(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】シート整合装置、後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/36 20060101AFI20240116BHJP
B65H 31/38 20060101ALI20240116BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B65H31/36
B65H31/38
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2020079471
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 茂行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 育美
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-069110(JP,A)
【文献】特開2001-063911(JP,A)
【文献】米国特許第06353727(US,B1)
【文献】特開2002-302330(JP,A)
【文献】特開2004-262646(JP,A)
【文献】特開2010-208819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/36
B65H 31/38
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束の搬送方向の先端を揃えるシート先端揃え手段と、
前記シート束の前記搬送方向の側端を揃え、所定の位置に前記シート束を移動させるシート側端揃え手段と、
を有し、
前記シート先端揃え手段は、前記所定の位置に前記シート束を移動させる前記シート側端揃え手段の移動経路から退避するとき前記先端との当接を維持する、
ことを特徴とするシート整合装置。
【請求項2】
前記シート先端揃え手段は、前記先端に当接しながら、前記所定の位置へ移動する前記シート側端揃え手段の付勢により前記移動経路から退避する、
請求項1に記載のシート整合装置。
【請求項3】
前記シート先端揃え手段は、前記先端に当接しながら、前記シート側端揃え手段に付勢されて前記搬送方向と直交する方向へ回動して前記移動経路から退避する、
請求項1又は2に記載のシート整合装置。
【請求項4】
前記シート先端揃え手段は、前記搬送方向に沿って設けられる軸部材に回転可能に支持され、前記シート側端揃え手段が前記シート束を前記所定の位置に移動させるとき、前記軸部材を中心とする回動により、前記移動経路から退避する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート整合装置。
【請求項5】
シート先端揃え手段は、前記シート側端揃え手段の移動経路から回動して退避したとき、前記先端に当接する回動当接部材を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート整合装置。
【請求項6】
シート先端揃え手段は、前記先端に当接しながら、前記シート側端揃え手段に付勢されて、当該シート側端揃え手段の移動方向に平行移動して前記移動経路から退避する、
請求項1に記載のシート整合装置。
【請求項7】
シート先端揃え手段は、前記シート側端揃え手段に付勢されて平行移動する平行移動部材と、前記平行移動部材を移動可能に保持する保持部材と、を有する、
請求項6に記載のシート整合装置。
【請求項8】
前記平行移動部材は、ラックアンドピニオン機構により、前記保持部材に対して平行移動する、
請求項7に記載のシート整合装置。
【請求項9】
前記平行移動部材は、ベルト駆動機構により、前記保持部材に対して平行移動する、
請求項7に記載のシート整合装置。
【請求項10】
前記平行移動部材は、弾性部材により、前記保持部材に対して平行移動する、
請求項7に記載のシート整合装置。
【請求項11】
前記平行移動部材は、前記シート束の先端に当接する部分の一部のみを平行移動させる、
請求項7に記載のシート整合装置。
【請求項12】
前記シート先端揃え手段は、前記シート束を前記所定の位置に移動させる前記シート側端揃え手段の移動速度と同じ速度で前記移動経路から退避する、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシート整合装置。
【請求項13】
前記シート先端揃え手段は、前記シート束の先端を揃える先端揃え位置に磁力によって留まり、前記シート側端揃え手段が前記シート束を前記所定の位置に移動させるときに前記磁力に抗う外力によって前記移動経路から退避する、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシート整合装置。
【請求項14】
前記シート先端揃え手段は、前記先端に当接して摺動する摺動部材を含む、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシート整合装置。
【請求項15】
シート束の端部を綴じる綴じ手段と、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のシート先端揃え手段と、
前記シート束の前記綴じ手段と対向する側の側端を揃え、前記綴じ手段の綴じ位置に前記シート束を移動させるシート側端揃え手段と、
を有することを特徴とする後処理装置。
【請求項16】
シートの面に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された後のシートに対して後処理を行う、請求項15に記載の後処理装置と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート整合装置、後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートに画像を形成する画像形成装置が知られている。当該画像形成装置において画像が形成されたシートの端部を整合するシート整合装置、シート整合装置において整合されたシート端部に綴じ処理などの後処理を行う後処理装置も知られている。シート整合装置及び後処理装置を含むシステム、又はこれら装置を連結して構成されるシステムとしての画像形成システムも知られている。
【0003】
