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特許7419683動作管理装置、動作管理方法、動作管理プログラム及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】動作管理装置、動作管理方法、動作管理プログラム及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240116BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H04N1/00 002
B41J29/38
H04N1/00 885
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019123955
(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公開番号】P2021010141
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】中山 麻里
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】武井 一史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼根 俊章
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 一哲
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135556(JP,A)
【文献】特開2019-008423(JP,A)
【文献】特開2007-286859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置の動作を管理する動作管理装置であって、
第一制御部と、当該第一制御部と異なる第二制御部と、を含み、
前記第一制御部と前記第二制御部の連携により、前記処理装置を待機状態又は休眠状態で動作させるように制御し、
前記第一制御部は、
前記第二制御部が異常状態を検知したときに通知する復帰要求に基づき、当該第二制御部に維持されている情報であって、異常状態に至るまでの動作状況を解析可能な動作履歴情報を抽出して記憶領域に格納させるログ抽出格納処理部を有し、
前記第二制御部は、
前記第一制御部との連携により前記処理装置を休眠状態で動作させるときに、自己の待機状態を維持して前記動作履歴情報を維持し、
前記自己の待機状態における自己の動作を監視する動作監視部と、
前記自己の待機状態における自己の動作の異常を検知したときに前記第一制御部に対して前記復帰要求を通知する復帰要求処理部と、を有することを特徴とする動作管理装置。
【請求項2】
前記第二制御部は、前記待機状態において前記動作履歴情報を記憶する動作履歴情報記憶部を有する、
請求項1に記載の動作管理装置。
【請求項3】
前記第二制御部は、前記第一制御部とのデータ通信に用いられる通信バスを起動させるバス起動部を有し、
前記バス起動部は、前記復帰要求に基づいて前記通信バスを再起動させて前記第一制御部とのデータ通信を可能にする、
請求項1又は2に記載の動作管理装置。
【請求項4】
前記処理装置への動作電力の供給を制御する電力供給制御部をさらに有し、
前記第一制御部は、動作履歴情報の格納後に前記電力供給制御部に対して再起動要求を通知する再起動処理部を有する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の動作管理装置。
【請求項5】
前記電力供給制御部は、前記再起動要求に応じて前記第一制御部と前記第二制御部を再起動させる、
請求項4に記載の動作管理装置。
【請求項6】
前記動作監視部は、前記第二制御部が正常であれば定期的に処理が実行されるタイマー処理を含み、
前記復帰要求処理部は前記タイマー処理が停止したときに前記復帰要求を通知する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の動作管理装置。
【請求項7】
第一制御部と当該第一制御部と異なる第二制御部とを含み、当該第一制御部と第二制御部の連携により、待機状態又は休眠状態で動作するように制御される処理装置の動作を管理する動作管理方法であって、
前記第一制御部において、
前記第二制御部が異常状態を検知したときに通知する復帰要求に基づき、当該第二制御部に維持されている情報であって、異常状態に至るまでの動作状況を解析可能な動作履歴情報を抽出し、
前記動作履歴情報を記憶領域に格納させ、
前記第二制御部において、
前記第一制御部との連携により前記処理装置を休眠状態で動作させるときに、自己の待機状態を維持して前記動作履歴情報を維持し、
前記自己の待機状態における自己の動作を監視し、
前記自己の待機状態における自己の動作の異常を検知したときに前記第一制御部に対して前記復帰要求を通知する、
ことを特徴とする動作管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
