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特許7420752パルスプラズマ堆積エッチングのステップカバレッジ改善
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  • 特許-パルスプラズマ堆積エッチングのステップカバレッジ改善 図1
  • 特許-パルスプラズマ堆積エッチングのステップカバレッジ改善 図2A
  • 特許-パルスプラズマ堆積エッチングのステップカバレッジ改善 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】パルスプラズマ堆積エッチングのステップカバレッジ改善
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240116BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240116BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240116BHJP
   H01L 21/314 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 105B
H01L21/205
H01L21/314 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020570099
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019033832
(87)【国際公開番号】W WO2019245702
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】62/687,100
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァツ, ヴィナヤック ヴィア
(72)【発明者】
【氏名】ユイ, ハン
(72)【発明者】
【氏名】パディ, ディーネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】リー, チャンリン
(72)【発明者】
【氏名】アミコ, グレゴリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】カマト, サンジェイ ジー.
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-522913(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0099271(US,A1)
【文献】特開2016-119344(JP,A)
【文献】特表2013-542581(JP,A)
【文献】特開2017-017274(JP,A)
【文献】特表2009-514212(JP,A)
【文献】特開平11-340223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/314
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための方法であって、
第1のパルスRF電力によって形成されたプラズマが、同時にプロセスチャンバ内に存在しながら、第1の前駆体と第2の前駆体とのガス混合物に前記基板を曝露することにより、前記基板の1つ以上のトレンチの露出面上に、窒化ケイ素を含む誘電体層を形成することと、
前記プロセスチャンバ内で窒素とヘリウムとのガス混合物を使用したプラズマ緻密化処理に前記誘電体層を曝露して、処理された誘電体層を形成することと、
前記プロセスチャンバ内で前記処理された誘電体層上にパッシベーション層を形成することと、
フッ素含有前駆体とキャリアガスとのガス混合物から形成されたプラズマであって、5kHzから30kHzの周波数を有する第2のパルスRF電力によって前記プロセスチャンバ内で形成されたプラズマに、前記処理された誘電体層および前記パッシベーション層を曝露することによって、プラズマエッチングプロセスを実行することであって、前記1つ以上のトレンチの底面よりも速い速度で前記1つ以上のトレンチの上部をエッチングするプラズマエッチングプロセスを実行することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記パッシベーション層を形成することは、前記処理された誘電体層をケイ素含有前駆体に曝露することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケイ素含有前駆体が、シランを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理された誘電体層が、ケイ素含有前駆体に曝露されている間、窒素含有ガスに曝露されている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマ緻密化処理の前および/または後に前記プロセスチャンバをパージすることを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記トレンチが、:1から0:1のアスペクト比を有す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基板を処理するための方法であって、
第1のプラズマがプロセスチャンバ内で第1のパルスRF電力によって形成されるプラズマ堆積プロセスによって、前記基板の1つ以上のトレンチの露出面上に、窒化ケイ素を含む誘電体層を形成することと、
窒素とヘリウムとのガス混合物を使用したプラズマ処理によって前記誘電体層を緻密化して、処理された誘電体層を形成することと、
