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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置、印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240116BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B41J2/175 113
B41J2/175 119
B41J2/175 115
B41J2/21
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020018543
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021123036
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】毛利野 哲
(72)【発明者】
【氏名】小林 壯行
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176503(JP,A)
【文献】特開2018-141066(JP,A)
【文献】特開2016-000517(JP,A)
【文献】特開2011-051177(JP,A)
【文献】特開2010-162708(JP,A)
【文献】特開2010-052247(JP,A)
【文献】特開2009-178951(JP,A)
【文献】特開2004-202796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出手段を搭載して移動するキャリッジと、
前記キャリッジに着脱可能に搭載される第1貯留容器と、
装置本体側に着脱可能に装着される第2貯留容器と、を備えており、
前記第1貯留容器に貯留される液体の密度は、前記第2貯留容器に貯留される液体の密度よりも大きい
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
液体吐出手段を搭載して移動するキャリッジと、
前記キャリッジに着脱可能に搭載される第1貯留容器と、
装置本体側に着脱可能に装着される第2貯留容器と、を備えており、
前記第1貯留容器に貯留される液体に含まれる顔料の密度は、前記第2貯留容器に貯留される液体に含まれる顔料の密度よりも大きい
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記第1貯留容器は、液体吐出手段と一体に有している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記第1貯留容器を複数備えている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記第1貯留容器は、前記第2貯留容器よりも小容量である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記第1貯留容器は、前記第2貯留容器よりも大容量である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記第1貯留容器は、白色、金色及び銀色の少なくともいずれかの液体を貯留する
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記第1貯留容器は、白色顔料又はメタリック顔料の少なくともいずれかを含む液体を貯留する
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
前記第1貯留容器は、酸化チタンを含む液体を貯留する
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
前記第1貯留容器に代えて保管液を貯留する第3貯留容器を搭載可能である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置
【請求項11】
前記第1貯留容器に代えて保管液を収容する第3貯留容器を搭載可能であり、
前記第3貯留容器が搭載されたときに、前記液体吐出手段内の液体を、前記第3貯留容器内の保管液に置換する動作を行う手段を備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項12】
印刷対象に液体を吐出する前記液体吐出手段を備えている
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する装置、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する装置として、白インクなどの沈降性が高い液体を使用するものがある。
【0003】
