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  • 特許-ウエハの洗浄方法 図1
  • 特許-ウエハの洗浄方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ウエハの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648G
H01L21/304 651B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020045540
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150331
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小川 祐一
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231116(JP,A)
【文献】特開平11-176791(JP,A)
【文献】特開2001-332526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハの表面をアルコールを主成分とする第一洗浄液で洗浄する第一洗浄工程と、
前記第一洗浄工程後のウエハの表面を超純水を主成分とする第二洗浄液で洗浄する第二洗浄工程とを備え
前記第二洗浄工程の洗浄時間が60秒以下であり、
前記ウエハの表面は、複数の凹部を有し、
前記凹部は、孔径に対する深さの比が2以上であり、
前記凹部の前記孔径は、100nm以下である、ウエハの洗浄方法。
【請求項2】
前記第一洗浄工程と前記第二洗浄工程を連続して行う請求項1に記載のウエハの洗浄方法。
【請求項3】
前記第一洗浄液のアルコールがイソプロピルアルコール又はエタノールである請求項1又は請求項2に記載のウエハの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハの洗浄方法に関し、特に、ドライエッチングにより表面に孔又は溝が形成された半導体用ウエハの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造においては、製造工程の各過程に応じて、ウエハの表面や薄膜に付着した微粒子等の汚染物質を除去するため、必要な洗浄を行っている。そのうち、集積回路の形成過程においては、ドライエッチングにより孔又は溝を形成したウエハに対して、ウエハ表面に付着した微粒子や、孔又は溝の内部に残留した微粒子等の汚染物質を除去するために、超純水を使用した洗浄が行われている。
【0003】
近年、半導体の微細化や立体化、高集積化に伴い、ウエハの表面に形成される孔又は溝の高アスペクト比化が進んでいる。このような高アスペクト比の孔又は溝を有するウエハを洗浄するために超純水を使用すると、孔又は溝の側部や底部との間に作用する表面張力の影響により、超純水が溝又は孔の内部に入り込み難いため、孔又は溝の内部に残留する微粒子等を良好に除去することが難しい。したがって、超純水のみを使用した洗浄では、ウエハの孔又は溝の内部に微粒子等の汚染物質が残留したままになってしまい、洗浄が十分ではないという問題がある。
【0004】
上記課題への対策として、例えば特許文献1には、ウエハの表面をあらかじめ界面活性剤で洗浄した後、適度な量の界面活性剤をウエハ表面に残留させ、その後、界面活性剤を薬液に置換して洗浄する方法が開示されている。しかし、界面活性剤は高価な上に、薬液への置換に時間を要する。薬液として、比較的安価なイソプロピルアルコール(IPA)を使用することもできるが、この場合には、IPAに微粒子が多く含まれるため、洗浄後にウエハ表面に残留する微粒子が多くなってしまうという問題がある。
【0005】
特許文献2には、ウエハ表面に形成されたホール内部に、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムを含む薬液を注入した後、IPA蒸気を用いて、ホール内部の薬液を保持したままウエハ表面の薬液を除去し、最後に純水を供給しホール内部の薬液と置換して除去する方法が開示されている。しかし、洗浄に3つの工程が必要となるため、工程が煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-152946号公報
