(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ロボットと共に使用される補足計測位置座標決定システム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B25J9/10 A
(21)【出願番号】P 2019148188
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-07-13
(32)【優先日】2018-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ネイハム
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-170599(JP,A)
【文献】特開2017-077609(JP,A)
【文献】特開平07-182016(JP,A)
【文献】特開2012-166314(JP,A)
【文献】特開2003-117861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムであって、
遠位端の近傍に位置付けられたエンドツール搭載構成を含む可動アーム構成であって、ロボットは、前記エンドツール搭載構成に搭載された、ワークピースを測定するために使用される前記ワークピースに触れるとタッチ信号を出力するタッチプローブ、ワークピースを測定するために使用される各サンプルタイミング信号に対応した各ワークピース測定サンプルデータを与えるスキャンプローブ、または各ワークピース画像取得信号に対応した各ワークピース測定画像を与えるために使用されるカメラのいずれかであるエンドツールの少なくとも一部を、エンドツール作業範囲内で少なくとも2次元に沿って移動させるように、前記可動アーム構成を移動させるよう構成されている、可動アーム構成と、
少なくとも部分的に、前記ロボットに含まれる位置センサを用いて前記可動アーム構成の位置を検知及び制御することに基づいて、ロボット精度として規定された精度レベルでエンドツール位置を制御するように構成された移動制御システムと、
を備えるロボットを備え、
前記ロボットシステムは更に、補足計測位置座標決定システムであって、
第1のカメラを含み、光軸を有する第1の撮像構成と、
ノミナルで平面状の基板と、前記基板上に分散した複数の撮像可能要素と、を含むXYスケールであって、前記撮像可能要素はそれぞれ前記XYスケール上の既知のXYスケール座標に位置付けられている、XYスケールと、
前記エンドツール位置に関連した信号である、前記タッチプローブのタッチ信号又はそれから導出された信号、前記スキャンプローブの各サンプルタイミング信号又はそれから導出された信号、または前記カメラのワークピース画像取得信号又はそれから導出された信号のいずれかを少なくとも1つの入力信号として入力し、前記少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、前記第1の撮像トリガ信号を前記第1の撮像構成に出力するよう構成された画像トリガ部であって、前記第1の撮像構成は前記第1の撮像トリガ信号の受信に応答して画像取得時点で前記XYスケールのデジタル画像を取得するよう構成されている、画像トリガ部と、
前記取得された画像を入力し、前記XYスケールの前記取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別するように構成された計測位置座標処理部と、
を備える補足計測位置座標決定システムを備え、
前記補足計測位置座標決定システムは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち可動のものが前記可動アーム構成に結合されるように構成され、他方のものが前記ロボットの近傍で静止要素に結合されるように構成され、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち静止したものは第1の参照位置を規定し、
スケール面は前記XYスケールの前記平面状の基板とノミナルで一致するように規定され、前記スケール面に対して垂直な方向はスケール撮像軸方向として規定され、前記ロボットシステムは少なくともノミナルで前記補足計測位置座標決定システムの動作構成を与えるように動作可能であり、前記補足計測位置座標決定システムの前記動作構成において、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち少なくとも1つは、前記第1の撮像構成の前記光軸が前記スケール撮像軸方向の方向と平行であるように、かつ、前記スケール面が前記スケール撮像軸方向に沿った前記第1の撮像構成の合焦範囲内に位置付けられるように配置され、
前記補足計測位置座標決定システムは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のもの及び前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記静止したものが前記動作構成に配置され、かつ、前記XYスケールが前記第1の撮像構成の視野内にあるように前記可動アーム構成が配置されている場合、前記計測位置座標処理部が、前記取得した画像内の前記識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものと前記第1の参照位置との相対位置を示す計測位置座標を前記ロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能であるよう構成され、
前記決定された計測位置座標は、少なくとも前記スケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である前記計測位置座標のベクトル成分について、前記画像取得時点における前記エンドツール位置を前記ロボット精度よりも良好な精度レベルで示す、ロボットシステム。
【請求項2】
前記XYスケール又は、前記第1の撮像構成のうち前記可動のものは
、少なくとも第1の遠位小部分回転要素を含む遠位小部分
が第1の遠位小部分回転軸を中心として回転可能に結合される中央小部分であって、前記可動アーム構成
を前記エンドツール作業範囲内で少なくとも2次元に沿って移動させる移動機構の動作に応じて移動する、前記可動アーム構成を構成する中央小部分に
、前記遠位小部分を介して結合されており、
前記第1の遠位小部分回転軸は、前記XYスケールが前記可動のものである場合は前記スケール面とノミナルで平行であり、前記第1の撮像構成が前記可動のものである場合は前記光軸に対してノミナルで直交する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記中央小部分は、前記第1の遠位小部分回転軸とノミナルで平行である回転軸を中心として回転する少なくとも第1の中央小部分回転要素を含む、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものを前記中央小部分に結合する前記遠位小部分は、前記XYスケールが前記可動のものである場合は前記スケール面にノミナルで直交する遠位小部分回転軸を含まず、前記第1の撮像構成が前記可動のものである場合は前記光軸とノミナルで平行な遠位小部分回転軸を含まない、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記遠位小部分は、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものを前記第1の遠位小部分回転要素に結合するブラケットを含む、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記補足計測位置座標決定システムが前記動作構成にある間、前記ロボットは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものを前記スケール面と平行な面内で移動させるように構成されている、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記エンドツールが前記タッチプローブである場合、少なくとも前記補足計測位置座標決定システムが前記動作構成にある間、前記エンドツールは、前記タッチプローブの中心軸が前記スケール撮像軸方向とノミナルに平行であるように構成されている、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項8】
ロボットシステムであって、
遠位端の近傍に位置付けられたエンドツール搭載構成を含む可動アーム構成であって、ロボットは、前記エンドツール搭載構成に搭載されたエンドツールの少なくとも一部を、エンドツール作業範囲内で少なくとも2次元に沿って移動させるように、前記可動アーム構成を移動させるよう構成されている、可動アーム構成と、
少なくとも部分的に、前記ロボットに含まれる位置センサを用いて前記可動アーム構成の位置を検知及び制御することに基づいて、ロボット精度として規定された精度レベルでエンドツール位置を制御するように構成された移動制御システムと、
を備えるロボットを備え、
前記ロボットシステムは更に、補足計測位置座標決定システムであって、
第1のカメラを含み、光軸を有する第1の撮像構成と、
ノミナルで平面状の基板と、前記基板上に分散した複数の撮像可能要素と、を含むXYスケールであって、前記撮像可能要素はそれぞれ前記XYスケール上の既知のXYスケール座標に位置付けられている、XYスケールと、
前記エンドツール位置に関連した少なくとも1つの入力信号を入力し、前記少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、前記第1の撮像トリガ信号を前記第1の撮像構成に出力するよう構成された画像トリガ部であって、前記第1の撮像構成は前記第1の撮像トリガ信号の受信に応答して画像取得時点で前記XYスケールのデジタル画像を取得するよう構成されている、画像トリガ部と、
前記取得された画像を入力し、前記XYスケールの前記取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別するように構成された計測位置座標処理部と、
を備える補足計測位置座標決定システムを備え、
前記補足計測位置座標決定システムは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち可動のものが前記可動アーム構成に結合されるように構成され、他方のものが前記ロボットの近傍で静止要素に結合されるように構成され、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち静止したものは第1の参照位置を規定し、
スケール面は前記XYスケールの前記平面状の基板とノミナルで一致するように規定され、前記スケール面に対して垂直な方向はスケール撮像軸方向として規定され、前記ロボットシステムは少なくともノミナルで前記補足計測位置座標決定システムの動作構成を与えるように動作可能であり、前記補足計測位置座標決定システムの前記動作構成において、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち少なくとも1つは、前記第1の撮像構成の前記光軸が前記スケール撮像軸方向の方向と平行であるように、かつ、前記スケール面が前記スケール撮像軸方向に沿った前記第1の撮像構成の合焦範囲内に位置付けられるように配置され、
前記補足計測位置座標決定システムは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のもの及び前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記静止したものが前記動作構成に配置され、かつ、前記XYスケールが前記第1の撮像構成の視野内にあるように前記可動アーム構成が配置されている場合、前記計測位置座標処理部が、前記取得した画像内の前記識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものと前記第1の参照位置との相対位置を示す計測位置座標を前記ロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能であるよう構成され、
前記決定された計測位置座標は、少なくとも前記スケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である前記計測位置座標のベクトル成分について、前記画像取得時点における前記エンドツール位置を前記ロボット精度よりも良好な精度レベルで示し、
前記補足計測位置座標決定システムは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものの前記相対位置を示す前記決定された計測位置座標、及び、前記エンドツール位置と前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものとの間の既知の座標位置オフセットに基づいて、前記画像取得時点における前記エンドツール位置の前記計測位置座標を決定するように構成されている、ロボットシステム。
【請求項9】
前記XYスケールは前記可動アーム構成に結合され、前記第1の撮像構成は前記静止要素に結合されている、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記静止要素は前記エンドツール作業範囲の少なくとも一部よりも上方に配置されたフレームを含み、前記第1の撮像構成は前記エンドツール作業範囲の一部よりも上方で前記フレームに固定されている、請求項9に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記XYスケールの前記撮像可能要素は、一意の識別可能パターンを有する撮像可能要素のセットを含み、前記撮像可能要素のセットは、前記第1の撮像構成の視野の直径方向の距離よりも小さい距離だけ離間するように前記基板上に分散され、
前記計測位置座標処理部は、前記XYスケールの前記取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素を、その一意の識別可能パターンに基づいて識別するように構成されている、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記計測位置座標処理部は、前記XYスケールの前記取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素を、前記取得された画像内でのその画像位置に基づいて、更に、
前記画像取得時点に対応して前記移動制御システムから導出されたロボット位置データに基づいて識別するように構成されている、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項13】
前記XYスケールの前記撮像可能要素は、前記ロボット精度内で許される最大位置誤差よりも大きい距離だけ相互に等間隔で離間するように前記基板上に分散させた同様の撮像可能要素のセットを含む、請求項12に記載のロボットシステム。
【請求項14】
ロボットと共に利用されてロボットシステムを構成する補足計測位置座標決定システムを動作させるための方法であって、
前記ロボットは、
遠位端の近傍に位置付けられたエンドツール搭載構成を含む可動アーム構成であって、前記ロボットは、前記エンドツール搭載構成に搭載された、ワークピースを測定するために使用される前記ワークピースに触れるとタッチ信号を出力するタッチプローブ、ワークピースを測定するために使用される各サンプルタイミング信号に対応した各ワークピース測定サンプルデータを与えるスキャンプローブ、または各ワークピース画像取得信号に対応した各ワークピース測定画像を与えるために使用されるカメラのいずれかであるエンドツールの少なくとも一部を、エンドツール作業範囲内で少なくとも2次元に沿って移動させるように、前記可動アーム構成を移動させるよう構成されている、可動アーム構成と、
少なくとも部分的に、前記ロボットに含まれる位置センサを用いて前記可動アーム構成の位置を検知及び制御することに基づいて、ロボット精度として規定された精度レベルでエンドツール位置を制御するように構成された移動制御システムと、
を備え、
前記補足計測位置座標決定システムは、
第1のカメラを含み、光軸を有する第1の撮像構成と、
ノミナルで平面状の基板と、前記基板上に分散した複数の撮像可能要素と、を含むXYスケールであって、前記撮像可能要素はそれぞれ前記XYスケール上の既知のXYスケール座標に位置付けられている、XYスケールと、
画像トリガ部と、
計測位置座標処理部と、
を備え、前記補足計測位置座標決定システムは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち可動のものが前記可動アーム構成に結合されるように構成され、他方のものが前記ロボットの近傍で静止要素に結合されるように構成され、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち静止したものは第1の参照位置を規定し、
スケール面は前記XYスケールの前記平面状の基板とノミナルで一致するように規定され、前記スケール面に対して垂直な方向はスケール撮像軸方向として規定され、前記ロボットシステムは少なくともノミナルで前記補足計測位置座標決定システムの動作構成を与えるように動作可能であり、前記補足計測位置座標決定システムの前記動作構成において、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち少なくとも1つは、前記第1の撮像構成の前記光軸が前記スケール撮像軸方向の方向と平行であるように、かつ、前記スケール面が前記スケール撮像軸方向に沿った前記第1の撮像構成の合焦範囲内に位置付けられるように配置され、
前記方法は、
前記画像トリガ部において、前記エンドツール位置に関連した信号である、前記タッチプローブのタッチ信号又はそれから導出された信号、前記スキャンプローブの各サンプルタイミング信号又はそれから導出された信号、または前記カメラのワークピース画像取得信号又はそれから導出された信号のいずれかを少なくとも1つの入力信号として受信し、前記少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、前記第1の撮像トリガ信号を前記第1の撮像構成に出力し、前記第1の撮像構成は前記第1の撮像トリガ信号の受信に応答して画像取得時点で前記XYスケールのデジタル画像を取得し、前記デジタル画像が取得される場合に前記補足計測位置座標決定システムは少なくともノミナルで前記動作構成にある、ことと、
前記計測位置座標処理部において、前記取得された画像を識別し、前記XYスケールの前記取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別することと、
前記取得した画像内の前記識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものと前記第1の参照位置との相対位置を示す計測位置座標を決定し、前記決定された計測位置座標は、少なくとも前記スケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である前記計測位置座標のベクトル成分について、前記画像取得時点における前記エンドツール位置を前記ロボット精度よりも良好な精度レベルで示す、ことと、
を含む方法。
【請求項15】
ワークピースの要素を測定するために前記相対位置を示す前記決定された計測位置座標を利用することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記相対位置は、前記ワークピース上の第1の表面ロケーションに対応する第1の相対位置であり、前記方法は更に、
前記画像トリガ部において、前記エンドツール位置に関連した少なくとも1つの第2の入力信号を受信し、前記少なくとも1つの第2の入力信号に基づいて第2の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、前記第2の撮像トリガ信号を前記第1の撮像構成に出力し、前記第1の撮像構成は、前記第2の撮像トリガ信号の受信に応答して、第2の画像取得時点で前記XYスケールの第2のデジタル画像を取得し、前記第2のデジタル画像が取得される場合に前記補足計測位置座標決定システムは少なくともノミナルで前記動作構成にある、ことと、
前記計測位置座標処理部において、前記第2の取得された画像を受信し、前記XYスケールの前記第2の取得された画像に含まれる少なくとも1つの第2の撮像可能要素及び関連する第2の既知のXYスケール座標ロケーションを識別することと、
前記第2の取得した画像内の前記識別された少なくとも1つの第2の撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものと前記第1の参照位置との間の第2の相対位置を示す計測位置座標を決定し、前記決定された計測位置座標は、少なくとも前記スケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である前記計測位置座標のベクトル成分について、前記第2の画像取得時点における前記エンドツール位置を前記ロボット精度よりも良好な精度レベルで示し、前記第2の相対位置は、前記第1の相対位置とは異なり、前記第1の表面ロケーションとは異なる前記ワークピース上の第2の表面ロケーションに対応する、ことと、
前記第1及び第2の相対位置を示す前記決定された計測位置座標を用いて、前記ワークピース上の前記第1及び第2の表面ロケーション間の距離に対応する前記ワークピースの寸法を決定することと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ロボットと共に使用される補足計測位置座標決定システムであって、
第1のカメラを含み、光軸を有する第1の撮像構成と、
ノミナルで平面状の基板と、前記基板上に分散した複数の撮像可能要素と、を含むXYスケールであって、前記撮像可能要素はそれぞれ前記XYスケール上の既知のXYスケール座標に位置付けられている、XYスケールと、
