(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】センサ装置の製造方法及びセンサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G01L3/10 305
(21)【出願番号】P 2020100466
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2020043076
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 史哉
(72)【発明者】
【氏名】長沼 有器
(72)【発明者】
【氏名】岡 太一
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-196855(JP,A)
【文献】特開2017-201288(JP,A)
【文献】特開2016-102671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/00-3/26
B29C 45/00-45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の物理量を測定するセンサと、
前記センサが実装された基板と、
前記基板を載置する基板載置部を有する樹脂製のインナーケースと、
前記基板及び前記インナーケースを覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケースと、を備えたセンサ装置の製造方法であって、
前記基板載置部に載置された基板を覆うように金型の一部を配置しつつ樹脂をモールドすることで、前記アウターケースを形成
し、
前記センサが、磁気検出素子であり、
前記インナーケースは、環状の永久磁石を含む被検出ユニットが挿入される環状のリング部を有すると共に、その軸方向に2分割されており、2分割された一方の前記インナーケースに、前記リング部から径方向外方に突出するように前記基板載置部が形成されており、
2分割された前記インナーケースのそれぞれに、前記リング部の内周面に沿って設けられた環状部、及び環状部から径方向外側に突出するように設けられた突設部を有する集磁リングを一体に設ける工程と、
前記基板載置部に、前記センサが搭載された前記基板を載置する工程と、
2分割された前記インナーケースを一体化することで、一対の前記集磁リングの前記突設部間に前記センサを配置する工程と、
前記基板載置部に載置された基板を覆うように金型の一部を配置しつつ、前記基板及び前記インナーケースを覆うように樹脂をモールドすることで、前記アウターケースを形成する工程と、を含む、
センサ装置の製造方法。
【請求項2】
前記金型の一部は、その先端部の前記基板載置部側の面である下面に、前記基板載置部側及び前記リング部側に開口を有し前記基板を収容するための凹部を有し、
前記金型の一部における前記リング部側の端面を、前記インナーケースのリング部に当接させ、かつ、前記凹部の周縁の前記下面を、前記基板の周縁の前記基板載置部に当接させた状態で樹脂をモールドすることで、前記アウターケースを形成する、
請求項
1に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項3】
前記アウターケースの形成後、前記金型の一部をスライドさせつつ除去する工程をさらに含む、
請求項
2に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項4】
検出対象の物理量を測定するセンサと、
前記センサが実装された基板と、
前記基板を載置する基板載置部を有する樹脂製のインナーケースと、
前記基板及び前記インナーケースを覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケースと、を備えたセンサ装置の製造方法であって、
前記基板載置部に載置された基板を覆うように金型の一部を配置しつつ樹脂をモールドすることで、前記アウターケースを形成し、
前記アウターケースの形成後、前記金型の一部を除去した開口を塞ぐように蓋部を設け、前記蓋部を前記アウターケースに一体化させる工程をさらに含む、
センサ装置の製造方法。
【請求項5】
検出対象の物理量を測定するセンサと、
前記センサが実装された基板と、
前記基板を載置する基板載置部を有する樹脂製のインナーケースと、
前記基板及び前記インナーケースを覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケースと、を備えたセンサ装置の製造方法であって、
前記基板載置部に載置された基板を覆うように金型の一部を配置しつつ樹脂をモールドすることで、前記アウターケースを形成し、
前記アウターケースの形成時には、前記基板載置部に形成された突起が前記基板の貫通孔に嵌合されることで、前記基板載置部に対する前記基板の位置決めがなされており、
前記アウターケースを形成し前記金型の一部を除去した後に、前記突起の一部の先端部を加熱しつつ変形させる熱加締めを行うことで、前記基板を前記基板載置部に固定する、
センサ装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板載置部には、前記基板を載置する側の面から突出する端子を有するコネクタが設けられ、
前記基板に形成された前記端子の接続用の接続孔に、前記端子を挿通した状態で前記アウターケースの形成を行い、
前記アウターケースを形成し前記金型の一部を除去した後に、前記端子を前記基板に半田固定する、
請求項
5に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項7】
前記金型の一部は、前記突起の先端部及び前記基板載置部の縁部に当接して、前記突起の先端部及び前記基板載置部の縁部を支持するように構成されており、当該支持により、前記アウターケースの形成時の樹脂圧による前記基板載置部の変形を抑制するように構成されている、
