(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
B65D5/66 301D
(21)【出願番号】P 2019215896
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】白井 亮平
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3196642(JP,U)
【文献】特開2011-102139(JP,A)
【文献】米国特許第06070790(US,A)
【文献】登録実用新案第3071023(JP,U)
【文献】特開2015-063348(JP,A)
【文献】特開2011-057234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口及び下部開口を有し、物品を収容可能な角筒状の本体部と、
前記上部開口を塞ぐ上蓋部と、
前記下部開口を塞ぐ下蓋部と、
を備え、
前記本体部は、
板状に形成された、第1壁部、第2壁部、第3壁部、第4壁部、及び第5壁部を有し、
前記第1壁部、前記第2壁部、前記第3壁部、前記第4壁部、及び前記第5壁部は、この順で、折り曲げ可能に連結され、
前記第1壁部の背面に、前記第5壁部の前面が接着されることで、前記第1壁部と前記第5壁部とが重ねられ、
前記第1壁部と前記第3壁部とが対向し、前記第2壁部と前記
第4壁部とが対向するように、前記本体部は角筒状に形成され、
前記下蓋部は、
板状に形成され、前記第2壁部の下端に折り曲げ可能に連結された第1下部横フラップと、
板状に形成され、前記第4壁部の下端に折り曲げ可能に連結された第2下部横フラップと、
板状に形成され、前記第3壁部の下端に折り曲げ可能に連結された下部支持フラップと、
板状に形成され、前記第5壁部の下端に折り曲げ可能に連結された下部カバーフラップと、
を備え、
折り曲げられた前記第1下部横フラップ及び前記第2下部横フラップを覆うように、前記下部支持フラップが折り曲げられ、さらに、前記下部支持フラップを覆うように、前記下部カバーフラップが折り曲げられて、前記下部支持フラップに接着され、
前記第1下部横フラップは、第1突部を有し、
前記第1突部と前記第1壁部とで、前記第5壁部を挟むように構成されている、包装用箱。
【請求項2】
前記第2下部横フラップは、第2突部を有し、
前記第2突部と前記第1壁部とで、前記第5壁部を挟むように構成されている、請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
前記第1下部横フラップは、等脚台形状に形成された基部と、前記第1突部とを備え、
前記基部の下底が、前記第2壁部の下端に折り曲げ可能に連結され、
前記基部の前記第5壁部側の脚から、前記第1突部が突出している、請求項1または2に記載の包装用箱。
【請求項4】
前記第1突部は、前記基部の前記第5壁部側の脚において、前記第2壁部側の端部に設けられている、請求項3に記載の包装用箱。
【請求項5】
前記上蓋部は、
板状に形成され、前記第2壁部の上端に折り曲げ可能に連結された第1上部横フラップと、
板状に形成され、前記第4壁部の上端に折り曲げ可能に連結された第2上部横フラップと、
板状に形成され、前記第3壁部の上端に折り曲げ可能に連結された上部支持フラップと、
板状に形成され、前記第5壁部の上端に折り曲げ可能に連結された上部カバーフラップと、
を備え、
折り曲げられた前記第1上部横フラップ及び前記第2上部横フラップを覆うように、前記上部支持フラップが折り曲げられ、さらに、前記上部支持フラップを覆うように、前記上部カバーフラップが折り曲げられて、前記上部支持フラップに接着されている、請求項1から4のいずれかに記載の包装用箱。
【請求項6】
前記第1壁部の上端に連結され、前記本体部の前記
上部開口側から突出する突壁部をさらに備え、
