(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240116BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/78 N
(21)【出願番号】P 2019170037
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】松田 智人
(72)【発明者】
【氏名】政田 孝行
(72)【発明者】
【氏名】北浦 毅
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-305862(JP,A)
【文献】特開2018-181951(JP,A)
【文献】特開2015-138856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段で保持された被加工物に加工を施す加工手段と、
洗浄手段と、を備えた加工装置であって、
該被加工物を複数収容可能な第一カセットが載置される第一カセット載置台と、
該被加工物を複数収容可能な第二カセットが載置される第二カセット載置台と、
該第一カセット載置台を受渡位置と、第一カセット退避位置と、に位置付ける第一位置付け手段と、
該第二カセット載置台を該受渡位置と、第二カセット退避位置と、に位置付ける第二位置付け手段と、
該受渡位置と該保持手段の間で被加工物を搬送する
第一搬送手段と、
該保持手段から該洗浄手段に該被加工物を搬送する第二搬送手段と、を備え、
該受渡位置と該第一カセット退避位置は、Z方向に隣接して配置され、
該受渡位置と該第二カセット退避位置は、該Z方向に直交するX方向に隣接して配置され、
該第一カセットから搬出された被加工物を、該保持手段で保持して該加工手段で加工している間に、該第二カセットからから搬出された被加工物を該
第一搬送手段で保持して待機し、
該第一カセットから搬出された被加工物が、該加工手段による加工が終了して該
第二搬送手段により該保持手段から
該洗浄手段へと搬送された後、
該第一搬送手段で保持して待機していた該第二カセットから搬出された被加工物が、該保持手段へと搬送されて加工がされる構成とする、加工装置。
【請求項2】
該加工装置は、少なくとも該第一位置付け手段と、該第二位置付け手段と、を制御する制御手段を備え、
該制御手段は、該加工手段で加工が施された被加工物が、該第一カセットと該第二カセットとのうち収容されていたカセットに搬入されるように、該第一カセット載置台と該第二カセット載置台とをそれぞれ該受渡位置に位置付けるように、該第一位置付け手段と該第二位置付け手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段で保持された被加工物に加工を施す加工手段と、を備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されるように、被加工物である半導体ウェーハを切削する加工装置において、複数枚のウェーハを収容したカセットをカセット載置台に載置し、カセット載置台を高さ方向(Z軸方向)に移動させ、連続加工する構成が知られている。
【0003】
この連続加工の際においては、例えば、一枚目のウェーハを切削加工している間に、二枚目のウェーハをカセットから搬出して仮置エリアで待機させておき、一枚目のウェーハの切削加工が終わったタイミングで直ぐに二枚目のウェーハの切削加工を実行することが行われている。こうすることで、一つのカセットの全てのウェーハの加工に要する時間の短縮が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一枚目のカセットの最後のウェーハの加工が終了すると、二枚目のカセットについての加工に移ることになるが、最後のウェーハは元のカセット(一枚目のカセット)に戻さなければならないため、次の二枚目のカセットをセットすることができないことになる。
【0006】
このため、次の二枚目のカセットの最初のウェーハを搬出して仮置エリアで待機させることはできなくなり、カセットの交換のタイミングでは、加工装置による加工を停止せざるを得ないものであった。
【0007】
カセット交換のタイミングでの加工の停止は、加工装置のダウンタイムとなり、加工スループット(単位時間当たりの加工量)を向上させる上でボトルネックとなるため、改善が望まれていた。
