(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】洗浄薬液供給装置および洗浄薬液供給方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
(21)【出願番号】P 2020199753
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】豊増 富士彦
(72)【発明者】
【氏名】國澤 淳次
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098452(JP,A)
【文献】特開2016-015469(JP,A)
【文献】特開2004-172573(JP,A)
【文献】特開2015-082650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を洗浄するための薬液を洗浄装置に供給するための洗浄薬液供給装置であって、
第1薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第1薬液を、洗浄装置において基板の第1位置に供給するための第1ノズルへ供給するための第1混合器と、
第1薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第1薬液を、洗浄装置において基板の前記第1位置とは異なる第2位置に供給するための第2ノズルへ供給するための第2混合器と、
前記第1混合器および前記第2混合器へ供給される希釈水の流量を制御するための、第1希釈水制御ボックスと、
第1薬液とは異なる種類の第2薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第2薬液を、洗浄装置において基板の第3位置に供給するための第3ノズルへ供給するための第3混合器と、
第2薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第2薬液を、洗浄装置において基板の前記第3位置とは異なる第4位置に供給するための第4ノズルへ供給するための第4混合器と、
前記第3混合器および前記第4混合器へ供給される希釈水の流量を制御するための、第2希釈水制御ボックスと、を有する、
洗浄薬液供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄薬液供給装置であって、
前記第1ノズルは、基板の上面に前記第1薬液を供給するように配置されており、
前記第2ノズルは、基板の下面に前記第1薬液を供給するように配置されており、
前記第3ノズルは、基板の上面に前記第2薬液を供給するように配置されており、
前記第4ノズルは、基板の下面に前記第2薬液を供給するように配置されている、
洗浄薬液供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄薬液供給装置であって、
前記第1混合器に供給される第1薬液の流量の流量を制御するための第1薬液CLCと、
前記第1混合器に供給される希釈水の流量の流量を制御するための第1希釈水CLCと、
前記第2混合器に供給される第1薬液の流量の流量を制御するための第2薬液CLCと、
前記第2混合器に供給される希釈水の流量の流量を制御するための第2希釈水CLCと、
前記第3混合器に供給される第2薬液の流量の流量を制御するための第3薬液CLCと、
前記第3混合器に供給される希釈水の流量の流量を制御するための第3希釈水CLCと、
前記第4混合器に供給される第2薬液の流量の流量を制御するための第4薬液CLCと、
前記第4混合器に供給される希釈水の流量の流量を制御するための第4希釈水CLCと、を有する、
洗浄薬液供給装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の洗浄薬液供給装置であって、
前記第1薬液および前記第2薬液の一方はアルカリ性の薬液であり、他方は酸性の薬液である、
洗浄薬液供給装置。
【請求項5】
基板を洗浄するための薬液を洗浄装置に供給するための洗浄薬液供給方法であって、
第1薬液および希釈水の流量を制御しながら第1混合器に供給する工程と、
第1混合器から基板の第1位置に第1薬液を供給する工程と、
第1薬液および希釈水の流量を制御しながら第2混合器に供給する工程と、
第2混合器から基板の前記第1位置とは異なる第2位置に第1薬液を供給する工程と、
第2薬液および希釈水の流量を制御しながら第3混合器に供給する工程と、
第3混合器から基板の第3位置に第2薬液を供給する工程と、
第2薬液および希釈水の流量を制御しながら第4混合器に供給する工程と、
第4混合器から基板の前記第3位置とは異なる第4位置に第2薬液を供給する工程と、を有する、
洗浄薬液供給方法。
【請求項6】
請求項5に記載の洗浄薬液供給方法であって、
前記基板の第1位置は、基板の上面であり、
前記基板の第2位置は、基板の下面であり、
前記基板の第3位置は、基板の上面であり、
前記基板の第4位置は、基板の下面である、
洗浄薬液供給方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の洗浄薬液供給方法であって、
前記第1混合器への第1薬液および希釈水の流量の制御は、前記第1混合器へ供給される第1薬液および希釈水のそれぞれの流量に基づいてフィードバック制御を行い、
前記第2混合器への第1薬液および希釈水の流量の制御は、前記第2混合器へ供給される第1薬液および希釈水のそれぞれの流量に基づいてフィードバック制御を行い、
前記第3混合器への第2薬液および希釈水の流量の制御は、前記第3混合器へ供給される第2薬液および希釈水のそれぞれの流量に基づいてフィードバック制御を行い、
前記第4混合器への第2薬液および希釈水の流量の制御は、前記第4混合器へ供給される第2薬液および希釈水のそれぞれの流量に基づいてフィードバック制御を行う、
