IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図1
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図2
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図3
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図4
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図5
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図6
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図7
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図8
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図9
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図10
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図11
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図12
  • 特許-光走査装置及び画像形成装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/12 20060101AFI20240118BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240118BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20240118BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240118BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G02B26/12
G02B26/10 B
B41J2/47 101D
H04N1/113
G03G15/04 111
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020070962
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167892
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】坂上 嘉信
(72)【発明者】
【氏名】山川 健志
(72)【発明者】
【氏名】成田 進
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 令
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-199452(JP,A)
【文献】特開2006-293267(JP,A)
【文献】特開2012-058465(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0198403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 - 26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
複数のミラー面を有し回転しながら前記ミラー面で複数の光源からの光ビームを反射させてそれぞれ互いに異なる2方向に振り分け偏向走査する偏向器と、
前記偏向器により偏向走査される光ビームをそれぞれ対応する被走査体上に導き結像させる光学素子と、
前記偏向器の近傍に配置され、前記偏向器に対向する光学素子からのフレア光を遮光する複数の遮光部とを備える光走査装置において、
前記偏向器の回転軸線方向から見たとき、複数の遮光部が、前記偏向器の回転方向に所定の間隔を開けて配置されており、
前記回転軸線方向から見たとき、前記複数遮光部のうち前記回転方向の最下流に配置された遮光部の偏向器側端部と前記偏向器の回転軸中心とを結んだ線分と、前記複数遮光部のうち前記回転方向の最上流に配置された遮光部の偏向器側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分とでなす角度をθ1、
前記ミラー面の前記回転方向の上流側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分と、前記ミラー面の前記回転方向の下流側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分とでなす角度をθ2としたとき、
θ1<θ2とし
各遮光部の前記偏向器側端部から前記回転軸中心までの距離が互いに異なることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置において、
各遮光部の前記偏向器の回転によって発生する気流を受ける気流受け面を前記偏向器の回転軸線方向に対して前記偏向器の回転方向に傾斜させたことを特徴とする光走査装置。
【請求項3】
複数の光源と、
複数のミラー面を有し回転しながら前記ミラー面で複数の光源からの光ビームを反射させてそれぞれ互いに異なる2方向に振り分け偏向走査する偏向器と、
前記偏向器により偏向走査される光ビームをそれぞれ対応する被走査体上に導き結像させる光学素子と、
前記偏向器の近傍に配置され、前記偏向器に対向する光学素子からのフレア光を遮光する複数の遮光部とを備える光走査装置において、
前記偏向器の回転軸線方向から見たとき、複数の遮光部が、前記偏向器の回転方向に所定の間隔を開けて配置されており、
前記回転軸線方向から見たとき、前記複数の遮光部のうち前記回転方向の最下流に配置された遮光部の偏向器側端部と前記偏向器の回転軸中心とを結んだ線分と、前記複数の遮光部のうち前記回転方向の最上流に配置された遮光部の偏向器側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分とでなす角度をθ1、
