(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置の外部磁場検出
(51)【国際特許分類】
G11C 11/16 20060101AFI20240117BHJP
G11C 5/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G11C11/16 230
G11C11/16 280
G11C5/00 100
(21)【出願番号】P 2022164015
(22)【出願日】2022-10-12
【審査請求日】2022-10-12
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】莊 學理
(72)【発明者】
【氏名】李 元仁
(72)【発明者】
【氏名】江 典蔚
(72)【発明者】
【氏名】史 毅駿
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/040167(WO,A1)
【文献】特表2006-527447(JP,A)
【文献】特開2004-303382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/16
G11C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に対する外部磁場効果を判定するためのコントローラによる方法であって、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置と前記コントローラは動作可能に関連付けられ、前記方法は、
前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置からメモリデータ及び前記メモリデータに対応する誤り訂正冗長性を読み取るステップと、
前記メモリデータ及び前記誤り訂正冗長性に基づいて誤り訂正符号チェックを実行することにより、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置の保持失敗率を指示するビット誤り率を判定するステップと、
前記保持失敗率と所定の失敗率しきい値を比較するステップと、
前記保持失敗率が前記失敗率しきい値より大きい場合、前記メモリデータが信頼できないことを指示する通知信号を提供するステップと、を含むコントローラによる方法。
【請求項2】
誤り訂正動作を実行するステップと、前記保持失敗率が前記失敗率しきい値より小さい場合、前記メモリデータの訂正されたビットにより前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に対して書き換えるステップと、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に記憶されている前記メモリデータが信頼できない場合、セキュリティデータを保護するように破棄コマンドを提供するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記失敗率しきい値は、メモリから予め記憶された値を得ることにより判定される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記失敗率しきい値は、しきい強度を有する外部磁場を供給するテストプロセスを実行することにより判定され、前記しきい強度を有する前記外部磁場は、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に致命的な影響を与える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記失敗率しきい値は、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置の誤り訂正符号ブロックのカバー範囲の60%~80%であると判定される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
メモリデータを記憶するための複数のメモリセルを含むメイン磁気トンネル接合アレイと、
磁気トンネル接合構造を有する複数の参照ユニットを含む参照磁気トンネル接合アレイと、
前記メイン磁気トンネル接合アレイ及び前記参照磁気トンネル接合アレイに動作可能に関連付けられるコントローラと、
を備え
た、
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置であって、
前記参照磁気トンネル接合アレイの前記参照ユニットは、それぞれ前記メイン磁気トンネル接合アレイの前記メモリセルより小さい横方向寸法を有し、
前記コントローラは、
前記参照磁気トンネル接合アレイの、外部磁場の強度に関する総抵抗を受信し、
前記参照磁気トンネル接合アレイの前記受信された総抵抗及び所定のしきい値に基づき、前記外部磁場が致命的であるか否かを判定し、
前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置周囲の前記外部磁場が致命的であると判定した場合、前記
メイン磁気トンネル接合アレイに記憶されている前記メモリデータが信頼できないことを指示する通知を提供するために用いられる磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置。
【請求項8】
前記参照磁気トンネル接合アレイの前記参照ユニットは、それぞれ前記メイン磁気トンネル接合アレイの前記メモリセルと同じ構成を有する請求項7に記載の磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置。
【請求項9】
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置を囲む外部磁場を判定するためのコントローラによる方法であって、
前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置と前記コントローラは動作可能に関連付けられ、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置は、複数のメモリセルを含む
メイン磁気トンネル接合アレイ及び複数の参照ユニットを含む参照磁気トンネル接合アレイを備え、
前記参照磁気トンネル接合アレイの前記参照ユニットは、それぞれ前記メイン磁気トンネル接合アレイの前記メモリセルより小さい横方向寸法を有し、
前記方法は、
前記
メイン磁気トンネル接合アレイに記憶されているメモリデータを読み取るか、又はメモリデータを前記
メイン磁気トンネル接合アレイに書き込むステップと、
前記参照磁気トンネル接合アレイから参照磁気トンネル接合アレイ信号を検出するステップと、
前記参照磁気トンネル接合アレイ信号と所定のしきい値を比較するステップと、
前記参照磁気トンネル接合アレイ信号が前記所定のしきい値を超えている場合、前記メモリデータが信頼できないことを指示する通知信号を提供するステップと、を含むコントローラによる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置の外部磁場検出に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の電子装置の多くには電子メモリが含まれている。電子メモリは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ(non-volatile memory;NVM)であってよい。不揮発性メモリは、電源がない場合にデータを記憶することができるが、揮発性メモリは、電源がない場合にデータを記憶することができない。磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(Magnetoresistive random-access memory;MRAM)は、比較的簡単でコンパクトな構造及びその相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor;CMOS)の論理製造プロセスとの適合性によって次世代の不揮発性メモリ技術の有望な候補となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Wang et al. “Impact of external magnetic field on embedded perpendicular STT-MRAM technology qualified for solder reflow” 2017 IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM), published on January 25, 2018. 王ら、「はんだリフローに適する組み込み垂直STT-MRAM技術に対する外部磁場の影響」、2017 IEEE国際電子デバイス会議(IEDM)、2018年1月25日に公開
