(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】新規なヨーグルト
(51)【国際特許分類】
A23C 9/12 20060101AFI20240116BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20240116BHJP
A23C 9/123 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A23C9/12
A23C9/13
A23C9/123
(21)【出願番号】P 2019219291
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武本 篤寛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 南羽
(72)【発明者】
【氏名】市川 一幸
(72)【発明者】
【氏名】谷口 康晴
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】浅田 耕平
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-053977(JP,A)
【文献】特開2017-176141(JP,A)
【文献】特開2017-169477(JP,A)
【文献】全く新しい2層の新食感!日本一になったおいしさ「ミルコロエイジングヨーグルト」,ippin[online],2018年11月10日,[令和5年8月18日検索],インターネット<URL:https://ippin.gnavi.co.jp/article-15513/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層を備えるヨーグルトであって、前記ヨーグルトは、上面から底面方向に10mm厚の上面層のメジアン径および累積分布90%の粒子径が5~200μmの範囲であり、底面から上面方向に10mm厚の底面層の累積分布90%の粒子径が200~1000μmの範囲であ
り、
総タンパク質量が前記ヨーグルトの全重量基準で10重量%以上であり、
総タンパク質に占めるMPホエイの割合が60重量%以上であることを特徴とする前記ヨーグルト。
【請求項2】
2層を備えるヨーグルトであって、前記ヨーグルトは、上面から底面方向に10mm厚の上面層のメジアン径および累積分布90%の粒子径が5~200μmの範囲であり、底面から上面方向に10mm厚の底面層の累積分布90%の粒子径が200~1000μmの範囲であり、
総タンパク質に占めるMPホエイの割合が60重量%以上であり、
総タンパク質に対するカルシウムの重量%比が0.0130~0.0160であることを特徴とする前記ヨーグルト。
【請求項3】
2層を備えるヨーグルトであって、前記ヨーグルトは、上面から底面方向に10mm厚の上面層のメジアン径および累積分布90%の粒子径が5~200μmの範囲であり、底面から上面方向に10mm厚の底面層の累積分布90%の粒子径が200~1000μmの範囲であり、
総タンパク質に占めるMPホエイの割合が60重量%以上であり、
カルシウム含量が前記ヨーグルトの全重量基準で160mg/100g~200mg/100gであることを特徴とする前記ヨーグルト。
【請求項4】
2層を備えるヨーグルトであって、前記ヨーグルトは、上面から底面方向に10mm厚の上面層のメジアン径および累積分布90%の粒子径が5~200μmの範囲であり、底面から上面方向に10mm厚の底面層の累積分布90%の粒子径が200~1000μmの範囲であり、
総タンパク質量が前記ヨーグルトの全重量基準で10重量%以上であり、
総タンパク質に占めるMPホエイの割合が60重量%以上であり、
カルシウム含量が前記ヨーグルトの全重量基準で160mg/100g~200mg/100gであることを特徴とする前記ヨーグルト。
【請求項5】
2層を備えるヨーグルトであって、前記ヨーグルトは、上面から底面方向に10mm厚の上面層のメジアン径および累積分布90%の粒子径が5~200μmの範囲であり、底面から上面方向に10mm厚の底面層の累積分布90%の粒子径が200~1000μmの範囲であり、
総タンパク質量が前記ヨーグルトの全重量基準で10重量%以上であり、
総タンパク質に占めるMPホエイの割合が60重量%以上であり、
総タンパク質に対するカルシウムの重量%比が0.0130~0.0160であることを特徴とする前記ヨーグルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なヨーグルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ヨーグルトは、風味や健康への有用性から広く食されている。品質の改善、あるいは従来品との差別化を図るため、これまでに様々なタイプのヨーグルト、及びその製造方法等に関する発明が提案、開示されている。