前記処理された誘電体層上で且つ前記1つ以上のトレンチ内にパッシベーション層を形成することと、
第2のプラズマが、フッ素含有ガスとキャリアガスとのガス混合物から形成され、前記第2のプラズマが、第2のパルスRF電力によって前記プロセスチャンバ内で形成される、プラズマエッチングプロセスによって、前記パッシベーション層および前記処理された誘電体層の一部をエッチングすることであって、前記1つ以上のトレンチの上部を、前記1つ以上のトレンチの底面よりも速い速度でエッチングすることと、
を含む方法。
【請求項8】
前記第1および第2のパルスRF電力が、%から0%までの範囲のデューティサイクルおよび0kHzから0kHzまでの範囲の周波数を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のパルスRF電力が、μsから0μsのパルス幅を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記プラズマエッチングプロセスの前記フッ素含有ガスが、NF、F、C、CF、C、またはSFを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記フッ素含有ガスと前記キャリアガスの比が、(フッ素含有ガス):6(キャリアガス)から(フッ素含有ガス):20(キャリアガス)までの範囲にある、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
基板を処理するための方法であって、
第1のプラズマがプロセスチャンバ内で第1のパルスRF電力によって形成されるプラズマ堆積プロセスによって、前記基板のパターニングされたフィーチャ上に、窒化ケイ素を含む誘電体層を形成することと、
前記プロセスチャンバ内で窒素とヘリウムのガス混合物を使用するプラズマ処理によって前記誘電体層を緻密化して、処理された誘電体層を形成することと、
前記処理された誘電体層上に第1のパッシベーション層を形成することと、
前記パターニングされたフィーチャの底部側壁よりも速い速度で前記パターニングされたフィーチャの上面をエッチングするために5kHzから30kHzの周波数で第2のプラズマが第2のパルスRF電力によって前記プロセスチャンバ内で形成されるプラズマエッチングプロセスによって、前記第1のパッシベーション層および前記処理された誘電体層の一部をエッチングして、エッチングされた誘電体層を形成することと、
前記エッチングされた誘電体層上に第2のパッシベーション層を形成することと、
を含む方法。
【請求項13】
前記プラズマ処理における窒素とヘリウムの比が、(窒素):3(ヘリウム)から(窒素):10(ヘリウム)までの範囲にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2のパッシベーション層が、ケイ素層を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマ堆積プロセスは、第1の前駆体および第2の前駆体を前記プロセスチャンバに流入させることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の前駆体は、アンモニアまたは窒素を含む窒素含有前駆体であり、前記第2の前駆体は、シランおよびトリシリルアミン(TSA)を含むケイ素含有前駆体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のプラズマは、フッ素含有ガスおよびキャリアガスのガス混合物から形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記フッ素含有ガスは、NF 、F 、C 、CF 、C 、またはSF を含み、前記キャリアガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、または亜酸化窒素を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、半導体処理の方法に関する。具体的には、本開示の実施形態は、改善されたステップカバレッジのための薄膜のインシトゥ(その場)堆積および処理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]誘電体層は、最新の半導体デバイスの製造におけるバリア層やスペーサなどの用途に使用されてきた。誘電体層は、化学気相堆積(CVD)またはプラズマ化学気相堆積(PECVD)などの堆積プロセスを使用して、垂直相互接続に使用されるトレンチまたはビアなどのフィーチャ上に堆積させることができる。しかし、PECVD技術によって適切なステップカバレッジで高アスペクト比のフィーチャ上に誘電体層を堆積することは困難であった。PECVD技術は、深いトレンチにプラズマが入り込めないので、トレンチの底部よりも上部の周りに、より急速に誘電体層を堆積させる傾向がある。これにより、狭いトレンチが上部からピンチオフされ、トレンチにボイドが形成される。
【0003】
[0003]したがって、ボイドまたはシームを形成することなく、高アスペクト比のトレンチに誘電体層を堆積するための改善された方法を提供することが、当技術分野では必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の実施形態は、改善されたステップカバレッジのための薄膜のインシトゥ(その場)堆積および処理の方法に関する。一実施形態では、基板を処理するための方法が提供される。この方法は、同時にプラズマがプロセスチャンバ内に存在しながら、第1の前駆体と第2の前駆体とのガス混合物に基板を曝露することによって、基板のパターニングされたフィーチャ上に誘電体層を形成することを含み、プラズマは、第1のパルスRF電力によって形成される。この方法は、プロセスチャンバ内で窒素とヘリウムのガス混合物を使用するプラズマ処理に誘電体層を曝露すること、およびフッ素含有前駆体とキャリアガスのガス混合物から形成されるプラズマに誘電体層を曝露することによってプラズマエッチングプロセスを実行することを、さらに含み、プラズマは、第2のパルスRF電力によってプロセスチャンバ内で形成される。
