IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製粉株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ペットフード用香味油及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/147 20160101AFI20240118BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20240118BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20240118BHJP
   A23K 10/20 20160101ALI20240118BHJP
【FI】
A23K20/147
A23K50/40
A23K20/158
A23K10/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019145405
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021023239
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】橋本 絢乃
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 諒
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/147326(WO,A1)
【文献】特開2010-172209(JP,A)
【文献】特開2000-316487(JP,A)
【文献】特開2010-029083(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0169155(US,A1)
【文献】特開2007-028970(JP,A)
【文献】特開平04-311364(JP,A)
【文献】特開2007-037470(JP,A)
【文献】特開昭50-123856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0170067(US,A1)
【文献】特開平09-009910(JP,A)
【文献】特開平10-262595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂と、蛋白質性材料である香味素材との混合物を、25~130℃、0.5~190分加熱する工程を含む、ペットフード用香味油の製造方法であって、前記蛋白質性原料が動物性蛋白質の加水分解物であり、前記香味油の原料に糖類が含まれ油脂の全量100質量部に対して50~100質量部の香味素材を使用する、前記方法。
【請求項2】
前記動物性蛋白質の加水分解物が、畜肉の加水分解物、乳加水分解粒及び/又は酵母の加水分解物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
さらに油脂の融点以上の温度で固液分離して油脂を回収する工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフード用香味油及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香味油とは、加熱した油の中に、香味性素材、主にネギ類やニンニク・ショウガ等の野菜類と、魚介類・畜肉類を入れ、これらの持つ旨み、風味を油脂に移したものである。香味油を、食品の調理に用いることで、良好な風味を簡便に付与することが可能となり、より特徴のある香味油を製造するため、食品分野では多くの試みがなされている。
ペットフードでは、香味油は高価であることから、あまり使用されてこなかった。また香味油に使用される香辛料や香味野菜の中にはイヌやネコなどのペットにとって有害なものが多く、さらにイヌやネコはヒトとは異なる嗅覚を持つことから、ヒト用の香味油ではペットの嗜好性が上がらないことが多かった。
食品用の香味油は一般的に、植物性食用油脂に、細断または摩砕した野菜を加えて加熱昇温し、必要に応じて加熱状態で保持した後、油相を採取する方法が知られている(例えば特許文献1)。特許文献2には90~180℃で油脂類と野菜類と糖を加熱して香味油を製造する方法が記載されている。
しかしながら、上記特許文献1のような従来の製造方法により得られる香味油では、風味が弱いという問題があった。また上記特許文献2では、野菜類としてタマネギ、ニンニク、ショウガ及びネギの何れかが使用されており、イヌやネコなどのペットに害を及ぼす可能性があるため(溶血を起こす可能性がある)、ペットに対しては使用することができない。また、これらの先行技術文献には香味油をペットの嗜好性を改善するために使用することについては、なんら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭56-58450号公報