従来のシート整合装置において、シートの搬送方向の先端の端部を整合する整合部材を、シートの搬送方向に沿って移動可能に保持する構成が開示されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の整合部材は、シートの搬送方向の整合を行った後に、そのシート(シート束)をシートの幅方向に移動させるとき、搬送方向の整合部材と幅方向への移動部材が干渉する。干渉を避けるためには、シートの先端を整合した位置にある整合部材を、退避させてから移動部材をシートの幅方向に移動させる必要がある。このとき、整合部材がシートの先端から離れた状態でシートを移動させると、一度整合させたシート先端の整合状態が乱れる可能性がある、という課題がある。
【0005】
本発明は、移動部材のシートの幅方向への移動時に、シートの搬送方向の端部の整合を維持しつつ、整合部材と移動部材との干渉を回避するシート整合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明はシート整合装置に関し、シート束の搬送方向の先端を揃えるシート先端揃え手段と、前記シート束の前記搬送方向の側端を揃え、所定の位置に前記シート束を移動させるシート側端揃え手段と、を有し、前記シート先端揃え手段は、前記所定の位置に前記シート束を移動させる前記シート側端揃え手段の移動経路から退避するとき前記先端との当接を維持する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動部材のシートの幅方向への移動時に、シートの搬送方向の端部の整合を維持しつつ、整合部材と移動部材との干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る画像形成システムの実施形態における構成例を示す図。
【
図2】本発明に係るシート整合装置及び後処理装置の実施形態を示す上面視図。
【
図4】第一実施形態に係るステイプルモード動作時の側面視図。
【
図5】第一実施形態に係るステイプルモード動作時の上面視図。
【
図6】第一実施形態に係るステイプルモード動作時の上面視図。
【
図7】第一実施形態に係るスティプル位置に移動するときの上面視図。
【
図8】第一実施形態におけるシート先端の整合時の状態を示す図。
【
図9】第一実施形態に係る先端ストッパの構成を示す斜視図。
【
図10】第一実施形態に係るステイプルモード動作のフローチャート。
【
図11】第一実施形態に係る先端ストッパの動作を説明する正面図。
【
図12】第一実施形態に係る先端ストッパの動作を説明する正面図。
【
図13】第二実施形態に係る先端ストッパの動作を説明する正面図。
【
図14】第二実施形態に係る先端ストッパの動作を説明する正面図。
【
図15】第二実施形態に係る先端ストッパを示す上面視図。
【
図16】第二実施形態に係る先端ストッパを示す側面図。
【
図17】第三実施形態に係る先端ストッパの構成を示す斜視図。
【
図18】第三実施形態に係る先端ストッパを示す、(a)上面視図、(b)側面図。
【
図19】第四実施形態に係る先端ストッパの構成を示す斜視図。
【
図20】第五実施形態に係る先端ストッパの構成を示す斜視図。
【
図21】第六実施形態に係る先端ストッパの動作を説明する正面図。
【
図22】第六実施形態に係る先端ストッパの動作を説明する正面図。
【
図23】第七実施形態に係る先端ストッパの動作を説明する正面図。
【
図24】第一実施形態に係るステイプルモード動作時の上面視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ実施形態に係るシート整合装置、後処理装置及び画像形成システムについて説明する。また以下の説明では、シートの一例として紙媒体を例示しているが、例えばプラスチック製、布製、金属製のシートなどでも適用可能である。
【0010】
<全体構成>
図1は、画像形成システムの概略を示す図である。画像形成システム1は、画像形成装置100、シート積載機能及びシート整合機能を有すシート整合装置200、シート整合装置200において端部が整合されたシートに綴じ処理を施すシート綴じ機能を有する後処理装置300、及び画像読み取り装置400を有する。
【0011】
画像形成装置100は、カラー画像を形成する間接転写方式タンデム型の画像形成ユニットであり、シート状の媒体としてのシートの面に画像を形成する画像形成部として機能する。画像形成装置100は、四色の作像ステーション111が配置された作像部110、作像部110の下方に隣接して設けられた光書き込み部113を有する。画像形成装置100は、作像部110の下方に設けられた給紙部120、給紙部120でピックアップされたシートを二次転写部140及び定着部150に搬送させるために案内する給紙搬送路130を有する。画像形成装置100は、画像が定着されたシートを後処理装置300に搬送させるために案内する排紙経路160、一面に画像が形成されたシートを反転(スイッチバック)し、他方面に画像形成させるために給紙搬送路130に案内する両面搬送路170を有する。
【0012】
作像部110の作像ステーション111は、YMCK各色用の感光体ドラムと、この感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニット等を有する。作像部110は、感光体ドラムに形成された画像が1次転写ユニットによって転写される中間転写ベルト112と、感光体ドラムに色毎に画像を書き込む光書き込み部113とを有する。光書き込み部113は、作像ステーション111の下側に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。中間転写ベルト112は、複数の支持ローラによって回転可能に支持されている。そのうちの1つの支持ローラ114は、二次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写手段としての2次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像をシートの面に2次転写できるようになっている。なお、このような画像形成プロセスとして、上記以外に公知なものを採用してもよい。
【0013】
給紙部120は、給紙トレイ121、ピックアップローラ122、給紙搬送ローラ123を有し、給紙トレイ121からピックアップしたシートを給紙搬送路130に沿って上方に送り出す。送り出されたシートは、二次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。定着部150は、定着ローラと加圧ローラを備え、シートが両者間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、トナーがシートに定着される。
【0014】
定着部150の下流には、排紙経路160と両面搬送路170が設けられ、分岐部材としての分岐爪161によってどちらか一方の搬送路にシートが導かれるように切り替えられることで、後処理装置300側に搬送される場合と、両面搬送路170に搬送される場合とで搬送路が選択される。なお、分岐爪161のシート搬送方向上流側の直近には分岐搬送ローラ162が設けられ、シートへ搬送力を付与している。