文献1は、ヨーグルト本来の健康増進効果や栄養価のほかに、食品の嗜好性にも重点をおいた、良好な風味や食感を有し、食べごたえがあり、満足感の得られるバランスのよい発酵乳の提供を課題とし、その解決手段として大麦やナッツ等を加えた発酵乳を開示している。
文献2は発酵乳の上層にフルーツソースを積層することを課題とし、その解決手段として発酵乳上層にゼリー層を形成させる方法を開示している。
文献3は従来の高タンパク質発酵乳の製造方法では、膜分離処理装置や遠心分離処理装置等の製造設備が必要となり、製造費が高くなり、発酵乳の価格も高価となることを課題として、その解決手段として脱脂粉乳、WPC(Whey Protein Concentrate)、WPI(Whey Protein Isolate)、MPC(Milk Protein Concentrate)等を一定の割合で配合した高タンパク質発酵乳を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-185080号公報
【文献】特開2013-13339号公報
【文献】国際公開第2017/029802号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献1、2に開示された発酵乳はそれぞれ特有の食感を有するものであるものの、2種以上の材料を用意しなければならないことから、材料の品質管理や製造工程が煩雑になるという課題があった。また文献3においては、成分調整が複雑であるという課題もあった。
また、発酵乳市場は慢性的な飽和状態にあり、従来にないヨーグルトの上市が必要とされている。
以上より、製造工程等が煩雑でなくかつ新規なヨーグルトが求められていた。
【0005】
本発明の課題は、上層と下層で物性の異なるという従来にない特徴を有するヨーグルト及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明には以下の構成が含まれる。
[1]2層を備えるヨーグルトであって、前記ヨーグルトは、
上面から底面方向に10mm厚の上面層のメジアン径および累積分布90%が5~200μmの範囲であり、底面から上面方向に10mm厚の底面層の累積分布90%の粒子径が200~1000μmの範囲であるヨーグルト。
[2]カルシウム含量が前記ヨーグルトの全重量基準で160mg/100g~200mg/100gである[1]に記載のヨーグルト。
[3]タンパク質量が前記ヨーグルトの全重量基準で10重量%以上であり、かつ総タンパク質に占めるMPホエイの割合が60重量%以上である[1]又は[2]に記載のヨーグルト。
[4]総タンパク質に占めるMPホエイの割合が60重量%以上であり、かつ総タンパク質に対するカルシウムの重量%比が0.0130~0.0160である[1]~[3]のいずれか1つに記載のヨーグルト。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上層と下層で物性の異なるという従来にない特徴を有するヨーグルトを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は試料の上層と下層における粒子径分布を示す図である。採取箇所を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係るヨーグルト(発酵乳)について以下に詳細に説明する。
【0010】
(ヨーグルト)
「発酵乳」とは、牛乳等の獣乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母のうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせにより発酵させたものである。発酵乳を性状と製法により分類すると1)静置型発酵乳、2)攪拌型発酵乳、3)液状発酵乳に分けられる。
1)静置型発酵乳は、ハードタイプの発酵乳と称され、小売容器に充填して発酵させたプリン状の組織を有するものであり、例えば以下のように製造される。まず、乳、乳製品、ショ糖、安定剤等の原材料を混合・溶解して調製した発酵ミックスを均質化、殺菌、冷却した後、乳酸菌スターターを接種し、容器に充填して密封してから培養室や発酵トンネル内で発酵させ、適度な酸度になった時点で直ちに5℃に冷却して発酵を終了させ、最終製品とする。
2)攪拌型発酵乳は、ソフトタイプの発酵乳とも称され、発酵ミックスに乳酸菌スターターを添加し、タンクで発酵させ発酵ベースを作る。発酵後、カードを破砕して容器に充填して、必要に応じフルーツソース等を混合して最終製品とする。
3)液状発酵乳は発酵ミックスを攪拌型発酵乳と同様の方法で発酵させ、カードを破砕後に均質化して液状にした発酵乳を必要に応じフルーツソース等を混合して最終製品とする。本明細書においては、上記のものを総称して発酵乳と称するが、なかでも静置型発酵乳が好ましい。
【0011】
発酵乳の原料となる乳および乳製品は、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)の「乳」および「乳製品」に該当するものである。すなわち、「乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいい、「乳製品」とは、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0重量%以上を含むものに限る。)及び乳飲料をいう。