第一制御部と当該第一制御部と異なる第二制御部とを含み、当該第一制御部及び第二制御部の連携により、待機状態又は休眠状態で動作するように制御される処理装置の動作を管理する動作管理装置として動作させる動作管理プログラムであって、
前記第一制御部が、前記第二制御部が異常状態を検知したときに通知する復帰要求に基づき、当該第二制御部に維持されている情報であって、異常状態に至るまでの動作状況を解析可能な動作履歴情報を抽出するステップと、
前記第一制御部が抽出した動作履歴情報を不揮発性記憶媒体に格納させステップと、
前記第二制御部が、前記第一制御部と連携して前記処理装置を休眠状態で動作させるときに、自己の待機状態を維持して前記動作履歴情報を維持するステップと、
前記第二制御部が前記自己の待機状態における自己の動作を監視するステップと、
前記第二制御部が前記自己の待機における自己の動作の異常を検知したときに前記第一制御部に対して前記復帰要求を通知するステップと、
前記動作履歴情報を格納するステップと、
を備えることを特徴とする動作管理プログラム。
【請求項9】
少なくとも記録媒体に画像を形成して出力する画像形成部と、前記画像形成部の動作を管理する動作管理装置と、を含む画像形成装置であって、
前記動作管理装置が請求項1乃至6のいずれか一項に記載の動作管理装置であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作管理装置、動作管理方法、動作管理プログラム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、複写装置、ファクシミリ装置を含んで構成される複合的な処理装置としての画像形成装置が知られている。画像形成装置には、装置全体の動作の制御や、所定の機能の実行を制御するに種々の構成の動作を管理する動作管理装置が搭載される。この動作管理装置は消費電力を低減させることを目的する動作モードで画像形成装置全体の動作を制御する機能を備える。画像形成装置に含まれる構成の動作を一次的に休眠状態にすることで消費電力の低減を図るSTR(Suspend to RAM)モードが知られている。
【0003】
STRモードは、例えば画像形成装置の主要な構成の動作を一時的に停止させて消費電力を抑える「サスペンドモード」の形態の一つである。画像形成装置におけるSTRモードでは、外部入力を受け付ける操作パネルや通信インタフェース以外の構成に供給される電力を停止する。また、画像形成装置におけるSTRモードでは、電力供給を停止する前に、当該装置の動作状態が記録されたデータを、不揮発性記憶媒体に退避させておく処理を実行する。
【0004】
画像形成装置に搭載される動作管理装置には、ユーザからの復帰トリガを検知するセンサ等の動作をメインCPUとは異なるサブCPUに制御させて、STRモード中もサブCPUへの電力供給は継続し、STRモードからの復帰の高速化を図るものがある。この場合、サブCPUがSTRモード中に暴走すると、STRモード時には電力供給を停止する対象であるはずのセンサ等に対して電力の供給が継続するなど、省電力効果を低減させることになる。また、サブCPUがSTRモード中に暴走した場合、動作を正常に戻すためには再起動する必要がある。再起動するとSTRモードへの退避させておいたデータを、STRモードからの復帰時に正常に利用できず、メインCPUで制御する機能が正常に動作しない状態になることもあり得る。
【0005】
そこで、STRモードの移行する前に光学系の補正動作が必要か否かを判断するためのエンジン高速起動用情報等のデータを不揮発性記憶媒体に記憶させておき、STRモード中のサブCPUの暴走を検知した場合は、メインCPU含むシステムの再起動をさせる画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
暴走時のCPUの動作履歴(ログ)や、データ保持情報(フラグ情報やレジスタ情報)などは、画像形成装置の品質向上や不具合抽出において有効なデータである。特許文献1に開示されている技術では、サブCPUを暴走から復帰させるために再起動するためにメインCPUも再起動させる場合、再起動後に特定のレジスタ情報等を不揮発性記憶媒体から読み出せるようにしておくことができる。
【0007】
一方、特許文献1に開示されている技術のような従来技術では、再起動後に少量のデータ(レジスタ情報やフラグ情報など)を再起動後に読み出すことはできても、サブCPUが暴走前にどのような動作をしていたかが記録されている動作履歴情報(ログ情報)のようなデータ量が大きいものは、退避させることができず、再起動後の再利用ができない。仮に、従来技術を用いて再起動後にログ情報などの多量のデータを再利用可能な状態にしておくには、記憶容量が大きく、かつ、不揮発性記憶媒体を備える外部記憶装置を用いる必要が生じ、装置全体のコストが増大する、という課題がある。
【0008】