【文献】特開2008-147434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、ウエハの表面にドライエッチングにより複数の微細な孔又は溝が形成されている場合であっても、孔又は溝の内部に残留する微粒子等の汚染物質を良好に除去することができ、かつ、洗浄コスト及び洗浄時間を抑えることができるウエハの洗浄方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第一に本発明は、ウエハの表面をアルコールを主成分とする第一洗浄液で洗浄する第一洗浄工程と、前記第一洗浄工程後のウエハの表面を超純水を主成分とする第二洗浄液で洗浄する第二洗浄工程とを備えるウエハの洗浄方法を提供する(発明1)。
【0009】
ここで、「アルコールを主成分とする」とは、アルコールの質量含有率が50質量%以上であることを意味する。また、「超純水を主成分とする」とは、超純水の質量含有率が50質量%以上であることを意味する。
【0010】
かかる発明(発明1)によれば、洗浄工程が少なくかつ洗浄液が安価であるため、洗浄コスト及び洗浄時間を抑えることができる。また、アルコールを主成分とする第一洗浄液でウエハ表面を洗浄した後に、ウエハ表面に第一洗浄液を残留させて、超純水を主成分とする第二洗浄液でウエハ表面に残留する第一洗浄液を置換して洗浄することにより、ウエハ表面に付着する微粒子等の汚染物質を良好に除去することができる。そして、ウエハの表面にドライエッチングにより孔又は溝が形成されている場合であっても、第一洗浄液は表面張力や粘度が低いアルコールを主成分とするため、孔又は溝の内部に入り込み易く、孔又は溝の内部に残留する微粒子等の汚染物質を良好に除去することができ、第二洗浄液は超純水を主成分とするため、孔又は溝の側部及び底部との間に作用する表面張力の影響で、孔又は溝の内部に入り込み難いところ、第二洗浄工程の前に第一洗浄工程を行うことにより、孔又は溝の内部に残留する第一洗浄液が第二洗浄液に置換されるので、孔又は溝の内部を十分に洗浄することができる。
【0011】
上記発明(発明1)においては、前記第一洗浄工程と前記第二洗浄工程を連続して行うことが好ましい(発明2)。
【0012】
かかる発明(発明2)によれば、第一洗浄工程に連続して第二洗浄工程を行うことにより、孔又は溝の内部に残留する第一洗浄液が第二洗浄液に置換されるので、第二洗浄液により、孔又は溝の内部を十分に洗浄することができる。
【0013】
上記発明(発明1,2)においては、前記第二洗浄工程の洗浄時間が60秒以下であることが好ましい(発明3)。
【0014】
かかる発明(発明3)によれば、第二洗浄工程が短い時間で済むので、全体の洗浄時間をさらに短縮することができる。
【0015】
上記発明(発明1-3)においては、前記第一洗浄液のアルコールがイソプロピルアルコール又はエタノールであることが好ましい(発明4)。
【0016】
イソプロピルアルコール、エタノールは親水性が高いため、イソプロピルアルコール又はエタノールを主成分とする第一洗浄液は周囲の水分を取り込み易い。よって、かかる発明(発明3)によれば、第一洗浄液から超純水を主成分とする第二洗浄液への置換をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のウエハの洗浄方法によれば、洗浄工程が少なくかつ洗浄液が安価であるため、洗浄コスト及び洗浄時間を抑えることができる。また、アルコールを主成分とする第一洗浄液でウエハ表面を洗浄した後に、ウエハ表面に第一洗浄液を残留させて、超純水を主成分とする第二洗浄液でウエハ表面に残留する第一洗浄液を置換して洗浄することにより、ウエハ表面に付着する微粒子等の汚染物質を良好に除去することができる。