前記ロボットのエンドツール位置に関連した少なくとも1つの入力信号を入力し、前記少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、前記第1の撮像トリガ信号を前記第1の撮像構成に出力するよう構成された画像トリガ部であって、当該画像トリガ部は、前記エンドツール位置に関連した信号である、タッチプローブのタッチ信号又はそれから導出された信号、スキャンプローブの各サンプルタイミング信号又はそれから導出された信号、または所定のカメラのワークピース画像取得信号又はそれから導出された信号のいずれかを少なくとも1つの入力信号として入力し、
前記ロボットは、
ワークピースを測定するために使用される前記ワークピースに触れるとタッチ信号を出力する前記タッチプローブ、ワークピースを測定するために使用される各サンプルタイミング信号に対応した各ワークピース測定サンプルデータを与える前記スキャンプローブ、または各ワークピース画像取得信号に対応した各ワークピース測定画像を与えるために使用される前記所定のカメラのいずれかであるエンドツールを搭載するエンドツール搭載構成を備えた可動アーム構成と、
少なくとも部分的に、前記ロボットに含まれる少なくとも1つの位置センサを用いて前記可動アーム構成の位置を検知及び制御することに基づいて、ロボット精度として規定された精度レベルでエンドツールのエンドツール位置を制御するように構成された移動制御システムと、を含み、前記第1の撮像構成は前記第1の撮像トリガ信号の受信に応答して画像取得時点で前記XYスケールのデジタル画像を取得するよう構成されている、画像トリガ部と、
前記取得された画像を入力し、前記XYスケールの前記取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別するように構成された計測位置座標処理部と、
を備え、
前記補足計測位置座標決定システムは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち可動のものが前記可動アーム構成に結合されるように構成され、他方のものが前記ロボットの近傍で静止要素に結合されるように構成され、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち静止したものは第1の参照位置を規定し、
スケール面は前記XYスケールの前記平面状の基板とノミナルで一致するように規定され、前記スケール面に対して垂直な方向はスケール撮像軸方向として規定され、前記補足計測位置座標決定システムの動作構成において、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち少なくとも1つは、前記第1の撮像構成の前記光軸が前記スケール撮像軸方向の方向と平行であるように、かつ、前記スケール面が前記スケール撮像軸方向に沿った前記第1の撮像構成の合焦範囲内に位置付けられるように配置され、
前記補足計測位置座標決定システムは、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のもの及び前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記静止したものが前記動作構成に配置され、かつ、前記XYスケールが前記第1の撮像構成の視野内にあるように前記可動アーム構成が配置されている場合、前記計測位置座標処理部が、前記取得した画像内の前記識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、前記XYスケール又は前記第1の撮像構成のうち前記可動のものと前記第1の参照位置との相対位置を示す計測位置座標を前記ロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能であるよう構成され、
前記決定された計測位置座標は、少なくとも前記スケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である前記計測位置座標のベクトル成分について、前記画像取得時点における前記エンドツール位置を前記ロボット精度よりも良好な精度レベルで示す、補足計測位置座標決定システム。
【請求項18】
前記XYスケールは前記可動アーム構成に結合され、前記第1の撮像構成は前記静止要素に結合されている、請求項17に記載の補足計測位置座標決定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はロボットシステムに関し、より具体的には、ロボットのエンドツール位置の座標を決定するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットシステムは、製造プロセス及び他のプロセスにますます利用されるようになっている。利用できる様々なタイプのロボットには、多関節ロボット、選択的コンプライアンス多関節ロボットアーム(SCARA:selective compliance articulated robot arm)ロボット、直交座標系ロボット(cartesian robot)、円筒座標系ロボット(cylindrical robot)、球座標系ロボット(spherical robot)等が含まれる。ロボットに含まれ得るコンポーネントの一例として、SCARAロボットシステム(例えば多関節ロボットの1つのタイプであり得る)は典型的にベースを有し、このベースに第1のアーム部を回転可能に結合すると共に第1のアーム部の端部に第2のアーム部を回転可能に結合することができる。様々な構成では、第2のアーム部の端部にエンドツールを結合することができる(例えば特定の作業及び/又は検査動作を実行するため)。このようなシステムは、アーム部の配置を決定/制御し、これに応じてエンドツールの配置を決定/制御するため利用される位置センサ(例えば回転エンコーダ)を含むことができる。様々な実施例において、このようなシステムは約100ミクロンの配置精度を有し得るが、これはいくつかのファクタによって制限される(例えば、ロボットシステムの機械的安定性と組み合わせた回転エンコーダの性能等)。
【0003】
米国特許第4,725,965号(「965号特許」)は、SCARAシステムの精度を向上させるためのいくつかの較正技法を開示している。965号特許に記載されているように、第1の回転可能アーム部と、エンドツールを支える第2の回転可能アーム部と、を備えたSCARAタイプのロボットを較正するための技法が提供されている。この較正技法は、運動モデルを用いてSCARAロボットを制御できるという事実に関連している。この運動モデルは、正確な場合、アーム部を第1及び第2の双方の角度構成に配置すると、第2のアーム部によって支えられたエンドツールが同一の位置を保つことができる。運動モデルを較正するため、アーム部は、エンドツールを固定基準点(fixed datum point)の上方に位置付ける第1の角度構成に配置される。次いでアーム部は、ノミナルにエンドツールを再び基準点に位置合わせして配置する第2の角度構成に配置される。アーム部を第1の角度構成から第2の角度構成に切り換えた場合の基準点に対するエンドツールの位置のシフトから、運動モデルの誤差が計算される。次いで、計算された誤差に従って運動モデルを補償する。これらのステップは、誤差がゼロに達するまで繰り返される。誤差がゼロに達した時点で、SCARAロボットの運動モデルは較正済みであると見なされる。
【0004】
965号特許に更に記載されている通り、較正技法は特定のカメラを使用することを含み得る。例えば1つの実施例において、基準点は、静止テレビジョンカメラ(すなわちエンドツールの下方の地面に配置される)の表示エリアの中心部とすることができ、このカメラの出力信号を処理して、第1の角度構成から第2の角度構成にリンクを切り換えた場合のカメラの表示エリア中心部からのエンドツールの位置シフトを決定できる。別の実施例では、第2のアーム部がカメラを支えることができ、この技法は最初に、これらのアーム部間で第2の所定の内角が測定される第1の角度構成にアーム部を配置して、第2のアーム部が支えるカメラを固定基準点の直上で中心に配置することができる。次いで、アーム部間で第2の所定の内角に等しい内角が測定される第2の角度構成にアーム部を配置して、ノミナルにカメラを再び基準点の上方で中心に配置する。次いでカメラの出力信号を処理して、アーム部を第1の角度構成から第2の角度構成に切り換えた場合にカメラによって観察された基準点の位置のシフトを決定する。次いで、カメラによって観察された基準点の位置のシフトに従って、カメラの既知の位置の誤差を決定する。これらのステップを、誤差がゼロに近付くまで較正プロセスの一部として繰り返す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
965号特許に記載されているような技法はロボットシステムを較正するために使用できるが、いくつかの用途では、このような技法の利用は望ましくない場合がある(例えば、著しい時間を要する及び/又はいくつかの動作中にロボットの全ての可能な向きで所望のレベルの精度が得られるわけではない)。このような問題に関する改善を達成できるロボットシステムが望ましい(例えば、ワークピース測定及びその他のプロセス中の位置決定の信頼性、反復性、速度等を増大させるため)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、以下で「発明を実施するための形態」において更に記載されるいくつかの概念を簡略化した形態で紹介するために提示する。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴を識別することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲の決定に役立てるため用いることも意図していない。
【0007】
ロボットシステムの一部としてロボットと関連付けて使用される補足計測位置座標決定システムが提供される。ロボット(例えば多関節ロボット、SCARAロボット、直交座標系ロボット、円筒座標系ロボット、球座標系ロボット等)は、可動アーム構成及び移動制御システムを含む。可動アーム構成は、遠位端の近傍に位置付けられたエンドツール搭載構成を含む。ロボットは、エンドツール搭載構成に搭載されたエンドツールの少なくとも一部を、エンドツール作業範囲内で少なくとも2次元に沿って移動させるように、可動アーム構成を移動させるよう構成されている。移動制御システムは、少なくとも部分的に、ロボットに含まれる少なくとも1つの位置センサ(例えば回転エンコーダ、リニアエンコーダ等)を用いて可動アーム構成の位置を検知及び制御することに基づいて、ロボット精度として規定された精度レベルでエンドツール位置を制御するように構成されている。
【0008】
補足計測位置座標決定システムは、第1の撮像構成、XYスケール、画像トリガ部、及び計測位置座標処理部を含む。第1の撮像構成は、第1のカメラを含み、光軸を有する。XYスケールは、ノミナルで平面状の基板と、基板上に分散した複数の撮像可能要素と、を含み、撮像可能要素はそれぞれXYスケール上の既知のXYスケール座標に位置付けられている。画像トリガ部は、エンドツール位置に関連した少なくとも1つの入力信号を入力し、少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、第1の撮像トリガ信号を第1の撮像構成に出力するよう構成されている。第1の撮像構成は、第1の撮像トリガ信号の受信に応答して画像取得時点でXYスケールのデジタル画像を取得するよう構成されている。計測位置座標処理部は、取得された画像を入力し、XYスケールの取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別するように構成されている。様々な実施例において、XYスケールはインクリメンタルスケール又はアブソリュートスケールとすることができる。
【0009】
補足計測位置座標決定システムは、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものが可動アーム構成に結合されるように構成され、他方のものがロボットの近傍で静止要素に結合されるように構成されている。XYスケール又は第1の撮像構成のうち静止したものは第1の参照位置を規定する。スケール面はXYスケールの平面状の基板とノミナルで一致するように規定され、スケール面に対して垂直な方向はスケール撮像軸方向として規定されている。ロボットシステムは、少なくともノミナルで補足計測位置座標決定システムの動作構成を与えるように動作可能である。補足計測位置座標決定システムの動作構成において、XYスケール又は第1の撮像構成のうち少なくとも1つは、第1の撮像構成の光軸がスケール撮像軸方向の方向と平行であるように、かつ、スケール面がスケール撮像軸方向に沿った第1の撮像構成の合焦範囲内に位置付けられるように配置されている。
【0010】
補足計測位置座標決定システムは、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のもの及びXYスケール又は第1の撮像構成のうち静止したものが動作構成に配置され、かつ、XYスケールが第1の撮像構成の視野内にあるように可動アーム構成が配置されている場合、計測位置座標処理部が、取得した画像内の識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものと第1の参照位置との相対位置を示す計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能であるよう構成されている。決定された計測位置座標は、少なくともスケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について、画像取得時点におけるエンドツール位置をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。様々な実施例において、補足計測位置座標決定システムは、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものの相対位置を示す決定された計測位置座標、及び、エンドツール位置とXYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものとの間の既知の座標位置オフセットに基づいて、画像取得時点におけるエンドツール位置の計測位置座標を決定するように構成されている。
【0011】
様々な実施例において、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものは、第1の遠位小部分回転軸を中心として回転する少なくとも第1の遠位小部分回転要素を含む遠位小部分を介して、可動アーム構成の中央小部分に結合されており、第1の遠位小部分回転軸は、XYスケールが可動のものである場合はスケール面とノミナルで平行であり、第1の撮像構成が可動のものである場合は光軸に対してノミナルで直交する。様々な実施例において、中央小部分は、第1の遠位小部分回転軸とノミナルで平行である回転軸を中心として回転する少なくとも第1の中央小部分回転要素を含む。様々な実施例において、遠位小部分は、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものを第1の遠位小部分回転要素に結合するブラケットを含む。様々な実施例において、補足計測位置座標決定システムが動作構成にある間、ロボットは、エンドツールと、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものとを、スケール面と平行な面内で移動させるように構成されている。
【0012】
様々な実施例において、XYスケールは可動アーム構成に結合され、第1の撮像構成は静止要素に結合され得る。様々な実施例において、静止要素は、エンドツール作業範囲の少なくとも一部よりも上方に配置されたフレームを含み得る。第1の撮像構成は、エンドツール作業範囲の一部よりも上方でフレームに固定され得る。
【0013】
様々な実施例において、ロボットシステムは、ロボット位置座標モード又は補足計測位置座標モードのいずれかで動作させることができる。ロボット位置座標モードは、ロボットの独立した及び/又は標準的な動作モードに対応し得る(例えば、補足計測位置座標決定システムがアクティブでないか又は他の理由で提供されない場合にロボットを独立して動作させるモード)。ロボット位置座標モードでは、ロボットの移動及び対応するエンドツール位置は、ロボット精度として規定される精度レベルで(すなわち、ロボットに含まれる位置センサを用いて)制御及び決定される。これに対して補足計測位置座標モードでは、少なくともスケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について、画像取得時点におけるエンドツール位置を示す計測位置座標を、ロボット精度よりも良好な(例えば、ロボットに含まれる位置センサの精度よりも良好な)精度レベルで決定できる。様々な実施例では、決定された位置情報(例えば、相対位置を示す決定された計測位置座標、エンドツール位置の決定された計測位置座標、及び/又は他の関連する決定された位置情報)を次いで、指定された機能を実行するため(例えばワークピース測定の一部、ロボットの配置制御等として)利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】多関節ロボット及び補足計測位置座標決定システムを含むロボットシステムの第1の例示的な実施例のブロック図である。
【
図2】第1の撮像構成が静止要素に結合されている、
図1のロボットシステムと同様のロボットシステムの第2の例示的な実施例の等角投影図である。
【
図3】XYスケールが静止要素に結合されているロボットシステムの第3の例示的な実施例の等角投影図である。
【
図4】インクリメンタルXYスケールの例示的な実施例の等角投影図である。
【
図5】アブソリュートXYスケールの例示的な実施例の等角投影図である。
【
図6A】多関節ロボット及び補足計測位置座標決定システムを含むロボットシステムを動作させるためのルーチンの第1の例示的な実施例を示すフロー図である。
【
図6B】多関節ロボット及び補足計測位置座標決定システムを含むロボットシステムを動作させるためのルーチンの第1の例示的な実施例を示すフロー図である。
【
図7】移動タイミングの第1の部分の間に位置センサを利用し、移動タイミングの第2の部分の間に補足計測位置座標決定システムの決定された相対位置を利用し得る、エンドツール位置を決定するためのルーチンの第1の例示的な実施例を示すフロー図である。
【
図8】多関節ロボット及び補足計測位置座標決定システムを含むロボットシステムの第4の例示的な実施例のブロック図である。
【
図9】第1の撮像構成が静止要素に結合されている、多関節ロボットを含む
図8のロボットシステムと同様のロボットシステムの第5の例示的な実施例の一部の等角投影図である。
【
図10A】ロボット及び補足計測位置座標決定システムを含むロボットシステムを動作させるためのルーチンの第2の例示的な実施例を示すフロー図である。
【
図10B】ロボット及び補足計測位置座標決定システムを含むロボットシステムを動作させるためのルーチンの第2の例示的な実施例を示すフロー図である。
【
図11】移動タイミングの第1の部分の間に位置センサを利用し、移動タイミングの第2の部分の間に補足計測位置座標決定システムの決定された計測位置座標を利用し得る、エンドツール位置を決定するためのルーチンの第2の例示的な実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、多関節ロボット110及び補足計測位置座標決定システム150を含むロボットシステム100の第1の例示的な実施例のブロック図である。多関節ロボット110は、第1及び第2のアーム部120及び130、第1及び第2の回転継手125及び135、位置センサSEN1及びSEN2、エンドツール構成ETCN、並びにロボット移動制御及び処理システム140を含む。第1のアーム部120は、第1のアーム部120の近位端PE1において第1の回転継手125に搭載されている。第1の回転継手125(例えば支持ベース部BSEの上端に位置付けられている)は、z軸方向に沿って位置合わせされた回転軸RA1を有し、第1のアーム部120が第1の回転継手125を中心としてz軸に直交するxy面内で移動するようになっている。第1のアーム部120の遠位端DE1に第2の回転継手135が位置付けられている。第2の回転継手135は、z軸方向に沿ってノミナルに位置合わせされた回転軸RA2を有する。第2のアーム部130は、第2のアーム部130の近位端PE2において第2の回転継手135に搭載されて、第2のアーム部130が第2の回転継手135を中心としてz軸にノミナルに直交するxy面内で移動するようになっている。様々な実施例において、第1及び第2の回転継手125及び135を中心とした第1及び第2のアーム部120及び130の角度位置(すなわちxy面内)をそれぞれ決定するため、位置センサSEN1及びSEN2(例えば回転エンコーダ)を利用することができる。
【0016】
様々な実施例において、エンドツール構成ETCNは、Z移動機構ZMM、Zアーム部ZARM、位置センサSEN3、及び、エンドツールETLに結合するエンドツール結合部ETCPを含むことができる。様々な実施例において、エンドツールETLは、エンドツール検知部ETSNと、(例えばワークピースWPの表面に接触するための)接点CPを備えたエンドツールスタイラスETSTと、を含むことができる。Z移動機構ZMMは、第2のアーム部130の遠位端DE2の近傍に位置付けられている。Z移動機構ZMM(例えばリニアアクチュエータ)は、Zアーム部ZARMをz軸方向で上下に移動させるように構成されている。いくつかの実施例において、Zアーム部ZARMは、z軸方向に平行な軸を中心として回転するよう構成することも可能である。いずれの場合であっても、エンドツールETLは、エンドツール結合部ETCPに結合され、対応する座標(例えばx座標、y座標、及びz座標)を持つ対応するエンドツール位置ETPを有する。様々な実施例において、エンドツール位置ETPは、Zアーム部ZARMの遠位端DE3に対応するか又は遠位端DE3の近傍とすることができる(例えば、エンドツール結合部ETCPにあるか又はその近傍にある)。
【0017】