本発明は、STRモード中にサブCPUが暴走しても動作履歴情報を抽出できる動作管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、処理装置の動作を管理する動作管理装置であって、第一制御部と、当該第一制御部と異なる第二制御部と、を含み、前記第一制御部と前記第二制御部の連携により、前記処理装置を待機状態又は休眠状態で動作させるように制御し、前記第一制御部は、前記第二制御部が異常状態を検知したときに通知する復帰要求に基づき、当該第二制御部に維持されている情報であって、異常状態に至るまでの動作状況を解析可能な動作履歴情報を抽出して記憶領域に格納させるログ抽出格納処理部を有し、前記第二制御部は、前記第一制御部との連携により前記処理装置を休眠状態で動作させるときに、自己の待機状態を維持して前記動作履歴情報を維持し、前記自己の待機状態における自己の動作を監視する動作監視部と、前記自己の待機状態における自己の動作の異常を検知したときに前記第一制御部に対して前記復帰要求を通知する復帰要求処理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、STRモード中にサブCPUが暴走しても動作履歴情報を抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態を概略的に示すブロック図。
図2】上記画像形成装置におけるSTRモード時の状態を説明する図。
図3】本発明に係る動作管理装置の機能構成を示す機能ブロック図。
図4】上記動作管理装置におけるSTRモード時の状態を説明する図。
図5】上記動作管理装置の動作の流れを例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[画像形成装置のハードウェア構成]
まず、本発明に係る画像形成装置の構成について概略的に説明する。図1は、画像形成装置の実施形態であるMFP(Multi-Function Peripheral)1の機能構成を例示している。図1に示すようにMFP1は、一般的なコンピュータと同様の構成に加えて、画像形成処理の一例である印刷処理を実行するプリンタユニット92と、画像読取処理を実行するスキャンユニット91も備えている。
【0013】
すなわち、MFP1は、制御装置を構成するCPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40、操作表示パネル50、ネットワークI/F(Interface)60、スキャンユニット91、プリンタユニット92を備えている。
【0014】
CPU10は後述する制御装置を構成する演算手段であり、MFP1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。画像処理部13は、MFP1において実際に画像形成を実行するために動作する構成を含む。
【0015】
HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。また、HDD40は、制御装置であるCPU10を含む画像形成装置の動作状態を示すフラグ情報や、動作履歴を含むログ情報の格納先としても機能する。
【0016】
操作表示パネル50は、ユーザがMFP1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースと、ユーザがMFP1に対して動作指示を与える入力インタフェースである。操作表示パネル50は、ユーザが表示画面に接触することで指示入力を受け付けることができるタッチインタフェースでもある。
【0017】
ネットワークI/F60は、システムバス70と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。
【0018】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るMFP1の機能を実現する機能ブロックが構成される。なお、本実施形態に係るMFP1の構成は、これに限定されるものではなく、以下において説明する機能構成を実現できるものであればよい。
【0019】
[CPU10の詳細機能構成]
次に、MFP1が備えるCPU10の詳細な構成について説明する。MFP1は、全体の動作の制御を担うCPU10の動作制御機能を中心として、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)911、スキャンユニット91、原稿排出トレイ912、操作表示パネル50、給紙テーブル921、プリンタユニット92、排紙トレイ922、RAM20、ROM30、HDD40、ネットワークI/F60を有する。
【0020】
CPU10には、メインCPUを構成する第一制御部である主制御部11と、サブCPUを構成する第二制御部である副制御部12と、MFP1の構成全体への動作電力の供給を制御するPMC17が含まれる。主制御部11と副制御部12にはそれぞれ、不揮発性記憶領域と揮発性記憶領域が備わっている。主制御部11は、副制御部12が主要な構成の動作を制御する。副制御部12は、ASIC(Application Specific Intergrated Circuit)であって、主制御部11が動作を制御する構成以外の構成を制御する。
【0021】
副制御部12が制御する機能の一部は、ハードウェア回路によって実現されている。したがって、副制御部12の動作を司る制御プログラムの処理が何らかの原因で異常を起こし、正常な処理ができない状態(いわゆる、「暴走」)になっても、ハードウェア回路で実現されている機能は動作させることができる。
【0022】
