(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】廃液処理装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240117BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20240117BHJP
B01D 24/38 20060101ALI20240117BHJP
B01D 29/88 20060101ALI20240117BHJP
B23Q 11/10 20060101ALN20240117BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
B01D23/02 A
B01D23/20
B23Q11/10 E
(21)【出願番号】P 2020046291
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塚 敦
(72)【発明者】
【氏名】川名 守
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-210113(JP,A)
【文献】実開昭63-035404(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00;
B01D 23/00-35/04,35/08-37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に加工水を供給して被加工物を加工する加工装置から排出される、該加工水よりも比重の大きい加工屑を含む廃液を貯めて、該加工屑を沈殿させることにより、該廃液から該加工屑を除去する廃液処理装置であって、
側板と該側板の下端を接続する底板とを備える沈殿槽と、
該側板に配置され、該廃液を該沈殿槽内に入れるための入口と、
該入口が配置された該側板に対向配置された該側板に配置され、該加工屑を除いた該廃液を該沈殿槽から排出するための出口と、
該沈殿槽内に出し入れ可能に配置されるカゴと、を備え、
該カゴは、
取っ手と、
網目を有する網板または複数の穴を有するパンチングプレートからなるカゴ側板と、該カゴ側板の下端を連結する、網目を有する網板または複数の穴を有するパンチングプレートからなるカゴ底板と、該カゴ側板の
上端の間の開口と、を備えたカゴ本体部と、を有し、
該カゴは、該沈殿槽の内壁面と該カゴの外壁面との間に隙間が形成されないように、該沈殿槽内に配置され、
該カゴ本体部は、該カゴ本体部内に沈殿した加工屑によって、該カゴ側板および該カゴ底板の該網目または該穴が塞がれ、該沈殿槽から該カゴが取り出された際に、加工屑が留められた状態となる、ように構成されており、
該カゴ本体部は、直方体形状を有し、
該カゴは、四角形の該カゴ底板の下に配置され、該カゴ底板の外周から端が飛び出ているカゴ回転軸をさらに備え、
該取っ手は、該カゴ回転軸の両端に接続される門型の取っ手であり、
該カゴ本体部は、該沈殿槽から該カゴが取り出された場合、該門型の該取っ手の内側で、該カゴ回転軸を軸に回転されることにより、該開口が下向きとなる、ように構成されており、
該沈殿槽に貯まった加工屑の廃棄を容易にする、廃液処理装置。
【請求項2】
被加工物に加工水を供給して被加工物を加工する加工装置から排出される、該加工水よりも比重の大きい加工屑を含む廃液を貯めて、該加工屑を沈殿させることにより、該廃液から該加工屑を除去する廃液処理装置であって、
側板と該側板の下端を接続する底板とを備える沈殿槽と、
該側板に配置され、該廃液を該沈殿槽内に入れるための入口と、
該入口が配置された該側板に対向配置された該側板に配置され、該加工屑を除いた該廃液を該沈殿槽から排出するための出口と、
該沈殿槽内に出し入れ可能に配置されるカゴと、を備え、
該カゴは、
取っ手と、
網目を有する網板または複数の穴を有するパンチングプレートからなるカゴ側板と、該カゴ側板の下端を連結する、網目を有する網板または複数の穴を有するパンチングプレートからなるカゴ底板と、該カゴ側板の上端の間の開口と、を備えたカゴ本体部と、を有し、
該カゴは、該沈殿槽の内壁面と該カゴの外壁面との間に隙間が形成されないように、該沈殿槽内に配置され、
該カゴ本体部は、該カゴ本体部内に沈殿した加工屑によって、該カゴ側板および該カゴ底板の該網目または該穴が塞がれ、該沈殿槽から該カゴが取り出された際に、加工屑が留められた状態となる、ように構成されており、
該カゴは、直方体形状を有しており、
該カゴ側板の下辺と四角形の該カゴ底板の一辺との接続部分に配置され、該カゴ側板を回転させるための側板回転軸を備え、
該カゴ本体部は、該沈殿槽から該カゴが取り出された場合、該側板回転軸を軸に該カゴ側板が回転されることにより、該カゴ底板よりも下に該カゴ側板が垂れ下がる、ように構成されて
おり、
該沈殿槽に貯まった加工屑の廃棄を容易にする、廃液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃液処理装置は、特許文献1~4に開示のように、水よりも比重の大きい加工屑を含む廃液を貯め、加工屑を沈殿させて上澄み水を排水処理施設に排水したり、上澄み水を加工水再生装置に送水したりして、加工水に再生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-230527号公報
【文献】特開2006-305507号公報
【文献】特開2014-144407号公報
【文献】特開2011-224448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような廃液処理装置では、沈殿槽に加工屑が沈殿することによって、沈殿槽の深さが浅くなる。沈殿槽の深さが浅くなると、沈殿槽内を流れる水の流速が速くなるので、加工屑を沈殿させる時間が短くなる。このため、加工屑が沈殿する前に、上澄み水を排水するための排水口から、加工屑を含んだ水が排水されることとなり、排水処理施設が汚染されたり、加工水再生装置が汚染されたりする。