従来、吐出ヘッドから吐出する白インクを含む各色のインクを装置本体側に交換可能に着脱するインクカートリッジから供給チューブを介して吐出ヘッドに供給するものが知られている(特許文献1)。また、白インクを収容したカートリッジを主走査方向に移動させるものも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-105967号公報
【文献】特表2016-530987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャリッジに着脱可能な液体カートリッジを搭載してヘッドに液体を供給する構成では、キャリッジ重量が重くなるとともに、カートリッジに収容可能な液体量が少なくなるという課題がある。
【0006】
一方、メインタンクから送液手段や供給チューブなどの供給経路を介してヘッドに液体を供給する構成では、例えば、白インクなどの沈降しやすい液体を供給すると、装置の停止状態が長くなったとき、供給経路内で残存している液体が沈降固化するという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、供給する液体に応じた供給系を構成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体を吐出する装置は、
液体吐出手段を搭載して移動するキャリッジと、
前記キャリッジに着脱可能に搭載される第1貯留容器と、
装置本体側に着脱可能に装着される第2貯留容器と、を備えており、
前記第1貯留容器に貯留される液体の密度は、前記第2貯留容器に貯留される液体の密度よりも大きい
構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、供給する液体に応じた供給系を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の斜視説明図である。
図2】同じく平面説明図である。
図3】同じく正面説明図である。
図4】同じくキャリッジの平面説明図である。
図5】同じく第1貯留容器の説明に供する説明図である。
図6】同じく第2貯留容器から供給されるヘッドの説明に供する説明図である。
図7】同じく第2貯留容器からヘッドへの供給系の説明に供する説明図である。
図8】本発明の第2実施形態における保管液置換の説明に供する説明図である。
図9】同じく保管液置換動作の制御に係る部分のブロック説明図である。
図10】置換制御手段による置換動作の制御の説明に供するフロー図である。
図11】本発明の第3実施形態におけるヘッド一体型カートリッジの説明図である。
図12】本発明の第4実施形態におけるキャリッジの平面説明図である。
図13】本発明の第5実施形態に係る印刷装置の斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る印刷装置について図1ないし図7を参照して説明する。図1は同印刷装置の斜視説明図、図2は同じく平面説明図、図3は同じく正面説明図、図4は同じくキャリッジの平面説明図である。図5は同じく第1貯留容器の説明に供する説明図、図6は同じく第2貯留容器から供給されるヘッドの説明に供する説明図、図7は同じく第2貯留容器からヘッドへの供給系の説明に供する説明図である。
【0012】
印刷装置1は、液体を吐出する装置であり、液体を吐出する液体吐出手段である複数のヘッド20(20A~20D)と、サブタンク21と、カートリッジ31を搭載したキャリッジ11を備えている。
【0013】
ガイド部材12、13はキャリッジ11を主走査方向Xに往復移動可能に保持している。キャリッジ11は、主走査モータ14で回転される駆動プーリ15と従動プーリ16との掛け回したタイミングベルト17に連結し、主走査モータ14を駆動することによりキャリッジ11を主走査方向Xに往復移動させる。
【0014】
エンコーダシート18は主走査方向Xに沿って配置している。エンコーダシート18には周期的なスリットが設けられている。キャリッジ11は、エンコーダシート18のスリットを読み取る読み取りセンサを有し、読み取りセンサの読み取り結果から主走査方向Xにおけるキャリッジ11の位置を検出できる。
【0015】
コントローラボード50は、キャリッジ11の読み取りセンサの読み取り結果で得らえるキャリッジ位置から吐出位置でタイミングを合わせてヘッド20から液体であるインクを吐出させる制御をする。
【0016】
キャリッジ11上には、複数のヘッド20(20A~20D)が搭載されている。各ヘッド20は、図4に示すように、液体を吐出するノズルを配列したノズル列Na、Nbを有している。
【0017】
キャリッジ11上には、ヘッド20Dに供給する液体である白色インクを貯留している第1貯留容器であるカートリッジ31が着脱可能に搭載されている。カートリッジ31は、図5(a)に示すように、キャリッジ11に搭載されてヘッド20Dに液体を供給し、図5(b)に示すように、カートリッジ31単体でキャリッジ11から取り外すことができる。
【0018】
カートリッジ31に収容している液体(これを「第1液体」という。)は、本実施形態では、白色インクであるが、これに限るものではなく、メタリック顔料(金色及び銀色の少なくともいずれかの色の液体(インク))でもよい。