請求項
5または
6に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項8】
検出対象の物理量を測定するセンサと、
前記センサが実装された基板と、
前記基板を載置する基板載置部を有する樹脂製のインナーケースと、
前記基板及び前記インナーケースを覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケースと、を備え、
前記基板の前記基板載置部と反対側の表面と、前記アウターケースの内面とが、中空部を介して直接対向して
おり、
前記基板は、前記基板載置部に形成された突起が前記基板の貫通孔に嵌合され、かつ、前記突起の一部の先端部を加熱しつつ変形させる熱加締めを行うことで、前記基板載置部に固定されており、
前記基板載置部には、前記基板を載置する側の面から突出する端子を有するコネクタが設けられ、前記基板に形成された前記端子の接続用の接続孔に、前記端子が挿通され固定されており、
前記端子を挟み込むように設けられた一対の前記突起のみに熱加締めを行うことで、前記基板が前記基板載置部に固定されている、
センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置の製造方法及びセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検出対象の物理量を測定するセンサと、センサが実装された基板と、基板を収容するインナーケースと、を備えたセンサ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のセンサ装置においては、インナーケースの外側をモールド成形することによりアウターケースを成形することがある。この場合には、インナーケースを金型内に配置して溶融樹脂を射出成形するが、この射出成形時における樹脂圧によってインナーケースが変形し、基板やセンサが破損してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、アウターケースのモールド成形時における樹脂圧による基板やセンサの破損を抑制することができるセンサ装置の製造方法及びセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、検出対象の物理量を測定するセンサと、前記センサが実装された基板と、前記基板を載置する基板載置部を有する樹脂製のインナーケースと、前記基板及び前記インナーケースを覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケースと、を備えたセンサ装置の製造方法であって、前記基板載置部に載置された基板を覆うように金型の一部を配置しつつ樹脂をモールドすることで、前記アウターケースを形成する、センサ装置の製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、検出対象の物理量を測定するセンサと、前記センサが実装された基板と、前記基板を載置する基板載置部を有する樹脂製のインナーケースと、前記基板及び前記インナーケースを覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケースと、を備え、前記基板の前記基板載置部と反対側の表面と、前記アウターケースの内面とが、中空部を介して直接対向している、センサ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アウターケースのモールド成形時における樹脂圧による基板やセンサの破損を抑制することができるセンサ装置の製造方法及びセンサ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るセンサ装置を示す図であり、(a)は外観を示す斜視図、(b)は蓋部を省略した斜視図である。
【
図2】(a),(b)は、センサ装置においてアウターケースを省略した斜視図である。
【
図6】(a),(b)は、センサ装置の製造方法を説明する図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態に係るセンサ装置を示す図であり、(a)は外観を示す斜視図、(b)は蓋部を省略した斜視図である。
【
図9】(a),(b)は、下側分割インナーケースと基板を示す斜視図である。
【
図10】(a)は基板載置部の斜視図であり、(b)は基板載置部に基板を載置した際の斜視図である。
【
図12】(a)はセンサ装置の製造方法を説明する図であり、(b)はスライド金型の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0011】
(センサ装置の全体構成)
図1は、本実施の形態に係るセンサ装置を示す図であり、(a)は外観を示す斜視図、(b)は蓋部を省略した斜視図である。
図2(a),(b)は、センサ装置においてアウターケースを省略した斜視図である。
図3は、被検出ユニットを説明する図である。
図4,5は、
図2の分解斜視図である。以下では、本発明のセンサ装置がトルク検出に用いられる場合を例に説明するが、センサ装置の用途はこれに限定されない。
【0012】
図1乃至5に示すように、センサ装置1は、検出対象の物理量を測定するセンサとしての磁気検出素子2と、磁気検出素子2が実装された基板3と、基板3を載置する基板載置部42を有する樹脂製のインナーケース4と、基板3及びインナーケース4を覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケース5と、インナーケース4に一体に設けられた一対の集磁リング6,7と、を備えている。
【0013】