移動制御システム140は、ロボット精度として規定された精度レベルでエンドツールETLのエンドツール位置ETPを制御するように構成されている。より具体的には、移動制御システム140は概して、少なくとも部分的に、位置センサSEN1及びSEN2を用いて第1及び第2の回転継手125及び135を中心とした第1及び第2のアーム部120及び130の角度位置(すなわちxy面内)を検知及び制御することに基づいて、ロボット精度でエンドツール位置ETPのx座標及びy座標を制御するように構成されている。様々な実施例において、移動制御及び処理システム140は第1及び第2の回転継手制御及び検知部141及び142を含むことができ、これらは、第1及び第2のアーム部120及び130の角度位置を検知するため位置センサSEN1及びSEN2からそれぞれ信号を受信する、及び/又は第1及び第2のアーム部120及び130を回転させるため第1及び第2の回転継手125及び135における制御信号を(例えばモータ等に)提供することができる。
【0018】
更に、移動制御システム140は概して、少なくとも部分的に、Z移動機構ZMM及び位置センサSEN3を用いてZアーム部ZARMの線形位置(すなわちz軸に沿った)を検知及び制御することに基づいて、ロボット精度でエンドツール位置ETPのz座標を制御するように構成されている。様々な実施例において、移動制御及び処理システム140はZ移動機構制御及び検知部143を含むことができ、これは、Zアーム部ZARMの線形位置を検知するため位置センサSEN3から信号を受信する、及び/又はZアーム部ZARMのz位置を制御するためZ移動機構ZMM(例えばリニアアクチュエータ)に制御信号を提供できる。
【0019】
また、移動制御及び処理システム140は、エンドツール検知部ETSNから信号を受信することができる。様々な実施例において、エンドツール検知部ETSNは、ワークピースWPを検知するためのエンドツールETLの動作に関連した回路及び/又は構成を含み得る。以下で更に詳しく記載されるように、様々な実施例において、エンドツールETL(例えばタッチプローブ、スキャンプローブ、カメラ等)は、ワークピースWP上の表面ロケーション/位置/ポイントに接触するため又は他の方法でそれらを検知するために利用され、これに対応した様々な信号がエンドツール検知部ETSNによって受信、決定、及び/又は処理され、エンドツール検知部ETSNは対応する信号を移動制御及び処理システム140に提供することができる。様々な実施例において、移動制御及び処理システム140はエンドツール制御及び検知部144を含むことができ、これは、エンドツール検知部ETSNに制御信号を提供する及び/又はエンドツール検知部ETSNから検知信号を受信することができる。様々な実施例において、エンドツール制御及び検知部144及びエンドツール検知部ETSNはマージされる及び/又は区別できない場合がある。様々な実施例において、第1及び第2の回転継手制御及び検知部141及び142、Z移動機構制御及び検知部143、並びにエンドツール制御及び検知部144は全て、ロボット位置処理部145に出力を提供する及び/又はロボット位置処理部145から制御信号を受信することができる。ロボット位置処理部145は、ロボット移動制御及び処理システム140の一部として、多関節ロボット110及び対応するエンドツール位置ETPの全体的な配置を制御及び/又は決定できる。
【0020】
様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム150は、多関節ロボット110と共に含めるか又は他の方法で多関節ロボット110に追加することができる(例えば、既存の多関節ロボット110に追加するための改造構成の一部として等)。一般に、補足計測位置座標決定システム150は、エンドツール位置ETPの決定における精度レベルを改善するために利用できる。より具体的には、以下で更に詳しく記載されるように、補足計測位置座標決定システム150を用いて、少なくともz軸に直交するxy面内のx及びy計測位置座標について、エンドツール位置ETPの計測位置座標を示す相対位置をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定することができる。
【0021】
図1に示されているように、補足計測位置座標決定システム150は、第1の撮像構成160、XYスケール170、画像トリガ部181、及び計測位置座標処理部190を含む。第1の撮像構成160は静止要素STEに結合されている。様々な実施例において、静止要素STEは、多関節ロボット110の動作可能な作業範囲OPVの少なくとも一部よりも上方に配置されたフレームを含むことができ、第1の撮像構成160は、動作可能な作業範囲OPVの一部よりも上方でフレームに固定されている。様々な実施例において、静止要素STEは、静止要素STEを多関節ロボット110に対して固定ロケーションに(例えば固定の位置及び/又は向きで)維持するための1つ以上の構造支持要素SSP(例えば床や天井等から延出している)を含み得る。
【0022】
第1の撮像構成160は第1のカメラCAM1を含み、ノミナルでz軸に対して平行に位置合わせされた光軸OA1を有する。第1の撮像構成160は、光軸OA1に沿った有効合焦範囲REFPを有する。様々な実施例において、範囲REFPは第1及び第2の有効合焦位置EFP1及びEFP2によって画定できる。これについては以下で更に詳しく記載する。所与の時点で、第1の撮像構成160は、範囲REFP内に収まる有効合焦位置EFPを有する。可変焦点距離(VFL)レンズが使用される実施例では、範囲REFPはVFLレンズの合焦範囲に対応し得る。
【0023】
様々な実施例において、使用されるVFLレンズは可変音響式屈折率分布型(TAG:tunable acoustic gradient index of refraction)レンズとすることができる。このようなTAGレンズの一般的な動作に関して、様々な実施例では、レンズ制御部(例えば第1の撮像構成制御及び画像処理部180に含まれる)は、迅速にTAGレンズの光学パワーを周期的に調整又は変調して、250kHz、又は70kHz、又は30kHz等の(すなわちTAGレンズ共振周波数の)周期的変調が可能な高速TAGレンズを達成することができる。このような構成において、第1の撮像構成160の有効合焦位置EFPを、範囲REFP(例えば自動合焦サーチ範囲)内で(迅速に)移動させることができる。有効合焦位置EFP1(又はEFPmax)はTAGレンズの最大光学パワーに対応し、有効合焦位置EFP2(又はEFPmin)はTAGレンズの負の最大光学パワーに対応し得る。様々な実施例において、範囲REFPの中央はEFPnomと示され、TAGレンズのゼロの光学パワーに対応し得る。
【0024】
様々な実施例では、このようなVFLレンズ(例えばTAGレンズ)及び対応する範囲REFPを好都合に選択することで、この構成は、有効合焦位置EFPを変更するための第1の撮像構成160の巨視的機械的調整及び/又はコンポーネント間の距離の調整の必要性を限定又は排除することができる。例えば、第2のアーム部130の遠位端DE2において未知の量の傾斜又は「たるみ(sag)」が発生する可能性のある実施例(例えば、第1及び第2のアーム部120及び130の重さ及び/又は特定の向き等のため)では、第1の撮像構成160からXYスケール170までの精密な合焦距離は未知である及び/又はアームの異なる向き等では変動する可能性がある。このような構成では、有効合焦位置EFPをスキャンするか又は他の方法で調整してXYスケール170を特定し正確に合焦を行うVFLレンズを利用することが望ましい場合がある。
【0025】
様々な実施例において、XYスケール170は、z軸に対してノミナルで直交に配置されたノミナルで平面状の基板SUB、及び基板SUB上に分散した複数の撮像可能要素を含む。撮像可能要素はそれぞれ、XYスケール170上の既知のx及びyスケール座標に位置付けられている。様々な実施例において、XYスケール170はインクリメンタルスケール又はアブソリュートスケールとすることができる。これについては以下で
図4及び
図5を参照して更に詳しく記載する。
【0026】
様々な実施例において、画像トリガ部181及び/又は計測位置座標処理部190は、外部制御システムECSの一部として(例えば外部コンピュータ等の一部として)含めることができる。画像トリガ部181は、第1の撮像構成制御及び画像処理部180の一部として含めることができる。様々な実施例において、画像トリガ部181は、エンドツール位置ETPに関連した少なくとも1つの入力信号を入力し、この少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、更に、この第1の撮像トリガ信号を第1の撮像構成160に出力するよう構成されている。様々な実施例において、第1の撮像構成160は、第1の撮像トリガ信号の受信に応答して、画像取得時点でXYスケール170のデジタル画像を取得するよう構成されている。様々な実施例において、計測位置座標処理部190は、取得された画像を入力し、XYスケール170の取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別するように構成されている。様々な実施例において外部制御システムECSは、対応するモードを実施するため、標準ロボット位置座標モード部147及び補足計測位置座標モード部192も含むことができる。これらについては以下で更に詳しく記載する。
【0027】
様々な実施例において、第1の撮像構成160は、カメラCAM1の画像積分を定期的に(例えば設定されたタイミング間隔で)活性化するコンポーネント(例えばサブ回路、ルーチン等)を含むことができ、第1の撮像トリガ信号が、ストロボ光タイミング又は事実上移動を止めると共に対応して積分期間内の露光を決定する他の機構を活性化できる。このような実施例では、積分期間中に第1の撮像トリガ信号が受信されない場合、得られる画像を破棄することができ、積分期間中に第1の撮像トリガ信号が受信された場合、得られる画像をセーブする及び/又は他の方法で処理/解析して相対位置を決定することができる。これについては以下で更に詳しく記載する。
【0028】
様々な実施例において、異なるタイプのエンドツールETLは、画像トリガ部181に対して使用され得る異なるタイプの出力を提供できる。例えば、エンドツールETLがタッチプローブであり、ワークピースを測定するため使用され、ワークピースに触れるとタッチ信号を出力する実施例では、画像トリガ部181は、そのタッチ信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力し、それに基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定するように構成できる。別の例として、エンドツールETLがスキャンプローブであり、ワークピースを測定するため使用され、各サンプルタイミング信号に対応した各ワークピース測定サンプルデータを与える実施例では、画像トリガ部181は、その各サンプルタイミング信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力するように構成できる。別の例として、エンドツールETLがカメラであり、各ワークピース画像取得信号に対応した各ワークピース測定画像を与えるために使用される場合、画像トリガ部181は、そのワークピース画像取得信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力するように構成できる。
【0029】
図1の例示的な実施例において、補足計測位置座標決定システム150は、第2のアーム部130の遠位端DE2の近傍で第2のアーム部130に結合されたXYスケール170と、静止要素STE(例えば多関節ロボット110よりも上方に配置されたフレーム)に結合されると共に第1の参照位置REF1を規定する第1の撮像構成160と、を用いて構成されている。代替的な実施例(例えば、以下で
図3を参照して更に詳しく記載する)では、補足計測位置座標決定システムは、第2のアーム部130の遠位端DE2の近傍で第2のアーム部130に結合された第1の撮像構成160と、静止要素STEに結合されると共に第1の参照位置REF1を規定するXYスケール170と、を用いて構成されている。
【0030】
いずれの場合であっても、以下で更に詳しく記載するように、z軸に沿ったXYスケール170のロケーションは第1の撮像構成160の合焦範囲内であり(例えば、合焦位置はVFLレンズ又は他のものによって調整できる)、補足計測位置座標決定システム150は、取得した画像内で識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、計測位置座標処理部190が、XYスケール170又は第1の撮像構成160のうち可動のものと第1の参照位置REF1との間の相対位置(例えばx座標及びy座標を含む)をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するよう動作可能であるように構成されている。決定された相対位置は、少なくともz軸に直交するxy面内のx及びy計測位置座標について、画像取得時点におけるエンドツール位置ETPの計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム150は、決定された相対位置、及び、エンドツール位置ETPとXYスケール170又は第1の撮像構成160のうち可動のものとの間の既知の座標位置オフセット(x及びy座標オフセット)に基づいて、画像取得時点におけるエンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するように構成できる。このようなシステムが種々の代替的なシステムよりも優れたいくつかの利点を有し得ることは認められよう。例えば様々な実施例において、本明細書に開示されるようなシステムは、ロボット移動/位置を追跡するためにレーザトラッカ又は写真測量法のような技術を利用する代替的なシステムに比べて、小型である及び/又は低費用である可能性があり、更に、いくつかの実施例では精度が高い可能性もある。また、開示されるシステムは、動作可能な作業範囲OPVのどの部分も占有したり覆い隠したりしないが、代替的なシステムは、同一エリア(例えば動作可能な作業範囲)内の地上もしくはステージ上、又はワークピースに作業及び/又は検査等を行う可能性のある他の場所に、スケール又は基準を含むことがある。
【0031】
図2は、第1の撮像構成160が静止要素STE(例えば
図1の静止要素STE)に結合されている、
図1のロボットシステム100と同様のロボットシステム200の第2の例示的な実施例の等角投影図である。
図2のいくつかの番号を付けたコンポーネント(例えば1XX又は2XX)は、
図1の同一又は同様の番号を付けたコンポーネント(例えば1XX)に対応する及び/又はそれらと同様の動作を有し、それらと同様又は同一であると理解することができ、他の場合は類推によって及び以下で記載するように理解され得ることは認められよう。同様の及び/又は同一の設計及び/又は機能を有する要素を示すこの番号付けスキームは、以下の
図3から
図5にも適用される。
【0032】
図2の構成(すなわち
図1の構成と同様)において、XYスケール170は、第2のアーム部130の遠位端DE2の近傍で第2のアーム130に結合されている。様々な実施例では、
図1を参照して上述したように、第1の撮像構成160が結合されている静止要素STEは、多関節ロボット110よりも上方に配置されたフレームを含み得る。様々な実施例において、多関節ロボット110のコンポーネントのいくつかの移動、座標、及び軸に言及するため、異なる参照軸及び参照線を指定することがある。例えば、第1及び第2のアーム部120及び130には、各アーム部の中心を通る水平方向の中央線CL1及びCL2を指定できる。第1のアーム部120の中央線CL1とxz面との間に生じる(例えば第1の回転軸RA1を中心とした第1の回転継手125の回転量に応じた)角度A1を指定できる。第1のアーム部120の水平方向の中央線CL1と第2のアーム部130の水平方向の中央線CL2との間に生じる(例えば第2の回転軸RA2を中心とした第2の回転継手135の回転量に応じた)角度A2を指定できる。
【0033】
様々な実施例において、エンドツール構成ETCNは、第2のアーム部130の遠位端DE2の近傍で第2のアーム部130に結合し、第2のアーム部130の中央線CL2とノミナルに交差するエンドツールETLのエンドツール軸EAを有することを指定できる。エンドツール軸EAは、概ね回転軸RA2及びz軸に平行であると仮定できる。様々な実施例において、エンドツール軸EAはエンドツール位置ETPを通り、XYスケール170からの既知の座標位置オフセット(すなわちx座標及びy座標)を有する。これに応じて、エンドツール位置ETPとXYスケール170との間には既知の座標位置オフセットが存在し得る。例えばXYスケール170は、(例えばXYスケール170の中心又はエッジに)指定された参照点を有することができ、これはエンドツール軸EAから、従ってエンドツール位置ETPから、xy面内の既知の座標位置オフセット(例えば既知の距離)を有する。様々な実施例において、このような既知の座標位置オフセットは、既知のxオフセット及び既知のyオフセットで表現することができる。
【0034】
様々な実施例において、エンドツール位置ETPとXYスケール170との間の既知の座標位置オフセットは、エンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するためのプロセスの一部として利用できる。更に具体的には、上述のように、補足計測位置座標決定システム150は、取得した画像内で識別された(すなわちXYスケール170の)少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、計測位置座標処理部190が、XYスケール170と第1の参照位置REF1(すなわち静止した第1の撮像構成160によって規定される)との間の相対位置を決定するよう動作可能であるように構成できる。補足計測位置座標決定システム150は更に、決定された相対位置、及び、エンドツール位置ETPと可動XYスケール170との間の既知の座標位置オフセットに基づいて、エンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するように構成できる。1つの具体的な例示の実施例では、エンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するため、既知の座標位置オフセット(例えば既知のxオフセット及びyオフセットで表現される)を、決定された相対位置に追加するか又は他の方法でこれと組み合わせることができる。
【0035】
1つの具体的な例示の位置座標構成として、XYスケール170は、参照位置(例えば原点位置)を、X0、Y0、Z0に有する(例えば原点位置では0、0、0の値を有し得る)ことを指定できる。このような構成では、参照位置REF1(すなわち静止した第1の撮像構成160によって規定される)は相対座標X1、Y1、Z1に存在し、対応する視野FOV1(例えば取得された画像に対応する)の中心は相対座標X1、Y1、Z0に存在し得る。XYスケール170から延出するxy面内のエンドツール軸EAのロケーションは、相対座標X2、Y2、Z0を有すると指定できる。エンドツール位置ETPは座標X2、Y2、Z2を有すると指定できる。様々な実施例において、エンドツールETLは、座標X3、Y3、Z3を有すると指定できる接点CP(例えばワークピースに接触するためエンドツールスタイラスETSTの端部にある)を有し得る。エンドツールETLの接点CPがエンドツールの残り部分に対してx方向又はy方向に変動しない実施例では、X3及びY3座標はそれぞれX2及びY2座標に等しい可能性がある。
【0036】
1つの具体的な例示の実施例では、取得された画像を計測位置座標処理部190によって解析して相対位置を決定することができる(例えば、静止した第1の撮像構成160の視野FOV1の中心に対応するX1、Y1座標を決定する)。このような決定は、(例えばスケールに対するカメラのロケーションを決定するための)標準的なカメラ/スケール画像処理技法に従って実行できる。このような技法の様々な例が、米国特許第6,781,694号、第6,937,349号、第5,798,947号、第6,222,940号、及び第6,640,008号に記載されている。様々な実施例では、このような技法を用いて、スケール範囲内(例えばXYスケール170内)の視野のロケーション(例えばカメラの位置に対応している)を決定できる。これについては以下で
図4及び
図5を参照して更に詳しく記載する。様々な実施例において、このような決定は、XYスケール170の取得された画像内に含まれる少なくとも1つの各撮像可能要素及びそれに関連した各既知のXYスケール座標ロケーションを識別することを含み得る。このような決定は、XYスケール170と第1の参照位置REF1(すなわち静止した第1の撮像構成160によって規定される)との間の相対位置を決定することに対応し得る。次いで、エンドツール位置ETPとXYスケール170との間の既知の座標位置オフセットに従って、相対X2、Y2座標(すなわちエンドツール位置ETPの)を決定することができる(例えば、X2及びY2を決定するためX1及びY1にx及びy位置オフセット値を加える)。
【0037】
様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム150は、1つ以上の追加の撮像構成を更に含み得る。例えば
図2に示されているように、補足計測位置座標決定システム150は、第2のカメラCAM2及びノミナルでz軸に対して平行に位置合わせされた光軸OA2を有する第2の撮像構成160’を含むことができる。第2の撮像構成160’は、第2の参照位置REF2(例えば相対座標X1’、Y1’、及びZ1を有する)を規定できる。第2の撮像構成160’は、その光軸OA2に沿って有効合焦範囲REFPを有し得る。このような構成において、画像トリガ部181は更に、エンドツール位置ETPに関連した少なくとも1つの入力信号を入力し、この少なくとも1つの入力信号に基づいて第2の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、更に、この第2の撮像トリガ信号を第2の撮像構成160’に出力するよう構成できる。様々な実施例において、第2の撮像構成160’は、第2の撮像トリガ信号の受信に応答して、画像取得時点でXYスケール170のデジタル画像を取得するように構成できる。計測位置座標処理部190は更に、取得された画像を入力し、XYスケール170の取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別するように構成できる。