洗浄薬液供給方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか一項に記載の洗浄薬液供給方法であって、
以下の(1)~(4)の工程:
(1)第1薬液および希釈水の流量を制御しながら第1混合器に供給する工程は、基板の洗浄の初期においては、第1混合器から基板の第1位置に供給される第1薬液の濃度および/または流量が相対的に大きくなるように制御され、
(2)第1薬液および希釈水の流量を制御しながら第2混合器に供給する工程は、基板の洗浄の初期においては、第2混合器から基板の第2位置に供給される第1薬液の濃度および/または流量が相対的に大きくなるように制御され、
(3)第2薬液および希釈水の流量を制御しながら第3混合器に供給する工程は、基板の洗浄の初期においては、第3混合器から基板の第3位置に供給される第2薬液の濃度および/または流量が相対的に大きくなるように制御され、
(4)第2薬液および希釈水の流量を制御しながら第4混合器に供給する工程は、基板の洗浄の初期においては、第4混合器から基板の第4位置に供給される第2薬液の濃度および/または流量が相対的に大きくなるように制御され、
の少なくとも1つを有する、
洗浄薬液供給方法。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか一項に記載の洗浄薬液供給方法であって、
前記第1薬液および前記第2薬液の一方はアルカリ性の薬液であり、他方は酸性の薬液
である、
洗浄薬液供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄薬液供給装置および洗浄薬液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置は、半導体チップが形成された半導体基板の表面を研磨するための研磨モジュールと、研磨モジュールで研磨された半導体基板に対して薬液を供給しながら洗浄するための洗浄モジュールとを有する。この洗浄モジュールは、薬液に対してDIW(De-Ionized Water)などの希釈水を混合することで、濃度が調整された薬液を作成し、この薬液を用いて半導体基板の洗浄を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-15469号公報
【文献】特開2018-98452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板の洗浄プロセスでは、洗浄装置において半導体基板の表面のパターンに応じてアルカリ性の薬液を使う場合と、酸性の薬液を使う場合とがある。また、半導体デバイスの微細化に伴い半導体基板のパターン面の配線幅が狭くなってきており、従来の洗浄プロセスでは必ずしも落ちなくてもよかった粒径が20nm~30nmまたはそれ以下の粒径の粒子も無視できなくなってきている。そこで、たとえば半導体基板のパターンが形成されている表面は相対的に濃度の大きい洗浄液で洗浄し、パターンが形成されていない裏面は相対的に濃度の小さい洗浄液で洗浄する、などのように洗浄部位によって異なる濃度の薬液を使用できることが望ましい。本願は、1つの洗浄装置において、種類の異なる洗浄薬液を基板に供給でき、また、必要に応じて薬液の濃度および/または流量を変更することができる洗浄装置を提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、基板を洗浄するための薬液を洗浄装置に供給するための洗浄薬液供給装置が提供され、第1薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第1薬液を、洗浄装置において基板の第1位置に供給するための第1ノズルへ供給するための第1混合器と、第1薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第1薬液を、洗浄装置において基板の前記第1位置とは異なる第2位置に供給するための第2ノズルへ供給するための第2混合器と、前記第1混合器および前記第2混合器へ供給される希釈水の流量を制御するための、第1希釈水制御ボックスと、第1薬液とは異なる種類の第2薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第2薬液を、洗浄装置において基板の第3位置に供給するための第3ノズルへ供給するための第3混合器と、第2薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第2薬液を、洗浄装置において基板の前記第3位置とは異なる第4位置に供給するための第4ノズルへ供給するための第4混合器と、前記第3混合器および前記第4混合器へ供給される希釈水の流量を制御するための、第2希釈水制御ボックスと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態による洗浄薬液供給装置を示す概略正面図である。
【
図2】一実施形態による洗浄モジュールの流体回路図である。
【
図3】一実施形態による洗浄装置の薬液洗浄槽を概略的に示す図である。
【
図4】一実施形態による第1薬液ユーティリティボックスを示す図である。
【
図5】一実施形態による第2薬液ユーティリティボックスを示す図である。
【
図6】一実施形態による第1希釈水制御ボックスを示す図である。
【
図7】一実施形態による第2希釈水制御ボックスを示す図である。
【
図8】一実施形態による第1薬液希釈ボックスを示す図である。
【
図9】一実施形態による第2薬液希釈ボックスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄薬液供給装置を示す概略正面図である。本実施形態の洗浄薬液供給装置100は、洗浄のための薬液(例えばフッ酸やアンモニアなど)を、基板処理装置が有する洗浄装置200に供給可能に構成される。基板処理装置は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置等の研磨装置を含む。
