて重合可能な混合物(pM)中に含まれる他の成分に与えられる下記の記載及び優先事項を適用する。
【0114】
重合可能な混合物(pM)
本発明において、本発明の方法により得られた重合可能な混合物(pM)は、成分(A)である少なくとも1種のラクタム、(B)である少なくとも1種の触媒、(C)である少なくとも1種の活性剤、及び(D)である少なくとも1種の繊維材料を含む。
【0115】
例えば、重合可能な混合物(pM)は、いずれの場合にも成分(A)、(B)、(C)及び(D)の質量パーセンテージの合計に基づいて、好ましくは重合可能な混合物(pM)の総質量に基づいて、28.5~90質量%の成分(A)、1~20質量%の成分(B)、0.5~10質量%の成分(C)、及び8.5~70質量%の成分(D)を含む。
【0116】
好ましくは、重合可能な混合物(pM)は、いずれの場合にも成分(A)、(B)、(C)及び(D)の質量パーセンテージの合計に基づいて、好ましくは重合可能な混合物(pM)の総質量に基づいて、37~80質量%の成分(A)、2~10質量%の成分(B)、1~5質量%の成分(C)、及び17~60質量%の成分(D)を含む。
【0117】
特に好ましくは、重合可能な混合物(pM)は、いずれの場合にも成分(A)、(B)、(C)及び(D)の質量パーセンテージの合計に基づいて、好ましくは重合可能な混合物(pM)の総質量に基づいて、45.5~70質量%の成分(A)、3~6質量%の成分(B)、1.5~3質量%の成分(C)、及び25.5~50質量%の成分(D)をを含む。
【0118】
したがって、本発明は方法を提供し、該方法において、重合可能な混合物(pM)は、いずれの場合にも重合可能な混合物(pM)の総質量に基づいて、28.5~90質量%の成分(A)、1~20質量%の成分(B)、0.5~10質量%の成分(C)、及び8.5~70質量%の成分(D)を含む。
【0119】
好ましい実施態様において、重合可能な混合物(pM)は、成分(E)である少なくとも1種の増粘剤も含む。増粘剤それ自体は、当業者に知られている。好ましくは、成分(E)は、熱可塑性のポリスチレン、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びナノフィラーからなる群から選択される。
【0120】
好適なナノフィラーの例としては、シリケート、グラフェン、及びカーボンナノチューブが挙げられる。
【0121】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、重合可能な混合物(pM)は成分(E)である少なくとも1種の増粘剤を含み、成分(E)は、熱可塑性のポリスチレン、ポリスルホン、ポリフェニルエーテル、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びナノフィラーからなる群から選択される。
【0122】
重合可能な混合物(pM)は、例えば、重合可能な混合物(pM)の総質量に基づいて、0.1~50質量%、好ましくは0.5~30質量%、特に好ましくは1~20質量%の成分(E)を含む。
【0123】
重合可能な混合物(pM)は、他の成分をさらに含むことができる。これらの他の成分は、当業者に知られており、例えば、安定剤、染料、帯電防止剤、フィラー油、表面改質剤、乾燥剤、離型剤、他の剥離剤、抗酸化剤、光安定剤、PVC安定剤、潤滑剤、難燃剤、発泡剤、耐衝撃性改良剤、及び核形成剤である。
【0124】
重合可能な混合物(pM)は、例えば、重合可能な混合物(pM)の総質量に基づいて、0.1~10質量%、好ましくは0.2~7質量%、特に好ましくは0.3~5質量%の他の成分を含む。
【0125】
重合可能な混合物(pM)中に任意に含まれる他の成分、及び任意に成分(E)は、通常、同様に、重合可能な混合物(pM)を製造するための成分(A)、(B)、(C)及び(D)と一緒に押出機中で配合される。
【0126】
さらに、重合可能な混合物(pM)は、既に重合した成分(A)も含む。通常、重合可能な混合物(pM)は、重合可能な混合物(pM)の総質量に基づいて、50質量%以下、好ましくは20質量%以下、特に好ましくは5質量%以下の重合した成分(A)を含む。
【0127】
重合した成分(A)は、押出機中で成分(A)、(B)、(C)及び(D)と配合されなく、代わりに、上述したように、押出機中で配合する間に、特に工程c)の間に成分(A)の重合によって形成することができることは自明である。
【0128】