【0012】
実施形態に係るヨーグルトは、上層と下層で異なる物性を有するという特徴を有する。ここで、「上層と下層で異なる物性を有する」とは、容器に充填したヨーグルトの上部表面から底部に向かって10mmの部分を採取したヨーグルトのメジアン径および累積分布90%がそれぞれ5~200μmの範囲であり、容器に充填したヨーグルトの底部から上部表面に向かって10mmの部分を採取したヨーグルトの累積分布90%の粒子径が200~1000μmであるものをいう。
ヨーグルトのカルシウム量は、160mg/100g以上であればよく、180~190mg/100gがより好ましく、200mg/100gが最も好ましい。
ヨーグルトのタンパク質量は、ヨーグルトの全重量基準で、10%重量以上であればよく、10~12重量%がより好ましく、13重量%が最も好ましい。また、本発明のヨーグルトは、カゼインを3重量%以上含むものであるが、カゼインは3~5重量%がより好ましく、4~5重量%が最も好ましい。
タンパク質量が、ヨーグルトの全重量基準で10重量%以上が好ましい。
総タンパク質に占めるMPホエイの割合が、60重量%以上であることが好ましい。
総タンパク質に占めるMPホエイの割合が、60重量%以上であることが好ましい。
総タンパク質に対するカルシウムの重量%比が、0.0130~0.0160であることが好ましい。 ヨーグルトは、カードの上層から下層に向かって硬度が高くなる。また、下層はカッテージチーズやリコッタチーズのような食感をもつ。
【0013】
(ヨーグルトの製造方法)
(原材料)
実施形態に係るヨーグルトは、MP(Micro Particulated)ホエイを含有することが好ましい。本発明のヨーグルトに用いるMPホエイは、10~20重量%のWPIの還元溶液にカルシウムを終濃度で0.05重量%以上となるように塩化カルシウム等を添加し、加熱とせん断処理し得られるものである。WPI溶液中のホエイタンパク質の60重量%以上がMPホエイとなるよう加熱とせん断を行うが、本発明のヨーグルトに用いるMPホエイは、体積基準のメジアン径が0.5~10μmとなるものを用いることが好ましい。MPホエイはチーズホエイ等から調製したものを用いてもよい。チーズホエイを使用したMPホエイの調製の一態様を次に記載する。
【0014】
チーズホエイ溶液からクラリファイア等でカゼインの微粒子を除去した後、MF膜等にて脱脂処理後、70℃程度で殺菌し冷却する。これをUF膜で20倍濃縮し、濃縮したホエイとUF膜透過液を用いて、10重量%タンパク質含量程度の濃縮ホエイを調製する。カルシウムの濃度が0.05重量%未満であれば0.05重量%以上となるようにカルシウムを添加する。これを加熱処理とせん断処理に供し、体積基準のメジアン径が0.5~10μmとなるようなMPホエイを得る。上記のチーズホエイにかえて市販素材のWPIやWPC80等を10~20重量%となるように還元しカルシウム濃度を0.05重量%以上となるように調整した溶液を原材料として加熱とせん断処理を行い、MPホエイを調製してもよい。
【0015】
本発明のヨーグルトに用いるカルシウム素材は、食品であればどのようなものでも用いることができ、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム等を例示できるが、このうち塩化カルシウムが好ましい。
本発明のヨーグルトに用いるタンパク質素材は、カゼイン源として生乳、濃縮脱脂乳、脱脂粉乳、MPC等で作製が可能である。
本発明のヨーグルトに用いる乳酸菌は、通常ヨーグルトの製造に用いられているものであればどのようなものであってもよい。
本発明のヨーグルトには、本発明の特徴である上層と下層で異なる物性を有するとの効果を妨げないものであれば、一般的にヨーグルトに用いられている原材料をもちいることができる。
【0016】
本発明のヨーグルトの製造方法の一態様を以下に記載する。
脱脂粉乳およびMPホエイ溶液でタンパク質含量が10重量%以上、カルシウム濃度160mg/100g以上となるように、その他副原料などとともに水に混合し、均質処理、加熱殺菌(90℃10分間)する。加熱殺菌はどの方法でもよいが、チューブラー式やバッチ式殺菌が望ましい。冷却した後、乳酸菌を添加し、30~45℃で発酵させ、ヨーグルトのカードが形成されるpH5以下になった段階で冷却を行う。
【実施例】
【0017】
以下、実施例を挙げて本発明を説明していくが、本発明が実施例に限定解釈されることはない。
[調整例1/比較例1~11]
(1)ミックスの調整
表1に従い、10重量%の還元脱脂粉乳をベースとして、WPI(MPホエイを調製する前の溶液)、MCC(Micellar Casein Concentrate)、を添加し、部分凝集が起こるかどうか検討した。
(2)加熱処理と外観観察
