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特許7419828ローラユニット、ベルト装置、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ローラユニット、ベルト装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240116BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20240116BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240116BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240116BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G03G21/16 180
G03G21/16 195
G03G21/16 185
G03G21/16 171
G03G21/16 165
G03G15/02 101
G03G15/16
G03G15/00 654
G03G15/20 515
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020005803
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113867
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優
(72)【発明者】
【氏名】小暮 成一
(72)【発明者】
【氏名】中本 篤
(72)【発明者】
【氏名】濱田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】秋山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】青木 悠貴
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-194472(JP,A)
【文献】特開平10-283560(JP,A)
【文献】実開昭62-069058(JP,U)
【文献】特開平11-174763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0217528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/02
G03G 15/16
G03G 15/00
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ部材と、
前記ローラ部材を回転可能に保持するアーム部材と、
前記アーム部材を搖動可能に保持する保持部材と、
一端側の第1フック部が前記アーム部材のアーム部材側引掛部に引っ掛けられて、前記第1フック部に対して鉛直方向下方に位置する他端側の第2フック部が前記保持部材の保持部材側引掛部に引っ掛けられる引張スプリングと、
前記引張スプリングの前記第2フック部の前記保持部材側引掛部に対する引っ掛けが解除された状態において、前記第1フック部が前記アーム部材側引掛部から外れたと仮定したときに前記引張スプリングが移動軌跡を描いて脱落しそうになっても、前記引張スプリングに干渉して脱落が生じないようにする制限部材と、
を備え、
前記制限部材は、前記保持部材に片持ち支持されたシート状可撓性部材であって、前記解除がされたときに、その自由端側が前記引張スプリングに当接可能な位置に形成されたことを特徴とするローラユニット。
【請求項2】
引張スプリングの前記第1フック部が前記アーム部材の前記アーム部材側引掛部に引っ掛けられ、かつ、前記第2フック部が前記保持部材の前記保持部材側引掛部に引っ掛けられた状態で、前記シート状可撓性部材の自由端側が前記引張スプリングに接触しない位置に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のローラユニット。
【請求項3】
前記制限部材は、前記第2フック部の前記保持部材側引掛部に対する引っ掛けが解除された状態において、前記第1フック部が前記アーム部材側引掛部から外れたと仮定したときに前記引張スプリングが描く前記移動軌跡に重なる位置に配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のローラユニット。
【請求項4】
前記制限部材は、前記第2フック部よりも前記第1フック部に近い側に配置されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のローラユニット。
【請求項5】
前記引張スプリングは、前記第2フック部からさらに前記他端側の端部に延在する位置に把持部を具備したことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のローラユニット。
【請求項6】
前記保持部材は、一対の前記アーム部材をそれぞれ搖動可能に保持する一対の側板と、前記一対の側板の間に設けられたステーと、を具備し、
前記制限部材は、前記ステーに設置されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載のローラユニット。
【請求項7】
前記ステーは、前記アーム部材の搖動範囲を制限することを特徴とする請求項6に記載のローラユニット。
【請求項8】
前記制限部材は、前記引張スプリングに面接触可能に形成されたことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載のローラユニット。