センサ装置1では、インナーケース4及びアウターケース5を貫通するように貫通孔8が形成されており、この貫通孔8に、トルクの検出対象となるシャフト(不図示)及び被検出ユニット10(
図3参照)が配置される。シャフトは、例えば、自動車のステアリングシャフトである。
【0014】
被検出ユニット10は、リング状の永久磁石11と、永久磁石11が発生する磁力の磁路を形成する第1及び第2ヨーク12,13と、を有している。永久磁石11は、その回転軸線Oを中心とした周方向に沿って磁性の異なる複数の磁極が形成されている。以下、説明の便宜上、回転軸線Oに平行な方向を単に軸方向という。永久磁石は、シャフトの入力軸に連結され、当該入力軸と一体に回転する。
【0015】
第1及び第2ヨーク12,13は、永久磁石11の外周に所定の隙間を設けて配置されており、樹脂等からなる保持部材(不図示)によって保持されている。第1及び第2ヨーク12,13は、シャフトの出力軸に連結され、当該出力軸と一体に回転する。シャフトの入力軸と出力軸とはトーションバーを介して連結されている。第1及び第2ヨーク12,13は、円環状に形成された円環部12a,13aと、円環部12aから軸方向に突出する複数の歯部12b,13bと、を一体に有している。第1及び第2ヨーク12,13は、軸方向に対向して設けられており、第1ヨーク12の歯部12bは第2ヨーク13側に、第2ヨーク部13の歯部13bは第1ヨーク12側に突出するように設けられている。第1及び第2ヨーク12,13の歯部12b,13bは、周方向に交互にかつ等間隔に設けられており、シャフトにトルクが入力されない状態において、永久磁石11のN極とS極との中間(歯部12b,13bのN極に対向する面積とS極に対向する面積が等しくなる位置)に位置するように構成されている。
【0016】
被検出ユニット10では、シャフトの入力軸と出力軸とを連結するトーションバーに捩れが生じると、永久磁石11と第1及び第2ヨーク12,13との相対的な位置関係が変化し、歯部12b,13bにおいてN極に対向する面積とS極に対向する面積との割合が変化して、第1及び第2ヨーク12,13間の磁界の強度が変化する。センサ装置1は、この磁界の強度の変化を集磁リング6,7を介して磁気検出素子2によって検出することで、入力軸に入力されたトルクを検出する。なお、永久磁石11は本発明における検出対象に相当し、永久磁石11と第1及び第2ヨーク12,13との位置関係に基づく(あるいは入力軸に入力されたトルクに基づく)第1及び第2ヨーク12,13間の磁界の強度が、本発明における「検出対象の物理量」に相当する。
【0017】
(磁気検出素子2及び基板3の説明)
磁気検出素子2は、例えばホール効果を利用して磁界の強度を検出するホールICである。本実施の形態では、冗長化のために2つの磁気検出素子2が設けられている。
【0018】
基板3には、2つの磁気検出素子2を含む複数の電子部品が搭載されている。基板3のリング部41側の端部には、2つの切欠き31が形成されており、2つの切欠き31を跨ぐようにそれぞれ磁気検出素子2が搭載されている。また、基板3には、複数の端子91が電気的に接続される複数の接続孔32と、基板載置部42に設けられた突起421を収容することで基板3の位置決めを行うための複数の貫通孔33とが形成されている。接続孔32及び貫通孔33は、基板3の板厚方向に貫通して形成されている。
【0019】
(インナーケース4の説明)
インナーケース4は、樹脂製であり、永久磁石11を含む被検出ユニット10が挿入される円環状のリング部41と、リング部41から径方向外方に突出するように設けられた基板載置部42と、を有している。リング部41の中心に位置する中空部が、被検出ユニット10を配置する貫通孔8となる。
【0020】
また、インナーケース4は、軸方向に2分割されている。2分割された一方(
図4における上側)のインナーケース4を上側分割インナーケース4aと呼称し、他方(
図4における下側)のインナーケース4を下側分割インナーケース4bと呼称する。以下、説明の便宜上、軸方向における上側分割インナーケース4a側を上方、下側分割インナーケース4b側を下方という。
【0021】
基板載置部42は、略直方体状に形成されており、2分割された一方のインナーケース4である下側分割インナーケース4bに、リング部41から径方向外方に突出するように形成されている。なお、上側分割インナーケース4aには、基板載置部42が形成されていない。基板載置部42のリング部41と反対側の端部には、複数の端子91、及び複数の端子91を支持する支持体90を有するコネクタ9が取り付けられている。支持体90は、基板載置部42の下面より下方に突出して設けられている。端子91は、支持体90と基板載置部42とを貫通して設けられており、その両端部が、支持体90の下方、及び基板載置部42の上方に突出している。コネクタ9は、例えばインサート成形等により基板載置部42と一体に設けられている。
【0022】
また、基板載置部42には、上方に突出する複数の突起421が設けられており、この突起421を基板3の貫通孔33に挿通しつつ基板3を基板載置部42に載置することで、基板3の基板載置部42に対する位置決めが行われるように構成されている。また、複数の突起421のうち一部の先端部を加熱しつつ変形させ大径部421aを形成する熱加締めを行うことで、基板3が基板載置部42に固定される。基板載置部42は、アウターケース5のモールド成形時の樹脂圧により変形が生じないように十分な厚さに形成される。
【0023】
上側分割インナーケース4aのリング部41の下面には、下方に突出する複数の嵌合突起41aが形成されており、下側分割インナーケース4bのリング部41の上面には、嵌合突起41aを嵌合する複数の嵌合孔41bが形成されている。嵌合突起41aを対応する嵌合孔41bに嵌合させることで、上側分割インナーケース4aと下側分割インナーケース4bとが互いに固定される。
【0024】