【0005】
したがって、本発明の目的は、加工屑を沈殿させる廃液処理装置に関し、沈殿槽の底に沈殿した加工屑を容易に取り出すことを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の廃液処理装置(本廃液処理装置)は、被加工物に加工水を供給して被加工物を加工する加工装置から排出される、該加工水よりも比重の大きい加工屑を含む廃液を貯めて、該加工屑を沈殿させることにより、該廃液から該加工屑を除去する廃液処理装置であって、側板と該側板の下端を接続する底板とを備える沈殿槽と、該側板に配置され、該廃液を該沈殿槽内に入れるための入口と、該入口が配置された該側板に対向配置された該側板に配置され、該加工屑を除いた該廃液を該沈殿槽から排出するための出口と、該沈殿槽内に出し入れ可能に配置されるカゴと、を備え、該カゴは、取っ手と、網目を有する網板または複数の穴を有するパンチングプレートからなるカゴ側板と、該カゴ側板の下端を連結する、網目を有する網板または複数の穴を有するパンチングプレートからなるカゴ底板と、該カゴ側板の上端の間の開口と、を備えたカゴ本体部と、を有し、該カゴは、該沈殿槽の内壁面と該カゴの外壁面との間に隙間が形成されないように、該沈殿槽内に配置され、該カゴ本体部は、該カゴ本体部内に沈殿した加工屑によって、該カゴ側板および該カゴ底板の該網目または該穴が塞がれ、該沈殿槽から該カゴが取り出された際に、加工屑が留められた状態となる、ように構成されており、該カゴ本体部は、直方体形状を有し、該カゴは、四角形の該カゴ底板の下に配置され、該カゴ底板の外周から端が飛び出ているカゴ回転軸をさらに備え、該取っ手は、該カゴ回転軸の両端に接続される門型の取っ手であり、該カゴ本体部は、該沈殿槽から該カゴが取り出された場合、該門型の該取っ手の内側で、該カゴ回転軸を軸に回転されることにより、該開口が下向きとなる、ように構成されており、該沈殿槽に貯まった加工屑の廃棄を容易にする。
【0008】
本発明の他の廃液処理装置は、被加工物に加工水を供給して被加工物を加工する加工装置から排出される、該加工水よりも比重の大きい加工屑を含む廃液を貯めて、該加工屑を沈殿させることにより、該廃液から該加工屑を除去する廃液処理装置であって、側板と該側板の下端を接続する底板とを備える沈殿槽と、該側板に配置され、該廃液を該沈殿槽内に入れるための入口と、該入口が配置された該側板に対向配置された該側板に配置され、該加工屑を除いた該廃液を該沈殿槽から排出するための出口と、該沈殿槽内に出し入れ可能に配置されるカゴと、を備え、該カゴは、取っ手と、網目を有する網板または複数の穴を有するパンチングプレートからなるカゴ側板と、該カゴ側板の下端を連結する、網目を有する網板または複数の穴を有するパンチングプレートからなるカゴ底板と、該カゴ側板の上端の間の開口と、を備えたカゴ本体部と、を有し、該カゴは、該沈殿槽の内壁面と該カゴの外壁面との間に隙間が形成されないように、該沈殿槽内に配置され、該カゴ本体部は、該カゴ本体部内に沈殿した加工屑によって、該カゴ側板および該カゴ底板の該網目または該穴が塞がれ、該沈殿槽から該カゴが取り出された際に、加工屑が留められた状態となる、ように構成されており、該カゴは、直方体形状を有しており、該カゴ側板の下辺と四角形の該カゴ底板の一辺との接続部分に配置され、該カゴ側板を回転させるための側板回転軸を備え、該カゴ本体部は、該沈殿槽から該カゴが取り出された場合、該側板回転軸を軸に該カゴ側板が回転されることにより、該カゴ底板よりも下に該カゴ側板が垂れ下がる、ように構成されており、該沈殿槽に貯まった加工屑の廃棄を容易にする。
【発明の効果】
【0010】
本廃液処理装置では、網板あるいはパンチングプレートからなるカゴ側板およびカゴ底板を含むカゴ本体部に加工屑を溜めること、および、網板の網目あるいはパンチングプレートの穴を、加工屑によって塞ぐことができる。したがって、沈殿槽からカゴを取り出すことにより、加工屑を、カゴ本体部からこぼれ落とすことなく、沈殿槽から容易に取り出すことができる。また、カゴを取り出した後、加工屑をこぼれ落とすことなく、カゴを所定の廃棄場所に運ぶことができる。
【0011】
また、カゴ本体部のカゴ側板およびカゴ底板は、網板あるいはパンチングプレートから構成されているため、これらに加工屑が付着した場合でも、水で洗い流すことにより、加工屑を容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態にかかる廃液処理装置を示す説明図である。
【
図2】
図1に示した廃液処理装置に用いられるカゴを示す斜視図である。
【
図7】第2実施形態にかかる廃液処理装置を示す説明図である。
【
図8】
図7に示した廃液処理装置に用いられるカゴを示す斜視図である。
【
図11】
図7に示した廃液処理装置の側面図である。
【
図12】
図7に示した廃液処理装置の上面図である。
【
図13】
図7に示した廃液処理装置に用いられることの可能な他のカゴを示す斜視図である。
【
図16】
図13に示したカゴを備えた廃液処理装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態にかかる廃液処理装置1は、被加工物に加工水を供給して被加工物を加工する加工装置100から排出される、加工水よりも比重の大きい加工屑を含む廃液を貯めて、加工屑を沈殿させることにより、廃液から加工屑を除去するものである。
廃液処理装置1は、沈殿槽20と、沈殿槽20の内部に出し入れ可能に配置される複数のカゴ3とを有している。
【0014】
沈殿槽20は、4枚の側板21、22、23、24と、これら側板21~24の下端を接続する底板25とを備えている。
より詳細には、沈殿槽20における4枚の側板21~24は、前側側板21、後側側板22、第1横側板23、および第2横側板24からなる。
