(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】レーザー加工方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H01L21/78 B
(21)【出願番号】P 2019151333
(22)【出願日】2019-08-21
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-033163(JP,A)
【文献】特開2018-098295(JP,A)
【文献】特開2014-138113(JP,A)
【文献】特開2012-009517(JP,A)
【文献】特開2018-063987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインの内部に位置づけてレーザー光線をウエーハに照射し、ウエーハをチップに分割するための起点となる改質層を分割予定ラインの内部に形成するレーザー加工方法であって、
第一の方向に延在する複数の第一の分割予定ラインの内部に改質層を形成する第一の改質層形成工程と、
該第一の方向に交差する第二の方向に延在する複数の第二の分割予定ラインの内部に改質層を形成する第二の改質層形成工程と、
を含み、
該第二の改質層形成工程において、第二の分割予定ラインおよび既に改質層が形成された第一の分割予定ラインの交差点と隣接する交差点とで規制された第二の分割予定ラインの中央領域
における任意の開始位置から一方の交差点に向かって一方の交差点の近傍までレーザー光線を照射して改質層を形成し、次いで、該中央領域
における該開始位置から他方の交差点に向かって他方の交差点の近傍までレーザー光線を照射して改質層を形成し、
該中央領域は、該第二の方向においてデバイスの一辺の長さに相当する領域であるレーザー加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインの内部に位置づけてレーザー光線をウエーハに照射し、ウエーハをチップに分割するための起点となる改質層を分割予定ラインの内部に形成するレーザー加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが、第一の方向に延在する複数の第一の分割予定ラインと第一の方向に交差する第二の方向に延在する複数の第二の分割予定ラインとによって区画され表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、分割された各デバイスチップは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
レーザー加工装置は、ウエーハを保持する保持手段と、保持手段に保持されたウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を第一および第二の分割予定ラインの内部に位置づけてレーザー光線をウエーハに照射し、ウエーハをデバイスチップに分割するための起点となる改質層を第一および第二の分割予定ラインの内部に形成するレーザー光線照射手段と、保持手段とレーザー光線照射手段とを相対的に加工送りする送り手段と、ウエーハを透過して撮像する撮像手段と、制御手段と、を含み構成されていて、ウエーハを高精度に分割することができる(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、第一の分割予定ラインの内部に改質層を形成した後、第二の分割予定ラインの内部に改質層を形成すると、デバイスチップのコーナーに欠けが生じるという問題がある。具体的には、デバイスチップのコーナーのうち、第二の分割予定ラインにおけるレーザー光線の集光点の移動方向上流側に位置するチップのコーナーに欠けが生じることが多い。
【0006】
特に、ウエーハの表面に保護部材を配設してウエーハの裏面を研削ホイールで研削しウエーハを薄化すると共に、改質層に沿ってウエーハを個々のデバイスチップに分割する場合に前記した問題が生じやすい。
【0007】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、デバイスチップのコーナーに欠けが生じるのを防止することができるレーザー加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために以下のレーザー加工方法を提供する。すなわち、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を分割予定ラインの内部に位置づけてレーザー光線をウエーハに照射し、ウエーハをチップに分割するための起点となる改質層を分割予定ラインの内部に形成するレーザー加工方法であって、第一の方向に延在する複数の第一の分割予定ラインの内部に改質層を形成する第一の改質層形成工程と、該第一の方向に交差する第二の方向に延在する複数の第二の分割予定ラインの内部に改質層を形成する第二の改質層形成工程と、を含み、該第二の改質層形成工程において、第二の分割予定ラインおよび既に改質層が形成された第一の分割予定ラインの交差点と隣接する交差点とで規制された第二の分割予定ラインの中央領域における任意の開始位置から一方の交差点に向かって一方の交差点の近傍までレーザー光線を照射して改質層を形成し、次いで、該中央領域における該開始位置から他方の交差点に向かって他方の交差