(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】金属酸化物膜を除去するための温度制御システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H01L21/302 104Z
(21)【出願番号】P 2020570979
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(86)【国際出願番号】 US2019037248
(87)【国際公開番号】W WO2019245909
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-03
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンガル・アクヒル・エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】バン クリームプト・パトリック・エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハ・ジョン・セオク
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-342984(JP,A)
【文献】特開平10-081600(JP,A)
【文献】特開平05-206072(JP,A)
【文献】特開平01-298164(JP,A)
【文献】特開2000-261042(JP,A)
【文献】特表2010-521062(JP,A)
【文献】特開2000-038673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/50
C23F 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理方法であって、
処理チャンバの基板支持体の上に、表面に堆積した金属酸化物膜を有する基板を載せる工程と、
あらかじめ定められた温度に基づいて、前記基板支持体を通る冷媒流路に提供される冷媒の温度を制御する工程であって、前記あらかじめ定められた温度は50℃より低い、工程と、
前記あらかじめ定められた温度に基づいて前記冷媒の前記温度を制御しながら、前記金属酸化物膜を選択的にエッチングする工程であって、
前記処理チャンバに水素分子を流す工程と、
前記処理チャンバ内でプラズマを発生させる工程と、を含む工程と、
を含む、処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の処理方法であって、
前記金属酸化物膜は、酸化スズ膜である、処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の処理方法であって、
前記あらかじめ定められた温度は、前記基板上の前記金属酸化物膜の堆積中の前記冷媒の温度より低い、処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の処理方法であって、
前記あらかじめ定められた温度は、30℃以下である、処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の処理方法であって、
前記あらかじめ定められた温度は、25℃以下である、処理方法。
【請求項6】
請求項1に記載の処理方法であって、
前記処理チャンバは、空間内に設置され、
前記あらかじめ定められた温度は、前記空間内の温度より低い、処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の処理方法であって、
前記金属酸化物膜を選択的にエッチングする工程は、さらに、前記処理チャンバからガスを排出する工程を含む、処理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の処理方法であって、
前記処理チャンバに水素分子を流す工程は、前記処理チャンバに水素分子のみを流す工程を含む、処理方法。
【請求項9】
処理方法であって、
あらかじめ定められた温度に基づいて、
処理チャンバの基板支持体を通る冷媒流路、および、
前記処理チャンバを取り囲む冷媒流路
のうちの少なくとも1つに冷媒を供給する工程であって、前記あらかじめ定められた温度は50℃より低い、工程と、
前記あらかじめ定められた温度に基づいて前記冷媒を供給しながら、前記処理チャンバ内から金属酸化物膜を除去する工程であって、
前記処理チャンバに水素分子を流す工程と、
前記処理チャンバ内でプラズマを発生させる工程と、を含む工程と、
を含む、処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の処理方法であって、
前記金属酸化物膜は、酸化スズ膜である、処理方法。
【請求項11】
請求項9に記載の処理方法であって、
前記あらかじめ定められた温度は、30℃以下である、処理方法。
【請求項12】
請求項9に記載の処理方法であって、
前記あらかじめ定められた温度は、25℃以下である、処理方法。
【請求項13】
請求項9に記載の処理方法であって、
前記処理チャンバは、空間内に設置され、
前記あらかじめ定められた温度は、前記空間内の温度より低い、処理方法。
【請求項14】
請求項9に記載の処理方法であって、さらに、
前記処理チャンバの前記基板支持体の上に基板を載せる工程と、
前記基板の表面に前記金属酸化物膜を堆積させる工程と、
を含む、処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の処理方法であって、さらに、
前記基板の前記表面における前記金属酸化物膜の前記堆積中に、前記あらかじめ定められた温度より高い第2のあらかじめ定められた温度に基づいて前記冷媒を供給する工程を含む、処理方法。
【請求項16】
請求項9に記載の処理方法であって、
前記金属酸化物膜を除去する工程は、さらに、前記処理チャンバからガスを排出する工程を含む、処理方法。
【請求項17】
請求項9に記載の処理方法であって、
前記処理チャンバに水素分子を流す工程は、前記処理チャンバに水素分子のみを流す工程を含む、処理方法。
【請求項18】
基板処理システムであって、
基板支持体を備える処理チャンバと、
コントローラであって、
あらかじめ定められた温度に基づいて、前記基板支持体を通る冷媒流路に供給される冷媒の温度を制御するように構成され、前記あらかじめ定められた温度は50℃より低く、
前記あらかじめ定められた温度に基づいて前記冷媒の前記温度を制御しながら、前記基板支持体に配置された基板の表面に堆積した金属酸化物膜を選択的にエッチングするように構成され、前記選択的にエッチングすることは、
前記処理チャンバに水素分子を流すことと、
前記処理チャンバ内でプラズマを発生させることと、を含む、コントローラと、
を備える、基板処理システム。
【請求項19】
請求項18に記載の基板処理システムであって、
前記金属酸化物膜は、酸化スズ膜である、基板処理システム。
【請求項20】
請求項18に記載の基板処理システムであって、
