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特許7420625サブマウント、発光装置、および光学モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】サブマウント、発光装置、および光学モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0232 20210101AFI20240116BHJP
   H01S 5/0233 20210101ALI20240116BHJP
   H01S 5/0225 20210101ALI20240116BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20240116BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H01S5/0232
H01S5/0233
H01S5/0225
H01S5/042 612
H01S5/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020061331
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021163790
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨安 高弘
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 栄作
(72)【発明者】
【氏名】大木 泰
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-013002(JP,A)
【文献】特開平08-078657(JP,A)
【文献】国際公開第2019/160039(WO,A1)
【文献】特開2019-029649(JP,A)
【文献】国際公開第2011/065517(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0372208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が実装されるサブマウントであって、
第一方向および当該第一方向と直交した第二方向に延びた第一面を有した、ベースと、
前記第一面上で前記第一方向および前記第二方向に延び、当該第二方向の第一端と、前記第一方向に延びた前記第二方向の反対方向の第二端と、を有した、第一電極と、
前記第一面上で前記第一方向および前記第二方向に延び、前記第一端から前記第二方向に隙間をあけて離間した前記第二方向の反対方向の第三端と、前記第一方向に延びた前記第二方向の第四端と、を有した、第二電極と、
を備え、
前記第二電極、前記第三端と前記第四端との間の前記第二方向の第二幅が所定幅である第一領域と、前記第一方向において当該第一領域とずれて位置し前記第二幅が前記第一領域よりも広い第二領域と、を有し、
前記発光素子が、
前記第一電極上に載置され当該第一電極と電気的に接続される裏面と、
前記裏面とは反対側で前記第二電極と第一導体を介して電気的に接続される表面と、
を有し、
前記第一電極上に、
前記第二端よりも前記第一端の近くで、
前記第一電極のうち前記第一領域に対して前記第二方向の反対方向に離れた部位と、前記第一電極のうち前記第二領域に対して前記第二方向の反対方向に離れた部位と、に渡って、前記第一方向に延びた姿勢で、
実装される、
サブマウント。
【請求項2】
前記第二領域は、前記第一導体とは別の第二導体が実装される被実装領域を含む、請求項1に記載のサブマウント。
【請求項3】
前記第一電極の、前記第一端と前記第二端との間の前記第二方向の第一幅が、前記第一方向の位置によって異なる、請求項1または2に記載のサブマウント。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一つに記載のサブマウントと、
記発光素子と、
を備えた、発光装置。
【請求項5】
前記発光素子は、ヒ化ガリウムまたはリン化インジウムを有した半導体レーザ素子である、請求項に記載の発光装置。
【請求項6】
モジュールベースを有したハウジングと、
前記モジュールベース上に設けられた請求項またはに記載の発光装置としての少なくとも一つの発光装置と、
を備えた、光学モジュール。
【請求項7】
