(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】圧延成形用積層体、圧延成形体及び圧延成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20240117BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240117BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20240117BHJP
B29K 23/00 20060101ALN20240117BHJP
B29L 9/00 20060101ALN20240117BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/18 Z
B29C43/20
B29K23:00
B29L9:00
(21)【出願番号】P 2020531796
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2020009935
(87)【国際公開番号】W WO2020203064
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2019066441
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 俊輔
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-305097(JP,A)
【文献】特開2008-195070(JP,A)
【文献】特開昭63-11335(JP,A)
【文献】特開平4-4147(JP,A)
【文献】特開昭61-144343(JP,A)
【文献】国際公開第2015/152389(WO,A1)
【文献】特許第4335073(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 43/20
B29C 55/02
B29K 23/00
B29L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1層の下記層Aと、少なくとも1層の下記層Bとを有し、
層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計を100%としたとき、層Aの合計厚みが0.5%以上10%以下であり、層Bの合計厚みが90%以上99.5%以下であり、
少なくとも一方の表面に層Aが配置されている、圧延成形用積層体。
層A:
プロピレン重合体成分(A1)と、下記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)と、下記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)とを含有し、 プロピレン重合体成分(A1)と樹脂成分(A2)と熱可塑性エラストマー成分(A3)との含有量の合計を100重量%としたとき、
プロピレン重合体成分(A1)の含有量が20重量%以上80重量%以下であり、樹脂成分(A2)の含有量が10重量%以上50重量%以下であり、熱可塑性エラストマー成分(A3)の含有量が10重量%以上30重量%以下である層。
分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2):
温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトが0.01g/10分以上1.49g/10分以下であり、分子鎖中に極性基を有する樹脂成分。
分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3):
温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトが4g/10分以下であり、分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分。
層B:
プロピレン重合体成分(B1)と、無機フィラー(B2)とを含有し、
プロピレン重合体成分(B1)と無機フィラー(B2)との含有量の合計を100重量%としたとき、
プロピレン重合体成分(B1)の含有量が50重量%以上80重量%以下であり、無機フィラー(B2)の含有量20重量%以上50重量%以下である層。
【請求項2】
前記無機フィラー(B2)が、下記要件(1-a)、下記要件(1-b)及び下記要件(1-c)を満たす、請求項1に記載の圧延成形用積層体。
要件(1-a):
JIS R1629に従ってレーザー回折法により測定されるメディアン径D50(L)が10μm以上25μm以下であること。
要件(1-b):
JIS R1619に従って遠心沈降法により測定されるメディアン径D50(S)が2μm以上8μm以下であること。
要件(1-c):
下記式(1)により求められるアスペクト比定数が2以上15以下であること。
アスペクト比定数={D50(L)-D50(S)}/D50(S)・・・式(1)
【請求項3】
前記無機フィラー(B2)がタルクである、請求項1又は2に記載の圧延成形用積層体。
【請求項4】
前記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)が、
無水マレイン酸基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアネート基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂である、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
【請求項5】
前記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)が、
無水マレイン酸基、ヒドロキシ基、エポキシ基、シアノ基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂である、請求項1~4のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
【請求項6】
前記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)が、
アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂である、請求項1~5のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
【請求項7】
前記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)が、
極性基を有する化合物に由来する構成単位を5質量%以上50質量%以下含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
【請求項8】
前記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)が、オレフィン系エラストマー又はスチレン系エラストマーである、請求項1~7のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
【請求項9】
前記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)が、プロピレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位とを含むエラストマーである、請求項1~8のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
【請求項10】
前記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)が、プロピレン又は炭素数4~6のα-オレフィンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位とを含むエラストマーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体を、
前記層Aの合計厚みと前記層Bの合計厚みとの合計が10%以上69%以下となるように圧延成形してなる、圧延成形体。
【請求項12】
前記層Aの合計厚みと前記層Bの合計厚みとの合計が10%以上50%以下となるように圧延成形してなる、請求項11に記載の圧延成形体。
【請求項13】
前記層Aの合計厚みと前記層Bの合計厚みとの合計が15%以上40%以下となるように圧延成形してなる、請求項11又は12に記載の圧延成形体。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の圧延成形用積層体を、
前記層Aの合計厚みと前記層Bの合計厚みとの合計が10%以上69%以下となるように圧延成形する工程を有する、圧延成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延成形用積層体、圧延成形体及び圧延成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレン重合体を含有する成形体は、非常に安価で、軽量であるため、自動車内外装部品や家電部品などの各種工業部品に利用されている。
【0003】
プロピレン重合体を含有する成形体の作製方法の一つとして、圧延成形法が知られている。圧延成形法は、成形体の耐衝撃性を改良することができる方法である。近年では、プロピレン重合体を含有する積層体を圧延成形した成形体が開発されている。
【0004】
特許文献1には、耐衝撃性能に優れる成形体を得ることができる圧延成形用積層体、及びその成形体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の圧延成形用積層体、及びその成形体は優れた耐衝撃性能を有しているが、圧延成形後の塗装性能については、具体的記載がなく、その塗装性能には改善の余地があると考えられる。そこで、本発明は、圧延成形後に優れた塗装性能を発現し得る圧延成形用積層体を提供することを目的とする。本発明はまた、優れた塗装性能を有する圧延成形体及び圧延成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の圧延成形用積層体は、少なくとも1層の下記層Aと、少なくとも1層の下記層Bとを有し、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計を100%としたとき、層Aの合計厚みが0.5%以上10%以下であり、層Bの合計厚みが90%以上99.5%以下であり、少なくとも一方の表面に層Aが配置されている。
【0008】
層A:プロピレン重合体成分(A1)と、下記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)と、下記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)とを含有し、プロピレン重合体成分(A1)と樹脂成分(A2)と熱可塑性エラストマー成分(A3)との含有量の合計を100重量%としたとき、プロピレン重合体成分(A1)の含有量が20重量%以上80重量%以下であり、樹脂成分(A2)の含有量が10重量%以上50重量%以下であり、熱可塑性エラストマー成分(A3)の含有量が10重量%以上30重量%以下である層。
【0009】
分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2):温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトが0.01g/10分以上1.49g/10分以下であり、分子鎖中に極性基を有する樹脂成分。
【0010】
分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3):温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトが4g/10分以下であり、分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分。