【文献】Gallagher et al. “22nm STT-MRAM for Reflow and Automotive Uses with High Yield, Reliability, and Magnetic Immunity and with Performance and Shielding Options” 2019 IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM), published on February 13, 2020. Gallagherら、「高収率、信頼性と磁気免疫、及び性能と遮蔽オプションを備えたリフローと自動車用の22nm STT-MRAM」、2019 IEEE国際電子デバイス会議(IEDM)、2020年2月13日に公開
【発明の概要】
【0004】
本開示の幾つかの実施例によれば、コントローラによる方法は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に対する外部磁場効果を判定することに用いられ、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置と前記コントローラは動作可能に関連付けられ、前記方法は、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置からメモリデータ及び前記メモリデータに対応する誤り訂正冗長性を読み取るステップと、前記メモリデータ及び前記誤り訂正冗長性に基づいて誤り訂正符号チェックを実行することにより、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置の保持失敗率を指示するビット誤り率を判定するステップと、前記保持失敗率と所定の失敗率しきい値を比較するステップと、前記保持失敗率が前記失敗率しきい値より大きい場合、前記メモリデータが信頼できないことを指示する通知信号を提供するステップと、を含む。
【0005】
本開示の幾つかの実施例によれば、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置は、メモリデータを記憶するための複数のメモリセルを含むメイン磁気トンネル接合アレイと、磁気トンネル接合構造を有する複数の参照ユニットを含む参照磁気トンネル接合アレイと、前記メイン磁気トンネル接合アレイ及び前記参照磁気トンネル接合アレイに動作可能に関連付けられるコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記参照磁気トンネル接合アレイの、外部磁場の強度に関する総抵抗を受信し、前記参照磁気トンネル接合アレイの前記受信された総抵抗及び所定のしきい値に基づき、前記外部磁場が致命的であるか否かを判定し、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置周囲の前記外部磁場が致命的であると判定した場合、前記磁気トンネル接合アレイに記憶されている前記メモリデータが信頼できないことを指示する通知を提供するために用いられる。
【0006】
本開示の幾つかの実施例によれば、コントローラによる方法は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置を囲む外部磁場を判定することに用いられ、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置と前記コントローラは動作可能に関連付けられ、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置は、複数のメモリセルを含む磁気トンネル接合アレイ及び複数の参照ユニットを含む参照磁気トンネル接合アレイを備え、前記方法は、前記磁気トンネル接合アレイに記憶されているメモリデータを読み取るか、又はメモリデータを前記磁気トンネル接合アレイに書き込むステップと、前記参照磁気トンネル接合アレイから参照磁気トンネル接合アレイ信号を検出するステップと、前記参照磁気トンネル接合アレイ信号と所定のしきい値を比較するステップと、前記参照磁気トンネル接合アレイ信号が前記所定のしきい値を超えている場合、前記メモリデータが信頼できないことを指示する通知信号を提供するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の態様は、添付される図面に合わせて読まれる際に、以下の詳細な記述内容から最も好ましく理解される。業界における標準慣行に従い、各種の特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際には、明らかに説明するために、各種の特徴の寸法は任意に増減可能である。
【
図1】幾つかの実施例によるMTJアレイから読み取られたデータを処理することにより外部磁場を検出するためのMRAM装置を示すブロック図である。
【
図2】幾つかの実施例によるMTJアレイから読み取られたデータを処理することによりMRAM装置の外部磁場を検出する方法を示すフローチャートである。
【
図3】幾つかの別の実施例による参照MTJアレイから読み取られたデータを処理することにより外部磁場を検出するためのMRAM装置を示すブロック図である。
【
図4】幾つかの別の実施例による参照MTJアレイから読み取られたデータを処理することによりMRAM装置の外部磁場を検出する方法を示すフローチャートである。
【
図5A】幾つかの別の実施例による参照MTJアレイから読み取られたデータを処理することにより外部磁場を検出するためのMRAM装置を示すブロック図である。
【
図5B】幾つかの実施例による参照MTJアレイの抵抗がMRAM装置周囲の外部磁場の強度に応答する実例曲線を示す。
【
図5C】幾つかの実施例によるメインMTJアレイの保持失敗率及び参照MTJアレイ308の状態反転レートがMRAM装置周囲の外部磁場の強度に応答する実例曲線を示す。
【
図6】幾つかの実施例による参照MTJアレイから読み取られたデータを処理することにより外部磁場を検出するためのMRAM装置を示す横断面図である。
【
図7】参照MTJアレイから読み取られたデータを処理することにより外部磁場を検出するためのMRAM装置を示す上面図である。
【
図8】幾つかの別の実施例によるMRAM装置の幾つかの別の装置構造の実例を示す。
【
図9】幾つかの更なる別の実施例によるMRAM装置の幾つかの別の装置構造の実例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の開示内容により、提供される対象の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施例又は実例を提供する。以下、本開示を簡略化するために、部品と配置の特定の実例を記述する。勿論、これらの部品と配置は、単に実例に過ぎず、制限しようとするものではない。例えば、以下の記述では、第1の特徴が第2の特徴の上方又はその上に形成されることは、第1と第2の特徴が直接接触するように形成される実施例を含んでもよく、別の特徴が第1の特徴と第2の特徴の間に形成されて第1の特徴と第2の特徴が直接接触しないことを可能にする実施例を含んでもよい。また、本開示の様々な実例において、数字及び/又はアルファベットを繰り返して参照してよい。この繰り返しは、簡単且つ明瞭にするためであり、それ自身は、説明される様々な実施例及び/又は配置の間の関係を指示しない。