そして、ウエハの表面にドライエッチングにより孔又は溝が形成されている場合であっても、第一洗浄液は表面張力や粘度が低いアルコールを主成分とするため、孔又は溝の内部に入り込み易く、孔又は溝の内部に残留する微粒子等の汚染物質を良好に除去することができ、第二洗浄液は超純水を主成分とするため、孔又は溝の側部及び底部との間に作用する表面張力の影響で、孔又は溝の内部に入り込み難いところ、第二洗浄工程の前に第一洗浄工程を行うことにより、孔又は溝の内部に残留する第一洗浄液が第二洗浄液に置換されるので、孔又は溝の内部を十分に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るウエハの洗浄方法に用いるウエハを示す模式図であって、(a)はウエハの正面図、(b)は(a)のA-A’断面の一部を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るウエハの洗浄方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のウエハの洗浄方法の実施の形態について、適宜図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではない。
【0020】
〔ウエハ〕
図1は、本発明の一実施形態に係るウエハの洗浄方法に用いるウエハ10を示す模式図であって、(a)はウエハ10の正面図、(b)は(a)のA-A’断面の一部を示す図である。
【0021】
ウエハ10には、図1(b)に示すように、ドライエッチングによって表面1に複数の凹部2が形成されている。この状態において、ウエハ10の表面1及び凹部2の側部や底部には、ドライエッチングの際に生じた残渣や微粒子等の汚染物質(不図示)が付着している。
【0022】
凹部2のアスペクト比は、凹部2の幅21に対する凹部2の深さ22の比で表される。ここで、高アスペクト比とは、凹部2の幅21に対する深さ22の比が2以上のものをいう。高アスペクト比の凹部2を有するウエハを洗浄するために超純水のみを使用すると、凹部2の側部や底部との間に作用する表面張力の影響により、超純水が凹部2の内部に入り込み難いため、凹部2の内部に残留する微粒子等を良好に除去することが難しい。
【0023】
本実施形態において、凹部2は微細な孔であって、高アスペクト比を有する。より具体的には、凹部2は、幅21つまり孔径が100nm、深さ22が1000nmであり、凹部2の孔径に対する深さの比が(アスペクト比)が10である。なお、凹部2は高アスペクト比を有していればよく、その孔径及び深さは本実施形態のものに限られるものではないが、孔径100nm以下であることが好ましい。
【0024】
また、本実施形態において、凹部2は孔であるが、凹部2の形状はこれに限られるものではなく、図1(a)において上下方向に延びる微細な溝であってもよい。凹部2が溝である場合には、凹部2の幅4(線幅)は100nm以下であることが好ましい。
【0025】
〔ウエハの洗浄方法〕
次に、上述したようなウエハ10の洗浄方法について図2を参照しつつ詳説する。なお、本実施形態においては、ウエハの洗浄に枚葉式洗浄装置を使用している。枚葉式洗浄とは、ウェット洗浄方法の一つであり、ウエハに液体を噴射する洗浄方法をいう。
【0026】
本発明の一実施形態に係るウエハの洗浄方法は、ウエハ10の表面をアルコールを主成分とする第一洗浄液で洗浄する第一洗浄工程と、第一洗浄工程後のウエハ10の表面を超純水を主成分とする第二洗浄液で洗浄する第二洗浄工程とを備える。第一洗浄工程と第二洗浄工程は、連続して行われる。
【0027】
[第一洗浄工程]
第一洗浄工程においては、まず、ウエハ10に対して、枚葉式洗浄装置から第一洗浄液W1が噴射される。このとき、第一洗浄液W1は表面張力や粘度が低いアルコールを主成分とするため、ウエハ10の凹部2に入り込み易い。よって、ウエハ10の表面1だけではなく、高アスペクト比の凹部2の内部に残留する微粒子等の汚染物質も良好に除去することができる。
【0028】
ここで、「アルコールを主成分とする第一洗浄液」とは、第一洗浄液W1のアルコールの質量含有率が50質量%以上であることを意味する。第一洗浄液W1中にアルコールが50質量%以上含まれることにより、優れた洗浄性能が得られる。第一洗浄液W1のアルコールの質量含有率は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0029】