【0008】
以上に鑑み、本願発明は、カセット交換のタイミングでも、ダウンタイムを削減し、加工スループット(生産性)を向上させることを可能とする新たな技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段で保持された被加工物に加工を施す加工手段と、を備えた加工装置であって、
該被加工物を複数収容可能な第一カセットが載置される第一カセット載置台と、
該被加工物を複数収容可能な第二カセットが載置される第二カセット載置台と、
該第一カセット載置台を受渡位置と、第一カセット退避位置と、に位置付ける第一位置付け手段と、
該第二カセット載置台を該受渡位置と、第二カセット退避位置と、に位置付ける第二位置付け手段と、
該受渡位置と該保持手段の間で被加工物を搬送する搬送手段と、を備え、
該受渡位置と該第一カセット退避位置は、Z方向に隣接して配置され、
該受渡位置と該第二カセット退避位置は、該Z方向に直交するX方向に隣接して配置される、加工装置とするものである。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、
該加工装置は、少なくとも該第一位置付け手段と、該第二位置付け手段と、を制御する制御手段を備え、
該制御手段は、該加工手段で加工が施された被加工物が、該第一カセットと該第二カセットとのうち収容されていたカセットに搬入されるように、該第一カセット載置台と該第二カセット載置台とをそれぞれ該受渡位置に位置付けるように、該第一位置付け手段と該第二位置付け手段を制御する、こととするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、第一カセットに収容された最終の被加工物を加工している最中でも第二カセットから被加工物を搬出して仮置エリアで待機させることができ、第一カセットに収容されていた最終の被加工物の加工終了後、直ちに第二カセットの最初の被加工物を仮置エリアから保持手段に搬送することができる。加工が途切れる時間が圧縮されることで、カセット切替タイミングでのダウンタイムが大幅に削減され、装置全体の加工スループット(生産性)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明にかかる加工装置の一実施例について示す図である。
【
図2】(A)は、第一カセット載置台の構成例について示す図である。(B)は、第二カセット載置台の構成例について示す図である。
【
図3】カセット載置台の受渡位置、退避位置の状態について示す図である。
【
図4】カセット載置台の受渡位置、退避位置の他の状態について示す図である。
【
図6】カセットの状態などについて示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の一実施形態に関する加工装置1であり、加工手段として回転する切削ブレードを備え、例えば、板状の半導体ウェーハを個片化する切削装置として構成される。なお、切削装置の他、半導体ウェーハを個片化するためのレーザー加工装置や、エキスパンド装置においても本発明を提供することができる。
【0014】
被加工物は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料からなる略円板状のウェーハである。または、被加工物は、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる基板等である。または、被加工物は、モールド樹脂等で封止された複数のデバイスチップが含まれるパッケージ基板等でもよい。
【0015】
図1に示すように、加工装置1の基台2の上面中央部には、被加工物を保持する保持手段5が配設される。保持手段5は、被加工物であるウェーハWを吸引保持するチャックテーブルとして構成され、X軸方向に移動して図示せぬ切削ユニットによる切削加工を可能とするものである。被加工物であるウェーハWは、テープTを介してフレームFに固定された状態で、カセットK1,K2に収容されるものである。
【0016】
保持手段5が移動するエリアには、保持手段5の上方となる位置に一対のガイドレール7が互いに平行に配置されて、仮置エリアMが構成される。各ガイドレール7は、断面L字状に形成されており、被加工物を支持するフレームFの両端を載置できるものであり、互いに近づく/離れる方向に移動可能に構成され、フレームFをガイドしつつ仮置できるように構成される。