前記突壁部は、前記第1壁部の上端に折り曲げ可能に連結されている、請求項1から5のいずれかに記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を収容するために、紙やプラスチックなどのシート材で形成された包装用箱が利用されている。一般的に、包装用箱は、正面部、背面部、及び一対の側面部を有する角筒状の本体部を備えており、本体部の上部開口及び下部開口は、それぞれ上蓋部及び下蓋部により塞がれている。そして、下部開口は、本体部の背面部の上端縁に折り曲げ可能に連結される下蓋フラップと、この下蓋フラップの先端に折り曲げ可能に連結される差込フラップと、を備えている。下蓋フラップは、下部開口と同じ形状に形成され、差込フラップは、下蓋フラップが下部開口を閉じたときに、本体部の正面部の内面側に配置される。また、上蓋部も同様に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように差し込みフラップを、本体部の正面部の内面側に差し込むことで、下蓋部を形成するには、人力によるのが一般的である。そのため、包装用箱の製造工程において、下蓋部を形成するには効率的ではなかった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、少なくとも下蓋部を効率的に形成することが可能な包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装用箱は、上部開口及び下部開口を有し、物品を収容可能な角筒状の本体部と、前記上部開口を塞ぐ上蓋部と、前記下部開口を塞ぐ下蓋部と、を備え、前記本体部は、板状に形成された、第1壁部、第2壁部、第3壁部、第4壁部、及び第5壁部を有し、前記第1壁部、前記第2壁部、前記第3壁部、前記第4壁部、及び前記第5壁部は、この順で、折り曲げ可能に連結され、前記第1壁部の背面に、前記第5壁部の前面が接着されることで、前記第1壁部と前記第5壁部とが重ねられ、前記第1壁部と前記第3壁部とが対向し、前記第2壁部と前記4壁部とが対向するように、前記本体部は角筒状に形成され、前記下蓋部は、板状に形成され、前記第2壁部の下端に折り曲げ可能に連結された第1下部横フラップと、板状に形成され、前記第4壁部の下端に折り曲げ可能に連結された第2下部横フラップと、板状に形成され、前記第3壁部の下端に折り曲げ可能に連結された下部支持フラップと、板状に形成され、前記第5壁部の下端に折り曲げ可能に連結された下部カバーフラップと、を備え、折り曲げられた前記第1下部横フラップ及び前記第2下部横フラップを覆うように、前記下部支持フラップが折り曲げられ、さらに、前記下部支持フラップを覆うように、前記下部カバーフラップが折り曲げられて、前記下部支持フラップに接着され、前記第1下部横フラップは、第1突部を有し、前記第1突部と前記第1壁部とで、前記第5壁部を挟むように構成されている。
【0007】
上記包装用箱は、前記第2下部横フラップは、第2突片を有し、前記第2突部と前記第1壁部とで、前記第5壁部を挟むように構成されているものとすることができる。
【0008】
上記包装用箱は、前記第1下部横フラップは、等脚台形状に形成された基部と、前記第1突部とを備え、前記基部の下底が、前記第2壁部の下端に折り曲げ可能に連結され、前記基部の前記第5壁部側の脚から、前記第1突部が突出しているものとすることができる。
【0009】
上記包装用箱は、前記第1突部は、前記基部の前記第5壁部側の脚において、前記第2壁部側の端部に設けられているものとすることができる。
【0010】
上記包装用箱において、前記上蓋部は、板状に形成され、前記第2壁部の上端に折り曲げ可能に連結された第1上部横フラップと、板状に形成され、前記第4壁部の上端に折り曲げ可能に連結された第2上部横フラップと、板状に形成され、前記第3壁部の上端に折り曲げ可能に連結された上部支持フラップと、板状に形成され、前記第5壁部の上端に折り曲げ可能に連結された上部カバーフラップと、を備え、折り曲げられた前記第1上部横フラップ及び前記第2上部横フラップを覆うように、前記上部支持フラップが折り曲げられ、さらに、前記上部支持フラップを覆うように、前記上部カバーフラップが折り曲げられて、前記上部支持フラップに接着されているものとすることができる。
【0011】
上記包装用箱において、前記第1壁部の上端に連結され、前記本体部の前記上部開口部側から突出する突壁部をさらに備え、前記突壁部は、前記第1壁部の上端に折り曲げ可能に連結されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る包装用箱によれば、少なくとも下蓋部を効率的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装用箱の斜視図である。
【
図16】突部が形成されていない第1下部横フラップを有する下蓋部の組立を説明する斜視図である。
【
図17】突部が形成されていない第1下部横フラップを有する下蓋部の組立を説明する平面図である。
【
図18】突部が形成されていない第1下部横フラップを有する下蓋部の組立を説明する斜視図である。