前記ミラー面の前記回転方向の上流側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分と、前記ミラー面の前記回転方向の下流側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分とでなす角度をθ2としたとき、
θ1<θ2とし
各遮光部の前記偏向器の回転によって発生する気流を受ける気流受け面を前記偏向器の回転軸線方向に対して前記偏向器の回転方向に傾斜させたことを特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光走査装置において、
前記気流受け面は、前記偏向器の回転方向に湾曲した曲面であることを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項2乃至4いずれか一項に記載の光走査装置において、
前記気流受け面の前記偏向器の基板側端部が、前記偏向器の回転方向最上流に位置するように、前記気流受け面が傾斜していることを特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の光走査装置において、
複数の遮光部からなり、複数の遮光部を、前記θ1<θ2を満たすように配置した遮光機構を複数備え、
各遮光機構は、前記回転軸線方向において、互いに異なる位置のフレア光を遮光することを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
複数の光源と、
複数のミラー面を有し回転しながら前記ミラー面で複数の光源からの光ビームを反射させてそれぞれ互いに異なる2方向に振り分け偏向走査する偏向器と、
前記偏向器により偏向走査される光ビームをそれぞれ対応する被走査体上に導き結像させる光学素子と、
前記偏向器の近傍に配置され、前記偏向器に対向する光学素子からのフレア光を遮光する複数の遮光部とを備える光走査装置において、
前記偏向器の回転軸線方向から見たとき、複数の遮光部が、前記偏向器の回転方向に所定の間隔を開けて配置されており、
前記回転軸線方向から見たとき、前記複数の遮光部のうち前記回転方向の最下流に配置された遮光部の偏向器側端部と前記偏向器の回転軸中心とを結んだ線分と、前記複数の遮光部のうち前記回転方向の最上流に配置された遮光部の偏向器側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分とでなす角度をθ1、
前記ミラー面の前記回転方向の上流側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分と、前記ミラー面の前記回転方向の下流側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分とでなす角度をθ2としたとき、
θ1<θ2とし
複数の遮光部からなり、複数の遮光部を、前記θ1<θ2を満たすように配置した遮光機構を複数備え、
各遮光機構は、前記回転軸線方向において、互いに異なる位置のフレア光を遮光することを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
潜像担持体の表面に光走査手段を用いて光を照射することにより該潜像担持体の表面に潜像を形成し、該潜像を現像することで得た画像を最終的に記録材上に転移させることで画像を形成する画像形成装置において、
上記光走査手段として、請求項1乃至いずれか一項に記載の光走査装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光源と、複数のミラー面を有し回転しながらミラー面で複数の光源からの光ビームを反射させて互いに異なる2方向に振り分け偏光走査する偏向器と、偏向器により偏向走査される光ビームをそれぞれ対応する被走査体上に導き結像させる光学素子と、偏向器の近傍に配置され、対向する光学素子からのフレア光を遮光する複数の遮光部とを備える光走査装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記光走査装置として、偏向器の回転によって発生する気流を逃がすための切り欠きを遮光部に設けたものが記載されている。偏向器の回転軸線方向において、遮光部の偏向器のミラー面と対向する箇所よりも下側である偏向器や光学素子が取り付けられるハウジングの基盤側に切り欠きを設けて偏向器の回転によって発生する気流を逃がすことで、遮光部に対する気流の当たりを弱くでき、遮光部の振動の発生を抑制できると記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、十分に遮光部の振動を抑制できないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数の光源と、複数のミラー面を有し回転しながら前記ミラー面で複数の光源からの光ビームを反射させてそれぞれ互いに異なる2方向に振り分け偏向走査する偏向器と、前記偏向器により偏向走査される光ビームをそれぞれ対応する被走査体上に導き結像させる光学素子と、前記偏向器の近傍に配置され、前記偏向器に対向する光学素子からのフレア光を遮光する複数の遮光部とを備える光走査装置において、前記偏向器の回転軸線方向から見たとき、複数の遮光部が、前記偏向器の回転方向に所定の間隔を開けて配置されており、前記回転軸線方向から見たとき、前記複数遮光部のうち前記回転方向の最下流に配置された遮光部の偏向器側端部と前記偏向器の回転軸中心とを結んだ線分と、前記複数遮光部のうち前記回転方向の最上流に配置された遮光部の偏向器側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分とでなす角度をθ1、前記ミラー面の前記回転方向の上流側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分と、前記ミラー面の前記回転方向の下流側端部と前記回転軸中心とを結んだ線分とでなす角度をθ2としたとき、θ1<θ2とし、各遮光部の前記偏向器側端部から前記回転軸中心までの距離が互いに異なるしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、遮光部の振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】光走査装置の構成を示す概略断面図。