【0038】
様々な実施例において、計測位置座標処理部190は、取得した画像内で識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、XYスケール170と第2の参照位置REF2との間の相対位置をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能である。このような実施例において、決定された相対位置は、少なくともz軸に直交するxy面内のx及びy計測位置座標について、画像取得時点におけるエンドツール位置ETPの計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。
【0039】
様々な実施例において、画像トリガ部181に入力される少なくとも1つの入力信号は、移動制御システム140から導出された1つ以上の信号を含む。このような構成において、画像トリガ部181は、移動制御システム140から導出された1つ以上の信号に基づいて、XYスケール170が第1の撮像構成160又は第2の撮像構成160’のどちらと位置合わせされているかを判定するように構成できる。XYスケール170が第1の撮像構成160と位置合わせされていると判定された場合(例えば、XYスケール170の充分な部分が第1の撮像構成160によって撮像されるようになっている)、画像トリガ部181は第1の撮像トリガ信号を出力するように構成されている。これに対して、XYスケール170が第2の撮像構成160’と位置合わせされていると判定された場合(例えば、XYスケール170の充分な部分が第2の撮像構成160’によって撮像されるようになっている)、画像トリガ部181は第2の撮像トリガ信号を出力するように構成されている。
【0040】
図3は、XYスケール170が静止要素STEに結合されていると共に第1の参照位置REF1を規定する、ロボットシステム300の第3の例示的な実施例の等角投影図である。
図3の構成において、第1の撮像構成160は、第2のアーム部130の遠位端DE2の近傍で第2のアーム部130に結合されている。様々な実施例において、エンドツール軸EAは、第1の撮像構成160からの既知の座標位置オフセット(すなわちx及びy座標)を有する。これに応じて、エンドツール位置ETPと第1の撮像構成160との間には既知の座標位置オフセットが存在し得る。例えば第1の撮像構成160は、(例えば第1の撮像構成160の中心に)指定された参照点を有することができ、これはエンドツール軸EAから、従ってエンドツール位置ETPから、xy面内の既知の座標位置オフセット(例えば既知の距離)を有する。様々な実施例において、このような既知の座標位置オフセットは、既知のxオフセット及び既知のyオフセットで表現することができる。
【0041】
様々な実施例において、エンドツール位置ETPと第1の撮像構成160との間の既知の座標位置オフセットは、エンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するためのプロセスの一部として利用できる。更に具体的には、上述のように、補足計測位置座標決定システム150は、取得した画像内で識別された(すなわちXYスケール170の)少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、計測位置座標処理部190が、第1の撮像構成160と第1の参照位置REF1(すなわち静止したXYスケール170によって規定される)との間の相対位置を決定するよう動作可能であるように構成できる。補足計測位置座標決定システム150は更に、決定された相対位置、及び、エンドツール位置ETPと可動の第1の撮像構成160との間の既知の座標位置オフセットに基づいて、エンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するように構成できる。1つの具体的な例示の実施例では、エンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するため、既知の座標位置オフセット(例えば既知のxオフセット及びyオフセットで表現される)を、決定された相対位置に追加するか又は他の方法で組み合わせることができる。
【0042】
1つの具体的な例示の位置座標構成において、XYスケール170は、参照位置REF1(例えば原点位置)を、X0、Y0、Z0に有する(例えば原点位置では0、0、0の値を有し得る)ことを指定できる。第1の撮像構成160は相対座標X1、Y1、Z1のロケーションに存在し、対応する視野FOV1(例えば取得した画像内でキャプチャされる)の中心は相対座標X1、Y1、Z0に存在し得る。第1の撮像構成160から延出するxy面内のエンドツール軸EAのロケーションは、相対座標X2、Y2、Z1を有すると指定できる。エンドツール位置ETPは座標X2、Y2、Z2を有すると指定できる。様々な実施例において、エンドツールETLは、座標X3、Y3、Z3を有すると指定できる接点CP(例えばワークピースに接触するためエンドツールスタイラスETSTの端部にある)を有し得る。エンドツールETLの接点CPがエンドツールの残り部分に対してx方向又はy方向に変動しない実施例では、X3及びY3座標はそれぞれX2及びY2座標に等しい可能性がある。
【0043】
様々な実施例において、
図3のロボットシステム300は、
図2のロボットシステム200に比べていくつかの異なる設計上の検討事項及び態様を有し得る(例えば、それぞれ第1及び第2のアーム部120及び130の遠位端DE1及びDE2で生じ得る垂直方向の変位又はたるみに関連して)。このような変位又はたるみが(例えばアーム部や撮像構成160等の重さ及び/又は異なる向き等のため)生じ得る実施例では、これに応じて第1の撮像構成160の視野FOVがシフトすることに関連して、
図3のロボットシステム300では特に望ましくない効果が発生し得る。より具体的には、そのような垂直方向の変位又はたるみは、XYスケール170(すなわち静止要素STEに取り付けられている)上の視野FOVのロケーションに比較的大きいシフト/変化を引き起こし、その結果、決定された相対位置及び対応するエンドツール位置ETPの計測位置座標に比較的大きい誤差が発生する恐れがある。このような問題のため、いくつかの実施例では、
図2のロボットシステム200の構成が
図3のロボットシステム300よりも優れた利点を有すると考えられる。
【0044】
図4は、インクリメンタルXYスケール170Aの例示的な実施例の等角投影図である。
図4に示されているように、インクリメンタルXYスケール170Aは均等に離間された増分撮像可能要素IIFのアレイを含む。様々な実施例において、インクリメンタルXYスケール170Aは100ミクロンよりも小さい周期を有し得る(例えば、x軸及びy軸に沿った増分撮像可能要素IIF間の周期的間隔XSP1及びYSP1はそれぞれ100ミクロン未満とすることができる)。様々な実施例において、インクリメンタルXYスケール170Aを用いて決定される位置情報は、少なくとも10ミクロンの精度を有し得る。いくつかの実施例では約100ミクロンであるロボット精度に対して、このようなXYスケール170Aを用いて決定される精度はそのロボット精度の少なくとも10倍とすることができる。1つの具体的な例示の実施例において、インクリメンタルXYスケール170Aは約10ミクロンよりも高い周期性を有し、第1の撮像構成160の倍率が約1であり内挿が10倍で実行される場合、約1ミクロンの精度を達成できる。このような構成は、約100ミクロンのロボット精度の約100倍の精度向上を与える。
【0045】
様々な実施例において、インクリメンタルXYスケール170A内の第1の撮像構成160の視野FOVのロケーションは、XYスケール170Aと第1の参照位置REF1との間の相対位置の指示を与えることができる。様々な実施例において、第1の撮像構成160をインクリメンタルXYスケール170Aと組み合わせて、カメラ/スケール画像処理構成の一部として利用できる。例えば計測位置座標処理部190は、カメラ/スケール画像処理技法の技術において既知のように(例えば本願に含まれる前述の引用文献に記載されているように)、取得された画像内のXYスケール170Aの部分で示されるインクリメンタルXYスケール170A内の視野FOVの位置に基づいて、XYスケール170Aと第1の参照位置REF1との間の相対増分位置を決定できる。様々な実施例において、インクリメンタルXYスケール170Aは視野FOVに対して様々な大きさとすることができる(例えば、インクリメンタルXYスケール170Aは視野FOVの少なくとも4倍、10倍、20倍等とすればよい)。
【0046】
様々な実施例において、XYスケール170Aによって示される増分位置を、多関節ロボット110からの位置情報と組み合わせて、比較的精密な及び/又は絶対的な位置を決定することができる。例えば、多関節ロボット110のセンサSEN1及びSEN2(例えば回転エンコーダ)はエンドツール位置ETPをロボット精度で示すことができ、XYスケール170Aによって示された増分位置を用いてこの決定されたエンドツール位置ETPを更に改善することで、ロボット精度よりも高い精度が得られる。1つのそのような実施例では、計測位置座標処理部190は、取得された画像内の1つ以上の撮像可能要素IFFの画像位置に基づいて、更に、画像取得時点に対応して移動制御システム140から導出された関節ロボット位置データに基づいて、XYスケール170Aの取得された画像に含まれる1つ以上の撮像可能要素IIFを識別するように構成できる。
【0047】
そのような構成において、XYスケール170Aの各撮像可能要素IFFは、ロボット精度内で許される最大位置誤差よりも大きい距離だけ相互に等間隔で離間するように基板上に分散させた同様の撮像可能要素IFFのセットを含み得る。
図4に示されているように、撮像可能要素IFFは、代表的な撮像可能要素IFFを取り囲む円で表されている最大位置誤差MPEよりも大きく(例えば間隔XSP1及びYSP1で)離間されている。このような構成において、位置決定のためのロボット精度は、撮像可能要素IFF間の間隔よりも大きい精度でロケーションを決定するためには充分であることは認められよう。更に具体的には、様々な実施例において、XYスケール170A上の単一の撮像可能要素IFFは(すなわち、撮像可能要素は全てスケール全体の均等な間隔に従ってXYスケール170A上の既知のx及びy計測位置座標に存在する)、このように、2つの撮像可能要素IFFが相互に混同されないよう充分な精度で多関節ロボット位置データによって識別できる。このような構成では、次いで、取得された画像内の単一の撮像可能要素IFFのロケーションを用いてエンドツール位置ETPを更に改善し、少なくともz軸に直交するxy面内のエンドツール位置ETPのx及びy計測位置座標についてロボット精度よりも高い精度を得ることができる。
【0048】
図2を参照して上述したように、1つの具体的な例示の実施例において、XYスケール170Aは、参照位置(例えば原点位置)を、X0、Y0、Z0に有する(例えば原点位置では0、0、0の値を有し得る)ことを指定できる。このような構成において、参照位置REF1(すなわち静止した第1の撮像構成160によって規定される)は相対座標X1、Y1、Z1に存在し、対応する視野FOV(例えば取得した画像内でキャプチャされる)の中心は相対座標X1、Y1、Z0に存在し得る。XYスケール170から延出するxy面内のエンドツール軸EAのロケーションは、相対座標X2、Y2、Z0を有すると指定できる。エンドツール位置ETPは座標X2、Y2、Z2を有すると指定できる。
【0049】
動作中、取得された画像を計測位置座標処理部190によって解析して、静止した第1の撮像構成160の視野FOV1の中心に対応するX1、Y1座標を決定することができる。様々な実施例において、このような決定は、スケール範囲内(例えばXYスケール170A内)の視野のロケーション(例えばカメラのロケーションに対応している)を決定するための標準的なカメラ/スケール画像処理技法に従って実行できる。標準的なカメラ/スケール画像処理技法に従って、そのような決定を行うために、参照位置/原点位置X0、Y0、Z0が視野FOV内にある必要はないことは認められよう(すなわち、相対位置は、均等に離間した増分撮像可能要素IIFを含むスケール要素によって部分的に与えられるXYスケール170Aに沿った任意のロケーションのスケール情報から決定できる)。様々な実施例において、このような決定は、XYスケール170の取得された画像内に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素、及びそれに関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別することを含み得る。このような決定は、XYスケール170と第1の参照位置REF1(すなわち静止した第1の撮像構成160によって規定される)との相対位置を決定することに対応し得る。次いで、エンドツール位置ETPとXYスケール170との間の既知の座標位置オフセットに従って、相対X2、Y2座標(すなわちエンドツール位置ETPの)を決定することができる(例えば、X2及びY2を決定するためX1及びY1にx及びy位置オフセット値を加える)。
【0050】
多関節ロボット110からの位置情報をXYスケール170Aで示された増分位置情報と組み合わせて比較的精密な及び/又は絶対的な位置を決定する具体例は以下の通りである。
図4に示されているように、取得された画像は、視野FOVの中心が4つの増分撮像可能要素IIFの中央にあることを示し得るが、XYスケール170のどの特定の4つの増分撮像可能要素IIFが画像内に含まれるかは示さない可能性がある。多関節ロボット110からの位置情報は、XYスケール170Aの特定の4つの増分撮像可能要素IIFを識別できるそのような情報を与えるのに充分な精度を有し得る(例えば、各撮像可能要素IFFを一意に識別できるように、撮像可能要素IFFが代表的な円形エリアMPEで表される最大位置誤差よりも大きく離間している上述の原理に部分的に基づく)。次いで、取得された画像を計測位置座標処理部190によって解析して、XYスケールのそのセクション(すなわち特定の4つの増分撮像可能要素IIFを含む)内のどこに視野の中心(すなわち座標X1、Y1、Z0)があるかを精密に決定できる。次いで、(例えば対応してエンドツール位置ETPのX2及びY2座標を決定するため)このプロセスは上述のように継続することができる。
【0051】
図5は、アブソリュートXYスケール170Bの例示的な実施例の等角投影図である。
図5の例では、インクリメンタルXYスケール170Aと同様に、アブソリュートXYスケール170Bは均等に離間した増分撮像可能要素IIFのアレイを含み、更に、一意の識別可能パターン(例えば16ビットパターン)を有する絶対撮像可能要素AIFのセットも含む。動作中、アブソリュートXYスケール170B内の第1の撮像構成160の視野FOV(すなわちキャプチャした画像に含まれる)のロケーションは、XYスケール170Bと第1の参照位置REF1との間の絶対位置の指示を与える。
図5の実施例において、絶対撮像可能要素AIFのセットは、第1の撮像構成160の視野FOVの直径方向の距離よりも小さい距離だけ(例えば間隔XSP2及びYSP2で)離間するように基板上に分散している(すなわち、少なくとも1つの絶対撮像可能要素AIFが常に視野内に含まれるようになっている)。動作中、計測位置座標処理部190は、XYスケール170Bの取得された画像に含まれる少なくとも1つの絶対撮像可能要素AIFを、各絶対撮像可能要素AIFの一意の識別可能パターンに基づいて識別するように構成されている。このような実施例は、少なくともz軸に直交するxy面内のエンドツール位置ETPのx及びy計測位置座標について、ロボット精度よりも良好な精度でエンドツール位置ETPを示す絶対位置を独立して決定できることは認められよう(例えば、インクリメンタルXYスケール170Bとは異なり、絶対位置を決定するために多関節ロボット110からの位置情報との組み合わせを必要としない可能性がある)。
【0052】
絶対撮像可能要素AIFを用いて比較的精密な絶対的な位置を決定する具体例は以下の通りである。
図5に示されているように、取得された画像は、視野FOVの中心が多数の増分撮像可能要素IIFの中央にあることを示し得る。含まれる2つの絶対撮像可能要素AIFからの位置情報は、画像がXYスケール170Bのどのセクションを含むかを示し、これに含まれるXYスケール170増分撮像可能要素IIFも識別することができる。従って、取得された画像を計測位置座標処理部190によって解析して、XYスケールのそのセクション(すなわち2つの絶対撮像可能要素及び複数の増分撮像可能要素IIFを含む)内のどこに視野の中心(すなわち座標X1、Y1、Z0)があるかを精密に決定できる。次いで、(例えば対応してエンドツール位置ETPのX2及びY2座標を決定するため)このプロセスは上述のように継続することができる。
【0053】
図6A及び
図6Bは、多関節ロボット及び補足計測位置座標決定システムを含むロボットシステムを動作させるためのルーチン600A及び600Bの例示的な実施例を示すフロー図である。
図6Aに示されているように、決定ブロック610では、ロボットシステムを補足計測位置座標モードで動作させるか否かを決定する。様々な実施例において、補足計測位置座標モード又は標準ロボット位置座標モードの選択及び/又は活性化は、ユーザによって行う、及び/又は特定の動作及び/又は命令に応答してシステムによって自動的に行うことができる。例えば1つの実施例では、多関節ロボットが特定の位置に移動した場合(例えばエンドツールを、アセンブリ又は他の動作が実行される一般エリアから、ワークピース検査動作が典型的に実行されると共に補足計測位置座標モードが利用される特定エリアに移動させた場合)、補足計測位置座標モードを開始することができる(例えば自動的に又はユーザによる選択に従って)。様々な実施例では、このようなモードは外部制御システムECSによって実施できる(例えば、標準ロボット位置座標モード部147及び補足計測位置座標モード部192を使用する
図1の外部制御システムECS)。様々な実施例では、ハイブリッドモードを、独立して又は補足計測位置座標モードの一部として動作させる及び/又はモード間の切り換えとして実施することができる。これについては
図7を参照して以下で更に詳しく記載する。
【0054】
決定ブロック610においてロボットシステムを補足計測位置座標モードで動作させないことが決定された場合、ルーチンはブロック620に進み、ロボットシステムを標準ロボット位置座標モードで動作させる。標準ロボット位置座標モードの一部として、多関節ロボットの位置センサ(例えば回転エンコーダ)を用いて、ロボット精度(例えば、多関節ロボットの位置センサの精度に少なくとも部分的に基づく)で、多関節ロボットの移動及び対応するエンドツール位置を制御及び決定する。上述のように、第1及び第2の回転エンコーダは、XYスケールを用いて決定される位置情報よりも低い精度で第1及び第2のアーム部の位置を示し得る。一般に、ロボット位置座標モードは、多関節ロボットの独立した及び/又は標準的な動作モードに対応し得る(例えば、補足計測位置座標決定システムがアクティブでないか又は他の理由で提供されない場合に多関節ロボットを独立して動作させるモード)。
【0055】
ロボットシステムを補足計測位置座標モードで動作させる場合、ルーチンはブロック630に進み、多関節ロボットのエンドツール位置に関連した少なくとも1つの入力信号を(例えば画像トリガ部で)受信する。少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、この第1の撮像トリガ信号を第1の撮像構成に出力する。第1の撮像構成は、第1の撮像トリガ信号の受信に応答して、画像取得時点でXYスケールのデジタル画像を取得する。ブロック640では、取得された画像を(例えば計測位置座標処理部で)受信し、XYスケールの取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別する。
【0056】
ブロック650では、取得した画像内で識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものと第1の参照位置との間の相対位置をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定する。決定された相対位置は、少なくともz軸に直交するxy面内のx及びy計測位置座標について、画像取得時点におけるエンドツール位置の計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。ブロック660では、決定された位置情報(例えば、決定された相対位置、エンドツール位置の決定された計測位置座標、及び/又は他の関連する決定された位置情報)を、指定された機能のため(例えばワークピース測定、多関節ロボットの配置制御等のため)に使用する。このような動作又は他のものの一部として、ルーチンは次いでポイントAに進むことができる。様々な実施例では、ルーチンはここで終了するか、又は
図6Bを参照して以下で更に詳しく記載するように継続できる。
【0057】
図6Bに示されているように、ルーチン600BはポイントAからブロック670へと継続することができる。以下で更に詳しく記載するように、ルーチン600Bの一部として、(例えばブロック660からの)決定された位置情報を、ワークピース上の第1の表面ロケーションに対応するか又はこれを決定するため利用することができ、次いでワークピース上の第2の表面ロケーションを決定できる(例えばワークピース測定の一部として)。ブロック670では、エンドツール位置に関連した少なくとも1つの第2の入力信号を(例えば画像トリガ部で)受信し、少なくとも1つの第2の入力信号に基づいて第2の撮像トリガ信号のタイミングを決定する。この第2の撮像トリガ信号を第1の撮像構成に出力する。第1の撮像構成は、第2の撮像トリガ信号の受信に応答して、第2の画像取得時点でXYスケールの第2のデジタル画像を取得する。