【0009】
また、本明細書において記述しやすくするために、「…下」、「下方」、「下部」、「…上方」、「上部」などの空間相対用語及び類似するものを使用可能であり、これらによって、図示される1つの素子又は特徴ともう1つ(複数)の素子又は特徴の関係を記述する。空間相対用語は、装置の使用又は動作中における各図面に描かれている配向以外の異なる配向を網羅することを意図する。機器は、他の形で配向してもよく(90度回転又は他の配向)、且つ、本明細書において使用される空間相対記述語は同様に解釈されてよい。
【0010】
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(Magnetoresistive random-access memory;MRAM)装置は、比較的簡単でコンパクトな構造及びその相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor;CMOS)の論理製造プロセスとの適合性によって次世代の不揮発性メモリ技術の有望な候補となっている。しかしながら、MRAM装置に記憶されているデータ状態が強い外部磁場によって影響される虞があることは、MRAM装置の欠陥の1つである。外部磁場は、MRAM装置の保持・書き込みウィンドウに影響を与える虞があるだけでなく、記憶されているデジタルデータの望ましくない状態反転を誘発するため、データの損失又は改ざんを引き起す場合がある。外部磁場のMRAM装置に対する影響を検出及び/又は解決する現在の方法の1つは、MRAM装置付近の外部磁場の強度を検出するためのホールセンサなどのセンサを備えることである。しかしながら、ホールセンサ又は類似するセンサを収容するために、顕著な追加空間が必要とされるようになる。MRAM装置と別体に配置されるホールセンサは、大きい面積を占めるとともに、MRAM装置に統合されにくい。
【0011】
以上の内容に鑑み、本開示は、MRAM装置及び関連機器に対する外部磁場検出とデータ保護を実行する方法に関する。幾つかの実施例において、MRAM装置周囲の外部磁場の強度は、外部磁場の個別の直接測定に関わることなく、MRAM装置の測定データを処理することにより判定される。幾つかの実施例において、MRAM装置から読み取られたメモリデータの誤り訂正符号(error correction code;ECC)処理などのコントローラの既存の機能を利用して、外部磁場の強度を引き出す。例えば、メモリデータに対応する誤り訂正冗長性(冗長ビット)は、ECC処理により得られ、且つデータ保持の故障率を指示し、当該故障率は、必ずMRAM装置周囲の外部磁場の強度に関連するため、外部磁場の強度を指示する。幾つかの実施例において、故障率と所定の失敗率しきい値を比較する。続いて、通知信号は、比較結果に基づいて判定され、且つ外部磁場の強度を指示するように提供される。
【0012】
幾つかの他の実施例において、参照磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction;MTJ)アレイは、MRAM装置に統合され、MRAM装置と、MRAM装置のメモリデータを書き込んだり記憶したり読み取ったりするためのメインMTJアレイ周囲の外部磁場の強度を検出するために用いられる。幾つかの態様において、参照MTJアレイのMTJユニットは、1つの抵抗状態にプリセットされ、前記抵抗状態は、外部磁場を受けると、逆の抵抗状態に反転することができる。従って、参照MTJアレイの抵抗の変化は、外部磁場の強度を指示するために用いることができる。参照MTJアレイとMRAM装置を同一の基板に統合することにより、別体の独立した磁気センサを使用する場合と比べ、顕著な追加空間を必要とせず、且つ、参照MTJアレイがメインMTJアレイと一緒に形成可能であるため、製造プロセスが複雑ではない。
【0013】
図1は、幾つかの実施例によるMTJアレイ106から読み取られたメモリデータを処理することにより外部磁場を検出するためのMRAM装置102を示すブロック
図100である。メモリデータは、MTJアレイ106に動作可能に結合するコントローラ104により書き込まれたり読み取られたり処理されたりしてよい。幾つかの実施例において、MTJアレイ106とコントローラ104は、1つのチップに統合されるが、幾つかの代替的な実施例において、MTJアレイ106とコントローラ104は、別体のチップに配置され、且つ導体トレース、光ファイバ、無線などの様々なワイヤ又は無線信号伝送バス、又は別の信号伝達媒体を介して、互いに動作可能に結合される。
【0014】
幾つかの実施例において、MTJアレイ106は、それぞれトンネルバリア層により隔離される2つの磁気層で構成された複数のMTJユニットを含む。磁気層の一方は、2つの安定的な方向の間で切り替え可能な自由磁化を有し、他方は、参照層とするための固定磁化方向を有する。正のトンネル磁気抵抗(tunnelling magnetoresistance;TMR)を有するMTJユニットについて、参照層と自由層の磁化方向がパラレル配向にある場合、電子がトンネルバリア層をトンネリングして通過することはより簡単になり、MTJを低抵抗状態にすることである。逆に、参照層と自由層の磁化方向がアンチパラレル配向にある場合、電子がトンネルバリア層をトンネリングして通過することはより困難になり、MTJを高抵抗状態にすることである。従って、MTJは、低抵抗を有する第1の状態(RP:参照層と自由層の磁化方向がパラレルである)と高抵抗を有する第2の状態(RAP:参照層と自由層の磁化方向がアンチパラレルである)という2つの抵抗状態の間で切り替え可能である。MTJユニットは、アンチパラレル配向の場合に低抵抗を有するとともに、パラレル配向の場合に高抵抗を有するように、負のTMRを有してもよいことに留意されたい。そのバイナリの性質のため、MTJユニットは、デジタルデータを記憶するために用いられ、低抵抗RPは、第1のデジタルデータ状態(例えば、論理「0」)に対応し、高抵抗状態RAPは、第2のデジタルデータ状態(例えば、論理「1」)に対応する。
【0015】
デジタルデータがMRAM装置102に記憶されている場合、誤り訂正符号(error correction code;ECC)は、データの信頼性をよりよく保証するために用いられる。誤り訂正符号(error correction code;ECC)ブロックは、デジタルデータにおける誤りを訂正するように実施されてよい。実例として、ECCブロックは、書き込み/プログラム化動作中にオリジナルデータ、コマンド、変数又はメッセージのデータビットの後に符号化される複数の追加ビットであってよい。ECCブロックは、単一誤り訂正(single-error-correcting;SEC)ハミング符号、単一誤り訂正二重誤り検出(single-error-correcting-double-error-detecting;SEC-DED)修正ハミング、及びSEC-DEDシャオ符号などの様々な誤り訂正演算法により符号化することができる。例えば、MTJアレイ106のメモリ内容は、誤り訂正演算法により符号化することでm個のチェックビットを有するブロックをECCブロックとして生成可能なk個のデータビットを有するブロックを含んでよく、m、kは、正の整数である。時間の経過につれて、MTJアレイ106のメモリ内容には、データの劣化が発生する可能性がある。オリジナルメッセージが改めて構築された場合、ECCブロックは、所定の数の誤りビットをチェックして訂正するように復号化されてよい。幾つかの実例において、m個のチェックビットは、訂正数のビット誤りを訂正し、及び/又は検出数のビット誤りを検出することができる。ビット誤りの検出数は、ビット誤りの訂正数よりも大きくてよい。
【0016】