【0009】
図1に示すように、一実施形態に係る洗浄薬液供給装置100は、ケース101と、第1希釈水制御ボックス110と、第2希釈水制御ボックス110aと、第1薬液希釈ボックス120と、第2薬液希釈ボックス130と、第1薬液ユーティリティボックス50と、第2薬液ユーティリティボックス60と、を有する。第1希釈水制御ボックス110と、第2希釈水制御ボックス110aと、第1薬液希釈ボックス120と、第2薬液希釈ボックス130と、第1薬液ユーティリティボックス50と、第2薬液ユーティリティボックス60は、ケース101内に収納される。
【0010】
第1薬液希釈ボックス120は、第1薬液と希釈水とを混合し、流量及び濃度を調整した薬液(希釈後の薬液)を生成する。第2薬液希釈ボックス130は、第2薬液と、希釈水とを混合し、流量及び濃度を調整した薬液(希釈後の薬液)を生成する。希釈水は、DIW(De-Ionized Water)、その他の希釈媒体である。以下の説明では、希釈水は、DIWであるとして説明するが、希釈水はDIW以外の希釈媒体であってもよい。
【0011】
洗浄薬液供給装置100において、第1薬液ユーティリティボックス50は、第1薬液供給源20からの薬液を洗浄薬液供給装置100に導入するための構成である。また、第2薬液ユーティリティボックス60は、第2薬液供給源21からの薬液を洗浄薬液供給装置100に導入するための構成である。
図1に示される例では、6つの薬液ユーティリティボックス50、60が洗浄薬液供給装置100に設けられているが、これは一例であり、洗浄装置200の仕様に応じて薬液ユーティリティボックス50、60の数は適宜変更される。第1薬液および第2薬液は、異なる種類の薬液とすることができる。たとえば、一方をアルカリ性の薬液とし、他方を酸性の薬液とすることができる。
【0012】
図2は、一実施形態に係る洗浄モジュールの流体回路図である。洗浄モジュールは、洗浄薬液供給装置100と、洗浄装置200とを備えている。洗浄薬液供給装置100において、第1薬液ユーティリティボックス50は、第1薬液供給源20からの薬液を洗浄薬液供給装置100に導入するための構成である。第1薬液ユーティリティボックス50は、第1薬液供給源20からの配管27、およびDIW供給源30からの配管84に連結されている。また、第1薬液ユーティリティボックス50は、第1薬液希釈ボックス120
へ第1薬液を供給するための配管91に連結されている。第1薬液ユーティリティボックス50の詳細は後述する。
【0013】
洗浄薬液供給装置100において、第2薬液ユーティリティボックス60は、第2薬液供給源21からの薬液を洗浄薬液供給装置100に導入するための構成である。第2薬液ユーティリティボックス60は、第2薬液供給源21からの配管29、およびDIW供給源30からの配管85、に連結されている。また、第2薬液ユーティリティボックス60は、第2薬液希釈ボックス130へ第2薬液を供給するための配管92に連結されている。第2薬液ユーティリティボックス60の詳細は後述する。
【0014】
洗浄薬液供給装置100において、第1希釈水制御ボックス110は、DIW供給源30からの配管83に連結されている。また、第1希釈水制御ボックス110は、第1薬液希釈ボックス120へ希釈水を供給するための配管86、87に連結されている。第1希釈水制御ボックス110の詳細は後述する。
【0015】
洗浄薬液供給装置100において、第2希釈水制御ボックス110aは、希釈水を第2薬液希釈ボックス130へ供給するための構成である。第2希釈水制御ボックス110aは、DIW供給源30からの配管83aに連結されている。また、第2希釈水制御ボックス110aは、第2薬液希釈ボックス130へ希釈水を供給するための配管88、89に連結されている。第2希釈水制御ボックス110aの詳細は後述する。
【0016】
薬液供給装置100は、一端がDIW供給源30に接続され、他端が洗浄装置200のDIW洗浄部210に接続された、DIW供給配管31を備えている。DIW供給配管31には、DIW供給バルブ36と、DIW圧調節レギュレータ37と、DIW圧力計38と、が設けられている。DIW供給バルブ36は、開閉されることで、DIW供給源30からDIW供給配管31へのDIWの供給を制御する。DIW圧調節レギュレータ37は、DIW供給配管31からDIW洗浄部210へのDIWの供給圧力を調節する。DIW圧力計38は、DIW供給配管31の内部を通過するDIWの圧力を計測する。
【0017】
DIW供給配管31上のDIW供給バルブ36とDIW圧調節レギュレータ37との間には、第1希釈水制御ボックス110への配管83、第2希釈水制御ボックス110aへの配管83a、第1薬液ユーティリティボックス50への配管84、および第2薬液ユーティリティボックス60への配管85へ連結されている分岐配管82が接続されている。分岐配管82には、DIW圧調節レギュレータ77と、DIW圧力計76と、が設けられている。DIW圧調節レギュレータ77は、分岐配管82から、第1希釈水制御ボックス110、第2希釈水制御ボックス110a、第1薬液ユーティリティボックス50、および第2薬液ユーティリティボックス60の各部へのDIWの供給圧力を調節する。DIW圧力計76は、分岐配管82の内部を通過するDIWの圧力を計測する。
【0018】
洗浄薬液供給装置100において、第1薬液希釈ボックス120は、希釈された第1薬液を洗浄装置200の薬液洗浄槽220に供給するための構成である。第1薬液希釈ボックス120は、第1薬液ユーティリティボックス50からの配管91、第1希釈水制御ボックス110からの配管86、87に連結されている。また、第1薬液希釈ボックス120は、薬液洗浄槽220へ希釈された第1薬液を供給するための配管93、94、95に連結されている。第1薬液希釈ボックス120は、第1薬液を少なくとも2つの異なる濃度に希釈して、異なる濃度の第1薬液を薬液洗浄槽220へ供給できるように構成される。第1薬液希釈ボックス120の詳細は後述する。