【
図19】突部が形成されていない第1下部横フラップを有する下蓋部の組立を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.包装用箱の概要>
以下、本発明に係る包装用箱の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は包装用箱の斜視図であり、
図2は包装用箱の展開図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る包装用箱は、上下方向に長い縦長の直方体であり、商品(物品)が収容される角筒状の本体部1を備えている。そして、本体部1の下部開口には下蓋部3が形成されており、上部開口には商品を取り出し可能な上蓋部2が設けられている。さらに、上部開口の一辺には、上方に突出する突壁部が設けられている。この突壁部4には、いわゆるPOP広告等の商品説明などが表示される。以下では、まず、
図2を参照しつつ、この包装用箱の展開図について説明する。また、以下の説明では、説明の便宜上、
図2の横方向を幅方向、上下方向を縦方向と称して説明を行うことがある。
【0016】
<1-1.本体部>
本実施形態に係る包装用箱は、
図2に示すように展開することができ、プラスチック、紙などの変形可能な薄板状の材料で形成されている。この包装用箱の本体部1は、
図2の左から右へ、矩形の板状に形成された正面部(第1壁部)11、第1側面部(第2壁部)12、背面部(第3壁部)13、第2側面部(第4壁部)14、及び糊代部(第5壁部)15が、この順で連結されている。これら各部11~15は同じ大きさに形成されるとともに、各部の連結部分はそれぞれ折り曲げ可能となっている。また、糊代部15は、組み立てられたときに、正面部11の背面に重ねられるように接着され、これによって本体部1は角筒状に形成される。糊代部と正面部とを接着するため、糊代部15において、第2側面部14寄りの部分には、上下方向に延びるビード状の第1接着剤151が塗布される。
【0017】
正面部11は、包装用箱の正面を向く面であり、例えば、商品の名称などが表示されている。また、正面部11の上端には、上述した突壁部4が連結されている。突壁部4の左右方向の幅は、正面部11の幅と同じである。一方、背面部13は、包装用箱が組み立てられたときには、正面部11と対向する位置に配置される。そして、背面部13には、例えば、商品の使用方法、成分表,会社名などが表示される。第1側面部12は正面部11に向かって右側に配置され、第2側面部14は第1側面部12と対向する位置、つまり正面部11に向かって左側に配置される。そして、本体部1の上部開口101及び下部開口102は、概ね正方形に形成されている。
【0018】
<1-2.上蓋部>
次に、上蓋部2について説明する。上蓋部2は、第1上部横フラップ21、第2上部横フラップ22、上部支持フラップ23、及び上部カバーフラップ24により構成されている。第1上部横フラップ21は、第1側面部12の上縁に折り曲げ可能に連結され、第2上部横フラップ22は、第2側面部14の上縁に折り曲げ可能に連結されている。第1上部横フラップ21と第2上部横フラップ22は、同じ形状、つまり等脚台形状に形成されている。第1上部横フラップ21と第2上部横フラップ22の、
図2における上下方向の長さは、正面部11の及び背面部13の上縁の長さの約半分の長さになっている。したがって、後述するように、第1上部横フラップ21及び第2上部横フラップ22を折り曲げると、それぞれが、本体部1の上部開口101の約半分を塞ぐようになっており、これら2つの横フラップ21,22により、上部開口101の概ね全体が塞がれるようになっている。
【0019】
上部支持フラップ23は、背面部13の上縁に折り曲げ可能に連結されている。この上部支持フラップ23は、等脚台形状に形成されており、
図2における上下方向の長さは、第1側面部12の及び第2側面部14の上縁の長さとほぼ同じ長さになっている。したがって、後述するように、上部支持フラップ23を折り曲げると、上部開口101の概ね全体が塞がれるようになっている。また、上部支持フラップ23において、背面部13の上端側には、左右方向に延びる帯状の第2接着剤231が塗布されるようになっている。
【0020】
上部カバーフラップ24は、糊代部15の上縁に折り曲げ可能に連結されている。この上部カバーフラップ24は、矩形状に形成されており、