【0011】
層B:プロピレン重合体成分(B1)と、無機フィラー(B2)とを含有し、プロピレン重合体成分(B1)と無機フィラー(B2)との含有量の合計を100重量%としたとき、プロピレン重合体成分(B1)の含有量が50重量%以上80重量%以下であり、無機フィラー(B2)の含有量20重量%以上50重量%以下である層。
【0012】
このような圧延成形用積層体は、圧延成形後に優れた塗装性能を発現し得る。
【0013】
上記無機フィラー(B2)は、下記要件(1-a)、下記要件(1-b)及び下記要件(1-c)を満たしていてもよい。
要件(1-a):JIS R1629に従ってレーザー回折法により測定されるメディアン径D50(L)が10μm以上25μm以下であること。
要件(1-b):JIS R1619に従って遠心沈降法により測定されるメディアン径D50(S)が2μm以上8μm以下であること。
要件(1-c):下記式(1)により求められるアスペクト比定数が2以上15以下であること。
アスペクト比定数={D50(L)-D50(S)}/D50(S)・・・式(1)
【0014】
これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0015】
上記無機フィラー(B2)は、タルクであってもよい。これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0016】
上記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)は、無水マレイン酸基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアネート基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂であってもよい。これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0017】
上記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)は、無水マレイン酸基、ヒドロキシ基、エポキシ基、シアノ基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂であってもよい。これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0018】
上記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)は、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂であってもよい。これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0019】
上記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)は、極性基を有する化合物に由来する構成単位を5質量%以上50質量%以下含有していてもよい。これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0020】
上記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)は、オレフィン系エラストマー又はスチレン系エラストマーであってもよい。これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0021】
上記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)は、プロピレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位とを含むエラストマーであってもよい。これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0022】
上記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)は、プロピレン又は炭素数4~6のα-オレフィンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位とを含むエラストマーであってもよい。これにより、圧延成形後の塗装性能が更に向上する。
【0023】
本発明の圧延成形体は、上記圧延成形用積層体を、前記層Aの合計厚みと前記層Bの合計厚みとの合計が10%以上69%以下となるように圧延成形してなる。このような圧延成形体は、優れた塗装性能を有する。
【0024】
上記圧延成形体は、上記層Aの合計厚みと上記層Bとの合計厚みの合計が10%以上50%以下となるように圧延成形してなるものであってもよい。これにより、塗装性能が更に向上する。
【0025】
上記圧延成形体は、上記層Aの合計厚みと上記層Bの合計厚みとの合計が15%以上40%以下となるように圧延成形してなるものであってもよい。これにより、塗装性能が更に向上する。
【0026】
本発明の圧延成形体の製造方法は、上記圧延成形用積層体を、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計が10%以上69%以下となるように圧延成形する工程を有する。このような方法によれば、優れた塗装性能を有する圧延成形体を製造できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、圧延成形後に優れた塗装性能を発現し得る圧延成形用積層体が提供される。本発明によればまた、優れた塗装性能を有する圧延成形体及び圧延成形体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本実施形態に係る圧延成形用積層体、圧延成形体及び圧延成形体の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0030】
本実施形態の圧延成形用積層体は、少なくとも1層の層Aと、少なくとも1層の層Bとを有し、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計を100%としたとき、層Aの合計厚みが0.5%以上10%以下であり、層Bの合計厚みが90%以上99.5%以下であり、少なくとも一方の表面に層Aが配置されている。
【0031】
図1は、本実施形態に係る圧延成形用積層体、圧延成形体及び圧延成形体の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
【0032】
図1の(a)及び(b)は、それぞれ、本実施形態に係る圧延成形用積層体及び圧延成形体の一例を示す。
【0033】
図1の(a)に示す圧延成形用積層体100は、2層の層A(10a及び10b)と、1層の層B(20)とを有している。また、圧延成形用積層体100は、その一方の表面に層A(10a)が、他方の表面に層A(10b)が配置されている。層A(10a)はは厚みt
11を有し、層B(20)は厚みt
12を有し、層A(10b)は厚みt
13を有する。層Aの合計厚み(t
11とt
13との和)と、層Bの厚み(t
12)との合計(厚みt
100)を100%としたとき、層Aの合計厚み(t
11とt
13との和)は0.5%以上10%以下であり、層Bの厚み(t
12)は90%以上99.5%以下である。
【0034】
圧延成形用積層体100において、層Bは1層であるが、層Bは複数層存在していてもよい。また、圧延成形用積層体100において、層Aは2層であるが、層Aは1層であってもよく、3層以上存在していてもよい。ただし、圧延成形用積層体100の少なくとも一方の表面は層Aが配置される。また、層A及び層Bが複数層存在する場合、複数の層Aの合計厚みと複数の層Bの合計厚みとの合計を100%としたとき、層Aの合計厚みは0.5%以上10%以下であり、層Bの合計厚みは90%以上99.5%以下である。
【0035】
以下、本実施形態に係る層A及び層Bについて説明する。
【0036】
[層A]
層Aは、プロピレン重合体成分(A1)(以下、「成分A1」ともいう)と、下記の分子鎖中に極性基を有する樹脂成分(A2)(以下、「成分A2」ともいう)と、下記の分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分(A3)(以下、「成分A3」ともいう)とを含有し、成分A1と成分A2と成分A3との含有量の合計を100重量%としたとき、成分A1の含有量が20重量%以上80重量%以下であり、成分A2の含有量が10重量%以上50重量%以下であり、成分A3の含有量が10重量%以上30重量%以下である層である。
【0037】
成分A1としては、例えば、プロピレン単独重合体及びプロピレンに由来する構成単位を80質量%以上含むプロピレンランダム共重合体が挙げられる。上記プロピレンランダム共重合体は、プロピレンに由来する構成単位を85質量%以上含んでいてもよく、プロピレンに由来する構成単位を90質量%以上含んでいてもよい。成分A1は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
プロピレン単独重合体は、プロピレンに由来する構成単位からなる重合体である。プロピレン単独重合体として、例えば、アイソタクチック構造を有するプロピレン単独重合体、又はシンジオタクチック構造を有するプロピレン単独重合体が挙げられる。プロピレン単独重合体として、好ましくは、アイソタクチック構造を有するプロピレン単独重合体である。
【0039】
成分A1が、アイソタクチック構造を有するプロピレン単独重合体である場合、13C-NMRを使用して測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率(以下、[mmmm]ともいう)は、好ましくは0.90以上であり、より好ましくは0.95以上である。
【0040】
ここで、アイソタクチック・ペンタッド分率とは、13C-NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンに由来する構成単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンに由来する構成単位の分率である。具体的には、13C-NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占める[mmmm]ピークの分率として算出される値である。ここで、[mmmm]ピークとは、5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンに由来するピークである。
【0041】
なお、この[mmmm]は、A.Zambelliらの報告(Macromolecules,1973年,6号)に記載の方法に従って求めることができる。
【0042】
成分A1が、シンジオタクチック構造を有するプロピレン単独重合体である場合、13C-NMR法により測定されたシンジオタクチック・ペンタッド分率(以下、[rrrr]ともいう)は、好ましくは0.85以上であり、より好ましくは0.90以上である。
【0043】
ここで、シンジオタクテチック・ペンタッド分率とは、13C-NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのシンジオタクチック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンに由来する構成単位が5個連続してラセモ結合した連鎖の中心にあるプロピレンに由来する構成単位の分率である。具体的には、13C-NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占める[rrrr]ピークの分率として算出される値である。ここで、[rrrr]ピークとは、5個連続してラセモ結合した連鎖の中心にあるプロピレンに由来するピークである。
【0044】
なお、[rrrr]は、特開2008-169316号公報に記載の方法で求めることができる。
【0045】