図3】光走査装置を上から見たときの概略図。
図4】単一の遮光壁を有する従来の光走査装置の要部構成図。
図5】本実施形態の遮光壁の構成を示す光走査装置の要部構成図。
図6】(a1)~(c1)は、本実施形態におけるポリゴンミラーのミラー面により押し出された空気の流れを説明する図であり、(a2)~(c2)は、単一の遮光壁の場合のポリゴンミラーのミラー面により押し出された空気の流れを説明する図。
図7】(a)は、3つの遮光壁をθ1>θ2となるように配置した一例を示す図であり、(b)は、図7(a)に示す構成の第三遮光壁周囲の気流の流れを模式的に示した図。(c)は、本実施形態における第三遮光壁周囲の気流の流れを模式的に示した図。
図8】従来の単一の遮光壁を用いた場合の遮光壁の振動による騒音と、本実施形態の複数の遮光壁を用いた場合の各遮光壁の振動による騒音とを示すグラフ。
図9】本実施形態の変形例を示すポリゴンスキャナ周囲の平面図。
図10】本実施形態の変形例を示すポリゴンスキャナ周囲の側面図。
図11】本実施形態の変形例を示すポリゴンスキャナ周囲の斜視図。
図12】変形例における遮光壁にぶつかった気流の流れを説明する図。
図13】遮光壁の気流を受ける面を曲面とした例を示すポリゴンスキャナ周囲の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明が適用されるカラー画像形成装置の一例を図1に基づき説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成図であう。
図1に示すように、潜像担持体としての複数、4つのドラム状をした感光体10Y、10C、10M、10Kをタンデム配列したフルカラー画像形成装置の例であり、これら感光体は画像形成手段たる各作像装置7Y、7C、7M、7Kの一部として構成されている。これら作像装置7Y、7C、7M、7Kは順に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応し、これらの色の画像をつくる。
【0009】
図1の画像形成装置のタイプでは、3つの支持ローラ15a、15b、15cなどに支持されて回転する表面移動部材としての中間転写ベルト14があり、この中間転写ベルト14の下側の張設ラインに沿って、矢印で示す該中間転写ベルト14の移動方向順に、上流側から、上記作像装置7Y、7C、7M、7Kが間隔をおいて配置されている。
【0010】
フルカラー画像の形成に際しては、これら作像装置7Y、7C、7M、7Kに設けられた感光体10Y、10C、10M、10Kに後述するように、各色のトナー画像が形成される。次に、これら異なる色のトナー画像は、中間転写ベルト14を間にして各感光体に対向して配置されている転写手段としての一次転写ローラ16の機能により中間転写ベルト14の移動とともに、中間転写ベルト14上に順次重ね転写される。詳しくは、中間転写ベルト14上の一次転写ローラ16が接している箇所は転写位置といい、この転写位置で転写が行なわれる。
【0011】
4つの重ね転写トナー像は最終記録媒体である記録材に、支持ローラ15aと二次転写ローラ9とのニップ部で一括転写され、定着装置6の定着対ローラ間を通紙したのち、搬送ローラを経て、排紙ローラ対より排紙トレイ19上に排紙される。こうして、記録材上にフルカラー画像を得る。
尚、中間転写ベルト14は、黒画像1色形成モードに適合させるために、感光体10Kについては一次転写ローラ16により常時接触させる構成であり、他の感光体については、可動のテンションローラの機能により中間転写ベルト14が接離する構成としている。中間転写ベルト14上の残トナーを除去するためのクリーニング装置17がローラ15b部に設けられている。
【0012】
図1において、各作像装置7Y、7C、7M、7Kは扱うトナーの色が異なるだけであり、機械的な構成及び作像プロセスは共通であるので、感光体以外の各構成部材は同一の符号を付し、任意の一つの作像装置、例えば作像装置7Yについて構成及び作像のプロセスを説明する。
【0013】
作像装置7Yの感光体10Yの周囲には、図中、時計回りの回転方向順に、感光体10Yを帯電する帯電手段としての帯電ローラ11、光ビームLの照射位置、現像手段としての現像装置12、一次転写ローラ16、クリーニング装置13などが配置されている。
【0014】
光ビームLは、光走査手段たる光走査装置4から出射されるもので、内部には、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、ミラー、回転多面鏡などを装備しており、各感光体に向けて各色用の光ビームLを出射し、感光体10Y上の書込位置に光ビームLを照射して静電潜像を形成する。なお、詳細については、後述する。
例えば、作像装置7Yの現像装置12については、イエローの現像剤が収納されていて、潜像をイエロー画像で可視像化する。他の作像装置についても、それぞれの色の現像剤が収納されていて、その収納されている現像剤の色で潜像を可視像化する。
【0015】
画像形成に際しては、感光体10Yが回転して帯電ローラ11により一様に帯電され、書込位置でイエロー画像の情報を含む光ビームLの照射を受けて静電潜像が形成され、この潜像が現像装置を通過する間にイエロートナーにより顕像化される。
感光体10Y上のイエロートナー像は、一次転写ローラ16により中間転写ベルト14に転写される。中間転写ベルト14上の、このイエロートナー画像は、作像装置7Cでシアントナー画像、作像装置7Mでマゼンタトナー画像、作像装置7Kでブラックトナー画像と順次重ね転写される。これにより、フルカラートナー画像が形成される。
【0016】
この重ねトナー像が二次転写ローラ9部に達するのと同じタイミングで二次転写ローラ9部に至るように、記録材が給紙部5、レジストローラからタイミングを取って送り出され、前記したように、支持ローラ15aと二次転写ローラ9とのニップ部で一括転写される。
【0017】
一方、転写後の感光体はクリーニング装置13により残留トナーが除去された後、除電ランプにより除電されて次の画像形成に備えられる。同様に、中間転写ベルト14についても、残留トナーなどがクリーニング装置17により除去される。