【0015】
シート整合装置200は、画像形成装置100から搬送された画像形成済みシートに所定の処理(例えば揃え処理)を施し、最下流に位置する排出トレイ204に積載するもので、詳細については後述する。また、後処理装置300は、画像形成装置100から搬送された画像形成済みシートに揃え処理が施されたシート束PBの端部に所定の後処理(例えば綴じ処理)を施し、最下流に位置する排出トレイ204に積載するもので、詳細についてはシート整合装置200の説明とともに、後述する。なお、
図1に示すように画像読み取り装置400を備えた場合には、シート整合装置200及び後処理装置300は、画像形成装置100と画像読み取り装置400との間であって、画像形成装置100の筐体に形成された、本来はシート排出先として利用される空間部に装着される。これにより、空間の有効利用を図り、省スペース化を促進することができる。
【0016】
シート整合装置200内に配置される制御部260は、例えば中央演算装置、主記憶装置、補助記憶装置などを含む基板であり、ソフトウェア処理により各ハードウェアを動作させるユニットである。制御部260は、各搬送路に設置されるセンサから、シートの有無を示す検出信号を入力し、検出信号に基づきシート整合装置200内でのシートの搬送制御を行うとともに、後述の各ユニットの動作制御を行う。なお、画像形成装置100内に備えられる制御部が、制御部260と通信することによって、画像形成システム1が制御されるようになっているが、これに代えて、統括的にシート整合装置200内の各ユニット及び後処理装置300内の各処理ユニットの制御を行ってもよい。
【0017】
画像読み取り装置400は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取る。画像読み取り装置400自体の構成及び機能は公知なものを採用してもよい。
【0018】
上記のように構成された画像形成装置100は、画像読み取り装置400から読み取られた原稿データあるいは外部のパーソナルコンピュータなどから転送された印刷データに基づいて、書き込みに使用する画像データを生成する。そして、画像データに基づいて光書き込み部113が各感光体ドラムに対して光書き込みを行い、各作像ステーション111で色毎に形成された画像が順次、中間転写ベルト112に転写される。これにより中間転写ベルト112上に四色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。一方、給紙トレイ121からは画像形成に応じてシートが給送される。シートは、二次転写部140の直前のレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、二次転写部140で2次転写され、定着部150へと送り込まれる。
【0019】
定着部150で画像が定着されたシートは、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙経路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。両面搬送路170に搬送されたシートは、反転後、二次転写部140に再度送り込まれて他側の面に画像が形成され、排紙経路160に搬送される。排紙経路160に搬送されたシートは、後処理装置300に搬送され、後処理装置300で綴じ処理などの所定処理が施され、あるいは処理なしで排出トレイ204に排紙される。
【0020】
<シート整合装置及び後処理装置の概要>
図2は、シート整合装置200及び後処理装置300の上面視図であり、
図3は側面視図である。
図2、
図3は、共に本実施形態に適用される基本的な構成を示している。
図3において、シート整合装置200及び後処理装置300は、シート搬送方向上流側から入口ローラ対202、紙面検知フィラー211、後端基準フェンス213、排紙ローラ対203、シート束PBの幅方向の側端(端部)を揃えるシート揃え手段としての奥側及び手前側のジョガーフェンス205、206、ガイド軸208、後端ガイド212、先端ストッパ207及び排出トレイ204を備えている。後処理装置300は、シート整合装置200の構成に加えて、ステイプルユニット209(綴じ手段)、を備えている。
【0021】
シート側端揃え手段としてしてのジョガーフェンス205、206は、ガイド軸208に支持され、ガイド軸208の軸方向に移動可能に設けられている。シートは+X方向から-X方向に向かって搬送されてくる。シートの搬送方向の下流方向にはシートの先端を整合するシート先端揃え手段としての先端ストッパ207が設けられている。
【0022】
シート整合装置200のシート受入部には画像形成装置100の排紙搬送路からシートを受け入れるガイド板が配置され、このガイド板のシート搬送方向最上流に入口ローラ対202が配置され、最下流側に排出トレイ204にシートをシフトして排紙する機能を有する排紙ローラ対203が配置される。そして、入口モータにより入口ローラ対202及び排紙ローラ対203が回転することで、ガイド板に沿ってシートがシート整合装置200内を搬送される。ジョガーフェンス205、206は、排紙ローラ対203から排紙されるシートの幅方向の端部を積載する積載部と、積載されたシートの幅方向の側端と接触してシートの幅方向の揃えを行うための揃え部とを有しており、積載手段としても機能する。
【0023】
シート整合装置200の排紙動作としては、シートをジョブごとに異なる位置にシフトして排紙するシフトモードと、そのまま排紙するストレート排紙モードと、複数枚のシートを綴じて排紙するステイプルモードとの3つのモードがある。シフトモードおよびストレート排紙モードの動作は従前と同様であるため、以降、ステイプルモードにおける各部の構成や動作について説明する。
【0024】
<第一実施形態>
以下、シート整合装置200におけるステイプルモードの動作について説明する。ステイプルモードは、ステイプルユニット209を用いた綴じ処理を行うための動作モードである。したがって、シート整合装置200において整合処理を行った後に、ステイプルユニット209による綴じ処理が実行される。以下において説明するステイプルモードの動作は、シート整合装置200による整合処理が行われ、整合処理の後に後処理装置300による綴じ処理が行われる一連の動作である。
【0025】
図4、
図5及び
図6は、シート整合装置200のステイプルモードの動作について説明する側面視図及び上面視図である。ステイプルモード時には、
図5に示すように、排出トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207の各部位が、排出トレイ204の上面又は排出トレイ204上のシートの最上面と排紙されるシートのサイズに応じて、規定のホーム位置からシート受入位置へと移動する。なお、