【0017】
ガイドレール7には、搬出入手段20によって、第一カセットK1、K2から搬出したフレームFが仮置される。搬出入手段20は、プレート部21と、プレート部21の端部に配設されたクランプ部22とを有しており、クランプ部22により被加工物であるウェーハWと一体となったフレームFの外周縁を把持することができるように構成される。
【0018】
搬出入手段20のプレート部21は、第一搬送手段23のL字状のアーム部26に連結され、搬出入手段20は第一搬送手段23とともにY軸方向に移動する。
【0019】
第一搬送手段23は、ガイドレール7から保持手段5に被加工物を搬送するものであり、アーム部26と、アーム部26の下部に装着された保持部24と、保持部24の端部に装着されフレームFを吸着する少なくとも4つの吸着部25とを備えている。
【0020】
第一搬送手段23は、第一Y軸方向送り手段28に連結され、Y軸方向に移動する。第一Y軸方向送り手段28は、筐体3の側部3aに設けられるものであり、Y軸方向にのびるボールネジ28aと、ボールネジ28aの先端に接続されたモータ28bと、ボールネジ28aと平行に配設された一対のガイドレール28cと、内部に設けたナットがボールネジ28aに螺合するとともに側部が一対のガイドレール28cに摺接する第一移動部28dとを備えている。
【0021】
第一移動部28dと第一搬送手段23のアーム部26は、昇降部27を介して接続されており、昇降部27の上下方向の移動により、搬出入手段20及び第一搬送手段23をZ軸方向に昇降させることができる。
【0022】
第二搬送手段32は、保持手段5から洗浄手段70に被加工物を搬送するものであり、円盤状のカバー部33と、カバー部33の下部に配設された保持部34と、保持部34の端部に装着されフレームFを吸着する少なくとも4つの吸着部35と、カバー部33の上部に取り付けられたL字状のアーム部36とを備えている。
【0023】
第二搬送手段32は、第二Y軸方向送り手段38に連結され、Y軸方向に移動する。
第二Y軸方向送り手段38は、筐体3の側部3aに設け荒れるものであり、Y軸方向にのびるボールネジ38aと、ボールネジ38aの先端に接続されたモータ38bと、ボールネジ38aと平行に配設された一対のガイドレール38cと、内部に設けたナットがボールネジ38aに螺合するとともに側部が一対のガイドレール38cに摺接する第二移動部38dとを備えている。
【0024】
第二搬送手段32のアーム部36は、昇降部37を介して第二移動部38dに接続されており、昇降部37が上下方向に移動することにより、第二搬送手段32をZ軸方向に昇降させることができる。
【0025】
次に、カセット載置台に関する構成について説明する。
図1に示すように、加工装置1には、第一カセット載置台51と、第二カセット載置台52が、X軸方向(加工装置の加工送り方向)において互いに対向するように設けられている。各載置台51,52に対し、随時カセットK1,K2の搬入/搬出が行われるようになっている。第一カセット載置台51に随時載置されるカセットが第一カセット、第二カセット載置台52に随時載置されるカセットが第二カセット、として定義され、明細書、及び、図面では、適宜、カセットK1,K2・・・として表現される。
【0026】
図2(A)に示すように、第一カセット載置台51は、その上面が第一カセットK1を載置するための載置面51aとして構成される。第一カセット載置台51は、Z軸方向(高さ方向)に立設される縦フレーム512において、Z軸方向に移動可能に設けられるものである。縦フレーム512には、Z軸方向に伸びる一対の縦ガイドレール514,514と、縦ガイドレール514,514の間に配置されるボールネジ516と、ボールネジ516の上端に接続されるモータ518と、が設けられる。
【0027】
第一カセット載置台51の内部に設けたナットがボールネジ516に螺合されており、モータ518にてボールネジ516を回転駆動させると、第一カセット載置台51が縦ガイドレール514,514に沿って上下移動する。
【0028】
以上の構成により、第一カセット載置台51を受渡位置P0(
図3)と、第一カセット退避位置P1(
図3)と、に位置付ける第一位置付け手段510が構成される。