前記発光装置として、前記第二方向に並んだ複数の発光装置を備えた、請求項に記載の光学モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブマウント、発光装置、および光学モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置としての半導体レーザチップと、半導体レーザチップと光学結合される光ファイバとを備えている光学モジュールとしての半導体レーザモジュールが知られている。このような半導体レーザモジュールを製造する場合、例えば以下のような手順で組立が行われる。まず、半導体レーザチップをサブマウントに実装する。このとき、半導体レーザチップを、金-スズ(AuSn)合金などのはんだによりサブマウントに接合実装する(特許文献1)。なお、はんだに換えて導電性接着剤などの他の接合剤を用いてもよい。このような半導体レーザチップを実装したサブマウント(半導体レーザチップ実装サブマウント)は、発光装置の一例であって、チップオンサブマウントとも称される。
【0003】
次に、チップオンサブマウントを、金属製の筐体に、直接的に、または金属製の基台や電子冷却素子等を介して、スズ-ビスマス(SnBi)合金などのはんだにより接合実装する。さらに、筐体に、レンズなどのその他の光学部品を実装し、半導体レーザチップと光ファイバとの光学結合を行う。
【0004】
半導体レーザチップとしては、端面発光型の半導体レーザチップが多く実用されている。端面発光型の半導体レーザチップは、その長手方向における両端面の一方が、レーザ発振波長における反射率が高いHR(high reflection)コーティングが形成された後端面とされている。一方、他の端面は、反射率が低いAR(anti-reflection)コーティングが形成された出射端面とされている。後端面と出射端面とでレーザ共振器を構成しており、発振したレーザ光は主に出射端面から出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5075165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、半導体レーザチップはダイボンディングによってサブマウントに実装される。ダイボンディングにおいては、コレットで半導体レーザチップを真空チャックし、はんだなどの接合剤の融点以上の温度に加熱されたサブマウントに半導体レーザチップを実装する。
【0007】
その後、半導体レーザチップに対して駆動電流を供給するなどのために、半導体レーザチップに対する電気的接触を確保するために、半導体レーザチップとサブマウント上の電極との間に、ボンディングワイヤによる配線が形成される。なお、半導体レーザチップ実装サブマウントが並列して配置される場合は、サブマウント間にボンディングワイヤによる配線が形成される場合がある。
【0008】
一方、近年、半導体レーザチップやサブマウントの小型化が進み、半導体レーザチップの電極上やサブマウントの電極上に、ボンディングワイヤによる配線を接合する領域を確保し難くなっている。
【0009】
また、半導体レーザチップはますます高光出力化が進んでいる。それに伴って、半導体レーザチップが発する熱を、サブマウントへ効果的に放熱することがますます重要になってきている。
【0010】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、電極上に配線をより容易に接合でき、かつ所要の放熱性が得られやすい、サブマウント、発光装置、および光学モジュールを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のサブマウントは、発光装置が実装されるサブマウントであって、第一方向および当該第一方向と直交した第二方向に延びた第一面を有した、ベースと、前記第一面上で前記第一方向および前記第二方向に延び、当該第二方向の第一端と、前記第一方向に延びた前記第二方向の反対方向の第二端と、を有した、第一電極と、前記第一面上で前記第一方向および前記第二方向に延び、前記第一端から前記第二方向に隙間をあけて離間した前記第二方向の反対方向の第三端と、前記第一方向に延びた前記第二方向の第四端と、を有した、第二電極と、を備え、前記第二電極の、前記第三端と前記第四端との間の前記第二方向の第二幅が、前記第一方向の位置によって異なる。
【0012】
前記サブマウントでは、前記第一電極の、前記第一端と前記第二端との間の前記第二方向の第一幅が、前記第一方向の位置によって異なる。
【0013】
本発明の発光装置は、前記サブマウントと、前記第一電極上に載置され当該第一電極と電気的に接続された裏面と、前記裏面とは反対側で前記第二電極と導体を介して電気的に接続された表面と、を有し、前記第二端よりも前記第一端の近くで前記第一方向に延びた発光素子と、を備える。
【0014】
前記発光装置では、前記発光素子は、ヒ化ガリウムまたはリン化インジウムを有した半導体レーザ素子である。
【0015】