強い外部磁場が存在する場合、MTJアレイ106のメモリ内容は、想定外の誤りビットにより干渉又は攻撃され、変換されて想定外の誤りビットを含有してしまう可能性がある。誤りビットの数又は規模が増加したが、まだリペア可能な範囲内にある場合、誤り訂正符号は、それらの誤りビットを訂正するために用いることができる。誤りビットの数又は規模がリペア可能な範囲外にあり、及び/又は誤り訂正符号も変更されて利用不能になった場合、損害されたメモリ内容がリペアできなくなる。いずれの場合でも、誤りビットの数又は規模及び誤り訂正手順の条件のチェックを実行することで外部磁場の効果を指示する。幾つかの実施例において、誤りビットの数又は規模が所定のしきい値を超えている場合、コントローラ104又はMRAM装置102の他の部品は、このイベントが既に発生したことを検出してユーザに通知することができる。セキュリティのためにメモリデータを破壊し及び/又はメモリデータを書き換えるなどの別の動作も、誤りビットの取得数又は規模に基づいて行われてよい。
【0017】
図2は、幾つかの実施例によるMTJアレイから読み取られたデータを処理することによりMRAM装置の外部磁場を検出する方法を示すフローチャート200である。方法は、電子媒体に記憶され、且つ例えば上記で
図1に示されて記述されるMTJアレイ106及びMRAM装置102のコントローラ104のコンピュータ関連装置により実行されてよい。
【0018】
動作201に示すように、幾つかの実施例において、メモリデータをMTJアレイに書き込んで記憶する。メモリデータは、オリジナルデータ、コマンド、変数又はメッセージのビットを含んでよい。誤り訂正冗長ビット(Error correction redundancy bit;ECC bit)は、メモリデータに基づいて生成される。ECCビットは、メモリデータをMTJアレイに書き込む前に様々な誤り訂正演算法により符号化されてよい。誤り訂正演算法は、単一誤り訂正(single-error-correcting;SEC)ハミング符号、単一誤り訂正二重誤り検出(single-error-correcting-double-error-detecting;SEC-DED)修正ハミング、及びSEC-DEDシャオ符号などの任意の適切な演算法であってもよい。ECCビットは、メモリデータと一緒にMTJアレイに書き込まれて記憶されてもよく、MTJアレイの外部に別途記憶されてもよい。
【0019】
動作202では、幾つかの実施例において、MTJアレイからメモリデータを読み取る。ECCビットは、メモリデータと一緒に読み取られてもよく、メモリデータは、メモリデータの各ビット配列の前、その後又はその間に符号化されるN個の追加ビット(例えば、N=1、2、3…)を含む。ECCビットは、セキュリティ検証用の1組のセキュリティビット又はハッシュビットなどの、MTJアレイとは別体のもう1つのメモリに記憶されている追加のECCビットを含んでもよい。
【0020】
動作204では、幾つかの実施例において、メモリデータ及びECCビットに基づいてECCチェックを実行し、ECCチェックからビット誤り率を判定する。例えば、ECCビットは、ビット誤り率(bit error rate;BER)などの誤りビットの数又は規模を検出するように復号化されてよく、且つ、検出データを利用してデータ保持失敗率を判定する。例えば、ビット誤り率は、MRAM装置のデータ保持失敗率として近似してみなされてよい。別の実例として、データ保持失敗率は、平均書き込み/読み取り誤り率を差し引くか又は他の因子をカウントすることで、ビット誤り率又は誤りビットの検出された数又は規模に基づいて計算されてよい。
【0021】
動作206では、幾つかの実施例において、データ保持失敗率と所定の失敗率しきい値を比較する。失敗率しきい値は、明細書において予め設定されてよい。失敗率しきい値は、メモリから取り込み、及び/又は予め記憶された値を取得することにより判定されてよい。幾つかの実施例において、失敗率しきい値は、ECCブロックのカバー範囲に基づいて予め設定されてよく、例えばECCブロックのカバー範囲の60%~80%とされる。例えば、ECCブロックが10ppmカバーできる場合、失敗率しきい値は、6~8ppm(0.0006%~0.0008%)に設定されてよい。追加的又は代替的に、失敗率しきい値は、テストの結果に基づいて判定されてよい。MRAM装置に致命的な影響を与える外部磁場を供給し、その強度を、MRAM装置の耐えられない失敗率しきい値を判定するための外部磁場のしきい強度としてよい。テストは、MRAM装置の製造及び/又は動作から独立して実行されてよい。
【0022】
追加的又は代替的に、ECCブロックは、誤りビットの数又は規模がまだリペア可能な範囲内にあるか、リペア可能な範囲外にあるか、及び/又は誤り訂正符号が変更されて利用不能になったかなどの誤り訂正手順の条件を指示してよい。誤りビットの数又は規模がリペア範囲外にある場合、及び/又は変更されて利用不能になった場合の後者の2つの場合に、損害されたメモリ内容がリペアできない。リペア可能な範囲は、幾つかの個別の例においてECCブロックのカバー範囲と同等にしてよい。
【0023】
動作208では、幾つかの実施例において、データ保持失敗率が動作206で判定された失敗率しきい値より小さいか又はそれ以下である場合、誤りビットを訂正するように誤り訂正動作を実行してよい。例えば、ECCビットは、複数の誤りビットを訂正するように復号化されてよい。MTJアレイに対して、メモリデータの訂正されたビットにより部分的に又は全て書き換えてもよい。
【0024】
動作210では、幾つかの実施例において、データ保持失敗率が動作204で判定された失敗率しきい値よりも大きいか又はそれ以上である場合、通知信号を提供する。失敗率しきい値を超えているデータ保持失敗率は、MRAM装置周囲の外部磁場が強く、且つ記憶されているメモリデータが信頼できないことを指示することができる。MTJアレイに記憶されているメモリデータを破壊するか、及び/又は更新されたデータを改めてロード又はリクエストしてMTJアレイに書き換えるなどの他の動作は、通知信号を受信した後に続いてよい。幾つかの他の態様において、セキュリティデータを保護するように破棄コマンドを与えてよい。現在のECC処理を利用しているため、MRAM周囲の磁場の強度を検出するためのハードウェアを別途必要としない。
【0025】
図3は、幾つかの別の実施例による参照MTJアレイ308から読み取られたデータを処理することにより外部磁場を検出するためのMRAM装置302を示すブロック図である。メモリデータは、メインMTJアレイ306及び参照MTJアレイ308に動作可能に結合するコントローラ304により書き込まれたり読み取られたり処理されたりしてよい。幾つかの実施例において、メインMTJアレイ306、参照MTJアレイ308及びコントローラ304は、1つのチップに統合されるが、幾つかの代替的な実施例において、メインMTJアレイ306及び参照MTJアレイ308は、コントローラ304とは別体のチップに配置され、且つ導体トレース、光ファイバ、無線などの様々な有線又は無線信号伝送バス、又は別の信号伝達媒体を介して、互いに動作可能に結合されてもよい。
【0026】
MRAM装置302、コントローラ304及びメインMTJアレイ306は、上記で記述されたMRAM装置102、コントローラ104及びMTJアレイ106と共通の特徴を共有してよい。追加的又は代替的に、幾つかの実施例において、MRAM装置302は、MRAM装置302周囲の外部磁場の強度を検出して指示するための参照MTJアレイ308を更に含む。参照MTJアレイ308は、複数の参照MTJユニットを含んでよい。幾つの態様において、参照MTJユニットは、1つの抵抗状態にプリセットされる。参照MTJユニットは、外部磁場を受けると、逆の抵抗状態に反転することができ、且つ、外部磁場が強くなるにつれて、より多くの参照MTJユニットは反転する。従って、参照MTJアレイの総抵抗を検出して外部磁場の強度を指示するために用いることができる。幾つかの他の態様において、別の参照MTJアレイ信号を検出して外部磁場の強度を指示するために用いることができる。参照MTJアレイ308のより多くの細部及びその動作は、下記で