図2(A)に示すように、第一位置付け手段510は、モータ518が制御手段600で制御されることで動作制御される。
【0029】
図2(B)に示すように、第二カセット載置台52は、その上面が第二カセットK2を載置するための載置面52aとして構成される。第二カセット載置台52は、Z軸方向に立設される縦フレーム522において、Z軸方向に移動可能に設けられるものである。縦フレーム522には、Z軸方向に伸びる一対の縦ガイドレール524,524と、縦ガイドレール524,524の間に配置されるボールネジ526と、ボールネジ526の上端に接続されるモータ528と、が設けられる。
【0030】
第二カセット載置台52の内部に設けたナットがボールネジ526に螺合されており、モータ528にてボールネジ526を回転駆動させると、第二カセット載置台52が縦ガイドレール524,524に沿って上下移動する。
【0031】
第二カセット載置台52が設けられる縦フレーム522は、X軸方向に移動するベース532に立設される。ベース532は、X軸方向において略水平に設けた横フレーム531において、X軸方向に移動可能に設けられるものである。横フレーム531には、X軸方向に伸びる一対の横ガイドレール534,534と、横ガイドレール534,534の間に配置されるボールネジ536と、ボールネジ536の一端に接続されるモータ538と、が設けられる。
【0032】
ベース532の内部に設けたナットがボールネジ536に螺合されており、モータにてボールネジ536を回転駆動させると、ベース532が横ガイドレール534,534に沿ってX軸方向に水平移動し、これに伴って、第二カセット載置台52(縦フレーム522)がX軸方向に水平移動する。
【0033】
以上の構成により、第二カセット載置台52を受渡位置P0(
図3)と、第二カセット退避位置P2(
図3)と、に位置付ける第二位置付け手段520が構成される。
図2(B)に示すように、第二位置付け手段520は、モータ528,538が制御手段600で制御されることで動作制御される。
【0034】
次に、カセット載置台の動作について説明する。
図3及び
図4に示すように、第一カセット載置台51は、第一カセット退避位置P1と、受渡位置P0の間で移動する。
第一カセット退避位置P1では、第一カセットK1の搬入/搬出が行われる。
受渡位置P0では、第一カセットK1に収容された被加工物の搬入/搬出が行なわれる。
【0035】
図5に示すように、被加工物を保持するフレームFは、第一カセットK1内に復数段形成される収容棚Ktに載置される。受渡位置P0においては、第一カセットK1の収容棚Ktの各段の高さを随時搬出入手段20のクランプ部22の高さに合わせるように、第一カセット載置台51が上下移動する制御がされる。
【0036】
同様に、
図3及び
図4に示すように、第二カセット載置台52は、第二カセット退避位置P2と、受渡位置P0の間で移動する。
第二カセット退避位置P2では、第二カセットK2の搬入/搬出が行われる。
受渡位置P0では、第二カセットK2に収容された被加工物の搬入/搬出が行なわれる。
【0037】
図5に示すように、第二カセットK2においても同様に、第二カセットK2の収容棚Ktの各段の高さを随時搬出入手段20のクランプ部22の高さに合わせるように、第二カセット載置台52が上下移動する制御がされる。
【0038】
図2(A)(B)に示すように、第一カセット載置台51、第二カセット載置台52は、それぞれ、第一位置付け手段510、第二位置付け手段520を制御する制御手段600によって受渡位置P0での昇降、及び、受渡位置P0と退避位置P1,P2の間での移動が制御され、第一カセット載置台51、第二カセット載置台52が連携して動作するように制御される。
【0039】
さらに、制御手段600は、第一カセットK1から搬出された被加工物については第一カセットK1に搬入され、第二カセットK2から搬出された被加工物については第二カセットK2に搬入されるように制御を行うようにしている。このようにして、各カセットから搬出された被加工物は、もとのカセットに搬入される(戻される)ようになっている。
【0040】
以上の構成による一連の動作について一例を説明する。各動作のタイミングは、
図6に示すタイムチャートも合わせて参照される。
【0041】