前記あらかじめ定められた温度は、前記基板における前記金属酸化物膜の堆積中の前記冷媒の温度より低い、基板処理システム。
【請求項21】
請求項18に記載の基板処理システムであって、
前記あらかじめ定められた温度は、30℃以下である、基板処理システム。
【請求項22】
請求項18に記載の基板処理システムであって、
前記あらかじめ定められた温度は、25℃以下である、基板処理システム。
【請求項23】
請求項18に記載の基板処理システムであって、
前記処理チャンバは、空間内に設置され、
前記あらかじめ定められた温度は、前記空間内の温度より低い、基板処理システム。
【請求項24】
請求項18に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、さらに、前記処理チャンバからガスを排出するように構成されている、基板処理システム。
【請求項25】
請求項18に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、前記処理チャンバに水素分子のみを流すように構成されている、基板処理システム。
【請求項26】
基板処理システムであって、
基板支持体を備える処理チャンバと、
コントローラであって、
あらかじめ定められた温度に基づいて、
前記基板支持体を通る冷媒流路、および、
前記処理チャンバを取り囲む冷媒流路
のうちの少なくとも1つに冷媒を供給するように構成され、前記あらかじめ定められた温度は50℃より低く、
前記あらかじめ定められた温度に基づいて前記冷媒を供給しながら、前記処理チャンバ内から金属酸化物膜を除去するように構成され、前記金属酸化物膜の除去は、
前記処理チャンバに水素分子を流すことと、
前記処理チャンバ内でプラズマを発生させることと、を含む、コントローラと、
を備える、基板処理システム。
【請求項27】
請求項26に記載の基板処理システムであって、
前記金属酸化物膜は、酸化スズ膜である、基板処理システム。
【請求項28】
請求項26に記載の基板処理システムであって、
前記あらかじめ定められた温度は、30℃以下である、基板処理システム。
【請求項29】
請求項26に記載の基板処理システムであって、
前記あらかじめ定められた温度は、25℃以下である、基板処理システム。
【請求項30】
請求項26に記載の基板処理システムであって、
前記処理チャンバは、空間内に設置され、
前記あらかじめ定められた温度は、前記空間内の温度より低い、基板処理システム。
【請求項31】
請求項26に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、さらに、前記基板支持体に配置された基板の表面に前記金属酸化物膜を堆積させるように構成されている、基板処理システム。
【請求項32】
請求項31に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、さらに、前記基板の前記表面における前記金属酸化物膜の前記堆積中に、前記あらかじめ定められた温度より高い第2のあらかじめ定められた温度に基づいて前記冷媒を供給するように構成されている、基板処理システム。
【請求項33】
請求項26に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、さらに、前記処理チャンバからガスを排出するように構成されている、基板処理システム。
【請求項34】
請求項26に記載の基板処理システムであって、
前記コントローラは、前記処理チャンバに水素分子のみを流すように構成されている、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年6月19日出願の米国特許出願第16/012,120号の優先権を主張する。上記出願の全ての開示は、本明細書に参照として援用される。
【0002】
本開示は、プラズマチャンバに関し、特に、粉末形成を防ぐために金属酸化物膜を除去するための温度制御システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載の背景技術の説明は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板を処理するのに用いられてよい。基板上で実施されうる例示的プロセスは、堆積、エッチング、洗浄、および他の種類のプロセスを含むが、それらに限定されない。基板は、処理チャンバにおいて、台座または静電チャック(ESC)などの基板支持体の上に配置されてよい。処理の間に、処理チャンバにガス混合物が導入されてよく、化学反応を開始するためにプラズマが用いられてよい。
【0005】
処理チャンバ内の基板(例えば、半導体ウエハ)の温度は制御されうる。例えば、基板支持アセンブリに1または複数のヒータが配置されうる、および、基板支持体上の基板の温度を制御するためにヒータに供給される電力が制御されうる。加えて、または、あるいは、基板および基板支持体を加熱および/または冷却するために、1または複数の流体は、バルブを用いて基板支持体の1または複数の流路を通じて循環されうる。
【発明の概要】
【0006】
1つの特徴では、処理方法は、表面上に堆積した金属酸化物膜を有する基板を処理チャンバの基板支持体の上に載せる工程と、50℃未満であるあらかじめ定められた温度に基づいて、基板支持体を通る冷媒流路に提供される冷媒の温度を制御する工程と、あらかじめ定められた温度に基づいて冷媒の温度を制御しながら、金属酸化物膜を選択的にエッチングする工程であって、処理チャンバに水素分子を流す工程と、処理チャンバ内でプラズマを発生させる工程と、を含む工程と、を含む。
【0007】
さらなる特徴では、金属酸化物膜は酸化スズ膜である。
【0008】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は、基板における金属酸化物膜の堆積中の冷媒の温度より低い。
【0009】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は、30℃以下である。
【0010】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は、25℃以下である。
【0011】
さらなる特徴では、処理チャンバは、空間内に設置され、あらかじめ定められた温度は、空間内の温度より低い。
【0012】
さらなる特徴では、金属酸化物膜を選択的にエッチングする工程は、さらに、処理チャンバからガスを排出する工程を含む。
【0013】
さらなる特徴では、処理チャンバに水素分子を流す工程は、処理チャンバに水素分子のみを流す工程を含む。
【0014】
1つの特徴では、処理方法は、50℃未満であるあらかじめ定められた温度に基づいて、処理チャンバの基板支持体を通る冷媒流路、および、処理チャンバを取り囲む冷媒流路のうちの少なくともいずれかに冷媒を供給する工程と、あらかじめ定められた温度に基づいて冷媒を供給しながら、処理チャンバ内から金属酸化物膜を除去する工程であって、処理チャンバに水素分子を流す工程と、処理チャンバ内でプラズマを発生させる工程と、を含む工程と、を含む。
【0015】