PMC17は、後述するように、STRモード時においては、副制御部12以外への動作電力の供給を停止する電力供給制御部に相当する。
【0023】
CPU10には、主制御部11及び副制御部12、およびPMC17の他にも、画像処理部13、エンジン制御部14、操作表示制御部15及び入出力制御部16が含まれる。なお、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、記録媒体の流れを破線の矢印で示している。
【0024】
操作表示パネル50は、MFP1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザがMFP1を直接操作し若しくはMFP1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。ネットワークI/F60は、MFP1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0025】
画像処理部13は、主制御部11の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリンタユニット92が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによってMFP1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部15は、操作表示パネル50に情報表示を行い若しくは操作表示パネル50を介して入力された情報を主制御部11に通知する。
【0026】
エンジン制御部14は、プリンタユニット92やスキャンユニット91等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部16は、ネットワークI/F60を介して入力される信号や命令を主制御部11に入力する。また、主制御部11は、入出力制御部16を制御し、ネットワークI/F60を介して他の機器にアクセスする。
【0027】
PMC17は、MFP1への動作電力の供給を制御するマイコンであって、ユーザによる主電源スイッチ押下を監視し、システム全体の動作電源をオン-オフする機能を備える。PMC17は、電源回路への制御信号を送出して、MFP1の動作を再起動させる機能を備える。
【0028】
MFP1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部16がネットワークI/F60を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部16は、受信した印刷ジョブを主制御部11に転送する。主制御部11は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部13を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0029】
画像処理部13によって描画情報が生成されると、エンジン制御部14は、生成された描画情報に基づいてプリンタユニット92を制御し、給紙テーブル921から搬送される記録媒体に対して画像形成を実行する。即ち、プリンタユニット92が画像形成部として機能する。プリンタユニット92によって画像形成が施された記録媒体は排紙トレイ922に排出される。
【0030】
画像処理部13によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され、若しくは入出力制御部16及びネットワークI/F60を介して外部の装置に送信される。ADF911及びエンジン制御部14が画像入力部として機能する。
【0031】
また、MFP1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部14がスキャンユニット91から受信した撮像情報若しくは画像処理部13が生成した画像情報に基づき、画像処理部13が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部14がプリンタユニット92を駆動する。
【0032】
ここで、図1に示したMFP1がSTR(Suspend to RAM)モードに移行した状態について図2を用いて説明する。STRモードは、外部からの入力が検知されるまでMFP1の主要な動作を停止させて消費電力を低減させた状態で一定の動作は継続できるようにする動作モードである。なお、図1に示した状態は、MFP1が外部からの動作指示を待っている「待機状態(スタンバイ状態)であって、この状態のMFP1には、動作電力が供給されている。したがって、スタンバイ状態のMFP1は、主要な動作指示に対して即時的に応答することができる状態である。
【0033】
図1に例示したスタンバイ状態から、消費電力を低減させた上で、動作指示に対する応答性も確保できる動作モードである「STRモード」に移行したMFP1の例を図2に示す。図2において、網掛けが付されている構成は、MFP1がSTRモードに移行したときに動作電力の供給が停止される構成である。すなわち、STRモードに移行したときは、副制御部12以外の構成に対する動作電力の供給は、PMC17の制御によって停止される。すなわち、STRモード時のMFP1は、CPU10に含まれる副制御部12と、PMC17のみが動作を継続し、それ以外に構成への動作電力の供給は停止されて動作停止状態になる。