【0058】
ブロック680では、取得された画像を(例えば計測位置座標処理部で)受信し、XYスケールの第2の取得された画像に含まれる少なくとも1つの第2の撮像可能要素及び関連する第2の既知のXYスケール座標ロケーションを識別する。ブロック690では、第2の取得した画像内で識別された少なくとも1つの第2の撮像可能要素の第2の画像位置の決定に基づいて、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものと第1の参照位置との間の第2の相対位置をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定する。決定された第2の相対位置は、少なくともz軸に直交するxy面内のx及びy計測位置座標について、第2の画像取得時点におけるエンドツール位置の計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。第2の相対位置は第1の相対位置とは異なり、第1の表面ロケーションとは異なるワークピース上の第2の表面ロケーションに対応する。
【0059】
ブロック695では、第1及び第2の相対位置及び/又は関連する位置情報を用いて、第1及び第2の画像取得時点における各エンドツール位置(例えば接点位置等を示す)に対応するワークピース上の第1及び第2の表面ロケーション間の距離に対応するワークピースの寸法を決定する。多関節ロボットの位置センサ(例えば回転エンコーダ)を用いてロボット精度でワークピース上の第1及び第2の表面ロケーションを決定するのではなく、上述した技法を用いて、より精度の高い位置情報を決定できることは認められよう。更に具体的には、第1及び第2の表面ロケーション(すなわち、XYスケール上の第1及び第2のロケーションに対応し、そのようなロケーション間の精密な距離はXYスケールの精度に応じて上述した技法を用いて決定できる)の決定によって、第1及び第2の表面ロケーション間のワークピース上の対応する寸法を、より高い精度で決定することが可能となる。
【0060】
図7は、移動タイミングの異なる部分の間にそれぞれ異なる技法を使用することができる、エンドツール位置を決定するためのルーチン700の1つの例示的な実施例を示すフロー図である。概して、移動タイミングの間に、多関節ロボットの1つ以上のアーム部を第1の回転位置から第2の回転位置へ移動させる(例えば、回転継手を中心としてアーム部を第1の回転向きから第2の回転向きへ回転させることを含み得る)。
図7に示されているように、決定ブロック710では、移動タイミング中のエンドツール位置を決定するためにハイブリッドモードを利用するか否かを決定する。様々な実施例において、ハイブリッドモードは、補足計測位置座標モードと標準ロボット位置座標モードとの切り換えを含むプロセスも表し得る。ハイブリッドモードが利用されない場合、ルーチンはブロック720に進み、移動タイミング中のエンドツール位置を決定するために多関節ロボットの位置センサ(例えば回転エンコーダ)のみを単独で利用する。
【0061】
ハイブリッドモードが使用される場合、ルーチンはブロック730に進み、移動タイミングの第1の部分の間、エンドツール位置を決定するため多関節ロボットに含まれる位置センサを使用する。このような動作中、エンドツール位置を決定するために補足計測位置座標決定システムの相対位置は決定されない及び/又は利用されない可能性がある。ブロック740では、移動タイミングの第1の部分の後に生じる移動タイミングの第2の部分の間、補足計測位置座標決定システムの決定された相対位置を用いてエンドツール位置を決定する。このような動作によって、システムは、移動タイミングの第1の部分の間にエンドツール位置の初期の/高速の/粗い移動を実行できると共に、移動タイミングの第2の部分の間にエンドツール位置の高精度の最後の/低速の/細かい移動を実行できることは認められよう。
【0062】
図8は、ロボット810及び補足計測位置座標決定システム850を含むロボットシステム800の第4の例示的な実施例のブロック図である。ロボット810(例えば多関節ロボット)は、可動アーム構成MAC’とロボット移動制御及び処理システム840を含む。補足計測位置座標決定システム850は、第1の撮像構成860-1、XYスケール870、画像トリガ部881、及び計測位置座標処理部890を含む。
図8の構成において、XYスケール870は可動アーム構成MAC’に結合されている。以下で更に詳しく記載されるように、第1の撮像構成860-1は、動作構成にある場合にスケール撮像軸方向SIA’に対して平行とすることができる第1の光軸OA1’を有する。
【0063】
図8の例において、可動アーム構成MAC’は、下方ベース部BSE’、アーム部821~825、移動機構831~835、位置センサSEN1’~SEN5’、及びエンドツール搭載構成ETMC’を含む。以下で更に詳しく記載し、また
図9にも示すように、アーム部821~825の各々はそれぞれ近位端PE1’~PE5’及び遠位端DE1’~DE5’を有し得る。様々な実施例において、アーム部821~825のいくつか又は全ては、各アーム部821~825の各近位端PE1’~PE5’において各移動機構831~835に搭載することができる。
図8の例において、移動機構831~835(例えば、対応するモータを備えた回転継手及び/又はリニアアクチュエータ等)のいくつか又は全ては、各アーム部821~825の(例えば各回転軸RA1’~RA5’を中心とした、又はこれらの各軸に沿った)移動(例えば回転や線形移動等)を可能とする。様々な実施例において、位置センサSEN1’~SEN5’(例えば回転エンコーダ、リニアエンコーダ等)は、各アーム部821~825の位置(例えば角度方位、線形位置等)を決定するために使用できる。
【0064】
様々な実施例において、可動アーム構成MAC’は、終端部として指定される部分(例えば第5のアーム部825)を有し得る。
図8の例示的な構成において、エンドツール搭載構成ETMC’は、可動アーム構成MAC’の遠位端に対応する(例えば終端部として指定された)第5のアーム部825の遠位端DE5’の近傍に位置付けられている(例えば遠位端DE5に位置付けられている)。種々の代替的な実施例において、可動アーム構成の終端部は、アーム部でない要素(例えば回転可能要素等)とすることができるが、終端部の少なくとも一部は、エンドツール搭載構成ETMC’が位置付けられている可動アーム構成の遠位端に相当する。様々な実施例において、XYスケール870は、可動アーム構成MAC’の遠位端の近傍にあるように可動アーム構成MAC’に結合することができる。
図8の実施例において、XYスケール870は、可動アーム構成MAC’の遠位端の近傍のロケーションで第4のアーム部824に結合されている。
【0065】
様々な実施例において、エンドツール搭載構成ETMC’は、可動アーム構成MAC’の遠位端の近傍にエンドツールETLを結合し維持するための様々な要素を含み得る。例えば様々な実施例において、エンドツール搭載構成ETMC’は、オートジョイント(autojoint)接続、磁気結合部、及び/又はエンドツールETLを対応する要素に搭載するための当技術分野において既知である他の結合要素を含み得る。また、エンドツール搭載構成ETMC’は、エンドツールETLの少なくとも一部との間で(例えばエンドツール検知部ETSNとの間で)電力及び/又は信号を提供及び/又は伝送するための電気的接続(例えば電力接続、1つ以上の信号線等)も含み得る。
【0066】
様々な実施例において、エンドツールETLは、エンドツール検知部ETSNと、(例えばワークピースWPの表面に接触するための)接点CPを備えたエンドツールスタイラスETSTと、を含むことができる。第5の移動機構835は、第4のアーム部824の遠位端DE4’の近傍に位置付けられている。様々な実施例において、第5の移動機構835(例えば対応するモータを備えた回転継手)は、第5のアーム部825を、回転軸RA5’(例えば、いくつかの向きでは光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’に平行であり得る。これは例えば、第4の移動機構834による第4のアーム部824の回転によって動作構成に配向された場合である)を中心として回転させるように構成できる。いくつかの実施例において第5の移動機構835は、これに加えて又はこの代わりに、第5のアーム部825を、線形に(例えば、動作構成に配向された場合、スケール撮像軸方向SIA’で上下に)移動させるよう構成された異なるタイプの移動機構(例えばリニアアクチュエータ)を含んでもよい。いずれの場合であっても、エンドツールETLは、エンドツール搭載構成ETMC’に搭載され(例えば結合され)、対応する計測位置座標(例えばx、y、及びz座標)を持つ対応するエンドツール位置ETP’を有する。様々な実施例において、エンドツール位置ETP’は、エンドツール搭載構成ETMC’の位置に相当するか又はその近傍とすることができる(例えば、可動アーム構成MAC’の遠位端に対応する第5のアーム部825の遠位端DE5’にあるか又はその近傍にある)。
【0067】
移動制御システム840は、ロボット精度として規定された精度レベルでエンドツールETLのエンドツール位置ETP’を制御するように構成されている。より具体的には、移動制御システム840は概して、少なくとも部分的に、アーム部821~825の位置を検知及び制御するため移動機構831~835及び位置センサSEN1’~SEN5’を使用することに基づいて、ロボット精度でエンドツール位置ETP’の計測位置座標(例えばx、y、及びz座標)を制御するように構成されている。様々な実施例において、移動制御及び処理システム840は移動機構制御及び検知部841~845を含むことができ、これらは、各アーム部821~825の位置(例えば角度位置や線形位置等)を検知するため各位置センサSEN1’~SEN5’からそれぞれ信号を受信する、及び/又は各アーム部821~825を移動させるため各移動機構831~835(例えば回転継手、リニアアクチュエータ、モータ等を含む)に制御信号を提供することができる。
【0068】
また、移動制御及び処理システム840は、エンドツール検知部ETSNから信号を受信することができる。様々な実施例において、エンドツール検知部ETSNは、ワークピースWPを検知するためのエンドツールETLの動作に関連した回路及び/又は構成を含み得る。以下で更に詳しく記載するように、様々な実施例において、エンドツールETL(例えばタッチプローブ、スキャンプローブ、カメラ等)は、ワークピースWP上の表面ロケーション/位置/ポイントに接触するため又は他の方法でそれらを検知するために利用され、これに対応した様々な信号がエンドツール検知部ETSNによって受信、決定、及び/又は処理され、エンドツール検知部ETSNは対応する信号を移動制御及び処理システム840に提供することができる。様々な実施例において、移動制御及び処理システム840はエンドツール制御及び検知部846を含むことができ、これは、エンドツール検知部ETSNに制御信号を提供する及び/又はエンドツール検知部ETSNから検知信号を受信することができる。様々な実施例において、エンドツール制御及び検知部846及びエンドツール検知部ETSNはマージされる及び/又は区別できない場合がある。様々な実施例において、移動機構制御及び検知部841~845並びにエンドツール制御及び検知部846は全て、ロボット位置処理部847に出力を提供する及び/又はロボット位置処理部847から制御信号を受信することができる。ロボット位置処理部847は、ロボット移動制御及び処理システム840の一部として、ロボット810の可動アーム構成MAC’及び対応するエンドツール位置ETP’の全体的な配置を制御及び/又は決定できる。
【0069】
様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム850は、ロボット810と共に含めるか又は他の方法でロボット810に追加することができる(例えば、既存のロボット810に追加するための改造構成の一部として等)。一般に、補足計測位置座標決定システム850は、エンドツール位置ETP’の決定における精度レベルを改善するために利用できる。より具体的には、以下で更に詳しく記載されるように、補足計測位置座標決定システム850を用いて、少なくともスケール撮像軸方向SIA’の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について、エンドツール位置ETP’を示す計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定することができる。様々な実施例において(例えば、スケール撮像軸方向SIA’及びエンドツールスタイラスETSTがz方向に平行である場合)、これは、少なくともz軸に直交するxy面内のx及びy計測位置座標について、精度レベルがロボット精度よりも良好であることに対応し得る。
【0070】
図8に示されているように、第1の撮像構成860-1は、ロボット810の近傍で静止要素STEに結合されている。様々な実施例において、静止要素STEは、エンドツール作業範囲(working volume)ETWV’の少なくとも一部よりも上方に配置されたフレームを含むことができ、第1の撮像構成860-1は、エンドツール作業範囲ETWV’の一部よりも上方でフレームに固定されている。様々な実施例において、静止要素STEは、静止要素STEをロボット810に対して固定ロケーションに(例えば固定の位置及び/又は向きで)維持するための1つ以上の構造支持要素SSP(例えば床や天井等から延出している)を含み得る。
【0071】
様々な実施例において、エンドツール作業範囲ETWV’は、エンドツールETL及び/又はXYスケール870のうち少なくとも一方の少なくとも一部を移動させることができる範囲(volume)から成る。
図8の例では、エンドツール作業範囲ETWV’は、ワークピースを検査する場合にエンドツールETLの接点CPを移動させることができる範囲を含むものとして図示されている。1つの代替的な例では、エンドツール作業範囲は、ワークピースを検査するためエンドツールETLを移動させる場合にXYスケール870が移動できる範囲を含み得る。様々な実施例において、ロボット810は、エンドツール構成ETMC’に搭載されたエンドツールETL(例えば接点CP)の少なくとも一部を、エンドツール作業範囲ETWV’内で少なくとも2次元(例えばx及びy次元)に沿って移動させるように、可動アーム構成MAC’を移動させるよう構成されている。
図8の例において、エンドツールETL(例えば接点CP)の少なくとも一部は、ロボット810によって3次元(例えばx、y、及びz次元)で移動可能である。
【0072】
第1の撮像構成860-1は第1のカメラCAM1’を含み、光軸OA1’を有する。補足計測位置座標決定システム850の動作構成において、第1の撮像構成860-1の光軸OA1’はスケール撮像軸方向SIA’の方向に平行である。第1の撮像構成860-1は、光軸OA1’に沿った有効合焦範囲REFPを有する。様々な実施例において、範囲REFPは第1及び第2の有効合焦位置EFP1及びEFP2によって画定できる。これについては以下で更に詳しく記載する。所与の時点で、第1の撮像構成860-1は、範囲REFP内に収まる有効合焦位置EFPを有する。可変焦点距離(VFL)レンズが使用される実施例では、範囲REFPはVFLレンズの合焦範囲に対応し得る。
【0073】
様々な実施例において、使用されるVFLレンズは可変音響式屈折率分布型(TAG:tunable acoustic gradient index of refraction)レンズとすればよい。このようなTAGレンズの一般的な動作に関して、様々な実施例では、レンズ制御部(例えば第1の撮像構成制御及び画像処理部880に含まれる)は、迅速にTAGレンズの光学パワーを周期的に調整又は変調して、250kHz、又は70kHz、又は30kHz等の(すなわちTAGレンズ共振周波数の)周期的変調が可能な高速TAGレンズを達成することができる。このような構成において、第1の撮像構成860-1の有効合焦位置EFPを、範囲REFP(例えば自動合焦サーチ範囲)内で(迅速に)移動させることができる。有効合焦位置EFP1(又はEFPmax)はTAGレンズの最大光学パワーに対応し、有効合焦位置EFP2(又はEFPmin)はTAGレンズの負の最大光学パワーに対応し得る。様々な実施例において、範囲REFPの中央はEFPnomと示され、TAGレンズのゼロの光学パワーに対応し得る。
【0074】
様々な実施例では、このようなVFLレンズ(例えばTAGレンズ)及び/又は対応する範囲REFPを好都合に選択することで、この構成は、有効合焦位置EFPを変更するための第1の撮像構成860-1の巨視的機械的調整及び/又はコンポーネント間の距離の調整の必要性を限定又は排除することができる。例えば、第5のアーム部825の遠位端DE5(例えば可動アーム構成MAC’の遠位端に対応する)において未知の量の傾斜又は「たるみ(sag)」が発生する可能性がある(例えば、アーム部821~825の重さ及び/又は特定の向き等のため)実施例では、第1の撮像構成860-1からXYスケール870までの精密な合焦距離は未知である及び/又はアーム部の異なる向き等では変動する可能性がある。また、
図8の例示的な構成では、(例えばワークピースWPの表面をスキャンするための動作の一部として)エンドツール位置ETP’をスケール撮像軸方向SIA’に沿って第1の撮像構成860-1から異なるロケーション/距離へ移動させる可動アーム構成MAC’の一般的な動作に従って、XYスケール870と第1の撮像構成860-1との間の距離は概ね変化し得ることは認められよう。このような構成では、有効合焦位置EFPをスキャンするか又は他の方法で調整してXYスケール870を特定し正確に合焦を行うVFLレンズを利用することが望ましい場合がある。様々な実施例では、VFLレンズを用いるこのような技法を他の合焦調整技法と組み合わせて使用してもよい(例えば、第1の撮像構成860-1に含まれ得る変更可能対物レンズと組み合わせて使用する等)。
【0075】
様々な実施例では、
図4及び
図5を参照して上述したように、XYスケール870は、ノミナルで平面状の基板SUB(例えば、動作構成においてスケール撮像軸方向SIA’及び光軸OA1’に対してノミナルで直交であり得る)、及び基板SUB上に分散した複数の撮像可能要素を含むことができる。撮像可能要素はそれぞれ、XYスケール870上の既知のスケール座標(例えばx及びyスケール座標)に位置付けられている。様々な実施例において、XYスケール870は、
図4及び
図5を参照して上述したようにインクリメンタル又はアブソリュートスケールとすることができる。
【0076】
様々な実施例において、スケール面はXYスケール870の平面基板SUBとノミナルで一致するように規定され、スケール面に対して垂直な方向はスケール撮像軸方向SIA’として規定されている。様々な実施例において、ロボットシステム800は、補足計測位置座標決定システム850の動作構成を少なくともノミナルで与えるように動作可能であり得る。補足計測位置座標決定システム850の動作構成において、可動XYスケール870は、スケール撮像軸方向SIA’の方向が第1の撮像構成860-1の光軸OA1’に平行であるように、かつ、スケール面がスケール撮像軸方向SIA’に沿った第1の撮像構成860-1の合焦範囲REFP内に位置付けられるように配置される。補足計測位置座標決定システム850を上記の特徴の動作構成に少なくともノミナルで配置するため、可動アーム構成MAC’のアーム部821~825の位置/向きに対して様々な調整が実行され得ることは認められよう。
【0077】
本明細書で用いる場合、「ノミナルで(nominally)」という用語は、1つ以上のパラメータの許容可能公差内に収まるばらつきを包含する。一例として、1つの実施例では、2つの要素間の角度が5度未満である場合、本明細書ではこれらの要素がノミナルで平行であると規定できる。1つの実施例において、第1の撮像構成860-1の光軸OA1’とスケール撮像軸方向SIA’の方向との間の角度が5度未満である場合、光軸OA1’はスケール撮像軸方向SIA’の方向に対してノミナルで平行であると規定できる。第1の撮像構成860-1の光軸OA1’がスケール撮像軸方向SIA’の方向に対して平行であるか又はノミナルで平行であるのうち少なくとも一方であるように、かつ、スケール面がスケール撮像軸方向SIA’に沿った第1の撮像構成860-1の合焦範囲内に位置付けられるようにコンポーネントが(例えばロボットシステム800によって)配置されている場合、補足計測位置座標決定システム850は、少なくともノミナルで動作構成にある(例えば動作構成にあるか又はノミナルで動作構成にあるのうち少なくとも一方である〉と規定できる。様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム850は、XYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のもの及びXYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち静止したものが少なくともノミナルで動作構成に配置され、かつ、XYスケール870が第1の撮像構成860-1の視野FOV’内にあるように可動アーム構成MAC’が配置されている場合、計測位置座標処理部890が、XYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のものと第1の参照位置REF1’との相対位置を示す計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能であるよう構成できる。
【0078】