さらなる特徴では、金属酸化物膜は、酸化スズ膜である。
【0016】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は、30℃以下である。
【0017】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は、25℃以下である。
【0018】
さらなる特徴では、処理チャンバは、空間内に設置され、あらかじめ定められた温度は、空間内の温度より低い。
【0019】
さらなる特徴では、処理方法は、さらに、処理チャンバの基板支持体上に基板を載せる工程と、基板の表面上に金属酸化物膜を堆積させる工程と、を含む。
【0020】
さらなる特徴では、処理方法は、さらに、基板の表面における金属酸化物膜の堆積中に、あらかじめ定められた温度より高い第2のあらかじめ定められた温度に基づいて冷媒を供給する工程を含む。
【0021】
さらなる特徴では、金属酸化物膜を除去する工程は、さらに、処理チャンバからガスを排出する工程を含む。
【0022】
さらなる特徴では、処理チャンバに水素分子を流す工程は、処理チャンバに水素分子のみを流す工程を含む。
【0023】
1つの特徴では、基板処理システムは、処理チャンバおよびコントローラを備える。処理チャンバは、基板支持体を備える。コントローラは、50℃未満であるあらかじめ定められた温度に基づいて、基板支持体を通る冷媒流路に提供される冷媒の温度を制御し、あらかじめ定められた温度に基づいて冷媒の温度を制御しながら、基板支持体上に配置された基板の表面に堆積した金属酸化物膜を選択的にエッチングするように構成され、選択的にエッチングすることは、処理チャンバに水素分子を流すことと、処理チャンバ内でプラズマを発生させることとを含む。
【0024】
さらなる特徴では、金属酸化物膜は、酸化スズ膜である。
【0025】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は、基板における金属酸化物膜の堆積中の冷媒の温度より低い。
【0026】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は30℃以下である。
【0027】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は25℃以下である。
【0028】
さらなる特徴では、処理チャンバは、空間内に設置され、あらかじめ定められた温度は、空間内の温度より低い。
【0029】
さらなる特徴では、コントローラは、さらに、処理チャンバからガスを排出するように構成されている。
【0030】
さらなる特徴では、コントローラは、処理チャンバに水素分子のみを流すように構成されている。
【0031】
1つの特徴では、基板処理システムは、基板支持体を含む処理チャンバと、コントローラとを備える。コントローラは、50℃未満であるあらかじめ定められた温度に基づいて、基板支持体を通る冷媒流路、および、処理チャンバを取り囲む冷媒流路のうちの少なくともいずれかに冷媒を供給し、あらかじめ定められた温度に基づいて冷媒を供給しながら、処理チャンバ内から金属酸化物膜を除去するように構成され、処理チャンバに水素分子を流すことと、処理チャンバ内でプラズマを発生させることとを含む。
【0032】
さらなる特徴では、金属酸化物層は酸化スズ膜である。
【0033】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は30℃以下である。
【0034】
さらなる特徴では、あらかじめ定められた温度は25℃以下である。
【0035】
さらなる特徴では、処理チャンバは、空間内に設置され、あらかじめ定められた温度は、空間内の温度より低い。
【0036】
さらなる特徴では、コントローラは、さらに、基板支持体に配置された基板の表面に金属酸化物膜を堆積させるように構成されている。
【0037】
さらなる特徴では、コントローラは、さらに、基板の表面における金属酸化物膜の堆積中に、あらかじめ定められた温度より高い第2のあらかじめ定められた温度に基づいて冷媒を供給するように構成されている。
【0038】
さらなる特徴では、コントローラは、さらに、処理チャンバからガスを排出するように構成されている。
【0039】
さらなる特徴では、コントローラは、処理チャンバに水素分子のみを流すように構成されている。
【0040】
本開示のさらなる適用分野は、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるだろう。発明を実施するための形態および特定の例は、説明の目的のみを意図し、本開示の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本開示は、発明を実施するための形態および添付の図面からより深く理解されるだろう。
【0042】
【0043】
【
図2】冷媒アセンブリを備える例示的冷却システムを含む機能ブロック図。
【0044】
【
図3】処理チャンバ内の基板上に金属酸化物膜を堆積させ、金属酸化物膜を粉末に変えることなく処理チャンバ内から金属酸化物膜を定期的に洗浄するための例示的方法を表すフローチャート。
【0045】
【
図4】金属酸化物膜を粉末に変えることなく基板上に堆積した金属酸化物膜をエッチングするための例示的方法を表すフローチャート。
【0046】
【
図5】金属酸化物膜のエッチングが実施された温度に対する基板上の金属酸化物の厚さを示す例示的グラフ。
【0047】
【
図6】様々な異なる温度での金属酸化物膜のエッチング後の基板表面、および基板が拭き取られた一部の領域を示す例示的図。
【0048】
図面では、類似および/または同一の要素を特定するために、参照番号は繰り返し用いられてよい。
【発明を実施するための形態】
【0049】
冷媒は、処理チャンバ内の基板支持体上に配置された基板の温度を調節するのに用いられうる。例えば、金属酸化物膜の堆積中に、冷媒は、基板支持体の基体の冷媒流路、および/または、処理チャンバを取り囲む冷媒流路もしくは冷媒管に、第1のあらかじめ定められた温度で供給されうる。基板からの金属酸化物膜のエッチング中、および/または、処理チャンバの内面の洗浄中に、冷媒は、冷媒流路または冷媒管に第2のあらかじめ定められた温度で供給されうる。
【0050】
第2のあらかじめ定められた温度は、第1のあらかじめ定められた温度より低い。しかし、第2のあらかじめ定められた温度が高すぎる場合は、金属酸化物膜の全てまたは一部は、エッチング中または洗浄中に粉末(例えば、金属水素化物)に分解する可能性がある。処理チャンバから全ての粉末を除去することは難しく、時間がかかる。粉末は、処理チャンバに残っている場合は、処理チャンバ内で後に処理される1または複数の基板の欠陥数を増加させる可能性がある。
【0051】
本開示により、第2のあらかじめ定められた温度は、エッチング中および/または処理チャンバの洗浄中に、金属酸化物膜が揮発性のままである(および、粉末に変化しない)ことを確実にするために、あらかじめ定められた温度まで低減される。金属酸化物が揮発性のままである場合は、気化されて処理チャンバから排出されうる。