【0019】
洗浄薬液供給装置100において、第2薬液希釈ボックス130は、希釈された第2薬液を洗浄装置200の薬液洗浄槽220に供給するための構成である。第2薬液希釈ボッ
クス130は、第2薬液ユーティリティボックス60からの配管92、第2希釈水制御ボックス110aからの配管88、89に連結されている。また、第2薬液希釈ボックス130は、薬液洗浄槽220へ希釈された第2薬液を供給するための配管96、97、98に連結されている。第2薬液希釈ボックス130は、第2薬液を少なくとも2つの異なる濃度に希釈して、異なる濃度の第2薬液を薬液洗浄槽220へ供給できるように構成される。第2薬液希釈ボックス130の詳細は後述する。
【0020】
図3は、一実施形態による洗浄装置200の薬液洗浄槽220を概略的に示す図である。洗浄装置200は、研磨装置等の基板処理装置に設置され、基板Wを洗浄する装置である。薬液洗浄槽220は、洗浄装置200において基板Wを薬液で洗浄するための槽である。
図3に示される実施形態において、基板Wは、図示しない基板保持機構により薬液洗浄槽220内に保持される。基板保持機構は、たとえば基板Wの外周部のみを支持し、基板Wの上面および下面のほぼ全体が露出されるように保持されることが望ましい。また、基板保持機構は、基板Wを回転可能に支持できることが望ましい。薬液洗浄槽220内での基板保持機構は公知のものも含め任意の基板保持機構を採用することができる。
【0021】
図3に示されるように、薬液洗浄槽220は、基板Wの上面側に配置される第1上ノズル224と第2上ノズル234とを備える。第1上ノズル224および第2上ノズル234は、基板Wの上方に配置され、基板Wの上面に向けてそれぞれ希釈された第1薬液および第2薬液を噴射する。図示のように、第1上ノズル224は、第1薬液希釈ボックス120からの配管93に接続されている。そのため、第1上ノズル224は、第1薬液希釈ボックス120で所望の流量および濃度に調整された第1薬液を基板Wの上面に供給することができる。また、図示のように、第2上ノズル234は、第2薬液希釈ボックス130からの配管96に接続されている。そのため、第2上ノズル234は、第2薬液希釈ボックス130で所望の流量および濃度に調整された第2薬液を基板Wの上面に供給することができる。第1上ノズル224および第2上ノズル234は、流路上の圧損を低減するために、低圧損タイプのノズル(例えば、フラットタイプの噴出口のもの)を使用することが好ましい。基板Wを回転させながら、第1上ノズル224または第2上ノズル234により薬液を基板Wの中央付近に供給することで、基板Wの上面に供給された薬液が遠心力により基板W上で広がり、基板Wの上面の全体を洗浄することができる。
【0022】
一実施形態において、第1上ノズル224および第2上ノズル234は、ノズルの向きを変更可能に構成することができる。ノズルの向きを変更可能とすることで、基板Wの上面の任意の位置に薬液を供給することができる。また、一実施形態において、第1上ノズル224および第2上ノズル234は、移動可能に構成してもよい。ノズルを移動可能とすることで、基板Wの上面の任意の位置に薬液を供給することができる。
【0023】
上述の実施形態においては、薬液洗浄槽220において、基板Wの上面に異なる種類の薬液を供給して基板Wを洗浄することができる。基板処理装置における基板の処理過程で異なる種類の薬液を用いて基板を洗浄する必要がある場合がある。そのような場合においても、同一の洗浄装置200および薬液洗浄槽220を用いて基板Wを洗浄することができる。
【0024】
図3に示されるように、薬液洗浄槽220は、基板Wの下面側に配置される第1下ノズル225と第2下ノズル235とを備える。第1下ノズル225および第2下ノズル235は、基板Wの下方に配置され、基板Wの下面に向けてそれぞれ希釈された第1薬液および第2薬液を噴射する。図示のように、第1下ノズル225は、第1薬液希釈ボックス120からの配管94に接続されている。そのため、第1下ノズル225は、第1薬液希釈ボックス120で所望の流量および濃度に調整された第1薬液を基板Wの下面に供給することができる。また、図示のように、第2下ノズル235は、第2薬液希釈ボックス13
0からの配管97に接続されている。そのため、第2下ノズル235は、第2薬液希釈ボックス130で所望の流量および濃度に調整された第2薬液を基板Wの下面に供給することができる。第1下ノズル225および第2下ノズル235は、たとえば細長い円筒形の筐体に複数のノズル穴が設けられた構造である。円筒形の筐体は、概ね基板Wの直径と同程度の長手寸法を備える。基板Wを回転させながら、第1下ノズル225または第2下ノズル235から基板Wの下面に薬液を供給することで、基板Wの下面の全体を洗浄することができる。
【0025】
一実施形態において、第1下ノズル225および第2下ノズル235は、ノズルの向きを変更可能に構成することができる。ノズルの向きを変更可能とすることで、基板Wの下面の任意の位置に薬液を供給することができる。また、一実施形態において、第1下ノズル225および第2下ノズル235は、移動可能に構成してもよい。ノズルを移動可能とすることで、基板Wの下面の任意の位置に薬液を供給することができる。第1下ノズル225および第2下ノズル235は、流路上の圧損を低減するために、低圧損タイプのノズルを使用することが好ましい。
【0026】
一実施形態において、薬液洗浄槽220は、
図3に示されるように、待機部226を備える。待機部226には、洗浄装置200での洗浄を待機している基板を配置することができる。