【0034】
[動作管理装置の第一実施形態]
次に、本発明に係る動作管理装置の実施形態である動作監視装置100について図3を用いて説明する。動作監視装置100は、主制御部11と復帰処理部111及びPMC17を含む。主制御部11には、復帰処理部111、ログ抽出格納処理部112、再起動処理部113、復帰フラグ処理部114、再起動情報記憶部115が含まれる。副制御部12には、動作監視部121、復帰要求処理部122、揮発性記憶部123、バス起動部124、再起動情報記憶部125、復帰フラグ送出部126が含まれる。
【0035】
復帰処理部111は、副制御部12から復帰信号を受け取ったときに、ログ抽出格納処理部112と再起動処理部113を起動する。
【0036】
ログ抽出格納処理部112は、復帰処理部111からに基づいて、データバスを介して制御部120の揮発性記憶部123に格納されている副制御部12の動作履歴情報(ログ情報)を抽出し、HDD40などの不揮発性記憶媒体に格納する。ログ情報には、副制御部12が暴走するまでの動作状況が記録されているので、再起動後に、副制御部12の暴走までの動作状況を解析できる状態にできる。
【0037】
再起動処理部113は、復帰処理部111からの通知に基づいて、PMC17に対して再起動要求(リブート要求)を通知する。PMC17は、リブート要求に基づいて、主制御部11と副制御部12を再起動させる。
【0038】
復帰フラグ処理部114は、副制御部12が再起動し、正常な動作状態になったことを示す「復帰フラグ」を復帰フラグ送出部126から受け取り、主制御部11において副制御部12の動作が正常であることを示す復帰フラグを立てる。
【0039】
再起動情報記憶部115は、主制御部11が再起動するときの処理を制御するためのプログラムが格納されている不揮発性記憶領域である。再起動情報記憶部115に記憶されているプログラムは、いわゆる「ブートプログラム」である。
【0040】
副制御部12には、動作監視部121、復帰要求処理部122、揮発性記憶部123、バス起動部124、再起動情報記憶部125、復帰フラグ送出部126が含まれる。
【0041】
動作監視部121は、副制御部12の動作が正常であれば定期的に処理が実行されるタイマー処理(ウォッチドックタイマー)の動作有無を監視する。動作監視部121は、ASICに組み込まれたハードウェア構成であって、副制御部12で動作するプログラム(ソフトウェア)が異常になったときでも動作を継続する。動作監視部121は、ウォッチドックタイマー処理が実行されなったことをもって、副制御部12の動作が暴走したことを検知し、その旨を復帰要求処理部122とバス起動部124に通知する。
【0042】
復帰要求処理部122は、動作監視部121からの通知に基づいて、主制御部11に対して復帰信号を送出する。復帰要求処理部122も、動作監視部121と同様、ASICに組み込まれたハードウェア構成である。すなわち、復帰要求処理部122も、副制御部12で動作するプログラム(ソフトウェア)が暴走しても動作を継続することができる。
【0043】
揮発性記憶部123は、副制御部12の動作状態を記録するログ情報を格納する動作履歴情報記憶部に相当する。揮発性記憶部123は、主制御部11の処理によって、主制御部11にログ情報を抽出される記憶領域である。
【0044】
バス起動部124は、動作監視部121からの通知に基づいて、主制御部11との間でデータ通信を可能にするための通信バス(データバス)を起動させる。バス起動部124も、動作監視部121と同様、ASICに組み込まれたハードウェア構成である。すなわち、バス起動部124も、副制御部12で動作するプログラム(ソフトウェア)が暴走しても動作を継続することができる。バス起動部124によって起動されるデータバスは、例えば、PCIe(PCI Express)規格であって、主制御部11のログ抽出格納処理部112が副制御部12の揮発性記憶部123からログ情報を抽出するときに使用される。
【0045】
再起動情報記憶部125は、PMC17による再起動時に副制御部12の再起動処理を実行するための制御プログラムが格納される。
【0046】
復帰フラグ送出部126は、副制御部12が再起動した後、「ウォッチドックタイマー」が正常に動作したときに、主制御部11に対して「復帰フラグ」を送出する。
【0047】
ここで、図3に示した制御装置の実施形態である主制御部11と副制御部12のSTRモード時の状態について、図4を用いて説明する。まず、MFP1がスタンバイ状態のとき、CPU10への動作電力は供給されているので、主制御部11、副制御部12、PMC17はいずれも、動作電力が供給されていて、全ての機能が使用できる状態になっている。
【0048】
MFP1がSTRモードへ移行したとき、CPU10への電力供給は停止するが、その中でも副制御部12に対する電力供給は継続される。なお、主制御部11が動作に用いるデータを格納する記憶媒体は、データが消失しないようにセルフリフレッシュ状態になる。
【0049】