本例の画像形成装置では、各感光体上のトナー画像を一旦中間転写ベルト14上に重ね転写して、この重ねトナー画像をシート状媒体に一括転写する方式であるが、かかる中間転写ベルトに代えて表面移動部材たる記録紙搬送ベルトを設け、この記録紙搬送ベルトにより記録材を載せて搬送し、この搬送の過程で、各感光体から順次カラートナー像を記録材上に重ね転写することにより、フルカラー画像を合成する方式のカラー画像形成装置も知られている。本発明は、これら何れの方式の画像形成装置に対しても、適用可能である。
【0018】
次に、光走査装置4について説明する。
図2は、光走査装置4の構成を示す概略断面図である。
図3は、光走査装置4を上から見たときの概略図である。
光走査装置4は、ポリゴンスキャナ50、各種の反射ミラー、各種のレンズ等の光学素子を備えている。ポリゴンスキャナ50は、光走査装置4の略中央に設けられ、防音ガラス51と防音壁56と、上壁42とで囲われた密閉空間に配置されている。
【0019】
ポリゴンスキャナ50は、6面のミラー面を有する偏向器たる上段ポリゴンミラー49a、偏向器たる下段ポリゴンミラー49b、これらポリゴンミラーを回転するポリゴンモータ、ポリゴンモータを制御する制御基板160などを有している。
【0020】
図2に示すように、ポリゴンスキャナ50の図中の右側には、M用の光学系と、K用の光学系とが配設されている。ポリゴンスキャナ50の図中左側には、Y用の光学系と、C用の光学系とが配設されている。Y用の光学系は、ポリゴンスキャナ50の回転軸152を中心にしてK用の光学系と点対称の関係となる構成になっている。また、C用の光学系は、ポリゴンスキャナ50の回転軸152を中心にしてM用の光学系と点対称の関係となる構成になっている。
【0021】
また、図3に示すように、各感光体10K、10M、10C、10Yにそれぞれ対応する光ビームLk、Lm、Lc、Lyを射出する光源たる半導体レーザ41K、41M、41C、41Yを備えている。
【0022】
コリメートレンズ52Y,52M、52C、52K、結像レンズ(シリンダレンズ)53K、53M、53C、53Yと反射ミラー55K、55Yは、半導体レーザ41からポリゴンスキャナ50までの光ビームの光路上に配設されている。また、光学素子たる、走査レンズ(fθレンズ)25KM、25CY、複数のミラー45は、ポリゴンスキャナ50から被走査体である感光体10までの光路上に配置されている。また、ポリゴンスキャナ50から被照射体である感光体10までの光路上に各色にそれぞれ対応する長尺レンズを配設してもよい。
【0023】
図3の図中右下方には、K色とM色の光ビームLm、Lkの先端を検知するビーム検知センサたる先端ビーム検知ユニット65KMが設けられている。また、図中右上方には、K色とM色の光ビームLm、Lkの後端を検知するビーム検知センサたる後端ビーム検知ユニット44KMが設けられている。また、ポリゴンスキャナ50の回転軸152を中心にしてM、K用先端ビーム検知ユニット65KMと点対称となる位置(図中左上方)に、C、Y用先端ビーム検知ユニット65CYが設けられている。同様に、ポリゴンスキャナ50の回転軸152を中心にしてM、K用後端ビーム検知ユニット44KMと点対称となる位置(図中左下方)に、C、Y用後端ビーム検知ユニット44CYが設けられている。
【0024】
各半導体レーザ41K、41M、41C、41Y光ビームLy,Lc,Lm,Lkは、コリメートレンズ52Y,M,C,Kにより発散光束が平行光束に変換された後、結像レンズ53Y,M,C,Kを透過することで、副走査方向(感光体表面上における感光体表面移動方向に相当する方向)に集光せしめられる。
【0025】
光ビームLkは、反射ミラー55Kに反射されて防音ガラス51KMを通過して下段ポリゴンミラー49bのミラー面に入射する。下段ポリゴンミラー49bの側面のミラー面に光ビームLkが入射すると、この光ビームが主走査線方向に偏向走査される。下段ポリゴンミラー49bで偏向走査された光ビームLkは、再び防音ガラス51を通過して走査レンズ25KM(fθレンズ)によって集光される。走査レンズ25KMによって集光されたK色の光ビームLkは、感光体10K上への走査に先立って折り返しミラー62KMに反射され、同期用結像レンズ63KMを通って先端ビーム検知ユニット65KMに入射して光ビームLkが検知される。先端ビーム検知ユニット65KMが光ビームLkを検知すると、同期信号が出力され、同期信号に応じて、画像データに基づいて変換された光源信号の出力のタイミングが調整される。
入力された画像データに基づいて発光した光ビームLkは、上述同様、結像レンズ53Kなどを通過して、下段ポリゴンミラー49bに走査されて、走査レンズ25KMに入射する。走査レンズ25KMに入射した光ビームLkは、図2に示すように、ミラー45、防塵ガラス28を介して感光体10Kに照射される。
【0026】
結像レンズ53Mを透過した光ビームLmは、直接上段ポリゴンミラー49aのミラー面に入射し走査される。上段ポリゴンミラー49aに走査されたM色用の光ビームLmは、走査レンズ25KMに入射して、感光体10M上への走査に先立って先端ビーム検知ユニット65KMに入射して、同期信号を出力する。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLmが、上段ポリゴンミラー49a、走査レンズ25KM、ミラー45、防塵ガラス28を通って、感光体10Mに照射される。
【0027】
結像レンズ53Cを透過した光ビームLcは、そのまま、上段ポリゴンミラー49aのミラー面に入射し走査される。上段ポリゴンミラー49aに走査されたC色用の光ビームLcは、走査レンズ25CYに入射し、感光体10C上への走査に先立って折り返しミラー62CYに反射され、同期用結像レンズ63CYを通って先端ビーム検知ユニット65CYに入射し、同期信号を出力する。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLcが、結像レンズ53C、上段ポリゴンミラー49a、走査レンズ25CY、ミラー45、防塵ガラス28を通って、感光体10Cに照射される。
【0028】