【0015】
前側側板21および後側側板22は、廃液の流れる方向であるX軸方向に沿って対向するように配置されている。第1横側板23は、前側側板21の+Y側の側辺と後側側板22の+Y側の側辺とを連結するように配置されている。第2横側板24は、Y軸方向に沿って横側板23に対向するように配置されており、前側側板21の-Y側の側辺と後側側板22の-Y側の側辺とを連結している。
【0016】
これらの4枚の側板21~24と、側板21~24の下端を接続する底板25とにより、沈殿槽20は、上部の開口26が開口されるとともに、その内部に廃液を溜めることが可能な、箱体を構成している。
【0017】
また、前側側板21は、その-Y側の上部に、廃液を沈殿槽20内に入れるための入口27を備えている。また、前側側板21に対向配置された後側側板22は、その+Y側の上部に、沈殿槽20から加工屑を除いた廃液を排出するための出口28を備えている。
【0018】
入口27は、配管101を介して、加工装置100と接続されている。加工装置100は、被加工物に加工水を供給して被加工物を加工する加工装置である。加工装置100からは、廃液が排出される。この廃液は、使用済みの加工水、および、加工水よりも比重の大きい加工屑を含む。加工装置100から排出される廃液は、配管101を介して、入口27から沈殿槽20内に流入する。
【0019】
また、沈殿槽20の内部には、前側側板21および後側側板22に平行に、複数の仕切り板29が設けられている。そして、沈殿槽20は、前側側板21、後側側板22および仕切り板29によって区切られた空間に、カゴ3が配置されるように構成されている。
【0020】
図2に示すように、カゴ3は、沈殿槽20の底板25上に載置されるカゴ本体部30を備えている。カゴ本体部30は、一対のカゴ側板31および32、第1カゴ横板33、第2カゴ横板34、ならびに、カゴ側板31および32の下端を連結するカゴ底板35を有している。
【0021】
より詳細には、一対のカゴ側板31および32は、前側カゴ側板31および後側カゴ側板32からなる。前側カゴ側板31および後側カゴ側板32は、カゴ本体部30が沈殿槽20内に配置されたときに、廃液の流れる方向であるX軸方向に沿って対向するように配置される。
【0022】
すなわち、カゴ本体部30が沈殿槽20内に配置されたときには、たとえば、前側カゴ側板31は、沈殿槽20における入口27が形成された前側側板21(
図1参照)に対向する一方、後側カゴ側板32は、出口28が形成された後側側板22に対向するように配置される。
また、前側カゴ側板31および後側カゴ側板32は、網目を有する網板からなる。
【0023】
第1カゴ横板33および第2カゴ横板34は、前側カゴ側板31の側辺と後側カゴ側板32の側辺とを固定的に連結するように設けられている。
カゴ本体部30が沈殿槽20内に配置されたときには、たとえば、第1カゴ横板33は、沈殿槽20の第1横側板23に対向する一方、第2カゴ横板34は、第2横側板24に対向するように配置される。
【0024】
カゴ底板35は、前側カゴ側板31および後側カゴ側板32と同様に、網目を有する網板からなる。このカゴ底板35は、四角形であり、これら前側カゴ側板31、後側カゴ側板32、第1カゴ横板33および第2カゴ横板34の下端を連結している。
これにより、カゴ3のカゴ本体部30は、上面に開口36が設けられる直方体形状の箱体を構成している。このように、カゴ本体部30は直方体形状を有しており、その上面の開口36は、前側カゴ側板31および後側カゴ側板32の上端を連結している。
【0025】
また、カゴ3は、カゴ回転軸37および取っ手38を有している。
カゴ回転軸37は、カゴ本体部30における四角形のカゴ底板35の下に配置されている。カゴ回転軸37の両端部は、カゴ底板35の外周から飛び出ている。
【0026】
本実施形態では、カゴ回転軸37は、細長い円柱状を有しており、カゴ底板35の外面に設けられた軸受け部351内に収容されている。軸受け部351は、
図2および
図3に示すように、カゴ底板35の外面の中央に、前側カゴ側板31および後側カゴ側板32の下端と平行に延びるように、かつ、カゴ底板35の外面から突き出るように設けられている。そして、この軸受け部351は、カゴ回転軸37を回転可能に収容するように構成されている。
カゴ回転軸37は、その両端が、軸受け部351およびカゴ底板35の外周(第1カゴ横板33および第2カゴ横板34の下端)から外側に飛び出るように、軸受け部351に収容されている。
【0027】
取っ手38は、門型を有しており、カゴ回転軸37の両端に接続されている。本実施形態では、取っ手38は、一対の細長い板状の取っ手支持部382、および、同じく細長い板状の把持部381を有している。
【0028】
把持部381は、作業者に把持される部分である。把持部381は、一対の取っ手支持部382の一方の端部どうしを連結するように構成されている。取っ手支持部382の他方の端部は、第1カゴ横板33および第2カゴ横板34の下端から外側に飛び出ているカゴ回転軸37の両端部に接続されている。
本実施形態では、カゴ回転軸37の両端部は、取っ手支持部382の外面から飛び出ないように形成されている。たとえば、カゴ回転軸37の両端部は、取っ手支持部382の外面と面一となっている。
【0029】
このような構成を有するカゴ3では、カゴ3が沈殿槽20内に配置されるときには、把持部381が、カゴ本体部30の開口36側に位置される。このときには、
図2および
図3に示すように、取っ手支持部382は、前側カゴ側板31および第1カゴ横板33に沿って、第1カゴ横板33および第2カゴ横板34の外側において延びるように配置される。
【0030】
一方、カゴ3が沈殿槽20から取り出されているときには、