【0019】
白インクとしては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を含むものが挙げられ、市販の加工顔料等を用いてもよい。
【0020】
また、メタリック顔料としては、金属光沢を付与する機能を有している材料であることが好ましく、例えば、アルミニウム、銀、金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などの単体金属、これらの金属化合物(例えば酸化物)、これらの合金、これらの混合物等が挙げられる。
【0021】
さらに、第1液体は、沈降性のインクではなくとも、使用頻度が少ないインク、例えば、蛍光色インク、透明又は半透明なインクなどの特色インクでもよい。このような特色インクをキャリッジ搭載型カートリッジに収容することで、色の入れ替えが容易になる。
【0022】
また、第1液体は、例えば、液体付与対象に付与する前処理液、後処理液、コート液などでもよく、キャリッジ搭載型カートリッジに収容することで、液種変更の対応も容易にできる。
【0023】
キャリッジ11上には、ヘッド20A~20Cに供給する液体を一時的に収容するサブタンク21がヘッド20A~20Cと一体的に搭載されている。
【0024】
サブタンク21には、図7に示すように、第2貯留容器であるメインタンク32に貯留されている液体(これを「第2液体」という。)が供給される。第2液体は、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色の液体である。第2液体は、1種類に限るものではない。
【0025】
メインタンク32は、第2貯留容器であり、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色の液体を貯留し、装置本体側のタンクホルダ51に着脱可能に装着される。メインタンク32の第2液体は、供給経路34及び送液手段35によってサブタンク21に送液される。
【0026】
このように、本実施形態では、第1貯留容器であるカートリッジ31に貯留される第1液体(白インク)は、第2貯留容器であるメインタンク32に貯留される第2液体(カラーインクなど)よりも沈降速度が速い液体である。
【0027】
印刷装置1は、印刷対象(液体付与対象)としての布地400を保持する保持部材であるプラテン40を備えている。プラテン40は、昇降機構41上に搭載して上下方向Zの高さを調整可能としている。プラテン40の昇降機構41はスライダ42上に搭載されている。スライダ42は、主走査方向Xと直交する副走査方向Yに延設したスライドレール43上に移動可能に載置されている。
【0028】
スライダ42は、タイミングベルト45を介して副走査駆動機構により副走査方向Yに往復移動される。スライダ42が副走査方向Yに往復移動されることにより、プラテン40も副走査方向Yに往復移動される。
【0029】
主走査方向の一端側には、ヘッド20の維持回復を行うメンテナンスユニット60が配置されている。メンテナンスユニット60は、ヘッド20のノズル面をキャッピングする吸引キャップ61と、ヘッド20のノズル面を保湿のためにキャッピングする保湿キャップ62と、ヘッド20のノズル面を払拭する払拭部材63を備えている。吸引キャップ61には吸引ポンプが接続されている。
【0030】
主走査方向の他端側には、吐出受け66が配置されている。コントローラボード50は、印刷途中で、ヘッド20から吐出受け66に液体を吐出させることにより、ヘッド20の維持回復を行う。
【0031】
また、印刷装置1は、電源ボタン70、操作部71、電源ユニット72などを備えている。
【0032】
この印刷装置1において、Tシャツなどの布地(印刷対象)に印刷を行うときには、布地400をプラテン40上にセットする。その後、操作部71での操作により、スライダ42を介してプラテン40を装置内後方へ完全に引き込む動作を行う。
【0033】
プラテン40の引き込みが完了したとき、印刷データ待機状態となる。ここで、印刷装置1が外部の情報処理装置から印刷データを受信したときに印刷動作が開始される。あるいは、予めコントローラボード50に印刷データが蓄積されていた場合には、操作部71で当該印刷データを選択することによって印刷動作が開始される。
【0034】
印刷動作が開始されると、スライダ42を介してプラテン40が印刷開始位置まで移動される。その後、キャリッジ11の移動とヘッド20からの液体吐出が行われて、1行分が印刷される。1行分が印刷されると、スライダ42を介してプラテン40が1行分移動される。キャリッジ11の1スキャンとスライダ42の間欠移動の繰り返しを行うことにより、布地400の所望の領域に印刷が行われる。印刷完了後、プラテン40は装置手前まで戻されて印刷終了となる。
【0035】
この印刷装置1において、白インクなどの沈降性が高い液体は、キャリッジ11上に着脱可能に搭載するいわゆるオンキャリッジカートリッジとしてのカートリッジ31に貯留し、当該カートリッジ31からヘッド20に供給する。