結像レンズ53Yを透過した光ビームLyは、反射ミラー55Yに反射されて、下段ポリゴンミラー49bのミラー面に入射し走査される。下段ポリゴンミラー49bに走査されたY色用の光ビームLyは、走査レンズ25CYを通過した後、感光体10Y上への走査に先立って先端ビーム検知ユニット65CYに入射し同期信号が出力される。そして、同期が取れて発射された画像データに基づく光ビームLyが、結像レンズ53Y、下段ポリゴンミラー49b、走査レンズ25CY、ミラー45、防塵ガラス28を通って、感光体10Yに照射される。
【0029】
光走査装置4では、走査レンズ25に入射した光ビームの一部が、走査レンズ25に反射して図4に示すようにフレア光Fが発生する。このフレア光Fは、防音ガラス51を通過し、ポリゴンミラー49の近傍を通って、反対側の防音ガラスを抜ける。そして、最終的には、このフレア光Fが感光体10に到達して、感光体10の表面を露光すると縦スジ等の異常画像となる場合がある。この対策として、図4に示すように、感光体10の表面に到達するフレア光Fの光路上であるポリゴンミラー49の近傍にフレア光Fを遮光する遮光部としての遮光壁170を設けるものがある。
【0030】
ポリゴンミラー49は、ポリゴンミラー49の回転軸方向から見たとき、正六角形状であり、6つのミラー面を有している。ポリゴンミラー49が回転すると、ポリゴンミラー49のミラー面が、空気を押し出すことで、ポリゴンミラーの周囲にポリゴンミラーの回転方向(図中矢印B)と同方向に流れる気流が発生する。この気流により遮光壁170が振動し、異音が発生する場合がある。
【0031】
ポリゴンミラー49の回転により発生した気流が遮光壁170にぶつかり、遮光壁170はポリゴンミラー49の回転方向に風圧を受ける。この風圧により遮光壁170がポリゴンミラー49の回転方向に弾性変形する。遮光壁170にぶつかる気流は、ミラー面の回転方向上流側端部Eが遮光壁170に近づくにつれて徐々に強くなり、ミラー面の回転方向上流側端部Eが遮光壁170との対向箇所を抜けるときに最大となる。そして、ミラ-面の回転方向上流側端部Eが遮光壁170との対向箇所を抜けると一気に遮光壁170にぶつかる気流が減少し、遮光壁170が受ける風圧が一気に低減する。その結果、ポリゴンミラー49の回転方向に弾性変形していた遮光壁170が元に戻る。このような遮光壁の挙動が、ポリゴンミラーの一回転当たり6回生じるため、遮光壁は、ポリゴンミラーの回転数(rpm)の(1/6)の周期で振動し、その振動により騒音が発生するおそれがある。
【0032】
これに対し、本実施形態では、遮光壁170を分割して設けて、ポリゴンミラー49の回転で発生する気流を複数の遮光壁に分散させることで、各遮光壁の振動を低減し、遮光壁の振動による騒音を低減するようにした。以下、図面を用いて、具体的説明する。
【0033】
図5は、本実施形態の遮光壁の構成を示す光走査装置の要部構成図である。
図5に示すように本実施形態では、3つの遮光壁70a,70b,70cからなる遮光機構70を有している。3つの遮光壁70a,70b,70cは、ポリゴンミラー49の回転方向に所定の間隔を開けて配置されている。3つの遮光壁のうち、ポリゴンミラーの回転方向最上流に配置された第一遮光壁70aのポリゴンミラー側端部S1とポリゴンミラー49の回転軸中心O1とを結んだ線とポリゴンミラーの回転方向最下流に配置された第三遮光壁70cのポリゴンミラー側端部S3とポリゴンミラー49の回転軸中心O1とを結んだ線とでなす角度θ1が、ポリゴンミラー49のミラー面の回転方向の一端E1と回転軸中心O1とを結んだ線とミラー面の回転方向の他端E2と回転軸中心O1とを結んだ線とでなす角度θ2(本実施形態では、60°)よりも小さくなっており(θ1<θ2)、遮光機構70を構成する3つの遮光壁70a,70b,70cが、ミラー面の回転方向幅内に収まるように構成している。
【0034】
また、3つの遮光壁のポリゴンミラー側端部のポリゴンミラー49からの距離が、ポリゴンミラー49の回転方向下流側の遮光壁ほど短くなるように構成している。かかる構成とすることで、後述するように、ポリゴンミラー49の回転で発生する気流を複数の遮光壁に分散させてぶつけることができ、各遮光壁にかかる風圧を低減することができる。
【0035】
また、3つの遮光壁の長さも互いに異なっており、最もポリゴンミラーの近くに配置されている第三遮光壁70cの長さが最も短くなっており、最もポリゴンミラー49から離れた配置されている第一遮光壁70aが最も長くなっている。
【0036】
また、第二遮光壁70bのポリゴンミラー側端部S2は、第三遮光壁70cのポリゴンミラー側とは反対側端部より、ポリゴンミラー側にあり、第一遮光壁70aのポリゴンミラー側端部S1は、第二遮光壁70bのポリゴンミラー側とは反対側端部よりポリゴンミラー側にある。これにより、フレア光Fの進行方向上流側から遮光機構70みたとき、第二遮光壁70bのポリゴンミラー側が第三遮光壁70cにオーバーラップし、第一遮光壁70aのポリゴンミラー側が第二遮光壁70bにオーバーラップする。これにより、遮光壁の間からフレア光が漏れだすのを防止することができる。
【0037】
なお、走査レンズ25の図5の下側で反射したフレア光は、防音壁56により遮光されるため、感光体10に到達することはない。
【0038】
図6(a1)~(c1)は、本実施形態におけるポリゴンミラーのミラー面149により押し出された空気の流れを説明する図であり、図6(a2)~(c2)は、単一の遮光壁170の場合の空気の流れを説明する図である。
図6(a2)~(c2)に示すように、単一の遮光壁170でフレア光を遮光する従来例においては、ポリゴンミラー49のミラー面149により空気が押し出されることで発生した気流Rをひとつの遮光壁170で受けることなる。そのため、遮光壁170にかかる風荷重が大きくなり、遮光壁170がポリゴンミラーの回転方向に傾くように弾性変形して、遮光壁170に振動が発生し、その振動が騒音となるおそれがある。なお、風荷重は、風圧(N/m)に風圧を受ける受圧面積(m)を掛け合わせて算出される。
【0039】