図4に示すように、カゴ本体部30は、取っ手38の内側で、矢印301に示すように、カゴ回転軸37を軸に回転されることにより、開口36が下向きとなることができるように構成されている。これにより、カゴ3では、カゴ本体部30が、たとえば加工屑廃棄箱60の上方において、開口36が下向きとなるような姿勢をとることができる。
【0031】
また、カゴ3は、沈殿槽20の内壁面とカゴ3の外壁面との間に隙間が形成されないように、沈殿槽20内に配置される。
本実施形態では、
図1に示すように、たとえば6つのカゴ3が、カゴ3の外壁面と沈殿槽20の内壁面(すなわち、側板21~24の内面および底板25の内面)との間に隙間が形成されないように、沈殿槽20の内部に配置されている。カゴ3の外壁面は、前側カゴ側板31、後側カゴ側板32、第1カゴ横板33、第2カゴ横板34およびカゴ底板35の外面である。
【0032】
図5に示すように、本実施形態では、沈殿槽20の前側側板21の内面に、最も-X側に配置されたカゴ3の前側カゴ側板31の外面が、隙間なく接触している。また、後側側板22の内面に、最も+X側に配置されたカゴ3の後側カゴ側板32の外面が、隙間なく接触している。
【0033】
さらに、各カゴ3のカゴ底板35の外面が、沈殿槽20の底板25の内面に接触している。ここで、上記したように、カゴ底板35の外面には、カゴ回転軸37を回転可能に収容するための軸受け部351が、カゴ底板35の外面から突き出るように設けられている。これに応じて、沈殿槽20の底板25の内面には、この軸受け部351を収容するための凹部である底板凹部251が設けられている。カゴ底板35の軸受け部351が、底板25の底板凹部251に収容(嵌合)されることにより、カゴ底板35の外面は、沈殿槽20の底板25の内面に、隙間なく接触することができる。
【0034】
また、
図6に示すように、各カゴ3の第1カゴ横板33の外面が、沈殿槽20の第1横側板23の内面に接触している。また、各カゴ3の第2カゴ横板34の外面が、沈殿槽20の第2横側板24の内面に接触している。
【0035】
ここで、上記したように、カゴ3が沈殿槽20内に配置されるときには、取っ手38の取っ手支持部382が、第1カゴ横板33および第2カゴ横板34の外側において延びるように配置される。そのため、沈殿槽20の第1横側板23の内面には、取っ手支持部382を収容するための凹部である第1横側板凹部231が設けられている。さらに、第2横側板24の内面には、取っ手支持部382を収容するための凹部である第2横側板凹部241が設けられている。
【0036】
取っ手支持部382が、第1横側板23の第1横側板凹部231に収容(嵌合)されることにより、第1カゴ横板33の外面は、沈殿槽20の第1横側板23の内面に、隙間なく接触することができる。また、取っ手支持部382が、第2横側板24の第2横側板凹部241に収容されることにより、第2カゴ横板34の外面は、沈殿槽20の第2横側板24の内面に、隙間なく接触することができる。
【0037】
このような構成を有する廃液処理装置1では、加工装置100から配管101(
図1参照)に流出した廃液は、入口27から沈殿槽20内に流入する(
図5参照)。流入した廃液は、沈殿槽20内に溜められてゆく。この際、廃液における加工水よりも比重の大きい加工屑は、沈殿槽20に配置されているカゴ3のカゴ本体部30内に沈殿する。
【0038】
このように沈殿した加工屑によって、カゴ本体部30における前側カゴ側板31、後側カゴ側板32およびカゴ底板35の網目が塞がれて、カゴ本体部30内に、加工屑が溜められてゆく。このようにして、廃液から加工屑が除去されて、上澄みとしての濾過水が形成される。この濾過水は、出口28から流出し、配管を通じて、排水処理施設あるいは加工水再生装置等に供給される。
【0039】
また、このような廃液処理により、カゴ3のカゴ本体部30内に、廃液中の加工屑が溜められる。廃液処理の後、作業者は、沈殿槽20内に配置されているカゴ3の取っ手38における把持部381を把持して、沈殿槽20内からカゴ3を引き上げて取り出す。
【0040】
ここで、カゴ本体部30内に沈殿した加工屑によって、カゴ本体部30における前側カゴ側板31、後側カゴ側板32およびカゴ底板35の網目が塞がれている。したがって、カゴ本体部30は、沈殿槽20からカゴ3が取り出された際に、加工屑が留められた状態となっている。すなわち、カゴ本体部30は、沈殿槽20からカゴ3が取り出された後でも、加工屑が留められた状態を維持することができる。
【0041】
そして、作業者は、たとえば、
図4に示すように、加工屑廃棄箱60の上方に、カゴ3を配置する。そして、作業者は、取っ手38の内側で、カゴ本体部30を、矢印301に示すように、カゴ回転軸37を軸に回転させることにより、カゴ本体部30の開口36を下向きにする。これにより、作業者は、カゴ本体部30に溜められていた加工屑を、加工屑廃棄箱60内に容易に廃棄することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態では、網板からなる前側カゴ側板31、後側カゴ側板32およびカゴ底板35を含むカゴ本体部30に加工屑を溜めること、および、網板の網目を、加工屑によって塞ぐことができる。したがって、沈殿槽20からカゴ3を取り出すことにより、加工屑を、カゴ本体部30からこぼれ落とすことなく、沈殿槽20から容易に取り出すことができる。また、沈殿槽20からカゴ3を取り出した後、加工屑をこぼれ落とすことなく、カゴ3を所定の廃棄場所(加工屑廃棄箱60)に運ぶことができる。
【0043】
また、カゴ本体部30の前側カゴ側板31、後側カゴ側板32およびカゴ底板35は、網板から構成されているため、これらに加工屑が付着した場合でも、水で洗い流すことにより、加工屑を容易に除去することができる。
【0044】
また、本実施形態では、カゴ本体部30が、取っ手38の内側でカゴ回転軸37を軸に回転されて、開口36が下向きとなるような姿勢をとることができる。したがって、カゴ3を沈殿槽20から取り出した後、カゴ本体部30に溜められた加工屑を除去することが容易である。