図3に示されるように、待機部226は、第1薬液希釈ボックス120からの配管95、および第2薬液希釈ボックス130からの配管98に接続されている。そのため。待機部226は、待機している基板に対して、第1薬液希釈ボックス120で所望の流量および濃度に調整された第1薬液、および第2薬液希釈ボックス130で所望の流量および濃度に調整された第2薬液を供給することができる。また、薬液洗浄槽220において、上述した上ノズル224、234、および下ノズル225、235で基板Wを洗浄していないときに、待機部226に薬液を供給することで、第1薬液ユーティリティボックス50から第1薬液希釈ボックス120までの配管91や、第2薬液ユーティリティボックス60から第2薬液希釈ボックス130までの配管92をフラッシングすることができる。
【0027】
図4は、一実施形態による第1薬液ユーティリティボックス50を示す図である。
図4に示されるように、第1薬液ユーティリティボックス50は、第1薬液供給源20からの配管27に接続されている。
図4に示されるように、第1薬液ユーティリティボックス50は、ロックアウト弁53、薬液用の開閉弁51、および圧力計52を備えている。また、第1薬液ユーティリティボックス50は、DIW供給源30からの配管84に設けられる、フラッシング用の開閉弁71を備える。DIW供給源30からの配管84は、フラッシング用開閉弁71を介して、開閉弁51と圧力計52との間に連結されている。開閉弁51、71は、制御装置150からの信号によって開閉制御される。なお、開閉弁51、71、および本明細書で説明される他の開閉弁は、空気圧式や電磁式に駆動されるものとすることができる。図示の実施形態において、フラッシング用の開閉弁71を介してDIWを下流に供給することで、管路の洗浄を行うことができる。たとえば、基板の洗浄のために薬液が供給されずに待機状態が継続している場合、管路内に留まっている薬液は劣化することになる。そこで、待機中に定期的に管路内を洗浄することで、基板の洗浄処理を再開するときに新しい薬液を供給することができる。ロックアウト弁53は、手動で開閉される弁であり、例えば、メンテナンス時に洗浄薬液供給装置100から第1薬液供給源20を切り離す際に使用される。圧力計52は、第1薬液供給源20から洗浄薬液供給装置100に導入される薬液の圧力を検出する。第1薬液ユーティリティボックス50は、第1薬液希釈ボックス120へ第1薬液を供給するための配管91に連結されている。
【0028】
図5は、一実施形態による第2薬液ユーティリティボックス60を示す図である。
図5に示されるように、第2薬液ユーティリティボックス60は、第2薬液供給源21からの
配管29に接続されている。
図5に示されるように、第2薬液ユーティリティボックス60は、ロックアウト弁63、薬液用の開閉弁61、および圧力計62を備えている。また、第2薬液ユーティリティボックス60は、DIW供給源30からの配管85に設けられる、フラッシング用の開閉弁72を備える。DIW供給源30からの配管85は、フラッシング用開閉弁72を介して、開閉弁61と圧力計62との間に連結されている。開閉弁61、72は、制御装置150からの信号によって開閉制御される。図示の実施形態において、フラッシング用の開閉弁72を介してDIWを下流に供給することで、管路の洗浄を行うことができる。たとえば、基板の洗浄のために薬液が供給されずに待機状態が継続している場合、管路内に留まっている薬液は劣化することになる。そこで、待機中に定期的に管路内を洗浄することで、基板の洗浄処理を再開するときに新しい薬液を供給することができる。ロックアウト弁63は、手動で開閉される弁であり、例えば、メンテナンス時に洗浄薬液供給装置100から第2薬液供給源21を切り離す際に使用される。圧力計62は、第2薬液供給源21から洗浄薬液供給装置100に導入される薬液の圧力を検出する。第2薬液ユーティリティボックス60は、第2薬液希釈ボックス130へ第2薬液を供給するための配管92に連結されている。
【0029】
図6は、一実施形態による第1希釈水制御ボックス110を示す図である。
図2に示されるように、第1希釈水制御ボックス110は、DIW供給源30からの配管83に連結されている。第1希釈水制御ボックス110の内部で配管83は2本に分岐する。
【0030】
図6に示されるように、配管83から分岐した一方の配管には、第1希釈水CLC(Closed Loop Controller)111と、希釈水供給弁113とが接続されており、第1薬液希釈ボックス120への配管86に連結される。第1希釈水CLC111は、希釈水供給弁113および第1薬液希釈ボックス120へ供給する希釈水の流量を調整する。また、第1希釈水CLC111は、第1希釈水CLC111に流れる希釈水の流量を測定する流量計を備える。第1希釈水CLC111は、この測定結果に基づいて、第1希釈水CLC111内に流れる希釈水の流量が所望の流量になるように、第1希釈水CLC111の内部コントロールバルブ112の開度を調節(フィードバック制御)する。
【0031】
図6に示されるように、配管83から分岐した他方の配管には、第2希釈水CLC(Closed Loop Controller)111aと、希釈水供給弁113aとが接続されており、第1薬液希釈ボックス120への配管87に連結される。第2希釈水CLC111aは、希釈水供給弁113aおよび第1薬液希釈ボックス120へ供給する希釈水の流量を調整する。また、第2希釈水CLC111aは、第2希釈水CLC111aに流れる希釈水の流量を測定する流量計を備える。第2希釈水CLC111aは、この測定結果に基づいて、第2希釈水CLC111a内に流れる希釈水の流量が所望の流量になるように、第2希釈水CLC111aの内部コントロールバルブ112aの開度を調節(フィードバック制御)する。
【0032】
図7は、一実施形態による第2希釈水制御ボックス110aを示す図である。
図2に示されるように、第2希釈水制御ボックス110aは、DIW供給源30からの配管83aに連結されている。第2希釈水制御ボックス110aの内部で配管83aは2本に分岐する。
【0033】
