(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】テーブル装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/08 20060101AFI20240117BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240117BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B23Q3/08 A
B24B41/06 L
H01L21/78 N
(21)【出願番号】P 2020091291
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】現王園 二郎
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-9019(JP,A)
【文献】実開平7-31246(JP,U)
【文献】米国特許第5676360(US,A)
【文献】特開平9-252045(JP,A)
【文献】特開2017-228402(JP,A)
【文献】特開2012-195098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00 - 3/08
B24B 41/06
H01L 21/301
H01L 21/304
B25B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面によってワークを吸引保持するテーブルと、該テーブルにおける該保持面とは反対側の面である下面を支持面によって支持するテーブルベースと、該テーブルベースと該テーブルとを脱着する脱着機構とを備えるテーブル装置であって、
該脱着機構は、
該テーブルの該下面から下方に突出するように形成される連結部と、
該テーブルベースの該支持面の中心を中心とする円弧状または該支持面の中心を中心とする環状に該支持面から凹んで形成され、該連結部が進入可能な溝であって、該支持面の中心と該下面の中心とが同一直線上に配置され、該溝に該連結部が進入し、該テーブルの該下面と該支持面とが連接されて、該同一直線を軸に該テーブルベースに対し該テーブルが回転された際に、該連結部の該同一直線に沿う移動を規制する溝と、
該溝によって該同一直線に沿う該連結部の移動が規制された状態で、該テーブルの回転を固定する固定部と、
該テーブルベースから該テーブルが取り外される際に、該固定部による該テーブルの回転の固定を解除する解除部と、を備える、
テーブル装置。
【請求項2】
該保持面は、中央保持面と、該中央保持面の周囲を囲む環状保持面とを備え、
該テーブルは、該中央保持面を有する中央テーブルと、該環状保持面を有する環状テーブルとを備え、
該テーブルベースは、該中央テーブルを支持する中央支持面と、該環状保持面を支持する環状支持面とを備え、
該脱着機構は、少なくとも、該環状テーブルと該テーブルベースとを脱着するように構成されている、
請求項1記載のテーブル装置。
【請求項3】
該テーブルの該下面に一方の端である第1開口部を有し、該保持面と該下面とを連通する第1連通管と、
該テーブルベースの該支持面に一方の端である第2開口部を有し、該支持面と吸引源とを連通する第2連通管と、を備え、
該脱着機構を用いて、該テーブルの該下面と該テーブルベースの該支持面とが連接されて、該固定部によって該テーブルの回転が固定された際に、該第1連通管と該第2連通管とが接続されるように、該第1連通管の該第1開口部と該第2連通管の該第2開口部とが配置されている、
請求項1または請求項2記載のテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物を加工する加工装置には、例えば、切削ブレードによって被加工物を切削する切削装置や、研削砥石によって被加工物を研削する研削装置などがある。このような加工装置は、保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルを備えている。
【0003】
チャックテーブルには、特許文献1の従来技術欄に記載のように、保持面に同心円環状の仕切りを備え、被加工物の大きさに対応して保持面の面積を切り換えられるものがある。
【0004】
しかし、このようなチャックテーブルが研削装置に用いられる場合、ポーラス部材からなる保持面と、密な部材からなる仕切りとでは、硬さが違うため、研削荷重による沈み込み量にも違いがある。このため、被加工物における保持面に支持されている部分と、仕切りに支持されている部分とに、厚み差が生じる。