また副制御部12には、ハードウェア回路で構成される動作監視部121、復帰要求処理部122、バス起動部124を備える。これらの構成は、副制御部12におけるソフトウェア処理が暴走して処理が異常になっても所定の動作を行うことができるように構成されている。また、MFP1がSTRモードに移行しても副制御部12への動作電力の供給は継続されていて動作するので、副制御部12が制御するMFP1の一部の機能(ネットワーク応答制御や、外部からの通知受付)は動作している。MFP1は、これらの機能が動作していることで主制御部11を復帰させることができるように構成されている。
【0050】
また、STRモード時において、主制御部11と副制御部12の間のデータバスは動作を停止するので、上述のように、副制御部12の暴走時の再起動までにログ情報を抽出するために、データバスの再起動が必要となる。
【0051】
なお、PMC17は、STRモードになっても動作を継続し、全ての機能が使用できる。
【0052】
[動作管理装置の動作の流れ]
以下、主制御部11と副制御部12の動作の流れについて、図5のシーケンス図を用いて説明する。MFP1がスリープ状態に移行すると(S501)、主制御部11への動作電力の供給が停止する(S502)。以降、副制御部12は、動作監視部121が副制御部12の動作を継続的に監視し、異常(暴走)が生ずるまでは処理をループする(S503/NO)。なお、STRモード中にMFP1に対して外部からの入力(画像形成要求の受信、操作表示パネル50への操作入力など)があると、MFP1はSTRモードから復帰して通常の動作状態に移行する。
【0053】
動作監視部121が、ウォッチドックタイマーを検出しなくなったとき、すなわち、副制御部12が暴走したとき(S503/YES)、ハードウェア回路で構成される動作監視部121が動作する。この動作監視部121が、同じくハードウェア回路で構成される復帰要求処理部122に対して暴走を検知したことを通知する。また、同じく、ハードウェア回路で構成されるバス起動部124にも同様の通知がなされる。この通知によって、復帰要求処理部122から主制御部11の復帰処理部111に対して復帰信号が送出される(S504)。
【0054】
続いて、バス起動部124は、動作監視部121からの通知に基づいて、主制御部11とのデータバスであるPCIeインタフェースの電源をオンにする(S505)。
【0055】
主制御部11は、復帰信号を受け取ったとき(S506)、副制御部12の間のデータバスを使用可能にし(S507)、このデータバスを介して、副制御部12の揮発性記憶部123に格納されているログ情報を抽出する(S508)。
【0056】
主制御部11は、抽出したログ情報をHDD40等の不揮発性記憶媒体に格納する(S509)。
【0057】
続いて、主制御部11は、PMC17に対してリブート要求を通知する(S510)。これによって、主制御部11と副制御部12は再起動をする(S511)。
【0058】
再起動した副制御部12は、主制御部11に対して、処理が復帰してウォッチドックタイマーの発生を検知したことを示す通知する復帰フラグを通知する(S512)。主制御部11は、復帰フラグに基づいて、ウォッチドックタイマーが発生したことを示すフラグを立てる(S513)。
【0059】
なお、S504によって副制御部12から主制御部11に復帰信号が通知されたとき、主制御部11が操作表示制御部15を介して操作表示パネル50に対して、副制御部12が暴走したことを知らせる表示をさせてもよい。
【0060】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る主制御部11と副制御部12によれば、STRモード時に副制御部12が暴走したとき、ハードウェアで構成されている復帰要求処理ロジック等によって、主制御部11に対して復帰処理を要求できる。これによって、副制御部12を再起動する前に、暴走前までのログ情報を主制御部11が抽出することができる。また、副制御部12に外部記憶装置を直接接続するなどの大がかりな構成を用いることなく、副制御部12のログ情報を抽出して格納できる。
【0061】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 :MFP
10 :CPU
11 :主制御部
12 :副制御部
13 :画像処理部
14 :エンジン制御部
15 :操作表示制御部
16 :入出力制御部
17 :PMC
20 :RAM
30 :ROM
40 :HDD
50 :操作表示パネル
60 :ネットワークI/F
70 :システムバス
91 :スキャンユニット
92 :プリンタユニット
100 :動作監視装置
111 :復帰処理部
112 :ログ抽出格納処理部
113 :再起動処理部
114 :復帰フラグ処理部
115 :再起動情報記憶部
120 :制御部
121 :動作監視部
122 :復帰要求処理部
123 :揮発性記憶部
124 :バス起動部
125 :再起動情報記憶部
126 :復帰フラグ送出部
912 :原稿排出トレイ
921 :給紙テーブル
922 :排紙トレイ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【文献】特開2008-131603号公報
図1
図2
図3
図4
図5