第一洗浄液W1に含まれるアルコールは、イソプロピルアルコール又はエタノールが好ましい。イソプロピルアルコール、エタノールは親水性が高いため、イソプロピルアルコール又はエタノールを主成分とする第一洗浄液W1は周囲の水分を取り込み易い。よって、第一洗浄液W1に含まれるアルコールがイソプロピルアルコール又はエタノールであれば、第一洗浄液W1から超純水を主成分とする第二洗浄液W2への置換をスムーズに行うことができる。
【0030】
第一洗浄工程においては、この後に連続して行う第二洗浄工程で、ウエハ10に残留させた第一洗浄液W1を第二洗浄液W2に置換させるために、ウエハ10の洗浄後も、図2(a)に示すように、第一洗浄液W1が、ウエハ10の表面1を覆い、かつ凹部2の内部を満たすようにしておく。
【0031】
なお、第一洗浄工程においては、ウエハ10の洗浄後、ウエハ10の表面1(凹部2の内部を含む)に少なくとも第一洗浄液W1の層が形成されていればよいため、例えば、ウエハ10の洗浄後に、余分な第一洗浄液W1を減圧下で吸引してもよい。第一洗浄工程において、ウエハ10の表面1に第一洗浄液W1の層が形成されていれば、その後の第二洗浄工程において、置換により、ウエハ10の凹部2の内部にまで第二洗浄液W2を満たすことができる。
【0032】
[第二洗浄工程]
第二洗浄工程においては、まず、第一洗浄液W1が表面1に残留したウエハ10に対して、枚葉式洗浄装置から第二洗浄液W2が噴射される。このとき、第二洗浄液W2は超純水を主成分とするため、通常であればウエハ10の凹部2との間に作用する表面張力の影響で、凹部2に入り込み難いところ、凹部2の内部に残留する第一洗浄液W1が第二洗浄液W2に置換されるので、図2(b)に示すように、残留する第一洗浄液W1を流しつつ、高アスペクト比の凹部2の内部まで第二洗浄液W2を十分に洗浄することができる。
【0033】
ここで、「超純水を主成分とする第二洗浄液」とは、第二洗浄液W2の超純水の質量含有率が50質量%以上であることを意味する。第二洗浄液W2中に超純水が50質量%以上含まれることにより、第二洗浄液W2中に含まれる微粒子数が少ないので、優れた洗浄性能が得られる。第二洗浄液W2の超純水の質量含有率は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0034】
また、第二洗浄液W2は、30nm以上の微粒子数が100個/ml以下の純水であることが好ましい。30nm以上の微粒子数が100個/ml以下の純水は、原水に対して限界ろ過膜(UF)処理等を行うことにより、純度を上げ、微粒子や有機物を除去することによって製造することができる。
【0035】
第二洗浄工程の後は、スピン乾燥等の公知の方法によりウエハ10を乾燥する乾燥工程を行うことができる。
【0036】
以上のように、本発明のウエハの洗浄方法によれば、ウエハ10の表面にドライエッチングにより孔又は溝といった凹部2が形成されている場合であっても、第一洗浄液W1は表面張力や粘度が低いアルコールを主成分とするため、凹部2の内部に入り込み易く、凹部2の内部に残留する微粒子等の汚染物質を良好に除去することができ、第二洗浄液W2は超純水を主成分とするため、凹部2の側部及び底部との間に作用する表面張力の影響で、凹部2の内部に入り込み難いところ、第二洗浄工程の前に第一洗浄工程を行うことにより、凹部2の内部に残留する第一洗浄液W1が第二洗浄液W2に置換されるので、凹部2の内部を十分に洗浄することができる。
【0037】
以上、本発明について図面を参照にして説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更実施が可能である。上記実施形態においては、ウエハの洗浄装置として、ウエハに液体を噴射する枚葉式洗浄装置を使用しているが、上述の第一洗浄工程と第二洗浄工程を連続して行うことができればこれに限られるものではなく、例えば、ウエハを液体に浸漬する浸漬式洗浄装置を使用してもよい。
【実施例
【0038】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳説するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
