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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】配線構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20240116BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02G3/30
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022026526
(22)【出願日】2022-02-24
(62)【分割の表示】P 2020152085の分割
【原出願日】2017-05-31
(65)【公開番号】P2022075690
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】江上 健一
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-007307(JP,A)
【文献】特開2009-004295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の電線と、
前記2本の電線の間に形成された第1介在部を有する第1ホルダと、
前記第1ホルダと離間して設けられ、前記2本の電線の間に形成された第2介在部を有する第2ホルダと、
前記第1ホルダと前記第2ホルダとを連結し、前記2本の電線の間に配置されているとともに前記第1ホルダから前記第2ホルダまで延出される前記2本の電線に沿って形成されている連結部と、
を有し、
前記連結部の幅は、前記第1介在部及び前記第2介在部の幅よりも大きく、
前記第1ホルダにおける前記2本の電線は、モールド樹脂からなる樹脂モールド部に覆われており、
前記第1ホルダは、前記第1介在部と前記連結部との間に配置され、前記2本の電線の軸方向と交差する方向に沿って形成された板状体からなり前記第1介在部よりも幅が広く厚さが厚い第1板部を有し、
前記第2ホルダは、前記第2介在部と前記連結部との間に配置され、前記2本の電線の軸方向と交差する方向に沿って形成された板状体からなり前記第2介在部よりも幅が広く厚さが厚い第2板部を有し、
前記第1板部は、前記2本の電線のそれぞれを保持する凹部が形成されているとともに、前記樹脂モールド部から露出しており、
前記第2板部は、前記2本の電線のそれぞれを保持する凹部が形成されており、
前記第1ホルダ、前記第2ホルダ、前記連結部、前第1板部、及び前記第2板部は、樹脂により一体に形成されている
配線構造。
【請求項2】
前記第2ホルダにおける前記2本の電線は、前記樹脂モールド部から離間して設けられているモールド樹脂からなる第2樹脂モールド部に覆われているものの、前記連結部における前記2本の電線は、モールド樹脂に覆われていない
請求項1に記載の配線構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電線を備えた配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電線を備えた配電部材が、接続対象間を電気的に接続するために用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の配電部材は、3本の電線(動力線)を備え、接続対象である三相モータと端子台とを接続する。3本の電線のそれぞれの一端部には端子が圧着され、この端子が端子台に接続される。3本の電線のそれぞれの他端部は、三相モータの溶接部に溶接によって接続される。
【0004】
また、特許文献1には、3本の電線が固定部材によって相互に連結されたものが第2実施形態として記載されている。この固定部材は、3本の電線のそれぞれの一部を挿通させる棒状である。3本の電線は、この固定部材によって一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-259654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、2本の電線間に介在して絶縁距離を確保することが可能な配線構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、一対の電線からなる複数の電線対と、前記複数の電線対を一体に固定する第1固定部材と、前記複数の電線対のうち少なくとも1つの電線対の電線を一体に固定し、前記第1固定部材と離間して設けられた第2固定部材と、を備え、前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記電線を保持するホルダと、前記ホルダに保持された部分の前記電線対を覆うように成形されたモールド樹脂からなる樹脂モールド部と、を有し、前記ホルダは、保持している前記電線の間にそれぞれ介在する1つ以上の介在部を有し、前記第1固定部材及び前記第2固定部材の前記ホルダと一体に設けられ、前記第1固定部材及び前記第2固定部材の前記ホルダ同士を連結する連結部を備えた、配電部材を提供する。