本発明の光学モジュールは、ベースを有したハウジングと、前記ベース上に設けられた前記発光装置としての少なくとも一つの発光装置と、を備える。
【0016】
前記光学モジュールは、前記発光装置として、前記第二方向に並んだ複数の発光装置を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電極上に配線をより容易に接合でき、かつ所要の放熱性が得られやすい、サブマウント、発光装置、および光学モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の光学モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、第1実施形態の光学モジュールの例示的かつ模式的な側面図(一部断面図)である。
図3図3は、第1実施形態の光学装置の例示的かつ模式な平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV断面図である。
図5図5は、図3のV-V断面図である。
図6図6は、第2実施形態の光学モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
図7図7は、第3実施形態の光学モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
図8図8は、第4実施形態の光学モジュールの例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0020】
以下に示される実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0021】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表している。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに直交している。X方向は、発光素子および光学装置からのレーザ光の出射方向であるとともに、発光素子の長手方向(共振器の長手方向)である。Y方向は、発光素子の幅方向である。また、Z方向は、サブマウントの厚さ方向(高さ方向)である。
【0022】
[第1実施形態]
[半導体レーザモジュールの構成]
図1は、半導体レーザモジュール100の平面図であり、図2は、半導体レーザモジュール100の側面図(一部断面図)である。半導体レーザモジュール100は、光学モジュールの一例である。
【0023】
半導体レーザモジュール100は、蓋1a(図2参照)とケース1bとを有したハウジング1を備えている。ハウジング1は、例えば、金属材料によって作られうる。なお、図1では、説明の便宜上、蓋1aの図示が省略されている。言い換えると、図1は、半導体レーザモジュール100の蓋1aを取り外した内部構成を示す平面図である。
【0024】
また、半導体レーザモジュール100は、階段形状のモジュールベース2と、複数のサブマウント3と、複数の半導体レーザチップ4とを備えている。モジュールベース2は、熱伝導性の高い例えば銅のような金属材料で作られている。半導体レーザチップ4は、発光素子の一例である。また、モジュールベース2上に実装されたサブマウント3と半導体レーザチップ4とを含むサブアセンブリは、チップオンサブマウント16である。チップオンサブマウント16は、発光装置の一例である。
【0025】
また、半導体レーザモジュール100は、2つのリードピン5を備えている。2つのリードピン5は、各半導体レーザチップ4に、サブマウント3およびボンディングワイヤ18およびボンディングワイヤ17(図3参照)を介して電気的に接続され、各半導体レーザチップ4に電力を供給する。さらに、半導体レーザモジュール100は、6つの第一レンズ6と、6つの第二レンズ7と、6つのミラー8と、第三レンズ9と、光フィルタ10と、第四レンズ11とを備えている。各第一レンズ6、各第二レンズ7、各ミラー8、第三レンズ9、光フィルタ10、および第四レンズ11は、各半導体レーザチップ4が出射するレーザ光の光路上に、光路に沿って順に配置されている。さらに、半導体レーザモジュール100は、第四レンズ11と対向して配置された光ファイバ12を備えている。光ファイバ12のレーザ光が入射される側の一端は、ハウジング1の内部に収容され、支持部材13により支持されている。ボンディングワイヤ17,18は、配線や、導体とも称されうる。
【0026】