図5ではホーム位置を
図5(a)に示し、シート受入位置を
図5(b)に示している。
【0026】
シート受入時におけるジョガーフェンス205、206は、排紙されるシートの幅方向の寸法に対して「X」ミリメートル程度の隙間を形成できる位置において、シートを受け入れる。ここで「X」は0より大きい値であり、スキューシートを受け入れることができる幅である。
【0027】
排出トレイ204が、
図4において破線で示した位置から実線で示した規定位置まで移動したことを、紙面検知フィラー211に設けられた紙面検知センサにおいて検知されると、紙面検知フィラー211は軸を中心に回転して、その先端部が後端基準フェンス213内に退避する姿勢になる。この退避姿勢は、
図4に示す破線の姿勢である。
【0028】
また排出トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207の移動と同時に、ステイプルユニット209が、ステイプラ移動モータにより
図5(b)に示す所定のスティプル位置(綴じ位置)へと移動する。
【0029】
ジョガーフェンス205、206の移動完了後、シートが排紙ローラ対203からジョガーフェンス205、206に排紙される。シート後端が排紙ローラ対203から抜けるタイミングで、後端ガイド212の先端部が軸を中心に回転し、ジョガーフェンス205、206に向けて下降して、
図4において破線にて示す姿勢から実線にて姿勢に移動する。この後端ガイド212の動作によりシートの後端部が上方から押えられて、先端ストッパ207がシートの先端を後端方向に押し込んだときにジョガーフェンス205、206に積載されているシートのうち、上位にあるシートの後端部が移動することを防ぐことができる。
【0030】
後端ガイド212の下降後、
図6(a)に示す状態から
図6(b)に示すように、先端ストッパ207がシート受入位置から搬送方向上流側へ移動し、先端ストッパ207とジョガーフェンス205、206のシート後端受部205a、206aとでシートを挟み込む状態にする。この状態にすることで、シートの搬送方向(X軸方向)の位置揃えが行われる。すなわち、この動作によって、ジョガーフェンス205、206に積載されているシートの先端が整合される(搬送方向の端部の整合)。
【0031】
これと同時に、ジョガーフェンス205、206がそれぞれ近接し合う方向(内側)へと移動し、シートを幅方向から挟み込んだ状態にする。この挟み込み状態によって、シートの側端の整合が行われる(
図6(b)参照)。幅方向及び搬送方向の端部の整合(端部の位置揃え)が完了した後、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、後端ガイド212は、再びシート受入位置へと移動する(
図6(a)参照)。
【0032】
上記の位置揃え動作をシートの1枚目から最終シートまで繰り返す。そして、最終のシートの位置揃え動作が完了するとジョガーフェンス205、206は、幅方向の挟み込み位置を相対的に保持したまま、ステイプルユニット209が綴じ処理を行う所定の位置としての「ステイプルポジション(綴じ位置)」まで、シート束PBの側端を移動させる。
【0033】
先端ストッパ207は、ジョガーフェンス205、206の移動の際、
図7に示すようにシート束PBの先端を整合可能な位置に留まったまま、ステイプルポジションへのジョガーフェンス205、206の移動を阻害しない状態になるように動作する。
【0034】
ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションに移動すると、シート束PBに対して綴じ処理が行われる。ステイプルユニット209による綴じ処理が完了した後、ジョガーフェンス205、206はシートの幅方向の位置揃えを行っていた位置まで戻る。このとき、先端ストッパ207もシート搬送方向の揃え位置まで戻る。すなわち、シート束PBは一度先端が整合された状態のまま、綴じ位置まで移動し、その後、幅方向の位置揃えを行っていた位置まで戻ってくる。そして、ジョガーフェンス205、206のそれぞれを互いに離れる方向に移動させることにより、ジョガーフェンス205、206の積載部がシート束PBの幅方向の側端より外側に位置され、下部に位置する排出トレイ204にシート束PBを落下させる。シート束PBの落下後、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207はシート受入位置へと移動される。
【0035】
シート束PBの落下後、シート束PBの紙面検知フィラー211は、退避位置からシートの積載高さの検知を行う検知位置に突出(移動)され、積載されたシート束PBの厚み分、排出トレイ204が下降される。これによりジョガーフェンス205、206の底面から排出トレイ204上の最上部のシートまでの距離が一定に保たれるため、シートを多数枚積載することが可能となる。なお、排出トレイ204の下降動作が完了した後に、ジョガーフェンス205、206がシート受入位置に移動されるようにしてもよし、完了前に移動されるようにしてもよい。
【0036】
全ての印刷ジョブが完了すると、排出トレイ204は最下部(イニシャル位置)まで下降されるとともに、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、ステイプルユニット209もホーム位置に移動される。
【0037】
図8(a)は、本実施形態に係る先端ストッパ207を備えるシート整合装置200の上面図である。
図8(b)は、
図8(a)のB-B断面図である。本実施形態に係る先端ストッパ207は、シート束PBの搬送方向先端の位置を規制して先端を整合させるように形成されている。
【0038】
ここで、先端ストッパ207の各動作位置については説明する。シート受け入れ時である待機時の位置(待機位置)は、排出されたシートの先端の位置に対して「X」ミリメートル程度の隙間を形成できる位置に、すなわち、シートの搬送方向の長さ寸法(シート長)に対して「X」を加えた長さに相当する位置である。ここで「X」は0より大きい値である。
【0039】
また、先端ストッパ207がシートの先端を整合させる時の位置(揃え位置)は、シートの搬送方向の長さ寸法(シート長)に相当する位置である。また、先端ストッパ207がシートの先端を整合させながら、ステイプルポジションに移動する時の位置(移動時位置)は、シートの搬送方向の長さ寸法(シート長)に相当する位置である。そして、綴じ処理が終了したシート束PBを排出トレイ204に排出する時の位置(排出時位置)は、シートの搬送方向の長さ寸法(シート長)に相当する位置である。すなわち、先端ストッパ207は、シート束PBの先端を整合した後、綴じ処理が行われて排出されるまで、シート束PBの先端を整合し続ける位置に留まるように構成されている。