【0052】
ここで
図1を参照すると、例示的基板処理システム100の機能ブロック図が示されている。例えのみでは、基板処理システム100は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化ALD(PEALD)、エッチング、および/または、1もしくは複数の種類の処理のために用いられてよい。
【0053】
基板処理システム100は、基板処理システム100の構成部品を囲み、無線周波数(RF)プラズマを含む、処理チャンバ102を備える。例示的な基板処理システム100および処理チャンバ102が例として示されているが、本開示は、プラズマをin-situで生成する基板処理システムや、(例えば、プラズマ管やマイクロ波管を用いて)リモートプラズマの生成および供給を実施する基板処理システムなど、他の種類の基板処理システムおよび処理チャンバにも適用可能である。様々な実施形態では、堆積は1つの処理チャンバで実施されてよく、エッチングは別の処理チャンバで実施されてよい。
【0054】
処理チャンバ102は、上部電極104と、静電チャック(ESC)などの基板支持体106とを備える。基板108は、基板支持体106の上に配置され、1または複数のプラズマプロセスが基板108において実施される。例えば、金属酸化物膜は、基板108の上に堆積されてよい。加えて、または、あるいは、基板108に以前に堆積した金属酸化物のエッチングが実施されてよい。金属酸化物膜は、酸化スズ、または、別の適した金属酸化物膜であってよい。
【0055】
基板上に堆積した金属酸化物膜は、基板が処理されるにつれて、時間と共に処理チャンバ102(例えば、処理チャンバ102の構成部品、および処理チャンバ102の内面)にも堆積するだろう。処理チャンバ102内から金属酸化物膜を除去(または、洗浄)するために、処理チャンバ102の洗浄サイクルが定期的に(例えば、基板M枚ごとに(Mは1より大きい整数))実施されてよい。
【0056】
基板に堆積した金属酸化物膜のエッチング、および、処理チャンバ102内からの金属酸化物膜の洗浄は、プラズマおよび水素分子(H2)を用いて(すなわち、水素をエッチング剤として用いて)実施される。エッチングおよび洗浄は、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素のプラズマ化学物質を用いて実施されうる。しかし、塩素、臭素、および/またはヨウ素の使用は、処理チャンバ102およびその内部の1もしくは複数の構成部品(例えば、アルミウム製構成部品)と反応する、ならびに/または、処理チャンバ102およびその内部の1もしくは複数の構成部品を損傷する可能性がある。
【0057】
上部電極104は、処理チャンバ102内でプロセスガスを導入して分配する、シャワーヘッド109などのガス分配装置を備えてよい。シャワーヘッド109は、処理チャンバ102の上面に結合された一端を含むステム部を備えてよい。基部は、一般に円筒形であり、処理チャンバ102の上面から離れた位置でステム部の反対端から径方向外向きに伸びる。シャワーヘッド109の基部の基板対向面またはフェースプレートは、プロセスガスまたはパージガスが流れる複数の穴を備える。あるいは、上部電極104は導電性のプレートを備えてよく、プロセスガスは別の方法で導入されてよい。
【0058】
基板支持体106は、下部電極として機能する導電性のベースプレート110を備えてよい。ベースプレート110は、セラミック層112を支持する。熱抵抗層114(例えば、結合層)は、セラミック層112とベースプレート110との間に配置されてよい。ベースプレート110は、ベースプレート110を通じて冷媒を流すための1または複数の冷媒流路116を備えてよい。いくつかの例では、セラミック層112とベースプレート110との間の熱抵抗層114の外周に保護シール176が設けられてよい。
【0059】
RF生成システム120は、プラズマを発生させ維持するために、RF電圧を生成して上部電極104および下部電極(例えば、基板支持体106のベースプレート110)のいずれかに出力する。上部電極104およびベースプレート110のもう一方は、DC接地されてよい、AC接地されてよい、または浮遊状態であってよい。例えのみでは、RF生成システム120は、整合分配ネットワーク124によって上部電極104またはベースプレート110に供給されるRF電圧を生成するRF電圧発生器122を備えてよい。他の例では、プラズマは誘導的にまたは遠隔的に生成されてよい。例示的目的で示されたように、RF生成システム120は、容量結合プラズマ(CCP)システムに相当するが、本開示は、例えのみで、トランス結合プラズマ(TCP)システム、CCPカソードシステム、リモートマイクロ波プラズマ生成供給システムなどの他の種類のシステムにも適用可能である。
【0060】
ガス供給システム130は、1または複数のガス源、ガス源132-1、ガス源132-2、・・・、およびガス源132-N(総称して、ガス源132)(Nはゼロより大きい整数)を備える。ガス源132は、1または複数の堆積ガス、エッチングガス、キャリアガス、不活性ガス、およびそれらの混合物を供給する。
【0061】
例えば、ガス源132は、金属酸化物膜を堆積させるために1または複数のガスを供給する。ガス源132は、加えて、または、代わりに、金属酸化物膜のエッチングおよび/または洗浄のために1または複数のガス(例えば、水素分子)を供給してよい。ガス源132は、パージガスも供給する。
【0062】
ガス源132は、バルブ134-1、バルブ134-2、・・・、およびバルブ134-N(総称して、バルブ134)、ならびに、マスフローコントローラ136-1、マスフローコントローラ136-2、・・・、およびマスフローコントローラ136-N(総称して、マスフローコントローラ136)によってマニホルド140に接続されている。マニホルド140の出力は、処理チャンバ102に供給される。例えのみでは、マニホルド140の出力は、シャワーヘッド109に供給され、シャワーヘッド109から処理チャンバ102に出力される。
【0063】
温度コントローラ142は、セラミック層112に配置された熱制御素子(TCE)144などの複数の加熱素子に接続されている。例えば、TCE144は、マルチゾーン型加熱プレートのそれぞれのゾーンに対応するマクロ加熱素子、および/または、マルチゾーン型加熱プレートの複数ゾーンにわたって配置されたミクロ加熱素子の配列を含んでよいが、それらに限定されない。TCE144は、例えば、それぞれ、電力がヒータに印加されたときに熱を生成する抵抗発熱体であってよい、または、別の適した種類の加熱素子であってよい。温度コントローラ142は、基板支持体106および基板108における様々な位置の温度を制御するようにTCE144を制御する。
【0064】