点の近傍までレーザー光線を照射して改質層を形成し、該中央領域は、該第二の方向においてデバイスの一辺の長さに相当する領域であるレーザー加工方法を本発明は提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレーザー加工方法は、第一の方向に延在する複数の第一の分割予定ラインの内部に改質層を形成する第一の改質層形成工程と、該第一の方向に交差する第二の方向に延在する複数の第二の分割予定ラインの内部に改質層を形成する第二の改質層形成工程と、を含み、該第二の改質層形成工程において、第二の分割予定ラインおよび既に改質層が形成された第一の分割予定ラインの交差点と隣接する交差点とで規制された第二の分割予定ラインの中央領域における任意の開始位置から一方の交差点に向かって一方の交差点の近傍までレーザー光線を照射して改質層を形成し、次いで、該中央領域における該開始位置から他方の交差点に向かって他方の交差点の近傍までレーザー光線を照射して改質層を形成し、該中央領域は、該第二の方向においてデバイスの一辺の長さに相当する領域であることから、第二の分割予定ラインの内部に改質層を形成する際、第一の分割予定ラインの内部に形成された改質層にレーザー光線が照射されることがないため、デバイスチップのコーナーに欠けが生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)裏面が粘着テープ貼り付けられているウエーハの斜視図、(b)表面が粘着テープに貼り付けられているウエーハの斜視図。
【
図2】(a)ウエーハの表面を上に向けて第一の改質層形成工程を実施している状態を示す斜視図、(b)ウエーハの表面を上に向けて第一の改質層形成工程を実施している状態を示す断面図。
【
図3】ウエーハの裏面を上に向けて第一の改質層形成工程を実施している状態を示す斜視図。
【
図4】第二の改質層形成工程におけるレーザー光線の集光点の軌跡を示すウエーハの一部平面図。
【
図5】(a)第二の改質層形成工程において、隣接する交差点間で規制された第二の分割予定ラインの中央領域から第二の方向の片側に向かって移動したレーザー光線の集光点の軌跡を示すウエーハの一部平面図、(b)第二の改質層形成工程において、隣接する交差点間で規制された第二の分割予定ラインの中央領域から第二の方向の他側に向かって移動したレーザー光線の集光点の軌跡を示すウエーハの一部平面図。
【
図7】改質層に沿ってウエーハが個々のデバイスチップに分割された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のレーザー加工方法の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1には、本発明のレーザー加工方法によって加工が施される円板状のウエーハ2が示されている。ウエーハ2はシリコン等から形成され得る。ウエーハ2の表面2aは格子状の分割予定ライン4によって複数の矩形領域に区画されており、複数の矩形領域のそれぞれにはIC、LSI等の複数のデバイス6が形成されている。格子状の分割予定ライン4は、第一の方向D1に延在する複数の第一の分割予定ライン4aと、第一の方向D1に交差する第二の方向D2に延在する複数の第二の分割予定ライン4bとを有する。なお、図示の実施形態の第一の分割予定ライン4aと第二の分割予定ライン4bとは直交している。
【0013】
ウエーハ2は、周縁が環状フレーム8に固定された粘着テープ10に貼り付けられており、粘着テープ10を介して環状フレーム8に支持されている。
図1(a)に示すとおり、ウエーハ2の裏面2bが粘着テープ10に貼り付けられていてもよく、あるいは
図1(b)に示すとおり、ウエーハ2の表面2aが粘着テープ10に貼り付けられていてもよい。
【0014】
図示の実施形態のレーザー加工方法では、まず、第一の方向D1に延在する複数の第一の分割予定ライン4aの内部に改質層を形成する第一の改質層形成工程を実施する。第一の改質層形成工程は、たとえば
図2に一部を示すレーザー加工装置12を用いて実施することができる。
【0015】
図2に示すとおり、レーザー加工装置12は、ウエーハ2を吸引保持するチャックテーブル(図示していない。)と、チャックテーブルに吸引保持されたウエーハ2に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBを照射する集光器14と、チャックテーブルに吸引保持されたウエーハ2を撮像する撮像手段(図示していない。)とを備える。
【0016】
上面においてウエーハ2を吸引保持するチャックテーブルは、上下方向に延びる軸線を中心として回転自在に構成されていると共に、
図2(a)に矢印Xで示すX軸方向と、X軸方向に直交するY軸方向(
図2(a)に矢印Yで示す方向)とに移動自在に構成されている。集光器14は、レーザー加工装置12のパルスレーザー光線発振器(図示していない。)が発振したパルスレーザー光線LBを集光してウエーハ2に照射するための集光レンズ(図示していない。)を含む。撮像手段は、可視光線によりウエーハ2を撮像する通常の撮像素子(CCD)と、ウエーハ2に赤外線を照射する赤外線照射手段と、赤外線照射手段により照射された赤外線を捕らえる光学系と、光学系が捕らえた赤外線に対応する電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)とを含む。なお、X軸方向およびY軸方向が規定するXY平面は実質上水平である。