【0045】
[第2実施形態]
図7に示すように、本実施形態にかかる廃液処理装置2は、第1実施形態にかかる廃液処理装置1と同様に、被加工物に加工水を供給して被加工物を加工する加工装置100から排出される、加工水よりも比重の大きい加工屑を含む廃液を貯めて、加工屑を沈殿させることにより、廃液から加工屑を除去するものである。
【0046】
廃液処理装置2は、廃液処理装置1と同様の沈殿槽20を有している一方、沈殿槽20内に、廃液処理装置1のカゴ3とは異なる構造を有するカゴ4が配置されている。カゴ4は、
図1に示したカゴ3と同様に、沈殿槽20における前側側板21、後側側板22および仕切り板29によって区切られた空間に配置される。
【0047】
図8に示すように、カゴ4は、沈殿槽20の底板25上に載置されるカゴ本体部40を備えている。カゴ本体部40は、一対のカゴ側板41および42、第1カゴ横板43、第2カゴ横板44、ならびに、カゴ側板41および42の下端を連結するカゴ底板45を有している。
【0048】
より詳細には、一対のカゴ側板41および42は、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42からなる。前側カゴ側板41および後側カゴ側板42は、カゴ本体部40が沈殿槽20内に配置されたときに、廃液の流れる方向であるX軸方向に沿って対向するように配置される。
【0049】
すなわち、カゴ本体部40が沈殿槽20内に配置されたときには、たとえば、前側カゴ側板41は、沈殿槽20における入口27が形成された前側側板21(
図7参照)に対向する一方、後側カゴ側板42は、出口28が形成された後側側板22に対向するように配置される。
また、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42は、網目を有する網板からなる。
【0050】
第1カゴ横板43および第2カゴ横板44は、前側カゴ側板41の側辺と後側カゴ側板42の側辺の間に配置されるように設けられている。
カゴ本体部40が沈殿槽20内に配置されたときには、たとえば、第1カゴ横板43は、沈殿槽20の第1横側板23に対向する一方、第2カゴ横板44は、第2横側板24に対向するように配置される。
【0051】
カゴ底板45は、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42と同様に、網目を有する網板からなる。このカゴ底板45は、四角形であり、これら前側カゴ側板41、後側カゴ側板42、第1カゴ横板43および第2カゴ横板44の下端を連結している。
これにより、カゴ4のカゴ本体部40は、上面に開口46が設けられる直方体形状の箱体を構成している。このように、カゴ本体部40は直方体形状を有しており、その上面の開口46は、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42の上端を連結している。
【0052】
また、カゴ4は、取っ手48を有している。取っ手48は、門型を有しており、カゴ本体部40に接続されている。本実施形態では、取っ手48は、一対の細長い板状の取っ手支持部482、および、同じく細長い板状の把持部481を有している。
【0053】
把持部481は、作業者に把持される部分である。把持部481は、一対の取っ手支持部482の一方の端部どうしを連結するように構成されている。取っ手支持部482の他方の端部は、第1カゴ横板43および第2カゴ横板44の内面に取り付けられている。
【0054】
さらに、カゴ4は、前側カゴ側板41を回転させるための前側側板回転軸411、および、後側カゴ側板42を回転させるための後側側板回転軸421を有している。前側側板回転軸411は、前側カゴ側板41の下辺と、四角形のカゴ底板45の一辺との接続部分に配置されている。後側側板回転軸421は、後側カゴ側板42の下辺と、カゴ底板45の他の一辺との接続部分に配置されている。
【0055】
本実施形態では、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42の下辺の角部が切り欠かれている。そして、前側カゴ側板41の切り欠き部に、前側カゴ側板41の下辺と平行に延びる、一対の前側側板回転軸411が設けられている。前側側板回転軸411は、前側カゴ側板41と一体化されている。
同様に、後側カゴ側板42の切り欠かれた部分に、後側カゴ側板42の下辺と平行に延びる、一対の後側側板回転軸421が設けられている。前側側板回転軸411は、前側カゴ側板41と一体化されている。
【0056】
また、本実施形態では、第1カゴ横板43の下端における前側カゴ側板41および後側カゴ側板42との接続部分に、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42の切り欠き部に嵌合されるように、一対の第1支持部431が設けられている。一対の第1支持部431は、第1カゴ横板43側の前側側板回転軸411および後側側板回転軸421を、回転可能に支持するためのものである。
【0057】
さらに、第2カゴ横板44の下端における前側カゴ側板41および後側カゴ側板42との接続部分に、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42の切り欠き部に嵌合されるように、一対の第2支持部441が設けられている。一対の第2支持部441は、第2カゴ横板44側の前側側板回転軸411および後側側板回転軸421を、回転可能に支持するためのものである。
【0058】
本実施形態では、前側側板回転軸411は、前側カゴ側板41とともに回転することが可能なように、第1支持部431および第2支持部441によって支持されている。同様に、後側側板回転軸421も、後側カゴ側板42とともに回転することが可能なように、第1支持部431および第2支持部441によって支持されている。