温度コントローラ142は、冷媒アセンブリ146とも連通し、冷媒流路116を通る冷媒(流体)流を制御する。冷媒は、液体または気体であってよい。堆積が実施される処理チャンバなどのいくつかの種類の処理チャンバでは、冷媒は、処理チャンバを取り囲む冷媒流路145を通って循環されてもよい。冷媒流路145は、処理チャンバ102の壁に形成された冷媒流路145、および/または、処理チャンバ102を取り囲む冷媒導管(例えば、管)でありうる。エッチングが実施される処理チャンバでは、冷媒流路145は、実装されてよい、または省略されてよい。
【0065】
温度コントローラ142は、基板支持体106および/または処理チャンバ102を冷却するために、冷媒流路116および/または冷媒流路145を通じて冷媒を選択的に流すように冷媒アセンブリ146を操作する。温度コントローラ142は、例えば、1または複数のプロセスの間に、1または複数の目標温度および/または1または複数の目標冷媒流量を達成するために、冷媒アセンブリ146と協働してTCE144を制御してよい。
【0066】
バルブ150およびポンプ152は、処理チャンバ102から反応剤および他のガスを排出(パージ)するのに用いられてよい。システムコントローラ160は、基板処理システム100の構成部品を制御するのに用いられてよい。ロボット170は、基板を基板支持体106に受け渡し、基板支持体106から取り除くのに用いられてよい。例えば、ロボット170は、基板支持体106とロードロック172との間で基板を搬送してよい。別々のコントローラとして示されているが、温度コントローラ142は、システムコントローラ160の中に実装されてよい。
【0067】
いくつかの例では、基板支持体106は、エッジリング180を備える。エッジリング180は、基板108に対して動作可能(例えば、垂直方向に上下に動作可能)である。例えば、エッジリング180の動作は、システムコントローラ160に応答するアクチュエータによって制御されてよい。いくつかの例では、ユーザは、1または複数の入力機構、表示画面などを含みうるユーザインタフェース184を介して、システムコントローラ160に制御パラメータを入力してよい。
【0068】
図2は、冷媒アセンブリ146を備える例示的冷却システム200を含む機能ブロック図である。冷却システム200は、第1の三方比例バルブ(以下、第1のバルブ)204、第2の三方比例バルブ(以下、第2のバルブ)206、第3の三方比例バルブ(以下、第3のバルブ)208、ならびに、第1の温度制御装置(TCU)(冷媒源)216および第2のTCU218を備えてよい。第1のTCU216は、第1の温度で冷媒を供給する。第2のTCU218は、第2の温度で冷媒を供給する。2つのTCUの例が提供されているが、1つのTCUのみが実装されてよい、または、2つ以上のTCUが実装されてよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1のTCU216および第2のTCU218の各々の流量は、固定されてよい。第1のTCU216および第2のTCU218の流量は、同じであってよい、または異なってよい。例えば、第1のTCU216は、第1の固定流量を有してよく、第2のTCU218は、第1の固定流量と同じまたは異なる第2の固定流量を有してよい。第1のTCU216および第2のTCU218は、各々、ポンプを備える。第1のTCU216のポンプは、第1のバルブ204に冷媒を注入し、第2のTCU218のポンプは、第2のバルブ206に冷媒を注入する。第1のTCU216および第2のTCU218は、各々、第1のTCU216および第2のTCU218の内部の冷媒を加熱および/または冷却する、1もしくは複数の加熱装置(例えば、電気ヒータ)および/または1もしくは複数の冷却装置(例えば、チラー)も備える。
【0070】
第1のバルブ204は、入力ポート220、第1の出力ポート222、および第2の出力ポート(または、バイパス)224を有する。第2のバルブ206は、入力ポート226、第1の出力ポート228、および第2の出力ポート(または、バイパス)230を有する。第3のバルブ208は、入力ポート232、第1の出力ポート234、および第2の出力ポート236を有する。
【0071】
第1のバルブ204の入力ポート220は、第1のTCU216から第1の流体ライン238を通じて、第1の固定流量で第1の温度の冷媒を受け取る。第2のバルブ206の入力ポート226は、第2のTCU218から第2の流体ライン240を通じて、第2の固定流量で第2の温度の冷媒を受け取る。
【0072】
第1のバルブ204の第1の出力ポート222は、第1のTCU216から受け取った冷媒の第1の部分を供給ライン242に出力する。第2のバルブ206の第1の出力ポート228は、第2のTCU218から受け取った冷媒の第1の部分を供給ライン242に出力する。第1のバルブ204および第2のバルブ206の第1の出力ポート222および228のそれぞれから出力された冷媒の第1の部分は、供給ライン242において混合される。供給ライン242内の混合された冷媒は、基板支持体106、および/または、処理チャンバ102を取り囲む冷媒流路に供給される。
【0073】
温度コントローラ142は、第1のバルブ204および第2のバルブ206を制御することで、第1のバルブ204および第2のバルブ206の第1の出力ポート222および228のそれぞれから供給ライン242に出力される冷媒の第1の部分の量を制御する。温度コントローラ142は、第1のバルブ204および第2のバルブ206を制御し、目標(または、設定)温度に基づいて量を決定する。
【0074】
様々な実施形態では、温度コントローラ142は、実施されるプロセスに基づいて特定の目標温度を設定してよい。例えば、温度コントローラ142は、基板108における金属酸化物膜(例えば、酸化スズ)の堆積中に処理チャンバ102が設置される空間の温度より高い第1のあらかじめ定められた温度に目標温度を設定してよい。第1のあらかじめ定められた温度は、約125℃、または、基板における金属酸化物膜の堆積に適した別の温度であってよい。空間の温度は、例えば、約30℃または別の適した温度であってよい。本明細書では、約とは、関連付けられた値の+/-10パーセントを意味してよい。
【0075】
温度コントローラ142は、基板108における金属酸化物膜のエッチング中、および、金属酸化物膜が堆積された処理チャンバ102の洗浄中に、目標温度を第2のあらかじめ定められた温度に設定する。第2のあらかじめ定められた温度は、較正され、例えば、約50℃以下、約30℃以下、または約25℃以下であってよい。第2のあらかじめ定められた温度は、処理チャンバ102が設置されている空間の温度より低くてよい。第2のあらかじめ定められた温度は、金属酸化物膜のエッチング中、および/または、処理チャンバの洗浄中に、金属酸化物膜が気化して粉末(例えば、室温以上で粉末に分解する金属水素化物)に変化しないように較正される。
【0076】
第1のバルブ204によって第1のTCU216から受け取った冷媒の第2の(残余)部分は、第1のバルブ204の第2の出力ポート(または、バイパス)224を介して、流体ライン244を通じて第1のTCU216に戻されてよい。第2のバルブ206によって第2のTCU218から受け取った冷媒の第2の(残余)部分は、第2のバルブ206の第2の出力ポート(または、バイパス)230を介して、流体ライン246を通じて第2のTCU218に戻されてよい。