通常、重合可能な混合物(pM)中に含まれる成分(A)、(B)、(C)及び(D)の質量パーセンテージの合計は100%である。重合可能な混合物(pM)が、他の成分、任意に成分(E)、及び重合した成分(A)を含む場合、成分(A)、(B)、(C)及び(D)、並びに、任意に含まれる他の成分、成分(E)、及び重合した成分(A)の質量パーセンテージの合計が通常100%であることは自明である。
【0129】
重合可能な混合物(pM)は、成分(A)、(B)、(C)、及び任意に(E)中に分散する成分(D)を含む。したがって、成分(D)は「分散相」とも称され、成分(A)、(B)、(C)、及び必要に応じて(E)は「連続相」とも称される。
【0130】
連続相、すなわち、成分(D)を含まない重合可能な混合物(pM)中に存在している成分(A)、(B)、(C)、及び必要に応じて(E)の粘度は、100s-1のずり速度及び100℃の温度でずり応力制御回転粘度計を用いて測定され、例えば2~1000mPasの範囲、好ましくは5~500mPasの範囲、特に好ましくは10~300mPasの範囲にある。
【0131】
さらに、本発明は、本発明の方法により得ることができる重合可能な混合物(pM)を提供する。
【0132】
本発明の方法により得ることができる重合可能な混合物(pM)は、相応に、本発明の方法に関する上記の記載及び優先事項を従う。
【0133】
以下、重合可能な混合物(pM)中に含まれる成分(A)、(B)、(C)、及び(D)を具体的に説明する。
【0134】
成分(A):ラクタム
本発明における成分(A)は少なくとも1種ラクタムである。
【0135】
「成分(A)」及び「少なくとも1種ラクタム」という用語は、本発明において同義語として使用され、したがって、同様の意味を有する。
【0136】
本発明において、「ラクタム」は、その環中に、4~12個の炭素原子、好ましくは6~12個の炭素原子を有する環状アミドを意味する。
【0137】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、成分(A)は、4~12個の炭素原子を有する少なくとも1種のラクタムを含む。
【0138】
好適なラクタムの例は、4-アミノブタノールラクタム(γ-ラクタム;γ-ブチロラクタム;ピロリドン)、5-アミノペンタノールラクタム(δ-ラクタム;δ-バレロラクタム;ピペリドン)、6-アミノヘキサノールラクタム(ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタノールラクタム(ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノールラクタム;エナントラクタム)、8-アミノオクタノールラクタム(η-ラクタム;η-オクタノールラクタム;カプリロラクタム)、9-ノナノールラクタム(θ-ラクタム;θ-ノナノールラクタム)、10-デカノールラクタム(ω-デカノールラクタム;カプリンラクタム)、11-ウンデカノールラクタム(ω-ウンデカノールラクタム)、及び12-ドデカノールラクタム(ω-ドデカノールラクタム;ラウロラクタム)からなる群から選択される。
【0139】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、成分(A)は、ピロリドン、ピペリドン、ε-カプロラクタム、エナントラクタム、カプリロラクタム、カプリンラクタム及びラウロラクタムからなる群から選択される。
【0140】
ラクタムは、非置換であるか、又は少なくとも一置換することができる。少なくとも一置換のラクタムを使用する場合、それらは、炭原子環に、C1~C10-アルキル、C5~C6-シクロアルキル、及びC5~C10-アリールからなる群から互いに独立して選択される、1つ、2つ又は2つを超える置換基を有する。
【0141】
好ましくは、成分(A)は非置換である。
【0142】
好適なC1~C10-アルキル置換基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルが挙げられる。好適なC5~C6-シクロアルキル置換基の例は、シクロヘキシルである。好ましいC5~C10-アリール置換基は、フェニル及びアントラニルである。
【0143】
特に好ましくは、非置換ラクタム、ここで好ましくは12-ドデカノールラクタム(ω-ドデカノールラクタム)及びε-ラクタム(ε-カプロラクタム)を使用する。最も好ましくは、ε-ラクタム(ε-カプロラクタム)である。
【0144】