【0005】
[0005]別の実施形態では、基板を処理するための方法は、プラズマ堆積プロセスによって基板のパターニングされたフィーチャ上に誘電体層を形成することを含み、第1のプラズマは、プロセスチャンバ内で第1のパルスRF電力によって形成される。この方法は、プラズマ処理によって誘電体層を緻密化すること、およびプラズマエッチングプロセスによって誘電体層の一部をエッチングすることを、さらに含み、第2のプラズマは、フッ素含有ガスとキャリアガスとのガス混合物から形成され、第2のプラズマは、第2のパルスRF電力によってプロセスチャンバ内で形成される。
【0006】
[0006]別の実施形態では、基板を処理するための方法は、プラズマ堆積プロセスによって基板のパターニングされたフィーチャ上に誘電体層を形成することを含み、第1のプラズマは、プロセスチャンバ内で第1のパルスRF電力によって形成される。この方法は、プロセスチャンバ内で窒素とヘリウムのガス混合物を使用するプラズマ処理によって誘電体層を緻密化することと、誘電体層上に第1のパッシベーション層を形成することと、プラズマエッチングプロセスによって第1のパッシベーション層および誘電体層の一部をエッチングして、エッチングされた誘電体層を形成することとを、さらに含み、第2のプラズマは、第2のパルスRF電力によってプロセスチャンバ内に形成される。この方法は、エッチングされた誘電体層上に第2のパッシベーション層を形成することを、さらに含む。
【0007】
[0007]上で簡単に要約され、以下でより詳細に議論される本開示の実施形態は、添付の図面に示される本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書に記載の実施形態の実施に使用することができる堆積システムの概略断面図を示す。
図2A】本開示の実施形態による、基板上に誘電体層を形成するための方法の流れ図を示す。
図2B】本開示の実施形態による、基板上に誘電体層を形成するための方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0010]理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素は、可能であれば、同一の参照番号を使用して示してある。図は一定の縮尺で描かれておらず、わかりやすくするために簡略化されている場合がある。一つの実施形態の要素および特徴は、さらなる列挙なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが、企図される。
【0010】
[0011]本明細書に記載の実施形態は、任意の適切な薄膜堆積システムを使用して実行することができるPECVDプロセスを参照して以下に説明される。適切なシステムの例には、DXZ(登録商標)処理チャンバを使用できるCENTURA(登録商標)システム、PRECISION5000(登録商標)システム、PRODUCER(登録商標)システム、PRODUCER(登録商標)GT(商標)システム、PRODUCER(登録商標)XP Precision(商標)システム、PRODUCER(登録商標)SE(商標)システム、Sym3(登録商標)処理チャンバ、およびMesa(商標)処理チャンバが含まれ、これらは全て、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から市販されている。PECVDプロセスを実行できる他のツールも、本明細書に記載の実施形態から利益を得るように適合させることができる。さらに、本明細書に記載のPECVDプロセスを可能にする任意のシステムを、有利に使用することができる。本明細書に記載の装置の説明は、例示的なものであり、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0011】
[0012]図1は、本明細書に記載の実施形態による、誘電体層の堆積を実行するために使用することができる基板処理システム132の概略図を示す。基板処理システム132は、ガスパネル130およびコントローラ110に結合されたプロセスチャンバ100を含む。プロセスチャンバ100は、一般に、処理容積部126を画定する上壁124、側壁101、および底壁122を含む。基板支持アセンブリ146が、プロセスチャンバ100の処理容積部126に設けられている。基板支持アセンブリ146は、一般に、ステム160によって支持された、静電チャック150などの基板支持体を含む。静電チャック150は、任意の適切な機構を使用して、プロセスチャンバ100内で垂直方向に移動させることができる。電極170が、静電チャック150に埋め込まれ、電源106が、電極170に結合されている。基板190が、静電チャック150の表面192上に配置されている。
【0012】
[0013]真空ポンプ102が、プロセスチャンバ100の底部に形成されたポートに結合されている。真空ポンプ102は、プロセスチャンバ100内の所望のガス圧を維持するために使用される。真空ポンプ102はまた、処理後ガスおよびプロセスの副生成物をプロセスチャンバ100から排出する。基板処理システム132は、チャンバ圧力を制御するための追加の装置、例えば、チャンバ圧力を制御するためにプロセスチャンバ100と真空ポンプ102との間に配置されたバルブ(例えば、スロットルバルブおよびアイソレーションバルブ)を、さらに含み得る。