【0005】
また、保持面の外周部分は、ウェーハの外周部分から、研削屑を含んだ研削廃液を吸引する。このため、研削屑が詰まるために、外周部分の吸引力が弱くなる。
【0006】
被加工物に厚み差を生じさせる仕切りを用いることなく保持面の面積を変更するため、また、保持面の外周部分の吸引力を回復させるためには、チャックテーブルを交換することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、チャックテーブルは、テーブルベースに対して、複数のネジによって固定されている。このため、チャックテーブルの交換作業には、複数のネジの取り外しおよび取り付けが必要となるため、時間がかかる。
【0009】
なお、加工装置には、被加工物を加工する際に被加工物を保持するチャックテーブル以外に、加工後の被加工物を洗浄するための洗浄テーブル(スピンナテーブル)などの、他のテーブルが設けられている場合もある。このような他のテーブルも、保持面の面積を変更する等のために、容易に交換できることが好ましい。
【0010】
したがって、本発明の目的は、加工装置のテーブルを容易に交換することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のテーブル装置(本テーブル装置)は、保持面によってワークを吸引保持するテーブルと、該テーブルにおける該保持面とは反対側の面である下面を支持面によって支持するテーブルベースと、該テーブルベースと該テーブルとを脱着する脱着機構とを備えるテーブル装置であって、該脱着機構は、該テーブルの該下面から下方に突出するように形成される連結部と、該テーブルベースの該支持面の中心を中心とする円弧状または該支持面の中心を中心とする環状に該支持面から凹んで形成され、該連結部が進入可能な溝であって、該支持面の中心と該下面の中心とが同一直線上に配置され、該溝に該連結部が進入し、該テーブルの該下面と該支持面とが連接されて、該同一直線を軸に該テーブルベースに対し該テーブルが回転された際に、該連結部の該同一直線に沿う移動を規制する溝と、該溝によって該同一直線に沿う該連結部の移動が規制された状態で、該テーブルの回転を固定する固定部と、該テーブルベースから該テーブルが取り外される際に、該固定部による該テーブルの回転の固定を解除する解除部と、を備える。
【0012】
本テーブル装置では、該保持面は、中央保持面と、該中央保持面の周囲を囲む環状保持面とを備えてもよく、該テーブルは、該中央保持面を有する中央テーブルと、該環状保持面を有する環状テーブルとを備えてもよく、該テーブルベースは、該中央テーブルを支持する中央支持面と、該環状保持面を支持する環状支持面とを備えてもよく、該脱着機構は、少なくとも、該環状テーブルと該テーブルベースとを脱着するように構成されていてもよい。
【0013】
本テーブル装置では、該テーブルの該下面に一方の端である第1開口部を有し、該保持面と該下面とを連通する第1連通管と、該テーブルベースの該支持面に一方の端である第2開口部を有し、該支持面と吸引源とを連通する第2連通管と、を備えてもよく、該脱着機構を用いて、該テーブルの該下面と該テーブルベースの該支持面とが連接されて、該固定部によって該テーブルの回転が固定された際に、該第1連通管と該第2連通管とが接続されるように、該第1連通管の該第1開口部と該第2連通管の該第2開口部とが配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本テーブル装置では、テーブルベースの溝にテーブルの連結部を進入させてテーブルを回転させることによって、固定部により、テーブルの回転を固定することができる。これにより、テーブルベースに対して、テーブルを装着することができる。また、解除部によって固定部によるテーブルの回転の固定を解除すること、および、テーブルベースに対してテーブルを逆方向に回転させることによって、テーブルベースからテーブルを取り外すことができる。したがって、本テーブル装置では、テーブルベースに対するテーブルの脱着を、容易に行うことが可能となる。したがって、テーブルを容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】テーブルベースに対するテーブルの固定動作を示す説明図である。
【
図5】テーブルベースにおける固定部の近傍の構成を示す説明図である。
【
図6】テーブルベースの固定部およびテーブルの解除部の近傍の構成を示す説明図である。
【
図7】テーブルベースからテーブルを取り外す動作を示す説明図である。
【
図8】テーブルベースからテーブルを取り外す動作を示す説明図である。