ε-カプロラクタムは、カプロン酸の環状アミドである。6-アミノヘキサノールラクタム、6-ヘキサノールラクタム又はカプロラクタムとも称する。そのIUPAC名は「Acepan-2-one」である。カプロラクタムのCAS番号は105-60-2であり、その分子式はC6H11NOである。カプロラクタムの製造方法は当業者に知られている。
【0145】
成分(B):触媒
本発明における成分(B)は少なくとも1種の触媒である。
【0146】
「成分(B)」及び「少なくとも1種の触媒」という用語は、本発明において同義語として使用され、したがって、同様の意味を有する。
【0147】
好ましくは、少なくとも1種の触媒は、ラクタムのアニオン重合の触媒である。したがって、好ましくは、少なくとも1種の触媒はラクタムアニオンを生成させる。したがって、少なくとも1種の触媒は、少なくとも1種のラクタム(成分(A))の窒素結合プロトンを除去することにより、ラクタメート(lactamates)を生成することができる。
【0148】
ラクタムアニオン、それ自体は、同様に、少なくとも1種の触媒として機能することができる。少なくとも1種の触媒は、イニシエーター(initiator)とも称される。
【0149】
好適な成分(B)は、当業者に知られており、例えば「Polyamide.Kunststoff-Handbuch」 [Polyamides. Plastics Handbook],Carl-Hanser-Verlag 1998に記載されている。
【0150】
好ましくは、成分(B)は、アルカリ金属ラクタメート、アルカリ土類金属ラクタメート、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、アルカリ土類金属アルコラート、アルカリ金属アミド、アルカリ土類金属アミド、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び有機金属化合物からなる群から選択される。
【0151】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、成分(B)は、アルカリ金属ラクタメート、アルカリ土類金属ラクタメート、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、アルカリ土類金属アルコラート、アルカリ金属アミド、アルカリ土類金属アミド、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、及び有機金属化合物からなる群から選択される。
【0152】
特に好ましくは、成分(B)は、アルカリ金属ラクタメート及びアルカリ土類金属ラクタメートから選択される。
【0153】
アルカリ金属ラクタメートは、それ自体、当業者に知られている。好適なアルカリ金属ラクタメートの例は、ナトリウムカプロラクタメート及びカリウムカプロラクタメートである。
【0154】
好適なアルカリ土類金属ラクタメートの例は、マグネシウム臭化カプロラクタメート、マグネシウム塩化カプロラクタメート、及びマグネシウムビスカプロラクタメートである。好適なアルカリ金属の例は、ナトリウム及びカリウムである。好適なアルカリ土類金属の例は、マグネシウム及びカルシウムである。好適なアルカリ金属水素化物の例は、水素化ナトリウム及び水素化カリウムであり、好適なアルカリ金属水酸化物の例は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。好適なアルカリ金属アルコラートの例としては、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、ナトリウムプロパノラート、ナトリウムブタノラート、カリウムメタノラート、カリウムエタノラート、カリウムプロパノラート、及びカリウムブタノラートが挙げられる。
【0155】
特に好ましい他の実施態様において、成分(B)は、水素化ナトリウム、ナトリウム、ナトリウムカプロラクタメート、及びカプロラクタム中のナトリウムカプロラクタメートの溶液からなる群から選択される。特に好ましくは、ナトリウムカプロラクタメート、及び/又はカプロラクタム中のナトリウムカプロラクタメートの溶液(例えば、Brueggolen C10、17~19質量%のナトリウムカプロラクタメート及びカプロラクタム)である。少なくとも1種の触媒は、固体の形態で、又は溶液中で使用することができる。好ましくは、少なくとも1種の触媒は、固体の形態で使用される。特に好ましくは、触媒は、それが溶解できるカプロラクタム溶融物に添加される。