図2における上下方向の長さは、第1側面部12及び第2側面部14の上縁の長さとほぼ同じ長さになっている。したがって、後述するように、上部カバーフラップ24を折り曲げると、上部開口101の概ね全体が塞がれるようになっている。また、上部カバーフラップ24には、
図2の上下方向における中央付近に、平行に延びる一対のミシン目245が形成されている。上部カバーフラップ24において、これらミシン目245によって挟まれた帯状部分が、切取り可能となっている。以下、この部分を切取り部240と称することとする。また、切取り部240を挟んで、糊代部15側の部分を第1部位241、第1部位241とは反対側の部分を第2部位242と称することとする。切取り部240は、指で掴みやすいように、左右方向の一端部に掴み部244が設けられている。
【0021】
<1-3.下蓋部>
次に、下蓋部3について説明する。下蓋部3は、第1下部横フラップ31、第2下部横フラップ32、下部支持フラップ33、及び下部カバーフラップ34により構成されている。第1下部横フラップ31は、第1側面部12の下縁に折り曲げ可能に連結され、第2下部横フラップ32は、第2側面部14の下縁に折り曲げ可能に連結されている。第1下部横フラップ31と第2下部横フラップ32は、同じ形状、つまり等脚台形状に形成されている。第1下部横フラップ31と第2下部横フラップ32の、
図2における上下方向の長さは、正面部11の及び背面部13の上縁の長さの約半分の長さになっている。したがって、後述するように、第1下部横フラップ31及び第2下部横フラップ32を折り曲げると、それぞれが、本体部1の下部開口102の約半分を塞ぐようになっており、これら2つの横フラップ31,32により、下部開口102の概ね全体が塞がれるようになっている。
【0022】
また、第1下部横フラップ31について、より詳細に説明すると、次の通りである。
図3に示すように、第1下部横フラップ31は、等脚台形状の基部311と、この基部311の両脚からそれぞれ突出する突部312とを備えている。各突部312は、第1側面部12の下縁と接するように形成され、且つ、第1側面部12の両側を延長するように延びる縁部313を有している。
【0023】
そして、第2下部横フラップ32も、第1下部横フラップ31と同様の形状に形成されており、基部321と突部322とを有している。
【0024】
続いて、下部支持フラップ33について説明する。下部支持フラップ33は、背面部13の下縁に折り曲げ可能に連結されている。この下部支持フラップ33は、等脚台形状に形成されており、
図2における上下方向の長さは、第1側面部12の及び第2側面部14の下縁の長さとほぼ同じ長さになっている。したがって、後述するように、下部支持フラップ33を折り曲げると、下部開口102の概ね全体が塞がれるようになっている。また、下部支持フラップ33において、背面部13の下縁側には、左右方向に延びる帯状の第3接着剤331が塗布されるようになっている。
【0025】
次に、下部カバーフラップ34について説明する。下部カバーフラップ34は、糊代部15の下縁に折り曲げ可能に連結されている。この下部カバーフラップ34は、矩形状に形成されており、
図2における上下方向の長さは、第1側面部12の及び第2側面部14の下縁の長さとほぼ同じ長さになっている。したがって、後述するように、下部カバーフラップ34を折り曲げると、下部開口102の概ね全体が塞がれるようになっている。
【0026】
<2.包装用箱の組立>
次に、上記のように構成された包装用箱の組み立てについて説明する。まず、
図2のように展開された状態から本体部1を組み立てる。具体的には、
図4に示すように、各部11~15の連結部分を折り曲げることで、角筒状に形成する。このとき、糊代部15を正面部11の背面に重ね、接着剤151により固定する。こうして、本体部1が、内部空間を有する角筒状に形成される。
【0027】
次に、本体部1の下部開口102を閉じる下蓋部3を組み立てる。まず、
図5に示すようにして、下部開口102を塞ぐように、第1下部横フラップ31及び第2下部横フラップ32を折り曲げる。これにより、
図6に示すように、第1下部横フラップ31及び第2下部横フラップ32の各突部312,322が糊代部15に接する。こうして、正面部11と各突部312,322によって糊代部15が挟まれた状態となる。次に、
図7に示すように、これら第1下部横フラップ31及び第2下部横フラップ32を覆うように、下部支持フラップ33を折り曲げる。最後に、