【0077】
第1のバルブ204および第2のバルブ206によって受け取られた冷媒の第2の部分は、第1のTCU216および第2のTCU218に戻されるため、第1のTCU216および第2のTCU218は、それぞれの固定流量で第1のバルブ204および第2のバルブ206に冷媒を供給できる。これにより、第1のTCU216および第2のTCU218の設計が簡素化されてよい。例えば、第1のTCU216および第2のTCU218のポンプは、単一速度で操作されうる。目標温度は、単一速度で動作しながら第1のバルブ204および第2のバルブ206の開度を調節することによって達成されてよい。
【0078】
基板支持体106および/または処理チャンバ102を取り囲む冷媒流路から出力された冷媒は、戻りライン248を通じて第3のバルブ208の入力ポート232に受け取られる。第3のバルブ208は、第1のTCU216と第2のTCU218との間で戻った冷媒を分流する。
【0079】
第3のバルブ208によって基板支持体106から受け取られた冷媒の第1の部分は、第3のバルブ208の第1の出力ポート234を介して、流体ライン250および流体ライン244を通じて第1のTCU216に戻される。第3のバルブ208によって基板支持体106から受け取られた冷媒の第2の部分は、第3のバルブ208の第2の出力ポート236を介して、流体ライン252および流体ライン246を通じて第2のTCU218に戻される。
【0080】
温度コントローラ142は、第3のバルブ208を制御し、第3のバルブ208の第1の出力ポート234および第2の出力ポート236から、それぞれ第1のTCU216および第2のTCU218に出力される冷媒の第1の部分および第2の部分の適量または目標量を決定する。例えば、温度コントローラ142は、第1のTCU216および第2のTCU218のレベルセンサ217およびレベルセンサ219から受信したデータに基づいて、第1のTCU216および第2のTCU218の冷媒レベルを監視する。温度コントローラ142は、第1のTCU216および第2のTCU218の各々の冷媒レベルを決定し、そのレベルに基づいて第1のTCU216および第2のTCU218に戻す冷媒の第1の部分の量および第2の部分の量を決定する。
【0081】
温度センサ254(例えば、熱電対)は、供給ライン242を通じて基板支持体106および/または冷媒流路145に供給された冷媒の温度を検出する。流量センサ(例えば、流量計)256は、供給ライン242を通じて基板支持体106および/または冷媒流路145に供給された冷媒の流量を測定する。図示されていないが、第2の温度センサおよび第2の流量計は、戻りライン248に結合され、戻りライン248を通じて基板支持体106および/または冷媒流路145から戻った冷媒の温度および流量を測定しうる。
【0082】
温度コントローラ142は、比例積分偏差(PID)コントローラまたは別の適した種類の閉ループコントローラを含んでよい。温度コントローラ142は、基板支持体106および/または処理チャンバ102を取り囲む冷媒流路に冷媒が供給される目標温度に基づいて、第1のバルブ204および第2のバルブ206によって供給された冷媒の量を制御する。例えば、温度コントローラ142は、温度センサ254によって測定された温度を目標温度に向けて、または目標温度になるよう調節するように第1のバルブ204および第2のバルブ206を制御してよい。
【0083】
加えて、温度コントローラ142は、基板支持体106および/または冷媒流路145に冷媒が供給される目標流量に基づいて、第1のバルブ204および第2のバルブ206によって供給された冷媒量を制御する。例えば、温度コントローラ142は、温度センサ256によって測定された流量を目標流量に向けて、または目標流量になるよう調節するように第1のバルブ204および第2のバルブ206を制御してよい。
【0084】
冷媒アセンブリ146によって、出力冷媒の温度は、既定の切替期間未満で第1のあらかじめ定められた温度から第2のあらかじめ定められた温度に切り替えられてよい。冷媒温度は、同様に、既定の切替期間未満で第2のあらかじめ定められた温度から第1のあらかじめ定められた温度に切り替えられることもできる。
【0085】
既定の切替期間は、例えば、約15分または別の適した期間であってよい。冷媒温度は、例えば、基板における金属酸化物膜の堆積から、金属酸化物膜の処理チャンバ102からの洗浄、または基板に堆積した金属酸化物膜のエッチングに移行するために、第1のあらかじめ定められた温度から第2のあらかじめ定められた温度に切り替えられてよい。冷媒温度は、例えば、金属酸化物膜の処理チャンバ102からの洗浄から、または基板に堆積した金属酸化物膜のエッチングから、基板における金属酸化物膜の堆積に推移するために、第2のあらかじめ定められた温度から切り替えられてよい。
【0086】
図3は、処理チャンバ102内の基板に金属酸化物膜を堆積させ、処理チャンバ102を定期的に洗浄するための例示的方法である。制御は304で開始し、システムコントローラ160が、プラズマによって処理チャンバ102内の基板支持体106上の基板に金属酸化物膜(例えば、酸化スズ)を堆積させるように、ガス供給システム130およびRF生成システム120を制御する。温度コントローラ142は、基板における金属酸化物膜の堆積中に、基板支持体106および/または冷媒流路145に供給された冷媒の温度を第1のあらかじめ定められた温度に制御する。上記のように、第1のあらかじめ定められた温度は、処理チャンバ102が存在する空間の温度より高い。
【0087】
308では、システムコントローラ160は、基板における金属酸化物膜の堆積が完了したかどうかを決定する。例えば、システムコントローラ160は、基板における金属酸化物膜の堆積期間が規定堆積期間より長いかどうかを決定してよい。308が真の場合は、制御は312に続く。308が偽の場合は、制御は304に戻り、基板における金属酸化物膜の堆積を継続してよい。
【0088】
312では、ロボット170が処理チャンバ102から基板を取り除いてよい。ロボット170または別のロボットは、金属酸化物膜のエッチングために基板を別の処理チャンバに移動させてよい。様々な実施形態では、金属酸化物膜のエッチングは、基板が処理チャンバ102から取り除かれる前に処理チャンバ102内で実施されてもよい。
【0089】
316では、システムコントローラ160は、カウンタ値を増加させてよい(例えば、カウンタ値に1を加える)。処理チャンバ102は、処理チャンバ102内から金属酸化物膜を除去するためについ先ほど洗浄されたため、カウンタ値は、処理チャンバ102内で金属酸化物膜が堆積された基板の数に相当する。
【0090】