【0156】
成分(B)が、例えばアルカリ金属である場合、これは、少なくとも1種のラクタム(成分(A))と接触して反応し、したがって、アルカリ金属ラクタメートを生成することが当業者にとって自明である。
【0157】
成分(C):活性剤
本発明における成分(C)は、少なくとも1種の活性剤である。
【0158】
本発明の目的のため、「成分(C)」及び「少なくとも1種の活性剤」という用語は、本発明において同義語として使用され、したがって、同様の意味を有する。
【0159】
当業者に知られており、少なくとも1種のラクタム(成分(A))のアニオン重合を活性化することに適している任意の活性剤は、少なくとも1種の活性剤として好適である。好ましくは、少なくとも1種の活性剤は、N-置換ラクタム(N-substituted lactam)、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、アロファネート及びハロゲン化ジアシルからなる群から選択される;特に好ましくは、少なくとも1種の活性剤は、N-置換ラクタムからなる群から選択される。
【0160】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、成分(C)は、N-置換ラクタム、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、アロファネート及びハロゲン化ジアシルから選択される。
【0161】
好ましくは、N-置換ラクタムは親電子性N-置換基を有する。親電子性N-置換基を有する好適なラクタムの例は、アシルラクタム、例えばN-アセチルカプロラクタム、及び少なくとも1種のラクタム(成分(A))と共にその場で活性化ラクタムを生成するものの前駆体である。好適なN-置換ラクタムの他の例は、キャップされたジイソシアネートである。
【0162】
使用できるジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートだけでなく、芳香族ジイソシアネートでもある。脂肪族ジイソシアネートの中の例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネートである。芳香族ジイソシアネートの例は、トリルジイソシアネート、及び4,4’-メチレンビス(フェニル)イソシアネートである。ポリイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート(Basonat HI 100/BASF SE)に由来するイソシアネートである。好適なアロファネートの例は、エチルアロファネートである。
【0163】
好適なハロゲン化ジアシルは、脂肪族ハロゲン化ジアシルだけでなく、芳香族ハロゲン化ジアシルでもある。好適な脂肪族ハロゲン化ジアシルは、塩化ブチレンジオール、臭化ブチレンジオール、塩化ヘキサメチレンジオール、臭化ヘキサメチレンジオール、塩化オクタメチレンジオール、臭化オクタメチレンジオール、塩化デカメチレンジオール、臭化デカメチレンジオール、塩化ドデカメチレンジオール、臭化ドデカメチレンジオール、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシロイル塩化物)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシロイル臭化物)、塩化イソホロンジオール、及び臭化イソホロンジオールのような化合物である;好適な芳香族ハロゲン化ジアシルは、塩化トリルメチレンジオール、塩化トリルメチレンジオール、4,4’-メチレンビス(フェニルロイル塩化物)、4,4’-メチレンビス(フェニルロイル臭化物)のような化合物である。
【0164】
好ましい実施態様において、成分(C)は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、臭化ヘキサメチレンジオール、塩化ヘキサメチレンジオール、及びそれらの混合物からなる群から選択される;特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートを使用する。
【0165】
少なくとも1種の活性剤は、溶液中で使用することができる。特に、少なくとも1種の活性剤は、カプロラクタム中に溶解することができる。
【0166】