図5Aに合わせて記述される。
【0027】
図4は、幾つかの別の実施例による参照MTJアレイから読み取られたデータを処理することによりMRAM装置の外部磁場を検出する方法を示すフローチャート400である。方法は、電子媒体に記憶され、且つ例えば上記で
図3に示されて記述されるMRAM装置302のメインMTJアレイ306及びコントローラ304のコンピュータ関連装置により実行されてよい。
【0028】
動作402では、幾つかの実施例において、参照MTJアレイから参照MTJアレイ信号を読み取るか又は検出する。幾つかの実施例において、複数の参照MTJユニットは、直列接続、並列接続又は直列接続と並列接続の組み合わせで接続されるMTJを含む。幾つかの実施例において、参照MTJアレイ信号は、参照MTJアレイの総抵抗である。
【0029】
動作404では、幾つかの実施例において、参照MTJアレイ信号を処理して所定のしきい値と比較する。参照MTJアレイ信号は、必ずMRAM装置周囲の外部磁場の強度に関連するため、その強度を指示する。幾つかの態様において、参照MTJアレイ信号は、参照MTJアレイ308の総抵抗であるため、外部磁場により反転するMTJユニットの量を指示し、且つ外部磁場の強度を指示するために用いられる。幾つかの態様において、参照MTJアレイの抵抗の変化を検出する。抵抗の変化は、外部磁場の強度に関連するため、外部磁場の強度を指示するために用いられる。幾つかの他の態様において、抵抗しきい値を参照MTJアレイ308の総抵抗と比較するために用いることができる。抵抗しきい値は、明細書において予め設定されてよく、且つ適用のニーズに基づくものであってよい。抵抗しきい値は、メモリから取り込まれてよい。動作中に、データ処理は、メインMTJアレイ306に対して実行される。参照MTJアレイ308の抵抗は、参照MTJアレイ308の複数のMTJユニットを第1の状態に設定することにより初期化することができる。外部磁場が存在する場合、参照MTJアレイ308の抵抗は変化可能であり、且つ、抵抗の変化は、外部磁場の強度に関連する。
【0030】
幾つかの他の態様において、参照MTJアレイ信号は、参照MTJアレイ308の他のパラメータであってよい。例えば、上記した
図2についての説明に類似するように、参照MTJアレイ信号は、所定の失敗率しきい値と比較される故障率であってよい。
【0031】
参照MTJアレイ信号が所定のしきい値より小さいか又はそれ以下である場合、MRAM装置は動作し続けてよい。参照MTJアレイ信号が所定のしきい値より小さいか又はそれ以下である場合、参照MTJアレイ信号は、例えば周期的に又はリクエストされた後に再度チェックされてもよい。
【0032】
動作406では、幾つかの実施例において、参照MTJアレイ信号が所定のしきい値より大きいか又はそれ以上である場合、通知信号を提供する。通知信号は、記憶されているメモリデータが信頼できないことを指示することができる。幾つかの実施例において、メインMTJアレイ306に記憶されているメモリデータを破壊するか、及び/又は更新されたデータを改めてロード又はリクエストしてメインMTJアレイ306に書き換えるなどの他の動作は、通知信号を受信した後に続く。幾つかの他の態様において、データを破壊してデータのセキュリティを保護するように破棄コマンドを与えてよい。幾つかの他の実施例において、参照ユニット108’をプリセット又はリセットして外部磁場の次の検出に用いるように、参照MTJアレイ308に初期化バイアス電圧を印加してよい。参照MTJアレイ308は、メインMTJアレイ306と一緒に形成可能であるため、異なる種類の磁気センサを形成する場合と比べ、製造プロセスが複雑ではない。
【0033】
図5Aは、幾つかの実施例による参照MTJアレイ308を利用して外部磁場を検出するための
図3のMRAM装置302の回路図を示すブロック
図500aである。
図5Aに示される回路図は、上記で
図1~
図4について記述された機能を実行するために用いることができる。代替的に、
図5Aに示されるMRAM装置は、磁気部品により他の機能を実行してよく、これらの磁気機能は、外部磁場によって影響される。
【0034】
幾つかの実施例において、メインMTJアレイ306は、複数のメモリセルC11~C33を含む。メモリセルC11~C33は、行及び/又は列でメインMTJアレイ306内に配置されてよい。メインMTJアレイ306は、
図5Aにおいて3行と3列のメモリセルを有する場合が図示されているが、任意の数のメモリセルを有してもよい。メモリセルC11~C33のうちの1つのメモリセルは、セレクタ118に結合されるメモリセル108を含んでよい。セレクタ118は、選択されるメモリセル108に対するアクセスを選択的に提供するとともに、選択されていないメモリセルを通るリーク電流を抑制するために用いられる。
【0035】
メモリセルC11~C33は、ビットラインBL1~BL3、ワードラインWL1~WL3及びソース線SL1~SL3を介して制御されてよい。ワードラインWL1~WL3は、メモリセルC11~C33に対応するセレクタ118を動作させるために用いることができる。メモリセル108のセレクタ118をオンにすると、電圧を前記メモリセルに供給することができる。ビットラインデコーダ119は、読み取り電圧又は書き込み電圧をビットラインBL1~BL3のうちの1つに印加する。ワードラインデコーダ127は、別の電圧をワードラインWL1~WL3のうちの1つに印加し、この場合、対応する行におけるメモリセルC11~C33のセレクタ118はまたオンにされる。同時に、これらの動作により、読み取り電圧又は書き込み電圧をメモリセルC11~C33のうちの選択されるメモリセルに印加する。
【0036】
電圧を選択されるメモリセル108に印加して電流を引き起こす。読み取り動作中に、センスアンプ117は、電流に基づいて選択されるメモリセルのプログラム化状態を判定する。センスアンプ117は、ソース線SL1~SL3に接続されてよい。代替的又は追加的に、センスアンプ117は、ビットラインBL1~BL3に接続されてよい。センスアンプ117は、電流に基づいてメモリセル108のプログラム化状態を判定することができる。幾つかの実施例において、センスアンプ117は、電流と1つ又は複数の参照電流を比較することによりメモリセル108のプログラム化状態を判定する。センスアンプ117は、プログラム化状態判定をI/Oバッファに伝達することができ、I/Oバッファは、書き込み及び書き込み検証動作を実施するようにドライバ回路に結合されてよい。ドライバ回路は、読み取り、書き込み及び書き込み・検証動作を行うために、電圧を選択して選択されるメモリセルに印加するために用いられる。
【0037】
幾つかの実施例において、参照MTJアレイ308は、複数の磁性参照ユニットR11~R33を含む。磁性参照ユニットR11~R33は、行及び/又は列又は任意の他の適切なパターンで参照MTJアレイ308内に配置されてよい。参照MTJアレイ308は、任意の量の参照ユニット108’を有してよい。参照MTJアレイ308の参照ユニット108’の量は、外部磁場検出の分解能に関連する。幾つかの態様において、参照MTJアレイ308は、参照ユニット108’の少なくとも1/rであってよく、rは、明細書に挙げられる故障率である。例えば、参照MTJアレイ308は、少なくとも106個の参照ユニット108’を有してよく、この場合、1ppmの故障率(1E-6ビットの誤り率)に対応する106の分解能を発生可能である。幾つかの態様において、参照ユニット108’は、1つの抵抗状態にプリセットされ、外部磁場を受けると、逆の抵抗状態に反転することができる。
【0038】
図5Bは、幾つかの実施例による参照MTJアレイ308の抵抗がMRAM装置302(