【0012】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、一対の電線からなる複数の電線対と、前記複数の電線対を一体に固定する第1固定部材と、前記複数の電線対のうち少なくとも1つの電線対の前記電線を一体に固定し、前記第1固定部材と離間して設けられた第2固定部材と、を備えた配電部材の製造方法であって、前記電線を保持すると共に、保持している前記電線の間にそれぞれ介在する1つ以上の介在部を有する前記第1固定部材及び前記第2固定部材のホルダと、前記第1固定部材及び前記第2固定部材の前記ホルダと一体に設けられ、前記第1固定部材及び前記第2固定部材の前記ホルダ同士を連結する連結部と、を有するホルダユニットを準備する準備工程と、前記ホルダユニットを前記複数の介在部が前記電線の間に介在するように金型に配置する配置工程と、前記金型に溶融したモールド樹脂を注入して前記ホルダに保持された部分の前記電線対を覆うように樹脂モールド部を成形して前記第1固定部材及び第2固定部材を構成する成形工程と、を備えた、配電部材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2本の電線間に介在して絶縁距離を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る配電部材を示す斜視図である。
図2図1の配電部材の平面図である。
図3】複数対の電線を示す斜視図である。
図4】(a)は、連結部及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。(b)は、樹脂モールド部を成形する前の電線の一部がホルダに保持された状態を示す状態図である。(c)は、ホルダを示す斜視図である。
図5】第1固定部のホルダの三面図である。
図6】(a)は、図5のA-A線断面図である。(b)は、図4(a)のB-B線断面図である。
図7】(a)は第1サブホルダの斜視図であり、(b)は第2サブホルダの斜視図である。
図8】ホルダユニットの平面図である。
図9】(a)は、下型に配置されたホルダ及び電線の一部を示す平面図である。(b)は、上型と下型との間に配置されたホルダ及び電線の一部を(a)のC-C線断面で示す断面図である。(c)は、上型と下型との間に配置されたホルダ及び電線の一部を(a)のD-D線断面で示す断面図である。
図10】(a),(b)は、ホルダユニットの一変形例を示す平面図である。
図11】本発明の一変形例に係る配電部材を示す図であり、(a)は側面図、(b)はそのG-G線断面で示す断面図である。
図12】連結部をモールド成形する場合のスライド型の構成例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0016】
(配電部材の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る配電部材を示す斜視図であり、図2はその平面図である。この配電部材1は、一対の電線111,112,121,122,131,132からなる電線対11~13を複数備えると共に、複数の電線対11~13を一体に固定する第1固定部材2と、複数の電線対11~13のうち少なくとも1つの電線対の電線を一体に固定し、第1固定部材2と離間して設けられた第2固定部材5と、を備えている。本実施の形態では、電線111,112,121,122,131,132が、導線の周囲にエナメル被膜が形成された断面円形状のエナメル線である。
【0017】
図3は、それぞれが対をなす電線111,112、電線121,122、及び電線131,132を示す斜視図である。電線111,112は第1電線対11を構成する。電線121,121は第2電線対12を構成する。また、電線131,132は第3電線対13を構成する。
【0018】
電線111,112,121,122,131,132は、それぞれが接続対象に接続される接続部を両端部に有している。第1電線対11の2本の電線111,112のそれぞれの一端部111a,112aは、例えば三相モータのU相巻線に接続される。第2電線対12の2本の電線121,122のそれぞれの一端部121a,122aは、例えば三相モータのV相巻線に接続される。第3電線対13の2本の電線131,132のそれぞれの一端部131a,132aは、例えば三相モータのW相巻線に接続される。また、第1電線対11の2本の電線111,112のそれぞれの他端部111b,112b、第2電線対12の2本の電線121,122のそれぞれの他端部121b,122b、及び第3電線対13の2本の電線131,132のそれぞれの他端部131b,132bには、例えば端子台に固定される接続端子が圧着される。
【0019】
(第1固定部材2の説明)
電線111,112,121,122,131,132は、第1固定部材2を挿通している。本実施の形態では、第1固定部材2を挿通する部分の電線111,112,121,122,131,132が互いに平行である。第1固定部材2は、図1に示すように略直方体状であり、電線111,112,121,122,131,132の軸方向(延出方向)から見た形状が長方形状である。
【0020】
この長方形状の長辺方向をX方向とし、短辺方向をY方向とすると、第1電線対11の2本の電線111,112、第2電線対12の2本の電線121,122、及び第3電線対13の2本の電線131,132は、それぞれY方向に並んでいる。第1電線対11の一方の電線111の一部、第2電線対12の一方の電線121の一部、及び第3電線対13の一方の電線131の一部は、X方向に並んでいる。また、第1電線対11の他方の電線112の一部、第2電線対12の他方の電線122の一部、及び第3電線対13の他方の電線132の一部も、X方向に並んでいる。すなわち、第1電線対11の一部、第2電線対12の一部、及び第3電線対13の一部は、2本の電線(電線111及び電線112、電線121及び122、及び電線131及び電線132)の並び方向に交差する方向(本実施の形態においては、直交する方向)に並んでいる。この場合、電線111,112,121,122,131,132の軸方向は、X方向及びY方向に直交するZ方向となる。本実施の形態では、第1固定部材2は、第1電線対11の一部、第2電線対12の一部、及び第3電線対13の一部を連結している。