プロピレンランダム共重合体としては、プロピレンに由来する構成単位と、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体;及びプロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体が挙げられる。
【0046】
炭素数4~10のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、及び1-デセンが挙げられるが、好ましくは1-ブテン、又は1-ヘキセンである。
【0047】
プロピレンに由来する構成単位と、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-(1-ブテン)ランダム共重合体、プロピレン-イソブテンランダム共重合体、プロピレン-(1-ペンテン)ランダム共重合体、プロピレン-(2-メチル-1-ブテン)ランダム共重合体、プロピレン-(3-メチル-1-ブテン)ランダム共重合体、プロピレン-(1-ヘキセン)ランダム共重合体、プロピレン-(2-メチル-1-ペンテン)ランダム共重合体、プロピレン-(3-メチル-1-ペンテン)ランダム共重合体、プロピレン-(4-メチル-1-ペンテン)ランダム共重合体、プロピレン-(1-オクテン)ランダム共重合体、プロピレン-(1-ノネン)ランダム共重合体及びプロピレン-(1-デセン)ランダム共重合体が挙げられる。プロピレンに由来する構成単位と、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体として、好ましくは、プロピレン-(1-ブテン)ランダム共重合体、又はプロピレン-(1-ヘキセン)ランダム共重合体である。
【0048】
プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン-1-ブテン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-イソブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(1-ペンテン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(2-メチル-1-ブテン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(3-メチル-1-ブテン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(1-ヘキセン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(2-メチル-1-ペンテン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(3-メチル-1-ペンテン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(4-メチル-1-ペンテン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(1-オクテン)ランダム共重合体、プロピレン-エチレン-(1-ノネン)ランダム共重合体及びプロピレン-エチレン-(1-デセン)ランダム共重合体が挙げられる。プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体として、好ましくは、プロピレン-エチレン-(1-ブテン)ランダム共重合体である。
【0049】
プロピレンに由来する構成単位と、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体の、プロピレンに由来する構成単位の含有量は、85重量%以上99.9重量%以下であることが好ましく、90重量%以上99.9重量%以下であることがより好ましい。プロピレンに由来する構成単位と、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体の、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、20重量%以下である。プロピレンに由来する構成単位と、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体の、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、0.1重量%以上15重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上10重量%以下であることがより好ましい。ただし、プロピレンに由来する構成単位と、エチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体の全量を、100重量%とする。プロピレンに由来する構成単位の含有量、及びエチレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、13C-NMR法により求められる。
【0050】
プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体の、プロピレンに由来する構成単位の含有量は、85重量%以上99.9重量%以下であることが好ましく、90重量%以上99.9重量%以下であることがより好ましい。プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体において、エチレンに由来する構成単位の含有量と炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量との合計は、20重量%以下である。プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体の、エチレンに由来する構成単位の含有量は、0.05重量%以上7.5重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体の、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、0.05重量%以上7.5重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。ただし、プロピレンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位と、炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位とからなるランダム共重合体を、100重量%とする。プロピレンに由来する構成単位の含有量、エチレンに由来する構成単位の含有量、及び炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、13C-NMR法により求められる。
【0051】
成分A1の示差走査熱量測定(以下、DSCとする)により求められる融点は、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは155℃以上であり、更に好ましくは160℃以上である。また、成分A1のDSCにより求められる融解熱量は、好ましくは60J/g以上であり、より好ましくは80J/g以上、更に好ましくは90J/g以上である。
【0052】
成分A1の融点は、成分A1中に含まれる結晶相の融解温度である。具体的には、成分A1を昇温したときに得られるDSC曲線において、最も高温側の吸熱ピークにおけるピークトップ温度である。
【0053】
成分A1の融解熱量は、成分A1中に含まれる結晶相が、溶融状態へ転移するために必要な熱量であり、具体的には、プロピレン重合体成分を昇温したときに得られるDSC曲線における全吸熱ピークのピーク面積の合計として求められる。
【0054】
なお、成分A1の融点と融解熱量は、DSCを用いて、以下の条件で測定する。(i)成分A1約10mgを、窒素雰囲気下、220℃で5分間熱処理した後、降温速度5℃/分で50℃まで冷却する。(ii)次いで、50℃において1分間保温した後、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱する。
【0055】
成分A1の、温度230℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトは、0.1g/10分以上5g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分以上2g/10分以下であることがより好ましく、0.1g/10分以上1g/10分以下であることが更に好ましい。成分A1の上記メルトマスフローレイトは、数値が小さいほど、圧延成形体の曲げ弾性強度が優れる傾向にある。
【0056】
本明細書において、メルトマスフローレイトは、JIS K6758に従って測定される値をいう。
【0057】
成分A1は、公知の固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物触媒成分と、必要に応じて更に電子供与体とを接触させて形成される触媒系;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物と、アルキルアルミノキサンとを接触させて形成される触媒系;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物、及び有機アルミニウム化合物を接触させて形成される触媒系などを用いて、公知の重合方法によって製造することができる。
【0058】
成分A1としては、市販品を用いてもよい。市販の成分A1としては、例えば、ノーブレン(住友化学社製、プロピレン共重合体)等が挙げられる。
【0059】
成分A2は、温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトが0.01g/10分以上1.49g/10分以下であり、分子鎖中に極性基を有する樹脂成分である。成分A2は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
極性基としては、例えば、無水マレイン酸基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアネート基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基が挙げられる。
【0061】
成分A2は、圧延成形後の塗装性能の観点から、無水マレイン酸基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアネート基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂であってもよく、ヒドロキシ基、エポキシ基、シアノ基、イソシアネート基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂であってもよく、無水マレイン酸基、ヒドロキシ基、エポキシ基、シアノ基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂であってもよく、エポキシ基、ビニル基、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂であってもよく、アクリル基及びメタクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する樹脂であってもよい。
【0062】
成分A2は、極性基を有する化合物に由来する構成単位と、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、スチレン等の他の化合物に由来する構成単位とを含む樹脂であることができる。
【0063】
成分A2としては、例えば、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エポキシ共重合体、メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、アクリロニトリル共重合体、エチレン・アクリロニトリル共重合体、ウレタン共重合体、マレイン酸変性プロピレン共重合体等が挙げられる。
【0064】