【0013】
[0014]複数のアパーチャ128を有するガス分配アセンブリ120が、静電チャック150の上方のプロセスチャンバ100の頂部に配置されている。ガス分配アセンブリ120のアパーチャ128は、プロセスガスをプロセスチャンバ100に導入するために利用される。アパーチャ128は、異なるプロセス要件のための様々なプロセスガスの流れを容易にするために、異なるサイズ、数、分布、形状、設計、および直径を有し得る。ガス分配アセンブリ120は、ガスパネル130に接続されており、これにより、処理中に様々なガスを処理容積部126に供給することができる。プラズマが、ガス分配アセンブリ120を出るプロセスガス混合物から形成されて、プロセスガスの熱分解を促進し、その結果、基板190の表面191上に材料が堆積する。
【0014】
[0015]ガス分配アセンブリ120および静電チャック150は、処理容積部126内に一対の離間した電極を形成することができる。1つ以上のRF電源140が、ガス分配アセンブリ120と静電チャック150との間のプラズマの生成を容易にするために、任意選択であるマッチングネットワーク138を介してガス分配アセンブリ120にバイアス電位を提供する。あるいは、RF電源140およびマッチングネットワーク138は、ガス分配アセンブリ120、静電チャック150に結合されてもよいし、またはガス分配アセンブリ120および静電チャック150の両方に結合されてもよいし、またはプロセスチャンバ100の外部に配置されたアンテナ(図示せず)に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、RF電源140は、350KHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、40MHz、60MHz、または100MHzの周波数で電力を生成することができる。一実施形態では、RF電源140は、約50kHzから約13.6MHzの周波数で約100ワットから約3,000ワットの間を提供することができる。別の実施形態では、RF電源140は、約50kHzから約13.6MHzの周波数で約500ワットから約1,800ワットの間を提供することができる。
【0015】
[0016]コントローラ110は、中央処理装置(CPU)112、メモリ116、およびサポート回路114を含み、プロセスシーケンスを制御し、ガスパネル130からのガス流を調整するために利用される。CPU112は、産業環境で使用され得る任意の形態の汎用コンピュータプロセッサであり得る。ソフトウェアルーチンが、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フロッピー、またはハードディスクドライブ、または他の形態のデジタルストレージなどのメモリ116に格納され得る。サポート回路114は、従来通り、CPU112に結合されており、キャッシュ、クロック回路、入力/出力システム、電源などを含み得る。コントローラ110と基板処理システム132の様々な構成要素との間の双方向通信が、信号バス118と総称される多数の信号ケーブルを介して処理され、そのいくつかが、図1に示されている。
【0016】
[0017]図2Aおよび図2Bは、本開示の実施形態による、基板上に誘電体層を形成するための方法200の流れ図を示す。方法200の全ての工程が、PECVDチャンバなどの同じプロセスチャンバ内で実行され得る。図2に示される工程は、同時に実行されてもよいし、および/または図2に示される順序とは異なる順序で実行されてもよいことも理解されたい。さらに、PECVD技術を使用した誘電体層が、本明細書では論じられているが、本開示の概念は、熱プロセスまたは任意のプラズマプロセスによって堆積される他の層に対しても利用することができる。
【0017】
[0018]方法200は、図1に示されるプロセスチャンバ100などのプロセスチャンバ内に基板を配置することによって、工程202で開始する。基板がプロセスチャンバ100内に配置された後、インシトゥ(その場)堆積処理プロセス203が、プロセスチャンバ100内で実行される。以下でより詳細に論じられるように、インシトゥ(その場)堆積処理プロセス203は、一般に、工程204(膜堆積)、工程206(チャンバパージ)、工程208(プラズマ処理)、および工程210(チャンバパージ)を含む。基板は、その表面全体に少なくとも1つのフィーチャが形成されたパターニングされた基板であり得る。形成されたフィーチャは、例えば、トレンチ、ビア、インターコネクト、またはゲートスタックなどの任意のタイプのフィーチャであり得る。基板は、FinFETデバイスなどの半導体デバイスの中間構造の一部であってもよい。基板は、バルク半導体基板、半導体オンインシュレータ(SOI)基板などであってもよく、これらは、ドープされていても(例えば、p型またはn型ドーパントで)、またはドープされていなくてもよい。基板は、ケイ素(Si)もしくはゲルマニウム(Ge)を含む元素半導体、化合物半導体、合金半導体、またはそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、基板は、基板の表面に形成された複数のトレンチを有する。トレンチは、約2:1から約20:1、例えば、約3:1から約10:1のアスペクト比を有し得る。本開示における「アスペクト比」という用語は、ある特定のフィーチャの幅寸法に対する高さ寸法の比、例えば、トレンチ高さ/トレンチ幅を指す。
【0018】