図7に示されるように、配管83aから分岐した一方の配管には、第3希釈水CLC141と、希釈水供給弁143とが接続されており、第2薬液希釈ボックス130への配管88に連結される。第3希釈水CLC141は、希釈水供給弁143および第2薬液希釈ボックス130へ供給する希釈水の流量を調整する。また、第3希釈水CLC141は、第3希釈水CLC141に流れる希釈水の流量を測定する流量計を備える。第3希釈水C
LC141は、この測定結果に基づいて、第3希釈水CLC141内に流れる希釈水の流量が所望の流量になるように、第3希釈水CLC141の内部コントロールバルブ142の開度を調節(フィードバック制御)する。
【0034】
図7に示されるように、配管83aから分岐した他方の配管には、第4希釈水CLC141aと、希釈水供給弁143aとが接続されており、第2薬液希釈ボックス130への配管89に連結される。第4希釈水CLC141aは、希釈水供給弁143aおよび第2薬液希釈ボックス130へ供給する希釈水の流量を調整する。また、第4希釈水CLC141aは、第4希釈水CLC141aに流れる希釈水の流量を測定する流量計を備える。第4希釈水CLC141aは、この測定結果に基づいて、第4希釈水CLC141a内に流れる希釈水の流量が所望の流量になるように、第4希釈水CLC141a内部コントロールバルブ142aの開度を調節(フィードバック制御)する。
【0035】
図8は、一実施形態による第1薬液希釈ボックス120を示す図である。第1薬液希釈ボックス120は、薬液の流量を制御し、また、流量が制御された希釈水と薬液を混合し、所望の流量および濃度の薬液を洗浄装置200への配管93、94、95へと供給する。
図2に示されるように、第1薬液希釈ボックス120は、第1薬液ユーティリティボックス50からの配管91に接続されている。第1薬液希釈ボックス120の内部で配管91は2本に分岐する。
【0036】
図8に示されるように、配管91から分岐した一方の配管には、第1薬液CLC121、第1混合器171、圧力計173、および薬液弁123が接続されており、薬液洗浄槽220への配管93に連結される。第1薬液CLC121は、第1混合器171へ供給する第1薬液の流量を調整する。また、第1薬液CLC121は、第1薬液CLC121に流れる薬液の流量を測定する流量計を備える。第1薬液CLC121は、この測定結果に基づいて、第1薬液CLC121内に流れる薬液の流量が所望の流量になるように、第1薬液CLC121の内部コントロールバルブ122の開度を調節(フィードバック制御)する。第1薬液希釈ボックス120において、第1薬液CLC121と第1混合器171との間には、開閉弁128を介して第1希釈水制御ボックス110からの配管86が連結されている。第1混合器171には、第1薬液CLC121により所望の流量および濃度に調整された第1薬液と、第1希釈水制御ボックス110の第1希釈水CLC111により所望の流量および濃度に調整された希釈水とが供給される。そのため、第1混合器171は、所望の濃度の薬液を生成することができる。第1混合器171により所望の濃度に調整された薬液を、薬液洗浄槽220に配置される第1上ノズル224から基板Wの上面に供給することができる。
【0037】
図8に示されるように、配管91から分岐した他方の配管には、第2薬液CLC124、第2混合器172、圧力計174、および薬液弁126、127が接続されており、薬液洗浄槽220への配管94、95に連結される。第2薬液CLC124は、第2混合器172へ供給する第1薬液の流量を調整する。また、第2薬液CLC124は、第2薬液CLC124に流れる薬液の流量を測定する流量計を備える。第2薬液CLC124は、この測定結果に基づいて、第2薬液CLC124内に流れる薬液の流量が所望の流量になるように、第2薬液CLC124の内部コントロールバルブ125の開度を調節(フィードバック制御)する。第1薬液希釈ボックス120において、第2薬液CLC124と第2混合器172との間には、開閉弁129を介して第1希釈水制御ボックス110からの配管87が連結されている。第2混合器172には、第2薬液CLC124により所望の流量および濃度に調整された第1薬液と、第1希釈水制御ボックス110の第2希釈水CLC111aにより所望の流量および濃度に調整された希釈水とが供給される。そのため、第2混合器172は、所望の濃度の薬液を生成することができる。第2混合器172により所望の濃度に調整された薬液を、薬液洗浄槽220に配置される第1下ノズル225
から基板Wの下面に供給することができる。また、
図8に示されるように、第2混合器172の下流には分岐路が設けられており、薬液弁127を介して薬液を薬液洗浄槽220の待機部226へ供給することができる。
【0038】
図9は、一実施形態による第2薬液希釈ボックス130を示す図である。第2薬液希釈ボックス130は、薬液の流量を制御し、また、流量が制御された希釈水と薬液を混合し、所望の流量および濃度の薬液を洗浄装置200への配管96、97、98へと出力する。
図2に示されるように、第2薬液希釈ボックス130は、第2薬液ユーティリティボックス60からの配管92に接続されている。第2薬液希釈ボックス130の内部で配管91は2本に分岐する。
【0039】
図9に示されるように、配管92から分岐した一方の配管には、第3薬液CLC131、第3混合器181、圧力計183、および薬液弁133が接続されており、薬液洗浄槽220への配管96に連結される。第3薬液CLC131は、第3混合器181へ供給する第2薬液の流量を調整する。また、第3薬液CLC131は、第3薬液CLC131に流れる薬液の流量を測定する流量計を備える。第3薬液CLC131は、この測定結果に基づいて、第3薬液CLC131内に流れる薬液の流量が所望の流量になるように、第3薬液CLC131の内部コントロールバルブ132の開度を調節(フィードバック制御)する。第2薬液希釈ボックス130において、第3薬液CLC131と第3混合器181との間には、開閉弁138を介して第2希釈水制御ボックス110aからの配管88が連結されている。第3混合器181には、第3薬液CLC131により所望の流量および濃度に調整された第2薬液と、第2希釈水制御ボックス110aの第3希釈水CLC141により所望の流量および濃度に調整された希釈水とが供給される。そのため、第3混合器181は、所望の濃度の薬液を生成することができる。第3混合器181により所望の濃度に調整された薬液を、薬液洗浄槽220に配置される第2上ノズル234から基板Wの上面に供給することができる。