本発明のウエハの洗浄方法により、図1に示すウエハ10の洗浄を行った。ウエハ10は、凹部2として、孔径が100nm、深さが1000nmの複数の微細な孔を有し、孔径に対する深さの比が(アスペクト比)が10である。洗浄には枚葉洗浄装置を用いた。
【0040】
〔実施例1〕
図1に示すウエハ10に対して、第一洗浄工程としてイソプロピルアルコール(IPA)で15秒間の洗浄を行った。連続して、第二洗浄工程として、超純水で60秒間の洗浄を行った。超純水はウエハ10の孔の内部まで浸水し、洗浄終了後のウエハ10上に残留する30nm以上の微粒子数は20個であった。
【0041】
〔実施例2〕
図1に示すウエハ10に対して、第一洗浄工程としてエタノールで15秒間の洗浄を行った。連続して、第二洗浄工程として、超純水で60秒間の洗浄を行った。超純水はウエハ10の孔の内部まで浸水し、洗浄後のウエハ10に残留する30nm以上の微粒子数は20個であった。
【0042】
次に、比較例1-6として、以下の条件で図1に示すウエハ10の洗浄を行った。洗浄には、実施例1-2と同様に、枚葉洗浄装置を用いた。
【0043】
〔比較例1〕
図1に示すウエハ10に対して、超純水のみで60秒間の洗浄を行った。超純水はウエハ10の孔の内部まで浸水せず、洗浄後のウエハ10に残留する30nm以上の微粒子数は20,000個であった。
【0044】
〔比較例2〕
図1に示すウエハ10に対して、超純水のみで1,200秒間の洗浄を行った。超純水はウエハ10の孔の内部まで浸水し、洗浄後のウエハ10上に残留する30nm以上の微粒子数は20個であった。
【0045】
〔比較例3〕
図1に示すウエハ10に対して、IPAのみで60秒間の洗浄を行った。IPAはウエハ10の孔の内部まで浸水したが、IPAに含まれる微粒子の影響により、洗浄後のウエハ10上に残留する30nm以上の微粒子数は200個であった。
【0046】
〔比較例4〕
図1に示すウエハ10に対して、エタノールのみで60秒間の洗浄を行った。エタノールはウエハ10の孔の内部まで浸水したが、エタノールに含まれる微粒子の影響により、洗浄後のウエハ10上に残留する30nm以上の微粒子数は200個であった。
【0047】
〔比較例5〕
図1に示すウエハ10に対して、界面活性剤の一つであるラウリルベタインで15秒間の洗浄を行った。連続して、超純水で60秒間の洗浄を行った。ラウリルベタインはウエハ10の孔の内部まで浸水したが、ラウリルベタインから超純水への置換が十分に行われず、ラウリルベタインに含まれる微粒子の影響により、洗浄後のウエハ10上に残留する30nm以上の微粒子数は1000個であった。
【0048】
〔比較例6〕
図1に示すウエハ10に対して、ラウリルベタインで15秒間の洗浄を行った。連続して、超純水で1,200秒間の洗浄を行った。ラウリルベタインはウエハ10の孔の内部まで浸水し、洗浄後のウエハ10上に残留する30nm以上の微粒子数は100個であった。
【0049】
実施例1-2及び比較例1-6について、洗浄後のウエハ10上に残留する30nm以上の微粒子数を表1に示す。本結果により、本発明のウエハ洗浄方法によれば、ウエハ10の表面にドライエッチングにより複数の微細な孔又は溝が形成されている場合であっても、孔又は溝の内部に残留する微粒子等の汚染物質を良好に除去することができ、かつ、洗浄コスト及び洗浄時間を抑えることができることが分かる。
【0050】
【表1】
【0051】
以上説明したように、本発明のウエハ洗浄方法によれば、ウエハの表面にドライエッチングにより複数の微細な孔又は溝が形成されている場合であっても、孔又は溝の内部に残留する微粒子等の汚染物質を良好に除去することができ、かつ、洗浄コスト及び洗浄時間を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、半導体の製造工程において、特にドライエッチングにより孔又は溝を形成したウエハに対して、ウエハ表面に付着した微粒子や孔又は溝の内部に残留した微粒子等の汚染物質を除去するための洗浄方法として有用である。
【符号の説明】
【0053】
10 ウエハ
1 表面
2 凹部
21 凹部の幅
22 凹部の深さ
W1 第一洗浄液
W2 第二洗浄液
図1
図2