[0019]工程204において、誘電体層が、プラズマ堆積プロセスを使用して基板上に形成される。一実施形態では、誘電体層は、窒化ケイ素などの窒化物である。誘電体層は、基板の露出面、例えば、基板のトレンチの上面、側壁面、および底面に形成される。誘電体層の堆積は、同時にプロセスチャンバ内にプラズマが存在している状態で、窒素含有前駆体とケイ素含有前駆体のガス混合物に基板を曝露することによって、実行される。ガス混合物は、ガスパネル130からガス分配アセンブリ120を通って処理容積部126に流れ込むことができる。場合によっては、窒素含有前駆体およびケイ素含有前駆体は、別々にプロセスチャンバ内に導入されてもよく、任意の順序であってもよい。用途に応じて、ガス混合物は、任意選択で、ヘリウム、窒素、酸素、亜酸化窒素、アルゴン、または任意の適切な不活性ガスもしくはキャリアガスを含み得る。
【0019】
[0020]適切な窒素含有前駆体には、アンモニア(NH)、窒素(N)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、およびそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。一実施形態では、窒素含有前駆体は、アンモニアである。適切なケイ素含有前駆体は、ケイ素原子に対する酸素原子の比が0から約6である有機ケイ素化合物を含み得る。適切な有機ケイ素化合物は、シロキサン化合物、1つ以上のハロゲン部分(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物)を含むハロゲン化シロキサン化合物、例えば、テトラクロロシラン、ジクロロジエトキシシロキサン、クロロトリエトキシシロキサン、ヘキサクロロジシロキサン、および/またはオクタクロロトリシロキサン、ならびにアミノシラン、例えば、トリシリルアミン(TSA)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、シラトラン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、およびメチルシラトランであり得る。シラン、ハロゲン化シラン、オルガノシラン、およびそれらの任意の組み合わせなどの他のケイ素含有前駆体も使用することができる。シランには、シラン(SiH)ならびに実験式Si(2x+2)の高次シラン、例えば、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)、およびテトラシラン(Si10)、またはポリクロロシランなどの他の高次シランが含まれ得る。他のケイ素含有前駆体、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、メチルジエトキシシラン(MDEOS)、ビス(ターシャリーブチルアミノ)シラン(BTBAS)、トリジメチルアミノシラン(TriDMAS)、トリスジメチルアミノシラン(TrisDMAS)、ジクロロシラン、トリクロロシラン、ジブロモシラン、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、またはそれらの組み合わせも使用することができる。一実施形態では、ケイ素含有前駆体は、シランである。別の実施形態では、ケイ素含有前駆体は、TSAである。
【0020】
[0021]工程204で、ケイ素含有前駆体が、約5sccmから約1000sccmの間の流量でプロセスチャンバ内に導入され得る。窒素含有前駆体が、約5sccmから約1000sccmの間の流量でプロセスチャンバ内に導入され得る。任意選択のキャリアガス、例えばヘリウムが、約100sccmから約20000sccmの間の流量でプロセスチャンバ内に導入されてもよい。ケイ素含有前駆体および窒素含有前駆体が、誘電体層を堆積するために、プロセスチャンバ内に流入されている間、チャンバ圧力は、約5mTorr以上、例えば、約1Torrから約40Torr、例えば、約5Torrから約16Torrに維持され、プロセスチャンバ内の基板支持体の温度は、約125℃から約580℃の間、例えば、約150℃から約400℃であり得る。プラズマ堆積プロセスは、約2秒間~約120秒間、例えば、約6秒間~約30秒間、実行することができ、これは、用途に応じて変わり得る。
【0021】
[0022]プラズマは、13.56MHzおよび/または350KHzの周波数の約50ワットから約250ワットのRF電力で提供され得る。RF電力は、プロセスチャンバ100の1つ以上の電極に供給され得る。例えば、RF電力は、シャワーヘッド、例えば、ガス分配アセンブリ120、および/または基板支持体、例えば、プロセスチャンバ100の静電チャック150に供給され得る。いくつかの実施形態では、RF電力は、プラズマ堆積プロセス中、パルス化されて、トレンチの露出面上の誘電体層の堆積速度を低下させ、それによって、トレンチ内の誘電体層の側壁ステップカバレッジを改善する。RF電力は、約5%から約30%の範囲のデューティサイクルおよび約10kHzから約20kHzの範囲の周波数でパルス化することができる。シャワーヘッドと基板支持体との間の間隔は、約230ミルより大きくてもよく、例えば、約350ミルから約800ミルの間であってもよい。
【0022】
[0023]工程206で、プロセスチャンバ100内へのガス混合物の流れおよびRF電力が停止され、残りのガス混合物(例えば、ケイ素含有前駆体、窒素含有前駆体、および/または追加のガス)が、窒素ガスなどのパージガスをプロセスチャンバ100内に導入することにより、プロセスチャンバ100からパージされる。パージガスは、残留ガス混合物および/または残留副生成物をパージするために選択された時間期間および分圧で、プロセスチャンバ内に導入される。例えば、パージガスは、約100sccmから約20000sccmの間の流量でプロセスチャンバ内に導入され得る。窒素ガスは、約0.1秒間~約60秒間などの時間期間にわたって、チャンバ内に流入させることができる。パージガスがプロセスチャンバ内に流入されている間、チャンバ圧力は、約5mTorrから約10Torrの間であり得、プロセスチャンバ100内の基板支持体の温度は、約125℃から約580℃の間であり得る。