【0040】
図9に示されるように、配管92から分岐した他方の配管には、第4薬液CLC134、第4混合器182、圧力計184、および薬液弁136、137が接続されており、薬液洗浄槽220への配管97、98に連結される。第4薬液CLC134は、第4混合器182へ供給する第2薬液の流量を調整する。また、第4薬液CLC134は、第4薬液CLC134に流れる薬液の流量を測定する流量計を備える。第4薬液CLC134は、この測定結果に基づいて、第4薬液CLC134内に流れる薬液の流量が所望の流量になるように、第4薬液CLC124の内部コントロールバルブ135の開度を調節(フィードバック制御)する。第2薬液希釈ボックス130において、第4薬液CLC134と第4混合器182との間には、開閉弁139を介して第2希釈水制御ボックス110aからの配管89が連結されている。第4混合器182には、第4薬液CLC134により所望の流量および濃度に調整された第2薬液と、第2希釈水制御ボックス110aの第4希釈水CLC141aにより所望の流量および濃度に調整された希釈水とが供給される。そのため、第4混合器182は、所望の濃度の薬液を生成することができる。第4混合器182により所望の濃度に調整された薬液を、薬液洗浄槽220に配置される第2下ノズル235から基板Wの下面に供給することができる。また、
図9に示されるように、第4混合器182の下流には分岐路が設けられており、薬液弁137を介して薬液を薬液洗浄槽220の待機部226へ供給することができる。
【0041】
制御装置150(
図2参照)は、例えば、洗浄薬液供給装置100に対して設けられる制御装置であってもよいし、洗浄モジュールに対して設けられる制御装置であってもよいし、洗浄モジュールが設けられる研磨装置等の基板処理装置に対して設けられる制御装置であってもよい。制御装置150は、マイクロコンピュータ、シーケンサー等のコンピュータまたは制御回路と、制御回路で実行されるプログラムを格納した記録媒体(揮発性、
不揮発性メモリ等)と、を備えている。プログラムには、洗浄薬液供給装置100及び洗浄装置200による薬液(希釈後の薬液)の供給、洗浄を実施するプログラムが含まれている。このプログラムに従って、洗浄薬液供給装置100及び洗浄装置200の各部が制御される。なお、上記プログラムは、制御装置150に着脱可能な記録媒体(CD、フラッシュメモリ等)に格納されてもよい。また、制御装置150が有線又は無線を介して読み込み可能な記録媒体に格納されてもよい。
【0042】
上述の実施形態においては、薬液洗浄槽220において、第1薬液および第2薬液の異なる種類の薬液を基板に供給して基板を洗浄することができる。基板の表面のパターンや、直前に基板に施された処理に適した薬液の種類を選択して基板を洗浄することができる。たとえば、第1薬液および第2薬液の一方をアルカリ性の薬液とし、他方を酸性の薬液とすることができる。
【0043】
また、上述の実施形態においては、基板の上面と下面とで異なる濃度の薬液を供給することができる。たとえは、基板の表面には濃度の大きな薬液を供給し、基板の裏面には濃度の小さな薬液を供給して基板の全体を洗浄することができる。また、上述の実施形態においては、基板への薬液の供給流量を任意に制御することができる。たとえば、基板の表面には大きな流量で薬液を供給し、基板の裏面には小さな流量で薬液を供給してもよい。また、基板の洗浄の途中で、薬液の濃度および/または流量を変更することもできる。たとえば、洗浄の初期においては薬液の濃度および/または流量を大きくし、洗浄が進むにつれて薬液の濃度および/または流量を小さくしていくように制御してもよい。
【0044】
なお、図示の実施形態においては、洗浄薬液供給装置100は、1つの洗浄装置200に洗浄薬液を供給するように構成されているが、他の実施形態として、洗浄薬液供給装置100を2つまたはそれ以上の洗浄装置200へ薬液を供給するように構成してもよい。複数の洗浄装置200に薬液を供給する場合、洗浄装置200の数に対応して上述の第1薬液ユーティリティボックス50、第2薬液ユーティリティボックス60、第1薬液希釈ボックス120、および第2薬液希釈ボックス130に相当する構成をそれぞれ設け、第1希釈水制御ボックス110および第2希釈水制御ボックス110aから分岐路を設けて、それぞれの第1薬液希釈ボックス120、および第2薬液希釈ボックス130に相当する構成に希釈水を供給するように構成することができる。
【0045】
以上、いくつかの例に基づいて本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0046】
上述の実施形態から少なくとも以下の技術的思想が把握される。
[形態1]形態1によれば、基板を洗浄するための薬液を洗浄装置に供給するための洗浄薬液供給装置が提供され、かかる洗浄薬液供給装置は、第1薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第1薬液を、洗浄装置において基板の第1位置に供給するための第1ノズルへ供給するための第1混合器と、第1薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第1薬液を、洗浄装置において基板の前記第1位置とは異なる第2位置に供給するための第2ノズルへ供給するための第2混合器と、前記第1混合器および前記第2混合器へ供給される希釈水の流量を制御するための、第1希釈水制御ボックスと、第1薬液とは異なる種類の第2薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第2薬液を、洗浄装置において基板の第3位置に供給するための第3ノズルへ供給する