少なくとも1種の活性剤として適している他の製品の例は、Brueggolen(登録商標)C20、Brueggemann,DE製の、カプロラクタム中の80%のカプロラクタムブッロクされたヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートである。
【0167】
成分(D):繊維材料
本発明における成分(D)は、少なくとも1種の繊維材料である。
【0168】
本発明の目的のため、「成分(D)」及び「少なくとも1種の繊維材料」という用語は、本発明において同義語として使用され、したがって、同様の意味を有する。
【0169】
当業者に知られている任意の繊維材料は、少なくとも1種の繊維材料として好適である。好ましくは、成分(D)は、無機繊維材料、有機繊維材料及び天然繊維材料からなる群から選択される。
【0170】
無機繊維材料の例としては、ホウ素繊維材料、ガラス繊維材料、炭素繊維材料、シリカ繊維材料、セラミック繊維材料、及び玄武岩繊維材料が挙げられる。
【0171】
有機繊維材料の例としては、アラミド繊維材料、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)繊維材料、ポリエステル繊維材料、ナイロン繊維材料、及びポリエチレン繊維材料が挙げられる。
【0172】
天然繊維材料の例としては、木材繊維材料、亜麻繊維材料、麻繊維材料、及びサイザル繊維材料が挙げられる。
【0173】
好ましくは、成分(D)は、ガラス繊維材料、炭素繊維材料、アラミド繊維材料、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)繊維材料、ホウ素繊維材料、金属繊維材料、及びチタン酸カリウム繊維材料からなる群から選択される。特に好ましくは、成分(D)はガラス繊維材料である。
【0174】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、成分(D)は、ガラス繊維材料、炭素繊維材料、アラミド繊維材料、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)繊維材料、ホウ素繊維材料、金属繊維材料、及びチタン酸カリウム繊維材料からなる群から選択される。
【0175】
少なくとも1種の繊維材料は、当業者に公知の任意の形態で使用することができる。少なくとも1種の繊維材料は、例えば、織物シート(textile sheet)の形態で、個別の繊維の形態で、又は繊維束(fiber bundle)の形態で使用することができる。
【0176】
織物シートは、当業者に知られている。織物シートという用語は、例えば、織物(woven fabrics)、編物(knitted fabrics)、敷設スクリム(laid scrims)、及び不織布(nonwoven fabrics)に使用される。繊維束という用語は、例えば、粗紡(rovings)、細断された(chopped)ガラス繊維、及びプリプレグに使用される。好ましくは、成分(D)は繊維束である。
【0177】
好ましい繊維束は、例えば、100~100000本、好ましくは1000~70000本、特に好ましくは2000~50000本の個別の繊維からなる。
【0178】
繊維束の線密度(linear density)は、例えば、50~10000tex(1tex=1000m当たり1gの繊維)、好ましくは500~8000tex、特に好ましくは800~6000texの範囲にある。
【0179】
好ましくは、本発明の方法において、成分(D)を押出機中に導入する場合、それは、粗紡、細断されたガラス繊維、粉砕された(ground)ガラス繊維及びプリプレグからなる群から選択される形態である。
【0180】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、成分(A)、(B)、(C)、及び(D)を配合する前に、成分(D)を押出機中に導入する場合、成分(D)は、粗紡、細断されたガラス繊維、粉砕されたガラス繊維及びプリプレグからなる群から選択される形態である。
【0181】
特に好ましくは、本発明の方法において、成分(D)を押出機中に導入する場合、それは、粗紡、細断されたガラス繊維、及びプリプレグからなる群から選択される形態である。
【0182】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、成分(A)、(B)、(C)、及び(D)を配合する前に、成分(D)を押出機中に導入する場合、成分(D)は、粗紡、細断されたガラス繊維、及びプリプレグからなる群から選択される形態である。