各半導体レーザチップ4は、例えばヒ化ガリウム(GaAs)またはリン化インジウム(InP)を主材料として構成されており、その材料や組成に応じた波長のレーザ光を出力する。各半導体レーザチップ4の厚さは例えば0.1mm程度である。各半導体レーザチップ4は、図2に示すように、各サブマウント3に実装され、かつ各サブマウント3は、モジュールベース2に、互いに高さが異なるように実装されている。さらに、各第一レンズ6、各第二レンズ7、各ミラー8は、それぞれ対応する半導体レーザチップ4に対応する高さに配置されている。サブマウント3、当該サブマウント3に実装された半導体レーザチップ4、およびボンディングワイヤ17(図3参照)を備えているサブアセンブリが、半導体レーザチップ実装サブマウントとしてのチップオンサブマウント16である。
【0027】
また、光ファイバ12のハウジング1への挿入部には、ルースチューブ15が設けられ、ルースチューブ15の一部と挿入部を覆うように、ハウジング1の一部にブーツ14が嵌められている。
【0028】
ここで、半導体レーザモジュール100の作動について説明する。各半導体レーザチップ4は、リードピン5を介して供給された電力によって作動し、レーザ光を出力する。各半導体レーザチップ4から出力された各レーザ光は、対応する各第一レンズ6、各第二レンズ7により略コリメートされ、対応する各ミラー8により第三レンズ9に向けて反射される。さらに各レーザ光は、第三レンズ9、第四レンズ11により集光され、光ファイバ12の端面に入射され、光ファイバ12中を伝搬する。なお、光フィルタ10は、バンドパスフィルタであり、外部から光ファイバ12を介して上記レーザ光の波長とは別の波長の光が半導体レーザモジュール100に入力された場合に、当該光が各半導体レーザチップ4に入力することを防止する。
【0029】
半導体レーザモジュール100の組立は、例えば以下の手順で行われる。はじめに、サブマウント3が接合温度である約300℃に加熱され、半導体レーザチップ4が、融点が約280℃のAuSnはんだでサブマウント3に接合され、6つのチップオンサブマウント16が形成される。次に、モジュールベース2が実装されたハウジング1のケース1bが接合温度である約150℃に加熱され、各チップオンサブマウント16が、融点が約140℃のSnBiはんだでモジュールベース2に接合される。その後、半導体レーザモジュール100の他の構成部品がハウジング1に取り付けられる。
【0030】
[チップオンサブマウントの構成]
図3は、チップオンサブマウント16の平面図、図4は、図3のIV-IV断面図、また図5は、図3のV-V断面図である。上述したように、チップオンサブマウント16は、半導体レーザチップ4と、半導体レーザチップ4が実装されるサブマウント3と、ボンディングワイヤ17と、を備えている。
【0031】
図3,4に示されるように、サブマウント3は、基板3aと、上部被覆層3bを備えている。基板3aは、例えば窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al2O3)、べリリア(BeO)、窒化ホウ素(BN)、ダイヤモンド、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、二酸化ケイ素(SiO2)、ジルコニア(ZrO2)の少なくともいずれか一つを含みうる。本実施形態では半導体レーザチップ4はシングルエミッタ型であるが、マルチエミッタ型のレーザバーチップでもよい。半導体レーザチップ4が、レーザバーチップとなる場合、基板3aは、Cuなどの金属としてもよい。本実施形態では、基板3aはAlNからなるものとする。また、基板3aの厚さは例えば0.3~1.0mm程度である。基板3aは、ベースの一例である。
【0032】
図3,4から明らかとなるように、基板3aは、Z方向に比較的薄い扁平な直方体状の形状を有し、言い換えると、四角形状かつ板状の形状を有している。
【0033】
図4に示されるように、基板3aは、表面3a1と、裏面3a2と、側面3a3,3a4と、を有している。表面3a1は、Z方向の端部において、Z方向と交差するとともに直交し、X方向およびY方向に広がっている。裏面3a2は、Z方向の反対方向の端部において、Z方向と交差するとともに直交し、X方向およびY方向に広がっている。表面3a1と裏面3a2とは平行である。また、側面3a3は、Y方向の反対方向の端部において、Y方向と交差するとともに直交し、X方向およびZ方向に広がっている。側面3a4は、Y方向の端部において、Y方向と交差するとともに直交し、X方向およびZ方向に広がっている。表面3a1は、第一面の一例である。
【0034】
図3,4に示される上部被覆層3bは、基板3aの表面3a1上、すなわち半導体レーザチップ4が実装される側の表面3a1上に、形成されている。上部被覆層3bは、例えば、金属多層膜である。上部被覆層3bの厚さは、例えば、1μm以上かつ80μm以下である。
【0035】