【0059】
このような構成を有するカゴ4では、カゴ4が沈殿槽20内に配置されるときには、
図9に示すように、カゴ本体部40が直方体形状の箱体となるように、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42が、その上端が第2カゴ横板44(および第1カゴ横板43)に接するような姿勢となる。
このために、たとえば、第2カゴ横板44および第1カゴ横板43に、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42の上端を第2カゴ横板44および第1カゴ横板43に接触した状態に維持するための、図示しないロック機構が備えられていてもよい。
【0060】
一方、カゴ4が沈殿槽20から取り出されているときには、たとえば上述のロック機構を解除することによって、
図10に示すように、前側側板回転軸411を軸に、矢印302に示すように前側カゴ側板41が回転されるとともに、後側側板回転軸421を軸に、矢印303に示すように後側カゴ側板42が回転されることができる。これにより、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42が、カゴ底板45よりも下に垂れ下がる。すなわち、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42が、それぞれ前側側板回転軸411および後側側板回転軸421から、下向きに垂れ下がる(ぶら下がる)。
【0061】
このように、カゴ本体部40は、カゴ4が沈殿槽20から取り出されているときには、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42が、それぞれ前側側板回転軸411および後側側板回転軸421を軸として回転されることにより、カゴ底板45よりも下に垂れ下がることができる、ように構成されている。
【0062】
これにより、カゴ4では、カゴ本体部40が、たとえば加工屑廃棄箱60の上方において、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42がカゴ底板45よりも下に垂れ下がるような形態となることができる。
【0063】
また、カゴ4は、沈殿槽20の内壁面とカゴ4の外壁面との間に隙間が形成されないように、沈殿槽20内に配置される。
本実施形態では、
図7に示すように、たとえば6つのカゴ4が、カゴ4の外壁面と沈殿槽20の内壁面(すなわち、側板21~24の内面および底板25の内面)との間に隙間が形成されないように、沈殿槽20の内部に配置されている。カゴ4の外壁面は、前側カゴ側板41、後側カゴ側板42、第1カゴ横板43、第2カゴ横板44およびカゴ底板45の外面である。
【0064】
図11に示すように、本実施形態では、沈殿槽20の前側側板21の内面に、最も-X側に配置されたカゴ4の前側カゴ側板41の外面が、隙間なく接触している。また、後側側板22の内面に、最も+X側に配置されたカゴ4の後側カゴ側板42の外面が、隙間なく接触している。
【0065】
さらに、各カゴ4のカゴ底板45の外面が、沈殿槽20の底板25の内面に接触している。ここで、本実施形態にかかるカゴ底板45の外面は、第1実施形態におけるカゴ底板35の軸受け部351(
図3参照)のような、外面から突き出る部材を有していない。したがって、カゴ底板45の外面は、平坦面となっている。このため、本実施形態では、沈殿槽20の底板25の内面も、平坦面となっている。これにより、カゴ底板45の外面は、沈殿槽20の底板25の内面に、隙間なく接触することができる。
【0066】
また、
図12に示すように、各カゴ4の第1カゴ横板43の外面が、沈殿槽20の第1横側板23の内面に接触している。また、各カゴ4の第2カゴ横板44の外面が、沈殿槽20の第2横側板24の内面に接触している。
【0067】
ここで、本実施形態では、取っ手48の取っ手支持部482は、第1カゴ横板43および第2カゴ横板44の内面に取り付けられている。このため、本実施形態では、沈殿槽20の第1横側板23および第2横側板24の内面は、それぞれ、平坦面である第1カゴ横板43および第2カゴ横板44の外面に接触されるため、平坦面となっている。これにより、第1カゴ横板43の外面は、沈殿槽20の第1横側板23の内面に隙間なく接触することができるとともに、第2カゴ横板44の外面も、沈殿槽20の第2横側板24の内面に隙間なく接触することができる。
【0068】
このような構成を有する廃液処理装置2では、第1実施形態にかかる廃液処理装置1と同様に、加工装置100から配管101(
図7参照)に流出した廃液は、入口27から沈殿槽20内に流入する(
図11参照)。流入した廃液は、沈殿槽20内に溜められてゆく。この際、廃液における加工水よりも比重の大きい加工屑は、沈殿槽20に配置されているカゴ4のカゴ本体部40内に沈殿する。
【0069】
このように沈殿した加工屑によって、第1実施形態にかかるカゴ本体部30と同様に、カゴ本体部40における前側カゴ側板41、後側カゴ側板42およびカゴ底板45の網目が塞がれて、カゴ本体部40内に、加工屑が溜められてゆく。このようにして、廃液から加工屑が除去されて、上澄みとしての濾過水が形成され、出口28から流出する。
【0070】
また、このような廃液処理により、カゴ4のカゴ本体部40内に、廃液中の加工屑が溜められる。廃液処理の後、作業者は、沈殿槽20内に配置されているカゴ4の取っ手48における把持部481を把持して、沈殿槽20内からカゴ4を引き上げて取り出す。カゴ本体部30と同様に、カゴ本体部40における前側カゴ側板41、後側カゴ側板42およびカゴ底板45の網目は、溜められた加工屑によって塞がれているため、カゴ本体部40は、沈殿槽20からカゴ4が取り出された際に、加工屑が留められた状態となっている。
【0071】