【文献】特開2013-201905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イヌやネコが食べると有害な生体反応を引き起こす可能性のある香辛料や、ネギ類、ニンニク、ショウガ等を香味素材に使用せずに、ペットフードに使用した際にイヌやネコに高い嗜好性を有する、特にフレッシュな香りを強く有する、ペットフード用香味油の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、油脂と、蛋白質性材料である香味素材との混合物を、25~130℃、0.5~190分加熱する工程を含む方法により得た香味油を使用してペットフードを製造するとイヌやネコに高い嗜好性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]油脂と、蛋白質性材料である香味素材との混合物を、25~130℃、0.5~190分加熱する工程を含む、ペットフード用香味油の製造方法。
[2]油脂の全量100質量部に対して0.5~250質量部の香味素材を使用する、前記[1]に記載の製造方法。
[3]蛋白質性原料が、動物性蛋白質の加水分解物である、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]さらに油脂の融点以上の温度で固液分離して油脂を回収する工程を含む、前記[1]~[3]のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、イヌやネコが食べると有害な生体反応を引き起こす可能性のある香辛料や、ネギ類、ニンニク、ショウガ等を香味素材に使用せずに、ペットフードに使用した際にイヌやネコに高い嗜好性を有する、ペットフード用香味油を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は油脂と、蛋白質性材料である香味素材との混合物を、25~130℃、0.5~190分加熱する工程を含む、ペットフード用香味油の製造方法である。
【0009】
本発明の製造方法において「油脂」としては食用、飼料用であれば特に限定なく使用できる。例えば、コーン油、オリーブ油、大豆油、サフラワー油、米油、ヤシ油、菜種油、パーム油、パーム核油などの植物性油脂類、牛脂、豚脂、鶏脂などの動物性油脂類、バターなどが挙げられる。それらはそのまま、或いは水素添加や他の油脂とのエステル交換、分解などの加工を行っても使用できる。油脂は1種類でも良く、また複数の油脂の混合物でも良い。
【0010】
本発明の製造方法において、「香味素材」は蛋白質性材料であり、食用、飼料用の蛋白質性材料であれば、特に限定なく使用できる。たとえば、畜肉類、魚介類、乳類、酵母類などがあげられる。
畜肉類としては、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、羊肉やそれらの内臓、ミール類などが使用できる。ミール類とは、牛肉や豚肉、鶏肉等の動物性原料から脂を取り除き乾燥させたパウダー状の原材料を指す。
魚介類としては、例えば、かつお、まぐろ、たい、あじ、さば、いか、さけなどの海水産および淡水産類やそれらの内臓、フィッシュミールを使用することができる。フィッシュミールとは、魚から脂を取り除き乾燥させたパウダー状の原材料を指す。また、えび、かになどの甲殻類や、あさり、かき、ほたて、はまぐりなどの貝類も魚介類に含まれる。
乳類は、乳および乳製品が含まれる。乳類としては、例えば牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、チーズ、クリーム、無糖練乳、加糖練乳、バターミルク、バターミルクパウダーなどを使用することができる。
酵母類としては、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母などの酵母や、それらを分解したエキスを使用することができる。
これらの蛋白質性材料はそのままでも使用できるが、細断物、ペースト状物、液状物、乾燥処理物、冷凍加工物の形態でも使用でき、さらに、それらから得られる精油あるいは抽出物、分解物を使用することもできる。
蛋白質性材料は、好ましくは蛋白質の加水分解物である。蛋白質の加水分解物は上記畜肉類、魚介類、乳類、酵母類を常法により加水分解(熱水分解、酸分解、酵素分解等)したものである。このような蛋白質の加水分解物としては畜肉の加水分解物、魚介の加水分解物、乳加水分解物、酵母の加水分解物(酵母エキス)のような動物性蛋白質の加水分解物、大豆蛋白質の加水分解物、小麦蛋白質の加水分解物のような植物性蛋白質の加水分解物を挙げることが出来る。より好ましくは畜肉の加水分解物、魚介の加水分解物、乳加水分解物、酵母の加水分解物(酵母エキス)のような動物性蛋白質の加水分解物を使用する。
上記の各種香味素材は単独で、または2種類以上の混合物として使用することもできる。
【0011】
本発明の製造方法において、好ましくは油脂の全量100質量部に対して0.5~250質量部の香味素材を使用する。油脂の全量100質量部に対する香味素材の量が増加するにつれて嗜好性が増す傾向にあるが、香味素材の量が250質量部を超えると、香味油の個液分離が難しくなる傾向にある。より好ましくは油脂の全量100質量部に対して1~200質量部、さらに好ましくは油脂の全量100質量部に対して5~100質量部使用する。
【0012】
本発明の製造方法においては、必要に応じて加熱時に油脂、蛋白質性材料である香味素材以外の副原料を用いてもよい。副原料としては例えば、野菜類、果物類、醸造物類やアミノ酸、糖類、核酸類、無機塩類、品質改良剤、酸化防止剤、保存料、乳化剤等の添加剤が挙げられる。