様々な実施例において、ロボット810の少なくとも一部(例えば可動アーム構成MAC’)は少なくとも1つの回転継手を含むことができ、これは、エンドツールETL及び/又はXYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものが結合されている部分(例えばアーム部)に対して少なくとも1つの回転自由度を与える。このような実施例において、ロボット810は、少なくともノミナルで動作構成を提供するため、XYスケール又は第1の撮像構成のうち静止したものに対してXYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものを並進及び回転させるように構成できる。これは、少なくとも1つの各回転自由度に対応して、エンドツールETL及び/又はXYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものが結合された部分を回転させることを含む。
図8及び
図9の例示的な構成に関して、少なくとも1つの各回転継手は少なくとも第4の移動機構834に対応し、少なくとも1つの各回転自由度は少なくとも回転軸RA4’を中心とした回転に対応し得る。この構成に従って、第4の移動機構834は、スケール撮像軸方向SIA’が光軸OA1’と平行であるか又はノミナルで平行であるのうち少なくとも一方1つとなる(例えば少なくともノミナルで動作構成になる)ように、第4のアーム部824を回転させるよう動作させることができる。様々な実施例において、第4のアーム部824及び/又はXYスケール870の全体又は一部は、回転軸RA4’に直交するか又はこれを横断する回転軸のような追加の回転軸(図示せず)を中心として、(例えば対応する移動機構を用いて)回転することができる。回転軸RA4’を中心とした回転と同様、このような調整を行うことで、スケール撮像軸方向SIA’を、光軸OA1’と平行であるか又はノミナルで平行であるのうち少なくとも一方とする(例えば少なくともノミナルで動作構成にする)ことができる。様々な実施例において、このような追加の回転軸をある種のロール軸として指定し、回転軸RA4’をある種のピッチ軸として指定し、回転軸RA1’をある種のヨー軸として指定することができる。
【0079】
いくつかの実施例では、このような調整(例えば回転軸RA4’を中心とした回転等を含む)は、自動的に実行できる(例えば、回路やルーチン等を用い、位置センサSEN4’又は他のセンサの使用等によって第4のアーム部824の向きを連続的に監視し、第4の移動機構834を用いて連続的に向きを調整することで、XYスケール870及びスケール面をxy面と同じ高さにする/平行にするか、又はスケール撮像軸方向SIA’を光軸OA1’と平行にすればよい)。様々な実施例において、このような動作は、補足計測位置座標決定システム850を少なくともノミナルで動作構成に維持するため、連続的に又は他のやり方で実行できる。
【0080】
様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム850が少なくともノミナルで動作構成にある間、ロボット810は、エンドツールETL及びXYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のものをスケール面と平行な面内で移動させるように構成できる。様々な実施例において、スケール面と平行な面内でのこのような移動は、SCARAロボットや多関節ロボット等によって2次元(例えばx及びy次元)で実施できるか、又は、このような移動はリニアロボット等によって主に1次元(例えばx又はy次元)で実施できる。
図8及び
図9の例示的な構成において、多関節ロボット810は例えば、第1の移動機構831を用いて回転軸RA1’を中心として第1のアーム部821を回転させ、これによって、エンドツールETL及び取り付けられたXYスケール870の(例えば可動アーム構成MAC’の遠位端における)移動を、スケール面と平行な面内で2次元(例えばx及びy次元)で生成することにより、スケール面と平行な面内でそのような移動を実行できる(例えばこれによって、そのような移動中に補足計測位置座標決定システム850を少なくともノミナルで動作構成に維持することができる)。
【0081】
様々な実施例において、画像トリガ部881及び/又は計測位置座標処理部890は、外部制御システムECS’の一部として(例えば外部コンピュータ等の一部として)含めることができる。画像トリガ部881は、第1の撮像構成制御及び処理部880の一部として含めることができる。様々な実施例において、画像トリガ部881は、エンドツール位置ETP’に関連した少なくとも1つの入力信号を入力し、この少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、更に、この第1の撮像トリガ信号を第1の撮像構成860-1に出力するよう構成されている。様々な実施例において、第1の撮像構成860-1は、第1の撮像トリガ信号の受信に応答して、画像取得時点でXYスケール870のデジタル画像を取得するよう構成されている。様々な実施例において、計測位置座標処理部890は、取得された画像を入力し、XYスケール870の取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別するように構成されている。様々な実施例において外部制御システムECS’は、対応するモードを実施するため、標準ロボット位置座標モード部849及び補足計測位置座標モード部892も含むことができる。これらについては以下で更に詳しく記載する。
【0082】
様々な実施例において、第1の撮像構成860-1は、カメラCAM1’の画像積分を定期的に(例えば設定されたタイミング間隔で)活性化するコンポーネント(例えばサブ回路、ルーチン等)を含むことができ、画像トリガ部881からの第1の撮像トリガ信号が、ストロボ光タイミング又は事実上移動を止めると共に対応して積分期間内の露光を決定する他の機構を活性化できる。このような実施例では、積分期間中に第1の撮像トリガ信号が受信されない場合、得られる画像を破棄することができ、積分期間中に第1の撮像トリガ信号が受信された場合、得られる画像をセーブする及び/又は他の方法で処理/解析して計測位置座標を決定することができる。これについては以下で更に詳しく記載する。
【0083】
様々な実施例において、異なるタイプのエンドツールETLは、画像トリガ部881に対して使用され得る異なるタイプの出力を提供できる。例えば、エンドツールETLがタッチプローブであり、ワークピースを測定するため使用され、ワークピースに触れると(例えば接点CPがワークピースに接触すると)タッチ信号を出力する実施例では、画像トリガ部881は、そのタッチ信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力し、それに基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定するように構成できる。エンドツールETLがタッチプローブである様々な実施例において、タッチプローブの中心軸はスケール撮像軸方向SIA’に沿うように配向することができる(例えば、タッチプローブの中心軸がエンドツール軸EAに対応するように)。別の例として、エンドツールETLがスキャンプローブであり、ワークピースを測定するため使用され、各サンプルタイミング信号に対応した各ワークピース測定サンプルデータを与える実施例では、画像トリガ部881は、その各サンプルタイミング信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力するように構成できる。別の例として、エンドツールETLがカメラであり、各ワークピース画像取得信号に対応した各ワークピース測定画像を与えるために使用される場合、画像トリガ部881は、そのワークピース画像取得信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力するように構成できる。
【0084】
図8の例示的な実施例において、補足計測位置座標決定システム850は、可動アーム構成MAC’に結合されたXYスケール870を用いて構成されている。更に、第1の撮像構成860-1は、静止要素STE(例えばロボット810よりも上方でロボット810の近傍に配置されたフレーム)に結合され、第1の参照位置REF1’を規定する。(例えば
図3を参照して上述したような)代替的な実施例では、補足計測位置座標決定システムは、可動アーム構成MAC’の遠位端の近傍で可動アーム構成MAC’に結合された第1の撮像構成860-1と、静止要素STEに結合されると共に第1の参照位置REF1を規定するXYスケール870と、を用いて構成されている。
【0085】
いずれの場合であっても、以下で更に詳しく記載するように、補足計測位置座標決定システム850は、XYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のもの及びXYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち静止したものが動作構成に配置され、かつ、XYスケール870が第1の撮像構成860-1の視野FOV’内にあるように可動アーム構成MAC’が配置されている場合、計測位置座標処理部890が、取得した画像内で識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、XYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のものと第1の参照位置REF1’との相対位置を示す計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能であるよう構成できる。決定された計測位置座標は、少なくともスケール撮像軸方向SIA’の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について、画像取得時点におけるエンドツール位置ETP’をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム850は、XYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のものの相対位置を示す決定された計測位置座標、及び、エンドツール位置ETP’とXYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のものとの間の既知の座標位置オフセットに基づいて、画像取得時点におけるエンドツール位置ETP’の計測位置座標を決定するように構成できる。
【0086】
エンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するための同様のプロセスを、部分的に前述した通り、
図1のロボットシステム100によって実行できることは認められよう。より具体的には、ロボットシステム100において可動アーム構成MACは、第1及び第2のアーム部120及び130、第1及び第2の回転継手125及び135(例えば第1及び第2の移動機構の一部として含まれる)、位置センサSEN1及びSEN2、並びにエンドツール構成ETCNを含むことができる。前述のように、エンドツール構成ETCNは、Z移動機構ZMM(例えば第3の移動機構の一部として含まれる)、Zアーム部ZARM(例えば第3のアーム部として指定される)、位置センサSEN3、及びエンドツール結合部ETCP(例えばエンドツール搭載構成ETMCの一部として含まれる)を含むことができる。様々な実施例において、これに加えて又はこの代わりに、動作可能な作業範囲OPVをエンドツール作業範囲ETWVとして指定してもよい。
【0087】
図1の構成において、ロボット110は、エンドツール作業範囲ETWV内で少なくとも2次元に沿ってエンドツール構成ETMCに搭載されたエンドツールETLの少なくとも一部を移動させるように、可動アーム構成MACを移動させるよう構成されている。移動制御システム140は、少なくとも部分的に、ロボット110に含まれる少なくとも1つの位置センサを用いて可動アーム構成MACの位置を検知し制御することに基づいて、ロボット精度として規定された精度レベルでエンドツール位置ETPを制御するように構成されている。スケール面はXYスケール170の平面基板とノミナルで一致するように規定され、スケール面に対して垂直な方向はスケール撮像軸方向SIAとして規定されている。補足計測位置座標決定システム150の動作構成において、XYスケール170又は第1の撮像構成160のうち少なくとも1つは、第1の撮像構成160の光軸OA1がスケール撮像軸方向SIAの方向と平行であるように、かつ、スケール面がスケール撮像軸方向SIAに沿った第1の撮像構成160の合焦範囲REFP内に位置付けられるように配置されている。
【0088】
補足計測位置座標決定システム150は、XYスケール170又は第1の撮像構成160のうち可動のもの及びXYスケール170又は第1の撮像構成160のうち静止したものが動作構成に配置され、かつ、XYスケール170が第1の撮像構成160の視野内にあるように可動アーム構成MACが配置されている場合、計測位置座標処理部190が、取得した画像内で識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置を決定することに基づいて、XYスケール170又は第1の撮像構成160のうち可動のもの第1の参照位置REF1との相対位置を示す計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能であるように構成できる。決定された計測位置座標は、少なくともスケール撮像軸方向SIAの横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について、画像取得時点におけるエンドツール位置ETPをロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム150は、XYスケール170又は第1の撮像構成160のうち可動のものの相対位置を示す決定された計測位置座標、及び、エンドツール位置ETPとXYスケール170又は第1の撮像構成160のうち可動のものとの間の既知の座標位置オフセットに基づいて、画像取得時点におけるエンドツール位置ETPの計測位置座標を決定するように構成できる。
【0089】
図1及び
図8に示されているようなロボットシステムが、種々の代替的なシステムよりも優れたいくつかの利点を有し得ることは認められよう。例えば様々な実施例において、本明細書に開示されるようなシステムは、ロボット移動/位置を追跡するためにレーザトラッカ又は写真測量法のような技術を利用する代替的なシステムに比べて、小型である及び/又は低費用である可能性があり、更に、いくつかの実施例では精度が高い可能性もある。また、開示されるシステムは、エンドツール作業範囲ETWV又はETWV’のどの部分も占有したり覆い隠したりしないが、代替的なシステムは、同一エリア(例えばエンドツール作業範囲ETWV又はETWV’)内の地上もしくはステージ上、又はワークピースに作業及び/又は検査等を行う可能性のある他の場所に、スケール又は基準を含むことがある。
【0090】
図9は、第1の撮像構成860-1が静止要素STE(例えば
図8の静止要素STE)に結合されている、
図8のロボットシステム800と同様のロボットシステム900の第5の例示的な実施例の一部の等角投影図である。上述の番号付けスキームと同様、
図9のいくつかの名前又は番号を付けたコンポーネント(例えば8XX、8XX’、又は9XX)は、
図8又は他の図の同一又は同様の名前又は番号を付けた対応するコンポーネント(例えば8XX)に対応する及び/又はそれらと同様の動作を有し、それらと同様又は同一であると理解することができ、他の場合は類推によって及び以下で記載するように理解され得ることは認められよう。上述したように、同様の及び/又は同一の設計及び/又は機能を有する要素を示すこの名前付け及び番号付けスキームは、概して本出願の様々な図にも適用される(例えば
図1~
図5、
図8、及び
図9)。
【0091】
図9の構成(すなわち
図8の構成と同様)において、第1の撮像構成860-1が結合されている静止要素STEは、ロボット810よりも上方に配置されたフレームを含み得る。可動アーム構成MAC’はアーム部821~825を含み、XYスケール870は可動アーム構成MAC’に結合されている。様々な実施例において、XYスケール870を可動アーム構成MAC’に結合するためブラケットBRKT’が使用される。他の構成では、XYスケール870を可動アーム構成MAC’に結合するため他の結合構成を使用することも可能である。
【0092】
様々な実施例において、XYスケール870は、可動アーム構成MAC’に対して端部から、側面から、又は他の向きから延出するように、可動アーム構成MAC’に結合できる。例えば
図8においてXYスケール870は、可動アーム構成MAC’の近位端から、中央ベース部BSE’(例えばこれを中心として可動アーム構成MAC’が回転し得る)から離れる半径方向に延出するものとして図示されている。別の例として、
図9では、XYスケール870は可動アーム構成MAC’の側面から延出するものとして図示されている(例えば、XYスケール870は挟み込まれるか又は他のやり方で可動アーム構成MAC’の側面から延出するものとして記載できる。これは、
図8の構成において、XYスケール870が可動アーム構成MAC’の他の部分から外側へ半径方向に延出し、可動アーム構成MAC’がベース部BSE’を中心として枢動する際に余分な半径方向の隙間を必要とし得るのとは対照的である)。
【0093】
様々な実施例において、可動アーム構成MAC’に結合されたXYスケール870の位置及び/又は向きは調整可能であるが、(例えば一連の測定のために)所与の位置/向きに一時的にロックするか又は他のやり方で固定してもよい。例えば所与の測定用途では、可動アーム構成MAC’に対するXYスケール870の位置/向きは調整可能である(例えば、
図9に示されているように一方側で挟み込まれるか、又は
図8に示されているように半径方向に延出するよう設定されるが、特定の設定はそれぞれ既知の位置/向き及び関連する較正等を有し、所与の測定プロセス全体を通して維持され得る)。所与の測定プロセス中(例えば、ワークピース表面上の一連の測定ポイントを測定/決定している間等)、XYスケール870の位置/向きは、可動アーム構成MAC’に対して適正位置にロックするか又は他のやり方で固定することができる(例えば、XYスケール870が取り付けられているロボットアーム部に対するXYスケール要素の位置をノミナルで固定できるように、更に、本明細書に記載されるプロセスに従ってエンドツール位置ETP’を正確に決定できるように)。様々な対応する実施例において、XYスケール870は概ね、局所x軸及び/又はy軸を中心としてピッチ及び/又はロールで調整可能であるものとして記載できる(例えば、少なくともノミナルで動作構成を達成するため、回転軸RA4’及び/又は回転軸RA4’に直交するかこれを横断する図示されていない追加の回転軸を中心として回転させる)が、(例えば所与の測定プロセスの間は)スケール面内でヨーベクトル成分に対してノミナルで固定してもよい(例えば、可動アーム構成MAC’の中央小部分(sub-portion)とは独立した、スケール面にノミナルで垂直な軸を中心としたXYスケール870の回転を可能としないように、所与の測定プロセスの間は固定される)。
【0094】
上述のように、様々な実施例において、第1の撮像構成860-1は、静止要素STEに結合する(例えば
図8及び
図9に示されている)か、又は可動アーム構成MAC’に結合する(例えば
図3に示す構成と同様)ことができる。
図3と同様の実施例では、第1の撮像構成860-1は、第1の撮像構成860-1の光軸OA1’がZ軸方向に沿って接点CPと実際にできる限り位置合わせされるように可動アーム構成MAC’に結合することができる(例えば、特定の環境下で可動アーム構成MAC’及びエンドツールETLの様々な部分のたわみ又は傾斜のために生じ得る特定のタイプの位置誤差の大きさを低減するようにする)。いずれの場合であっても、補足計測位置座標決定システム850の動作構成において、第1の撮像構成860-1は、第1の撮像構成860-1の光軸OA1’がスケール撮像軸方向SIA’の方向に平行であるように、かつ、スケール面がスケール撮像軸方向SIA’に沿った第1の撮像構成860-1の合焦範囲内に位置付けられるように配置される。
【0095】
様々な実施例において、XYスケール870(例えば
図8及び
図9に示されている)又は第1の撮像構成860-1(例えば
図3の構成と同様)のうち可動のものは、第1の遠位小部分回転軸(例えば回転軸RA4)を中心として回転する少なくとも第1の遠位小部分回転要素(例えばアーム部824)を含む遠位小部分を介して、可動アーム構成MAC’の中央小部分(例えばアーム部823及びそれに対する少なくともいくつかの近位要素を含む)に結合されているものとして記載できる。様々な実施例において、遠位小部分は、XYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のものを第1の遠位小部分回転要素(例えばアーム部824)に結合するブラケット(例えばブラケットBRKT’)を含み得る。様々な実施例において、第1の遠位小部分回転軸(例えば回転軸RA4’)は、スケール面とノミナルで平行である(例えばXYスケール870が可動のものである場合)か、又は光軸OA1’に対してノミナルで直交し得る(例えば第1の撮像構成860-1が可動のものある場合)。様々な実施例において、中央小部分は、第1の遠位小部分回転軸(例えば回転軸RA4’)とノミナルで平行である回転軸(例えば回転軸RA2’及び/又はRA3’)を中心として回転する少なくとも第1の中央小部分回転要素(例えばアーム部822及び/又は823)を含み得る。
【0096】
このような実施例は、可動アーム構成MAC’のいずれかのアーム部のピッチ及びロールを相殺する必要に応じてXYスケール870をピッチ及びロールで回転させることで、XYスケール870を光軸OA1’に対して少なくともノミナルで垂直にする(例えば、少なくともノミナルで動作構成を達成する)ことができる構成に対応し得る。
図8及び
図9の例において、可動アーム構成MAC’のいくつかのアーム部は回転軸を中心とした回転によって概ねピッチし、可動アーム構成MAC’は全体として回転軸RA1’を中心として回転することができる(例えば、いくつかの実施例ではヨー移動に対応する)。(例えば中央アーム部の軸を中心とした)ロール移動は、XYスケール870が移動する