上側分割インナーケース4a及び下側分割インナーケース4bには、それぞれ集磁リング6,7がインサート成形等により一体に設けられている。集磁リング6,7は、リング部41の内周面に沿って略環状(軸方向視でC字状)に設けられた環状部61,71と、環状部61,71から径方向外側に突出するように設けられた突設部62,72と、を有している。環状部61,71は、被検出ユニット10を貫通孔8内に配置した際に、第1及び第2ヨーク12,13と径方向に対向するように設けられている。
【0025】
本実施の形態では、集磁リング6,7は、2つの磁気検出素子2に対応して、2つの突設部62,72を有している。2つの突設部62,72は基板載置部42側に突出するように設けられており、両分割インナーケース4a,4bを一体とした際に、両集磁リング6,7の突設部62,72で上下に磁気検出素子2をそれぞれ挟み込むように構成されている。両分割インナーケース4a,4bを一体とする際には、上側分割インナーケース4aに設けられる集磁リング6の突設部62は、その一部または全体が基板3の切欠き31内に収容される。
【0026】
詳細は後述するが、本実施の形態では、基板載置部42に載置された基板3を覆うように金型の一部(スライド金型100)を配置しつつ樹脂をモールドすることで、アウターケース5を形成する。その際、金型の先端部を突き当てて当接させる当接部411が、上側分割インナーケース4aのリング部41の外周面に形成されている。当接部411は、径方向(スライド金型100のスライド方向)に対して垂直な平面状に形成される。また、基板載置部42のリング部41と反対側の端面422にも金型が突き当てられるため、この端面422も、径方向(金型のスライド方向)に対して垂直な平面状に形成されている。なお、スライド金型100の先端面にピン形状の突起を設けると共に、この突起に嵌合する穴を当接部411側に設けてもよい(図示なし)。これにより、スライド金型100と当接部411とが篏合できるようになり、インサート成形時の位置出し、保持が可能になる。
【0027】
このように、本実施の形態では、インナーケース4を軸方向に2分割しており、かつ、両分割インナーケース4a,4bに集磁リング6,7を一体に設けており、基板載置部42に基板3を載置した後に両分割インナーケース4a,4bを一体化している。このような構成とすることにより、アウターケース5の形成前に、一対の集磁リング6,7の突設部62,72間に磁気検出素子2を配置することが可能になる。なお、例えば、アウターケース5の形成時に磁気検出素子2や基板3が破損することを抑制するために、アウターケース5の形成後に基板3を載置することが考えられる。しかし、この場合、集磁リング6,7の突設部62,72間に磁気検出素子2を挿入する際に、基板3がコネクタ9の端子91に干渉してしまい、磁気検出素子2を集磁リング6,7の突設部62,72間に配置することが困難となる。そのため、例えば、一方の集磁リング6の突設部62近傍の部分を別部材として分割して形成し、基板3を基板載置部42に載置した後に、上記別部材を取り付けて磁気検出素子2を突設部62,72で挟み込む等する必要があり、組立工程が複雑化し部品点数が増加してしまうおそれがある。本実施の形態では、詳細は後述するが、基板載置部42に載置された基板3を覆うように金型の一部(スライド金型100)を配置しつつ樹脂をモールドすることでアウターケース5を形成するために、アウターケース5の形成時に磁気検出素子2や基板3が破損してしまうことを抑制可能である。そのため、基板3、集磁リング6,7、及びコネクタ9を予め組立てた状態とし、その周囲を覆うようにアウターケース5をモールド成形することが可能である。さらに本実施の形態によれば、基板載置部42に基板3を載置した後に両分割インナーケース4a,4bを一体化するだけで突設部62,72間に磁気検出素子2を配置可能であり、組立工程が容易で、かつ部品点数の増加を抑制可能である。
【0028】
(アウターケース5の説明)
アウターケース5は、基板3及びインナーケース4を覆うように設けられる本体部51と、後述する金型の一部(スライド金型100)を除去した後の開口を塞ぐように設けられる蓋部52と、を有している。
【0029】
本体部51は、被検出ユニット10を挿入する貫通孔8を有する筒状の筒状部511と、筒状部511の中心軸を挟んで対向する位置から径方向外方に突出したフランジ部512と、基板3及び基板載置部42を覆うように設けられた基板収容部513と、基板収容部513から下方に突出するように設けられコネクタ9の周囲を覆うコネクタ収容部514と、を一体に有している。フランジ部512には、ボルト固定用のボルト穴512aが形成されている。また、ボルト固定時のフランジ部512のクリープ変形を抑制するために、ボルト穴512aの内周面に沿って円筒状の金属からなるカラー512bが設けられている。蓋部52は、基板収容部513の筒状部511と反対側の端部に形成される開口を塞ぐように設けられる。蓋部52は、例えばレーザー溶着により本体部51と一体に設けられる。
【0030】
本実施の形態に係るセンサ装置1では、基板3の基板載置部42と反対側の表面と、アウターケース5の内面(基板収容部513の内面)とが、中空部5aを介して直接対向している。つまり、基板3の表面と、アウターケース5の内面(基板収容部513の内面)との間に、インナーケース4等の他部材が配置されていない。この基板3とアウターケース5間の中空部5aは、アウターケース5のモールド成形時に金型の一部(スライド金型100)が配置される空間であり、金型を除去することによって中空部5aが形成されることになる。
【0031】
(センサ装置1の製造方法)
センサ装置1を製造する際には、まず、インサート成形等により集磁リング6を一体に設けた上側分割インナーケース4aを準備すると共に、インサート成形等により集磁リング7とコネクタ9とを一体に設けた下側分割インナーケース4bを準備し、さらに、磁気検出素子2を含む電子部品を実装した基板3を準備する準備工程を行う。