【0021】
図4(a)は、第1固定部材2及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。第1固定部材2は、複数の電線対11~13を一体に固定するものであり、電線111,112,121,122,131,132の他端部111b,112b,121b,122b,131b,132bの近傍(つまり端子台側の端部近傍)に設けられている。すなわち、第1固定部材2から端子台側の他端部111b,112b,121b,122b,131b,132bまでの電線111,112,121,122,131,132の長さよりも、第1固定部材2から巻線側の一端部111a,112a,121a,122a,131a,132aまでの電線111,112,121,122,131,132の長さの方が長い。
【0022】
第1固定部材2は、電線を保持するホルダ3と、ホルダ3に保持された部分の電線対11~13を一括して覆うように成形されたモールド樹脂からなる樹脂モールド部4と、を有している。
【0023】
図4(b)は、樹脂モールド部4を成形する前の、電線111,112,121,122,131,132の一部がホルダ3に保持された状態を示す状態図である。図4(c)は、ホルダ3を示す斜視図である。図5は、ホルダ3の三面図である。図6(a)は、図5のA-A線断面図であり、図6(b)は、図4(a)のB-B線断面図である。図5では、樹脂モールド部4が形成される部分の輪郭を仮想線(二点鎖線)で示している。
【0024】
ホルダ3は、例えば射出成型によって形成された樹脂からなる樹脂部材である。ホルダ3は、Z方向に並ぶ一対の板部31,32と、これら一対の板部31,32の間に設けられた複数(本実施の形態では3つ)の介在部33~35とを一体に有している。複数の介在部33~35は、Z方向に延びる棒状である。一対の板部31,32は、樹脂モールド部4に覆われる部分の電線111,112,121,122,131,132の軸方向に沿って複数の介在部33~35を挟む位置に設けられている。また、一対の板部31,32はそれぞれ、電線111,112,121,122,131,132の軸方向と交差する方向(X方向)に沿って形成された1枚の板状体からなる。
【0025】
以下の説明では、一対の板部31,32のうち、電線111,112,121,122,131,132の一端部111a,112a,121a,122a,131a,132a側の板部31を第1板部31とし、他端部111b,112b,121b,122b,131b,132b側の板部32を第2板部32とする。また、複数の介在部33~35のうち、第1電線対11に対応する介在部33を第1介在部33とし、第2電線対12に対応する介在部34を第2介在部34とし、第3電線対13に対応する介在部35を第3介在部35とする。
【0026】
第1介在部33は、第1電線対11の2本の電線111,112の間に介在している。第2介在部34は、第2電線対12の2本の電線121,122の間に介在している。第3介在部35は、第3電線対13の2本の電線131,132の間に介在している。第1乃至第3介在部33~35は、その長手方向(Z方向)の全体が樹脂モールド部4に覆われる。つまり、第1乃至第3介在部33~35は、第1固定部材2における樹脂モールド部4に覆われる部分の全体にわたって設けられている。第1板部31及び第2板部32は、樹脂モールド部4の外部に位置する。
【0027】
第1介在部33の電線111,112との対向面33a,33b、第2介在部34の電線121,122との対向面34a,34b、及び第3介在部35の電線131,132との対向面35a,35bは、それぞれ電線111,112,121,122,131,132の外径に対応する曲率を有する曲面である。換言すれば、第1乃至第3介在部33~35には、電線111,112,121,122,131,132の一部を収容する断面円弧状の底面(対向面33a,33b,34a,34b,35a,35b)を有する溝がZ方向に沿って形成されている。
【0028】
電線111,112,121,122,131,132の外径を2Rとし、第1乃至第3介在部33~35の対向面33a,33b,34a,34b,35a,35bの曲率半径をrとすると、これらの比r/Rは、0.9≦r/R≦1.1を満たすことが望ましい。
【0029】
また、ホルダ3には、第1乃至第3介在部33~35の間に、対をなす電線(電線111と電線112、電線121と電線122、及び電線131と電線133)の並び方向(Y方向)の貫通孔301,302が形成されている。貫通孔301は、第1介在部33と第2介在部34との間に形成され、貫通孔302は、第2介在部34と第3介在部35との間に形成されている。本実施の形態では、貫通孔301,302が、第1板部31と第2板部32との間にわたって形成された長孔であるが、これに限らず、第1介在部33と第2介在部34との間、及び第2介在部34と第3介在部35との間に、1つ又は複数の丸孔を貫通孔として形成してもよい。
【0030】
貫通孔301,302には、樹脂モールド部4のモールド樹脂が充填されている。これにより、樹脂モールド部4におけるY方向一側の部分(図5(b)に符号41で示す電線111,121,131の周辺部)と、樹脂モールド部4におけるY方向他側の部分(図5(b)に符号42で示す電線112,122,132の周辺部)とが、貫通孔301,302に充填された部分43,44によって繋がっている。また、本実施の形態では、第1介在部33の第2介在部34とは反対側の部分45、及び第3介在部35の第2介在部34とは反対側の部分46によっても、樹脂モールド部4におけるY方向一側の部分41とY方向他側の部分42とが繋がっている。