【請求項9】
所定方向に走行するベルト部材を備えて、請求項1~請求項8のいずれかに記載のローラユニットが着脱可能に設置されたベルト装置であって、
前記ローラ部材は、前記ベルト部材にテンションを与えるテンションローラであることを特徴とするベルト装置。
【請求項10】
請求項9に記載のベルト装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1~請求項8のいずれかに記載のローラユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テンションローラなどのローラ部材が設置されたローラユニットと、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、感光体ベルト、定着ベルト等のベルト部材が所定方向に走行されるベルト装置と、それらを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、中間転写ベルトなどのベルト部材にテンションを与えるテンションローラを設置する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1、2において、中間転写ベルトは複数のローラ部材によって張架・支持されている。そして、それらの複数のローラ部材のうち、少なくとも1つのローラ部材は、スプリングなどの付勢部材によって、中間転写ベルトにテンションを与える方向に付勢されている。このような構成により、中間転写ベルトは、弛むことなく、テンションローラによって所望のテンションが与えられた状態で良好に走行することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術は、装置のメンテナンス性を向上させるために、テンションローラ等のローラ部材をローラユニットとしてユニット化した場合に、装置からローラユニットを取り外すときなどに、ローラ部材を付勢するための引張スプリングがローラユニットから脱落してしまう不具合が生じてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ローラ部材を付勢するための引張スプリングが脱落してしまう不具合が生じにくい、ローラユニット、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるローラユニットは、ローラ部材と、前記ローラ部材を回転可能に保持するアーム部材と、前記アーム部材を搖動可能に保持する保持部材と、一端側の第1フック部が前記アーム部材のアーム部材側引掛部に引っ掛けられて、前記第1フック部に対して鉛直方向下方に位置する他端側の第2フック部が前記保持部材の保持部材側引掛部に引っ掛けられる引張スプリングと、前記引張スプリングの前記第2フック部の前記保持部材側引掛部に対する引っ掛けが解除された状態において、前記第1フック部が前記アーム部材側引掛部から外れたと仮定したときに前記引張スプリングが移動軌跡を描いて脱落しそうになっても、前記引張スプリングに干渉して脱落が生じないようにする制限部材と、を備え、前記制限部材は、前記保持部材に片持ち支持されたシート状可撓性部材であって、前記解除がされたときに、その自由端側が前記引張スプリングに当接可能な位置に形成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ローラ部材を付勢するための引張スプリングが脱落してしまう不具合が生じにくい、ローラユニット、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部の一部を拡大して示す構成図である。
図3】中間転写ベルト装置を示す構成図である。
図4】ローラユニットを示す構成図である。
図5】ローラユニットを示す上面図である。
図6】ローラユニットの一部を示す斜視図である。
図7】ローラユニットから引張スプリングを取り外す動作を示す斜視図である。
図8】変形例1としての、ローラユニットを示す構成図である。
図9図8のローラユニットを示す上面図である。
図10】変形例2としての、ローラユニットを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、ベルト装置としての中間転写ベルト装置8が設置されている。また、中間転写ベルト装置8の中間転写ベルト10(ベルト部材)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Y(感光体)と、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、モータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト10(ベルト部材)及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト10上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト10上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト10上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、ベルト装置としての中間転写ベルト装置8は、図3を参照して、ベルト部材としての中間転写ベルト10、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ11、従動ローラ12、2次転写対向ローラ14、テンションローラ15、クリーニング対向ローラ13、中間転写クリーニング部30、2次転写ローラ40、等で構成される。