成分A2は、圧延成形後の塗装性能の観点から、極性基を有する化合物に由来する構成単位を5質量%以上50質量%以下含有していてもよく、5質量%以上40質量%以下含有していてもよく、5質量%以上35質量%以下含有していてもよい。
【0065】
成分A2中、極性基を有する化合物に由来する構成単位の含有量は、例えば、樹脂成分を、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)-d7に20~30mg/mlの濃度となるように溶解させて試料を調製し、その試料の13C-NMRスペクトルの測定を行うことで、定量することができる。
【0066】
成分A2は、極性基を有する化合物に由来する構成単位を5質量%以上50質量%以下含有し、エチレンに由来する構成単位を50質量%以上95質量%以下含有している共重合体であってもよく、極性基を有する化合物に由来する構成単位を5質量%以上40質量%以下含有し、エチレンに由来する構成単位を60質量%以上95質量%以下含有している共重合体であってもよく、極性基を有する化合物に由来する構成単位を5質量%以上35質量%以下含有し、エチレンに由来する構成単位を75質量%以上95質量%以下含有している共重合体であってもよい。
【0067】
成分A2が、エチレンに由来する構成単位を含有する場合、エチレンに由来する構成単位の含有量は、例えば、“新版 高分子分析ハンドブック”(日本化学会、高分子分析研究懇談会編 紀伊国屋書店(1995))に記載されているIR法又はNMR法により測定できる。
【0068】
成分A2の、温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトは、塗装性の観点から、1.4g/10分以下であることが好ましく、1.3g/10分以下であることがより好ましく、1g/10分以下であることが更に好ましい。
【0069】
成分A2は、例えば、重合触媒を用いて極性基を有する化合物と、必要に応じその他の化合物とを重合することにより製造できる。重合触媒としては、例えば、リン酸2-エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸ジオクチル等の有機リン化合物、及び、これらの有機リン化合物の混合物が挙げられる。
【0070】
成分A2としては、市販品を用いてもよい。市販の成分A2としては、例えば、ノバテック(日本ポリエチレン社製、エチレン酢酸ビニル共重合体)、サンテック(旭化成社製、エチレン酢酸ビニル共重合体)、レクスパール(日本ポリエチレン、エチレン-アクリル酸メチル)等が挙げられる。
【0071】
成分A3は、温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトが4g/10分以下であり、分子鎖中に極性基を有しない熱可塑性エラストマー成分である。成分A3は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】
成分A3としては、例えば、オレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーが挙げられる。成分A3は、圧延成形後の塗装性能の観点から、オレフィン系エラストマー又はスチレン系エラストマーであってもよい。
【0073】
オレフィン系エラストマーとしては、プロピレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位とを有する共重合体が挙げられる。
【0074】
炭素数4~10のα―オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-メチル1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、及び1-デセンが挙げられる。
【0075】
プロピレン又は炭素数4~10のα-オレフィンとして、好ましくはプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、又は1-オクテンであり、より好ましくは、プロピレン又は1-ブテンである。
【0076】
オレフィン系エラストマーは、プロピレン又は炭素数炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位を、2種以上有していてもよい。
【0077】
オレフィン系エラストマーは、プロピレン又は炭素数4~10のα―オレフィンに由来する構成単位や、エチレンに由来する構成単位に加えて、極性基を有しない他のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。極性基を有しない他のモノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソブレン)、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンなどの炭素数4~8の共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ジシクロペンタジエン、及び7-メチル1,6-オクタジエンが挙げられる。オレフィン系エラストマーは、極性基でない他のモノマーに由来する構成単位を、2種以上有していてもよい。
【0078】
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-(1-ブテン)共重合体、エチレン-(1-ヘキセン)共重合体、エチレン-(1-オクテン)共重合体、エチレン-プロピレン-(1-ブテン)共重合体、エチレン-プロピレン-(1-ヘキセン)共重合体、エチレン-プロピレン-(1-オクテン)共重合体、エチレン-プロピレン-(5-エチリデン-2-ノルボルネン)共重合体、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-(1,4-ヘキサジエン)共重合体、及びエチレン-プロピレン-(5-ビニル-2-ノルボルネン)共重合体が挙げられる。オレフィン系エラストマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
オレフィン系エラストマーとして、好ましくは、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-(1-ブテン)共重合体、エチレン-(1-ヘキセン)共重合体、エチレン-(1-オクテン)共重合体、又はエチレン-プロピレン-(5-エチリデン-2-ノルボルネン)共重合体であり、より好ましくはエチレン-プロピレン共重合体、又はエチレン-(1-ブテン)共重合体である。
【0080】
成分A3は、圧延成形後の塗装性能の観点から、プロピレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位とを含むエラストマーであってもよく、プロピレン又は炭素数4~6のα-オレフィンに由来する構成単位と、エチレンに由来する構成単位とを含むエラストマーであってもよい。
【0081】
オレフィン系エラストマーの、エチレンに由来する構成単位の含有量(「エチレン単位」ともいう)は、好ましくは30重量%以上95重量%以下であり、より好ましくは、40重量%以上80重量%以下である。オレフィン系エラストマーのプロピレン又は炭素原子数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは5重量%以上70重量%以下であり、より好ましくは20重量%以上60重量%以下である。ただし、エチレンに由来する構成単位の含有量と、プロピレン又は炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位の含有量の合計を、100重量%とする。
【0082】
オレフィン系エラストマー中のエチレン単位の含量は、下記の条件で測定した13C-NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(Macromolecules,1982,15,1150-1152)に基づいて求めることができる。
10mmΦの試験管中で約200mgのオレフィン系エラストマーを3mlのオルソジクロロベンゼンに均一に溶解させて試料を調整し、その試料の13C-NMRスペクトルを測定温度135℃、パルス繰り返し時間10秒、パルス幅45°、積算回数2500回の条件下で測定する。エチレン以外の化合物に由来する構成単位の含有量は、例えば、オレフィン系エラストマーを、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)-d7に20~30mg/mlの濃度となるように溶解させて試料を調製し、その試料の13C-NMRスペクトルの測定を行うことで、定量することができる。
【0083】
成分A3が、プロピレンに由来する由来する構成単位を含有する場合、その含有量は、通常、80質量%未満である。成分A3が、プロピレンに由来する由来する構成単位を含有する場合、その含有量は、70質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。すなわち、成分A3としてのオレフィン系エラストマーにおいて、プロピレンに由来する由来する構成単位の含有量は、80質量%未満であってもよく、70質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。プロピレンに由来する構成単位の含有量の含有量は、例えば、13C-NMR法により求められる。
【0084】
スチレン系エラストマーとしては、例えば、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位と共役ジエンに由来する構成単位とからなるブロック共重合体;及び前記ブロック共重合体の共役ジエン由来の二重結合が水素添加されたブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。スチレン系エラストマーとして、好ましくは、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位と共役ジエンに由来する構成単位とからなるブロック共重合体の、共役ジエンに由来する二重結合が80%以上水素添加されたブロック共重合体であり、より好ましくは共役ジエンに由来する二重結合が85%以上水素添加されたブロック共重合体である。
【0085】
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン-エチレン-ブテン-スチレンゴム(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンゴム(SEPS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレンゴム(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンゴム(SIS)などのブロック共重合体;及びそれらの水素添加物が挙げられる。
【0086】
成分A3の、温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトは、塗装性の観点から、3g/10分以下であってもよく、1g/10分未満であってもよく、0.8g/10以下であってもよい。成分A3の、温度190℃及び荷重2.16kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイトは、例えば、0.01g/10分以上であってもよく、0.1g/10分以上であってもよい。
【0087】
成分A3は、公知の触媒を用いて公知の重合方法により製造することができる。オレフィン系エラストマーに用いられる触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系、チーグラーナッタ触媒系、及びメタロセン触媒系が挙げられる。重合方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法等が挙げられる。
【0088】
成分A3としては、市販品を用いてもよい。市販の成分A3としては、例えば、エンゲージ ENR7487(ダウデュポンエラストマー社製、エチレン-(1-ブテン)共重合体、商品名)、タフマー P0775(三井化学社製、エチレン-プロピレン共重合体、商品名)、エクセレンCX5505(住友化学社製、エチレン-(1-ブテン)共重合体)等が挙げられる。