【0183】
したがって、特に好ましい実施態様において、本発明の方法の工程a)における第1の混合物(M1)の提供は、以下の工程:
a1)押出機中に成分(A)を導入する工程と、
a2)押出機中の成分(A)に、粗紡、細断されたガラス繊維、粉砕されたガラス繊維及びプリプレグからなる群から選択される形態で、好ましくは粗紡、細断されたガラス繊維及びプリプレグからなる群から選択される形態での成分(D)を添加する工程と、
a3)押出機中で、成分(A)及び(D)を配合して、第1の混合物(M1)を得る工程と
を含む。
【0184】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、工程a)における第1の混合物(M1)の提供は、以下の工程:
a1)押出機中に成分(A)を導入する工程と、
a2)押出機中の成分(A)に、粗紡、細断されたガラス繊維、粉砕されたガラス繊維及びプリプレグからなる群から選択される形態での成分(D)を添加する工程と、
a3)押出機中で、成分(A)及び(D)を配合して、第1の混合物(M1)を得る工程と
を含む。
【0185】
押出機中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を配合する間に、通常、成分(D)を粉砕する。本発明の目的のため、「粉砕」は、成分(D)、特に成分(D)として好ましく使用される繊維束を短くすることを意味する。さらに、成分(D)として好ましく使用される繊維束を分解させる。これは、繊維束が分離され、したがって、個別の繊維の形態で存在することを意味する。特に好ましくは、重合可能な混合物(pM)は、押出機中に導入され、かつ、成分(D)として好ましく使用される繊維束より短い個別の繊維を含む。
【0186】
重合可能な混合物(pM)中の成分(D)は、例えば、10~1000μm、好ましくは20~500μm、特に好ましくは30~300μmの範囲の長さを有する個別の繊維の形態で存在する。
【0187】
したがって、本発明は方法も提供し、該方法において、重合可能な混合物(pM)中に含まれる成分(D)は、10~1000μmの範囲の長さの個別の繊維の形態で存在する。
【0188】
本発明の結果として得られる制限を意図するものではないが、成分(D)は特に押出機の混練ゾーンで粉砕されると考えられる。
【0189】
成分(D)が、成分(A)、(B)、(C)及び(D)を配合する間に粉砕されるだけでなく、第1の混合物(M1)が最初に工程a)で提供される好ましい実施態様において、成分(A)のみを成分(D)と配合する場合、成分(D)が既に少なくとも部分的にも粉砕されていることは自明である。
【0190】
ポリアミド(P)
本発明の重合可能な混合物(pM)は、ポリアミド(P)の製造に使用することができる。
【0191】
これは、重合可能な混合物(pM)を重合して、ポリアミド(P)を得ることを必要とする。
【0192】
したがって、本発明はポリアミド(P)の製造方法も提供し、ここでは、本発明の方法により得ることができる重合可能な混合物(pM)を重合して、ポリアミド(P)を得る。
【0193】
通常、重合可能な混合物(pM)の重合は、少なくとも1種のラクタムの融点を超える温度まで重合可能な混合物(pM)を加熱することによって開始される。好ましくは、ポリアミド(P)の融点未満の温度まで重合可能な混合物(pM)を加熱する。
【0194】
成分(A)の融点がポリアミド(P)の融点より低いことは、自明である。
【0195】
例えば、重合反応において、重合可能な混合物(pM)は、130~180℃の範囲、好ましくは135~170℃の範囲、特に好ましくは140~160℃の範囲まで加熱される。
【0196】
ここで、重合可能な混合物(pM)中に含まれる少なくとも1種のラクタムは重合させ、ポリアミド(P)を得る。
【0197】
したがって、本発明は、ポリアミド(P)の製造に記載されている方法によって得ることができるポリアミド(P)も提供する。
【0198】
重合反応において、例えば、重合可能な混合物(pM)を鋳型中に導入することは可能である。したがって、この場合、重合可能な混合物(pM)の重合の間に、ポリアミド(P)から成形品を得る。
【0199】
したがって、本発明は、本発明のポリアミド(P)製の成形品も提供する。
【0200】
さらに、本発明は、ポリアミド(P)の製造するために、本発明で製造される重合可能な混合物(pM)を使用する方法を提供する。