【0023】
[0024]工程208では、プロセスチャンバがパージされた後、プラズマ処理が、プロセスチャンバ100内で実行されて、堆積された誘電体層を処理する。プラズマ処理は、堆積された誘電体層を緻密化し、堆積された誘電体の機械的特性を改善することができる。例えば、堆積された誘電体層の弾性率(ヤング率)または硬度は、プラズマ処理後に増加することができる。処理された誘電体層は、改善された機械的特性により、必要なプロファイルおよび/または共形性を備えたまま、後続のエッチングプロセス中の過酷な環境に耐えることができる。
【0024】
[0025]プラズマ処理は、窒素とヘリウムの処理ガス混合物を、約100sccmから約20000sccmの間の流量でプロセスチャンバ100内に導入することによって実行することができる。窒素とヘリウムの比は、約1(窒素):3(ヘリウム)から約1(窒素):10(ヘリウム)の範囲であり得、例えば約1(窒素):6(ヘリウム)であり得る。窒素ガスが、約100sccmから約2000sccmの間の流量でプロセスチャンバ内に導入されてもよい。処理ガス混合物は、約0.1秒間~約120秒間などの時間期間にわたって、プロセスチャンバ内に流入させることができる。約300ワットから約1200ワットの間のRF電力を、13.56MHzおよび/または350KHzの周波数でプロセスチャンバに印加することによって、プラズマを提供することができる。処理ガス混合物がプロセスチャンバ内に流入されている間、チャンバ圧力は、約4Torrから約12Torrの間であり得、プロセスチャンバ100内の基板支持体の温度は、約125℃から約580℃の間であり得る。
【0025】
[0026]工程210で、プラズマ処理が終了し、プロセスチャンバがパージされて、残留ガス混合物および/または残留副生成物が除去される。プラズマ処理は、RF電力およびプロセスチャンバ内への処理ガス混合物の流れを遮断することによって、終了させることができる。工程210でのパージは、工程206と類似または同一であり得る。
【0026】
[0027]工程212において、プラズマ処理された堆積された誘電体層が目標厚さに達しているかどうかの決定がなされる。堆積/処理された誘電体層は、約5Åから約2000Å、例えば約150Åの目標厚さを有することができ、これは、用途に応じて変わり得る。堆積/処理された誘電体層の目標厚さに達していない場合、堆積/プラズマ処理プロセスのサイクル(例えば、工程204、206、208および210)が、もう一回実行されて、堆積/処理された誘電体層の厚さが、再び目標厚さと比較され得る。堆積/処理された誘電体層が目標厚さに達するまで、インシトゥ(その場)堆積処理プロセス203が繰り返される。
【0027】
[0028]堆積/処理された誘電体層が目標厚さに達すると、インシトゥ(その場)プラズマエッチング/処理プロセス213が、プロセスチャンバ100内で実行される。以下でより詳細に論じられるように、インシトゥ(その場)プラズマエッチング/処理プロセス213は、一般に、工程214(プラズマエッチング)、工程216(チャンバパージ)、工程218(処理)、および工程220(チャンバパージ)を含む。
【0028】
[0029]堆積/処理された誘電体層は、インシトゥ(その場)プラズマエッチング/処理プロセス213の前かつ工程212の後に、任意選択でパッシベーション処理されてもよい。工程211で、誘電体層上にパッシベーション層を形成するための任意選択の処理が、プロセスチャンバ100内で実行される。工程212の後、誘電体層上にパッシベーション層を形成するための処理プロセス(工程211)またはプラズマエッチングプロセス(工程214)のいずれかが実行される。任意選択の処理は、誘電体層をプロセスチャンバ内のケイ素含有前駆体に曝露して、誘電体層上に薄いケイ素層を形成することによって、実行することができる。用途に応じて、誘電体層は、ヘリウム、窒素、酸素、亜酸化窒素、アルゴン、または任意の適切な不活性ガスまたはキャリアガスなどの追加のガスに曝露されてもよい。適切なケイ素含有前駆体は、工程204で使用されたケイ素含有前駆体と類似または同一であってもよい。一実施形態では、ケイ素含有前駆体は、シランである。別の実施形態では、ケイ素含有前駆体は、TSAである。
【0029】
[0030]工程211で、ケイ素含有前駆体が、約5sccmから約1000sccmの間の流量でプロセスチャンバ内に導入され得る。いくつかの実施形態では、窒素含有ガスが、ケイ素含有前駆体と共にプロセスチャンバ内に導入され、窒素含有ガスは、約5sccmから約1000sccmの間の流量でプロセスチャンバ内に導入され得る。任意選択のキャリアガス、例えばヘリウムが、約100sccmから約20000sccmの間の流量でプロセスチャンバ内に導入されてもよい。ケイ素含有前駆体が、ケイ素層を堆積するために、プロセスチャンバ内に流入されている間、チャンバ圧力は、約5mTorr以上、例えば、約1Torrから約40Torr、例えば、約5Torrから約16Torrに維持され、プロセスチャンバ内の基板支持体の温度は、約125℃から約580℃の間、例えば、約150℃から約400℃であり得る。一実施形態では、ケイ素層は、誘電体層上に吸着されたケイ素分子を含む。任意選択の処理は、約1秒間~約60秒間、例えば、約2秒間~約30秒間、実行することができ、これは、用途に応じて変わり得る。この処理は、後続のエッチングプロセスが「ソフトな」エッチングプロセスになるのに役立つ。「ソフトな」エッチングとは、フッ素イオンまたはフッ素含有ラジカルなどのエッチャントが、誘電体層の上のパッシベーション層をアタックしたときに、パッシベーション層が、フッ素イオンまたはフッ素含有ラジカルの影響を低減し、それによって表面エッチングが行われることを指す。パッシベーション層の追加の利点は、エッチングプロファイルに影響を与え、トレンチ内の誘電体層のアスペクト比を改善することもできる。