中間転写ベルト10は、複数のローラ部材11~15によって張架・支持されるとともに、駆動モータによる1つのローラ部材(駆動ローラ11)の回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト10を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト10は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト10上に重ねて1次転写される。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト10は、2次転写ローラ40との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ14が、2次転写ローラ40との間に中間転写ベルト10を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト10上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に2次転写される。このとき、中間転写ベルト10には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、中間転写ベルト10は、中間転写クリーニング部30の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト10上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト10上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙部26には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト10上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着部45の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、図2にて、作像部における現像部5Y(現像装置)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0025】
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像部5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0026】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0027】
次に、図3を用いて、本実施の形態における中間転写ベルト装置8(ベルト装置)について詳述する。
図3を参照して、ベルト装置としての中間転写ベルト装置8は、ベルト部材としての中間転写ベルト10、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ11、従動ローラ12、2次転写対向ローラ14、テンションローラ15、クリーニング対向ローラ13、中間転写クリーニング部30、2次転写ローラ40、等で構成される。
【0028】
中間転写ベルト10(ベルト部材)は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向するように配設されている。中間転写ベルト10は、主として5つのローラ部材(駆動ローラ11、従動ローラ12、2次転写対向ローラ14、テンションローラ15、クリーニング対向ローラ13、である。)によって張架・支持されている。
【0029】
本実施の形態において、中間転写ベルト10は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたものである。中間転写ベルト10は、体積抵抗率が106~1013Ωcm、ベルト裏面側の表面抵抗率が107~1013Ωcmの範囲となるように調整されている。また、中間転写ベルト10は、厚さが20~200μmの範囲となるように設定されている。本実施の形態では、中間転写ベルト10の厚さが60μm程度に、体積抵抗率が109Ωcm程度に、設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト10の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト10の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。また、上述した中間転写ベルト10の体積抵抗率は、「ハイレスターUP MCP HT45」(三菱化学社製)を用いて印加電圧100Vの条件にて測定したものである。
【0030】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト10を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向している。詳しくは、イエロー用の転写ローラ9Yは中間転写ベルト10を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに対向し、マゼンタ用の転写ローラ9Mは中間転写ベルト10を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに対向し、シアン用の転写ローラ9Cは中間転写ベルト10を介してシアン用の感光体ドラム1Cに対向し、ブラック用(黒色用)の転写ローラ9Kは中間転写ベルト10を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに対向している。1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、芯金上に、導電性スポンジ層が形成された弾性ローラであって、体積抵抗が106~1012Ω(好ましくは、107~109Ω)の範囲となるように調整されている。