システムコントローラ160は、320においてカウンタ値が既定値より小さいかどうかを決定してよい。既定値は、較正されてよく、1より大きい整数である。既定値は、処理チャンバ102の連続する洗浄サイクルの間に処理される(上に金属酸化物膜が堆積した状態の)基板の数に相当する。320が真の場合は、ロボット170または別のロボットは、332において処理チャンバ102内の基板支持体106の上に次の基板を載せてよく、制御は304に戻って、次の基板における金属酸化物膜の堆積を開始してよい。320が偽の場合は、制御は324に続く。様々な実施形態では、処理チャンバ102の洗浄サイクルは、既定期間ごとに、および/または、洗浄を実施するためのユーザ入力に応答して、追加的にまたは代替的に実施されてよい。
【0091】
324では、温度コントローラ142は、洗浄のために第2のあらかじめ定められた温度で基板支持体106および/または冷媒流路145に冷媒を供給するように冷媒アセンブリ146を制御する。328では、システムコントローラ160は、基板支持体106および/または冷媒流路145に供給された冷媒の温度が第2のあらかじめ定められた温度以下であるかどうかを決定してよい。328が真の場合は、制御は332に続く。328が偽の場合は、制御は324に戻って、基板支持体106および/または処理チャンバ102の冷却を継続する。様々な実施形態では、328は省略されてよい。
【0092】
332では、洗浄が開始し、温度コントローラ142は、洗浄のために第2のあらかじめ定められた温度で基板支持体106および/または冷媒流路145に冷媒を供給するように冷媒アセンブリ146を制御し続ける。336では、システムコントローラ160は、処理チャンバ102内から金属酸化物膜(例えば、酸化スズ)を洗浄するために、処理チャンバ102に水素分子H2(例えば、水素分子のみ)を提供するようにガス供給システム130を制御する。340では、システムコントローラ160は、処理チャンバ102内から金属酸化物膜(例えば、酸化スズ)を洗浄するために、処理チャンバ102内でプラズマを発生させるようにRF生成システム120も制御する。洗浄中に、基板支持体106および/または冷媒流路145を第2のあらかじめ定められた温度まで冷却することによって、金属酸化物は気化する。これにより、粉末に変化する金属酸化物の量が最小限になる。
【0093】
気化した金属酸化物は、ポンプ152の動作によって処理チャンバ102から排出されうる。344では、システムコントローラ160は、バルブ150を開き、ポンプ152をオンにして、処理チャンバ102から気化した金属酸化物をパージする。
【0094】
粉末が形成された場合、粉末は、ポンプ152の動作によって完全には除去されない可能性があるため、処理チャンバ102の追加の(例えば、手動の)洗浄によって除去されてよい。粉末が処理チャンバ102内から除去されない場合、粉末は、処理チャンバ102で後に処理される基板の欠陥数を増加させるだろう。
【0095】
348では、システムコントローラ160は、洗浄が完了したかどうかを決定する。例えば、システムコントローラ160は、洗浄開始からの期間(例えば、332の第1段階)が既定の洗浄期間より長いかどうかを決定してよい。348が真の場合は、上記のように制御は332に移る。348が偽の場合は、制御は332に戻り、処理チャンバ102の洗浄を継続してよい。
【0096】
図4は、金属酸化物膜が粉末に変わるのを防ぐために基板を冷却しながら処理チャンバ102内の基板上の金属酸化物膜をエッチングするための例示的方法である。制御は、処理チャンバ102内の基板支持体106上に(金属酸化物膜を有する)基板を設置することで開始する。404では、温度コントローラ142は、基板のエッチングのために第2のあらかじめ定められた温度で基板支持体106および/または冷媒流路145に冷媒を供給するように冷媒アセンブリ146を制御する。
【0097】
408では、システムコントローラ160は、基板支持体106および/または冷媒流路145に供給された冷媒の温度が第2のあらかじめ定められた温度以下かどうかを決定してよい。408が真の場合は、制御は412に続く。408が偽の場合は、制御は404に戻って、基板支持体106および/または処理チャンバ102の冷却を継続してよい。様々な実施形態では、408は省略されてよい。
【0098】
412では、エッチングが開始し、温度コントローラ142は、エッチングのために第2のあらかじめ定められた温度で基板支持体106および/または冷媒流路145に冷媒を供給するように冷媒アセンブリ146を制御し続ける。416では、システムコントローラ160は、基板から金属酸化物層(例えば、酸化スズ)をエッチングするために、処理チャンバ102に水素分子H2(例えば、水素分子のみ)を提供するようにガス供給システム130を制御する。
【0099】
420では、システムコントローラ160は、基板から金属酸化物膜(例えば、酸化スズ)をエッチングするために、処理チャンバ102内でプラズマを発生させるようにRF生成システム120を制御する。エッチング中に基板支持体106および/または冷媒流路145を第2のあらかじめ定められた温度まで冷却することによって、金属酸化物は気化する。これにより、粉末に変化する金属酸化物の量が最小限になる。
【0100】
気化した金属酸化物は、ポンプ152の動作によって処理チャンバ102から排気されうる。424では、システムコントローラ160は、バルブ150を開き、ポンプ152をオンにして、気化した金属酸化物を処理チャンバ102からパージする。
【0101】
428では、システムコントローラ160は、基板における金属酸化物膜のエッチングが完了したかどうかを決定する。例えば、システムコントローラ160は、基板における金属酸化物膜のエッチング開始から(例えば、412の第1の段階から)の期間が既定のエッチング期間より長いかどうかを決定してよい。428が真の場合は、制御は432に続く。428が偽の場合は、制御は412に戻り、エッチングを継続する。
【0102】
432では、ロボット170または別のロボットが処理チャンバ102から基板を取り除いてよい。ロボット170または別のロボットは、追加処理のために基板を別の処理チャンバに移動させてよい。あるいは、追加処理は、処理チャンバ102内の基板に施されてよい。ロボット170または別のロボットは、処理チャンバ102内の基板支持体106の上に次の基板を載せてもよく、制御は404に戻って、次の基板からの金属酸化物膜のエッチングを開始してよい。
【0103】
図5は、基板上の金属酸化物膜のエッチングが実施された温度に対する、基板上の金属酸化物の厚さを示す例示的グラフである。ゼロ(0)厚さは、エッチングが実施される前の金属酸化物膜の初期厚さに相当する。図のように、50℃未満の温度を用いながらエッチングが実施されたときは、金属酸化物膜の厚さは、一般に、エッチングにより減少する。この場合、金属酸化物膜は、(粉末形成なしに)気化して除去されたため、基板上に存在する金属酸化物の厚さの減少をもたらした。
【0104】
しかし、50℃より高い温度を用いながらエッチングが実施されたときは、金属酸化物の厚さは増加した。この増加は、膜から粉末に変化する金属酸化物膜と、エッチングの結果、基板上に残る粉末とに起因しうる。
【0105】
図6は、様々な異なる温度における金属酸化物膜の洗浄またはエッチング後の表面(例えば、基板、処理チャンバの内面)を示す例示的図である。各々の場合では、表面の一部の領域のみが(例えば、手で)拭き取られた。