【0031】
ホルダ3の第1板部31には、樹脂モールド部4を成形する際にZ方向の一端部で電線111,112,121,122,131,132を保持する6つの凹部310が形成されている。また、ホルダ3の第2板部32には、樹脂モールド部4を成形する際にZ方向の他端部で電線111,112,121,122,131,132を保持する6つの凹部320が形成されている。凹部310,320はその内周面が軸方向(Z方向)から見て半円状に形成されており、電線111,112,121,122,131,132をホルダ3に保持させた際に、電線111,112,121,122,131,132の周方向における略半分が凹部310,320に収容される。
【0032】
第2板部32の介在部33~35と反対側の面には、連結部8(81~83)が連結されている。連結部8の詳細については、後述する。
【0033】
(第2固定部材5の説明)
第2固定部材5は、電線を保持するホルダ6と、ホルダ6に保持された部分の電線対を覆うように成形されたモールド樹脂からなる樹脂モールド部7と、を有している。第2固定部材5は、電線111,112,121,122,131,132が比較的長い場合に、固定点を増やして振動による影響(振動による負荷)を抑制する役割を果たす。
【0034】
本実施の形態では、第2固定部材5は、第1電線対11と第2電線対12を構成する電線111,112,121,122を一括して固定する第1サブ固定部材51と、第3電線対13を構成する電線131,132を一括して固定する第2サブ固定部材52と、を有している。
【0035】
第1サブ固定部材51は、電線111,112,121,122を保持する第1サブホルダ61と、第1サブホルダ61に保持された部分の電線対11,12を覆うように成形されたモールド樹脂からなる第1樹脂モールド部71と、を有している。
【0036】
図7(a)は、第1サブホルダ61の斜視図である。第1サブホルダ61は、基本的に図4(c)等で示した第1固定部材2のホルダ3と同じ構成であるが、保持する電線数が4本となっている。第1サブホルダ61は、電線111,112,121,122の長手方向(X方向)に対向する一対の板部611,612と、これら一対の板部611,612の間に設けられた棒状の2つの介在部613,614を一体に有している。
【0037】
板部611,612には、電線111,112,121,122を収容し保持する凹部6110,6120が形成されている。介在部613は、電線111,112間に介在するように配置されており、介在部614は、電線121,131間に介在するように配置されている。介在部613,614の電線111,121との対向面613a,614aは、それぞれ電線111,121の外径に対応する曲率を有する曲面に形成されている。同様に、介在部613,614の電線112,122との対向面についても、電線112,122の外径に対応する曲率を有する曲面に形成されている。また、介在部613,614間には、モールド樹脂が充填される貫通孔6101が形成されている。板部611の介在部613,614と反対側の面には、連結部8である第1連結部81及び第2連結部82が連結されている。
【0038】
第2サブ固定部材52は、電線131,132を保持する第2サブホルダ61と、第2サブホルダ62に保持された部分の電線対13を覆うように成形されたモールド樹脂からなる第2樹脂モールド部72と、を有している。
【0039】
図7(b)は、第2サブホルダ62の斜視図である。第2サブホルダ62は、図7(a)の第1サブホルダ61において、保持する電線の数を2本としたものである。第2サブホルダ62は、電線131,132の長手方向(X方向)に対向する一対の板部621,622と、これら一対の板部621,622の間に設けられた棒状の1つの介在部623を一体に有している。
【0040】
板部621,622には、電線131,132を収容し保持する凹部6210,6220が形成されている。介在部623は、電線131,132間に介在するように配置されている。介在部623の電線131との対向面623aは、電線131の外径に対応する曲率を有する曲面に形成されている。同様に、介在部623の電線132との対向面についても、電線132の外径に対応する曲率を有する曲面に形成されている。板部621の介在部623と反対側の面には、連結部8である第3連結部83が連結されている。
【0041】
(連結部8の説明)
本実施の形態に係る配電部材1は、第1固定部材2のホルダ3及び第2固定部材5のホルダ6(サブホルダ61,62)と一体に設けられ、第1固定部材2及び第2固定部材5のホルダ3,6同士を連結する連結部8を備えている。連結部8は、ホルダ3,6同士を連結し一体部品として部品点数を削減すると共に、金型へのホルダ3,6の設置を容易として製造を容易にする役割と、対となる電線間に介在して絶縁距離を確保する役割とを兼ねた部材である。
【0042】
図8は、ホルダ3とサブホルダ61,62とを連結部8により連結したホルダユニット9の平面図である。連結部8は、第1電線対11に対応した第1連結部81と、第2電線対12に対応した第2連結部82と、第3電線対13に対応した第3連結部83と、を有している。第1連結部81は、電線111,112に沿って形成されており、電線111,112間に介在するように配置されている。第2連結部82は、電線121,122に沿って形成されており、電線121,122間に介在するように配置されている。第3連結部83は、電線131,132に沿って形成されており、電線131,132間に介在するように配置されている。各連結部81~83は、帯状に形成されており、その長手方向に垂直な断面が矩形状に形成されている。