図8に示すように、下部支持フラップ33を覆うように、下部カバーフラップ34を折り曲げる。このとき、下部支持フラップ33に塗布された第3接着剤331により、下部支持フラップ33と下部カバーフラップ34とが固定される。こうして、下部開口102を塞ぐ正方形状の下蓋部3が形成される。なお、第3接着剤331は、下部カバーフラップが折り曲げられる前であれば、どのタイミングで下部支持フラップ33に塗布されてもよい。また、以上の折り曲げ作業は、機械によって行うことができる。例えば、下部カバーフラップ34を折り曲げる際には、
図9に示すように、矢印Fの方向から下部カバーフラップ34を機械80によって押圧して折り曲げる。この点は、次に説明する上蓋部2においても同じである。
【0028】
次に、本体部1の上部開口101を閉じる上蓋部2を組み立てる。まず、上部開口から商品(図示省略)を本体部1へ挿入する。次に、
図10に示すようにして、上部開口101を塞ぐように、第1上部横フラップ21及び第2上部横フラップ22を折り曲げる。続いて、
図11に示すように、これら第1上部横フラップ21及び第2上部横フラップ22を覆うように、上部支持フラップ23を折り曲げる。最後に、
図11の矢印F方向から、上述したのと同様の機械(図示省略)によって、突壁部4及び上部カバーフラップ24の両方を押圧する。これにより、
図12に示すように、突壁部4及び上部カバーフラップ24の両方が折り曲げられるが、上部カバーフラップ24のみが、上部支持フラップ23に塗布された第2接着剤231により、上部支持フラップ23に固定される。そして、突壁部4は折り曲げられるものの、第2接着剤231には固定されないため、
図13に示すように、本体部1から起立した状態に復元する。こうして、上部開口101を塞ぐ正方形状の上蓋部2が形成され、包装用箱の組立が完了する。なお、第2接着剤231は、上部カバーフラップ24が折り曲げられる前であれば、どのタイミングで上部支持フラップ23に塗布されてもよい。また、第2接着剤231は、上部カバーフラップ24の第2部位242に接着される。
【0029】
<3.包装用箱の使用方法>
包装用箱から商品を取り出すには、まず、
図14に示すように、上部カバーフラップ24の切取り部240をミシン目に沿って切り取る。これにより、上部カバーフラップ24の第1部位241と第2部位242が分離するため、
図15に示すように、第2接着剤231に固定されていない第1部位241を開くことができる。また、第2部位242は上部支持フラップ23に固定されたまま、上部支持フラップ23とともに、開くことができる。そして、第1上部横フラップ21及び第2上部横フラップ22を開けば、本体部1から商品を取り出すことができる。
【0030】
<4.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)上蓋部2及び下蓋部3は、接着剤231,331の塗布、及び各フラップ21~24,31~34の折曲げのみで組み立てることができるため、これらの作業を機械によって行うことができる。したがって、人力によらず、効率的に上蓋部2及び下蓋部3の組立作業を行うことができる。
【0031】
(2)下蓋部3の第1下部横フラップ31には、突部312が形成されているため、次の効果を得ることができる。例えば、
図16及び
図17に示すように、第1下部横フラップ31に突部が形成されていない場合には、下部カバーフラップを押圧するときに、これに連結された糊代部も同時に押圧される。これにより、糊代部15は、ビード状の第1接着剤151を支点として矢印Yの方向に旋回する。このとき、第1下部横フラップ31には、糊代部15と接する部分がないため、糊代部15は、本体部1の内部空間側に押し込まれる。また、糊代部15と連結された下部カバーフラップ34は、
図18及び
図19に示すように、やや旋回した状態で、下部支持フラップ33に接着される。そのため、下部カバーフラップ34の先端部が、本体部1の背面部13からはみ出すおそれがある。
【0032】
これに対して、
図5及び
図6に示すように、本実施形態の第1下部横フラップ31には、糊代部15に接する突部312が形成されているため、下部カバーフラップ34が押圧されたとき、糊代部15は突部312によって本体部1の内部空間側に押し込まれるのが抑制される。したがって、下部カバーフラップ34が旋回された状態で、下部支持フラップ33に接着されるのを防止することができる。
【0033】
(3)第2下部横フラップ32にも、突部322が形成されているが、この突部322は、糊代部15の旋回防止には直接寄与しない。これは、第1下部横フラップ31の背面部13側の突部312についても同様である。しかしながら、