【
図9】他の構成のテーブルを有するテーブル装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す本実施形態にかかるテーブル装置1は、研削装置や切削装置などの加工装置において、被加工物を保持するためのテーブルとして機能するものである。テーブル装置1は、たとえば、被加工物を加工する際に被加工物を保持するチャックテーブル、および、加工後の被加工物を洗浄するための洗浄テーブル(スピンナテーブル)として用いられることができる。ワークは、たとえば半導体ウェーハである。
【0017】
図1に示すように、テーブル装置1は、被加工物としてのワークを保持面11によって吸引保持するテーブル10と、テーブルベース30とを備えている。テーブルベース30は、テーブル10に連結されて、テーブル10を支持する。
【0018】
テーブル10は、略円柱状を有しており、その一方の面に保持面11が形成されている。保持面11は、ポーラス材からなる円板状のポーラス部材110(
図3も参照)の表面であり、吸引源に連通されることにより、ワークを吸引保持することが可能である。
また、テーブル10は、枠体120を備えている。枠体120は、保持面11を含むポーラス部材110の周囲に形成されて、ポーラス部材110を保持する。
【0019】
さらに、テーブル10における保持面11とは反対側の面は、下面12となっている。テーブル10では、この下面12および保持面11に関して、テーブル中心軸101が設定されている。このテーブル中心軸101は、テーブル10の下面12および保持面11の中心を通り、下面12に対して垂直に延びる軸である。
【0020】
また、この下面12には、下面12から下方に(すなわち、下面12に対して略垂直に)突出するように形成された、一対の連結部13が備えられている。一対の連結部13は、
図1および
図2に示すように、下面12におけるテーブル中心軸101に関して対称な2つの位置に設けられている。
【0021】
図2に示すように、連結部13は、下面12から下方に延びる延出部131と、延出部131の先端からテーブル中心軸101を向いて延びる略矩形板状の係止部132とを備えている。
【0022】
また、
図3に示すように、テーブル10の枠体120内には、保持面11と下面12とを連通する、2本の第1連通管15が設けられている。第1連通管15は、
図2および
図3に示すように、下面12に、一方の端である第1開口部151を有している。第1連通管15の他方の端は、
図3に示すように、ポーラス部材110の下面に接続されている。
【0023】
また、
図2に示すように、テーブル10は、枠体120の側面における第1開口部151の近傍に、一対の解除部17を備えている。この解除部17は、テーブル10とテーブルベース30との連結を解除するための部材であり、枠体120の側面に設けられた長孔121を介して、テーブル中心軸101に沿って移動することが可能となっている。
【0024】
また、
図1に示すように、テーブルベース30は、略円柱形状を有している。テーブルベース30は、その一方の面として、テーブル10の下面12を支持する支持面31を有している。
テーブルベース30では、この支持面31に関して、ベース中心軸301が設定されている。このベース中心軸301は、テーブルベース30の支持面31の中心を通り、支持面31に対して垂直に延びる軸である。支持面31は、テーブル10の下面12と略等しい大きさを有する平面である。
【0025】
また、支持面31には、一対の溝33が形成されている。溝33は、テーブルベース30の支持面31の中心を中心とする円弧状に、支持面31から凹んで形成されている。なお、テーブルベース30における溝33からベース中心軸301までの距離は、テーブル10におけるテーブル中心軸101から連結部13までの距離と略等しくなっている。
【0026】
各溝33は、
図1および
図4に示すように、テーブル10の連結部13における係止部132が進入可能な幅を有する入り口331と、溝33の入り口331を除いた部分であるレール部332とを有している。溝33のレール部332における底部近傍の部分は、溝33に進入した連結部13の係止部132を移動させるための移動路333となっている。
【0027】
また、レール部332における移動路333の上方には、支持面31から溝33の深さ方向に延びる、規制壁35が設けられている。規制壁35は、溝33のレール部332の内側に設けられている。規制壁35は、レール部332における移動路333を除いた部分(移動路333の上方の部分)の幅(径方向の長さ)を、連結部13の係止部132の径方向の長さよりも短くするように構成されている。