【0032】
準備工程の後、下側分割インナーケース4bの基板載置部42に基板3を載置する基板載置工程を行う。この際、突起421を基板3の貫通孔33に挿通しつつ基板3を基板載置部42に載置することで、基板3の基板載置部42に対する位置決めが行われる。その後、複数の突起421のうち一部の先端部を加熱しつつ変形させ大径部421aを形成する熱加締めを行うことで、基板3を基板載置部42に固定する。また、コネクタ9の端子91を接続孔32に挿入し、半田等により端子91を基板3に電気的に接続する。なお、端子91との半田付け前に、先に第2突起421cの熱加締めを行うことが好ましい。基板3の位置が固定されてから半田付けされることになり、半田付け時に与える負荷を抑制することができる。
【0033】
基板載置工程の後、2分割された分割インナーケース4a,4bを一体化するインナーケース組立工程を行う。この際、上側分割インナーケース4aの嵌合突起41aを下側分割インナーケース4bの嵌合孔41bに嵌合させることで、両分割インナーケース4a,4bを一体化する。これにより、一対の集磁リング6,7の突設部62,72間に磁気検出素子2が配置される。
【0034】
インナーケース組立工程の後、アウターケース5を形成するアウターケース形成工程を行う。アウターケース成形工程では、基板3とインナーケース4とを金型内に配置し、溶融樹脂を金型内に流し込むことでアウターケース5を形成する。
【0035】
本実施の形態に係るセンサ装置の製造方法では、
図6(a),(b)に示すように、アウターケース成形工程において、基板載置部42に載置された基板3を覆うように金型の一部(以下、スライド金型100と呼称する)を配置しつつ樹脂をモールドすることで、アウターケース5を形成する。
【0036】
スライド金型100は、リング部41の径方向(リング部41に対する基板載置部42の突出方向)に沿ってスライド移動可能に設けられている。スライド金型100の先端部には、スライド金型100を前方(リング部41側)にスライド移動した際に基板載置部42を避けるように切欠き101が形成されている。また、スライド金型100の先端部における下面(基板載置部42側の面、切欠き101の上側の面)102には、基板載置部42に載置した基板3を避けるための凹部102aが上方に凹むように形成されている。凹部102aは、スライド金型100を前方にスライドした際に基板3を凹部102a内に収容できるように、下方及び前方(基板載置部42側及びリング部41側)に開口するように形成されている。凹部102aの底面には、当該底面から下方に突出する一対の柱部102bが形成されている。
【0037】
アウターケース5を形成する際には、スライド金型100を前方(リング部41側)に進出させる。このとき、スライド金型100の先端面(スライド方向前方の端面、リング部51側の端面)を、インナーケース4のリング部41に設けられた当接部411に当接させ、かつ、凹部102aの周縁の下面102(凹部102aを形成していない下面102の縁部分)を、基板3の周縁の基板載置部42の上面に当接させた状態とする(
図6(b)参照)。また、このとき、基板載置部42の端面422にも、切欠き101の後部の段差面が当接する。さらに、本実施の形態では、スライド金型100を前方に進出させ凹部102aに基板3を収容したとき、凹部102aの底面に形成された柱部102bの端面(下面)が、熱加締めにより形成された大径部421a(または突起421の先端)に当接するように構成されている。ここでは、一対の柱部102bのそれぞれに2つの大径部421aが当接するように構成されているが、大径部421a毎に柱部102bが設けられていてもよい。また、大径部421aを形成していない突起421に当接する柱部102bがさらに形成されていてもよい。これにより、アウターケース5のモールド成形時の樹脂圧により基板載置部42にかかる力を突起421(大径部421a)を介してスライド金型100で受けることが可能となり、基板載置部42の樹脂圧による変形を抑制し、基板載置部42の変形に伴う基板3や磁気検出素子2の破損を抑制することが可能になる。
【0038】
この状態で樹脂をモールドすることで、
図7に示すように、アウターケース5の本体部51が形成される。本体部51の形成後、スライド金型100をスライドさせつつ除去する(後退させる)。すると、
図1(b)のように、基板収容部513の端部が開放された状態となる。このとき、基板3の表面と、アウターケース5の内面との間は、スライド金型100を除去した空間である中空部5aが形成され、アウターケース5と基板3とが中空部5aを介して直接対向した状態となる。
【0039】
アウターケース5の本体部51を形成した後、スライド金型100を除去した開口を塞ぐように蓋部52を設け、蓋部52をレーザー溶着等によりアウターケース5の本体部51に一体化させる。以上により、
図1(a)のセンサ装置1が得られる。
【0040】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るセンサ装置の製造方法では、基板載置部42に載置された基板3を覆うように金型の一部(スライド金型100)を配置しつつ樹脂をモールドすることで、アウターケース5を形成している。
【0041】
これにより、アウターケース5のモールド成形時の樹脂圧を金型の一部(スライド金型100)で受けることが可能となり、樹脂圧による基板3や磁気検出素子2の破損を抑制することが可能になる。
【0042】
(他の実施の形態)
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
図8は、本発明の他の実施の形態に係るセンサ装置1aを示す図であり、(a)は外観を示す斜視図、(b)は蓋部52を省略した斜視図である。