【0031】
駆動ローラ11は、制御部によって制御される駆動モータによって回転駆動される。これにより、中間転写ベルト10は所定方向(図3の時計方向である。)に走行することになる。
テンションローラ15は、芯金上に弾性層が形成されたローラ部材であって、中間転写ベルト10の外周面に当接している。従動ローラ12は、中間転写ベルト10の内周面に当接している。2次転写対向ローラ14とテンションローラ15との間には、中間転写ベルト10を介してクリーニング対向ローラ13に対向するように中間転写クリーニング部30(クリーニングブレード)が設置されている。これらのローラ部材12~15は、それぞれ、中間転写ベルト10の走行にともない従動回転する。
【0032】
図3を参照して、2次転写対向ローラ14は、中間転写ベルト10を介して2次転写ローラ40に当接している。2次転写対向ローラ14は、ステンレス鋼等からなる円筒状の芯金の外周面に、体積抵抗が107~108Ω程度で、硬度(JIS-A硬度)が48~58度程度のNBRゴムからなる弾性層83(層厚は5mm程度である。)が形成されたものである。
【0033】
また、本実施の形態において、2次転写対向ローラ14は、電源(バイアス出力手段)に電気的に接続されていて、その電源から-10kV程度の高圧電圧となる2次転写バイアスが印加される。この2次転写対向ローラ14に印加される2次転写バイアスは、2次転写ニップに搬送されるシートPに中間転写ベルト10に担持されたトナー像を2次転写するためのものであって、トナーの極性と同じ極性(本実施の形態ではマイナス極性である。)のバイアス(直流電圧)である。これにより、中間転写ベルト10のトナー担持面(外周面)に担持されたトナーが、2次転写電界によって2次転写対向ローラ14側から2次転写ローラ40側に向かって静電移動することになる。
【0034】
2次転写ローラ40は、中間転写ベルト10のトナー担持面(外周面)に当接して、シートPが搬送される2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ40は、ステンレス鋼、アルミニウム等からなる中空状の芯金上に、硬度(アスカーC硬度)が40~50度程度の弾性層が形成(被覆)されたものである。2次転写ローラ40の弾性層は、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりして、ソリッド状又は発泡スポンジ状に形成することができる。本実施の形態において、弾性層は、転写電流の集中を抑えるために、その体積抵抗が106.5~107.5Ω程度に設定されている。
なお、2次転写ローラ40の表面に半導電性のフッ素樹脂やウレタン樹脂などの離型層を形成して、ローラ表面のトナーに対する離型性を向上させることもできる。
【0035】
以下、本実施の形態における中間転写ベルト装置8(画像形成装置100)に対して着脱可能に設置される、特徴的なローラユニット20の構成・動作について詳述する。
先に図3等を用いて説明したようにベルト装置としての中間転写ベルト装置8には、所定方向に走行するベルト部材としての中間転写ベルト10が設置されていて、中間転写ベルト10に外周面側からであって下方からテンションを与えるローラ部材としてのテンションローラ15が設置されている。
【0036】
そして、本実施の形態では、このテンションローラ15(ローラ部材)を備えたローラユニット20(図4図5等参照)が、中間転写ベルト装置8に対して着脱可能に設置されている。
詳しくは、ユーザー先において、ユーザーやサービスマンなどの作業者は、画像形成装置本体100から中間転写ベルト装置8を図1の紙面垂直方向手前側に引出した後に、テンションローラ15による中間転写ベルト10へのテンションの付与を解除して、中間転写ベルト装置8からローラユニット20を取り外した状態で、中間転写ベルト装置8やローラユニット20のメンテナンスをおこなうことになる。そして、そのようなメンテナンスが終了した後に、中間転写ベルト装置8にローラユニット20を取り付けて、テンションローラ15によって中間転写ベルト10にテンションを付与した状態で、画像形成装置本体100に中間転写ベルト装置8を装着することになる。
また、このようなローラユニット20の着脱操作は、製造工場においても、工員によって同じようにおこなわれることになる。
【0037】
ここで、本実施の形態におけるローラユニット20は、図4図6に示すように、ローラ部材としてのテンションローラ15、アーム部材16(搖動部材)、保持部材17(ユニット筐体)、引張スプリング18(付勢部材)、制限部材としてのシート状可撓性部材19、などで構成されている。
【0038】
アーム部材16は、テンションローラ15(ローラ部材)を回転可能に保持している。
詳しくは、テンションローラ15の軸方向両端の軸部15aが、軸受を介して、一対のアーム部材16のそれぞれ保持されている。
【0039】
保持部材17は、アーム部材16を搖動可能に保持している。
詳しくは、保持部材17は、主として、一対のアーム部材16をそれぞれ搖動可能に保持する一対の側板17aと、一対の側板17aの間に設けられたステー(第1ステー17bと第2ステー17cとである。)と、で構成されている。テンションローラ15やアーム部材16や引張スプリング18は、一対の側板17aの間(内側)に設置されている。また、アーム部材16は、支軸16aを中心に搖動可能に、側板17aに保持されている。アーム部材16には、支軸16aを挟んで、一端側にテンションローラ15が保持されていて、他端側に引張スプリング18が接続されている。