【0028】
すなわち、溝33のレール部332における底部近傍の移動路333は、入り口331と同じ幅を有している。一方、レール部332における移動路333よりも上方の部分は、規制壁35が形成されていることによって、入り口331よりも狭くなるように、すなわち、連結部13の係止部132よりも狭くなるように、幅狭化されている。これにより、溝33におけるレール部332は、略L字状の断面を有している。
【0029】
テーブル10とテーブルベース30とが連結される際、
図1に示すように、テーブル10の下面12の中心であるテーブル中心軸101と、テーブルベース30の支持面31の中心であるベース中心軸301とが、同一直線上に配置される。すなわち、テーブル中心軸101とベース中心軸301とが、同一直線となる。
【0030】
そして、テーブルベース30の支持面31に形成された溝33に、テーブル10の下面12に形成された連結部13が進入する。すなわち、
図4に示すように、テーブル10の連結部13は、その係止部132から、テーブルベース30の溝33における規制壁35が設けられていない幅広の入り口331を介して、矢印501に示すように、溝33に進入する。
【0031】
連結部13の係止部132が溝33の入り口331の底部に当接されると、テーブル10の下面12(
図3参照)とテーブルベース30の支持面31とが連接(面接触)される。その後、テーブルベース30に対して、連結部13を有するテーブル10が、テーブル中心軸101およびベース中心軸301を軸に、たとえば
図4に矢印503によって示す方向に回転される。
【0032】
これにより、テーブル10の連結部13が、テーブルベース30の溝33に沿って、溝33の入り口331からレール部332の末端335まで移動される。レール部332内では、連結部13の係止部132の上に、規制壁35の底辺が配置される。このため、連結部13は、テーブル中心軸101に沿った方向の移動を規制される。このように、テーブルベース30の溝33は、テーブルベース30に対してテーブル10が回転された際に、テーブル10の連結部13のテーブル中心軸101およびベース中心軸301に沿う移動を規制する。
【0033】
また、本実施形態では、
図4に示すように、溝33のレール部332に設けられた規制壁35の下辺351が、溝33の入り口331からレール部332の末端335にかけて低くなる(溝33の底辺に近づく)ように、傾斜している。すなわち、溝33のレール部332における入り口331に近い部位では、連結部13の係止部132が移動するための移動路333の高さが、比較的に高くなっている。このため、連結部13の係止部132が、入り口331からレール部332に入ること、および、レール部332内を末端335に向けて移動することが、容易となっている。
【0034】
なお、本実施形態では、規制壁35の下辺351は、連結部13の係止部132がレール部332内を末端335に到達したときに、下辺351が係止部132の上部に接するように、傾斜している。このため、溝33は、連結部13の係止部132がレール部332内を末端335に到達したときに、連結部13におけるテーブル中心軸101およびベース中心軸301に沿う移動を、堅固に規制することが可能となる。
【0035】
また、
図1に示すように、テーブルベース30内には、支持面31と吸引源61およびエア源62(
図5参照)とを連通する、2本の第2連通管36が設けられている。第2連通管36は、支持面31に、一方の端である第2開口部361を有している。
【0036】
また、
図1に示すように、テーブルベース30は、支持面31における第2開口部361に、一対の固定部40を備えている。この固定部40は、溝33によってテーブル10における連結部13のテーブル中心軸101およびベース中心軸301に沿う移動が規制された状態で、テーブル10の回転を固定するものである。
【0037】
以下に、テーブルベース30の固定部40およびテーブル10の解除部17の近傍の構成、および、テーブルベース30に対するテーブル10の脱着について説明する。なお、本実施形態では、テーブル10の連結部13および解除部17と、テーブルベース30の溝33および固定部40とは、脱着機構の一例を構成する。
【0038】
テーブルベース30の固定部40は、第2連通管36の第2開口部361に設けられている。すなわち、
図5に示すように、テーブルベース30における第2連通管36は、支持面31に開口されている第2開口部361と、第2開口部361から下方に延びる第2配管部362とを有している。第2配管部362は、第2開口部361と吸引源61およびエア源62とを接続するように構成されている。