一方、本実施形態では、図6(a1)~(c1)に示すように、ポリゴンミラー49のミラー面149により空気が押し出されることで発生した気流Rを3つの遮光壁70a,70b,70cで受ける。その結果、風荷重が3つの遮光壁70a,70b,70cに分散され、従来構成に比べて、ひとつの遮光壁にかかる風荷重を減少させることができる。これにより、遮光壁のポリゴンミラー49の回転方向の弾性変形が抑制され、遮光壁の振動を抑制することができる。
【0040】
また、上述したように最もポリゴンミラーに最も近い位置に配置されている第三遮光壁70cの長さを最も短くし、気流の風圧を受ける受圧面積を最も小さくしている。これは、ポリゴンミラー49から近いほど、風速が速い。ポリゴンミラーに最も近い位置に配置される第三遮光壁70cは、この風速が速い気流がぶつかるため、第三遮光壁70cが受ける風圧は3つの遮光壁のうち最も強い。そのため、第三遮光壁70cの長さを最も短くし、気流の風圧を受ける受圧面積を最小とすることで、第三遮光壁70cにかかる風荷重の増加を抑制する。これにより、第三遮光壁70cがポリゴンミラーの回転方向に弾性変形するのを抑制でき、第三遮光壁70cの振動を抑制できる。
【0041】
一方、ポリゴンミラー49から離れた位置に配置された第一遮光壁70aには、風速が減衰して第一遮光壁70aにぶつかるため、第一遮光壁70aにかかる風圧は弱くなる。従って、第一遮光壁70aについては多少風圧を受ける受圧面積が大きくても、第一遮光壁70aが大きく弾性変形するほどの風荷重を受けない。よって、第一遮光壁70aについては、長さを長くして広い範囲でフレア光を遮光するように構成している。
【0042】
また、3つの遮光壁70a,70b,70cは、ポリゴンミラー49の回転方向に所定の間隔を開け、かつ、上記θ1<θ2を満たすように配置している。これにより、各遮光壁に気流Rがぶつかるタイミングをずらすことができ、各遮光壁の振動の位相をずらすことができる。これにより、各遮光壁の振動により発生する音の共振を防ぐことができ、騒音を低減することができる。
【0043】
また、3つの遮光壁70a,70b,70cを上記θ1<θ2を満たすように配置することで、遮光壁のポリゴンミラーの回転方向下流側(以下、裏側という)の渦の発生を抑制でき、遮光壁の振動や騒音の発生を抑制できる。以下、図7を用いて具体的に説明する。
図7(a)は、3つの遮光壁70a,70b,70cをθ1>θ2となるように配置した一例を示しており、図7(b)は、図7(a)に示す構成の第三遮光壁周囲の気流の流れを模式的に示した図であり、図7(c)は、本実施形態における第三遮光壁周囲の気流の流れを模式的に示した図である。
【0044】
図7(a)に示すように、第一遮光壁70aと、第二遮光壁70bは、ミラー面149bにより押し出されて発生した気流を受け、ミラー面149aにより押し出されて発生した気流は受けない。そのため、図7(b)に示すように、第三遮光壁70cのポリゴンミラー49から離間した側の端部周囲には、略ポリゴンミラーの回転方向に流れる気流が発生している。よって、第三遮光壁70cにぶつかってポリゴンミラー49から離間する方向へと流れた気流は、ポリゴンミラー49から離間した側の端部周囲の略ポリゴンミラーの回転方向へ流れる気流に沿って、ポリゴンミラーの回転方向下流側へ流れる。その結果、第三遮光壁70cの裏側(第三遮光壁の回転方向下流側)へ回り込み、第三遮光壁70cの裏側で渦が生じる。第三遮光壁70cにぶつかってポリゴンミラー49側へと流れた気流も、ポリゴンミラーの回転方向下流側へ流れ、第三遮光壁70cの裏側で渦が生じる。これにより、これらの渦が、交互に発生するカルマン渦列が第三遮光壁70cの裏側で発生し、第三遮光壁70cの振動が大きくなるおそれがある。また、カルマン渦列が発生することで、第三遮光壁70cの裏側で空気が規則的に振動し、異音が発生するおそれもある。
【0045】
一方、3つの遮光壁70a,70b,70cを上記θ1<θ2となるように配置した本実施形態においては、図7(c)に示すように、第三遮光壁70cの上流側で、第二遮光壁70bおよび第一遮光壁70aが、回転方向の気流を受ける。そのため、第三遮光壁70cのポリゴンミラー49から離間した側の端部周囲には、回転方向の気流が発生しない。よって、第三遮光壁70cにぶつかってポリゴンミラー49から離間する方向へと流れた気流は、途中で流れ方向を変えることなく、ほとんどそのままポリゴンミラー49から離間する方向へと流れる。よって、第三遮光壁70cの裏側へ回り込む気流は、ほとんど生じない。その結果、第三遮光壁70cの裏側のポリゴンミラー離間側での渦発生が抑制される。よって、第三遮光壁70cの裏側でのカルマン渦列の発生を抑制でき、第三遮光壁70cの振動が大きくなるのを抑制できる。また、カルマン渦列による騒音の発生も抑制できる。
【0046】
また、第二遮光壁70bにぶつかってポリゴンミラー49から離間する方向へと流れた気流は、第二遮光壁70bの裏側のポリゴンミラー49から離間する方向へ流れる気流によって、第二遮光壁70bの裏側に回り込むことがない。よって、ポリゴンミラー49から離間する方向へと流れ、第二遮光壁70bの裏側のポリゴンミラー離間側で渦が発生することがない。その結果、第二遮光壁の裏側で気圧が変化するのを抑制でき、第二遮光壁70bの振動も抑制される。同様な理由により、第一遮光壁70aについても、第二遮光壁70bの裏側のポリゴンミラー離間側で渦が発生することがなく、第一遮光壁70aの振動も抑制される。
【0047】
このように、3つの遮光壁70a,70b,70cを上記θ1<θ2を満たすように配置することで、遮光壁の裏側での渦の発生を抑制でき、遮光壁の振動や騒音を抑制することができる。
【0048】
図8は、従来の単一の遮光壁を用いた場合の遮光壁の振動による騒音と、本実施形態の複数の遮光壁を用いた場合の各遮光壁の振動による騒音とを示すグラフである。
図8からわかるように、本実施形態では、上述したように、風荷重が3つの遮光壁70a,70b,70cに分散され、ひとつの遮光壁にかかる風荷重を減少させることができる。これにより、遮光壁170がポリゴンミラー49の回転方向の弾性変形が抑制され、各遮光壁の振動が、一つの遮光壁からなる従来構成に比べて抑制することができる。その結果、各遮光壁による振動による騒音レベルは、従来構成に比べて低減することができる。さらに、各遮光壁の振動の位相が異なるため、各遮光壁による振動による騒音の総和も、従来構成に比べて図中Z分、騒音レベルを低減できる。
【0049】