【0017】
図2(a)を参照して説明を続けると、第一の改質層形成工程では、まず、ウエーハ2を上側にし、かつ粘着テープ10を下側にして、チャックテーブルの上面でウエーハ2を吸引保持する。次いで、撮像手段で上方からウエーハ2を撮像し、撮像手段で撮像したウエーハ2の画像に基づいて、第一の分割予定ライン4aをX軸方向に整合させると共に、X軸方向に整合させた第一の分割予定ライン4aを集光器14の下方に位置づける。
【0018】
次いで、レーザー加工装置12の集光点位置調整手段(図示していない。)で集光器14を昇降させ、第一の分割予定ライン4aの内部に集光点FPを位置づける。次いで、集光器14に対してチャックテーブルを相対的に所定の送り速度でX軸方向に加工送りしながら、ウエーハ2に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBを集光器14から照射することによって、第一の分割予定ライン4aに沿ってウエーハ2の内部に、周囲よりも強度が小さい改質層16を形成する。
【0019】
次いで、第一の分割予定ライン4aのY軸方向の間隔の分だけ、集光器14に対してチャックテーブルを相対的にY軸方向に割り出し送りする。そして、パルスレーザー光線LBの照射と割り出し送りとを交互に繰り返すことにより、X軸方向に整合させた第一の分割予定ライン4aのすべてに沿ってウエーハ2の内部に改質層16を形成する。
【0020】
図2に示す例では第一の改質層形成工程においてウエーハ2の表面2a側からパルスレーザー光線LBをウエーハ2に照射しているが、第一の改質層形成工程においては、
図3に示すとおり、ウエーハ2の裏面2b側からパルスレーザー光線LBをウエーハ2に照射してもよい。上記のとおり、レーザー加工装置12の撮像手段は、赤外線照射手段と、赤外線を捕らえる光学系と、赤外線に対応する電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)とを含むので、ウエーハ2の裏面2bが上を向いている場合でも、ウエーハ2の裏面2bから透かして表面2aの分割予定ライン4をウエーハ2の上方から撮像することができる。
【0021】
第一の改質層形成工程を実施した後、第一の方向D1に交差する第二の方向D2に延在する複数の第二の分割予定ライン4bの内部に改質層を形成する第二の改質層形成工程を実施する。第二の改質層形成工程も上記レーザー加工装置12を用いて実施することができる。
【0022】
第二の改質層形成工程では、まず、ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブルを90度回転させる。次いで、第一の改質層形成工程において撮像したウエーハ2の画像に基づいて、第二の分割予定ライン4bをX軸方向に整合させると共に、X軸方向に整合させた第二の分割予定ライン4bを集光器14の下方に位置づける。
【0023】
次いで、第二の分割予定ライン4bの内部であって、第二の分割予定ライン4bおよび既に改質層16が形成された第一の分割予定ライン4aの交差点と隣接する交差点とで規制された第二の分割予定ライン4bの中央領域に集光点FPを位置づける。
【0024】
図4を参照して説明すると、第二の分割予定ライン4bおよび既に改質層16が形成された第一の分割予定ライン4aの交差点とは、たとえば符号C1で示す交差点であり、この交差点C1に隣接する交差点とは、第二の方向D2において隣接する交差点であり、たとえば符号C2で示す交差点である。また、交差点C1と交差点C2とで規制された第二の分割予定ライン4bの中央領域とは、たとえば
図4に符号18で示すとおり、デバイス6の一辺の長さに相当する領域である。図示の実施形態では中央領域18における任意の開始位置20に集光点FPを位置づける。なお、開始位置20は、中央領域18における中間位置でなくてもよく、いずれかの交差点の方に片寄っていてもよい。
【0025】
次いで、開始位置20から交差点C1の近傍まで、集光器14に対してチャックテーブルを相対的に所定の送り速度でX軸方向に加工送りしながら、ウエーハ2に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBを集光器14から照射することにより、第二の分割予定ライン4bに沿ってウエーハ2の内部に改質層22aを形成する。この改質層22aの先端(開始位置20の反対側の端部)は、第一の分割予定ライン4aの改質層16とは連結しておらず、改質層22aの先端と改質層16との間には改質層が形成されていない領域が存在する。すなわち、改質層22aを形成する際、パルスレーザー光線LBが改質層16に照射されることはない。
【0026】
次いで、チャックテーブルを移動させて集光点FPを開始位置20に再度位置づける。そして、開始位置20から交差点C2の近傍まで、集光器14に対してチャックテーブルを相対的に所定の送り速度でX軸方向に加工送りしながら、ウエーハ2に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBを集光器14から照射することにより、第二の分割予定ライン4bに沿ってウエーハ2の内部に改質層22bを形成する。改質層22bの先端も改質層16とは連結しておらず、改質層22bの先端と改質層16との間には改質層が形成されていない領域が存在する。改質層22bを形成する際も、改質層22aを形成する際と同様に、パルスレーザー光線LBが改質層16に照射されることはない。