【0039】
また、
図5に示すように、第2開口部361は、支持面31の近傍において、側壁363、底面364および上面365を有する円柱状の空間として形成されている。上面365の略中央には、開口孔366が形成されている。第2配管部362は、第2開口部361に、その側壁363を介して連通されている。
【0040】
そして、第2開口部361内に、上述した固定部40が設けられている。固定部40は、第2開口部361の底面364に下端を固定されたコイルバネ41、コイルバネ41の上端に配置された円板状の台座42、および、台座42の上面に設けられた回り止めピン43を備えている。また、支持面31における回り止めピン43の周囲(第2開口部361の周囲)には、Oリングからなるシール部45が設けられている。
【0041】
図5に示すように、テーブル10とテーブルベース30とが連結されていない場合には、固定部40の台座42は、コイルバネ41の付勢力により、支持面31に向けて移動され、第2開口部361の上面365における開口孔366の周囲に押しつけられる。これにより、台座42に設けられた回り止めピン43が、開口孔366を介して、支持面31から突出する。
【0042】
また、テーブル10の解除部17は、第1連通管15の第1開口部151に連通するように設けられている。すなわち、
図6に示すように、テーブル10における第1連通管15は、下面12に開口されている第1開口部151と、第1開口部151からポーラス部材110(
図1参照)に向かって延びる第1配管部152とを有している。第1配管部152は、第1開口部151とポーラス部材110とを接続するように構成されている。
【0043】
また、
図6に示すように、第1開口部151は、円柱状の窪み部153を有する空間として形成されている。窪み部153には、その底部154およびシールベアリング155を介して、解除部17が連通されている。
【0044】
解除部17は、全体として、テーブル10内で、下面12に垂直な方向(テーブル中心軸101(
図1参照)に沿う方向)に沿って移動することが可能なように構成されている。解除部17は、
図6に示すように、下面12に垂直に延びて、底部154から窪み部153内に突出可能な押圧部171と、押圧部171を、その一端において下面12に垂直な方向に移動させる操作部172とを備えている。操作部172の他端は、テーブル10の枠体120に設けられた長孔121(
図2も参照)から、外部に突出している。
【0045】
ここで、本実施形態では、脱着機構を用いて、テーブル10の下面12とテーブルベース30の支持面31とが連接されて、固定部40によってテーブル10の回転が固定された際に、第1連通管15と第2連通管36とが接続されるように、第1連通管15の第1開口部151と第2連通管36の第2開口部361とが配置されている。
【0046】
すなわち、テーブル10が、連結部13および溝33によってテーブルベース30に連結されて、テーブル中心軸101(ベース中心軸301)に沿うテーブル10の移動が規制された状態(
図4参照)では、テーブル10の第1開口部151は、
図6に示すように、テーブルベース30の第2開口部361に対向するように配置される。これにより、テーブルベース30における固定部40の回り止めピン43が、コイルバネ41の付勢力により、テーブル10の第1開口部151に進入し、解除部17の押圧部171に接触して押し上げて、窪み部153に嵌合される。その結果、固定部40が、テーブルベース30に対するテーブル10の回転を固定(規制)する。
【0047】
このように、固定部40は、テーブル中心軸101およびベース中心軸301(同一直線)に沿う連結部13(テーブル10)の移動が溝33によって規制された状態で、テーブル10の回転を固定する。
【0048】
このようにして、本実施形態では、連結部13を溝33に進入させて、テーブルベース30に対してテーブル10を回転させることにより、固定部40を用いて、テーブルベース30に対してテーブル10を装着することができる。
【0049】
また、このとき、テーブル10の第1開口部151が、テーブルベース30の第2開口部361に対向しているため、テーブル10の第1連通管15とテーブルベース30の第2連通管36とが、互いに連通される。また、シール部45により、互いに連通された第1連通管15および第2連通管36の気密が確保される。これにより、吸引源61の吸引力を、第2連通管36および第1連通管15を介して、テーブル10のポーラス部材110の表面である保持面11に伝達することが可能となる。したがって、保持面11が、ワークを吸引保持することが可能となる。また、エア源62からのエアを保持面11に伝達することにより、保持面11によるワークの吸引保持を解除することも可能となる。