【0013】
本発明の製造方法において、油脂と、蛋白質性材料である香味素材との混合物を加熱する工程は特に限定されるものではないが、例えば、油脂類と蛋白質性材料である香味素材を混合してから所望の温度まで加熱する、油脂のみを加熱して所望の温度に達した後で香味素材を添加し混合物を加熱する、香味素材と油脂を混合しながら所望の温度に加熱することができる。いずれの場合も密閉された状態で攪拌しながら加熱することが望ましい。加熱手段は特に限定されず、例えば油浴や湯煎、その他にも恒温器、バーナー、電気加熱装置、高圧蒸気釜、ジュール加熱装置等を用いて行うことができる。
本発明の製造方法において、加熱温度は25~130℃、好ましくは30~120℃、より好ましくは40~115℃である。加熱温度が25~130℃であれば、本願発明の効果を得ることができる。
本発明の製造方法において、加熱時間は、0.5~190分、好ましくは1~180分、より好ましくは20~150分、さらに好ましくは、30~100分である。加熱時間が0.5~190分であれば、本願発明の効果を得ることができる。
【0014】
本発明の製造方法によって得られた香味油は、冷却後に香味油としてそのまま用いてもよく、固液分離により香味素材由来の固形部を除去し油層のみを回収したものを香味油として用いてもよい。
【0015】
本発明の製造方法は、さらに油脂の融点以上の温度で固液分離して油脂を回収する工程を含んでもよい。固液分離は、たとえば、遠心分離、フィルタープレス、スクリュープレスなどの公知の分離手段を好適に使用することができる。
香味素材由来の固形部を含む香味油に対して、固液分離して油層のみを回収した香味油は、微生物汚染が低減し、長期保存することが容易となる。また、その後のペットフードへの使用も容易になることからより好ましい。
【実施例
【0016】
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0017】
試験例1 油脂と香味素材の比率
油脂として牛脂を、また、香味素材として酵母エキス(イワキ株式会社製、「マキサボーYBペースト」)を使用した。セパラブルフラスコに表1の各原料を入れ、セパラブルカバーとシリコン栓で蓋をすることで、密閉状態とした。その後、攪拌機を使って200rpmの速さで混合しながら加熱攪拌した。加熱はセパラブルフラスコを油浴して行った。配合と加熱温度、加熱時間は表1の通りであった。セパラブルフラスコ内の油脂の温度が120℃に達してから30分間加熱した。その後、遠心分離機を用いて脂質のみを遠心分離して香味油を得た。
得られた香味油について、評価基準表にしたがい10人のパネラーにより官能評価した。なお、油脂と香味素材を混合し加熱しなかった例である表4の比較例5を2点とした。また、下記試験用フードの調製1及び2にしたがって嗜好性試験用フードを作製し、下記嗜好性試験1にしたがってイヌでの嗜好性試験を実施した。結果を表1に示した。

【0018】
(嗜好性試験法)
試験用フードの調製1:ドライタイプペットフードの製造
とうもろこし50質量部、小麦粉16質量部、大豆粕12質量部、チキンミール8質量部、ミートミール7質量部、小麦フスマ5質量部、ミネラル類(炭酸マンガン、炭酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウム、硫酸コバルト)1質量部、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、K3、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、ビオチン)1質量部を十分に混合した後、水20質量部を加えて一軸押出機(ウェンガー社製、X-20型)に供給し、温度140℃で混練してダイスから押し出し、切断した後、水分が8~10質量%になるように120℃で20分間、熱風乾燥機(エスペック社製、PH-202)で乾燥させて、膨化したドライフード粒を製造した。
【0019】
試験用フードの調製2:香味油または牛脂の塗布
試験用フードの調製1で得たドライフード粒95質量部を回転式ドラムミキサーに入れた。ドライフード粒を攪拌しながら、60℃に加熱した油脂5質量部(試験品としてはペット用香味油2質量部と牛脂3質量部、対照品としては牛脂5質量部)を均一に滴下し、嗜好性試験用フードを作製した。
【0020】
嗜好性試験1:イヌでの嗜好性
嗜好性試験には個別の犬舎に収容した10頭の犬を用いた。各々の犬に試験品150gを入れた餌皿と、対照品150gを入れた餌皿を同時に給与して、午後2時から午後4時まで摂餌させる「二者択一」による嗜好性試験を行った。これを2日間実施し、試験期間中に犬が摂取したペットフード総量に対する、試験品の摂取比率(%)を求めた。
(嗜好性の判定)
試験品と対照品の摂食比率の間に有意差があるかどうかを決定するために、スチューデントのt検定を行った。
統計的検定の有意水準は、下記の通りである。
・有意性なし(p≧0.05)
・有意性あり(p<0.05)
【0021】
表1
【0022】
実施例1~4では、比較例1と比べて、高い嗜好性を有した。実施例1では香りの評価が最も高かったが、香味素材の量が多いため油脂回収率が比較的少ない結果となった。嗜好性は実施例2と実施例3で高かったが、油脂回収率は実施例3のほうが多く、経済的には実施例3のほうが好ましかった。