【0040】
なお、
図24に例示するように、ステイプルユニット209はシートの搬送方向に移動可能である。また、ジョガーフェンス205、206は、シートの幅方向の寸法及び搬送方向の寸法を規定する「シートサイズ」に合わせて、所定の位置にて綴じ処理を実行する。したがって、ジョガーフェンス205、206もシートサイズ(シートの幅)に合わせて、側端を整合するときの移動量を変化させる。
【0041】
また、シートの側端を整合した状態からステイプルポジションへとジョガーフェンス205、206が移動するときの移動量(移動距離)は、シートサイズによって異なる。よって、ジョガーフェンス205、206は、シートサイズに応じて、適宜異なる移動量(移動距離)の移動を行うように制御部260において制御される。
【0042】
例えば、シートサイズが定形の「A3判」である場合、その幅の寸法は「297mm」であり、「B5判」の場合は「182mm」である。これら二つのシートサイズを比較すると、幅の寸法の差は115mmである。したがって、B5判のシートによるシート束PBをステイプルポジションに移動させるときは、A3判のシートによるシート束PBを移動させるときよりも、57.5mmだけ多く移動するように、制御部260によって制御される。
【0043】
図9は、先端ストッパ207及びその周囲を拡大した斜視図である。
図9(a)に示すように、先端ストッパ207は、シートの先端を整合し、ジョガーフェンス205、206が綴じ位置へ移動する時に、ジョガーフェンス206によって矢印Dの方向に回動させられる構造を有している。先端ストッパ207は、回動時にシート束PBの先端に当接しながら摺動する当接部2071と、当接部2071を回動させるときの回転軸であって、シート搬送方向に異動させるときの移動軸でもある軸部材としての先端ストッパ保持軸2072と、当接部2071を先端ストッパ保持軸2072に沿って、シートの搬送方向において移動させるためのタイミングベルト2073と、当接部2071がシート受入時においてシートの先端を整合させる位置に留まるように、当接部2071を保持する磁力を発生させる磁石2074と、磁石2074の磁力によって当接部2071が所定の位置に留まるように規制する先端ストッパ規制軸2075と、を有している。
【0044】
タイミングベルト2073は、先端ストッパ移動モータとプーリによって動作する。
【0045】
なお、
図9(b)に示すように、先端ストッパ207は、当接部2071と規制軸部材としての先端ストッパ規制軸2075の間をつなげるように配置される弾性部材としての戻しバネ2076を備えてもよい。戻しバネ2076は、当接部2071が矢印Dの方向に回動した後、ジョガーフェンス205、206がシート受入位置に戻ったときに、当接部2071を先端整合位置に戻す方向に付勢する弾性部材である。
【0046】
矢印Dの方向に当接部2071が回動するときは、この当接部2071のシート束PBの先端部に対向している面、すなわち当接面は、シート束PBの先端部分に対して摺動しながら、垂直方向に向かって弧を描くように移動する。この移動の間、当接面はシート束PBの整合された先端に当接している。
【0047】
[ステイプルモードの動作手順]
図10は、上記で説明したステイプルモードの動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、制御部260からの指示(制御信号)に基づき行われる。なお、動作の詳細については上記のとおりであることから、ここでは簡略的な説明とする。
【0048】
ステイプルモードの動作開始時、排出トレイ204及びジョガーフェンス205、206はホーム位置からシート受入位置へ移動され、ステイプルユニット209はホーム位置から規定のスティプル位置へ移動される(S1001)。そして先端ストッパ207は、ホーム位置からシート受入位置へ移動され、紙面検知フィラー211は検知位置から退避される(S1002)。
【0049】
排紙ローラ対203からシートが排紙されると(S1003)、後端ガイド212が下降されてシートを上方から押さえ(S1004)、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207によるシート揃えが行われる(S1005)。シート揃えを行った後、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207は、シート受入位置へ移動され、そして後端ガイド212が上昇される(S1006)。
【0050】
制御部260は、最終シートであるかを判定し(S1007)、最終シートで無い場合(S1007:No)、処理はS1003に戻り、最終シートになるまでS1003からS1007が繰り返される。最終シートである場合(S1007:Yes)、ジョガーフェンス205、206はステイプルポジションへ移動される(S1008)。S1008におけるこの移動中に、先端ストッパ207は後述するように垂直方向に退避する(S1009)。
【0051】
ステイプルポジションにジョガーフェンス205、206が移動した後、ステイプルユニット209が閉じ位置に移動されたシート束PBに綴じ処理を行う(S1010)。
【0052】
綴じ処理後、ジョガーフェンス205、206は、シート放出位置へ移動される(S1011)。ジョガーフェンス205、206の移動によって、先端ストッパ207は、元の姿勢に戻る(S1012)。そしてジョガーフェンス205、206は、相互で離間するように移動されてシート束PBを落下させる(S1013)。
【0053】
シート束PBが排出トレイ204の上に落下した後、紙面検知フィラー211は検知位置へ復帰(移動)され、ジョガーフェンス205、206はシート受入位置へ移動されて(S1014)、排出トレイ204が降下する(S1015)。この降下は、紙面検知センサがOFFになるまで行われる(S1016:Noのループ)。紙面検知センサがOFFになると(S1016:Yes)、排出トレイ204の降下が停止される(S1017)。
【0054】
その後制御部260は、ジョブが完了したかを判定し(S1018)、完了していない場合(S1018:No)、処理はS1002に戻る。ジョブが完了すると(S1018:Yes)、排出トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、ステイプルユニット209は、ホーム位置へ移動されて(S1019)、
図10のフローチャートは終了する。なお、ジョガーフェンス205、206のシート受入位置への移動は、S1014で行われるのではなく、S1018の直前に行われるようにしてもよい。
【0055】