図9(a),(b)は、下側分割インナーケース4bと基板3を示す斜視図である。
図10(a)は基板載置部42の斜視図であり、(b)は基板載置部42に基板3を載置した際の斜視図である。
【0043】
図8~10に示すようにセンサ装置1aは、上述の
図1~7で説明したセンサ装置1と基本的に同じ構成となっているが、基板載置部42の形状や基板載置部42における基板3の固定構造、基板3の電子部品の配置、及びアウターケース5の蓋部52が傾斜して設けられている点が異なっている。また、詳細は後述するが、センサ装置1aの製造に用いるスライド金型100の形状が異なり、センサ装置1aを製造する際の手順も異なっている。以下、これら相違点について詳細に説明する。
【0044】
以下の説明では、リング部41に対する基板載置部42の突出方向(リング部41の径方向)を長さ方向といい、長さ方向におけるリング部41側を基端側、リング部41と反対側を先端側という。また、長さ方向及び上下方向(リング部41の軸方向)に対して垂直な方向を幅方向という。
【0045】
まず基板載置部42の形状、及び、基板載置部42における基板3の固定構造について説明する。基板載置部42の先端部における幅方向中央には、8本の端子91を有するコネクタ9が一体に設けられている。端子91は、長さ方向に2列に配置されており、各列では幅方向に4つの端子91が整列配置されている。コネクタ9を幅方向に挟み込むように、基板3の底面に接触し基板3を支持する台座部423が設けられている。同様に、基板載置部42の基端部における幅方向の両端部にも、基板3の底面に接触し基板3を支持する台座部424が設けられている。台座部423,424は、平面視で矩形状に形成され、その表面が平坦となるように形成されている。
【0046】
基板載置部42には、上方に突出する6つの突起421が形成されている。6つの突起421は、基板3の位置決め用の4つの第1突起421bと、基板3を熱加締めするための1対(2つ)の第2突起421cと、を有している。第1突起421b及び第2突起421cは、共に円柱状に形成されている。
【0047】
熱加締めにより安定して基板3を固定するために、一対の第2突起421cは、台座部423の中央部から上方に突出するように設けられている。熱加締めにより第2突起421cの先端部が潰され大径部421a(
図8(b)参照)が形成される。そして、この大径部421aと台座部423に基板3が狭持されることで、基板3を安定して基板載置部42に固定することが可能になる。なお、熱加締めにより先端部が潰されるために、第2突起421cの突出長は、第1突起421bの突出長よりも長い。
【0048】
この実施の形態では、8本の端子91を幅方向に挟み込むように設けられた一対の第2突起421cのみに熱加締めを行うことで、基板3が基板載置部42に固定されている。詳細は後述するが、この実施の形態では端子91の半田付けや第2突起421cの熱加締めをアウターケース5の成形後に行うが、半田付けや熱加締めが必要な端子91や第2突起421cを基板載置部42の先端側にまとめておくことで、スライド金型100を除去した後の開口から端子91の半田付け、及び第2突起421cの熱加締めを容易に行えるようになる。
【0049】
第1突起421bは、基板3の幅方向及び長さ方向の移動を規制することで、基板3の基板載置部42上での位置決めを行う。第1突起421bは、基板3の貫通孔33に嵌合される。第1突起421bと貫通孔33のクリアランスはできるだけ小さく設定され、これにより基板3の位置決め精度の向上が図られている。また、第1突起421bを複数箇所に設けることにより、基板3の回転防止が図られている。
【0050】
コネクタ9の近傍には、3つの第1突起421bが幅方向に整列して形成されている。半田付けや熱加締めの際の位置ずれを抑制するために、3つの第1突起421bはなるべくコネクタ9や第2突起421cの近傍に設けられることが望ましい。また、3つの第1突起421bから基端側にずれた位置には、1つの第1突起421bが形成されている。この1つ第1突起421bは、基板3の基端側の位置ずれを抑制するためのものであり、基板載置部42の長さ方向における中央部よりも基端側にずれた位置であって、幅方向の中央部に設けられている。
【0051】
また、第1突起421bは、その先端部がアウターケース5の形成時にスライド金型100の下面に当接される。これにより、アウターケース5の形成時に第1突起421bがスライド金型100によって支持され、アウターケース5の形成時に樹脂圧により基板載置部42が変形してしまうことが抑制される。このため、第1突起421bは、基板3を基板載置部42に載置した際に、基板3の表面よりも若干上方に突出するように設けられている。また、スライド金型100のスライド時に第1突起421bが引っ掛からないように、第1突起421bの先端部は面取り加工(あるいは丸め加工)が施されている。この実施の形態では、第2突起421cの先端部もスライド金型100に当接するように構成し、アウターケース5の形成時の樹脂圧による基板載置部42の変形をより抑制するように構成している。
【0052】
また、
図10(b)に示すように、基板載置部42の先端部であって、幅方向の中央部には、下方に窪む凹部425が形成されており、基板3を基板載置部42に載置した際に、凹部425から基板3の下方の隙間を覗くことができるようになっている。これにより、端子91を半田固定する際に、半田が接続孔32を通って基板3の下方まで到達しているかを容易に確認でき、端子91の基板3への半田固定を確実に行うことが可能になる。
【0053】
基板載置部42の幅方向における両端部には、上方に突出するリブ状のガイド突起426が長さ方向に沿って延びるように形成されている。このガイド突起426は、後述するスライド金型100のスライド移動を案内する役割を果たす。
【0054】
また、この実施の形態では、基板3の下面(裏面)に電子部品34が搭載されており(