【0023】
試験例2 香味素材自体の嗜好性
実施例4の香味油を使用した場合(実施例5)と、実施例4において使用したのと同じ量の油脂と香味素材を加熱すること無くそのまま試験用フードに直接添加した場合(比較例2)について嗜好性を比較検討した。
上記試験用フードの調製1にしたがってドライフード粒を作製し、油脂5質量部の代わりに表2に示す量の香味油または牛脂と酵母エキスを使用した以外は試験用フードの調製2にしたがって嗜好性試験用フードを作製し、上記嗜好性試験1にしたがってイヌでの嗜好性試験を実施した。結果を表2に示した。
【0024】
表2
【0025】
実施例5では、比較例2に比べて、高い嗜好性を有した。油脂と少量の香味素材を直接ドライフードに添加するよりも、加熱して香味油として添加したほうが、嗜好性は高かった。
【0026】
試験例3 加熱温度の影響
セパラブルフラスコに表3の各原料を入れ、試験例1と同様に、攪拌機を使って200rpmの速さで混合しながら加熱攪拌した。加熱はセパラブルフラスコを油浴して行った。配合と加熱温度、加熱時間は表3の通りであった。セパラブルフラスコ内の油脂の温度が表3の温度に達してから30分間加熱した。その後、遠心分離機を用いて脂質のみを遠心分離して香味油を得た。得られた香味油について、試験例1と同様に官能評価するとともに、上記試験用フードの調製1及び2にしたがって嗜好性試験用フードを作製し、上記嗜好性試験1にしたがってイヌでの嗜好性試験を実施した。結果を表3に示した。
【0027】
表3
実施例6~8及び実施例3では、比較例3、4に比べて、高い嗜好性を有した。90℃で加熱した時が最も嗜好性が高かった。
【0028】
試験例4 加熱時間の影響
セパラブルフラスコに表4の各原料を入れ、試験例1と同様に、攪拌機を使って200rpmの速さで混合しながら、加熱攪拌した。加熱はセパラブルフラスコを油浴して行った。配合と加熱温度、加熱時間は表4の通りであった。セパラブルフラスコ内の油脂の温度が90℃に達してから表4に記載の時間加熱した。その後、遠心分離機を用いて脂質のみを遠心分離して香味油を得た。得られた香味油について、試験例1と同様に官能評価するとともに、上記試験用フードの調製1及び2にしたがって嗜好性試験用フードを作製し、上記嗜好性試験1にしたがってイヌでの嗜好性試験を実施した。結果を表4に示した。
【0029】
表4
実施例9~12では、比較例5,6に比べて嗜好性が高かった。特に実施例10で最も高い嗜好性を有した。
【0030】
試験例5 香味素材の検討
セパラブルフラスコに表5の各原料を入れ、試験例1と同様に、攪拌機を使って200rpmの速さで混合しながら、加熱攪拌した。加熱はセパラブルフラスコを油浴して行った。配合と加熱温度、加熱時間は表5の通りであった。セパラブルフラスコ内の油脂の温度が90℃に達してから表5に記載の時間加熱した。その後、遠心分離機を用いて脂質のみを遠心分離して香味油を得た。得られた香味油について、上記試験用フードの調製1及び2にしたがって嗜好性試験用フードを作製し、上記嗜好性試験1にしたがってイヌでの嗜好性試験を実施した。結果を表5に示した。
【0031】
表5
*鶏内臓を酵素分解したもの(脂質:蛋白質を1:2~7の割合で含み、遊離アミノ酸を5%以上含む)

蛋白質性材料を香味素材とした実施例13~15では、キャベツを香味素材として使用した比較例7に比べて嗜好性が高かった。特に実施例15で最も高い嗜好性を有した。
【0032】
試験例6 油脂の検討
セパラブルフラスコに表6の各原料を入れ、試験例1と同様に、攪拌機を使って200rpmの速さで混合しながら、加熱攪拌した。加熱はセパラブルフラスコを油浴して行った。配合と加熱温度、加熱時間は表6の通りであった。セパラブルフラスコ内の油脂の温度が90℃に達してから表6に記載の時間加熱した。その後、遠心分離機を用いて脂質のみを遠心分離して香味油を得た。得られた香味油について、上記試験用フードの調製1及び2にしたがってペットフードを作製し、上記嗜好性試験1にしたがってイヌでの嗜好性試験を実施した。結果を表6に示した。
表6
*鶏内臓を酵素分解したもの(脂質:蛋白質を1:2~7の割合で含み、遊離アミノ酸を5%以上含む)
【0033】
油脂として牛脂以外の大豆油やコーン油を使用した場合でも嗜好性が高くなることが示された。
【0034】
試験例7 ネコの嗜好性
実施例10,13と比較例5、6と同様の方法で得られた香味油について、上記試験用フードの調製1及び2にしたがって嗜好性試験用フードを作製し、以下の嗜好性試験2にしたがってネコでの嗜好性試験を実施した。なお嗜好性の判定は嗜好性試験1と同様である。結果を表7に示した。
【0035】
嗜好性試験2:ネコでの嗜好性(試験例7)
嗜好性試験には個別の猫舎に収容した10頭の猫を用いた。各々の猫に試験品100gを入れた餌皿と、対照品100gを入れた餌皿を同時に給与して、午後4時から翌朝の午前9時まで自由摂餌させることで、「二者択一」による嗜好性試験を行った。これを2日間実施し、試験期間中に猫が摂取したペットフード総量に対する、試験品の摂取比率(%)を求めた
【0036】
表7
*鶏内臓を酵素分解したもの(脂質:蛋白質を1:2~7の割合で含み、遊離アミノ酸を5%以上含む)
【0037】
ネコにおいてもイヌの場合と同様に、本願所定の加熱時間加熱した実施例18及び19で嗜好性が高い結果となった。