図3に示すように、自動搬送装置J1により、第一カセットK1が第一カセット載置台51に搬入される。この搬入の際には、第一カセット載置台51が第一カセット退避位置P1に位置付けられる。第一カセット載置台51には、カセットの有無を検出するセンサが設けられており、自動搬送装置J1はセンサにより検出される情報に基づいて第一カセット載置台51へのカセットの搬入を行う。
【0042】
また、同様に、
図3に示すように、自動搬送装置J2により、第二カセットK2が第二カセット載置台52に搬入される。この搬入の際には、第二カセット載置台52が第二カセット退避位置P2に位置付けられる。第二カセット載置台52には、カセットの有無を検出するセンサが設けられており、自動搬送装置はセンサにより検出される情報に基づいて第二カセット載置台52へのカセットの搬入を行う。
【0043】
なお、第二カセット載置台52への第二カセットK2の搬入は、第一カセット載置台51への第一カセットK1の搬入と同時である必要はなく、第一カセットK1の最後の被加工物の加工が開始されるまでの間であれば、特に限定されるものではない。つまり、
図6に示すタイムチャートにおいて、時間T0が経過する前(時間T1の前)であればよい。
【0044】
また、各カセット載置台51,52への各カセットK1,K2の搬入は、自動搬送装置J1,J2によって行われることとする他、作業者による手作業よって行われるものであってもよい。また、後述するカセット載置台51,52からのカセットK1,K2の搬出についても、自動搬送装置J1,J2によって行われることとする他、作業者による手作業よって行われるものであってよい。なお、自動搬送装置J1,J2は、例えば、天井に吊り下げたレールに沿ってカセットを吊り下げて搬送する吊り下げ式の搬送装置などにて構成することができる。
【0045】
次いで、
図3及び
図5に示すように、第一カセット載置台51が下降して受渡位置P0に位置付けられるとともに、未加工の被加工物(フレームF)が収容される収容棚Ktの位置が検出され、収容棚Ktの高さが搬出入手段20の高さに一致するように第一カセット載置台51が昇降する(
図5)。そして、一枚目の未加工の被加工物(フレームF)が搬出入手段20により搬出されてガイドレール7(
図1)上に仮置された後(
図6;S1)、第一搬送手段23(
図1)により保持手段へと搬送されて切削加工がされる(
図6;S2)。
【0046】
一枚目の被加工物が切削加工されている間に(
図6:S2)、第一カセット載置台51が昇降し、二枚目の未加工の被加工物(フレームF)が搬出入手段20により搬出されて、ガイドレール7(
図1)上に仮置された後(
図6;S3)、先の被加工物(一枚目)の切削加工が完了するまで第一搬送手段23(
図1)に保持されて待機する(
図6;S4)。
【0047】
一枚目の被加工物の切削加工が終了すると、一枚目の被加工物は第二搬送手段32(
図1)により洗浄手段70に搬送され(
図6;S5)、洗浄手段70により洗浄される(
図6;S6)。
【0048】
この際、二枚目の未加工の被加工物は、第一搬送手段23(
図1)により保持手段へと搬送されて(
図6;S7)、切削加工がされる(
図6;S2)。
【0049】
さらに並行して、第一カセット載置台51が昇降し、三枚目の未加工の被加工物(フレームF)が搬出入手段20により搬出されてガイドレール7(
図1)上に仮置され(
図6;S3)、先の被加工物(二枚目)の切削加工が完了するまで第一搬送手段23(
図1)に保持されて仮置エリアMで待機する(
図6;S4)。
【0050】
洗浄手段70より洗浄がされた一枚目の被加工物は、第一搬送手段23(
図1)により第一カセットK1の空いている収容棚Kt(
図5)へと搬入される(
図6;S8)。このようにして、第一カセットK1の一枚目の被加工物についての一連の工程が完了する。
【0051】
二枚目、三枚目の被加工物についても、同様に切削加工がなされ、最後の被加工物の加工が開始されると、
図3に示すように、第一カセット載置台51が上昇して第一カセット退避位置P1へと移動する(
図6:時間T1)。
【0052】
これと同時に、
図4に示すように、第二カセット載置台52が受渡位置P0に移動し、未加工の被加工物(フレームF)が収容される収容棚Kt(
図5)の位置が検出され、収容棚Kt(
