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  • 特許-界面構造探索方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】界面構造探索方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 13/00 20060101AFI20240116BHJP
   H01M 10/04 20060101ALN20240116BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240116BHJP
   H01M 4/525 20100101ALN20240116BHJP
【FI】
G01N13/00
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M4/525
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020166170
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057759
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉尾 里司
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第07/072950(WO,A1)
【文献】特開2009-301437(JP,A)
【文献】特開2019-210168(JP,A)
【文献】胡 春平 Chunping Hu,第一原理計算ソフトウェア Advance/PHASEの適用事例,アドバンスシミュレーション Vol.23 Advance Simulation,日本,アドバンスソフト株式会社,2016年12月,第23巻,p.4-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 13/00
H01M 10/04
H01M 10/052
H01M 4/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相と、液相との界面構造を探索する界面構造探索方法であって、
前記固相の表面に、前記液相が含有する分子が配置され、前記液相が含有する前記分子の配置が異なる複数の初期構造を決定する初期構造決定工程と、
複数の前記初期構造について構造緩和計算を行い、それぞれ安定構造を探索する安定構造探索工程と、
前記安定構造探索工程で求めた安定構造を表す記述子を作成する記述子作成工程と、
前記記述子を用いて、前記界面構造のエネルギーを予測するモデルを作成するモデル作成工程と、を有し、
前記モデルを用いて、前記界面構造を決定する界面構造決定工程と、を有する界面構造探索方法。
【請求項2】
前記記述子作成工程において作成する前記記述子が、前記固相、および前記液相に含まれる原子から選択した、原子間の結合数を含む請求項1に記載の界面構造探索方法。
【請求項3】
前記モデル作成工程において作成する前記モデルとして、線形回帰モデルを用いる請求項1または請求項2に記載の界面構造探索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面構造探索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固相-液相間の界面挙動は、腐食、劣化などの現象を解明、制御する上でに非常に重要である。
【0003】
固相-液相間の界面挙動の1つとして、例えばリチウムイオン二次電池においてリチウムイオンが正極材から電解液へと移動する反応も挙げられ、リチウムイオン二次電池の性能向上等の観点から、係る界面挙動を明らかにすることも求められている。このように、固相-液相間の界面挙動を明らかにすることは、腐食、劣化等の反応を抑制する上で、あるいはリチウムイオン二次電池のような各種デバイス等の性能を向上させる上で極めて重要である。
【0004】
しかしながら、固相-液相の界面の状態は極めて微小なスケールの問題であり、界面の状態を分析的手法により明らかにすることは難易度が高く、分析的手法では断片的な情報しか得ることができない。
【0005】
そのため、実験や分析によらず第一原理計算等の理論計算手法を用いて、固相-液相界面における劣化反応などを明らかにする手法が提案されている。例えば、日射遮蔽材料として用いられるCs0.33WOの水分子との界面における劣化反応に着目して解析した具体的な例が特許文献1、非特許文献1などに報告されている。
【0006】
ところで、例えばリチウムイオン二次電池の電解液は複数種の分子を含有している。このように液相が複数種の分子を含有する場合、安定な固相-液相界面を決定することが難しいという問題があった。このため、安定な固相-液相界面が推定しにくい構造においても、計算コストを抑えた上で安定な固相-液相界面を推定する手法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-191088号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】S. Yoshio, K. Adachi, and M. Kubo, "Cesium desorption mechanism in Cs 0.33 WO 3 by first-principles molecular dynamics calculations," J. Appl. Phys., 2019, vol. 126, no. 7, p. 073101.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、固相-液相の安定な界面構造を容易に推定できる界面構造探索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