従来、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションに移動するとき、先端ストッパ207がシート束PBの先端を整合する位置にとどまっていると、ジョガーフェンス206の移動の障害となる。そこで、ステイプルポジションへの移動時には、先端ストッパ207はシート束PBから離れた位置に移動する。このとき、シート束PBの先端には、規制部材は何も当接していない状態になるので、ジョガーフェンス205、206で支持された状態でステイプルポジションへと移動することでシート束PBの先端の整合が乱れる可能性がある。
【0056】
本実施形態に係る先端ストッパ207は、ステイプルポジションへのジョガーフェンス206の移動時に、ジョガーフェンス206の移動を阻害しないように退避しつつ、シート束PBの先端の整合を維持する状態は継続させることができる。これによって、シードの整合精度を向上させることができる。
【0057】
図11及び
図12を用いて、上記のS1008、S1009、S1011、S1012における先端ストッパ207の動作について説明する。
図11及び
図12は、先端ストッパ207を、シートの先端が当接する面の反対側からシート搬送方向上流側に見た図である。
【0058】
図11(a)は、上記のS1008に相当するタイミングを例示している。このとき、先端ストッパ207は、シートの先端を整合する整合位置にある。そして、ジョガーフェンス205、206はステイプルポジションへ移動を開始する状態である。
図11(b)は、S1009に相当するタイミングを例示している。
図11(a)に示すように、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションへと移動するとき、先端ストッパ207がジョガーフェンス206の移動経路上に位置している。そして、シート束PBが先端を接触したままで移動を開始するので、先端ストッパ207も矢印Dの方向へと回動し始める。
【0059】
続いて、
図11(b)に示すように、ステイプルポジションへと移動するジョガーフェンス206が当接部2071の側面(シート束PBの先端を整合する面に対する側面)に当たり、そのまま移動を続けることで当接部2071の側面を移動方向に押すようにする。このときのジョガーフェンス206によって側面を押された当接部2071は、ジョガーフェンス206からの付勢によって、先端ストッパ保持軸2072を回転軸として、矢印Dの方向へと回動する。
【0060】
回動中の当接部2071は、シート束PBの先端に当接した状態のままを維持する。すなわち、ステイプルポジションに移動するときに、シート束PBの先端の整合は維持された状態になる。
【0061】
図12(a)は、上記のS1011に相当するタイミングを例示している。このとき、シート揃え位置(元の位置)移動するジョガーフェンス205、206のうち、ジョガーフェンス206は当接部2071の側面から離れていていき、ジョガーフェンス205が当接部2071の反対側面(ジョガーフェンス206によって押された側面の反対面)を一時的に付勢する。そして、先端ストッパ207は自重によって矢印Eの方向に回動し始める。
【0062】
図12(b)は、上記のS1012に相当するタイミングを例示している。ジョガーフェンス205、206が、元の位置に戻るときには、当接部2071も自重によって、先端ストッパ保持軸2072を回転中心とする矢印Eの方向の回動で元の位置に戻る。このとき、磁石2074が先端ストッパ規制軸2075に吸着することで、当接部2071の矢印Eの方向への回動が停止する。
【0063】
なお、
図9(b)の例示したように、先端ストッパ207が戻しバネ2076を備えれば、当接部2071はジョガーフェンス206による付勢がなくなった段階で、戻しバネ2076の付勢によって、元の位置に向かって回動し、磁石2074が先端ストッパ規制軸2075に吸着する位置まで戻る。
【0064】
なお、先端ストッパ207の当接部2071は、シート束PBの先端を摺動しながら回転移動するので、シート束PBとの摩擦抵抗を小さくすることによって、シート束PBのダメージを低減できると共に部品の耐久性も向上できる。
【0065】
<第二実施形態>
次に、第一実施形態として説明した先端ストッパ207の別の実施形態として、シート束PBの先端の整合を維持する構成に差異を有する先端ストッパ207aについて説明する。
図13及び
図14は、本実施形態に係る先端ストッパ207aをシートの先端が当接する面の反対側からシート搬送方向上流側に見た図である。
図15は、本実施形態に係るシート整合装置200の上面図である。
図16は、
図15(a)におけるC-C断面図である。
【0066】
図13に示すように、本実施形態に係る先端ストッパ207aは、第一実施形態に係る先端ストッパ207とは異なり、当接部2071aの下端に延長当接保持部2077と、延長当接部2078と、を備えている。延長当接保持部2077は、当接部2071aの下端に固定された軸部材であって、当接部2071aの下辺に対して傾斜した姿勢で固定されている。回動当接部材としての延長当接部2078は、延長当接保持部2077に固定されているローラ状の部材である。
【0067】
図13(a)は、シートを受入位置において積載してシート束PBを形成し、ジョガーフェンス205、206によって側端の整合を行い、先端ストッパ207aによって先端の整合を行った状態を例示している。シート束PBの整合が終了すると、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションへの移動を開始する。
図13(a)に示すように、シート束PBが先端を接触したままで移動を開始するので、先端ストッパ207aも矢印Fの方向へと回動し始める。
【0068】
続いて、ステイプルポジションへと移動するジョガーフェンス206が当接部2071の側面に当たり、そのまま移動を続けることで当接部2071がジョガーフェンス206によって付勢されて、当接部2071は矢印Fの方向への回動を続ける。
【0069】
図13(b)は、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションに移動した状態を例示している。このとき、ローラ部材としての延長当接部2078の曲面がシート束PBの先端に当接する状態になる。
図13(a)の状態から
図13(b)の状態に遷移する途中、すなわち、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションまでに移動する途中では、当接部2071aの当接面はシート束PBの先端から離れる。しかし、その離れる頃に延長当接部2078が矢印Fの方向に回動しながらシート束PBの先端に当接する位置に移動する。したがって、移動中のシート束PBの先端の整合は維持された状態が継続する。