図9(b)参照)、基板3の上面(表面)に電子部品34が搭載されていない。これは、スライド金型100が電子部品34に干渉しないようにするための工夫である。
【0055】
さらに、この実施の形態では、アウターケース5の蓋部52が、上方ほど基端側(リング部41側)に近づくように傾斜して設けられている。換言すれば、アウターケース5の成形後にスライド金型100を除去した状態(蓋部52を設ける前の状態)において、スライド金型100を除去した開口の周縁のアウターケース5は、上方ほど基端部(リング部41側)に近づくように傾斜している。
【0056】
これにより、
図11に示すように、基板3及び基板載置部42の先端部が上方に開放される。その結果、端子91や第2突起421cが露出した状態となり、端子91の半田付け、及び第2突起421cの熱加締めを容易に行えるようになる。
【0057】
次に、センサ装置1aの製造方法及び使用するスライド金型100の形状について説明する。
図12(a)はセンサ装置1aの製造方法を説明する図であり、
図12(b)はスライド金型100の斜視図である。
【0058】
基板3等の各部品を準備する準備工程の後、基板3を基板載置部42に載置する基板実装工程を行う。この際、各突起421を基板3の対応する貫通孔33に挿通され、端子91が接続孔32に挿通される。第1突起421bが貫通孔33に篏合されることにより、基板載置部42に対する基板3の位置決めがなされる。なお、このとき、端子91の半田付けや、第2突起421cの熱加締めは行わない。
【0059】
基板載置工程の後、2分割された分割インナーケース4a,4bを一体化するインナーケース組立工程を行う。これにより、一対の集磁リング6,7の突設部62,72間に磁気検出素子2が配置される。
【0060】
インナーケース組立工程の後、アウターケース5を形成するアウターケース形成工程を行う。アウターケース成形工程では、基板3とインナーケース4とを金型内に配置し、溶融樹脂を金型内に流し込むことでアウターケース5を形成する。
【0061】
図12(a),(b)に示すように、アウターケース成形工程で用いるスライド金型100は、その下面の両側部にガイド溝103が形成されており、このガイド溝103に基板載置部42のガイド突起426を収容した状態でスライド金型100をスライドできるようになっている。スライド金型100の下面には、端子91への干渉を避けるための端子回避溝104と、一対の第2突起421cへの干渉を避けるための一対の突起回避溝105と、が形成されている。端子回避溝104は、幅方向に2分割されており、端子回避溝104同士の間、及び端子回避溝104と突起回避溝105との間に、下方に突出して第1突起421bの先端に当接し支持する支持突起106が形成されている。
【0062】
スライド金型100をガイド突起426に沿ってリング部41側にスライドさせると、第1突起421bの先端部がスライド金型100の支持突起106の端面に当接する。また、第2突起421cの先端部が、突起回避溝105の上底に当接する。つまり、スライド金型100をリング部41側に進出させると、スライド金型100は、第1及び第2突起421b,421cの先端部及び基板載置部42の縁部(幅方向両側の縁部及び先端側の縁部)に当接した状態となる。この状態でアウターケース5の成形を行うことで、スライド金型100が、第1及び第2突起421b,421cの先端部及び基板載置部42の縁部を支持することとなり、当該支持により、アウターケース5の形成時の樹脂圧による基板載置部42の変形が抑制される。この実施の形態では、基板3よりも第1突起421bの方が上方に突出しているため、樹脂圧により基板載置部42がスライド金型100側に押し付けられても、当該押し付けの力は第1及び第2突起421b、421cに負荷され、基板3に負荷がかかりにくい。よって、樹脂圧による基板3の破損を抑制し、歩留まりを改善することが可能である。スライド金型100をリング部41側に進出させた状態で樹脂成形を行うことで、アウターケース5の本体部51が形成される。
【0063】
アウターケース5の本体部51を形成した後、スライド金型100を後方にスライドしてスライド金型100を除去し、端子91の半田付け、及び第2突起421cの熱加締めを行う。この実施の形態では、基板3及び基板載置部42の先端部が上方に開放され、端子91や第2突起421cが露出した状態となっているため、端子91の半田付け、及び第2突起421cの熱加締めを容易に行うことができる。第2突起421cの熱加締めを行ってから、端子91の半田付けを行った。
【0064】
その後、本体部51を形成した後、スライド金型100を除去した開口を塞ぐように蓋部52を設け、蓋部52をレーザー溶着等によりアウターケース5の本体部51に一体化させる。以上により、
図8(a)のセンサ装置1aが得られる。
【0065】
この実施の形態では、アウターケース5の形成後に端子91の半田付け、及び第2突起421cの熱加締めを行っている。すなわち、アウターケース5の成形時には、基板3は端子91や第2突起421cとは固定されていない。そのため、アウターケース5の成形時の樹脂圧が基板3に印加されても、基板3は印加された樹脂圧を受け流すことができる。また、突起421をスライド金型100で支持し、アウターケース5の成形時の樹脂圧による基板載置部42の変形を抑制して、基板3に負荷がかからないようすることができる。その結果、基板3の変形や半田付け部分の破損を抑制することが可能になる。
【0066】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0067】