【0040】
なお、ステーとしての第1ステー17bは、アーム部材16の搖動範囲を制限するように構成されている。具体的に、図4を参照して、第1ステー17bは、アーム部材16の支軸16aと引掛部16bとの間の下方に配置されている。そのため、アーム部材16は、支軸16aを中心に反時計方向に無制限に搖動可能に構成されているのではなくて、第1ステー17bに当接することで、その反時計方向の搖動範囲が制限される。これにより、引張スプリング18が外れやすい位置までアーム部材16が搖動してしまう不具合が軽減されることになる。
また、第2ステー17cは、引張スプリング18の側方に配置されている。
【0041】
引張スプリング18は、一端側の第1フック部18aがアーム部材16のアーム部材側引掛部16bに引っ掛けられて、他端側の第2フック部18bが保持部材17(側板17a)の保持部材側引掛部17a1に引っ掛けられている。
なお、本実施の形態において、アーム部材側引掛部16bは、引張スプリング18の引張方向に切り欠かれた部分であって、保持部材側引掛部17a1は、引張スプリング18の引張方向に直交する方向に延在する板状部と引張方向の反対側へ延在する板状部とからなるL字状部分であるが、引掛部の形状はこれらのものに限定されない。
【0042】
このような構成によって、図4に示すように、アーム部材16は、引張スプリング18によって、支軸16aを中心に反時計方向に回転するように付勢される。これにより、アーム部材16に設置されたテンションローラ15が中間転写ベルト10に圧接して、中間転写ベルト10に所望のテンションが付与されることになる。
【0043】
ここで、本実施の形態におけるローラユニット20には、引張スプリング18の第2フック部18bの引っ掛けが解除された状態(図7(A)参照)における引張スプリング18の移動を制限する制限部材としてのシート状可撓性部材19が設置されている。具体的に、シート状可撓性部材19は、第1ステー17b(ステー)に設置されている。
詳しくは、図7(A)を参照して、シート状可撓性部材19(制限部材)は、第2フック部18bの保持部材側引掛部17a1に対する引っ掛けが解除された状態において、第1フック部18aがアーム部材側引掛部16bから外れないように(引張スプリング18が図7(A)の破線矢印方向に外れて脱落しないように)、引張スプリング18の移動を制限するものである。
【0044】
先に説明したように、ローラユニット20は、メンテナンス時などに、作業者によって中間転写ベルト装置8に対して着脱されることになるが、そのときに中間転写ベルト10に対してテンションローラ15がテンションを与えた状態のままであると、その着脱作業が難しくなる。したがって、そのような着脱作業は、中間転写ベルト10に対するテンションローラ15のテンションが解除された状態でおこなわれる。
具体的に、図7(A)に示すように、作業者は、保持部材側引掛部17a1から第2フック部18bを取り外した状態で、中間転写ベルト装置8からローラユニット20を取り外すことになる。また、作業者は、保持部材側引掛部17a1から第2フック部18bを取り外した状態で、中間転写ベルト装置8にローラユニット20を装着して、その後に保持部材側引掛部17aに第2フック部18bを引っ掛けることになる。
【0045】
このように、本実施の形態では、テンションローラ15をローラユニット20としてユニット化して中間転写ベルト装置8に対して着脱可能に構成しているため、中間転写ベルト装置8のメンテナンス性が向上する。
さらに、本実施の形態では、ローラユニット20に制限部材としてのシート状可撓性部材19を設けているため、ローラユニット20の着脱操作時においてテンションローラ15のテンションを解除しても、テンションローラ15を付勢するための引張スプリング18が脱落してしまう不具合が生じにくくなる。
【0046】
ここで、本実施の形態において、シート状可撓性部材19(制限部材)は、第2フック部18bの保持部材側引掛部17a1に対する引っ掛けが解除された状態において、第1フック部18aがアーム部材側引掛部16bから外れたと仮定したときに引張スプリング18が描く移動軌跡に重なる位置に配置されている。
すなわち、図7(A)に示すように、第2フック部18bの引っ掛けが解除された状態で、第1フック部18aがアーム部材側引掛部16bから外れてしまうと、引張スプリング18は、破線矢印で示すような移動軌跡を描いて脱落することになるが、そのように移動する引張スプリング18に干渉して脱落が生じないように、シート状可撓性部材19が配置されている。
なお、本実施の形態では、引張スプリング18の周囲のほとんど(3方向)が保持部材17(側板17aやステー17b、17c)で囲まれていて、引張スプリング18は、保持部材17で囲まれた方向には脱落せずに、図7(A)の破線矢印で示す一方向に脱落することになる。したがって、本実施の形態では、その脱落方向にのみシート状可撓性部材19(制限部材)を設置している。これに対して、引張スプリング18が複数の方向に脱落する可能性がある場合には、それらの方向(移動軌跡)のすべてに制限部材を設置することが好ましい。
【0047】
また、本実施の形態において、シート状可撓性部材19は、正常にセットされた状態の引張スプリング18(図6等に示すように第1、第2フック部18a、18bが引掛部に引っ掛けられた状態のものである。)に干渉しない位置に配置されている。
すなわち、図4図6に示すように、シート状可撓性部材19は、正常セット時の引張スプリング18に接触しないことになる。