図5)の高さが搬出入手段20の高さに一致するように第二カセット載置台52が上下方向に移動する。そして、第二カセットK2の一枚目の未加工の被加工物(フレームF)が搬出入手段20により搬出された後、先の被加工物(第一カセットK1の最後)の切削加工が完了するまで第一搬送手段23(
図1)に保持されて待機する(
図6;S9)。
【0053】
第二カセットK2から一枚目の被加工物が搬出されると、
図3に示すように、第二カセット載置台52が再び第二カセット退避位置P2に移動するととともに、第一カセット載置台51が下降して受渡位置P0に戻り、第一カセットK1の空いている収容棚Ktの高さが搬出入手段20に合わせられ(
図5)、加工が終了し洗浄が終わった最後の被加工物が第一カセットK1内へと搬入される(
図6:時間T2)。
【0054】
この段階で第一カセットK1のすべての被加工物についての切削加工、搬入が完了した状態となり、再び
図4に示すように、第一カセット載置台51は第一カセット退避位置P1へ移動して、自動搬送装置J1によって、第一カセットK1が搬出され、
図6の時間T3に示すように新たなカセットK3が適宜搬入される。
【0055】
また、同時に、
図4に示すように、第二カセット載置台52が受渡位置P0へと移動し(
図6:時間T3)、第二カセットK2の二枚目の被加工物が搬出され、その後は上述したものと同様の工程が繰り返される。
【0056】
そして、最後の被加工物の加工が開始された後は、上述した
図6の時間T1,T2(切替タイミング)での動作と同様の内容が実施される。即ち、
図3に示すように、第二カセット載置台52は第二カセット退避位置P2へと移動するとともに、第一カセット載置台51が下降して、新たに搬入されたカセットの一枚目の被加工物が搬出される。
【0057】
次いで、
図4に示すように、第一カセット載置台51は再び上昇して第一カセット退避位置P1に戻されるとともに、第二カセット載置台52が受渡位置P0へと戻され、洗浄が終わった最後の被加工物が第二カセットK2内へと搬入される。
【0058】
この段階で第二カセットK2のすべての被加工物についての切削加工、搬入が完了した状態となり、
図3に示すように、第二カセット載置台52は第二カセット退避位置P2へ移動して、自動搬送装置J2によって、第二カセットK2が搬出され、また別のカセットK4が適宜搬入される。
【0059】
また、同時に、
図3に示すように、第一カセット載置台51が受渡位置P0へと移動し、第一カセットK1の二枚目の被加工物が搬出され、その後は上述したものと同様の工程が繰り返される。
【0060】
以上のようにして、カセットK1から次のカセットK2への切替タイミングにおいても、予め次のカセットK2の最初の被加工物の加工を開始することが可能となり、切削加工が途切れる時間が圧縮されることで、カセット切替タイミングでのダウンタイムが大幅に削減され、装置全体の加工スループット(生産性)を向上させることができる。
【0061】
次に、カセット載置台の衝突防止のための構成について説明する。
図3に示すように、第一カセット載置台51が受渡位置P0にある状態で、第二カセット載置台52が第二カセット退避位置P2から受渡位置P0に移動すると、カセット載置台51,52同士が衝突し、カセットK1,K2内の高価な被加工物が損傷し、損害が発生してしまうことになる。
【0062】
このことを回避するために、第一カセット載置台51、及び、第二カセット載置台52には、互いに対向して当接可能な当接部51d,52dが設けられ、第一カセット載置台51が受渡位置P0にある場合に、第二カセット載置台52が第二カセット退避位置P2から受渡位置P0に進入した際に、当接部51d,52d同士が当接することで、カセットK1,K2同士の直接の衝突が防止される構成としている。
【0063】
本実施例では、当接部51d,52dは、各カセット載置台51,52に立設される棒状の板部材にて構成され、上下方向(Z軸方向)に有効な幅を設けることで、第一カセット載置台51が受渡位置P0で移動する範囲のいずれの位置においても、当接部51d,52d同士が確実に当接できるように構成される。
【0064】
以上のように、当接部51d,52dを設けることで、カセット載置台51,52同士を物理的に衝突させることで、カセットK1,K2同士の直接的な衝突を回避することができ、被加工物の損傷を防止できる。
【0065】