【0050】
また、解除部17は、テーブルベース30からテーブル10が取り外される際に、固定部40によるテーブル10の回転の固定を解除する。
【0051】
すなわち、テーブルベース30からテーブル10が取り外される際には、枠体120の長孔121から突出している解除部17の操作部172が、下面12に垂直な方向(テーブル中心軸101に沿う方向)に押圧される。これにより、
図7に示すように、解除部17の押圧部171が、この方向に沿って下方に移動される。その結果、押圧部171を押し上げていた固定部40の回り止めピン43が、コイルバネ41の付勢力に抗して、第1開口部151の窪み部153から押し出されて、テーブルベース30の第2開口部361内にまで押し下げられる。
【0052】
これにより、固定部40によるテーブル10の回転の固定が解除される。したがって、テーブル10を、たとえば
図8に矢印507に示すように、テーブル10の装着時とは反対方向に回転させることができる。これにより、テーブル10の連結部13を、テーブルベース30の溝33におけるレール部332の末端335から、溝33の入り口331にまで移動させることができる(
図4参照)。これにより、連結部13を溝33から取り外すこと、すなわち、テーブル10をテーブルベース30から取り外すことが可能となる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、テーブルベース30の溝33にテーブル10の連結部13を進入させてテーブル10を回転させることによって、固定部40により、テーブル10の回転を固定することができる。これにより、テーブルベース30に対して、テーブル10を装着することができる。また、解除部17によって、固定部40によるテーブル10の回転の固定を解除すること、および、テーブルベース30に対してテーブル10を逆方向に回転させることによって、テーブルベース30からテーブル10を取り外すことができる。したがって、本実施形態では、テーブルベース30に対するテーブル10の脱着を、容易に行うことが可能となる。これにより、テーブル装置1では、テーブル10を容易に交換することができる。
【0054】
なお、本実施形態では、溝33は、テーブルベース30の支持面31の中心であるベース中心軸301を中心とする円弧状に、支持面31から凹んで形成されている。これに代えて、溝33は、支持面31のベース中心軸301を中心とする環状に、支持面31から凹んで形成されてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、略円柱状のテーブル10を有するテーブル装置1について説明している。これに代えて、本発明の他の実施形態にかかるテーブル装置は、
図9に示すようなテーブル装置2として構成されていてもよい。
テーブル装置2は、
図1に示したテーブル装置1の構成において、テーブル10に代えてテーブル20を有する構成である。テーブル20も、テーブル10と同様に、ワークを保持面によって吸引保持するものである。
【0056】
テーブル20は、円柱状の中央テーブル21と、中央テーブル21を囲む円環柱状の環状テーブル22を有している。環状テーブル22は、その中央に貫通孔222を有している。貫通孔222の径は、中央テーブル21を隙間なく嵌め込むことの可能な大きさに設定されている。
【0057】
また、環状テーブル22は、ワークを保持するための保持面の一部としての環状保持面220を備えている。環状保持面220は、ポーラス材からなる円環柱状の環状ポーラス部材250の表面であり、円環状を有している。環状保持面220は、吸引源に連通されることにより、ワークを吸引保持することが可能である。
【0058】
また、環状テーブル22は、環状保持面220を含む環状ポーラス部材250の周囲に形成されて、環状ポーラス部材250を保持する枠体260を備えている。さらに、環状テーブル22における環状保持面220とは反対側の面は、下面221となっている。
【0059】
また、環状テーブル22は、その内部に、
図1に示したテーブル10のものと同様の第1連通管15および解除部17を有しているとともに、その下面221に、テーブル10のものと同様の一対の連結部13を有している。
【0060】
また、中央テーブル21は、ワークを保持するための保持面の他の部分としての中央保持面210を有している。中央保持面210は、ポーラス材からなる円柱状の中央ポーラス部材240の表面であり、吸引源に連通されることにより、ワークを吸引保持することが可能である。