[1]検出対象の物理量を測定するセンサ(2)と、前記センサ(2)が実装された基板(3)と、前記基板(3)を載置する基板載置部(42)を有する樹脂製のインナーケース(4)と、前記基板(3)及び前記インナーケース(4)を覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケース(5)と、を備えたセンサ装置(1)の製造方法であって、前記基板載置部(42)に載置された基板(3)を覆うように金型の一部(100)を配置しつつ樹脂をモールドすることで、前記アウターケース(5)を形成する、センサ装置の製造方法。
【0068】
[2]前記センサ(2)が、磁気検出素子であり、前記インナーケース(4)は、環状の永久磁石(11)を含む被検出ユニット(10)が挿入される環状のリング部(41)を有すると共に、その軸方向に2分割されており、2分割された一方の前記インナーケース(4b)に、前記リング部(41)から径方向外方に突出するように前記基板載置部(42)が形成されており、2分割された前記インナーケース(4a,4b)のそれぞれに、前記リング部(41)の内周面に沿って設けられた環状部(61,71)、及び環状部(61,71)から径方向外側に突出するように設けられた突設部(62,72)を有する集磁リング(6,7)を一体に設ける工程と、前記基板載置部(42)に、前記センサ(2)が搭載された前記基板(3)を載置する工程と、2分割された前記インナーケース(4a,4b)を一体化することで、一対の前記集磁リング(6,7)の前記突設部(62,72)間に前記センサ(2)を配置する工程と、前記基板載置部(42)に載置された基板(3)を覆うように金型の一部(100)を配置しつつ、前記基板(3)及び前記インナーケース(4)を覆うように樹脂をモールドすることで、前記アウターケース(5)を形成する工程と、を含む、[1]に記載のセンサ装置の製造方法。
【0069】
[3]前記金型の一部(100)は、その先端部の前記基板載置部(42)側の面である下面(102)に、前記基板載置部(42)側及び前記リング部(41)側に開口を有し前記基板(3)を収容するための凹部(102a)を有し、前記金型の一部(101)における前記リング部(41)側の端面を、前記インナーケース(4)のリング部(41)に当接させ、かつ、前記凹部(102a)の周縁の前記下面(102)を、前記基板(3)の周縁の前記基板載置部(42)に当接させた状態で樹脂をモールドすることで、前記アウターケース(5)を形成する、[2]に記載のセンサ装置の製造方法。
【0070】
[4]前記アウターケース(5)の形成後、前記金型の一部(100)をスライドさせつつ除去する工程をさらに含む、[3]に記載のセンサ装置の製造方法。
【0071】
[5]前記アウターケース(5)の形成後、前記金型の一部(100)を除去した開口を塞ぐように蓋部(52)を設け、前記蓋部(52)を前記アウターケース(5)に一体化させる工程をさらに含む、[1]乃至[4]の何れか1項に記載のセンサ装置の製造方法。
【0072】
[6]前記アウターケース(5)の形成時には、前記基板載置部(42)に形成された突起(421)が前記基板(3)の貫通孔(33)に嵌合されることで、前記基板載置部(42)に対する前記基板(3)の位置決めがなされており、前記アウターケース(5)を形成し前記金型の一部(100)を除去した後に、前記突起(421)の一部の先端部を加熱しつつ変形させる熱加締めを行うことで、前記基板(3)を前記基板載置部(42)に固定する、[1]乃至[5]の何れか1項に記載のセンサ装置の製造方法。
【0073】
[7]前記基板載置部(42)には、前記基板(3)を載置する側の面から突出する端子(91)を有するコネクタ(9)が設けられ、前記基板(3)に形成された前記端子(91)の接続用の接続孔(32)に、前記端子(91)を挿通した状態で前記アウターケース(5)の形成を行い、前記アウターケース(5)を形成し前記金型の一部(100)を除去した後に、前記端子(91)を前記基板(3)に半田固定する、[6]に記載のセンサ装置の製造方法。
【0074】
[8]前記金型の一部(100)は、前記突起(421)の先端部及び前記基板載置部(42)の縁部に当接して、前記突起(421)の先端部及び前記基板載置部(42)の縁部を支持するように構成されており、当該支持により、前記アウターケース(5)の形成時の樹脂圧による前記基板載置部(42)の変形を抑制するように構成されている、[6]または[7]に記載のセンサ装置の製造方法。
【0075】
[9]検出対象の物理量を測定するセンサ(2)と、前記センサ(2)が実装された基板(3)と、前記基板(3)を載置する基板載置部(42)を有する樹脂製のインナーケース(4)と、前記基板(3)及び前記インナーケース(4)を覆うように樹脂をモールドしてなるアウターケース(5)と、を備え、前記基板(3)の前記基板載置部(42)と反対側の表面と、前記アウターケース(5)の内面とが、中空部(5a)を介して直接対向している、センサ装置(1)。
【0076】
[10]前記基板(3)は、前記基板載置部(42)に形成された突起(421)が前記基板(3)の貫通孔(33)に嵌合され、かつ、前記突起(421)の一部の先端部を加熱しつつ変形させる熱加締めを行うことで、前記基板載置部(42)に固定されており、前記基板載置部(42)には、前記基板(3)を載置する側の面から突出する端子(91)を有するコネクタ(9)が設けられ、前記基板(3)に形成された前記端子(91)の接続用の接続孔(32)に、前記端子(91)が挿通され固定されており、前記端子(91)を挟み込むように設けられた一対の前記突起(421c)のみに熱加締めを行うことで、前記基板(3)が前記基板載置部(42)に固定されている、[9]に記載のセンサ装置(1a)。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1…センサ装置
2…磁気検出素子(センサ)
3…基板
4…インナーケース
4a…上側分割インナーケース
4b…下側分割インナーケース
5…アウターケース
5a…中空部
6,7…集磁リング
41…リング部
42…基板載置部
100…スライド金型(金型の一部)