ための第3混合器と、第2薬液と希釈水とを混合し、所望の流量及び濃度に調整した第2薬液を、洗浄装置において基板の前記第3位置とは異なる第4位置に供給するための第4ノズルへ供給するための第4混合器と、前記第3混合器および前記第4混合器へ供給される希釈水の流量を制御するための、第2希釈水制御ボックスと、を有する。
【0047】
[形態2]形態2によれば、形態1による洗浄薬液供給装置において、前記第1ノズルは、基板の上面に前記第1薬液を供給するように配置されており、前記第2ノズルは、基板の下面に前記第1薬液を供給するように配置されており、前記第3ノズルは、基板の上面に前記第2薬液を供給するように配置されており、前記第4ノズルは、基板の下面に前記第2薬液を供給するように配置されている。
【0048】
[形態3]形態3によれば、形態1または形態2による洗浄薬液供給装置において、前記第1混合器に供給される第1薬液の流量の流量を制御するための第1薬液CLCと、前記第1混合器に供給される希釈水の流量の流量を制御するための第1希釈水CLCと、前記第2混合器に供給される第1薬液の流量の流量を制御するための第2薬液CLCと、前記第2混合器に供給される希釈水の流量の流量を制御するための第2希釈水CLCと、前記第3混合器に供給される第2薬液の流量の流量を制御するための第3薬液CLCと、前記第3混合器に供給される希釈水の流量の流量を制御するための第3希釈水CLCと、前記第4混合器に供給される第2薬液の流量の流量を制御するための第4薬液CLCと、前記第4混合器に供給される希釈水の流量の流量を制御するための第4希釈水CLCと、を有する。
【0049】
[形態4]形態4によれば、形態1から形態3のいずれか1つの形態による洗浄薬液供給装置において、前記第1薬液および前記第2薬液の一方はアルカリ性の薬液であり、他方は酸性の薬液である。
【0050】
[形態5]形態5によれば、基板を洗浄するための薬液を洗浄装置に供給するための洗浄薬液供給方法が提供され、かかる方法は、第1薬液および希釈水の流量を制御しながら第1混合器に供給する工程と、第1混合器から基板の第1位置に第1薬液を供給する工程と、第1薬液および希釈水の流量を制御しながら第2混合器に供給する工程と、第2混合器から基板の前記第1位置とは異なる第2位置に第1薬液を供給する工程と、第2薬液および希釈水の流量を制御しながら第3混合器に供給する工程と、第3混合器から基板の第3位置に第2薬液を供給する工程と、第2薬液および希釈水の流量を制御しながら第4混合器に供給する工程と、第4混合器から基板の前記第3位置とは異なる第4位置に第2薬液を供給する工程と、を有する。
【0051】
[形態6]形態6によれば、形態5による洗浄薬液供給方法において、前記基板の第1位置は、基板の上面であり、前記基板の第2位置は、基板の下面であり、前記基板の第3位置は、基板の上面であり、前記基板の第4位置は、基板の下面である。
【0052】
[形態7]形態7によれば、形態5または形態6による洗浄薬液供給方法において、前記第1混合器への第1薬液および希釈水の流量の制御は、前記第1混合器へ供給される第1薬液および希釈水のそれぞれの流量に基づいてフィードバック制御を行い、前記第2混合器への第1薬液および希釈水の流量の制御は、前記第2混合器へ供給される第1薬液および希釈水のそれぞれの流量に基づいてフィードバック制御を行い、前記第3混合器への第2薬液および希釈水の流量の制御は、前記第3混合器へ供給される第2薬液および希釈水のそれぞれの流量に基づいてフィードバック制御を行い、前記第4混合器への第2薬液および希釈水の流量の制御は、前記第4混合器へ供給される第2薬液および希釈水のそれぞれの流量に基づいてフィードバック制御を行う。
【0053】
[形態8]形態8によれば、形態5から形態7のいずれか1つの形態の洗浄薬液供給方法において、以下の(1)~(4)の工程:(1)第1薬液および希釈水の流量を制御しながら第1混合器に供給する工程は、基板の洗浄の初期においては、第1混合器から基板の第1位置に供給される第1薬液の濃度および/または流量が相対的に大きくなるように制御され、(2)第1薬液および希釈水の流量を制御しながら第2混合器に供給する工程は、基板の洗浄の初期においては、第2混合器から基板の第2位置に供給される第1薬液の濃度および/または流量が相対的に大きくなるように制御され、(3)第2薬液および希釈水の流量を制御しながら第3混合器に供給する工程は、基板の洗浄の初期においては、第3混合器から基板の第3位置に供給される第2薬液の濃度および/または流量が相対的に大きくなるように制御され、(4)第2薬液および希釈水の流量を制御しながら第4混合器に供給する工程は、基板の洗浄の初期においては、第4混合器から基板の第4位置に供給される第2薬液の濃度および/または流量が相対的に大きくなるように制御され、の少なくとも1つを有する。
【0054】
[形態9]形態9によれば、形態5から形態8のいずれか1つの形態による洗浄薬液供給方法において、前記第1薬液および前記第2薬液の一方はアルカリ性の薬液であり、他方は酸性の薬液である。
【符号の説明】
【0055】
20…第1薬液供給源
21…第2薬液供給源
30…DIW供給源
50…第1薬液ユーティリティボックス
60…第2薬液ユーティリティボックス
100…洗浄薬液供給装置
110…第1希釈水制御ボックス
110a…第2希釈水制御ボックス
120…第1薬液希釈ボックス
130…第2薬液希釈ボックス
150…制御装置
171…第1混合器
172…第2混合器
181…第3混合器
182…第4混合器
200…洗浄装置
210…DIW洗浄部
220…薬液洗浄槽
224…第1上ノズル
225…第1下ノズル
226…待機部
234…第2上ノズル
235…第2下ノズル
W…基板