【0061】
中央テーブル21と環状テーブル22とは、互いに等しい厚さを有するように構成されている。したがって、環状テーブル22の貫通孔222に中央テーブル21が嵌め込まれた際、環状保持面220は、中央保持面210を囲むように配置されるとともに、これらは互いに面一となる。また、この際、中央テーブル21の中央ポーラス部材240と環状テーブル22の環状ポーラス部材250とが、互いに連通される。
【0062】
また、この構成では、テーブルベース30は、
図1に示したテーブル装置1のテーブルベース30と同様の構成を有している。ただし、テーブルベース30の支持面31は、中央テーブル21(中央テーブル21の下面)を支持する部分である中央支持面311と、環状テーブル22(下面221)を支持する分である環状支持面312とを備えるように構成される。すなわち、支持面31の中央部分が中央支持面311となり、その周囲の部分が環状支持面312となる。
また、この構成では、テーブルベース30の溝33、固定部40および第2開口部361は、環状支持面312の表面に形成されている。
【0063】
そして、この構成では、テーブル20の連結部13および解除部17と、テーブルベース30の溝33および固定部40とが、脱着機構の一例を構成する。そして、この構成では、脱着機構は、少なくとも、環状テーブル22とテーブルベース30とを脱着するように構成されている。
【0064】
すなわち、この構成では、中央テーブル21は、たとえば、テーブルベース30の支持面31における中央支持面311に対して、任意の手法によって固定されている。そして、環状テーブル22が、
図1~
図8を用いて説明したように、連結部13、解除部17、溝33および固定部40を用いて、テーブルベース30に対して脱着されることが可能である。
なお、中央テーブル21がテーブルベース30に対し脱着可能に構成してもよい。つまり、環状テーブル22と同様に中央テーブル21に連結部と解除部とを形成し、中央支持面311に溝が形成されている。なお、中央テーブル21の解除部は、側壁から飛び出さないように形成されている。
【0065】
この構成では、テーブル20が、中央テーブル21と環状テーブル22とを有する2つの部品から構成されている。すなわち、テーブルベース30に中央テーブル21を残したままで、環状テーブル22のみを脱着すること、すなわち、環状テーブル22のみを交換することが可能である。
【0066】
ここで、テーブル20では、研削屑などの加工屑は、中央テーブル21よりも環状テーブル22に蓄積されやすい。したがって、環状テーブル22のみを交換することにより、テーブル20の全体を交換する場合よりも低コストで、加工屑の影響を抑制できる。
【0067】
また、この構成では、環状テーブル22の環状保持面220が、円環状を有している。これに関し、環状テーブル22は、より大きい(あるいは小さい)外径の円環状を有する環状保持面220、あるいは、矩形などの他の形状を有する環状保持面220を備えるように構成されていてもよい。
【0068】
すなわち、ワークには複数のサイズがあり、また、ワークの形状も、円形や矩形など、様々である。この構成では、環状テーブル22を、ワークのサイズおよび形状に応じた環状保持面220を有するものに交換することができる。したがって、テーブル20の全体を交換するよりも低コストで、ワークに適したサイズおよび形状のテーブル20を形成することができる。
【符号の説明】
【0069】
1:テーブル装置、
10:テーブル、11:保持面、12:下面、101:テーブル中心軸、
110:ポーラス部材、120:枠体、121:長孔、
13:連結部、131:延出部、132:係止部、
15:第1連通管、151:第1開口部、152:第1配管部、153:窪み部、154:底部、
17:解除部、171:押圧部、172:操作部、
30:テーブルベース、31:支持面、301:ベース中心軸、
33:溝、35:規制壁、
331:入り口、332:レール部、
333:移動路、335:末端、351:下辺、
36:第2連通管、361:第2開口部、362:第2配管部、
363:側壁、364:底面、365:上面、366:開口孔、
61:吸引源、62:エア源、
40:固定部、41:コイルバネ、42:台座、43:回り止めピン、
2:テーブル装置、20:テーブル、21:中央テーブル、22:環状テーブル、
210:中央保持面、220:環状保持面、221:下面、222:貫通孔、
240:中央ポーラス部材、250:環状ポーラス部材、260:枠体、
311:中央支持面、312:環状支持面