上部被覆層3bは、隙間gにより、第一電極3b1および第二電極3b2に分離されている。隙間gは、第一電極3b1および第二電極3b2を電気的に絶縁している。図3のような平面視において、すなわちZ方向の反対方向に見た場合においては、隙間gが設けられていることにより、第一電極3b1と第二電極3b2との間に基板3aの表面3a1が露出している。
【0036】
第一電極3b1は、別のチップオンサブマウント16、例えば、Y方向の反対方向に隣接したチップオンサブマウント16の第二電極3b2と、ボンディングワイヤ18(図1参照、図3には不図示)を介して、電気的に接続される。また、第二電極3b2は、さらに別のチップオンサブマウント16、例えば、Y方向に隣接したチップオンサブマウント16の第一電極3b1と、ボンディングワイヤ18を介して、電気的に接続される。また、第二電極3b2は、半導体レーザチップ4の表面4bと、ボンディングワイヤ17を介して、電気的に接続されている。
【0037】
説明の便宜上、図3では、ボンディングワイヤ17の一部のみが図示されるとともに、図4では、ボンディングワイヤ17の図示が省略されている。複数のボンディングワイヤ17は、X方向に一定の間隔で、X方向に並べられ、第二電極3b2と半導体レーザチップ4の表面4bとを、並列に電気的に接続している。図3に示されるように、複数のボンディングワイヤ17には、比較的長いボンディングワイヤ17と、比較的短いボンディングワイヤ17とが含まれており、これらがX方向に交互に配置されている。図3では、X方向の中間部分において、複数のボンディングワイヤ17の図示が省略されている。
【0038】
半導体レーザチップ4は、第一電極3b1上に、プリコート3cを介して、接合されている。プリコート3cは、例えば、AuSnはんだであり、第一電極3b1と、半導体レーザチップ4の裏面4aとを、電気的に接続している。なお、上部被覆層3bの、プリコート3cと接触する表面には、例えば白金(Pt)からなるバリアメタル層(不図示)が形成されていてもよい。この場合、バリアメタル層により、プリコート3cのAuSnはんだと上部被覆層3bのバリアメタル層よりも下層の金属材料との化学反応を防止することができる。
【0039】
半導体レーザチップ4の裏面4aおよび表面4bには、それぞれ電極が形成されており、半導体レーザチップ4はこれら電極を介してリードピン5から電力を供給される。なお、半導体レーザチップ4がジャンクションダウンで実装される場合には、一般的には表面4b側にn側電極が形成されている。また、半導体レーザチップ4がジャンクションアップで実装される場合には、一般的には表面4b側にp側電極が形成されている。なお、半導体レーザチップ4がジャンクションダウンで実装された方がサブマウント3への放熱性は高い。
【0040】
[第一電極、第二電極、および隙間の形状]
図3に示されるように、本実施形態では、第一電極3b1のY方向の幅d11,d12,d13が、X方向の位置により、それぞれ異なっている。また、第二電極3b2のY方向の幅d21,d22,d23も、X方向の位置により、それぞれ異なっている。また、これにともなって、隙間gが、折れ曲がっている。なお、隙間gのY方向の幅dgは、X方向の位置によらず一定であるが、これには限定されない。幅d11,d12,d13は、第一幅の一例であり、幅d21,d22,d23は、第二幅の一例である。
【0041】
第一電極3b1の幅は、第一電極3b1の第一端3d1と第二端3d2との間の幅である。第一端3d1は、第一電極3b1のY方向の端部であり、隙間gに面している。また、第二端3d2は、第一電極3b1のY方向の反対方向の端部であり、X方向に沿って延びている。なお、図4,5に示されるように、第二端3d2は、側面3a3とZ方向に重なっているが、これには限定されず、側面3a3からY方向にずれて位置されてもよい。
【0042】
第二電極3b2の幅は、第二電極3b2の第三端3d3と第四端3d4との間の幅である。第三端3d3は、第二電極3b2のY方向の反対方向の端部であり、隙間gに面するとともに、隙間gを挟んで第一電極3b1の第一端3d1と面しかつ離間している。また、第四端3d4は、第二電極3b2のY方向の端部であり、X方向に沿って延びている。なお、図4,5に示されるように、第四端3d4は、側面3a4とZ方向に重なっているが、これには限定されず、側面3a4からY方向の反対方向にずれて位置されてもよい。
【0043】
本実施形態では、幅d11よりも幅d13が大きく(広く)、幅d21よりも幅d23が小さい(狭い)。また、幅d12は、X方向に向かうにつれて、幅d11から幅d13にかけて徐々に大きく(広く)なり、幅d22は、X方向に向かうにつれて、幅d21から幅d23にかけて徐々に小さく(狭く)なっている。
【0044】