ミックスを90℃達温後10分間加熱処理し、冷却後、外観観察した。「変化なし」、「ゲル化」、「部分凝集」、「完全凝集」の状態に分類した。部分凝集とは、視覚可能な粒状の凝集物がミックス中にみられた状態を指す。完全凝集は、ミックス全体がカッテージチーズ状に凝集し、液状のミックス部分がみられない状態を指す。WPIを添加した水準では、3重量%以上の添加で加熱によりゲル化した。また、MCCを添加した水準では、添加した濃度に関わらず加熱による部分凝集はみられなかった。これらのことから、WPIやMCCでは総タンパク質濃度やカルシウム濃度に関わらず加熱による部分凝集は発生しないことがわかった。
【0018】
【0019】
[調整例2/実施例1~4、比較例12~18]
(1)MPホエイの調製
WPIを10重量%タンパク質濃度となるように水に還元させた。表2に従い、終濃度で0.035重量%~0.211重量%のカルシウムとなるように1Mの塩化カルシウムを添加した。WPI溶液を加熱とせん断処理し、MPホエイ溶液を得た。MPホエイの体積基準のメジアン径および変性度は表2の通りであった。変性度は、MPホエイ溶液を15,000gで遠心分離し、不溶性であるMPホエイを沈殿させ、上清中に残存しているタンパク質濃度を分光光度計で測定し、(全タンパク質-上清タンパク質濃度)/全タンパク質×100で算出した。
(2)ミックスの調整
表3、4に従い、10重量%の還元脱脂粉乳(タンパク質3.6重量%)をベースとして、調製MPホエイを混合させた。例えば、表4の比較例18は表3の実施例2に対して、0.08重量%のカルシウムを上乗せ添加したものである。
(3)加熱処理と外観観察
ミックスを90℃達温後10分間加熱処理し、冷却後、外観観察した。「変化なし」、「ゲル化」、「部分凝集」、「完全凝集」の状態に分類した。
【0020】
【0021】
表2に示したとおり、WPI溶液中のカルシウム濃度によって異なるメジアン径、変性度のMPホエイを調製できた。まず、MP-3を用いてMPホエイの添加量と部分凝集の関連性について検証した。結果を表3に示す。
【0022】
【0023】
3.6%のタンパク質を含む還元脱脂乳にタンパク質濃度として7%以上のMPホエイを添加することで部分凝集が発生することがわかった。比較例12~14のように、全Ca量(重量%)/総タンパク質(重量%)が実施例1、2より高い場合でも部分凝集は発生しなかった。これらのことから、総タンパク質(重量%)あるいはMPホエイ(重量%)/総タンパク質(重量%)が実施例1、2の範囲であることが部分凝集には重要であることが推測される。
続いて、表2に示した調製条件の異なるMPホエイ(MP-1~6)を、3.6%のタンパク質を含む還元脱脂乳にタンパク質濃度として9%添加し、MPホエイの成分(カルシウム含量)、特性(変性度、メジアン径)と部分凝集の発生について検証した。結果を表4に示す。
【0024】
【0025】
結果、MP-2、MP-4を添加した実施例3、4では部分凝集が発生したが、MP-1、MP-5、MP-6を添加した比較例15、16、17では部分凝集が発生せず、ゲル化あるいは完全凝集した。また、比較例18は、実施例2にカルシウムを0.08重量%余剰に添加したものであるが完全凝集した。
この結果から、MPホエイの粒子径や変性度が部分凝集に与える影響は低く、むしろ全カルシウム量(重量%)あるいは全カルシウム量(重量%)/総タンパク質(重量%)が部分凝集に重要であると考えられる。
以上の結果を踏まえると、加熱による部分凝集は、総タンパク質が10重量%以上、総タンパク質に占めるMPホエイの割合が6割以上、総タンパク質に占めるカルシウム量が0.0130~0.0160の場合に発生する。
【0026】
[調整例3]
(1)MPホエイの調製
WPIを10重量%タンパク質濃度となるように水に還元させた。終濃度で0.057重量%のカルシウムとなるように1Mの塩化カルシウム水溶液を添加した。WPI溶液を加熱とせん断処理し、MPホエイ溶液を得た。MPホエイ溶液の体積基準のメジアン径は3.9μmであり、9.5重量%のMPホエイを含む。
(2)ミックスの調整
脱脂粉乳(雪印メグミルク社製)、ホエイ粉、香料等および(1)で調製したMPホエイ溶液を混合し、タンパク質を10重量%、全カルシウム量を160mg/100g以上、総タンパク質に占めるMPホエイの割合を60重量%以上となるようにヨーグルトミックスを調製した。ミックスを150kgw/cm
2の均質圧で均質処理した後、90℃達温後10分間の加熱処理を実施した。冷却後、乳酸菌のバルクスターターを接種し、容器に100g程度充填し、40℃で培養しpH5以下の段階で冷却した。
(3)ヨーグルトの評価
図1は試料の採取箇所を示す概念図である。
図1のハッチ部で示されるヨーグルトの上層Aおよび下層Bを採取し、粒子径分布を測定した。表5、
図2に示すように上層と下層で粒子径が大きく異なっていた。ヨーグルト上層のメジアン径および累積分布90%は5μm~200μmの範囲であり、ヨーグルト下層の累積分布90%の粒子径はは200μm~1000μmの範囲であった。また、上層はなめらかな食感のヨーグルトであり、下層はカッテージ、リコッタのような食べ応えのある濃厚な食感であった。
【0027】