図8及び
図9の構成では概ね図示されていないが、様々な実施例において補償ロール軸として追加することができる(例えば、XYスケール870及び/又はアーム部824の一部もしくは全体、又はXYスケール870が結合されている他の部分等のロール移動を達成するため、XYスケール870の近くに移動機構を追加すればよい)。
【0097】
様々な実施例において、XYスケール870又は第1の撮像構成860-1のうち可動のものを中央小部分に結合する遠位小部分(例えばアーム部824及びブラケットBRKT’を含む)は、XYスケール870が可動のものである場合はスケール面にノミナルで直交する遠位小部分回転軸を含まず、第1の撮像構成860-1が可動のものである場合は光軸OA1’とノミナルで平行な遠位小部分回転軸を含まない。このような実施例は、XYスケール870がスケール面内で回転しないので、スケール要素がXYロケーションに関して可動アーム構成MAC’のアーム部のうち1つ以上(例えばアーム部824)にノミナルで固定されている実施例に対応し得る(例えば、スケールに対してノミナルで垂直なZ軸を中心とする独立した回転が図示されていないように、スケール要素はスケール面内でヨーベクトル成分に対してノミナルで固定されている)。上述のように、様々な実施例において、XYスケール870は様々な測定手順の間にそのように固定され得るが、特定の測定用途における所望の向き/位置を達成するため、可動アーム構成MAC’に対して(例えばアーム部824に対して)異なる固定の向き/位置に調整可能/回転可能としてもよい。
【0098】
図9に示されているように、第1のアーム部821(例えば上方ベース部)は、第1のアーム部821の近位端PE1’において第1の移動機構831(例えば回転継手を含む)に搭載されている。第1の移動機構831は、下方サポートベース部BSE’の上端に位置付けられ、第1のアーム部821がスケール撮像軸方向SIA’に直交する面内で回転するようにスケール撮像軸方向SIA’に沿って位置合わせされた回転軸RA1’を有する。第1の撮像構成860-1の光軸OA1’(及び、動作構成におけるスケール撮像軸方向SIA’)がz軸と平行である実施例では、第1のアーム部821はこれに対応して、z軸に直交するxy面内で回転することができる。様々な実施例において、第1のアーム部821の角度位置(例えば角度向き)を決定するために位置センサSEN1’(例えば回転エンコーダ)を使用できる。
【0099】
第2の移動機構832(例えば回転継手を含む)は、第1のアーム部821の遠位端DE1’の近傍に位置付けられている。第2の移動機構832は、回転軸RA2’を有する(これは、例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’に直交する方向に沿ってノミナルで位置合わせされ得る)。第2のアーム部822は、第2のアーム部822の近位端PE2’で第2の移動機構832に搭載されており、(例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’にノミナルで平行な面内で)第2のアーム部822が第2の移動機構832を中心として移動するようになっている。様々な実施例において、(例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’に平行な面内の)第2のアーム部822の角度位置を決定するため、位置センサSEN2’(例えば回転エンコーダ)を使用できる。
【0100】
第3の移動機構833(例えば回転継手を含む)は、第2のアーム部822の遠位端DE2’に位置付けられている。第3の移動機構833は、回転軸RA3’を有する(これは例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’に直交する方向に沿ってノミナルで位置合わせされ得る)。第3のアーム部823は、第3のアーム部823の近位端PE3’で第3の移動機構833に搭載されており、(例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’にノミナルで平行な面内で)第3のアーム部823が第3の移動機構833を中心として移動するようになっている。様々な実施例において、(例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’に平行な面内の)第3のアーム部823の角度位置を決定するため、位置センサSEN3’(例えば回転エンコーダ)を使用できる。
【0101】
第4の移動機構834(例えば回転継手を含む)は、第3のアーム部823の遠位端DE3’に位置付けられている。第4の移動機構834は、回転軸RA4’を有する(これは例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’に直交する方向に沿ってノミナルで位置合わせされ得る)。第4のアーム部824は、第4のアーム部824の近位端PE4’で第4の移動機構834に搭載されており、(例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’にノミナルで平行な面内で)第4のアーム部824が回転するようになっている。様々な実施例において、(例えば光軸OA1’及び/又はスケール撮像軸方向SIA’に平行な面内の)第4のアーム部824の角度位置を決定するため、位置センサSEN4’(例えば回転エンコーダ)を使用できる。
【0102】
第5の移動機構835は、第4のアーム部824の遠位端DE4’に位置付けることができる。上述のように、いくつかの実施例において、第5の移動機構835(例えば回転継手を含む)は、回転軸RA5’を中心として第5のアーム部825を回転させるように構成できる(回転軸RA5’は、例えばスケール撮像軸方向SIA’に平行であり、いくつかの向きでは光軸OA1’に平行であり得る。これは例えば、第4の移動機構834による第4のアーム部824の回転によって動作構成にあるように配向された場合である)。そのような構成において、第5のアーム部825は、第5のアーム部825の近位端PE5’において第5の移動機構835に搭載することができる。いくつかの実施例において第5の移動機構835は、これに加えて又はこの代わりに、第5のアーム部825を、線形に(例えば、動作構成に配向された場合、スケール撮像軸方向SIA’で上下に)移動させるよう構成された異なるタイプの移動機構(例えばリニアアクチュエータ)を含んでもよい。様々な実施例では、第5のアーム部825を可動アーム構成MAC’の終端部として指定することができ、可動アーム構成MAC’の遠位端は第5のアーム部825の遠位端DE5’に対応し、ここにエンドツール搭載構成ETMC’を位置付けることができる。第5の移動機構835が回転継手を含み、動作構成においてスケール撮像軸方向SIA’がz軸と平行である実施例では、これに対応してエンドツールETLはz軸に直交するxy面内で回転することができる。
【0103】
様々な実施例において、上述したように、可動アーム構成MAC’に結合されたXYスケール870の位置及び/又は向きは調整可能であるが、(例えば一連の測定のために)所与の位置/向きに一時的にロックするか又は他のやり方で固定してもよい。様々な実施例では、XYスケール870及び/又はXYスケール870が結合されたアーム部の少なくとも一部を、(例えば対応する移動機構によって又はユーザによる手作業の回転等で)回転するように構成することで、エンドツールETLの接点CPがXYスケール870と干渉することなく移動してワークピースWPと接触できるようにする。更に具体的には、接点CPをワークピースWPの方へ移動させた場合、いくつかの例で、またいくつかの向きでは、接点CPが移動してワークピースWPに接触可能となる前に、XYスケール870が偶発的にワークピースWP又は他の物体もしくは障害物と物理的に接触することがある。このような事態の発生を防止するため、様々な実施例では、測定プロセスが開始する前にXYスケール870をワークピースWP又は他の物体もしくは障害物から離れる方へ回転させて、XYスケール870が妨害したり他の干渉を生じたりすることなく接点CPをワークピースWPに接触させることができる。
【0104】
様々な実施例において、可動アーム構成MAC’のコンポーネントのいくつかの移動、座標、及び角度に言及するため、異なる参照軸及び参照線を指定することがある。いくつかの具体例として、
図9に示されているように、第2及び第3のアーム部822及び823には、各アーム部の中心を通る中心線CL2’及びCL3’を指定できる。第2のアーム部822の中心線CL2’と面(例えば動作構成においてスケール面と平行な面であり、光軸OA1’がz軸と平行な場合にxy面内に存在し得る)との間に生じる(例えば第2の移動機構832の回転量に対応し得る)角度A2’を指定できる。第2のアーム部822の中心線CL2’と第3のアーム部823の中心線CL3’との間に生じる(例えば第3の回転軸RA3’を中心とした第3の移動機構833の回転量に応じた)角度A3’を指定できる。可動アーム構成MAC’のコンポーネントのいくつかの移動、座標、及び角度に言及するため、他のアーム部821、824、及び825も同様に、対応する参照線及び/又は参照軸等を有し得ることは認められよう。
【0105】
様々な実施例において、エンドツールETLは、第5のアーム部825の遠位端DE5’の近傍でエンドツール搭載構成ETMC’に搭載(例えば結合)することができる。エンドツールETLは、エンドツール軸EA(例えばスタイラスETSTの中央及び/又は中心軸を通る)を有することを指定でき、この軸は、第5の移動機構835の第5の回転軸RA5’と一致すると共に第4の移動機構834の第4の回転軸RA4’の延長線と交差し得る。様々な実施例において、エンドツール軸EAはエンドツール位置ETP’を通り、XYスケール870からの既知の座標位置オフセットを有し、動作構成においてスケール撮像軸方向SIA’に平行である(例えば、スタイラスETSTを備えたエンドツールETLはスケール撮像軸方向SIA’と平行に配向されている)。これに応じて、エンドツール位置ETP’とXYスケール870との間には既知の座標位置オフセットが存在し得る。例えばXYスケール870は、(例えばXYスケール870の中心又はエッジに)指定された参照点を有することができ、この参照点は、エンドツール軸EAから(例えば、これに応じてエンドツール位置ETP’から)既知の座標位置オフセット(例えばスケール面に平行な面内等の既知の距離)を有する。様々な実施例において、このような既知の座標位置オフセットは、既知のオフセット成分(例えば既知のxオフセット及び既知のyオフセット、及び/又は、例えば第4のアーム部824のような可動アーム構成MAC’の少なくとも一部に対するXYスケール870の既知の角度向きと既知の距離の組み合わせ)で表現することができる。
【0106】
様々な実施例において、エンドツール位置ETP’とXYスケール870との間の既知の座標位置オフセットは、エンドツール位置ETP’の計測位置座標を決定するためのプロセスの一部として利用できる。更に具体的には、上述のように、補足計測位置座標決定システム850は、取得した画像内で識別された(すなわちXYスケール870の)少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、計測位置座標処理部890が、XYスケール870と第1の参照位置REF1’(すなわち静止した第1の撮像構成860-1によって規定される)との間の相対位置を示す計測位置座標を決定するように動作するよう構成できる。補足計測位置座標決定システム850は更に、相対位置(すなわちXYスケール870と第1の参照位置REF1’との間の)を示す決定された計測位置座標、及び、エンドツール位置ETP’と可動XYスケール870との間の既知の座標位置オフセットに基づいて、エンドツール位置ETP’の計測位置座標を決定するように構成できる。1つの具体的な例示の実施例では、エンドツール位置ETP’の計測位置座標を決定するため、既知の座標位置オフセット(例えば、既知のxオフセット及び既知のyオフセット、及び/又はXYスケール870の既知の角度向きと既知の距離の組み合わせ等、既知のオフセット成分で表現される)を、相対位置(すなわちXYスケール870と第1の参照位置REF1’との間の)を示す決定された計測位置座標に追加するか又は他の方法でこれと組み合わせることができる。
【0107】
1つの具体的な例示の位置座標構成として、動作構成においてスケール撮像軸方向SIA’がz軸と平行である実施例では、XYスケール870は、参照位置(例えば原点位置)を、X0、Y0、Z0に有する(例えば原点位置では0、0、0の値を有し得る)ことを指定できる。このような構成では、参照位置REF1’(すなわち静止した第1の撮像構成860-1によって規定される)は相対座標X1、Y1、Z1に存在し、対応する視野FOV1’(例えば取得された画像に対応する)の中心は相対座標X1、Y1、Z0に存在し得る。XYスケール870から延出するxy面内のエンドツール軸EAのロケーションは、相対座標X2、Y2、Z0を有すると指定できる。エンドツール位置ETP’は座標X2、Y2、Z2を有すると指定できる。様々な実施例において、エンドツールETLは、座標X3、Y3、Z3を有すると指定できる接点CP(例えばワークピースに接触するためエンドツールスタイラスETSTの端部にある)を有し得る。エンドツールETLの接点CPがエンドツールの残り部分に対してx方向又はy方向に変動せず、エンドツール軸EAが動作構成においてz軸に平行である実施例では、X3及びY3座標はそれぞれX2及びY2座標に等しい可能性がある。いくつかの実施例が追加のXYスケールを含み得ることは理解されよう(例えばXYスケール170及び/又は870等と同様のものであり、それぞれ参照位置を有すると指定できる(これらは例えば参照位置REF1及び/又はREF1’等と同様であるが異なる)。このような実施例において、「第1の」XYスケール170及び/又は870等に追加されたXYスケール(例えば第2のXYスケール、第3のXYスケール等)は、ロボットの全作業範囲内の各ロケーションで、それぞれ高精度の補足計測位置座標決定範囲(例えばエンドツール作業範囲等)を関連付けることができる。
【0108】
1つの具体的な例示の実施例では、取得された画像を計測位置座標処理部890によって解析して、相対位置を示す計測位置座標を決定することができる(例えば、静止した第1の撮像構成860-1の視野FOV1’の中心に対応するX1、Y1座標を決定する)。このような決定は、(例えばスケールに対するカメラのロケーションを決定するための)標準的なカメラ/スケール画像処理技法に従って実行できる。このような技法の様々な例が、米国特許第6,781,694号、第6,937,349号、第5,798,947号、第6,222,940号、及び第6,640,008号に記載されている。様々な実施例では、このような技法を用いて、
図4及び
図5を参照して上述したように、スケール範囲内(例えばXYスケール870内)の視野のロケーション(例えばカメラの位置に対応している)を決定できる。様々な実施例において、このような決定は、XYスケール870の取得された画像内に含まれる少なくとも1つの各撮像可能要素及びそれに関連した各既知のXYスケール座標ロケーションを識別することを含み得る。このような決定は、XYスケール870と第1の参照位置REF1’(すなわち静止した第1の撮像構成860-1によって規定される)との間の相対位置を示す計測位置座標を決定することに対応し得る。次いで、エンドツール位置ETP’とXYスケール870との間の既知の座標位置オフセットに従って、相対X2、Y2座標(すなわちエンドツール位置ETP’の)を決定することができる(例えば、X2及びY2を決定するためX1及びY1にx及びy位置オフセット値を加える)。
【0109】
上述のように、様々な実施例において、決定された計測位置座標(例えばX0、Y0座標に対するX1、Y1座標の決定に対応する)は、少なくともスケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について、画像取得時間におけるエンドツール位置(例えばX2、Y2座標)をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。上記の例において、動作構成でスケール撮像軸方向SIA’がz軸に平行である構成では、これは、少なくともz軸に直交するxy面内のx及びy計測位置座標について、ロボット精度よりも良好な精度レベルに対応し得る(又は、より一般的には、様々な実施例において、xy面と同様であるがz軸を横断し、必ずしもz軸に対して完璧に直交でない座標面内の計測位置座標について、ロボット精度より良好である)。更に具体的には、このような構成では、スケール撮像軸方向SIA’に直交する計測位置座標のベクトル成分は、成分対(X1-X0、Y1-Y0)によって表されるベクトル、又は、X0及びY0が0である場合は単に(X1、Y1)に対応し得る。
【0110】
様々な実施例において、補足計測位置座標決定システム850は、1つ以上の追加の撮像構成を更に含み得る。例えば
図9に示されているように、補足計測位置座標決定システム850は、第2のカメラCAM2’と、動作構成にある場合にスケール撮像軸方向SIA’の方向と平行な第2の光軸OA2’と、を有する第2の撮像構成860-2を含むことができる。第2の撮像構成860-2は、第2の参照位置REF2’(例えば相対座標X1’、Y1’、及びZ1を有する)を規定できる。第2の撮像構成860-2は、その光軸OA2’に沿って有効合焦範囲REFPを有し得る。このような構成において、画像トリガ部881は更に、エンドツール位置ETP’に関連した少なくとも1つの入力信号を入力し、この少なくとも1つの入力信号に基づいて第2の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、更に、この第2の撮像トリガ信号を第2の撮像構成860-2に出力するよう構成できる。様々な実施例において、第2の撮像構成860-2は、第2の撮像トリガ信号の受信に応答して、画像取得時点でXYスケール870のデジタル画像を取得するように構成できる。計測位置座標処理部890は更に、取得された画像を入力し、XYスケール870の取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別するように構成できる。
【0111】
様々な実施例において、計測位置座標処理部890は、取得した画像内で識別された少なくとも1つの撮像可能要素の撮像位置の決定に基づいて、XYスケール870と第2の参照位置REF2’との間の相対位置を示す計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定するように動作可能である。このような実施例において、決定された計測位置座標は、少なくともスケール撮像軸方向SIA’の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について、画像取得時点におけるエンドツール位置ETP’をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。
【0112】
様々な実施例において、画像トリガ部881に入力される少なくとも1つの入力信号は、移動制御システム840から導出された1つ以上の信号を含む。このような構成において、画像トリガ部881は、移動制御システム840から導出された1つ以上の信号に基づいて、XYスケール870が第1の撮像構成860-1又は第2の撮像構成860-2のどちらと位置合わせされているかを判定するように構成できる。XYスケール870が第1の撮像構成860-1と位置合わせされていると判定された場合(例えば、XYスケール870の充分な部分が第1の撮像構成860-1によって撮像されるようになっている)、画像トリガ部881は第1の撮像トリガ信号を出力するように構成されている。これに対して、XYスケール870が第2の撮像構成860-2と位置合わせされていると判定された場合(例えば、XYスケール870の充分な部分が第2の撮像構成860-2によって撮像されるようになっている)、画像トリガ部881は第2の撮像トリガ信号を出力するように構成されている。このような実施例では、XYスケール870は第1の撮像構成860-1又は第2の撮像構成860-2のうち少なくとも1つに対して動作構成にあり得ることは認められよう。
【0113】
上述のように、様々な実施例において、
図4のインクリメンタルXYスケール170Aを
図8及び
図9のXYスケール870として利用可能である。更に上述したように、様々な実施例においてXYスケール170Aは、ノミナルで平面状の基板SUB(例えば、動作構成にある場合、スケール撮像軸方向SIA’に対してノミナルで直交に配置されている)、及び、基板SUB上に分散した複数の撮像可能要素IIFを含む。撮像可能要素IFFはそれぞれ、XYスケール170A上の既知のスケール座標(例えばx及びy座標)に位置付けられている(すなわち、それぞれ既知のXYスケール座標ロケーションに対応する)。
図4の例示の実施例において、増分撮像可能要素IIFのアレイは均等に離間している。様々な実施例において、インクリメンタルXYスケール170A内の第1の撮像構成160-1の視野FOVのロケーションに対応する計測位置座標は、XYスケール170Aと第1の参照位置REF1’との間の相対位置の指示を与えることができる。
【0114】
更に具体的には、様々な実施例において、XYスケール170A上の単一の撮像可能要素IFFは(例えば、撮像可能要素は全てスケール全体の均等な間隔に従ってXYスケール170A上の既知のx及びy計測位置座標のような既知の計測位置座標に存在する)、このように、2つの撮像可能要素IFFが相互に混同されないよう充分な精度でロボット位置データによって識別できる。このような構成では、次いで、取得された画像内の単一の撮像可能要素IFFのロケーションを用いてエンドツール位置ETP’を更に改善し、少なくともスケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について(例えば、少なくともz軸に直交するxy面内のエンドツール位置ETP’のx及びy計測位置座標について)、ロボット精度よりも良好な精度を得ることができる。
【0115】