第二電極3b2と電気的に接続されるボンディングワイヤ18は、幅d22,d23よりも大きい幅d21の被実装領域A、に実装されている。図3に示されるように、ボンディングワイヤ18は、はんだ19を介して第二電極3b2と電気的に接続される。今、仮に、隙間gがX方向に沿って真っすぐに延びるとともに、第二電極3b2の幅が比較的狭い幅d23で一定であった場合、はんだ19が広がりうる領域としての被実装領域Aが狭くなり、ボンディングワイヤ18やはんだ19が、ボンディングワイヤ17と干渉するなどにより、第二電極3b2上に実装され難くなる恐れがある。この点、本実施形態では、幅d21,d22,d23がX方向の位置により異なっており、幅d22,d23よりも大きい幅d21でX方向に延びた被実装領域Aの面積を、比較的大きく設定することができるため、ボンディングワイヤ18を、ボンディングワイヤ17と干渉することなく、第二電極3b2上に接合し易くなる。なお、本実施形態のように隙間gの幅dgがX方向に沿って一定であるか、あるいは幅dgがX方向に沿ってそれほど変化しない場合、第二電極3b2の幅d21,d22,d23のX方向における変化に伴って、第一電極3b1の幅d11,d12,d13もX方向に変化することになる。ここで、基板3a、上部被覆層3b、およびサブマウント3のY方向の幅は、X方向に沿って略一定であるから、第一電極3b1の幅が大きいほど第二電極3b2の幅は小さくなり、第一電極3b1の幅が小さいほど第二電極3b2の幅は大きくなる。
【0045】
しかしながら、第二電極3b2の幅d21が、幅d22,d23よりも大きくなることにより、ボンディングワイヤ18を実装しやすい位置では、図4に示されるように、半導体レーザチップ4と第一端3d1とのY方向の距離が比較的短い。このため、半導体レーザチップ4からプリコート3cおよび第一電極3b1を介してY方向かつZ方向の反対方向に向けて伝達される熱量H(図4中右下向きの細い破線)は、半導体レーザチップ4からプリコート3cおよび第一電極3b1を介してY方向の反対方向かつZ方向の反対方向に向けて伝達される熱量H(図4中左下向きの太い破線)よりも、少なくなる。しかしながら、本実施形態では、上述したように、第二電極3b2のY方向の幅がX方向に沿って変化しており、図5の断面位置では、図4の断面位置よりも半導体レーザチップ4と第一端3d1とのY方向の距離が比較的長い。このため、当該位置では、半導体レーザチップ4からプリコート3cおよび第一電極3b1を介してY方向かつZ方向の反対方向に向けて伝達される熱量H(図5中右下向きの太い破線)は、図4の断面位置よりも大きくなる。また、当該熱量は、半導体レーザチップ4からプリコート3cおよび第一電極3b1を介してY方向の反対方向かつZ方向の反対方向に向けて伝達される熱量H(図5中左下向きの太い破線)と、略同等にすることもできる。
【0046】
なお、第一電極3b1のボンディングワイヤ18(図1参照、図3には不図示)の被実装領域Aは、第二電極3b2の被実装領域AとY方向に並んでいるが、これには限定されない。
【0047】
以上、説明したように、本実施形態では、第二電極3b2のY方向の幅が、X方向の位置によって異なっている。
【0048】
このような構成によれば、第二電極3b2において、幅d22,d23よりも大きい幅d21の部位に、比較的広い被実装領域Aを設定することができる。また、第二電極3b2において、幅d21よりも小さい幅d22,d23の部位、すなわち第一電極3b1において幅d11,d12よりも大きい幅の部位で、半導体レーザチップ4と第一端3d1とのY方向の距離を比較的長くすることができる。したがって、このような構成によれば、サブマウント3の第二電極3b2上にボンディングワイヤ18をより容易に接合でき、かつ所要の放熱性が得られやすい、サブマウント3、当該サブマウント3を有したチップオンサブマウント16、および当該チップオンサブマウント16を備えた半導体レーザモジュール100を、得ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、第一電極3b1のY方向の幅が、X方向の位置によって異なっている。
【0050】
このような構成によれば、第一電極3b1において幅d11,d12よりも大きい幅の部位で、半導体レーザチップ4からの放熱性を確保しやすい。
【0051】
[第2実施形態]
図6は、本実施形態のチップオンサブマウント16Aの平面図である。図6に示されるように、本実施形態では、隙間gが、X方向に対して傾斜して真っすぐ延びている。このため、第一電極3b1の幅d1は、X方向に向かうにつれて徐々に大きく(広く)なり、第二電極3b2の幅d2は、X方向に向かうにつれて徐々に小さく(狭く)なっている。
【0052】