固相と、液相との界面構造を探索する界面構造探索方法であって、
前記固相の表面に、前記液相が含有する分子が配置され、前記液相が含有する前記分子の配置が異なる複数の初期構造を決定する初期構造決定工程と、
複数の前記初期構造について構造緩和計算を行い、それぞれ安定構造を探索する安定構造探索工程と、
前記安定構造探索工程で求めた安定構造を表す記述子を作成する記述子作成工程と、
前記記述子を用いて、前記界面構造のエネルギーを予測するモデルを作成するモデル作成工程と、
前記モデルを用いて、前記界面構造を決定する界面構造決定工程と、を有する界面構造探索方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、固相-液相の安定な界面構造を容易に推定できる界面構造探索方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1で作成した初期構造の一例の説明図。
図2】実施例1で作成した記述子と、結合数当たりのエネルギーの関係図。
図3】実施例1、比較例1で得られた安定構造の分布図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[界面構造探索方法]
本実施形態の界面構造探索方法について説明する。
【0014】
本実施形態の界面構造探索方法は、固相と、液相との界面構造を探索する界面構造探索方法であって、以下の工程を有することができる。
【0015】
固相の表面に、液相が含有する分子が配置され、液相が含有する分子の配置が異なる複数の初期構造を決定する初期構造決定工程。
【0016】
複数の初期構造について構造緩和計算を行い、それぞれ安定構造を探索する安定構造探索工程。
【0017】
安定構造探索工程で求めた安定構造を表す記述子を作成する記述子作成工程。
【0018】
記述子を用いて、界面構造のエネルギーを予測するモデルを作成するモデル作成工程。
【0019】
モデル作成工程で用いたモデルを用いて、界面構造を決定する界面構造決定工程。
【0020】
固相-液相の界面に限らず、構造候補が多数ある場合においては各構造のエネルギーを評価し、それらが分配関数に従って実現しているとする方法が一般的に用いられる。
【0021】
低温を仮定することが妥当な状況下であれば、低エネルギー構造が高いウェイトを占めることになる。そのため、計算資源が限られている状況下においては、高いウェイトを占める低エネルギーの構造を多く計算対象とすることが望ましい。そのため、単純なランダム配置を用いた計算を行うより、ランダム配置した構造を初期構造として、構造緩和計算により安定構造を求めて、安定構造を採用して拡散などの計算を行い、物性値を評価することが好ましい。
【0022】
しかしながら、液相側の分子が大きい場合や、分子種が複数ある場合、準安定構造が多数あるため、ある初期構造をもとにして得られた安定構造は最安定構造とは限らず、最安定構造から大きくかけ離れた構造である可能性も高い。そのため、多数の構造を初期構造として作成し、それら全てについて構造緩和計算により安定構造を探索する必要がある。そのため、安定構造を探索、選定する段階で非常に多くの計算コストがかかる。
【0023】
そこで、本発明の発明者は、固相-液相の安定な界面構造を、計算量を抑制し、容易に推定できる界面構造探索方法について検討し、本発明を完成させた。本実施形態の界面構造探索方法について、工程毎に説明する。
(初期構造決定工程)
初期構造決定工程では、固相の表面に、液相が含有する分子が配置され、液相が含有する分子の配置が異なる複数の初期構造を決定できる。
【0024】
本実施形態の界面構造探索方法では、後述するように記述子作成工程、モデル作成工程により、界面構造のエネルギーを予測するモデルである予測モデルを作成できる。係る予測モデルを用いることで、計算量を抑制して、固相-液相の安定な界面構造、すなわち低エネルギーとなる界面構造を容易に探索、推定できる。ただし、上述のように予測モデルを作成するためには、初期構造が1点では不足なため、複数の初期構造を作成できる。
【0025】
初期構造決定工程において作成する初期構造の数は特に限定されず、予測モデルを作成するために必要となる数作成できる。初期構造を作成する際、固相の構造は、例えば固相の所定の結晶構造とすることができる。液相側については、例えば複数の分子種を含むように、液相に含まれる分子種を選択できる。また、液相に含まれる各分子種の物質量比に応じて、液相に含まれる分子数を決定できる。そして、液相側の分子の配置方法は特に限定されないが、例えばランダムに配置できる。
【0026】
なお、初期構造決定工程を開始する前に、上述の固相の構造、具体的には液相と接する側の表面構造を決定できる。また、初期構造決定工程を開始する前に、液相が含有する分子種の種類を決定し、該液相が含有する分子数、すなわち初期構造内に配置する液相が含有する分子の個数を決定できる。上記固相の表面構造の決定や、液相が含有する分子種の種類や、液相が含有する分子数等は初期構造決定工程内で決定することもできる。
【0027】
なお、例えばリチウムイオン二次電池の正極材料と電解液との界面構造を探索する場合、正極材料の具体的な組成は特に限定されず、リチウムイオンをドープおよび脱ドープすることができる、すなわちリチウムイオンを吸蔵・脱離できる、各種正極材料を用いることができる。正極材料としては、例えばスピネル型構造を有するリチウム金属複合酸化物や、層状構造を有するリチウム金属複合酸化物、オリビン型構造を有するリチウム金属複合酸化物等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0028】