次に、本実施形態の変形例について、説明する。
図9図12は、本実施形態の変形例を示す図である。
図9図12に示すように、この変形例では、複数の遮光壁からなる遮光機構を4つ設けたものである。
第一遮光機構70は、上段ポリゴンミラー49aで走査され、走査レンズ25CYで反射された光ビームLcのフレア光を遮光するものであり、3つの遮光壁70a,70b,70cを有している。3つの遮光壁70a,70b,70cの配置関係および構成は、図5に示した実施形態の遮光機構と同様である。すなわち、ポリゴンミラーの回転方向下流側の遮光壁ほど、ポリゴンミラーに近い位置に配置されている。また、ポリゴンミラーの回転方向下流側の遮光壁ほど、長さが短くなっている。
【0050】
第二遮光機構71は、第一遮光機構70の真下に設けられ、下段ポリゴンミラー49bで走査され、走査レンズ25CYで反射された光ビームLyのフレア光を遮光するものである。第二遮光機構71は、第一遮光機構70と同様な構成をしており、3つの遮光壁71a,71b,71cを有している。
【0051】
第三遮光機構72は、第一遮光機構70よりもポリゴンミラーの回転方向上流側に配置され、上段ポリゴンミラー49aで走査され、走査レンズ25MKで反射された光ビームLmのフレア光を遮光するものである。第三遮光機構72は、2つの遮光壁72a,72bを有している。この第三遮光機構は、ポリゴンミラの回転方向上流側の遮光壁72aが、ポリゴンミラーに近い位置に配置されており、ポリゴンミラの回転方向下流側の遮光壁72bに比べて、長さが短くなっている。
【0052】
第四遮光機構73は、第三遮光機構72の真下に設けられ、下段ポリゴンミラー49bで走査され、走査レンズ25KMで反射された光ビームLkのフレア光を遮光するものである。第四遮光機構73は、第三遮光機構72と同様な構成をしており2つの遮光壁73a,73bを有している。
【0053】
第三、第四遮光機構においても、ポリゴンミラー49のミラー面により空気が押し出されることで発生した気流Rを2つの遮光壁で受け、風荷重を2つの遮光壁に分散される。これにより、遮光壁のポリゴンミラー49の回転方向の弾性変形が抑制され、遮光壁の振動を抑制することができる。
【0054】
この変形例では、上段側のフレア光を遮光する遮光機構と、下段側のフレア光を遮光する遮光機構とをそれぞれ設けることで、図10に示すように、上段ポリゴンミラー49aと下段ポリゴンミラー49bとの間に隙間を形成することができる。これにより、上段側のフレア光を遮光する遮光機構と、下段側のフレア光を遮光する遮光機構との隙間からポリゴンミラーの回転によって発生した気流を逃がすことができる。これにより、一つの遮光機構で上段側のフレア光と、下段側のフレア光とを遮光する場合に比べて各遮光壁にぶつかる気流を低減でき、各遮光壁の振動を抑制することができる。
【0055】
また、この変形例では、図11図12に示すように、各遮光壁の気流Rを受ける気流受け面Kを上下方向(ポリゴンミラーの回転軸方向)に傾斜させている。このように、各遮光壁の気流受け面Kを傾斜させることで、気流Rを上下方向に受け流すことができ、各遮光壁にかかる風圧の低減を図ることができ、各遮光壁の振動を抑制することができる。
【0056】
この変形例では、図中上側(ポリゴンミラーの基板と反対側)が下側よりもポリゴンミラーの回転方向下流側に位置するように各遮光壁の気流受け面Kを傾斜させている。これにより、遮光壁にぶつかった気流は、上方へと流れる。ポリゴンミラーの下側には、基板があり、スペースが狭いが、ポリゴンミラーの上方には、ある程度のスペースがある。
【0057】
ポリゴンミラーのミラー面149により空気を押し出したことによりポリゴンミラー49のミラー面149の周囲は負圧となるため、そのポリゴンミラーのミラー面149の周囲へ空気が流れ込んでくる。そのとき、主に、スペースの広いポリゴンミラー49の上方の空気が、ポリゴンミラーのミラー面149の周囲に流れ込んでくるため、ポリゴンミラーの上方が負圧となり、ポリゴンミラーの上方へ空気が流れ込むことになる。遮光壁にぶつかった気流を、上方へと流すことで、この気流が、ポリゴンミラー49の上方へと流れることになる。その結果、ポリゴンミラーの周囲に循環気流が発生し、ポリゴンミラーの周囲の気流が安定し、層流となる。これにより、ポリゴンミラー49の回転時の騒音の低減を図ることができる。
【0058】
なお、下段ポリゴンミラー49bにおいては、下側からポリゴンミラーのミラー面の周囲へ空気が流れ込んでいる場合は、第二遮光機構71および第四遮光機構73の遮光壁の気流受け面Kを、下側がポリゴンミラーの回転方向下流側に位置するように傾斜させ、遮光壁にぶつかった気流を下方へ流すようにしてもよい。
【0059】
また、図13に示すように、遮光壁の気流受け面Kを曲面としてもよい。このように、曲面とすることで、遮光壁にぶつかった気流をスムーズに上方向へ受け流すことができる。これにより、より一層、各遮光壁にかかる風圧の低減を図ることができ、各遮光壁の振動をより一層抑制することができる。
【0060】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
半導体レーザ41K、41M、41C、41Yなどの複数の光源と、複数のミラー面149を有し回転しながらミラー面で複数の光源からの光ビームを反射させて互いに異なる2方向に振り分け偏光走査するポリゴンミラー49などの偏向器と、偏向器により偏向走査される光ビームをそれぞれ対応する感光体10K、10M、10C、10Yなどの被走査体上に導き結像させる走査レンズ25などの光学素子と、偏向器の近傍に配置され、対向する光学素子からのフレア光を遮光する遮光壁などの遮光部とを備える光走査装置4において、偏向器の回転軸線方向から見たとき、複数の遮光部が、偏向器の回転方向に所定の間隔を開けて配置されており、回転軸線方向から見たとき、複数遮光部のうち回転方向の最下流に配置された第三遮光壁70cなどの遮光部の偏向器側端部と偏向器の回転軸中心O1とを結んだ線分と、複数遮光部のうち回転方向の最上流に配置された第一遮光壁70aなどの遮光部の偏向器側端部と回転軸中心O1とを結んだ線分とでなす角度をθ1、ミラー面149の回転方向の上流側端部E1と前記回転軸中心O1とを結んだ線分と、ミラー面149の回転方向の下流側端部E2と回転軸中心O1とを結んだ線分とでなす角度をθ2としたとき、θ1<θ2とした。