このような実施形態にあっても、第二電極3b2のうち他の部位よりも幅d2が大きい部位に、比較的広い被実装領域Aを設定することができる。また、第一電極3b1のうち他の部位よりも幅d1が大きい部位において、半導体レーザチップ4と第一端3d1とのY方向の距離を比較的長くすることができる。したがって、本実施形態によっても、サブマウント3Aの第二電極3b2上にボンディングワイヤ18をより容易に接合でき、かつ所要の放熱性が得られやすい、サブマウント3A、当該サブマウント3Aを有したチップオンサブマウント16A、および当該チップオンサブマウント16Aを備えた半導体レーザモジュール100を、得ることができる。
【0053】
[第3実施形態]
図7は、本実施形態のチップオンサブマウント16Bの平面図である。第1実施形態では、図3に示されるように、第一電極3b1のX方向(レーザ光の出射方向)の端部の幅d13が、幅d11,d12よりも大きく(広く)、かつ、第二電極3b2のX方向の端部の幅d23が、幅d21,d22よりも小さかった(狭かった)。これに対し、本実施形態では、図7に示されるように、第一電極3b1のX方向の端部の幅d13が、幅d11,d12よりも小さく(狭く)、かつ、第二電極3b2のX方向の端部の幅d23が、幅d21,d22よりも大きい(広い)。
【0054】
このような実施形態にあっても、第二電極3b2のうち、幅d21,d22よりも大きい幅d23の部位に、比較的広い被実装領域Aを設定することができる。また、第一電極3b1の幅が、幅d13よりも大きい幅d11,d12である位置において、半導体レーザチップ4と第一端3d1とのY方向の距離を比較的長くすることができる。したがって、本実施形態によっても、サブマウント3Bの第二電極3b2上にボンディングワイヤ18をより容易に接合でき、かつ所要の放熱性が得られやすい、サブマウント3B、当該サブマウント3Bを有したチップオンサブマウント16B、および当該チップオンサブマウント16Bを備えた半導体レーザモジュール100を、得ることができる。
【0055】
[第4実施形態]
図8は、本実施形態のチップオンサブマウント16Cの平面図である。本実施形態では、第一電極3b1のX方向の中間部の幅d12が、幅d11,d13よりも小さく(狭く)、かつ、第二電極3b2のX方向の中間部の幅d22が、幅d21,d23よりも大きい(広い)。なお、幅d11は、X方向の反対方向に向かうにつれて大きくなり、幅d21は、X方向の反対方向に向かうにつれて小さくなる。幅d12,d22は、X方向の位置によらず一定である。また、幅d13は、X方向に向かうにつれて大きくなり、幅d23は、X方向に向かうにつれて小さくなる。
【0056】
このような実施形態にあっても、第二電極3b2のうち、幅d21,d23よりも大きい幅d22の部位に、比較的広い被実装領域Aを設定することができる。また、第一電極3b1の幅が幅d12よりも大きい幅d11である位置、ならびに第一電極3b1の幅が幅d12よりも大きい幅d13である位置において、半導体レーザチップ4と第一端3d1とのY方向の距離を比較的長くすることができる。したがって、本実施形態によっても、サブマウント3Cの第二電極3b2上にボンディングワイヤ18をより容易に接合でき、かつ所要の放熱性が得られやすい、サブマウント3C、当該サブマウント3Cを有したチップオンサブマウント16C、および当該チップオンサブマウント16Cを備えた半導体レーザモジュール100を、得ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0058】
例えば、本発明のサブマウントおよび光学素子は、上記実施形態に開示されたものとは異なる光学装置や、光モジュールに適用することができる。
【0059】
また、隙間や、第一電極、および第二電極の形状は、種々の形態をとり得る。
【符号の説明】
【0060】
1a…蓋
1b…ケース
1…ハウジング
2…モジュールベース
3,3A,3B,3C…サブマウント
3a…基板(ベース)
3a1…表面(第一面)
3a2…裏面
3a3,3a4…側面
3b…上部被覆層
3b1…第一電極
3b2…第二電極
3c…プリコート
3d1…第一端
3d2…第二端
3d3…第三端
3d4…第四端
4…半導体レーザチップ
4a…裏面
4b…表面
5…リードピン
6…第一レンズ
7…第二レンズ
8…ミラー
9…第三レンズ
10…光フィルタ
11…第四レンズ
12…光ファイバ
13…支持部材
14…ブーツ
15…ルースチューブ
16,16A,16B,16C…チップオンサブマウント
17…ボンディングワイヤ
18…ボンディングワイヤ
19…はんだ
100…半導体レーザモジュール(光学モジュール)
A…被実装領域
d1,d11,d12,d13…幅(第一幅)
d2,d21,d22,d23…幅(第二幅)
dg…幅
g…隙間
H…熱量(熱)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8