図5Aを参照)周囲の外部磁場Hに応答する実例曲線500bを示す。幾つかの実施例において、参照MTJアレイ308の全ての参照ユニット108’は、最初に高抵抗状態(Rap)にプリセットされてよく、且つ高抵抗状態(Rap)にプリセットできる可能性がある。より多くの参照ユニット108’は、強い外部磁場により反転する。参照MTJアレイ308の総抵抗は、反転抵抗状態に変化した参照ユニット108’の数が増加する状態で低減し、且つMRAM装置302周囲の外部磁場Hの強度の増強につれて低減する。代替的に、参照MTJアレイ308の全ての参照ユニット108’は、最初に低抵抗状態(Rp)にプリセットされてよく、且つ低抵抗状態(Rp)にプリセットできる可能性がある。参照MTJアレイ308の総抵抗は、引き続き反転抵抗状態に変化した参照ユニット108’の数が増加する状態で増加し、且つMRAM装置302周囲の外部磁場Hの強度の増加につれて増加する。従って、参照MTJアレイ308の抵抗の変化は、外部磁場Hの強度を指示するために用いることができる。参照MTJアレイ308とMRAM装置302を統合することにより、別体の磁気センサを使用する場合と比べ、顕著な追加空間を必要とせず、且つ、参照MTJアレイ308がメインMTJアレイ306と一緒に形成可能であるため、製造プロセスが複雑ではない。
【0039】
図5Cは、幾つかの実施例によるメインMTJアレイ306の保持失敗率及び参照MTJアレイ308の状態反転レートがMRAM装置302(
図5Aを参照)周囲の外部磁場Hに応答する実例曲線500cを示す。メインMTJアレイ306の保持失敗率は、MRAM装置302周囲の外部磁場Hの強度の増加につれて増加する。参照MTJアレイ308の状態反転率は、またMRAM装置302周囲の外部磁場Hの強度の増加につれて増加する。幾つかの態様において、メインMTJアレイ306と比べて、参照MTJアレイ308は、外部磁場Hに対してより敏感であるため、外部磁場Hの検出により適切である。幾つかの実施例において、参照ユニット108’は、MTJユニットを有し、これらのMTJユニットは、メモリセル108と同じ又は類似する構成を有するが、メモリセル108の横方向寸法より小さい横方向寸法を有する。メモリセル108及び参照ユニット108’のより多くの細部も以下の
図6及び
図7に合わせて記述される。
【0040】
図6及び
図7は、以上の
図3~
図5Aに開示されたMRAM装置302の幾つかの他の装置構造の実例を示す。
図6は、代表的なメモリセルC11、C12を含むメインMTJアレイ306及び磁性参照ユニットR11、R12、R13を含む参照MTJアレイ308を示す横断面
図600である。相互接続構造604は、基板602の上方に配される。相互接続構造604は、実例として、スタック式相互接続金属層606a、606b、606cを含み、相互接続金属層606a、606b、606cは、実例として、スタック式層間誘電体(inter-level dielectric;ILD)層608a、608b、608c内に配される。スタック式相互接続金属層606a、606b、606cは、それぞれ1つ又は複数の相互接続金属配線層を含んでよい。スタック式ILD層608a、608b、608cは、それぞれ1つ又は複数の誘電体層を含んでよい。メモリセルC11、C12は、それぞれ相互接続構造604内に配されるメモリセル108を含む。磁性参照ユニットR11、R12、R13は、それぞれ同じく相互接続構造604内に配される参照ユニット108’を含む。幾つかの実施例において、メモリセル108と参照ユニット108’は、同じ構成を有してよい。
【0041】
実例として、メモリセル108及び参照ユニット108’は、それぞれMTJ構造を有してよく、MTJ構造は、下部電極110、下部電極110の上方に配置されるデータ記憶構造112及びデータ記憶構造112の上方に配置される上部電極114を含む。上部相互接続金属層606cは、延伸して上部ILD層608cを通過して上部電極114に到達する。幾つかの実施例において、下部電極110及び上部電極114は、窒化タンタル、窒化チタン、タンタル、チタン、白金、ニッケル、ハフニウム、ジルコニウム、ルテニウム、イリジウム又は類似するものを含んでよい。幾つかの実施例において、データ記憶構造112は、磁気トンネル接合(magnetic tunnel junction;MTJ)、スピンバルブ、又は磁性材料を含有する他のデータ記憶構造である。メモリセル108及び参照ユニット108’のデータ記憶構造112の他の構造及び/又は他のメモリセルのタイプも適合するものである。
【0042】
幾つかの実施例において、データ記憶構造112は、トンネルバリア素子134によりスタックされて隔離された参照強磁性素子132と自由強磁性素子136を含む。参照強磁性素子132は、固定された磁化方向を有するが、自由強磁性素子136は、2つの安定的な方向の間で切り替えて変化可能な磁化を有する。幾つかの実施例において、参照強磁性素子132は、コバルト鉄(例えば、CoFe)、コバルト鉄ボロン(例えば、CoFeB)又は1つ(複数)の他の適切な強磁性材料、又は前述した材料の任意の組み合わせであるか又はこれらを含む。幾つかの実施例において、参照強磁性素子132は、反強磁性素子(図示せず)に隣接するか、及び/又は合成反強磁性(synthetic antiferromagnetic;SAF)素子(図示せず)の一部であるか、又は他の形で合成反強磁性素子に隣接する。幾つかの実施例において、自由強磁性素子136は、コバルト鉄(例えば、CoFe)、コバルト鉄ボロン(例えば、CoFeB)又は1つ(複数)の他の適切な強磁性材料、又は前述した材料の任意の組み合わせであるか又はこれらを含む。幾つかの実施例において、トンネルバリア素子134は、トンネルバリア層であり、それにより、電子のトンネルバリア素子134を通る量子力学的トンネリングを選択的に可能にする。トンネルバリア素子134は、非晶質バリア層、結晶バリア層、或いは酸化アルミニウム(AlOx)、酸化チタン(TiOx)、酸化マンガン(MgO)、スピネル(MgAl2O4)又は他の適切なバリア材料などの他の適切なバリア層であるか又はこれらを含んでよい。本開示の大部分においてMTJについて記述しているが、本開示は、スピンバルブメモリ素子に適合し、これらのスピンバルブメモリ素子では、磁性軟質層を自由強磁性素子136として使用し、磁性硬質層を参照強磁性素子132として使用し、磁性硬質層と磁性軟質層を隔離する非磁性バリア層をも含んでよいことを理解されたい。
【0043】
データ記憶構造112は、参照強磁性素子132及び自由強磁性素子136の磁化がパラレル又はアンチパラレルによって低抵抗又は高抵抗を有する。例えば、データ記憶構造112は、参照強磁性素子132と自由強磁性素子136の磁化がパラレルである場合に低抵抗を有することができ、磁化がアンチパラレルである場合に高抵抗を有することができる。動作中に、例えば、メモリセル108は、書き込みと読み取りが行われてよく、且つデジタルデータを記憶するために用いられ、低抵抗は、第1のデジタルデータ状態(例えば、論理「0」)に対応し、高抵抗状態は、第2のデジタルデータ状態(例えば、論理「1」)に対応する。参照ユニット108’は、外部磁場の強度を指示するために用いることができ、参照ユニット108’の低抵抗状態と高抵抗状態の反転状況によって参照MTJアレイ308の総抵抗の変化が引き起こされる。
【0044】