ポリゴンミラー49などの偏向器の回転によって発生する気流は、偏向器のミラー面149が空気を押し出すことで発生するものであり、偏向器の回転軸線方向におけるミラー面149の位置の気流が最も勢いがあり流量もある。上記特許文献1に記載の構成は、偏向器の回転軸線方向において、遮光壁などの遮光部の偏向器のミラー面149と対向する箇所よりも下側のハウジングの基盤側に切り欠きを設けているため、偏向器の回転軸線方向において、ミラー面149の位置の最も勢いがあり流量もある気流は、単一の遮光部で受けることになり、遮光部に加わる風荷重により偏向器の回転方向に弾性変形し、遮光部の振動を十分に抑制できないおそれがある。
これに対し、態様1では、遮光部を複数設けて、複数の遮光部でフレア光を遮光することで(本実施形態では、第一遮光壁70a,第二遮光壁70bおよび第三遮光壁70c)ひとつの遮光部でフレア光を遮光する場合に比べて、偏向器のミラー面149が空気を押し出すことで発生した気流の風圧を受ける各遮光部の面積を低減することができる。これにより、ひとつの遮光部にかかる風荷重を低減することができ、各遮光部の偏向器の回転方向の弾性変形を抑制することができる。また、上記θ1<θ2の関係を満たすように複数の遮光部を配置することで、あるミラー面で空気を押し出して発生した気流を複数の遮光部で分割して受けることが可能となる。これにより、図7(c)に示すように、各遮光部にぶつかった気流のうち、遮光部に沿って偏向器から離間する方向へ流れる気流の乱れを抑制でき、図7(b)と、図7(c)の比較からわかるように遮光部の偏向器離間側端部の回転方向下流側で渦が発生するのを抑制することができる。これにより、遮光部の回転方向下流側の気圧変動が抑制され、この気圧変動による遮光部の弾性変形も抑制できる。これにより、各遮光部の振動を抑制することができる。
【0061】
(態様2)
態様1において、各遮光部の偏向器側端部から回転軸中心O1までの距離が互いに異なる。
これによれば、実施形態で説明したように、あるミラー面で空気を押し出して発生した気流を複数の遮光部で分割して受けることができる。
【0062】
(態様3)
態様1または2において、遮光壁などの各遮光部の偏向器の回転によって発生する気流を受ける気流受け面Kを偏向器の回転方向に傾斜させた。
これによれば、図12図13を用いて説明したように、遮光壁などの各遮光部に当たった気流を偏向器の回転軸線方向に受け流すことができ、遮光部が受ける風圧を低減することができる。これにより、各遮光部の振動を抑制することができる。
【0063】
(態様4)
態様3において、気流受け面Kは、ポリゴンミラー49などの偏向器の回転方向に湾曲した曲面である。
これによれば、図13を用いて説明したように、遮光壁などの遮光部にぶつかった気流をスムーズに偏向器の回転軸線方向に受け流すことができ、より一層、各遮光壁にかかる風圧の低減を図ることができる。よって、各遮光壁の振動をより一層抑制することができる。
【0064】
(態様5)
態様3または4において、気流受け面Kのポリゴンミラー49などの偏向器の基板側端部が、偏向器の回転方向最上流に位置するように、気流受け面Kが傾斜している。
これによれば、図11図12を用いて説明したように、遮光壁などの遮光部にぶつかった気流をポリゴンミラー49などの偏向器の基板側とは反対側へ受け流すことができる。偏向器の基板側とは反対側は、広い空間があり、偏向器の基板側とは反対側の空間から偏向器へ向けて気流が発生している。従って、遮光部によって受け流した気流を、偏向器の基板側とは反対側へ受け流すことで、遮光部によって受け流した気流を、偏向器の基板側とは反対側の広い空間へ流すことができ、偏向器の周囲に循環気流が発生させることができる。これにより、ポリゴンミラーの周囲の気流が安定し、ポリゴンミラーの回転時の騒音の低減を図ることができる。
【0065】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、複数の遮光部からなり、複数の遮光部を、前記θ1<θ2を満たすように配置した遮光機構を複数備え、各遮光機構は、回転軸線方向において、互いに異なる位置のフレア光を遮光する。
これによれば、変形例で説明したように、一つの遮光機構で互いに異なる位置のフレア光を遮光する場合に比べて、遮光壁などの遮光部の気流の風圧を受ける面積を低減でき、各遮光部にかかる風荷重を低減することができる。これにより、各遮光部の弾性変形を抑制でき、各遮光部の振動を抑制することができる。
【0066】
(態様7)
感光体10などの潜像担持体の表面に光走査手段を用いて光を照射することにより潜像担持体の表面に潜像を形成し、潜像を現像することで得た画像を最終的に記録材上に転移させることで画像を形成する画像形成装置において、光走査手段として、態様1乃至6のいずれかの光走査装置を用いる。
これによれば、縦筋などの異常画像の発生を抑制でき、かつ、装置の騒音を低減することができる。
【符号の説明】
【0067】
4 :光走査装置
10 :感光体(被走査体)
25 :走査レンズ(光学素子)
41 :半導体レーザ(光源)
49 :ポリゴンミラー
50 :ポリゴンスキャナ
51 :防音ガラス
70 :遮光機構(第一遮光機構)
70a :第一遮光壁
70b :第二遮光壁
70c :第三遮光壁
71 :第二遮光機構
72 :第三遮光機構
73 :第四遮光機構
149 :ミラー面
160 :制御基板
170 :単一の遮光壁
E1 :ミラー面の回転方向上流側端部
E2 :ミラー面の回転方向下流側端部
F :フレア光
K :気流受け面
L :光ビーム
O1 :回転軸中心
R :気流
θ1 :第一遮光壁のポリゴンミラー側端部とポリゴンミラーの回転軸中心とを結んだ線と第三遮光壁のポリゴンミラー側端部と回転軸中心とを結んだ線とでなす角度
θ2 :ミラー面の回転方向の一端と回転軸中心とを結んだ線とミラー面の回転方向の他端と回転軸中心とを結んだ線とでなす角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【文献】特許第3862950号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13