これにより、通常時の引張スプリング18の機能(テンションローラ15を付勢する機能である。)がシート状可撓性部材19によって妨げられる不具合が防止される。すなわち、テンションローラ15によって中間転写ベルト10に所望のテンションが付与されることになる。
【0048】
また、本実施の形態において、制限部材としてのシート状可撓性部材19は、保持部材17(第1ステー17b)に片持ち支持されていて、その自由端側(図5において破線で囲んだ部分である。)が引張スプリング18に当接可能な位置に形成されている。特に、引張スプリング18の第1フック部18aがアーム部材16のアーム部材側引掛部16bに引っ掛けられ、かつ、第2フック部18bが保持部材17の保持部材側引掛部17a1に引っ掛けられた状態で、シート状可撓性部材19の自由端側が引張スプリング18に接触しない位置に形成されている。
詳しくは、シート状可撓性部材19は、厚さが0.08~0,5mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる部材であって、図4において破線で囲んだ部分が固定部として第1ステー17bに貼着されて、その他の部分が非固定部として第1ステー17bから突出している。そして、そのシート状可撓性部材19の非固定部が、脱落時の引張スプリング18に当接可能になっていて、引張スプリング18の図7(A)の破線矢印方向の移動を制限することになる。
このように、制限部材としてシート状可撓性部材19を用いることで、図7(B)に示すように、作業者は、シート状可撓性部材19を、第1ステー17bから剥離することなく、黒矢印方向に撓ませた状態で、ローラユニット20に対する引張スプリング18の着脱を容易におこなうことが可能になる。
【0049】
ここで、図4等に示すように、本実施の形態において、シート状可撓性部材19(制限部材)は、第2フック部18bよりも第1フック部18aに近い側に配置されている。
すなわち、シート状可撓性部材19は、引張スプリング18の下方ではなくて、引張スプリング18の上方に当接可能な位置に配置されている。
これにより、図7(A)において破線で示す引張スプリング18の移動軌跡に誤差が生じたとしても(予想とは異なる移動軌跡を描いたとしても)、シート状可撓性部材19によって引張スプリング18の脱落を防止する機能が維持されやすくなる。すなわち、引張スプリング18の脱落を効率的に軽減することができる。
【0050】
ここで、図4図6図7に示すように、本実施の形態において、引張スプリング18には、第2フック部18bからさらに他端側(図4の下方であって、第2フック部18bの引っ掛けを解除する側である。)の端部に延在する位置に把持部18cが設けられている。
詳しくは、把持部18cは、第2フック部18bに対して一本の線材を介して接続された環状部分であって、作業者の親指と人差し指とで把持できる程度の大きさに形成されている。また、引張スプリング18は、第1フック部18aからスプリング本体(巻回部)、第2フック部18bを介して把持部18cまで一本の線材によって一体的に形成されている。
このように、引張スプリング18に把持部18cを設けることで、保持部材側引掛部17a1に対する第2フック部18bの着脱操作が容易になる。
【0051】
以下、図7を用いて、作業者がローラユニット20から引張スプリング18を取り外すときの操作手順を説明する。
まず、中間転写ベルト装置8を画像形成装置本体100から引き出して、ローラユニット20を下方に露呈した状態で、ローラユニット20に下方から指を差し入れて、引張スプリング18の把持部18cを把持して、引張スプリング18を図7(A)の白矢印方向に引っ張った後に黒矢印方向にスライドさせて、第2フック部18bの引っ掛かりを解除する。これにより、中間転写ベルト10に対するテンションローラ15のテンションの付与が解除されるため、この状態で中間転写ベルト10の交換などのメンテナンスや、中間転写ベルト装置8からローラユニット20を取り外す作業などをおこなうことが可能になる。また、このとき、先に説明したシート状可撓性部材19による機能によって、第1フック部18aがアーム部材側引掛部16bから外れて引張スプリング18が脱落する不具合が抑止される。
そして、図7(A)の状態のローラユニット20から引張スプリング18を取り外すときには、図7(B)に示すように、シート状可撓性部材19を黒矢印方向に撓ませて、引張スプリング18を取り外すスペースを確保した状態で、第1フック部18aをアーム部材側引掛部16bから外して、引張スプリング18を取り外す。そして、引張スプリング18の交換などのメンテナンスがおこなわれることになる。
なお、ローラユニット20に引張スプリング18を取り付けるときには、上述した取り外し時の手順と逆の手順で操作がおこなわれることになる。
【0052】
<変形例1>
図8図9に示すように、変形例1におけるローラユニット20は、制限部材としてのシート状可撓性部材19が、引張スプリング18に面接触可能に形成されている。
詳しくは、シート状可撓性部材19は、L字状に形成されていて、その一方の板状部が固定部として第2ステー17cに貼着されていて、その他方の板状部が非固定部(自由端)として引張スプリング18に面接触可能に配置されている。ここで、変形例1においても、シート状可撓性部材19は、通常の引張スプリング18の機能を妨げない位置(接触しない位置)であって、図7(A)で説明した引張スプリング18の移動軌跡に重なる位置に設置されている。
したがって、変形例1においても、引張スプリング18の脱落を抑止することができる。特に、変形例1では、引張スプリング18に面接触して、その移動を制限することになるため、引張スプリング18に線接触や点接触して制限する場合に比べて、制限する力を確保しやすくなる。