図6に示すように、これらの突部312,322が糊代部15や背面部13に接することで、本体部1が角筒状に維持され、型崩れするのを防止することができる。
【0034】
(4)上蓋部2についても、糊代部15の旋回の問題が考えられるが、上述したように、上蓋部2の組立の際には、上部カバーフラップ24と突壁部4とを同時に押圧するため、上部カバーフラップ24に作用する押圧力が抑えられ、これによって糊代部15が旋回するのを抑制することができる。したがって、第2上部横フラップ22には突部が形成されていなくても、上部カバーフラップ24がずれて接着されることは抑制される。
【0035】
(5)第1下部横フラップ31及び第2下部横フラップ32は、等脚台形状の基部311,321を有している。すなわち、各基部311,321の脚は、突部312,322が形成されている部分を除いて傾斜している。このため、第1下部横フラップ31及び第2下部横フラップ32を折り曲げる際に、これらが下部支持フラップ33及び下部カバーフラップ34に干渉するのを防止することができる。この点は、第1上部横フラップ21及び第2上部横フラップ22についても同様である。
【0036】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0037】
(1)上記実施形態では、上蓋部2及び下蓋部3をフラップ21~24,31~34の折り曲げと接着剤231,331により形成しているが、少なくとも下蓋部がこのように形成されていればよい。したがって、上蓋部2については、従来例のように、フラップの差し込みによって形成されていてもよく、また開封可能であれば、ミシン目によって切り取る以外の形態であってもよい。さらには、下蓋部3と同様に構成されていてもよい。
【0038】
(2)突部312は、少なくとも第1下部横フラップ31の、糊代部15側に設けられていればよく、他の部分には,必ずしも設けられていなくてもよい。但し、第1下部横フラップ31及び第2下部横フラップ32の各脚に設けると、上述したように、本体部1の型崩れを防止することができるため、有利である。
【0039】
(3)突部312の形状、位置、数は特には限定されず、種々の変更が可能である。例えば、
図20に示すように、糊代部15と接する長さを長くすることができる。あるいは、
図21に示すように、基部311の脚において、第1側面部12側の端部ではなく、脚の中央付近に設けることもできる。また、突部312を複数設けることもできるし、糊代部15に接するのであれば、矩形状以外でもよい。さらに、突部312は初期状態において、糊代部15に完全に接触していなくてもよく、わずかであれば、隙間が形成されていてもよい。すなわち、下部カバーフラップ34のズレが視認しがたい程度であれば、糊代部15がわずかに旋回してもよい。
【0040】
(4)上記実施形態では、正面部11の上端に突壁部4を設け、POP広告等を表示するようにしているが、突壁部4は必ずしも必要ではない。糊代部15は、突壁部4を設ける役割を果たす以外に、例えば、商品説明を記載することができる。この場合、例えば、正面部11に切り取り線を形成し、この切り取り線を破断したときに、糊代部15が露出するようにすればよい。これにより、露出した糊代部15の表面に記載された商品説明を視認することができる。
【0041】
(5)上記実施形態では、各横フラップ21,22,31,32を等脚台形状に形成しているが、これに限定されず、種々の形状にすることができる。
【0042】
(6)上記実施形態では、糊代部15に1本のビード状の第1接着剤151が塗布されているが、第1接着剤151の形態は特には限定されず、正面部11と糊代部15とが固定されればよい。但し、第1接着剤151を1本のビード状に形成すると、製造工程が簡単になり、本体部1の組立が容易になる。また、第2接着剤231及び第3接着剤の形態も特には限定されない。
【符号の説明】
【0043】
1 本体部
2 上蓋部
3 下蓋部
4 突壁部
11 正面部(第1壁部)
12 第1側面部(第2壁部)
13 背面部(第3壁部)
14 第2側面部(第4壁部)
15 糊代部(第5壁部)
21 第1上部横フラップ
22 第2上部横フラップ
23 上部支持フラップ
24 上部カバーフラップ
31 第1下部横フラップ
312 突部
32 第2下部横フラップ
322 突部
33 下部支持フラップ
34 下部カバーフラップ