【0036】
一方、ブラックインクやカラーインクなどの非沈降性又は沈降性が白インクに比べて弱い(低い)液体は、装置本体のタンクホルダ51に着脱可能に装着されるメインタンク32に貯留される。
【0037】
そして、メインタンク32から供給経路34及び送液手段35を介してキャリッジ11上のヘッド20近傍に設けられたサブタンク21に供給され、サブタンク21で一時的に貯留されてからヘッド20に供給される。
【0038】
このように構成したので、白インクなどの液体については供給チューブなどの供給経路がない、又は、供給経路が短い供給系とすることができる。これにより、沈降性のインクを保管液(充填液、あるいは、洗浄液などとも称される)に置き換える場合に、沈降性のインクの廃棄量を減らすことができる。
【0039】
また、白インクは一般的には酸化チタンが使われることが多く、沈降性を持つため定期的な循環動作などの攪拌も必要であるが、供給チューブなどの長い供給経路を持たずに,ヘッド20とカートリッジ31が隣接している。これにより、カートリッジ31を攪拌するだけで良いので、装置構成を単純化できる。
【0040】
さらに、キャリッジ11に搭載する第1貯留容器であるカートリッジ31の収容容量は、第2貯留容器であるメインタンク32よりも小容量している。これにより、カートリッジ31によるキャリッジ11全体の重量増加を抑制し、液体消費に伴うキャリッジ11全体の重量変化を低減でき、安定したキャリッジ11の移動を行うことができる。
【0041】
反対に、キャリッジ11に搭載する第1貯留容器であるカートリッジ31の収容容量を、第2貯留容器であるメインタンク32よりも大容量にしても良い。各色全ての液体容器をキャリッジに搭載する場合と比較して、本実施形態のように一部の液体容器を装置本体側に搭載していれば、キャリッジに搭載する液体容器を大型化してもキャリッジ全体の大型化を抑制することができる。特にTシャツ等を印刷媒体とするプリンタにおいては、白インクを下地として大量消費するため、上述の構成にすることが好ましい。
【0042】
一方、ブラックインクやカラーインクなどの液体については、装置本体側のタンクホルダ51に着脱可能に装着するメインタンク32から供給するので、大容量のメインタンク32を使用することができ、コストを低減できる。
【0043】
また、第2貯留容器はキャリッジ11に搭載しないことによりキャリッジ11の大重量化を回避することができ、キャリッジ11の移動速度の高速化や移動精度の高精度化を図れ、印刷速度を向上できる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態について図8ないし図10を参照して説明する。図8は同実施形態における保管液置換の説明に供する説明図、図9は同じく保管液置換動作の制御に係る部分のブロック説明図である。図10は置換制御手段による置換動作の制御の説明に供するフロー図である。
【0045】
印刷装置1を長期間使用しない場合などには、図8(a)に示すように、白インクなどのカートリッジ31をキャリッジ11から取り外して、図8(b)に示すように、第3液体である保管液が収容された第3貯留容器である保管液カートリッジ36をキャリッジ11に搭載する。これにより、ヘッド20Dに保管液を供給できる状態になる。
【0046】
一方、図9に示すように、置換制御手段801は、ヘッド20Dに接続されたカートリッジのカートリッジ識別情報読取り部803の読み取り結果を入力する。カートリッジ識別情報読取り部803は、例えば、カートリッジ31、36に設けられたRFIDなどの記憶素子に記憶されているカートリッジ識別情報を読み取る。
【0047】
置換制御手段801は、カートリッジ識別情報読取り部803の読み取り結果に基づいて、ヘッド駆動制御部802に介してヘッド20Dを駆動して、吸引キャップ61内に液体を空吐出させる置換動作を制御する。
【0048】
つまり、図10に示すフロー図を参照して、置換制御手段801は、カートリッジ種別認識シーケンスを開始すると、カートリッジ種別が保管液カートリッジ36であるか否かを判別する(ステップS1、以下、単に「S1」というように表記する。)。
【0049】
ここで、キャリッジ11に搭載されたカートリッジが保管液カートリッジ36であるときには、ヘッド20から第1液体を空吐出させて排出する(S2)。これにより、ヘッド20の内部流路及びカートリッジからヘッド20への供給流路内の第1液体が排出されて、保管液に置換される。なお、ヘッド20からの吐出量は予め定めた滴数などで管理できる。
【0050】
このように、保管液カートリッジ36からヘッド20までの供給流路は、メインタンク32からヘッド20に供給経路34を介して第1液体を供給する供給経路に比べて短くなる。したがって、ヘッド20及びその供給経路内の第1液体を保管液に置換する場合、供給経路内に残存する第1液体の廃棄量はメインタンク32から供給する場合に比べて極めて少なくなる。
【0051】
次に、本発明の第3実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態におけるヘッド一体型カートリッジの説明図である。