また、液相の電解液としては、例えば支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものを用いることができる。また、電解液として、イオン液体にリチウム塩が溶解したものを用いてもよい。なお、イオン液体とは、リチウムイオン以外のカチオンおよびアニオンから構成され、常温でも液体状の塩をいう。
【0029】
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートおよびトリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネートや、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、さらにテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランおよびジメトキシエタンなどのエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトンなどの硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのリン化合物等から選ばれる1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0030】
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO、およびそれらの複合塩などを用いることができる。さらに、電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤などを含んでいてもよい。
【0031】
ここでは、界面構造として、リチウムイオン二次電池の正極材料と電解液との界面構造の場合を例に説明したが、係る形態に限定されず、本実施形態の界面構造探索方法は各種界面構造に対して適用できる。
(安定構造探索工程)
安定構造探索工程では、複数の初期構造について構造緩和計算を行い、それぞれ安定構造を探索できる。
【0032】
構造緩和計算の方法は特に限定されないが、密度汎関数理論(DFT:Density Functional Theory)に基づく平面波基底第一原理計算を用いることが好ましい。
【0033】
密度汎関数理論における汎関数としては、GGA-PBE(Generalized Gradient Approximation-Perdew,Burke,Ernzerhof)、またはより高精度な汎関数を用いることが好ましい。また、平面波のカットオフやk点のサンプリングはエネルギーが十分に収束するように、具体的には収束残差が1.0×10-5eV以下になるように選択し、構造緩和は少なくとも原子に加わる力が0.02eV/Å以下になるまで行うことが好ましい。そして、安定構造探索工程で求めた安定構造のエネルギーを求められる。
(記述子作成工程)
記述子作成工程では、安定構造探索工程で求めた安定構造を表す記述子を作成できる。具体的には、安定構造探索工程で得られた安定構造の位置情報を数値化する際に必要となる記述子を作成できる。記述子作成工程において作成する記述子としては、例えば、予め選択した原子と原子の結合距離や、予め選択した原子間の結合数、動径分布関数などを用いることができる。特に、本発明の発明者の検討によれば、安定構造には特定の原子間の結合が大きな影響を及ぼしているため、記述子作成工程において作成する記述子は、予め選択した原子間の結合数を含むことが好ましい。なお、予め選択した原子間の結合数とは、例えば固相、および液相に含まれる原子から選択した、原子間の結合数を意味する。本発明の発明者の検討によれば、例えばリチウムイオン二次電池の正極材料と電解液との界面構造においては、安定構造には、リチウムと、マイナスイオンとなる原子との間の結合数が大きな影響を有している。このため、リチウムイオン二次電池の正極材料と電解液との界面構造においては、記述子が、リチウムとマイナスイオンとなる原子との結合数を含むことが好ましい。ここでいうマイナスイオンとなる原子とは、酸素やハロゲンが挙げられ、特に酸素であることが好ましい。
【0034】
なお、予め選択した原子間の結合数を評価する場合、その結合形態は特に限定されず、例えば原子間距離が予め定めた所定の範囲内にある場合には結合しているとすることができる。係る距離は特に限定されないが、例えば2.6Å以下であることが好ましく、2.0Å以下であることがより好ましい。
(モデル作成工程)
モデル作成工程では、記述子作成工程で作成した記述子を用いて、界面構造のエネルギーを予測するモデルを作成できる。予測モデルには線形回帰や、決定木回帰、ランダムフォレスト、ガウス過程回帰等から選択された手法を用いることができる。
【0035】
ランダムフォレスト等の複雑な回帰式の場合、直感的に低エネルギーとなる界面構造を決めることが難しいため、例えば数値探索法により低エネルギーとなる界面構造を探索できる。ただし、モデル作成工程において作成するモデルとして、直感的に理解しやすい予測モデルを用いることが好ましく、例えばLasso回帰や、Ridge回帰などの線形回帰モデル等を用いることがより好ましい。
(界面構造決定工程)
そして、界面構造決定工程では、モデル作成工程で得られた予測モデルを用いて、エネルギーが低いことが予測される界面構造を作成し、構造緩和計算により界面構造を決定できる。
【0036】