標準的なカメラ/スケール画像処理技法に従って、そのような決定を行うために、参照位置/原点位置X0、Y0、Z0が視野FOV内にある必要はないことは認められよう(すなわち、相対位置を示す計測位置座標は、均等に離間した増分撮像可能要素IIFを含むスケール要素によって部分的に与えられるXYスケール170Aに沿った任意のロケーションにおけるスケール情報から決定できる)。様々な実施例において、このような決定は、XYスケール170Aの取得された画像内に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素、及びそれに関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別することを含み得る。このような決定は、XYスケール170Aと第1の参照位置REF1’(すなわち静止した第1の撮像構成860-1によって規定される)との相対位置を示す計測位置座標を決定することに対応し得る。次いで、エンドツール位置ETP’とXYスケール170Aとの間の既知の座標位置オフセットに従って、相対X2、Y2座標(すなわちエンドツール位置ETP’の)を決定することができる(例えば、X2及びY2を決定するためX1及びY1にx及びy位置オフセット値を加える)。
【0116】
上述のように、様々な実施例において、
図5のアブソリュートXYスケール170Bを
図8及び
図9のXYスケール870として代替的に利用可能である。上記のように、アブソリュートXYスケール170Bは均等に離間した増分撮像可能要素IIFのアレイを含み、更に、一意の識別可能パターン(例えば16ビットパターン)を有する絶対撮像可能要素AIFのセットも含む。様々な実施例において、撮像可能要素IIF及びAIFの全ては、それぞれXYスケール上の既知の計測位置座標(例えばx及びy座標)に位置付けられている(すなわち、それぞれ既知のXY座標ロケーションに対応する)。更に上述のように、このような実施例は、少なくともスケール撮像軸方向の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について(例えば、z軸に直交するxy面内のエンドツール位置ETP’のx及びy計測位置座標について)、ロボット精度よりも良好な精度レベルでエンドツール位置ETP’を示す絶対位置を独立して決定できる。インクリメンタルXYスケール170Aとは異なり、絶対位置を決定するためにロボット110又は810からの位置情報との組み合わせを必要としない可能性がある。
【0117】
図10A及び
図10Bは、ロボット及び補足計測位置座標決定システムを含むロボットシステムを動作させるためのルーチン1000A及び1000Bの例示的な実施例を示すフロー図である。
図10Aに示されているように、決定ブロック1010では、ロボットシステムを補足計測位置座標モードで動作させるか否かを決定する。様々な実施例において、補足計測位置座標モード又は標準ロボット位置座標モードの選択及び/又は活性化は、ユーザによって行う、及び/又は特定の動作及び/又は命令に応答してシステムによって自動的に行うことができる。例えば1つの実施例では、ロボットが特定の位置に移動した場合(例えばエンドツールを、アセンブリ又は他の動作が実行される一般エリアから、ワークピース検査動作が典型的に実行される及び/又は他の状況で補足計測位置座標モードが利用される特定エリアに移動させた場合)、補足計測位置座標モードを開始することができる(例えば自動的に又はユーザによる選択に従って)。様々な実施例では、このようなモードは外部制御システムによって実施できる(例えば、標準ロボット位置座標モード部147及び補足計測位置座標モード部192を使用する
図1の外部制御システムECS、又は、標準ロボット位置座標モード部849及び補足計測位置座標モード部892を使用する
図8の外部制御システムECS’)。様々な実施例では、ハイブリッドモードを、独立して又は補足計測位置座標モードの一部として動作させる及び/又はモード間の切り換えとして実施することができる。これについては
図11を参照して以下で更に詳しく記載する。
【0118】
決定ブロック1010においてロボットシステムを補足計測位置座標モードで動作させないことが決定された場合、ルーチンはブロック1015に進み、ロボットシステムを標準ロボット位置座標モードで動作させる。標準ロボット位置座標モードの一部として、ロボットの位置センサ(例えば回転エンコーダ、リニアエンコーダ等)を用いて、ロボット精度(例えば、ロボットの位置センサの精度に少なくとも部分的に基づく)で、ロボットの移動及び対応するエンドツール位置を制御及び決定する。
図1~
図5、
図8、及び
図9を参照して上述したように、ロボットの位置センサは、XYスケールを用いて決定される位置情報よりも低い精度で可動アーム構成MAC又はMAC’の位置(例えばアーム部の位置)を示し得る。一般に、ロボット位置座標モードは、ロボットの独立した及び/又は標準的な動作モードに対応し得る(例えば、補足計測位置座標決定システムがアクティブでないか又は他の理由で提供されない場合にロボットを独立して動作させるモード)。
【0119】
ロボットシステムを補足計測位置座標モードで動作させる場合、ルーチンはブロック1020に進み、ロボット及び補足計測位置座標決定システムは、少なくともノミナルで補足計測位置座標決定システムの動作構成を与えるように配置される。スケール面はXYスケールの平面基板とノミナルで一致すると規定され、スケール面に垂直な方向はスケール撮像軸方向として規定される。XYスケール又は第1の撮像構成のうち少なくとも1つは、第1の撮像構成の光軸がスケール撮像軸方向の方向に対して平行であるか又はノミナルで平行であるのうち少なくとも一方であるように、かつ、スケール面がスケール撮像軸方向に沿った第1の撮像構成の合焦範囲内に位置付けられるように配置される。
【0120】
上述のように、様々な実施例において、少なくともノミナルで動作構成を達成するためのこのプロセスは、(例えば可動アーム構成MAC又はMAC’のアーム部の位置等の)様々な調整を実行することを含み得る。1つの具体例として、
図8及び
図9の実施例において第4の移動機構834は、XYスケール870を回転させてスケール撮像軸方向SIA’を光軸OA1’に対して平行であるか又はノミナルで平行であるのうち少なくとも一方とするように第4のアーム部824を回転させるよう動作され得る。特定の実施例において、このような調整は自動的に又は他のやり方で実行できる(例えば、回路やルーチン等を用い、第4のアーム部824の向きを連続的に又は他のやり方で監視すると共に、第4の移動機構834を用いて連続的に又は他のやり方で向きを調整することで、XYスケール870をほぼ同じ高さにするか、又はスケール撮像軸方向SIA’を光軸OA1’に対して平行であるか又はノミナルで平行であるのうち少なくとも一方にすればよい)。様々な実施例では、スケール撮像軸方向SIA’に沿った第1の撮像構成860-1の合焦範囲内にスケール面を位置付けるように、様々な調整を第1の撮像構成860-1に実行することができる(例えば倍率及び/又は合焦範囲を調整する等)。いくつかの他の実施例(例えば
図1~
図3の例示的な構成)では、動作構成を達成するために必要な調整はより少ないか、又は全く調整を必要としないことがある(例えば、可動アーム構成MACの構成は、いくつかの実施例においてノミナルでxy面内にある第1及び第2のアーム部120及び130の回転に従って、スケール撮像軸方向SIAが光軸OA1に少なくともノミナルで平行であるようなものであり得る)。
【0121】
ブロック1030では、ロボットのエンドツール位置に関連した少なくとも1つの入力信号を(例えば画像トリガ部181又は881等のような画像トリガ部で)受信する。少なくとも1つの入力信号に基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定し、この第1の撮像トリガ信号を第1の撮像構成に出力する。第1の撮像構成は、第1の撮像トリガ信号の受信に応答して、画像取得時点でXYスケールのデジタル画像を取得する。様々な実施例において、異なるタイプのエンドツールは、少なくとも1つの入力信号に対して使用され得る異なるタイプの出力を提供できる。例えば、エンドツールがタッチプローブであり、ワークピースを測定するため使用され、ワークピースに触れるとタッチ信号を出力する実施例では、そのタッチ信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力し、それに基づいて第1の撮像トリガ信号のタイミングを決定することができる。別の例として、エンドツールがスキャンプローブであり、ワークピースを測定するため使用され、各サンプルタイミング信号に対応した各ワークピース測定サンプルデータを与える実施例では、その各サンプルタイミング信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力することができる。別の例として、エンドツールがカメラであり、各ワークピース画像取得信号に対応した各ワークピース測定画像を与えるために使用される場合、そのワークピース画像取得信号又はそれから導出された信号を少なくとも1つの入力信号として入力することができる。
【0122】
ブロック1040では、取得された画像を(例えば計測位置座標処理部190又は890等のような計測位置座標処理部で)受信し、XYスケールの取得された画像に含まれる少なくとも1つの撮像可能要素及び関連する既知のXYスケール座標ロケーションを識別する。ブロック1050では、取得した画像内で識別された少なくとも1つの撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものと第1の参照位置との間の相対位置を示す計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定する。決定された計測位置座標は、少なくともスケール撮像軸方向SIA’の横断方向又は直交方向のうち一方である計測位置座標のベクトル成分について、画像取得時点におけるエンドツール位置をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。ブロック1060では、決定された位置情報(例えば、相対位置を示す決定された計測位置座標、エンドツール位置の決定された計測位置座標、及び/又は他の関連する決定された位置情報)を、指定された機能のため(例えばワークピース測定、ロボットの可動アーム構成の配置制御等のため)に使用する。このような動作又は他のものの一部として、ルーチンは次いでポイントAに進むことができる。様々な実施例では、ルーチンはここで終了するか、又は
図10Bを参照して以下で更に詳しく記載するように継続できる。
【0123】
図10Bに示されているように、ルーチン1000BはポイントAからブロック1065へと継続することができる。以下で更に詳しく記載するように、ルーチン1000Bの一部として、(例えばブロック1060からの)決定された位置情報を、ワークピース上の第1の表面ロケーションを決定するため利用することができ、次いでワークピース上の第2の表面ロケーションを決定できる(例えばワークピースの要素の測定のようなワークピース測定の一部として)。ブロック1065では、ロボット及び補足計測位置座標決定システムは、少なくともノミナルで補足計測位置座標決定システムの動作構成を与えるように配置される。動作構成では、XYスケール面又は第1の撮像構成のうち少なくとも1つは、第1の撮像構成の光軸がスケール撮像軸方向の方向に対して平行であるか又はノミナルで平行であるのうち少なくとも一方であるように、かつ、スケール面がスケール撮像軸方向に沿った第1の撮像構成の合焦範囲内に位置付けられるように配置される。例えば
図8及び
図9の実施例において、これは、可動アーム構成MAC’がエンドツールETLを(例えば接点CPと共に)ワークピース上の第2の表面ロケーションの近傍に(例えばその上方に)移動させることに対応し得る。ワークピース上の第2の表面ロケーションの近傍において動作構成を少なくともノミナルで達成するため、(例えば第4の移動機構834によってXYスケール870の向きを調整することで)調整を実行できる。上記したように、いくつかの他の実施例(例えば
図1~
図3の例示的な構成)では、動作構成を達成するために必要な調整はより少ないか、又は全く調整を必要としないことがある(例えば、可動アーム構成MACの構成は、いくつかの実施例においてノミナルでxy面内にある第1及び第2のアーム部120及び130の回転に従って、スケール撮像軸方向SIAが光軸OA1に少なくともノミナルで平行であるようなものであり得る)。
【0124】
ブロック1070では、ロボットのエンドツール位置に関連した少なくとも1つの入力信号を(例えば画像トリガ部181又は881等のような画像トリガ部で)受信し、この少なくとも1つの入力信号に基づいて第2の撮像トリガ信号のタイミングを決定する。第2の撮像トリガ信号を第1の撮像構成に出力する。第1の撮像構成は、第2の撮像トリガ信号の受信に応答して、第2の画像取得時点でXYスケールの第2のデジタル画像を取得する。ブロック1080では、取得された画像を(例えば計測位置座標処理部190又は890等のような計測位置座標処理部で)受信し、XYスケールの第2の取得画像に含まれる少なくとも1つの第2の撮像可能要素及び関連する第2の既知のXYスケール座標ロケーションを識別する。
【0125】
ブロック1090では、第2の取得画像内で識別された少なくとも1つの第2の撮像可能要素の画像位置の決定に基づいて、XYスケール又は第1の撮像構成のうち可動のものと第1の参照位置との間の第2の相対位置を示す第2の計測位置座標をロボット精度よりも良好な精度レベルで決定する。第2の決定された計測位置座標は、少なくともスケール撮像軸方向SIA’の横断方向又は直交方向のうち一方である第2の計測位置座標のベクトル成分について、第2の画像取得時点におけるエンドツール位置をロボット精度よりも良好な精度レベルで示す。第2の相対位置は、第1の相対位置とは異なり、第1の表面ロケーションとは異なるワークピース上の第2の表面ロケーションに対応する(例えば、第1の撮像可能要素は第2の取得画像には含まれない、及び/又は第2の撮像可能要素は第1の取得画像には含まれない可能性がある)。このような技法は、基準又は他の参照マークを利用する技法とは異なるものとして記載される(例えば、同一の基準又は参照マークは各画像に存在する必要があるのに対し、XYスケール170又は870では、位置情報をXYスケール170又は870全体にわたって決定することができ、従って撮像構成160又は860の視野FOV又はFOV’に対応する画像内に含まれるXYスケール170又は870の任意の部分について決定できる)。
【0126】
ブロック1095では、第1及び第2の相対位置及び/又は関連する位置情報を示す第1及び第2の決定された計測位置座標を用いて、第1及び第2の画像取得時点における各エンドツール位置(例えば、ワークピース上の第1及び第2の表面ロケーションに接触した場合の接点位置等を示す)に対応するワークピース上の第1及び第2の表面ロケーション間の距離に相当するワークピースの寸法を決定する。ロボットの位置センサ(例えば回転エンコーダ、リニアエンコーダ等)を用いてロボット精度でワークピース上の第1及び第2の表面ロケーションを決定するよりも、本明細書に記載される技法を用いて、より正確な位置情報を決定できることは認められよう。より具体的には、第1及び第2の表面ロケーション(すなわち、XYスケール上の第1及び第2のロケーションに対応する第1及び第2の決定された計測位置座標に対応する。上述した技法を用いてこのような座標/ロケーション間の精密な距離をXYスケールの精度に応じて決定できる)の決定によって、第1及び第2の表面ロケーション間のワークピースの(例えばワークピース要素の)対応する距離を、高い精度で決定することが可能となる。
【0127】
図11は、移動タイミングの異なる部分の間にそれぞれ異なる技法を使用することができる、エンドツール位置を決定するためのルーチン1100の1つの例示的な実施例を示すフロー図である。概して、移動タイミングの間に、ロボットの1つ以上のアーム部を第1の位置から第2の位置へ移動させる(例えば、移動機構を中心として1つ以上のアーム部を第1の回転向きから第2の回転向きへ回転させる、又は他のやり方でアーム部を移動させること等を含み得る)。
図11に示されているように、決定ブロック1110では、移動タイミング中のエンドツール位置を決定するためにハイブリッドモードを利用するか否かを決定する。様々な実施例においてハイブリッドモードは、
図10Aを参照して上述したように、補足計測位置座標モードと標準ロボット位置座標モードとの切り換えを含むプロセスも表し得る。ハイブリッドモードが利用されない場合、ルーチンはブロック1120に進み、移動タイミング中のエンドツール位置を決定するために、(例えば移動アーム構成MAC又はMAC’のような移動アーム構成の)ロボットの位置センサ(例えば回転エンコーダ、リニアエンコーダ等)のみを単独で利用する。
【0128】
ハイブリッドモードが使用される場合、ルーチンはブロック1130に進み、移動タイミングの第1の部分の間、エンドツール位置を決定するため、ロボットに含まれる(例えばロボットの可動アーム構成MAC又はMAC’に含まれる)位置センサを使用する。このような動作中、エンドツール位置を決定するために補足計測位置座標決定システムの計測位置座標は決定されない及び/又は利用されない可能性がある。ブロック1140では、移動タイミングの第1の部分の後に生じる移動タイミングの第2の部分の間、補足計測位置座標決定システムの決定された計測位置座標を用いてエンドツール位置を決定する。このような動作によって、システムは、移動タイミングの第1の部分の間にエンドツール位置の初期の/高速の/粗い移動を実行できると共に、移動タイミングの第2の部分の間にエンドツール位置の高精度の最後の/低速の/細かい移動を実行できることは認められよう。
【0129】
本開示において、要素170、170A、170B、870等に関して要素名「XYスケール」を用いたが、この要素名は単なる例示であって限定ではないことは理解されよう。これはデカルト座標系に関連付けて「XYスケール」と称され、ノミナルに平面状の基板を含むものとして記載されている(例えば、いくつかの実施例ではz軸に平行であり得るスケール撮像軸方向に対してノミナルに直交に配置されている)。しかしながら更に一般的には、要素名XYスケールは、本明細書に開示されるように動作できるならば、参照スケール上の既知の2次元座標(例えば2次元の正確なロケーション及び/又は正確に較正されたロケーション)に対応する複数の要素又はマークを含む任意の参照スケールを指すと理解するべきである。例えばそのようなスケール要素は、その参照スケール上のデカルト座標系、又は極座標系、又は他の任意の好都合な座標系で表現する及び/又は指し示すことができる。更に、そのような要素は、これらの要素がスケール上の既知の2次元座標に対応すると共に本明細書に開示されるように動作できるならば、動作スケールエリア全体にわたって均一に又は不均一に分散させた要素を含み、目盛の付いた(graduated)又は目盛の付いていない(ungraduated)スケールマークを含むことができる。
【0130】
本明細書に開示され説明されるロボットシステム及び対応する可動アーム構成は、概ね特定の数のアーム部(例えば3つのアーム部、5つのアーム部等)を参照して図示され記載されるが、そのように限定されないことは理解されよう。様々な実施例において、本明細書に記載される及び/又は特許請求されるもののような2つのアーム部を含むならば、ロボットシステムは所望の場合に更に少ないか又は更に多くのアーム部を含むことも可能である。
【0131】
XYスケール又は参照スケール及びスケールを撮像するために使用されるカメラは、ロボットシステムの移動及び/又は位置に応じて、相互に対して回転し得ることは理解されよう。(例えば本願に含まれる引用文献に開示されているような)当技術分野において既知の方法を用いて、そのような相対的な回転を正確に決定する及び/又は必要な座標変換を実行すること、及び/又はそのような相対的な回転にかかわらず本明細書に開示される原理に従ってカメラ及びスケールの相対位置を解析することが可能であることは認められよう。本明細書で言及される計測位置座標が、様々な実施例において、そのような相対的な回転を考慮に入れていることは理解されよう。更に、いくつかの実施例において、本明細書で言及される計測位置座標は、所望の場合、そのような相対的な回転の精密な決定値及び/又は指示を含む座標セットを含み得ることは理解されよう。
【0132】
本開示の好適な実施例について図示及び記載したが、本開示に基づいて、図示及び記載した要素の構成及び動作のシーケンスにおける多数の変形が当業者には明らかであろう。種々の代替的な形態を用いて本明細書に開示された原理を実施することができる。更に、上述の様々な実施例を組み合わせて別の実施例を提供することも可能である。これらの様々な特許及び出願の概念を用いて更に別の実施例を提供するために必要な場合は、上述の実施例の態様は変更可能である。
【0133】
前述の記載に照らして、実施例にこれら及び他の変更を行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施例に特許請求の範囲を限定するものとして解釈されず、そのような特許請求の範囲の権利が与えられる(entitled)均等物の全範囲に加えて全ての可能な実施例を包含するものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0134】
100,200,300,800,900…ロボットシステム
110,810…多関節ロボット(ロボット)
120,130,821~825…アーム部
125,135…回転継手
140,840…移動制御システム(処理システム)
141~144,841~846…検知部
145,847…ロボット位置処理部
147,849…標準ロボット位置座標モード部
150,850…補足計測位置座標決定システム
160,860…撮像構成
170,870…XYスケール
180,880…画像処理部
181,881…画像トリガ部
190,890…計測位置座標処理部
192,892…補足計測位置座標モード部
831~835…移動機構
847…ロボット位置処理部