【0089】
層Aに含まれる成分A1の含有量は、25質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよい。層Aに含まれる成分A1の含有量は、70重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよい。層Aに含まれる成分A2の含有量は、20重量%以上であってもよい。層Aに含まれる成分A2の含有量は、45重量%以下であってもよい。層Aに含まれる成分A3の含有量は、20重量%以上であってもよい。層Aに含まれる成分A3の含有量は、25重量%以下であってもよい。ただし、成分A1の含有量と成分A2の含有量と成分A3の含有量の合計を100重量%とする。
【0090】
[層B]
層Bは、プロピレン重合体成分(B1)(以下、「成分B1」ともいう)と、無機フィラー(B2)(以下、「成分B2」ともいう)とを含有し、成分B1と成分B2との含有量の合計を100重量%としたとき、成分B1の含有量が50重量%以上80重量%以下であり、成分B2の含有量20重量%以上50重量%以下である層である。
【0091】
成分B1としては、層Aに含まれる成分A1と同様のものを用いることができる。
【0092】
成分B2は、圧延成形後の塗装性能の観点から、下記要件(1-a)、下記要件(1-b)及び下記要件(1-c)の全てを満たすことが好ましい。
要件(1-a):
JIS R1629に従ってレーザー回折法により測定されるメディアン径D50(L)が10μm以上25μm以下であること。
要件(1-b):
JIS R1619に従って遠心沈降法により測定されるメディアン径D50(S)が2μm以上8μm以下であること。
要件(1-c):
下記式(1)により求められるアスペクト比定数が2以上15以下であること。
アスペクト比定数={D50(L)-D50(S)}/D50(S)・・・式(1)
【0093】
成分B2は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0094】
(レーザー回折法により測定されるメディアン径D50(L))
メディアン径D50(L)は、レーザー法粒度分布測定機を用いて、JIS R1629に従って測定し、得られた粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値から求めることができる。レーザー法粒度分布測定機としては、例えば、日機装株式会社MT-3300EX-IIが挙げられる。
【0095】
成分B2の、JIS R1629に従ってレーザー回折法により測定されるメディアン径D50(L)は、圧延成形用積層体から得られる圧延成形体の耐衝撃性の観点から、22μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、18μm以下であってもよい。
【0096】
(遠心沈降法により測定されるメディアン径D50(S))
メディアン径D50(S)は、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて、JIS R1619に従って測定し、得られた粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値から求めることができる。遠心沈降式粒度分布測定装置としては、例えば、株式会社島津製作所製SA-CP3が挙げられる。
【0097】
成分B2の、JIS R1629に従って遠心沈降法により測定されるメディアン径D50(S)は、6μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよい。
【0098】
(アスペクト比定数)
アスペクト比定数は、上記メディアン径D50(L)と上記メディアン径D50(S)の値とから上記式(1)によって求められる。成分B2のアスペクト比定数は、2.1以上10以下であってもよく、2.2以上9以下であってもよく、2.3以上8以下であってもよい。
【0099】
成分B2としては、例えば、マイカ、ガラスフレーク、ガラス繊維、及びタルクが挙げられる。
【0100】
成分B2は、圧延成形後の塗装性能の観点から、タルクであってもよい。
【0101】
成分B2は、例えば、米国特許第6348536号明細書に記載の方法により製造できる。成分B2としては、市販品を用いてもよい。市販の成分B2としては、例えば、HAR W92(Imerys製、タルク、商品名)、HAR T84(Imerys製、タルク、商品名)等が挙げられる。
【0102】
層Bに含まれる成分B1の含有量は、好ましくは66重量%以上74重量%以下であり、より好ましくは67重量%以上73重量%以下であり、更に好ましくは68重量%以上72重量%以下である。層Bに含まれる成分B2の含有量は、好ましくは26重量%以上34重量%以下であり、より好ましくは27重量%以上33重量%以下であり、更に好ましくは28重量%以上32重量%以下である。ただし、成分B1の含有量と成分B2の含有量との合計を、100重量%とする。
【0103】
層A及び層Bを構成する各成分の混合方法としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等の混練機で、各成分を溶融混練する方法や、成分A1、成分A2、成分A3、又は成分B1を製造するための重合反応中に、各成分を混合する方法などが挙げられる。
【0104】
層A及び層Bを製造する方法としては、例えば、プレス成形法、押出成形法、及び射出成形法が挙げられる。
【0105】
本実施形態の圧延成形用積層体において、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計を100%としたとき、層Aの合計厚みは、好ましくは3%以上9.5%以下であり、層Bの合計厚みは、好ましくは90.5%以上97%以下である。
【0106】
本実施形態の圧延成形用積層体は、層A及び層B以外のその他の層を備えることもできる。
【0107】
上記圧延成形用積層体は、各種添加剤や結晶造核剤を含んでいてもよい。
【0108】
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、粘着剤、防曇剤及びアンチブロッキング剤が挙げられる。
【0109】
結晶造核剤としては、例えば、ソルビトール系核剤、有機リン酸エステル金属塩系化合物、有機カルボン酸金属塩系化合物、ロジン系化合物などのα晶核剤;及びアミド系化合物、キナナクリドン系化合物などのβ晶核剤が挙げられる。結晶造核剤の含有量は、添加効果の観点から、圧延成形用積層体を100重量部として、0.001重量部以上であることが好ましく、結晶核剤の分散性の悪化を抑えるために、圧延成形用積層体の全量100重量部あたり、1.5重量部以下であることがより好ましい。
【0110】
上記圧延成形用積層体は、層Aと層Bとを共押出法による押出成形で製造することができる。
【0111】
以上説明した圧延成形用積層体は、圧延成形後に優れた塗装性能を発現し得る。
【0112】
[圧延成形体]
圧延成形体は、例えば、圧延成形用積層体を、厚み方向に加熱圧縮して圧延成形することにより製造できる。
【0113】
本実施形態の圧延成形体は、上記圧延成形用積層体を、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計が10%以上69%以下となるように圧延成形してなる。すなわち、上記圧延成形体は、圧延成形前の積層体(圧延成形用積層体)における層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計を100%としたときに、圧延成形後の層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計が10%以上69%以下となるように、圧延成形用積層体を圧延成形して得られる。このような圧延成形体は、優れた塗装性能を有する。また、このような圧延成形体は、熱変形性が低く、塗装を焼き付けする場合にも変形が生じ難いと考えられる。圧延成形前の積層体(圧延成形用積層体)における層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計を100%としたときの、圧延成形後の積層体(圧延成形体)における層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計(%)を圧縮率ともいう。なお、圧延成形用積層体が層A及び層B以外のその他の層を備える場合であっても、圧縮率は、層A及び層Bの厚みから計算する。
すなわち、圧縮率の計算に、その他の層の厚みは影響しない。
【0114】
本実施形態の圧延成形体の具体例について、
図1を用いて説明する。
【0115】
図1中の(b)に示す圧延成形体200は、
図1中の(a)に示す圧延成形用積層体100を、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計が10%以上69%以下となるように圧延成形して得られるものである。すなわち、圧延成形体200において、層A(10a及び10b)の合計厚み(t
21とt
23との和)と層B(20)の厚みt
22との合計(厚みt
200)は、圧延成形用積層体100における、層A(10a及び10b)の合計厚み(t
11とt
13との和)と層B(20)の厚みt
12との合計(厚みt
100)の10%以上69%以下である。
【0116】
本実施形態の圧延成形体は、塗装性能の観点から、上記圧延成形用積層体を、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計が10%以上50%以下、又は15%以上40%以下となるように圧延成形してなるものであってもよい。すなわち、圧縮率は、10%以上50%以下、又は15%以上40%以下であってもよい。
【0117】
圧延成形体において、成分B2は、圧延成形体中に含まれる成分B2の厚み方向に垂直な面が、加熱圧縮時に圧延成形用積層体に含まれる各成分が流動する方向と平行に配向していることが好ましい。
【0118】
圧延成形体中における成分B2の配向状態は、圧延成形体の広角X線散乱を測定することにより評価することができる。
成分B2の配向状態は、成分B2の配向度によって定量化できる。成分B2の配向度は、二次元広角X線散乱像の成分B2の厚み方向に垂直な格子面の方位角強度分布の半値幅を用いて、下記の式(2)により求めることができる。なお、方位角度強度分布を計算するときの散乱角度幅は、前記格子面に由来する回折ピーク位置から±0.5°の範囲とする。
配向度(%)={(180-hwd)/180}×100・・・式(2)
(式(2)中、hwdは、成分B2の厚み方向に垂直な格子面の方位角強度分布における半値幅(単位:度)を表す。)
上記配向度の値が大きいほど、成分B2の面が、加熱圧縮時に圧延成形用積層体に含まれる各成分が流動する方向と平行に配向していると言える。
【0119】
圧延成形体に含まれる成分B2の配向度は、例えば、80%以上であり、耐衝撃性の観点から、好ましくは85%以上である。
【0120】
成分B1は、通常、結晶性を有し、その結晶内の原子は、三次元的な周期性をもって繰り返し配列されているため、その周期性を考慮して、結晶は一定の構造を持った平行六面体が三次元的に積み重なったものと考えられる。このような平行六面体を単位格子いう。
この単位格子の三辺をそれぞれ、a軸、b軸、c軸と呼ぶ。α晶ポリプロピレン結晶の単位格子では、分子鎖方向をc軸といい、その他の結晶軸の2辺のうち、短軸をa軸、長軸をb軸という。
【0121】
本実施形態の圧延成形体においては、成分B1が結晶構造を有し、かつ、その結晶構造のうち、α晶のc軸又はa軸が、加熱圧縮時の流動方向に平行に配向していることが好ましい。成分B1のα晶のc軸又はa軸が、加熱圧縮時に圧延成形用積層体に含まれる各成分が流動する方向に配向していることによって、圧延成形体の衝撃強度を高くすることができる。
【0122】
成分B1の結晶の配向状態は、圧延成形体の広角X線散乱を測定することにより評価できる。
成分B1の結晶の配向状態は、結晶配向度によって定量化できる。結晶配向度は、二次元広角X線散乱像の(040)面の方位角強度分布の半値幅を用いて、下記の式(3)により求めることができる。尚、方位角度強度分布を計算するときの散乱角度幅は、前記(040)面に由来する回折ピーク位置から±0.5°の範囲とする。