エネルギーが低いことが予測される界面構造は、記述子や予測モデルに線形回帰等の分かりやすいモデルを用いている場合には、予測モデルから手動で求めることもできる、また、複雑な記述子や予測モデルを用いている場合には、ベイズ最適化や粒子群最適化などの各種数値的な最適化手法により、低エネルギーが予測される界面構造を作成できる。
【0037】
構造緩和計算については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0038】
なお、既述のモデル作成工程や、界面構造決定工程は、予測モデルを更新しながら複数回実施してもよい。
【実施例
【0039】
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の手順により界面構造の探索を行った。
(初期構造決定工程)
初期構造決定工程では、固相である正極材料の表面に、液相である電解液の分子が配置され、分子の配置が異なる複数の初期構造を決定した。このため、初期構造は、固相として正極材料の表面構造と、液相として電解液の構造とを含む。
【0040】
なお、初期構造を作成する際、ユニットセル内に、正極材料としてはLiNiOを、電解液としては、溶媒であるエチルメチルカーボネートを4分子と、エチレンカーボネート4分子と、電解質であるLiPFを2分子含む構造を作成した。なお、以下エチルメチルカーボネートはEMC、エチレンカーボネートはECと記載する。
【0041】
初期構造を作成する際、例えば図1に示すような構造を作成した。図1中正極材料10と、電解液20とが配置されている。図1中、同じハッチングは同じ種類の元素を意味しており、リチウム11、酸素12、ニッケル13、リン14、フッ素15、炭素16、水素17の原子が配置されている。
【0042】
初期構造は液相が含有する分子をランダムに配置して、全部で24個作成した。
(安定構造探索工程)
安定構造探索工程では、初期構造作成工程で作成した24個の初期構造について構造緩和計算を行い、それぞれに対応する24個の安定構造を探索し、エネルギーを求めた。
【0043】
構造緩和計算、およびエネルギーの算出は、密度汎関数理論に基づく平面波基底第一原理計算を利用して行った。
【0044】
第一原理計算は平面波基底第一原理計算ソフトであるVASP(Vienna Ab initio Simulation Package)を用いて行った。
【0045】
また、第一原理計算は、密度汎関数理論(DFT:Density Functional Theory)の範疇で行った。平面波基底のカットオフエネルギーは500eVとし、k点を1×1×1とした。なお、計算は基底状態で行っている。
(記述子作成工程)
記述子作成工程では、記述子として、図2の横軸に示した様に、LiNiOのLiと以下の各酸素との結合数を用いた。具体的には、上記Liと、ECの二重結合酸素(surfLi/EC=O)、ECの単結合酸素(surfLi/EC-O)、EMCの二重結合酸素(surfLi/EMC=O)、EMCの単結合酸素(surfLi/EMC-O)の結合数を用いた。
【0046】
また、記述子として、LiPFのLiと、以下の各酸素との結合数を用いた。具体的には、上記Liと、ECの二重結合酸素(Li/EC=O)、ECの単結合酸素(Li/EC-O)、EMCの二重結合酸素(Li/EMC=O)、EMCの単結合酸素(Li/EMC-O))との結合数を用いた。
【0047】
また、記述子としてさらにLiPFのLiと、LiNiOのOの結合数(surfO/Li)、およびここまで説明した上記結合数の合計値(sum)を採用した。
【0048】
図2は、各記述子による結合数当たりのエネルギーを示しており、縦軸はエネルギー/結合数であり、単位はeVになる。
(モデル作成工程)
モデル作成工程では、各安定構造が記述子作成工程で作成した10個の記述子(パラメータ)で特徴づけられるとして、エネルギーを予測するモデルを作成した。予測モデルとしては線形回帰を用いた。
(構造決定工程)
モデル作成工程で作成した予測モデルの線形回帰の結果、図2からも明らかなようにLiPFのLiとEMCの二重結合酸素の結合数が多い方が低エネルギーになることが明らかになった。このため、構造として可能な範囲で、LiとEMCの二重結合が多い構造を新たに初期構造として採用し、構造緩和計算により安定構造を求めたところ、ランダム探索を行った後述する比較例1の場合よりも大きく安定となる構造を得ることができた。すなわち、本実施例で行った界面構造探索方法によれば、固相-液相の安定な界面構造を容易に推定できることを確認できた。
[比較例1]
実施例1と同じ液相の構造のみが異なる初期構造をランダムに24個作成した後、それぞれを構造緩和計算により24個の安定構造を得た。比較例1ではさらに液相の構造のみが異なる24個の構造をランダムに作成し、同様に構造緩和計算を行い24個の安定構造を得た。なお、上記48種類の初期構造は液相が含有する分子の配置のみが異なっており、含有する分子種や、その数は同じとなっている。
【0049】
以上により、比較例1では合計で48個の安定構造を得た。結果を図3に示す。
【0050】
図3は横軸が得られた安定構造のエネルギーを、縦軸がサンプル数を示している。図3中実施例1ランダムとして示しているのが、実施例1、および比較例1においてランダムに作成した24個の初期構造から求めた安定構造のサンプルを示している。
【0051】
図3中、比較例1ランダムとして示しているのが、比較例1においてさらにランダムに作成した24個の初期構造から求めた安定構造のサンプルを示している。
【0052】
しかしながら、比較例1で作成した合計48個の安定構造のサンプルでは、図3中実施例1として示した、実施例1において作成したモデルを用いて予測、作成した安定構造よりも低いエネルギーの構造は得られなかった。
図1
図2
図3