幾つかの実施例において、セレクタ118は、相互接続金属層606a、606bを介してメモリセル108の下部電極110に電気的に結合し、且つメインMTJアレイ306におけるメモリセル108のアクセスを制御するために用いられる。相互接続金属層606a、606bは、金属配線の間に配される金属ビアにより接続される金属配線層を含んでよい。下部電極110は、下部金属配線に直接接続されるか又は下部電極ビアを介して接続されてよい。上部電極114は、上部金属配線に直接接続されるか又は上部電極ビアを介して接続されてよい。ビットラインBLは、上部電極114に接続されてよい。セレクタ118は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field effect transistor;MOSFET)などのトランジスタを含んでよい。セレクタ118は、ゲート構造124の反対する側において基板602内又はその上に配される第1のソース/ドレインエリア120と第2のソース/ドレインエリア122を含んでよい。ワードラインWLは、ゲート構造124に接続されてよい。ソース線SLは、第1のソース/ドレインエリア120に接続されてよく、第2のソース/ドレインエリア122は、相互接続金属層606a、606bなどの相互接続金属層を介してメモリセル108に結合してよい。第1のソース/ドレインエリア120及び第2のソース/ドレインエリア122は、例えば高度にドープされた半導体エリアであってよい。ゲート構造は、誘電体層を介して基板602と隔離されたポリシリコン、又はアルミニウム、タングステン、チタンなどの金属材料、又は他の適切な導電材料を含んでよく、前記誘電体層は、酸化物、高k誘電体材料又は別の適切な誘電体材料であるか又はこれらを含んでよい。動作中に、メモリセル108からデータを読み取るとともにデータをメモリセル108に書き込むように、信号(例えば、電圧及び/又は電流)をワードラインWL、ソース線SL及びビットラインBLに選択的に適用することができる。
【0045】
幾つかの実施例において、参照MTJアレイ308はセレクタを有しない。参照ユニット108’の総抵抗を測定するように、参照バイアス電圧を参照MTJアレイ308に印加してよい。実例として、参照配線RLは、総抵抗を伝達するように1つ又は複数の参照ユニット108’の上部電極114に接続されてよい。動作中に、参照バイアス電圧を参照配線RLと下部電極110に接続される下部相互接続金属層606bの下部金属配線の間に印加してよい。参照MTJアレイ308は、参照配線RLが1つ又は複数の参照ユニット108’の下部電極110に接続できるように反転することができ、且つ、参照バイアス電圧は参照配線RLと上部電極114に接続される上部相互接続金属層606cの上部金属配線の間に印加されてよいことを理解されたい。幾つかの実施例において、参照ユニット108’をプリセット又はリセットするように、初期化バイアス電圧を参照MTJアレイ308に印加してよい。
【0046】
図7は、幾つかの実施例によるメインMTJアレイ306及び参照MTJアレイ308を含む上記で
図3~
図6について開示されたMRAM装置302の幾つかの他の装置構造の実例を示す上面
図700a、700bである。上面
図700a及び
図5Aに示すように、幾つかの実施例において、メインMTJアレイ306は、複数のメモリセルC11~C33を含み、メモリセルC11~C33は、任意の数のメモリセルの行及び/又は列におけるメモリセル108を有する。メモリセルC11~C33は、交互に配置されるビットラインBL
1~BL
3及びワードラインWL
1~WL
3により配置されてよい。ワードラインWL
1~WL
3は、メモリセルC11~C33を制御するために用いられるとともに、メモリセルC11~C33から選択されてよい。メモリセル108が選択された場合、読み取り電圧又は書き込み電圧を当該メモリセルに印加してよい。
【0047】
上面
図700b及び
図5Aに示すように、幾つかの実施例において、参照MTJアレイ308は、複数の磁性参照ユニットR11~R33を含む。磁性参照ユニットR11~R33は、行及び/又は列又は任意の他の適切なパターンで参照MTJアレイ308内に配置されてよい。参照MTJアレイ308は、任意の数の参照ユニット108’を有してよい。参照MTJアレイ308の参照ユニット108’は、直列、並列又は直列と並列の組み合わせで結合されてよい。上面
図700b及び
図6には直列接続の実例が示されている。第1の磁性参照ユニットR11と第2の磁性参照ユニットR12の下部電極は、下部相互接続金属層606bの金属配線を介して接続可能であり、且つ、第2の磁性参照ユニットR12と第3の磁性参照ユニットR13の上部電極は、上部相互接続金属層606cの金属配線を介して接続可能である。残りの磁性参照ユニットは、類似する形態で配置されてもよい。幾つかの態様において、参照ユニット108’は、1つの抵抗状態にプリセットされ、MRAM装置周囲の外部磁場を受けると、逆の抵抗状態に反転することができる。
【0048】
幾つかの実施例において、製造の一貫性のために、参照ユニット108’は、メモリセル108と同じ又は類似する寸法を有する。幾つかの代替的な実施例において、参照ユニット108’は、メモリセル108の横方向寸法より小さい横方向寸法を有する。幾つかの態様において、参照MTJアレイ308の参照ユニット108’の直径又は横方向寸法は、メインMTJアレイ306のメモリセル108の直径又は横方向寸法の約70%~90%である。幾つかの他の態様において、参照MTJアレイ308の参照ユニット108’の直径又は横方向寸法は、メインMTJアレイ306のメモリセル108の直径又は横方向寸法より約5nm~10nm小さい。例えば、参照MTJアレイ308の各参照ユニット108’の直径は、15~90nmであってよいが、メインMTJアレイ306の各メモリセル108の直径は、20~100nmであってよい。参照MTJアレイ308の小さいMTJ寸法は、外部磁場によって一層影響されやすいため、外部磁場のより敏感な検出を提供することができる。また、参照MTJアレイ308のMTJ寸法は、メインMTJアレイ306のMTJ寸法の70%より小さいか又は5~10nmより小さくてよく、限界寸法がさらに小さくなる場合、ノードスケーリング上の製造課題がもたらされる。
【0049】
また、メモリセル108及び参照ユニット108’は、いずれも
図7における円形形状を有するように例示されているが、それらは様々な形状であってもよい。例えば、メモリセル108及び参照ユニット108’は、正方形又は正多角形などの他の中心対称形状であってもよい。幾つかの代替的な実施例において、メモリセル108及び/又は参照ユニット108’は、幅方向に対して長さ方向でより長い軸対称形状を有してよく、それにより、メモリセル108の面積は、長さを長くすることにより拡大可能であり、又は参照ユニット108’の面積は、幅を短くすることにより縮小可能である。メモリセル108及び/又は参照ユニット108’の実例は、楕円、矩形又は他の適切な形状を含む。
【0050】
図8及び
図9は、以上の
図3~
図7について開示されたMRAM装置302の幾つかの別の装置構造の実例を示す。ブロック
図800a、900a及び上面
図800b、900bに示すように、参照MTJアレイ308の参照ユニット108’は、直列、並列又は直列と並列の組み合わせで結合されてよい。例えば、ブロック
図800a及び上面
図800bに示すように、磁性参照ユニットR11、R12、R13の第1のグループ、磁性参照ユニットR21、R22、R23の第2のグループ及び磁性参照ユニットR31、R32、R33の第3のグループは、それぞれ直列に接続されてから、互いに並列に接続されて参照配線RLに接続される。ブロック
図900a及び上面
図900bに示される別の実例として、全ての磁性参照ユニットR11~R33は、並列に接続されて参照配線RLに接続されてよい。バイアス電圧VRは、参照MTJアレイ308の総抵抗を測定するように、動作中に参照ユニット108’に印加されてよいため、MRAM装置302周囲の外部磁場の強度を指示する。
【0051】