そして、作業者は、たとえば、
図10に示すように、加工屑廃棄箱60の上方に、カゴ4を配置する。そして、作業者は、カゴ本体部40を、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42がカゴ底板45よりも下に垂れ下がるような形態とする。これにより、作業者は、カゴ本体部40に溜められていた加工屑を、加工屑廃棄箱60内に容易に廃棄することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、網板からなる前側カゴ側板41、後側カゴ側板42およびカゴ底板45を含むカゴ本体部40に加工屑を溜めること、および、網板の網目を、加工屑によって塞ぐことができる。したがって、沈殿槽20からカゴ4を取り出すことにより、加工屑を、カゴ本体部40からこぼれ落とすことなく、沈殿槽20から容易に取り出すことができる。また、沈殿槽20からカゴ4を取り出した後、加工屑をこぼれ落とすことなく、カゴ4を所定の廃棄場所(加工屑廃棄箱60)に運ぶことができる。
【0073】
また、カゴ本体部40の前側カゴ側板41、後側カゴ側板42およびカゴ底板45は、網板から構成されているため、これらに加工屑が付着した場合でも、水で洗い流すことにより、加工屑を容易に除去することができる。
【0074】
また、本実施形態では、カゴ本体部40が、前側カゴ側板41および後側カゴ側板42がカゴ底板45よりも下に垂れ下がるような形態となることができる。したがって、カゴ4を沈殿槽20から取り出した後、カゴ本体部40に溜められた加工屑を除去することが容易である。
【0075】
なお、本実施形態に示したように、沈殿槽20のように、底板25、第1横側板23および第2横側板24の内面が平坦面となっている場合、カゴ4に代えて、
図13に示すカゴ5を用いることもできる。
【0076】
カゴ5は、沈殿槽20の底板25上に載置されるカゴ本体部50を備えている。カゴ本体部50は、一対のカゴ側板51および52、第1カゴ横板53、第2カゴ横板54、ならびに、カゴ側板51および52の下端を連結するカゴ底板55を有している。
【0077】
より詳細には、一対のカゴ側板51および52は、前側カゴ側板51および後側カゴ側板52からなる。前側カゴ側板51および後側カゴ側板52は、カゴ本体部50が沈殿槽20内に配置されたときに、廃液の流れる方向であるX軸方向に沿って対向するように配置される。
【0078】
すなわち、カゴ本体部50が沈殿槽20内に配置されたときには、たとえば、前側カゴ側板51は、沈殿槽20における入口27が形成された前側側板21(
図7参照)に対向する一方、後側カゴ側板52は、出口28が形成された後側側板22に対向するように配置される。
また、前側カゴ側板51および後側カゴ側板52は、網目を有する網板からなる。
【0079】
第1カゴ横板53および第2カゴ横板54は、前側カゴ側板51の側辺と後側カゴ側板52の側辺とを固定的に連結するように設けられている。
カゴ本体部50が沈殿槽20内に配置されたときには、たとえば、第1カゴ横板53は、沈殿槽20の第1横側板23に対向する一方、第2カゴ横板54は、第2横側板24に対向するように配置される。
【0080】
カゴ底板55は、前側カゴ側板51および後側カゴ側板52と同様に、網目を有する網板からなる。このカゴ底板55は、四角形であり、これら前側カゴ側板51、後側カゴ側板52、第1カゴ横板53および第2カゴ横板54の下端を連結している。
これにより、カゴ5のカゴ本体部50は、上面に開口56が設けられる直方体形状の箱体を構成している。このように、カゴ本体部50は直方体形状を有しており、その上面の開口56は、前側カゴ側板51および後側カゴ側板52の上端を連結している。
【0081】
また、カゴ5は、取っ手58を有している。取っ手58は、門型の形状を有しており、カゴ本体部50に接続されている。本実施形態では、取っ手58は、一対の細長い板状の取っ手支持部582、および、僅かに湾曲した細長い板状の把持部581を有している。
【0082】
把持部581は、作業者に把持される部分である。把持部581は、一対の取っ手支持部582の一方の端部どうしを連結するように構成されている。取っ手支持部582の他方の端部は、第1カゴ横板53および第2カゴ横板54の内面に取り付けられている。
【0083】
より詳細には、
図14に示すように、一対の取っ手支持部582における他方の端部には、それぞれ、突起部583が設けられている。これらの突起部583は、第1カゴ横板53の内面に設けられた窪みである第1係合部531、および、第2カゴ横板54の内面に設けられた窪みである第2係合部541に係合されることが可能となっている。カゴ5は、このように取っ手58がカゴ本体部50に取り付けられた状態で、沈殿槽20内に配置される。
【0084】
また、
図15に示すように、取っ手支持部582を内側に押圧することにより、第1係合部531および第2係合部541に対する突起部583の係合を、矢印305に示すように、解除することができる。これにより、取っ手58の全体を、カゴ本体部50から取り外すことが可能となる。
なお、
図14および
図15では、前側カゴ側板51および後側カゴ側板52の描画を省略している。
【0085】
このようなカゴ5では、
図8に示したカゴ4と同様に、カゴ底板55の外面が平坦面となっているとともに、取っ手58の取っ手支持部582が、第1カゴ横板53および第2カゴ横板54の内面に取り付けられている。したがって、カゴ4を用いる場合と同様に、たとえば
図16に示すように、たとえば6つのカゴ5を、沈殿槽20の内壁面とカゴ5の外壁面との間に隙間が形成されないように、沈殿槽20内に配置することができる。
【0086】
このようなカゴ5を用いる場合でも、廃液処理装置2では、入口27から沈殿槽20内に流入した廃液が沈殿槽20内に溜められて、加工屑がカゴ5のカゴ本体部50に沈殿する。
【0087】