さらに、第一カセット載置台51、及び、第二カセット載置台52の少なくとも一方には、両者が水平方向において、規定の距離よりも近づいたことを検知するための検知手段52sと、検知手段52sによる検知に基づいて、第二カセット載置台52の水平方向の移動を停止させるための制御手段600(
図2(B))と、を設けることとしている。
【0066】
検知手段52sは、例えば、当接部52dに設けられる近接センサとし、当接部51dに接近したことを検知して制御手段(
図2(B))に出力する構成にて実現することができる。制御手段は、
図2(B)に示されるボールネジ536を駆動するモータを制御するものであり、このモータを停止することで、第二カセット載置台52(ベース532)の移動を停止させるものである。
【0067】
このように、検知手段52sによって両カセット載置台51,52が近接したことを検知することで、当接部51d,52d同士が衝突する前に、第二カセット載置台52の移動を停止することが可能となり、カセット載置台51,52に関する機構の損傷や故障を防ぐことが可能となる。また、カセット載置台51,52同士の衝撃がカセットK1,K2に伝わり、カセットK1,K2内の高価な被加工物が損傷し、損害が発生してしまうことも防止できる。
【0068】
以上のようにして本願発明を実施することができる。
即ち、
図1乃至
図4に示すように、
被加工物としての半導体ウェーハを保持する保持手段5と、保持手段5で保持された被加工物に切削加工を施す切削ブレードなどの加工手段と、を備えた加工装置であって、
被加工物を複数収容可能な第一カセットK1が載置される第一カセット載置台51と、
被加工物を複数収容可能な第二カセットK2が載置される第二カセット載置台52と、
第一カセット載置台51を受渡位置P0と、第一カセット退避位置P1と、に位置付ける第一位置付け手段510と、
第二カセット載置台52を受渡位置P0と、第二カセット退避位置P2と、に位置付ける第二位置付け手段520と、
受渡位置P0と保持手段5の間で被加工物を搬送する搬出入手段20と、を備え、
受渡位置P0と第一カセット退避位置P1は、Z方向に隣接して配置され、
受渡位置P0と第二カセット退避位置P2は、Z方向に直交するX方向に隣接して配置される、加工装置とするものである。
【0069】
以上の構成により、第一カセットK1に収容された最終の被加工物を加工している最中でも第二カセットK2から被加工物を搬出して仮置エリアMで待機させることができ、第一カセットに収容されていた最終の被加工物の加工終了後、直ちに第二カセットの最初の被加工物を仮置エリアMから保持手段に搬送することができる。加工が途切れる時間が圧縮されることで、カセット切替タイミングでのダウンタイムが大幅に削減され、装置全体の加工スループット(生産性)を向上させることができる。
【0070】
図2(A)(B)、及び、
図3に示すように、
加工装置は、
少なくとも第一位置付け手段510と、第二位置付け手段520と、を制御する制御手段600を備え、
制御手段600は、
加工手段で加工が施された被加工物が、第一カセットK1と第二カセットK2とのうち収容されていたカセットに搬入されるように、
第一カセット載置台51と第二カセット載置台52とをそれぞれ受渡位置P0に位置付けるように、第一位置付け手段510と第二位置付け手段520を制御する、こととするものである。
【0071】
これにより、このようにして、各カセットから搬出された被加工物は、もとのカセットに搬入される(戻される)ことができる。
【符号の説明】
【0072】
20 搬出入手段
23 第一搬送手段
32 第二搬送手段
51 第一カセット載置台
51a 載置面
51d 当接部
52 第二カセット載置台
52a 載置面
52d 当接部
52s 検知手段
55 保持手段
70 洗浄手段
510 第一位置付け手段
512 縦フレーム
514 縦ガイドレール
516 ボールネジ
518 モータ
520 第二位置付け手段手段
522 縦フレーム
524縦ガイドレール
526 ボールネジ
528 モータ
531 横フレーム
532 ベース
534 横ガイドレール
536 ボールネジ
538 モータ
600 制御手段
F フレーム
K1 第一カセット
K2 第二カセット
Kt 収容棚
P0 受渡位置
P1 第一カセット退避位置
P2 第二カセット退避位置
T テープ
W ウェーハ