【0030】
[0031]工程215で、処理プロセスは終了し、プロセスチャンバは、残留ケイ素含有前駆体および他のガスを除去するためにパージされる。処理プロセスは、プロセスチャンバ内へのケイ素含有前駆体の流れを遮断することによって終了させることができる。工程215でのパージは、工程206と類似または同一であり得る。
【0031】
[0032]インシトゥ(その場)プラズマエッチング/処理プロセス213が、工程214で開始し、プラズマエッチングプロセスが、同時にプロセスチャンバ内にプラズマが存在している状態で、エッチャントにケイ素層を曝露することによって、プロセスチャンバ100内で実行される。一実施形態では、工程214は、工程211および215を実行せずに、工程212の後に実行される。プラズマエッチングプロセスは、開口部がピンチオフするのを防ぐように、トレンチの上部のケイ素層および堆積/処理された誘電体層の一部をエッチングすることができる。これは、トレンチの上部でのエッチングガスの反応が、通常、側壁面での反応よりも速く、トレンチのアスペクト比が高いために、トレンチの底面が最も遅いからである。プラズマエッチングプロセスは、トレンチの側壁面および底面の誘電体層よりも速い速度で、トレンチの上部の堆積/処理された誘電体層を除去する。結果として、トレンチの開口部がピンチオフするのが回避され、プラズマエッチングプロセス後に誘電体層の共形のプロファイルを得ることができる。
【0032】
[0033]プラズマエッチングプロセスは、フッ素含有前駆体およびキャリアガスをプロセスチャンバ100内に導入することによって、実施することができる。フッ素含有前駆体およびキャリアガスは、予め混合され、ガス混合物としてプロセスチャンバ100内に導入されてもよい。いくつかの実施形態では、プラズマエッチングプロセスは、ラジカルベースの雰囲気で、すなわち、フッ素含有前駆体およびキャリアガスからのラジカルを使用して、実行することができる。例示的なフッ素含有前駆体には、NF、F、C、CF、C、またはSFなどの適切なハロゲン化合物が含まれ得るが、これらに限定されない。適切なキャリアガスには、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、亜酸化窒素、または任意の適切な不活性ガスまたはキャリアガスが含まれ得る。一実施形態では、NFおよびアルゴンが、プラズマエッチングプロセス中に使用される。別の実施形態では、NFおよびヘリウムが、プラズマエッチングプロセス中に使用される。キャリアガスとしてアルゴンを使用すると、場合によってはヘリウムよりも均一なエッチングプロファイルを提供できることが観察された。フッ素含有前駆体とキャリアガスとの比は、約1(フッ素含有ガス):6(キャリアガス)から約1(フッ素含有前駆体):20(キャリアガス)の範囲であり得、例えば、約1(フッ素含有前駆体):10(キャリアガス)である。一例では、フッ素含有前駆体は、約0から約500sccmの間、例えば、約50sccmから約200sccm、例えば、約100sccmの流量でプロセスチャンバ100内に導入される。アルゴンガスは、約1SLMから約4SLMの流量でプロセスチャンバ100内に導入される。プラズマエッチングプロセスは、約0.1秒間~約120秒間などの時間期間にわたって実行することができ、時間期間は、用途に応じて変わり得る。約100ワットから約500ワットの間、例えば約300ワットのRF電力を、13.56MHzおよび/または350KHzの周波数でプロセスチャンバに印加することによって、プラズマを提供することができる。フッ素含有ガスとアルゴンガスがプロセスチャンバ内に流入されている間、チャンバ圧力は、約1Torrから約40Torrの間、例えば、約2Torrから約10Torrの間であり得、プロセスチャンバ100内の基板支持体の温度は、約125℃から約580℃の間であり得る。
【0033】
[0034]RF電力は、プロセスチャンバ100の1つ以上の電極に供給され得る。例えば、RF電力は、シャワーヘッド、例えば、ガス分配アセンブリ120、および/または基板支持体、例えば、プロセスチャンバ100の静電チャック150に供給され得る。いくつかの実施形態では、RF電力は、プラズマエッチングプロセス中、パルス化されて、トレンチの露出面上の誘電体層のエッチング速度を低下させ、それによって、より制御可能なエッチングプロセスを提供する。RF電力は、約5%から約30%の範囲のデューティサイクル、例えば、約10%のデューティサイクルで、および約5kHzから約30kHzの範囲の周波数、例えば、約10kHzでパルス化することができる。RF電力は、約1μsから約50μsのパルス幅を有することができる。RF電力は、堆積された誘電体層の種々のエッチングプロファイルを得るために、エッチング時間に基づいて調整され得る。以下の表1は、様々なプラズマエッチングプロセス後の、トレンチ内の堆積された誘電体層のエッチングプロファイルの例を示している。堆積された誘電体層をエッチングするために、以下のエッチングおよびプラズマパラメータが使用される。基板温度は、約280℃である。チャンバ圧力は、約2Torrである。フッ素含有ガス(例えば、NF3)の流量は、約100sccmである。キャリアガス(例えば、Ar)の流量は、約1000sccmである。RF電力のパルス幅は、約10μsである。RF電力は、約10%のデューティサイクルおよび約10kHzの周波数でパルス化することができる。
【0034】
【0035】