【0043】
ホルダ3と第1サブホルダ61とは、第1連結部81及び第2連結部82を介して互いに連結されている。ホルダ3と第2サブホルダ61とは、第3連結部83を介して互いに連結されている。連結部81~83は、例えば、ホルダ3やサブホルダ61,62と共に射出成形により形成される。
【0044】
連結部81~83の幅が広いほど、電線対11~13を構成する電線111,112、電線121,122、あるいは電線131,132間の絶縁距離(空間距離及びホルダ3やサブホルダ61,62の表面に沿った沿面距離)を大きくできる。しかし、連結部81~83が電線111,112,121,122,131,132から側方に突出すると、狭いスペースへの配電部材1の設置が困難となり、また配電部材1を周辺の部材へ固定するクリップ等を固定しにくくなる。さらに、配電部材1の位置決めのために、配電部材1を固定する被固定部材にピン等の位置決め突起を設けることも考えられるが、連結部81~83が電線111,112,121,122,131,132から側方に突出していると、このような位置決め突起を用いた配電部材1の位置決めも困難となってしまう。そのため、連結部81~83の幅は、電線111,112,121,122,131,132の外径以下とし、連結部81~83が電線111,112,121,122,131,132から側方に突出しないようにすることが望ましい。
【0045】
なお、連結部81~83の幅が小さすぎると絶縁距離を大きくする効果が十分に得られなくなるおそれがあるため、連結部81~83の幅は、少なくとも電線111,112,121,122,131,132の外径の50%以上であることが望ましい。また、沿面距離を確保するために、連結部81~83のホルダ3,6の近傍の部分のみを幅広に形成し、他の部分を比較的幅狭に形成することも可能である。
【0046】
また、本実施の形態では、電線対11~13には、それぞれ折り曲げ部15が形成されており、第1固定部材2と第2固定部材5とは、折り曲げ部15を介して離間して配置されている。第1電線対11は、第1折り曲げ部15aにて約90度折り曲げられており、第2電線対12は、第2折り曲げ部15bにて約90度折り曲げられており、第3電線対13は、第3折り曲げ部15cにて約90度折り曲げられている。
【0047】
したがって、第1固定部材2が設けられた位置での電線111,112,121,122,131,132の長手方向と、第1サブ固定部材51が設けられた位置での電線111,112,121,122の長手方向とが、略直交している。同様に、第1固定部材2が設けられた位置での電線111,112,121,122,131,132の長手方向と、第2サブ固定部材52が設けられた位置での電線131,132の長手方向とが、略直交している。
【0048】
第1固定部材2と第2固定部材5とが設けられる位置での電線長手方向が同じ方向であると、外力が加わった際に第1固定部材2と第2固定部材5が共に移動し位置ずれが生じてしまうおそれがある。これに対して、本実施の形態では、折り曲げ部15を介して第1固定部材2と第2固定部材5とを離間させて配置しているため、第1固定部材2と第2固定部材5とが設けられる位置での電線長手方向が異なる方向となり、外力が加わった際の第1固定部材2と第2固定部材5の位置ずれを抑制することが可能になる。より確実に第1固定部材2と第2固定部材5の位置ずれを抑制するため、第1固定部材2を設ける位置での電線長手方向と第2固定部材5が設けられる位置での電線長手方向とのなす角度(すなわち折り曲げ部15の折り曲げ角度)が30度以上であることがより望ましい。
【0049】
第1固定部材2と第2固定部材5の位置ずれを抑制するためには、折り曲げ部15をショートカットするように連結部8を形成してもよいが、上述のように、連結部8は電線対11~13の対間に介在して絶縁距離を大きくする役割も果たすため、連結部8は、折り曲げ部15に沿って形成されることが望ましい。本実施の形態では、第1連結部81は第1折り曲げ部15a沿って円弧上に屈曲する第1円弧部81aを有し、第2連結部82は第2折り曲げ部15b沿って円弧上に屈曲する第2円弧部82aを有し、第3連結部83は第3折り曲げ部15c沿って円弧上に屈曲する第3円弧部83aを有している。
【0050】
配電部材1は、例えば、車両における駆動用のモータとインバータ間の電路として用いられる。配電部材1は、高温となるモータの近傍に配置されることから、ホルダユニット9に用いる樹脂としては、十分な耐熱性を有する樹脂を用いることが望ましい。また、ホルダユニット9に用いる樹脂としては、振動に耐えうる十分な機械的強度を有するものを用いることが望ましい。このような樹脂として、例えばガラス繊維入りのPPS(ポリフェニレンサルファイド)を用いることができる。樹脂モールド部4,7に用いる樹脂としては、ホルダユニット9と同じ樹脂を用いるとよい。
【0051】
(配電部材1の製造方法)
配電部材1の製造方法は、ホルダユニット9を準備する準備工程と、ホルダユニット9と各電線対11~13とを金型(後述する金型55)に配置する配置工程と、この金型に溶融したモールド樹脂を注入して樹脂モールド部4,71,72を成形する成形工程とを備えている。
【0052】
準備工程では、ホルダユニット9を準備する。ここで、準備するとは、配電部材1の製造に用いられるホルダユニット9を確保することをいい、例えば射出成型によってホルダユニット9を製造する等、ホルダユニット9を確保するための種々の行為が含まれる。
【0053】