【0027】
このようにして、交差点C1と交差点C2とで規制された第二の分割予定ライン4bの中央領域18から、それぞれの交差点C1、C2の近傍までパルスレーザー光線LBを照射して、開始位置20から交差点C1の近傍まで延びる改質層22aと、開始位置20から交差点C2の近傍まで延びる改質層22bとを有する改質層22を形成する。なお、改質層22の性質は、改質層16の性質と実質上同一であり、改質層22の強度は周囲よりも強度が小さい。
【0028】
次いで、最初に集光点FPを位置づけた第二の分割予定ライン4bにおいて、隣接する交差点と交差点とで規制される各領域に改質層22を順次形成する。そして、割り出し送りをしつつ、X軸方向に整合させた第二の分割予定ライン4bのすべてに沿ってウエーハ2の内部に改質層22を形成する。これによって、ウエーハ2をデバイス6ごとのチップに分割するための起点となる改質層16、22を分割予定ライン4に沿ってウエーハ2の内部に形成することができる。
【0029】
第二の改質層形成工程においては、上記のとおり、隣接する交差点と交差点とで規制される第二の分割予定ライン4bの各領域に改質層22を順次形成してもよいが、パルスレーザー光線LBを断続的に照射しながら第二の分割予定ライン4bの一端部から他端部まで集光点FPを相対的に移動させてもよい。
図5(a)に示すとおり、第二の分割予定ライン4bにおいてパルスレーザー光線LBの照射区間と非照射区間とを交互に設けることによって、隣接する交差点と交差点とで規制される第二の分割予定ライン4bの各領域に、開始位置20から
図5の右側に延びる改質層22aを形成した後、
図5(b)に示すとおり、開始位置20から
図5の左側に延びる改質層22bを形成するようにしてもよい。
【0030】
上述したとおりの第一・第二の改質層形成工程は、たとえば以下の加工条件で実施することができる。
パルスレーザー光線の波長 :1342nm
繰り返し周波数 :90kHz
平均出力 :1.2W
送り速度 :700mm/s
【0031】
第二の改質層形成工程を実施した後、粘着テープ10を拡張してウエーハ2をデバイスチップに分割してもよいが、本実施形態においては、ウエーハ2の表面2aに保護部材を配設してウエーハ2の裏面2bを研削ホイールで研削しウエーハ2を薄化すると共に、改質層16、22に沿ってウエーハ2を個々のデバイス6ごとのチップに分割する分割工程を実施する。分割工程は、たとえば
図6に一部を示す研削装置24を用いて実施することができる。研削装置24は、ウエーハ2を吸引保持するチャックテーブル26と、チャックテーブル26に吸引保持されたウエーハ2を研削する研削手段28とを備える。
【0032】
上面においてウエーハ2を吸引保持するチャックテーブル26は上下方向に延びる軸線を中心として回転自在に構成されている。研削手段28は、上下方向に延びるスピンドル30と、スピンドル30の下端に固定された円板状のホイールマウント32とを含む。ホイールマウント32の下面にはボルト34によって環状の研削ホイール36が固定されている。研削ホイール36の下面の外周縁部には、周方向に間隔をおいて環状に配置された複数の研削砥石38が固定されている。
【0033】
分割工程では、まず、デバイス6を保護するための保護部材40をウエーハ2の表面2aに配設する。次いで、
図6に示すとおり、ウエーハ2の裏面2bを上に向けて、チャックテーブル26の上面でウエーハ2を吸引保持する。次いで、上方からみて反時計回りに所定の回転速度(たとえば300rpm)でチャックテーブル26を回転させる。また、上方からみて反時計回りに所定の回転速度(たとえば6000rpm)でスピンドル30を回転させる。次いで、研削装置24の昇降手段(図示していない。)でスピンドル30を下降させ、ウエーハ2の裏面2bに研削砥石38を接触させた後、所定の研削送り速度(たとえば1.0μm/s)でスピンドル30を下降させる。これによって、ウエーハ2の裏面2bを研削してウエーハ2を所望の厚みに薄化することができる。
【0034】
ウエーハ2の研削時には、研削送りによる所定の押圧力がウエーハ2に作用するため、ウエーハ2の内部に形成された改質層16、22からクラック(図示していない。)がウエーハ2の厚み方向に成長し、
図7に示すとおり、改質層16、22に沿ってウエーハ2が個々のデバイス6ごとのチップに分割される。
【0035】
以上のとおりであり、図示の実施形態のレーザー加工方法においては、第二の分割予定ライン4bの内部に改質層22を形成する際、第一の分割予定ライン4aの内部に形成された改質層16にパルスレーザー光線LBが照射されることがないため、デバイスチップのコーナーに欠けが生じるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
2:ウエーハ
2a:ウエーハの表面
2b:ウエーハの裏面
4:分割予定ライン
4a:第一の分割予定ライン
4b:第二の分割予定ライン
16:第一の分割予定ラインの内部に形成された改質層
18:中央領域
22:第二の分割予定ラインの内部に形成された改質層
22a:開始位置から交差点C1の近傍まで延びる改質層
22b:開始位置から交差点C2の近傍まで延びる改質層
D1:第一の方向
D2:第二の方向
LB:パルスレーザー光線
FP:集光点
C1、C2:交差点