結晶配向度(%)={(180-hw040)/180}×100・・・式(3)
(式(3)中、hw040は、成分B1のα晶における(040)面の方位角強度分布における半値幅(単位:度)を表す。)
結晶配向度の値が大きいほど、成分B1のα晶のc軸又はa軸が、加熱圧縮時に圧延成形用積層体に含まれる各成分が流動する方向と平行に配向していると言える。
【0123】
圧延成形体に含まれる成分B1の結晶配向度は、例えば、75%以上であり、好ましくは、80%以上である。
【0124】
本実施形態の圧延成形体は、圧延成形用積層体を、上述の圧縮率で圧延成形することにより製造できる。すなわち、本実施形態の圧延成形体の製造方法は、上記圧延成形用積層体を、層Aの合計厚みと層Bの合計厚みとの合計が10%以上69%以下となるように圧延成形する工程を有することができる。このような方法によれば、優れた塗装性能を有する圧延成形体を製造できる。
【0125】
圧延成形する工程は、例えば、成分B1の融点近傍の温度で加熱圧縮する工程である。
【0126】
圧延成形用積層体を加熱圧縮する際、加熱圧縮に用いられる装置における圧延成形用積層体と接触する加圧部の温度は、成分B1の融点(Tm)近傍の温度であり、好ましくは融点(Tm)-20℃以上、融点(Tm)+10℃以下であり、より好ましくは融点(Tm)-10℃以上、融点(Tm)+5℃以下である。
【0127】
圧延成形用積層体を加熱圧縮する時間は、圧延成形体の耐衝撃性を良好なものにするためや、圧延成形用積層体に含まれる成分の熱劣化を防止するために、好ましくは15秒以上60分以下であり、より好ましくは1分以上30分未満であり、更に好ましくは10分以上15分未満である。
【0128】
圧延成形用積層体を加熱圧縮する装置としては、例えば、温度調節機能を有するプレス成形機、トラックベルト型の加熱加圧成形機、加圧可能なベルト型のシーラー、及び圧延ロール成形機が挙げられる。また、加熱圧縮する方法としては、温度調節機能を有するプレス成形機により、圧延成形用積層体を厚み方向から加熱圧縮する方法が好ましい。
【0129】
圧縮率を高める場合の装置への負荷の観点、及び大きなサイズの圧延成形体を得る観点からは、温度調節機能を有するプレス成形機が好ましい。当該成形機によれば、上面からみたときのいずれか一点の長さが40cmを超えるような大きな圧延成形体を容易に得ることができる。
【0130】
圧延成形用積層体を加熱圧縮する方法として、加熱圧縮する装置の、圧延成形用積層体と接触する加圧部に、潤滑剤を塗ることも可能である。潤滑剤としては、例えば、シリコンオイルなどが挙げられる。潤滑剤を塗ることで、圧延成形用積層体と加圧部の摩擦抵抗が軽減され、より円滑に圧延成形用積層体を加熱圧縮することができるため、成形サイクルの向上及び加熱圧縮する装置の負荷低減に繋がる。
【0131】
本実施形態の圧延成形体は、真空成形法、圧空成形法、プレス成形法などの公知の方法を用いて、更に所要の形状に成形加工することができる。
【0132】
本実施形態に係る圧延成形体は、他の樹脂・金属・紙・皮革と張り合わせを行い、多層構造として用いることが可能である。
【実施例】
【0133】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて説明する。実施例及び比較例で使用したプロピレン重合体成分、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分及び無機フィラーを下記に示す。
【0134】
(1)プロピレン重合体成分
特開平10-2123219号公報に記載の触媒を用い、気相重合法によって、重合反応器内の水素濃度と、重合温度を制御することによって、下記のプロピレン単独重合体を得た。
(A1-1)プロピレン単独重合体(成分A1)
MFR(230℃、2.16kg荷重):0.5g/10分
アイソタクチック・ペンタッド分率:0.977
融点:163℃
融解熱量:106J/g
(B1-1)プロピレン単独重合体(成分B1)
MFR(230℃、2.16kg荷重):0.5g/10分
アイソタクチック・ペンタッド分率:0.977
融点:163℃
融解熱量:106J/g
【0135】
(2)分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分
(A2-1)エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(成分A2)
MFR(190℃、2.16kg荷重):0.25g/10分
メタクリル酸メチル含量:17重量%
エチレン含量:83重量%
(A2-2)エチレン・メタクリル酸メチル共重合体
MFR(190℃、2.16kg荷重):2.0g/10分
メタクリル酸メチル含量:20重量%
エチレン含量:80重量%
(A2-3)エチレン・メタクリル酸メチル共重合体
MFR(190℃、2.16kg荷重):7g/10分
メタクリル酸メチル含量:15重量%
エチレン含量:85重量%
(A2-4)エチレン酢酸ビニル共重合体(成分A2)
MFR(190℃、2.16kg荷重):0.41g/10分
酢酸ビニル含量:5重量%
エチレン含量:95重量%
【0136】
(3)分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分
(A3-1)エチレン-(1-ブテン)共重合体(成分A3)
(商品名)エンゲージ ENR7487:ダウデュポンエラストマー社製
MFR(190℃、2.16kg荷重):0.5g/10分
エチレン含有量:74重量%
1-ブテン含有量:26重量%
(A3-2)エチレン-(1-ブテン)共重合体
(商品名)エンゲージ ENR7447:ダウデュポンエラストマー社製
MFR(190℃、2.16kg荷重):5g/10分
エチレン含有量:70重量%
1-ブテン含有量:30重量%
(A3-3)エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(成分A3)
MFR(230℃、2.16kg荷重):0.6g/10分
エチレン含有量:67重量%
プロピレン-ジエン含有量:33重量%
(A3-4)エチレン-プロピレン共重合体(成分A3)
(商品名)タフマー P0775:三井化学社製
MFR(230℃、2.16kg荷重):0.6g/10分
エチレン含有量:71重量%
プロピレン含有量:29重量%
【0137】
(4)無機フィラー
(B2-1)タルク(成分B2)
(商品名)HAR W92:Imerys製
D50(L):11μm
D50(S):2.5μm
アスペクト比定数:3.4
【0138】
原料成分及び圧延成形体(以下、「積層平板」ともいう)の物性は下記に示した方法に従って測定した。
(1)メルトマスフローレイト(MFR、単位:g/10分)
JIS K 6758に規定された方法に従って、測定した。測定温度230℃又は190℃で、荷重2.16kgで測定した。
【0139】
(2)アイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm])
直径10mmの試験管の中で、約200mgの樹脂サンプルを3mlのオルトジクロロベンゼンに完全に溶解させて試料を調製し、その試料の13C-NMRのスペクトルの測定を行った。13C-NMRのスペクトルの測定条件を以下に示す。
<測定条件>
機種:Bruker Avance600
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
測定結果から、A.Zambelliらの報告(Macromolecules,1973年,6号,925項から926項)に記載の方法に従って、[mmmm]を計算した。
【0140】
(3)融点(Tm、単位:℃)及び融解熱量(ΔH、単位:J/g)
プロピレン重合体成分を熱プレス成形(230℃で5分間予熱後、1分間かけて5.0MPaまで昇圧し2分間保圧し、次いで、30℃、5.0MPaで5分間冷却)して、厚み約0.5mmのシートを作製した。示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、Diamond DSC)を用い、プロピレン重合体成分の融点及び融解熱量を測定した。測定条件を以下に記す。
<測定条件>
作製されたシートの10mgを窒素雰囲気下220℃で5分間熱処理後、降温速度5℃/分で50℃まで冷却し、次いで、50℃において1分間保温した後、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱した。
<Tm及びΔHの算出法>
DSCの昇温時に得られるDSC曲線において、最も高温側の吸熱ピークにおけるピークトップ温度をTm(℃)とした。また、上記DSC曲線において、吸熱に由来する全ピークのピーク面積をΔH(J/g)とした。
【0141】
(4)メタクリル酸メチルに由来する構成単位の含有量
分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分のメタクリル酸メチル単位の含有量は、厚み0.3mmのプレスシートを作成し、赤外分光装置を用いて、赤外線吸収スペクトル分析法により測定することができる。赤外吸収スペクトルの特性吸収としては、メタクリル酸メチルに帰属される3448cm-1のピークを用い、下記式に従い、吸光度を厚みで補正して、コモノマー含量を求めた。
MMA=4.1×log(I0/I)/t-5.3
〔式中、MMAはメタクリル酸メチル単位の含量(質量%)、Iは周波数3448cm-1での透過光強度、I0は周波数3448cm-1での入射光強度、tは測定試料シートの厚み(cm)を表わす。〕
【0142】
(5)酢酸ビニルに由来する構成単位の含有量
分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分の酢酸ビニルに由来する構成単位の含有量は、JIS K6924-2:1997に従い測定した。
【0143】
(6)エチレンに由来する構成単位の含有量
分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分中のエチレンに由来する構成単位の含有量は、下記の方法により測定した。
直径10mmの試験管の中で、約200mgの樹脂サンプルを3mlのオルトジクロロベンゼンに完全に溶解させて試料を調製し、その試料の13C-NMRのスペクトルの測定を行った。13C-NMRのスペクトルの測定条件を以下に示す。
<測定条件>
機種:Bruker Avance600
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
【0144】
分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分中のエチレンに由来する構成単位の含有量は、下記の方法により測定した。
直径10mmの試験管の中で、約200mgの樹脂サンプルを3mlのオルトジクロロベンゼンに完全に溶解させて試料を調製し、その試料の13C-NMRのスペクトルの測定を行った。13C-NMRのスペクトルの測定条件を以下に示す。
<測定条件>
機種:Bruker Avance600
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
測定結果から、M.Kakugoらの報告(Macromolecules,1982年,15号,1150項から1152項)に記載の方法に従って、エチレンに由来する構成単位の含有量を算出した。また、分子鎖中に極性基を含有しない樹脂成分中の、1-ブテン、プロピレン-ジエン、又はプロピレンに由来する構成単位の含有量は、100重量%からエチレンに由来する構成単位の含有量を差し引きすることで算出した。
【0145】
(7)レーザー回折法により測定されるメディアン径D50(L)
レーザー回折法により測定されるメディアン径D50(L)は、以下の方法で求めた。
ホモジナイザを用いてエタノール中に分散させた試料を、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製「MT-3300EX II」)を用いて、JIS R1629に従って測定し、得られた粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値よりD50(L)を求めた。