図9(a)は、上型56及び下型57からなる金型55のうち、下型57に配置されたホルダ3及び電線111,112,121,122,131,132の一部を上型56の図示を省略して示す平面図である。図9(b)は、上型56と下型57との間に配置されたホルダ3及び電線111,112,121,122,131,132の一部を図9(a)のC-C線断面で示す断面図である。図9(c)は、上型56と下型57との間に配置されたホルダ3及び電線111,112,121,122,131,132の一部を図9(a)のD-D線断面で示す断面図である。なお、図9(a)のE-E線断面は図9(c)に示すD-D線断面と同様であり、図9(a)のF-F線断面は図9(b)に示すC-C線断面と同様である。
【0054】
配置工程では、ホルダユニット9を、第1固定部材2において第1乃至第3介在部33~35が対をなす電線(電線111と電線112、電線121と電線122、及び電線131と電線133)の間に介在し、第1サブ固定部材51において介在部613,614が対をなす電線(電線111と電線112、及び電線121と電線122)の間に介在し、かつ、第2サブ固定部材52において介在部623が対をなす電線(電線131と電線132)の間に介在するように金型(後述する金型55)に配置する。その際の具体的な手順は特に限定されないが、例えば下型57の凹溝57a,57b,57cに電線112,122,132の一部が収容されるようにして下型57上に電線112,122,132を配置し、その上にホルダユニット9を配置し、さらにホルダユニット9の上に電線111,121,131を配置することによって行うことができる。
【0055】
図9(a)~(c)では、樹脂モールド部4(第1固定部材2)を成形する部分の金型55の形状を示している。第1サブ固定部材51の第1樹脂モールド部71を形成する部分、及び第2サブ固定部材52の第2樹脂モールド部72を形成する部分の金型55の形状については、図9(a)~(c)と略同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
図9(a)~(c)に示すように、上型56には、電線111,121,131の一部が収容される凹溝56a,56b,56cが形成され、上型56が下型57に突き合わされると、上型56の凹溝56a,56b,56cと下型57の凹溝57a,57b,57cが、第1乃至第3電線対11~13及びホルダ3を挟んでそれぞれ向かい合う。
【0057】
下型57は、本体570と、電線112,122,132をホルダ3の第1乃至第3介在部33~35にそれぞれ押し付けるピン571,572,573とを有している。上型56は、本体560と、電線111,121,131をホルダ3の第1乃至第3介在部33~35にそれぞれ押し付けるピン561,562,563とを有している。下型57の本体570と上型56の本体560との間には、成形工程において溶融したモールド樹脂が注入されるキャビティ58が形成される。
【0058】
なお、下型57のピン571~573、及び上型56のピン561~563を省略してもよい。また、これらのピン571~573及びピン561~563を可動式とし、配置工程の完了後、成形工程の前もしくは成形工程の実行中に、ピン571~573が下型57の本体570に、またピン561~563が上型56の本体560に、それぞれ収容されるように構成してもよい。
【0059】
成形工程では、金型55に溶融したモールド樹脂を注入して、ホルダ3及びサブホルダ61,62に保持された部分の電線111,112,121,122,131,132を覆うように樹脂モールド部4,71,72を成形して第1固定部材2及び第2固定部材5(第1サブ固定部材51及び第2サブ固定部材52)を構成する。図9(c)の例では、下型57の本体部570に設けられた注入孔570aから金型55のキャビティ58内に加熱によって溶融したモールド樹脂を注入する。この際、ホルダ3の貫通孔301,302にモールド樹脂が充填される。このモールド樹脂は、キャビティ58内の導電部10を覆い、固化して樹脂モールド部4となる。これにより、第1固定部材2が形成される。ホルダ3の第1及び第2の板部31,32は、キャビティ58に注入されたモールド樹脂が漏れ出すことを防ぐ側壁として機能する。第1固定部材2と同様にして、第1サブ固定部材51及び第2サブ固定部材52を形成する。
【0060】
モールド樹脂を固化して樹脂モールド部4,71,72を形成した後、下型57から上型56を外し、下型57から形成された第1固定部材2及び第2固定部材5(第1サブ固定部材51及び第2サブ固定部材52)を導電部10と共に取り出す。以上により、配電部材1が得られる。
【0061】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0062】
(1)図12を参照して説明したように複数の電線対の間にスライド型の移動スペースをあける必要がないので、第1乃至第3電線対11~13を一体に連結する第1固定部材2、及び第2固定部材5をモールド成形により形成しながら、第1乃至第3電線対11~13の間隔を狭くして小型化を図ることが可能となる。
【0063】
(2)電線111,112,121,122,131,132が比較的長い配電部材1においては、振動の影響を抑制するために、電線対11~13の長手方向における複数の位置で電線111,112,121,122,131,132を固定したいという要求がある。このような要求と上述の(1)で述べた小型化の両立を図るためには、各固定箇所(各固定部材2,5)にホルダ3,6を設ける必要が生じるが、部品点数が増加してしまい、また製造時に複数のホルダ3,6を金型55に並べる必要が生じるため製造に手間がかかってしまう。本実施の形態に係る配電部材1では、連結部8により第1固定部材2と第2固定部材5のホルダ3,6同士を連結しているため、電線対11~13を複数の位置で固定する場合であっても部品点数を削減できる。また、ホルダ3,6同士を連結してホルダユニット9を構成することで、金型55へのホルダ3,6の配置が容易となり、製造が容易になる。