このように沈殿した加工屑によって、第1実施形態にかかるカゴ本体部30と同様に、カゴ本体部50における前側カゴ側板51、後側カゴ側板52およびカゴ底板55の網目が塞がれて、カゴ本体部50内に加工屑が溜められてゆく。このようにして、廃液から加工屑が除去されて、上澄みとしての濾過水が形成され、出口28から流出する。
【0088】
また、このような廃液処理により、カゴ5のカゴ本体部50内に、廃液中の加工屑が溜められる。廃液処理の後、作業者は、沈殿槽20内に配置されているカゴ5の取っ手58における把持部581を把持して、沈殿槽20内からカゴ5を引き上げて取り出す。カゴ本体部30と同様に、カゴ本体部50における前側カゴ側板51、後側カゴ側板52およびカゴ底板55の網目は、溜められた加工屑によって塞がれているため、カゴ本体部50は、沈殿槽20からカゴ5が取り出された際に、加工屑が留められた状態となっている。したがって、作業者は、沈殿槽20からカゴ5を取り出した後でも、加工屑をカゴ本体部50からこぼれ落とすことなく、カゴ5を所定の廃棄場所(加工屑廃棄箱60)に運ぶことができる。
【0089】
そして、作業者は、
図15に示すように、カゴ本体部50から取っ手58を取り外す。そして、
図17に示すように、作業者は、カゴ本体部50を、加工屑廃棄箱60の上方で、逆さまにひっくり返すことにより、カゴ本体部50の開口56を下向きにする。これにより、作業者は、カゴ本体部50に溜められていた加工屑を、加工屑廃棄箱60内に容易に廃棄することができる。
【0090】
また、
図16に示すように、作業者は、洗浄水ノズル61から供給される洗浄水62を用いて、開口56が下向きになっているカゴ本体部50を洗浄することができる。このようにカゴ本体部50を洗浄することにより、カゴ本体部50の網目に付着している加工屑を水によって良好に洗い流し、加工屑廃棄箱60内に廃棄することができる。
なお、このような洗浄は、
図2に示したカゴ3のカゴ本体部30および
図8に示したカゴ4のカゴ本体部40に対しても、同様に実施することができる。
【0091】
なお、上述した実施形態では、カゴ本体部30(40,50)における前側カゴ側板31(41,51)、後側カゴ側板32(42,52)およびカゴ底板35(45,55)は、網目を有する網板からなる。これに代えて、これらの板は、複数の穴(パンチ穴)を有するパンチングプレートから構成されていてもよい。この場合でも、網板を用いる場合と同様に、カゴ本体部30(40,50)に加工屑を溜めること、および、加工屑によってパンチ穴を塞ぐことができる。さらに、網板を用いる場合と同様に、カゴ本体部30(40,50)を、洗浄水によって容易に洗浄することができる。
【0092】
ここで、カゴ本体部30(40,50)における前側カゴ側板31(41,51)、後側カゴ側板32(42,52)およびカゴ底板35(45,55)を構成する網板の網目あるいはパンチングプレートのパンチ穴は、廃液中の加工屑よりも大きくてもよい。すなわち、カゴ本体部30(40,50)内に沈殿した加工屑は、カゴ本体部30(40,50)内で粘土状になって、カゴ本体部30(40,50)内に溜められる。したがって、網目あるいはパンチ穴が、沈殿される前の廃液中の加工屑よりも大きくても、カゴ3(4、5)を沈殿槽20から引き上げたときに、網目あるいはパンチ穴から加工屑が漏れることは、実質的にない。
【0093】
また、上述した実施形態において、カゴ本体部30(40,50)における第1カゴ横板33(43,53)および第2カゴ横板34(44,54)も、網板あるいはパンチングプレートから構成されていてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、沈殿槽20内に、仕切り板29が設けられており、仕切り板29どうしの間、前側側板21と仕切り板29との間、および、後側側板22と仕切り板29との間に、カゴ3(4、5)が配置されている。これに関し、沈殿槽20には、仕切り板29が設けられていなくてもよい。この場合、隣接するカゴ3(4、5)どうしが直接に接触した状態で、沈殿槽20内にカゴ3(4、5)が配置されてもよい。
【0095】
また、
図8(
図13)に示したカゴ4(5)では、カゴ本体部40(50)における取っ手48(58)の取っ手支持部482(582)が、廃液の流れる方向に略平行な第1カゴ横板43(53)および第2カゴ横板44(54)に取り付けられている。これに関し、取っ手48(58)の取っ手支持部482(582)は、廃液の流れる方向に略直交する前側カゴ側板41(51)および後側カゴ側板42(52)に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1,2:廃液処理装置、
3,4,5:カゴ、
20:沈殿槽、21:前側側板、22:後側側板、
23:第1横側板、231:第1横側板凹部、
24:第2横側板、241:第2横側板凹部、
25:底板、251:底板凹部、
26:開口、27:入口、28:出口、29:仕切り板、
30:カゴ本体部、31:前側カゴ側板、32:後側カゴ側板、
33:第1カゴ横板、34:第2カゴ横板、35:カゴ底板、36:開口、
37:カゴ回転軸、351:軸受け部、
38:取っ手、381:把持部、382:取っ手支持部、
40:カゴ本体部、
41:前側カゴ側板、411:前側側板回転軸、
42:後側カゴ側板、421:後側側板回転軸
43:第1カゴ横板、431:第1支持部、
44:第2カゴ横板、441:第2支持部、
45:カゴ底板、46:開口、
48:取っ手、481:把持部、482:取っ手支持部、
50:カゴ本体部、51:前側カゴ側板、52:後側カゴ側板、
53:第1カゴ横板、531:第1係合部、
54:第2カゴ横板、541:第2係合部、
55:カゴ底板、56:開口、
58:取っ手、581:把持部、582:取っ手支持部、583:突起部
60:加工屑廃棄箱、61:洗浄水ノズル、62:洗浄水