【0146】
(8)遠心沈降法により測定されるメディアン径D50(S)
遠心沈降法により測定されるメディアン径D50(S)は、以下の方法で求めた。超音波洗浄装置を用いてエタノール中に分散させた試料を、遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製「SA-CP3」)を用いて、JIS R1619に従って測定し、得られた粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値よりD50(S)を求めた。
【0147】
(9)アスペクト比定数
上記メディアン径D50(L)及び上記メディアン径D50(S)の値を用い、下記式(1)によりアスペクト比定数を求めた。
アスペクト比定数={D50(L)-D50(S)}/D50(S)・・・式(1)
【0148】
(10)圧縮率
層Aと層Bが重なった状態の圧延成形用積層体の厚みと圧延成形後の積層平板の厚みとをノギスで測定し、下記の式に従い、圧縮率を算出した。
圧縮率(%)=圧延成形後の積層平板の厚み(mm)/圧延成形用積層体の厚み(mm)×100
【0149】
(11)耐水付着性
<塗装条件(I)>
得られた積層平板から長さ150mm、幅70mm、厚み2.5mmのサイズで試験片を切り出した。前記の試験片の表面に、レシプロケーター(CFTランズバーグ製RIH1200H035)により、プライマー(関西ペイント社製クリアホワイト(NE))をスプレー塗装(乾燥膜厚6μm)し、60℃で3分間乾燥した。その後、同装置で、水性ベース塗料(関西ペイント社製202サンメタリック)をスプレー塗装(乾燥膜厚20μm)し、60℃で3分間乾燥した。その上に、同装置で、クリヤー塗料(関西ペイント社製HSクリヤーベース主剤と関西ペイント社製HSクリヤーG硬化剤と、関西ペイント社製シンナー30からなるもの)を、スプレー塗装(乾燥膜厚30μm)した。その後、60℃で60分間乾燥し、複層塗膜を形成した。
<評価条件>
塗装条件(I)に従って複層塗膜を形成した試験片を40℃の耐水槽にて240時間浸漬させる。引き揚げた後、1時間以内に外観評価を行い、フクレやブリスター等の外観異常が認められたテストピースを不合格(異常あり)とした。
【0150】
(12)初期密着
<塗装条件(II)>
得られた積層平板から長さ150mm、幅70mm、厚み2.5mmのサイズで試験片を切り出した。前記の試験片の表面に、レシプロケーター(CFTランズバーグ製RIH1200H035)により、プライマー(関西ペイント社製クリアホワイト(NE))をスプレー塗装(乾燥膜厚12μm)し、60℃で3分間乾燥した。その後、同装置で、水性ベース塗料(関西ペイント社製202サンメタリック)をスプレー塗装(乾燥膜厚20μm)し、60℃で3分間乾燥した。その上に、同装置で、クリヤー塗料(関西ペイント社製HSクリヤーベース主剤と関西ペイント社製HSクリヤーG硬化剤と、関西ペイント社製シンナー30からなるもの)を、スプレー塗装(乾燥膜厚30μm)した。その後、60℃で60分間乾燥し、複層塗膜を形成した。
<評価条件>
塗装条件(II)に従って複層塗膜を形成した試験片の塗膜にカミソリ刃にて2mm角のゴバン目100個(10縦×10横)を刻み、その上に24mm幅のセロハンテープ〔登録商標〕(ニチバン株式会社製)を指で圧着した後、その端面をつかんで一気に引きはがした時に残存したゴバン目の数を残率(%)として評価した。
【0151】
[実施例1]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を75重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を10重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-1)を得た。得られた樹脂組成物(a-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0152】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0153】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-1)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0154】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-1)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0155】
[実施例2]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を65重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を20重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-2)を得た。得られた樹脂組成物(a-2)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0156】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0157】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-2)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0158】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-2)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0159】
[実施例3]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を55重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を30重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-3)を得た。得られた樹脂組成物(a-3)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0160】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0161】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-3)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0162】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-3)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0163】
[実施例4]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-4)を得た。得られた樹脂組成物(a-4)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0164】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0165】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-4)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0166】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-4)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0167】
[実施例5]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を45重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を40重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-5)を得た。得られた樹脂組成物(a-5)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0168】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0169】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-5)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0170】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-5)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0171】
[実施例6]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-6)を得た。得られた樹脂組成物(a-6)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0172】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0173】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-6)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0174】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-6)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0175】
[実施例7]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を60重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を10重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-7)を得た。得られた樹脂組成物(a-7)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0176】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0177】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-7)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0178】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-7)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0179】
[実施例8]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を30重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-8)を得た。得られた樹脂組成物(a-8)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0180】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0181】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-8)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0182】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-8)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0183】