【0052】
本実施形態では、第1貯留容器であるカートリッジ31は、液体を貯留する容器本体22にヘッド20を一体に有するヘッド一体型カートリッジとしている。
【0053】
これにより、図11(a)に示すように、キャリッジ11に搭載されているカートリッジ31を交換するときには、図11(b)に示すように、ヘッド20ごとカートリッジ31をキャリッジ11から取り外す。
【0054】
このようなヘッド一体型カートリッジとすることで、液体の色、液体の種類などの入れ替えを行うことなく、ヘッドごとカートリッジを交換することができ、液体の色、液体の種類の変更を行うときの作業性が向上する。
【0055】
次に、本発明の第4実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態におけるキャリッジの平面説明図である。
【0056】
本実施形態では、サブタンク21、21とカートリッジ31A、31Bとが千鳥状に配置されている。
【0057】
ここで、カートリッジ31Aは例えば白インクを収容する第1貯留容器である。カートリッジ31Bは例えば透明インクを収容する第1貯留容器である。
【0058】
このように、メインタンク32から液体が供給されるサブタンク21とカートリッジ31とが千鳥状に配置されていてもよい。
【0059】
また、第1貯留容器としての複数のカートリッジ31をキャリッジ11に搭載可能とし、必要な色、種類の液体に応じて、カートリッジ31を搭載する構成とできる。このようにすれば、キャリッジオンカートリッジから供給する液体の種類を容易に変更することができる。
【0060】
次に、本発明の第5実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態に係る印刷装置の斜視説明図である。
【0061】
本実施形態では、第1キャリッジ11Aと、第2キャリッジ11Bとを備えている。第1キャリッジ11Aには、例えば、第1貯留容器としてのカートリッジ31及びヘッド20を搭載する。第2キャリッジ11Bには、第2貯留容器としてのメインタンク32から液体が供給されるサブタンク21を備えるヘッド20を搭載する。第2キャリッジ11Bはカバー19で上面が覆われている。
【0062】
これにより、カートリッジ31を交換するときに、誤って交換を行おうとする試みを減らすことができる。
【0063】
なお、複数のキャリッジを備える場合、例えば、オンキャリッジカートリッジとそれ以外が混在したキャリッジ1個と、オンキャリッジカートリッジのみのキャリッジ1個のような構成もできる。また、本実施形態では同一のガイド部材に2個のキャリッジを並べて配置しているが、異なるガイド部材上にそれぞれのキャリッジを保持する構成とすることもできる。
【0064】
また、本発明における「キャリッジの移動」には、印刷時の往復移動だけでなく、キャリッジに搭載された貯留容器の液体を撹拌させるための微振動なども含む。キャリッジに搭載されたカートリッジ(貯留容器)内の液体の撹拌は、キャリッジが主走査方向に移動することで行うことができる。
【0065】
上記実施形態では保持部材がトレイである例で説明しているが、カセットなどとすることもできる。
【0066】
また、上記実施形態では、印刷対象が布地である場合について説明しているが、これに限るものではない。布地以外の印刷対象を保持部材にセットして印刷する場合にも同様に本発明を適用することができる。
【0067】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0068】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0069】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0070】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0071】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体、車体、建材などであり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0072】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0073】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0074】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0075】
1 印刷装置
11 キャリッジ
20 ヘッド(液体吐出手段)
21 サブタンク
31 カートリッジ(第1貯留容器)
32 メインタンク(第2貯留容器)
40 プラテン
400 布地
801 置換制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13