【0106】
図のように、50℃未満の温度を用いながらエッチングまたは洗浄が実施されたときは、拭き取りの形跡は見られなかった。よって、50℃未満の温度の使用は、金属酸化物膜の粉末への変化をもたらさない。代わりに、金属酸化物は気化して除去された。
【0107】
しかし、50℃より高い温度を用いながらエッチングまたは洗浄が実施されたときは、拭き取りの形跡が見られた。拭き取りが見られる度合いは、用いられる温度が上昇するに伴い増加した。このことは、用いられる温度の上昇に伴って膜から粉末に変化する金属酸化物膜の増加を示す。
【0108】
前述の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その適用、または使用を限定する意図はない。本開示の広義の教示は、様々な形態で実施されうる。よって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を考察すると他の変更点が明らかになるため、本開示の真の範囲は、それほど限定されるべきでない。方法内の1または複数の工程は、本開示の原理を変更することなく異なる順序で(または、同時に)実行されてよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有すると上述されているが、本開示の実施形態に関して記載されたそれらの1または複数の特徴は、他の実施形態において、および/または、他の実施形態の特徴と組み合わせて(その組み合わせが明記されていなくても)実施されうる。つまり、記載の実施形態は、相互に排他的でなく、1または複数の実施形態の互いの並べ替えは、本開示の範囲内に留まる。
【0109】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「近接する」、「上に」、「上方」、「下方」、および「配置された」を含む様々な用語を用いて説明される。上記の開示で第1の要素と第2の要素との関係が説明されるときは、「直接的」であると明記されない限り、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の要素が介在しない直接的関係でありうるが、第1の要素と第2の要素との間に1または複数の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的関係でもありうる。本明細書では、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理、OR、を用いる論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0110】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上記の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理構成部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のそれらの動作を制御するための電子機器と統合されてよい。この電子機器は、システムの様々な構成部品または副構成部品を制御しうる「コントローラ」を意味してよい。コントローラは、処理条件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器の設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールに対するウエハ搬入出、ならびに/または、特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出など、本明細書に開示されたプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0111】
概して、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にする、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形式でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造中における1または複数の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムと統合または結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、もしくはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよく、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えば、コントローラは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にあってよい、または、ファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または実施の基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理工程を設定し、または、新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、1または複数の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが接続するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって、上述のように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続される1または複数の個別のコントローラを含むことや、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的のために協働することによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として)設置され、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1または複数の集積回路と連通する、チャンバの1または複数の集積回路であろう。
【0113】
制限するのではなく、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、クリーンチャンバまたはクリーンモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他の半導体処理システムを含んでよい。
【0114】
上述のように、ツールによって実施されるプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路もしくはツールモジュール、他のツール構成部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つまたは複数と連通しうる。