[実施例9]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-4)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を30重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-9)を得た。得られた樹脂組成物(a-9)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0184】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0185】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-9)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0186】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-9)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0187】
[実施例10]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-3)を30重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-10)を得た。得られた樹脂組成物(a-10)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0188】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0189】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-10)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0190】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-10)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0191】
[実施例11]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-4)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-11)を得た。得られた樹脂組成物(a-11)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0192】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0193】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-11)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0194】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-11)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0195】
[実施例12]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-4)を得た。得られた樹脂組成物(a-4)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.200mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0196】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み4.6mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0197】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-12)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0198】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-12)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0199】
[比較例1]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を85重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-12)を得た。得られた樹脂組成物(a-12)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0200】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0201】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-13)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0202】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-13)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0203】
[比較例2]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-2)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を30重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-13)を得た。得られた樹脂組成物(a-13)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0204】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0205】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-14)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0206】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-14)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0207】
[比較例3]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-3)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-1)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-14)を得た。得られた樹脂組成物(a-14)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0208】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0209】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-15)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0210】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-15)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0211】
[比較例4]
(層Aの作製)
プロピレン単独重合体(A1-1)を50重量%と、分子鎖中に極性基を含有する樹脂成分(A2-1)を35重量%と、分子鎖中に極性基を含有しない熱可塑性エラストマー成分(A3-2)を15重量%とを混合し、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-15)を得た。得られた樹脂組成物(a-15)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0212】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0213】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-16)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0214】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-16)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0215】
[比較例5]
(層Aの作製)
100重量%のプロピレン単独重合体(A1-1)を、40mm単軸押出機VS40-28型(田辺プラスチック機械製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:70rpmの条件で溶融混練し樹脂組成物(a-16)を得た。得られた樹脂組成物(a-16)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み0.336mmの層Aを得た。層A中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0216】
(層Bの作製)
プロピレン単独重合体(B1-1)を70重量%と、タルク(B2-1)30重量%とを混合し、15mm二軸押出機KZW15-45MG(テクノベル製)を用いて、シリンダ設定温度:220℃、スクリュー回転数:5100rpm、押出量:約4kg/時間の条件で、溶融混練し樹脂組成物(c-1)を得た。得られた樹脂組成物(c-1)を新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用いて、温度230℃、加圧時の圧力10MPa、10分間の条件で圧縮成形することにより、幅15cm、長さ15cm、厚み7.73mmの層Bを得た。層B中の成分の種類及び含有量を表1に示す。
【0217】
(圧延成形用積層体の作製)
上記の層Bの上面に層Aを1枚重ね合わせ、さらに層Bの下面に層Aを1枚重ね合わせ、圧延成形用積層体(d-17)を作製した。圧延成形用積層体における層Aの合計厚みの割合及び層Bの厚みの割合を表1に示す。
【0218】
(積層平板の作製)
上記圧延成形用積層体(d-17)を、プレス板の設定が160℃である熱プレス成形機中に入れて、100tまで昇圧し5分間保圧し、圧力を維持したまま80℃まで冷却した後に脱圧し、厚さ2.5mmの積層平板を得た。得られた積層平板の物性を表2に示す。
【0219】
【0220】
【0221】
表2から、実施例に係る積層平板は、耐水付着性及び初期密着、すなわち塗装性能に優れることがわかる。すなわち、本実施形態の圧延成形用積層体は、圧延成形後に優れた塗装性能を発現し得ることを確認した。また、これにより、本実施形態の圧延成形体は塗装性能に優れること、及び本実施形態の圧延成形体の製造方法によれば、塗装性能に優れる圧延成形体を製造できることがわかる。
【符号の説明】
【0222】
10a,10b…層A、20…層B、100…圧延成形用積層体、200…圧延成形体。