【0064】
(3)連結部8を電線対11~13の対間に配置することで、対間の絶縁距離を大きくすることができる。
【0065】
(4)第1固定部材2と第2固定部材5とを、折り曲げ部15を介して離間して配置することで、第1固定部材2と第2固定部材5の位置ずれを抑制することができる。よって、小型化軽量化を図るべくモールド樹脂を低減した場合であっても、振動による第1固定部材2及び第2固定部材5の電線長手方向に沿った移動を抑制することが可能になり、配電部材1全体の小型化軽量化にも寄与する。
【0066】
(5)連結部8の幅を電線111,112,121,122,131,132の外径以下とすることで、連結部81~83が電線111,112,121,122,131,132から側方に突出しないようにすることができ、狭いスペースへの配電部材1の設置が容易となる。また、配電部材1を周辺の部材へ固定するクリップ等を固定し易くなり、ピン等の位置決め突起により配電部材1の位置決めを容易に行うことが可能になる。
【0067】
(6)介在部33~35,613,614,623は、樹脂モールド部4、71,72に覆われる部分の全体にわたって設けられているので、第1電線対11における電線111,112の間、第2電線対12における電線121,122の間、及び第3電線対13における電線131,132の間にモールド樹脂が充填されない空間が形成されることを抑制することができる。
【0068】
(7)介在部33~35,613,614,623における電線111,112,121,122,131,132との対向面が、それぞれ電線111,112,121,122,131,132の外径に対応する曲率を有する曲面であるので、モールド樹脂が充填されない空間の発生をより確実に抑制できると共に、成形工程における電線111,112,121,122,131,132のホルダ3,6に対する位置ずれが抑えられる。
【0069】
(8)ホルダ3に形成された貫通孔301,302、及び第1サブホルダ61に形成された貫通孔6101に樹脂モールド部4,71のモールド樹脂が充填されるので、樹脂モールド部4,71がホルダ3及び第1サブホルダ61から分離してしまうことが抑制され、第1固定部材2や第1サブ固定部材51の強度が向上する。
【0070】
(変形例)
上記実施の形態では、各電線対11~13のそれぞれに対応するように個別に連結部81~83を設けたが、連結部81~83の一部あるいは全体が連結され一体となっていてもよい。例えば、図10(a)に示すホルダユニット9aのように、第1連結部81と第2連結部82とを一体化した板状の第4連結部84を有していてもよい。また、図10bに示すホルダユニット9bのように、第3連結部83と第4連結部84のホルダ3側の端部を一体化した板状の第5連結部85を形成し、その第5連結部のホルダ3と反対側の端部にて第3連結部83と第4連結部84に分岐するように構成してもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、第1固定部材2に並列に2つの第2固定部材5を連結する場合について説明したが、第2固定部材5の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、第1固定部材2に2つ以上の第2固定部材5を直列に接続してもよい。この場合、直列に接続する第2固定部材5のホルダ6同士を連結部8にて連結したホルダユニット9を用いるとよい。
【0072】
さらに、上記実施の形態では、1つの固定部材2,5に1つのホルダ3,6を用いる場合について説明したが、1つの固定部材2,5に2つ以上のホルダ3,6を用いてもよい。例えば、図11(a),(b)に示すように、3本の電線141~143が並列に配策されている場合、電線141,142間にホルダ6として図7(b)で示した第2サブホルダ62を配置し、かつ、電線142,143間に第2サブホルダ62を配置し、これら2つの第2サブホルダ62と電線141~143とを一括して覆うように樹脂モールド部7を設けて第2固定部材5を形成してもよい。図11では、第2固定部材5について示したが、第1固定部材2についても同様である。
【0073】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0074】
[1]一対の電線(111,112、121,122、131,132)からなる複数の電線対(11~13)と、前記複数の電線対(11~13)を一体に固定する第1固定部材(2)と、前記複数の電線対(11~13)のうち少なくとも1つの電線対(11~13)の電線(111,112、121,122、131,132)を一体に固定し、前記第1固定部材(2)と離間して設けられた第2固定部材(5)と、を備え、前記第1固定部材(2)及び前記第2固定部材(5)は、前記電線(111,112、121,122、131,132)を保持するホルダ(3,6)と、前記ホルダ(3,6)に保持された部分の前記電線対(11~13)を覆うように成形されたモールド樹脂からなる樹脂モールド部(4,7)と、を有し、前記ホルダ(3,6)は、保持している前記電線(111,112、121,122、131,132)の間にそれぞれ介在する1つ以上の介在部(33~35,613,614,623)を有し、前記第1固定部材(2)及び前記第2固定部材(5)の前記ホルダ(3,6)と一体に設けられ、前記第1固定部材(2)及び前記第2固定部材(5)の前記ホルダ(3,6)同士を連結する連結部(8)を備えた、配電部材(1)。