【0070】
延長当接部2078は樹脂ローラ、金属ローラ、もしくは、その他ゴムローラであるから、シート束PBの先端に回動して接触しても、シート束PBの端部へのダメージを低減できると共に部品の耐久性も向上できる。なお、延長当接保持部2077が当接部2071aに固定される傾斜角度は、ジョガーフェンス206がステイプルポジションに移動しきったときに、シート束PBの先端に延長当接部2078が接する角度となるように設定されている。
【0071】
また、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションからシート受入位置(排出位置)に戻るときは、
図14(a)に示すように、当接部2071aが矢印Gの方向へ回動する。そして、
図14(b)に示すように、先端ストッパ207aが元の状態に戻る。
【0072】
図15は、ステイプルポジションに移動したときのシート束PBの先端と、先端ストッパ207aの状態を例示する上面図である。
図16は、ステイプルポジションに移動したときのシート束PBの先端と、先端ストッパ207aの状態を拡大した拡大側面図である。
図15(a)に示すように、本実施形態に係る先端ストッパ207aは、シート束PBの先端に当接位置に配置されている。
図15(b)は、
図15(a)の円領域A部分を拡大した図である。
図15(b)及び
図16に示すように、先端ストッパ207aが備える当接部2071aのシート束PBとの接合面と同じ位置に、延長当接部2078の曲面が位置するように構成されている。
【0073】
<第三実施形態>
次に、先端ストッパ207のさらに別の実施形態としての先端ストッパ207bについて説明する。
図17は、本実施形態に係る先端ストッパ207bの斜視図である。
図18(a)は、本実施形態に係るシート整合装置200の上面図である。
図18(b)は、
図18(a)のB-B断面図である。
【0074】
本実施形態に係る先端ストッパ207bは、摺動部材であり平行移動部材でもある当接部2071bと、当接部2071bを平行移動が可能な状態で保持する保持部材としての平行保持部2079の二つの部材から構成されている。先端ストッパ207bは、当接部2071bが、ジョガーフェンス205、206のステイプルポジションへの移動にともなって、ジョガーフェンス205、206の移動方向と平行の方向である矢印Hの方向に移動するように構成されている。
【0075】
先端ストッパ207bは、ステイプルポジションへと移動するジョガーフェンス206によって当接部2071bの側面が押されることで、その付勢により、シート束PBの先端に当接しながら、当接部2071bが平行移動する。一方、ステイプルポジションから受入位置に戻るジョガーフェンス205によって、当接部2071bの反対側の側面が押されて平行移動して、元の位置に戻る。
【0076】
先端ストッパ207bによれば、ジョガーフェンス205、206によってステイプルポジションへと移動するシート束PBの先端に対して、当接部2071bが当接した状態を維持したままで、シート束PBを移動させることができる。したがって、ステイプルポジションに移動して綴じ処理が行われるときにも、シート束PBの先端の整合を維持したまま処理することができ、シートの整合精度を向上させることができる。
【0077】
<第四実施形態>
次に、先端ストッパ207のさらに別の実施形態としての先端ストッパ207cについて説明する。
図19は、本実施形態に係る先端ストッパ207cの斜視図である。先端ストッパ207cは、すでに説明をした先端ストッパ207bと同様に、二つの部材で構成されていて、かつ、ラックアンドピニオン機構としてのラックギア2101が付与されている当接部2071cが平行保持部2079cに対して、平行移動可能に保持されている。
【0078】
当接部2071cに付与されているラックギア2101にはピニオンギア2102が噛み合っている。ピニオンギア2102は、先端ストッパ駆動源2103によって回転駆動されるように構成されている。先端ストッパ駆動源2103は、シート整合装置200が備える制御部260によって駆動が制御される。ここで、制御部260は、ジョガーフェンス205、206の位置を検知するポジションセンサからの検知に基づいて、先端ストッパ駆動源2103の駆動を制御する。
【0079】
平行保持部2079cには、当接部2071cが当接する面の一部に溝2111が形成されている。溝2111は、当接部2071cの移動方向に伸びる凹部であって、当接部2071cに形成されているレール部2112が挿入された状態になっている。このレール部2112は溝2111に嵌合した状態で摺動可能になっているので、先端ストッパ駆動源2103によって平行移動するときでも、当接部2071cがシート束PBの先端に当接した状態を維持し続けることができる。
【0080】
すなわち、先端ストッパ207cは、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションへと移動するときに、当接部2071cが先端ストッパ駆動源2103からの駆動力を受けて、シート束PBの移動速度と同じ速度で平行移動する。これによって、シート束PBをステイプルポジションに移動させるときも、シート束PBの先端の整合状態は維持され続けるので、シートの整合精度を向上させることができる。
【0081】
<第五実施形態>
次に、先端ストッパ207のさらに別の実施形態としての先端ストッパ207dについて説明する。
図20は、本実施形態に係る先端ストッパ207dの斜視図である。先端ストッパ207dは、すでに説明をした先端ストッパ207cと同様に、二つの部材で構成され、かつ、ラックアンドピニオン機構としてのラックギア2101が付与されている当接部2071dが平行保持部2079dに対して、平行移動可能に保持されている。さらに、当接部2071dに付与されているラックギア2101にはピニオンギア2102が噛み合っていて、ピニオンギア2102の駆動力の供給源として、動力源2103dが用いられるように構成されている。したがって、当接部2071dは、動力源2103dからの駆動力によって移動するように構成されている。
【0082】
動力源2103dからの駆動力は、ベルト駆動機構を介してピニオンギア2102に伝達される。ピニオンギア2102は、ベルト駆動機構から受け取った駆動力によってラックギア2101を平行移動させる。これによって、当接部2071dが平行移動する。動力源2103dは、制御部260によって制御される。制御部260は、ジョガーフェンス205、206の位置を検知するポジションセンサからの検知に基づいて、動力源2103dの駆動を制御する。
【0083】