また、シート状可撓性部材19の非固定部の撓み方向が引張スプリング18をアーム部材16から取り外す方向と同じである。つまり、図9において、シート状可撓性部材19の非固定部の撓み方向が図の左右方向であり、引張スプリング18をアーム部材16から取り外す方向も図の左右方向である。これにより、引張スプリング18をアーム部材16から取り外す際に、引張スプリング18をシート状可撓性部材19の非固定部に面接触させて、非固定部を図の右方向に撓ませることで、引張スプリング18をアーム部材16から取り外すことができる。つまり、シート状可撓性部材19を指等で撓ませて引張スプリング18を取り外すスペースを確保することなく、引張スプリング18をアーム部材16から取り外す動作だけで、引張スプリング18をアーム部材16から取り外すことができる。
【0053】
<変形例2>
図10に示すように、変形例2におけるローラユニット20は、制限部材としてのシート状可撓性部材19が、第1ステー17bの長手方向両端部にそれぞれ設置されているのではなくて、第1ステー17bの長手方向に延在するように1つ設置されている。そして、その1つのシート状可撓性部材19によって、両端の一対の引張スプリング18の移動を制限している。
このように構成した変形例2においても、引張スプリング18の脱落を抑止することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態におけるローラユニット20は、テンションローラ15(ローラ部材)と、テンションローラ15を回転可能に保持するアーム部材16と、アーム部材16を搖動可能に保持する保持部材17と、一端側の第1フック部18aがアーム部材側引掛部16bに引っ掛けられて他端側の第2フック部18bが保持部材側引掛部17a1に引っ掛けられる引張スプリング18と、引張スプリング18の第2フック部18bの引っ掛けが解除された状態における引張スプリング18の移動を制限するシート状可撓性部材19(制限部材)と、が設けられている。
これにより、テンションローラ15を付勢するための引張スプリング18が脱落してしまう不具合が生じにくくなる。
【0055】
なお、本実施の形態では、中間転写ベルト10(ベルト部材)の外周面に下方から当接するテンションローラ15(ローラ部材)が設置されたローラユニット20に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることはなく、例えば、中間転写ベルト(ベルト部材)の内周面に当接するテンションローラ15(ローラ部材)が設置されたローラユニットや、中間転写ベルト(ベルト部材)の外周面に下方以外の方向から当接するテンションローラ(ローラ部材)が設置されたローラユニットに対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト10(ベルト部材)を有する中間転写ベルト装置8(ベルト装置)に対して着脱可能に設置されるローラユニット20に対して本発明を適用したが、その他のベルト部材(例えば、転写搬送ベルト、感光体ベルト、定着ベルト等である。)を有するベルト装置に対して着脱可能に設置されるローラユニットに対しても本発明を適用することができる。
また、中間転写ベルト装置8(ベルト装置)に設置された中間転写ベルト10にテンションを与えるテンションローラ15(ローラ部材)が設置されたローラユニット20に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、例えば、帯電ローラに圧接してローラ表面を清掃するクリーニングローラがローラ部材として設置されたローラユニットの対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、引張スプリング18の第2フック部18bの引っ掛けが解除された状態における引張スプリング18の移動を制限するようにシート状可撓性部材19(制限部材)を構成したが、引張スプリングの第1フック部の引っ掛けを解除することでローラ部材の付勢を解除するように構成されている場合には、引張スプリングの第1フック部の引っ掛けが解除された状態における引張スプリングの移動を制限するように制限部材を構成することになる。
また、本実施の形態では、制限部材としてシート状可撓性部材19を用いたが、制限部材はこれに限定されることなく、引張スプリングの一方のフック部の引っ掛けが解除された状態における引張スプリングの移動を制限できるものであれば種々の形態のものを用いることができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(感光体)、
8 中間転写ベルト装置(ベルト装置)、
10 中間転写ベルト(ベルト部材)、
15 テンションローラ(ローラ部材)、
16 アーム部材、
16b アーム部材側引掛部、
17 保持部材、
17a 側板、 17a1 保持部材側引掛部、
17b 第1ステー(ステー)、 17c 第2ステー(ステー)、
18 引張スプリング、
18a 第1フック部、 18b 第2フック部、 18c 把持部、
19 シート状可撓性部材(制限部材)、
20 ローラユニット、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
P シート。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【文献】特開2008-129448号公報
【文献】特開2012-68556号公報
図1
図2
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図5
図6
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図10