従って、幾つかの実施例において、本開示は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)装置に対する外部磁場効果を判定するためのコントローラによる方法に関し、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)と前記コントローラは動作可能に関連付けられる。前記方法は、前記MRAM装置からメモリデータ及び前記メモリデータに対応する誤り訂正冗長性を読み取るステップと、前記メモリデータ及び前記誤り訂正冗長性に基づいて誤り訂正符号(ECC)チェックを実行することにより、MRAM装置の保持失敗率を指示するビット誤り率を判定するステップと、を含む。前記方法は、前記保持失敗率と所定の失敗率しきい値を比較するステップと、前記保持失敗率が前記失敗率しきい値より大きい場合、前記メモリデータが信頼できないことを指示する通知信号を提供するステップと、を更に含む。幾つかの実施例において、方法は、誤り訂正動作を実行し、且つ、前記保持失敗率が前記失敗率しきい値より小さい場合、前記メモリデータの訂正されたビットにより前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に対して書き換えるステップを更に含む。幾つかの実施例において、方法は、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に記憶されている前記メモリデータが信頼できない場合、セキュリティデータを保護するように破棄コマンドを提供するステップを更に含む。幾つかの実施例において、前記失敗率しきい値は、メモリから予め記憶された値を得ることにより判定される。幾つかの実施例において、前記失敗率しきい値は、しきい強度を有する外部磁場を供給するテストプロセスを実行することにより判定され、前記しきい強度を有する前記外部磁場は、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に致命的な影響を与える。幾つかの実施例において、前記失敗率しきい値は、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置の誤り訂正符号ブロックのカバー範囲の60%~80%であると判定される。
【0052】
他の実施例において、本開示は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)装置に関する。前記MRAM装置は、メモリデータを記憶するための複数のメモリセルを含むメイン磁気トンネル接合(MTJ)アレイと、MTJ構造を有する複数の参照ユニットを含む参照MTJアレイと、を備える。前記MRAM装置は、前記メインMTJアレイ及び前記参照MTJアレイに動作可能に関連付けられるコントローラを更に備える。前記コントローラは、前記参照MTJアレイの、外部磁場の強度に関する総抵抗を受信し、前記参照MTJアレイの前記受信された総抵抗及び所定のしきい値に基づき、前記外部磁場が致命的であるか否かを判定し、前記MRAM装置周囲の前記外部磁場が致命的であると判定した場合、前記メインMTJアレイに記憶されている前記メモリデータが信頼できないことを指示する通知を提供するために用いられる。幾つかの実施例において、前記参照磁気トンネル接合アレイの前記参照ユニットは、それぞれ前記メイン磁気トンネル接合アレイの前記メモリセルと同じ構成を有する。幾つかの実施例において、前記参照磁気トンネル接合アレイの前記参照ユニットは、それぞれ前記メイン磁気トンネル接合アレイの前記メモリセルより小さい横方向寸法を有する。幾つかの実施例において、前記メイン磁気トンネル接合アレイの前記メモリセルは、セレクタに接続される磁気トンネル接合構造を含み、前記セレクタは、前記参照磁気トンネル接合アレイに位置しない。幾つかの実施例において、前記参照磁気トンネル接合アレイの前記磁気トンネル接合構造の上部電極又は下部電極は、前記参照磁気トンネル接合アレイの前記総抵抗を伝達するための参照配線に接続される。幾つかの実施例において、前記参照磁気トンネル接合アレイの前記参照ユニットは、互いに直列に接続されて前記参照配線に接続される。幾つかの実施例において、前記参照磁気トンネル接合アレイの前記参照ユニットは、互いに並列に接続されて前記参照配線に接続される。幾つかの実施例において、前記参照ユニットは、それぞれ前記メモリセルより約5ナノメートル~10ナノメートルという小さい横方向寸法を有する。幾つかの実施例において、前記参照磁気トンネル接合アレイは、基板上方の相互接続構造内に設けられる。
【0053】
また他の実施例において、本開示は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)装置を囲む外部磁場を判定するためのコントローラによる方法に関し、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)と前記コントローラは動作可能に関連付けられる。前記MRAM装置は、複数のメモリセルを含むメイン磁気トンネル接合(MTJ)アレイと、複数の参照ユニットを含む参照MTJアレイと、を備える。前記方法は、MTJアレイに記憶されているメモリデータを読み取るか又はメモリデータをMTJアレイに書き込むステップと、参照MTJアレイから参照MTJアレイ信号を検出するステップと、を含む。前記方法は、前記参照MTJアレイ信号と所定のしきい値を比較するステップと、参照MTJアレイ信号が所定のしきい値を超えている場合、メモリデータが信頼できないことを指示する通知信号を提供するステップと、を更に含む。幾つかの実施例において、前記参照磁気トンネル接合アレイから前記参照磁気トンネル接合アレイ信号を検出するステップは、前記参照磁気トンネル接合アレイの前記メモリセルを第1の状態に設定することにより、前記参照磁気トンネル接合アレイの総抵抗を初期化し、前記参照磁気トンネル接合アレイの、前記外部磁場の強度に関連する抵抗の変化を検出することを含む。幾つかの実施例において、方法は、初期化バイアス電圧を前記参照磁気トンネル接合アレイに印加することで、前記参照ユニットをリセットして前記外部磁場の次の検出に用いるステップを更に含む。幾つかの実施例において、前記所定のしきい値は、しきい強度を有する前記外部磁場を供給するテストプロセスを実行することにより判定され、前記しきい強度を有する前記外部磁場は、前記磁気抵抗ランダムアクセスメモリ装置に致命的な影響を与える。幾つかの実施例において、前記所定のしきい値は、メモリから取り込まれる。
【0054】
当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、前述した内容をもって複数の実施例の特徴を概説した。当業者であれば、本明細書において援用された実施例と同じ目的を実施するか及び/又は同じメリットを達成するために他のプロセス及び構造を設計又は修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解すべきである。当業者であれば、このような等価構造は、本開示の精神及び範疇から逸脱しておらず、且つ、本開示の精神及び範疇から逸脱することなく本明細書において様々な変更、置換と代替を行えることをも意識すべきである。
【符号の説明】
【0055】
100 ブロック図
102 磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)装置
104 コントローラ
106 磁気トンネル接合(MTJ)アレイ
108 メモリセル
108’ 参照ユニット
110 下部電極
112 データ記憶構造
114 上部電極
117 センスアンプ
118 セレクタ
119 ビットラインデコーダ
120 第1のソース/ドレインエリア
122 第2のソース/ドレインエリア
124 ゲート構造
127 ワードラインデコーダ
132 参照強磁性素子
134 トンネルバリア素子
136 自由強磁性素子
200 フローチャート
201 動作
202 動作
204 動作
206 動作
208 動作
210 動作
302 磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)装置
304 コントローラ
306 メイン磁気トンネル接合(MTJ)アレイ
308 参照磁気トンネル接合(MTJ)アレイ
400 フローチャート
402 動作
404 動作
406 動作
500a ブロック図
500b 実例曲線
500c 実例曲線
600 横断面図
602 基板
604 相互接続構造
606a~606c 相互接続金属層
608a~608c スタック式層間誘電体(ILD)層
700a 上面図
700b 上面図
800a ブロック図
800b 上面図
900a ブロック圖
900b 上面図
BL1~BL3 ビットライン
C11~C33 メモリセル
H 外部磁場
R11~R33 磁性参照ユニット
RL 参照配線
SL1~SL3 ソース線
VR バイアス電圧
WL1~WL3 ワードライン