【0075】
[2]前記連結部(8)は、前記一対の電線(111,112、121,122、131,132)の間に配置されている、[1]に記載の配電部材(1)。
【0076】
[3]前記電線対(11~13)には、折り曲げ部(15)が形成されており、前記第1固定部材(2)と前記第2固定部材(5)とは、前記折り曲げ部(5)を介して離間して配置されている、[1]または[2]に記載の配電部材(1)。
【0077】
[4]前記連結部(8)は、前記折り曲げ部(15)に沿って形成されている、[3]に記載の配電部材(1)。
【0078】
[5]前記連結部(8)の幅は、前記電線(111,112、121,122、131,132)の外径以下である、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の配電部材(1)。
【0079】
[6]前記複数の介在部(33~35)は、前記樹脂モールド部(4)に覆われる部分の全体にわたって設けられている、前記[1]乃至[5]の何れか1項に記載の配線部品(1)。
【0080】
[7]前記ホルダ(3,6)は、前記樹脂モールド部(4)に覆われる部分の前記電線(111,112,121,122,131,132)の軸方向に沿って前記複数の介在部(33~35)を挟む一対の板部(31,31)を有する、[6]に記載の配線部品(1)。
【0081】
[8]前記介在部(33~35,613,614,623)における前記電線(111,112,121,122,131,132)との対向面(33a,33b,34a,34b,35a,35b,613a,614a,623a)は、前記電線(111,112,121,122,131,132)の外径に対応する曲率を有する曲面である、[1]乃至[7]の何れか1項に記載の配線部品(1)。
【0082】
[9]前記ホルダ(3,6)には、対をなす電線(111,112、121,122、131,132)の並び方向の貫通孔(301,302,6101)が前記複数の介在部(33~35,613,614)の間に形成されており、前記樹脂モールド部(4,7)のモールド樹脂が前記貫通孔(301,302,6101)に充填されている、前記[1]乃至[8]の何れか1項に記載の配線部品(1)。
【0083】
[10]一対の電線(111,112、121,122、131,132)からなる複数の電線対(11~13)と、前記複数の電線対(11~13)を一体に固定する第1固定部(2)と、前記複数の電線対のうち少なくとも1つの電線対(11~13)の前記電線(111,112、121,122、131,132)を一体に固定し、前記第1固定部材(2)と離間して設けられた第2固定部材(5)と、を備えた配電部材(1)の製造方法であって、前記電線(111,112、121,122、131,132)を保持すると共に、保持している前記電線(111,112、121,122、131,132)の間にそれぞれ介在する1つ以上の介在部(33~35,613,614,623)を有する前記第1固定部材(2)及び前記第2固定部材(3)のホルダ(3,6)と、前記第1固定部材(2)及び前記第2固定部材(5)の前記ホルダ(3,6)と一体に設けられ、前記第1固定部材(2)及び前記第2固定部材(5)の前記ホルダ(3,6)同士を連結する連結部(8)と、を有するホルダユニット(9)を準備する準備工程と、前記ホルダユニット(9)を前記複数の介在部(33~35,613,614,623)が前記電線(111,112、121,122、131,132)の間に介在するように金型(55)に配置する配置工程と、前記金型(55)に溶融したモールド樹脂を注入して前記ホルダ(3,6)に保持された部分の前記電線対(11~13)を覆うように樹脂モールド部(4,7)を成形して前記第1固定部材(2)及び第2固定部材(5)を構成する成形工程と、を備えた、配電部材(1)の製造方法。
【0084】
[11]前記ホルダ(3,6)には、対をなす電線(111,112、121,122、131,132)の並び方向の貫通孔(301,302,6101)が複数の前記介在部(33~35,613,614)の間に形成され、前記成形工程では、前記モールド樹脂を前記貫通孔(301,302,6101)に充填する、[10]に記載の配電部材(1)の製造方法。
【0085】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0086】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、電線111,112,121,122,131,132がエナメル線からなる場合について説明したが、これに限らず、電線111,112,121,122,131,132を、銅等の良導電性の金属からなる導線が絶縁体によって被覆された絶縁電線によって構成してもよい。この場合、各電線111,112,121,122,131,132の両端部では、絶縁体が除去されて導線が露出する。
【符号の説明】
【0087】
1…配電部材
10…導電部
11~13…第1乃至第3電線対
111,112,121,122,131,132…電線
2…第1固定部
3…ホルダ
33~35…介在部
33a,33b,34a,34b,35a,35b…対向面
301,302…貫通孔
4…樹脂モールド部
5…第2固定部
6…ホルダ
613,614,623…介在部
613a,614a,623a…対向面
6101…貫通孔
7…樹脂モールド部
8…連結部
15…折り曲げ部
55…金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12