先端ストッパ207dは、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションへと移動するときに、当接部2071dが動力源2103dからの駆動力を受けて、シート束PBの移動速度と同じ速度で平行移動する。これによって、シート束PBをステイプルポジションに移動させるときも、シート束PBの先端の整合状態は維持され続けるので、シートの整合精度を向上させることができる。
【0084】
<第六実施形態>
次に、先端ストッパ207のさらに別の実施形態としての先端ストッパ207eについて説明する。
図21及び
図22は、本実施形態に係る先端ストッパ207eの斜視図である。先端ストッパ207eは、すでに説明をした先端ストッパ207b、207c、207dと同様に、二つの部材で構成されている。また、先端ストッパ207eは、当接部2071eと平行保持部2079eが弾性部材としてのバネ2104によって接続されている。
【0085】
図21(a)は、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションへと移動し始めるときの先端ストッパ207eを例示している。このとき、当接部2071eには、バネ2104の付勢によって、シート束PBの先端を整合するときの整合位置に留まる力が働いている。この状態において、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションへと移動すると、
図21(b)に示すように、ジョガーフェンス206によって当接部2071eの側面が押されて、当接部2071eはバネ2104の付勢力に抗いながら矢印Iの方向へと平行移動する。すなわち、バネ2104の弾力はジョガーフェンス206の移動力に抗えない程度の大きさに設定されている。
【0086】
ステイプルポジションにジョガーフェンス205、206を移動させて、ステイプルユニット209によって所定の位置に綴じ処理を実行すると、ジョガーフェンス205、206はシート受入位置に戻りだす。このときの当接部2071eを付勢しているバネ2104の弾力に抗う力は弱まる。このとき、
図22(a)に示すように、当接部2071eはバネ2104の弾力によって矢印Jの方向へと移動する。この後、ジョガーフェンス205、206がシート受入位置に戻ると、
図22(b)に示すように、当接部2071eもシート束PBの整合位置に戻る。
【0087】
先端ストッパ207eは、ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションへと移動し、その後、シート受入位置に戻る一連の動作において、当接部2071eがバネ2104の弾力とジョガーフェンス206の付勢との力関係により、ジョガーフェンス206に押されて移動する。したがって、先端ストッパ207eは、ジョガーフェンス206の移動速度、すなわち、シート束PBの移動速度と同じ速度で移動するので、ステイプルポジションへの移動の際に、シート束PBの先端を当接した状態を維持し続けることができる。
【0088】
なお、本実施形態において弾性部材としてのバネ2104を例示したが、伸縮性ゴムを用いてもよい。
【0089】
<第七実施形態>
次に、先端ストッパ207のさらに別の実施形態としての先端ストッパ207fについて説明する。
図23は、本実施形態に係る先端ストッパ207fの斜視図である。先端ストッパ207fは、すでに説明をした先端ストッパ207eと同様の構成に加えて、第一当接部2071fと、第二当接部2071gと、を備えている。
【0090】
図23に示すように、第一当接部2071fは平行保持部2079fと弾性部材としてのバネ2104によって接続されている。第二当接部2071gは、ジョガーフェンス206がステイプルポジションに移動するときに当接する位置を含み、第一当接部2071fの一部分に相当する。また、第二当接部2071gは、第一当接部2071fの内側において、第一当接部2071fと弾性部材を介して接続されている。
【0091】
ここで、バネ2104のバネ定数は、第二当接部2071gを第一当接部2071fに接続させるための弾性部材のバネ定数よりも小さく設定されている。第一当接部2071fと第二当接部2071gは、独立して平行移動するように構成されている。
【0092】
図23(a)に示すように、ジョガーフェンス206がステイプルポジションに移動することで、第二当接部2071gを押したとき、まず、第二当接部2071gと一体的に第一当接部2071fが矢印K1の方向へと平行移動する。
【0093】
その後、バネ2104が伸び切った位置まで到達し、さらにジョガーフェンス206へのステイプルポジションへ移動すると、第二当接部2071gが第一当接部2071fとは独立的に矢印K2の方向へと平行移動する(
図23(b))。
【0094】
なお、二つの弾性部材におけるバネ定数の関係を逆にすることで、第二当接部2071gが先に平行移動し、その後、第一当接部2071fが平行移動するように構成することもできる。
【0095】
したがって、本実施形態に係る先端ストッパ207fは、ジョガーフェンス206の移動速度と同じ速度で、シート束PBの先端を整合して当接している第一当接部2071f及び第二当接部2071gが平行移動する。このとき、シート束PBの先端を整合する状態は維持されるので、シートの整合精度を向上させることができる。
【0096】
上記の各実施形態を相互に組み合わせて実装してもよい。
【0097】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 :画像形成システム
100 :画像形成装置
200 :シート整合装置
202 :入口ローラ対
203 :排紙ローラ対
204 :排出トレイ
205 :ジョガーフェンス
205a :シート後端受部
206 :ジョガーフェンス
206a :シート後端受部
207、207a、207b、207c、207d、207e、207f :先端ストッパ
208 :ガイド軸
209 :ステイプルユニット
211 :紙面検知フィラー
212 :後端ガイド
213 :後端基準フェンス
260 :制御部
300 :後処理装置
400 :画像読み取り装置
2071、2071a、2071b、2071c、2071d、2071e :当接部
2071f :第一当接部
2071g :第二当接部
2072 :先端ストッパ保持軸
2073 :タイミングベルト
2074 :磁石
2075 :先端ストッパ規制軸
2076 :戻しバネ
2077 :延長当接保持部
2078 :延長当接部
2079、2079c、2079d、2079e、2079f :平行保持部
2101 :ラックギア
2102 :ピニオンギア
2103 :先端ストッパ駆動源
2103d :動力源
2104 :バネ
2111 :溝
2112 :レール部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】