[0035]見てわかるように、より高いRF電力は、エッチング速度を増加させることができ、より長いエッチング時間は、トレンチの上面に堆積された誘電体層が、上部側壁上の誘電体層よりも速い速度でエッチングされ、底部側壁が最も遅くなることを、もたらすことができる。異なるエッチング時間とRF電力を使用して、トレンチ内の堆積された誘電体層のステップカバレッジを調整できる。しかしながら、より高いRF電力(例えば、300ワット)での、より長いエッチング時間は、誘電体層を完全にエッチングすることができる。
【0036】
[0036]特定のキャリアガス内でRF電力パルスを印加すると、異なるエッチングインキュベーション時間(つまり、エッチング効果が生じるまでの時間)をもたらす可能性があることが観察された。例えば、アルゴンガス内でRF電力パルスを印加すると、約2.1秒のエッチングインキュベーション時間を示した。RFパルスがない場合、アルゴン中の、またはヘリウムなどの他のキャリアガス中のフッ素含有前駆体は、堆積/処理された誘電体層で、すぐにエッチング効果を生じさせる可能性がある。したがって、RF電力のパルスは、エッチングプロファイルを制御するために使用されるキャリアガスに基づいて、調整することができる。例えば、アルゴンがキャリアガスとして使用される場合、RF電力のパルス幅は、約5μsから約12μsであり得、例えば、約10μsであり得る。ヘリウムがキャリアガスとして使用される場合、RF電力のパルス幅は、約15μsから約25μsであり得、例えば、約20μsであり得る。チャンバ圧力は、エッチング効果を高めるために調整することができる。例えば、アルゴンがキャリアガスとして使用される場合、チャンバ圧力は、約2Torrであり得る。ヘリウムがキャリアガスとして使用される場合、約5Torrなどの、より高いチャンバ圧力が使用され得る。
【0037】
[0037]工程216で、プラズマエッチングプロセスが終了し、プロセスチャンバがパージされて、残留エッチングガス混合物および/または残留副生成物が除去される。プラズマエッチングプロセスは、RF電力およびプロセスチャンバ内へのエッチャントの流れを遮断することによって、終了させることができる。工程216でのパージは、工程206と類似または同一であり得る。
【0038】
[0038]工程218で、任意選択の処理が、プロセスチャンバ100内で実行される。工程218は、工程211と類似または同一であり得る。工程214でのプラズマエッチングプロセスの後に実行される処理プロセスは、プラズマエッチング後のエッチングされた誘電体層の表面上の欠陥またはダングリングボンドをパッシベーション処理するという追加の利点を有する。
【0039】
[0039]工程220で、任意選択の処理プロセスが終了し、プロセスチャンバがパージされて、残留ガス混合物および/または残留副生成物が除去される。任意選択の処理プロセスは、プロセスチャンバ内へのケイ素含有前駆体の流れを遮断することによって終了させることができる。工程220でのパージは、工程206と類似または同一であり得る。
【0040】
[0040]インシトゥ(その場)プラズマエッチング/処理プロセス213は、周期的プロセスであってもよく、堆積された誘電体層の所望のプロファイルに達するまで、複数回繰り返されてもよい。
【0041】
[0041]工程222では、処理された堆積された誘電体層が、所望のプロファイルに達しているかどうか、例えば、堆積/処理された直後の誘電体層が、共形であるかどうか、かつ/またはトレンチ内にボイドやシームを形成せずに約95%もしくは99%を超える側壁ステップカバレッジを有するかどうかについて、決定がなされる。所望のプロファイルに達していない場合、インシトゥ(その場)プラズマエッチング/処理プロセス213のサイクルをもう一回実行することができる(例えば、経路224)。いくつかの実施形態では、インシトゥ(その場)堆積/処理プロセス203(例えば、工程204、206、208および210)、工程211および215、ならびにインシトゥ(その場)エッチング/処理プロセス213(例えば、工程214、216、218および220)が実行され(例えば、経路225)、目標の厚さおよびプロファイルの両方に達するまで、複数回繰り返されてもよい。インシトゥ(その場)堆積/処理プロセス203およびインシトゥ(その場)エッチング/処理プロセス213は、所望の膜厚が得られるまで、複数回繰り返すことができ、例えば、約2回から約6回の繰り返し、例えば4回の繰り返しが実行されてもよい。
【0042】
[0042]工程226では、堆積/処理された誘電体層が、目標の厚さおよびプロファイルに達すると、反応性ガスまたはガス混合物が止められて、任意選択でプロセスチャンバ100からパージされる。次に、プロセスチャンバ100は、(例えば、真空ポンプ102を使用して)ポンプダウンされ、基板は、さらなる処理のためにプロセスチャンバ100から移送される。
【0043】
[0043]要約すると、本開示の利点のいくつかは、改善されたステップカバレッジのための、誘電体層(例えば、窒化物)のインシトゥ(その場)堆積、処理、およびエッチングのための方法を提供する。パルスプラズマを使用して、堆積およびエッチング中に制御可能なプラズマを形成し、側壁膜または下にある層を損傷することなく側壁ステップカバレッジを向上させた誘電体層の堆積およびエッチングを可能にする。また、インシトゥ(その場)プロセスにより、所有コスト(cost of ownership)が最小限に抑えられ、ファブスペースが削減され、スループットが向上する。
【0044】
[0044]上記は、本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他のさらなる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されることができる。
図1
図2A
図2B