(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】高電力無線周波数の螺旋コイルフィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20240118BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240118BHJP
H01F 17/02 20060101ALI20240118BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240118BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240118BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
H05H1/46 R
H01F17/02
H01F17/04 F
H01F27/28 K
H01F37/00 C
H01F37/00 A
(21)【出願番号】P 2020536177
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 US2018065824
(87)【国際公開番号】W WO2019133302
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン・ショーン・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】モピデビ・ヘマ・スワループ
(72)【発明者】
【氏名】ジャファリアン―テヘラニ・セイド・ジャファー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ニール・マーティン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】オーガスティーノ・ジェーソン
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1522894(KR,B1)
【文献】特開2012-156281(JP,A)
【文献】実開平06-086321(JP,U)
【文献】特開2012-248630(JP,A)
【文献】特開2008-034812(JP,A)
【文献】特開2008-198902(JP,A)
【文献】特開2004-228822(JP,A)
【文献】特表2013-543252(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114232(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 1/00-3/00、5/00-7/13
H05H 1/46
H01F 17/02
H01F 17/04
H01F 27/28
H01F 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
間隔をおいた配置で互いに電気結合された複数の略平面螺旋フィルタであって、各々は、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして隣接する略平面螺旋フィルタに結合され、交互の前記内側同士および前記外側同士の接続は、強め合うように干渉する磁路を形成する、略平面螺旋フィルタを備え、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、連続的な構成で配置され、前記略平面螺旋フィルタの各々は、コイルである前記略平面螺旋フィルタの特定の端から見て同一方向に巻き付けられており、
前記無線周波数フィルタ装置は、さらに、
前記複数の略平面螺旋フィルタと電気的に接続されたソレノイドRFフィルタであって、前記複数の略平面螺旋フィルタの巻き軸の方向は、前記ソレノイドRFフィルタの巻き軸を実質的に横断する、ソレノイドRFフィルタを備え、
前記無線周波数フィルタ装置は、プラズマ型処理システムに結合されるように構成され
ており、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の距離は、前記複数の略平面螺旋フィルタの各々からの対流冷却を向上させるために異なる、無線周波数フィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、実質的に互いに平行に積み重ねられる、無線周波数フィルタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、空芯をさらに備える、無線周波数フィルタ装置。
【請求項4】
請求項2に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、強磁性コア材料をさらに備える、無線周波数フィルタ装置。
【請求項5】
請求項1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、約500ワットから約50キロワットを処理可能な撚線構造を備える、無線周波数フィルタ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、約500オームから約10キロオームのインピーダンス値を提供する、無線周波数フィルタ装置。
【請求項7】
請求項1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、約100kHzから約3MHzの範囲の低周波RF電力を低減させる、無線周波数フィルタ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの少なくとも1つの略平面螺旋フィルタのピッチは、前記螺旋フィルタの全ての部分において径方向に均一である、無線周波数フィルタ装置。
【請求項9】
請求項1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの少なくとも1つの略平面螺旋フィルタのピッチは、前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタのピッチとは異なる、無線周波数フィルタ装置。
【請求項10】
請求項1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの少なくとも1つの前記略平面螺旋フィルタのピッチは、前記螺旋フィルタの一区画から別の区画まで径方向に異なる、無線周波数フィルタ装置。
【請求項11】
システムであって、
プラズマ処理システムの静電チャックに結合された低周波無線周波数(RF)フィルタであって、約100kHzから約3MHzの周波数範囲のRF周波数を実質的にブロックし、間隔をおいた配置で互いに電気結合された複数の略平面螺旋フィルタを有する低周波RFフィルタと、
約3MHzを超えるRF周波数を実質的にブロックするためのソレノイド配置の高周波RFフィルタと、を備え、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして隣接する略平面螺旋フィルタに結合され、交互の前記内側同士および前記外側同士の接続は、強め合うように干渉する磁路を形成し、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、連続的な構成で配置され、前記略平面螺旋フィルタの各々は、コイルである前記略平面螺旋フィルタの特定の端から見て同一方向に巻き付けられており、
前記高周波RFフィルタは、前記低周波RFフィルタと電気的に接続されており、
前記複数の略平面フィルタの巻き軸の方向は、前記高周波RFフィルタの巻き軸を実質的に横断
しており、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の距離は、前記複数の略平面螺旋フィルタの各々からの対流冷却を向上させるために異なる、システム。
【請求項12】
請求項
11に記載のシステムであって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、第1部分および第2部分を含み、前記第1部分から前記第2部分に略平行な曲線を有する実質的に一定のピッチを有し、
前記第1部分は、前記略平面螺旋フィルタを形成する螺旋の一部であり、
前記第2部分は、前記略平面螺旋フィルタを形成する前記螺旋の他の一部である
、システム。
【請求項13】
請求項
11に記載のシステムであって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、第1部分および第2部分を含み、前記第1部分から前記第2部分に異なるピッチを有し、
前記第1部分は、前記略平面螺旋フィルタを形成する螺旋の一部であり、
前記第2部分は、前記略平面螺旋フィルタを形成する前記螺旋の他の一部である、システム。
【請求項14】
請求項
11に記載のシステムであって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各略平面螺旋フィルタのピッチは、アルキメデスの螺旋に近似する、システム。
【請求項15】
請求項
11に記載のシステムであって、
前記低周波RFフィルタおよび前記高周波RFフィルタは、プラズマ型処理システムのRFフィルタ筐体内に設置されるような物理的サイズにされる、システム。
【請求項16】
無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
間隔をおいた配置で互いに平行に電気結合された複数の略平面螺旋フィルタであって、各々は、約500ワットから約50キロワットを処理可能な撚線構造を有する複数の略平面螺旋フィルタを備え、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして隣接する略平面螺旋フィルタに結合され、交互の前記内側同士および前記外側同士の接続は、強め合うように干渉する磁路を形成し、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、連続的な構成で配置され、前記略平面螺旋フィルタの各々は、コイルである前記略平面螺旋フィルタの特定の端から見て同一方向に巻き付けられており、
前記RFフィルタ装置は、さらに、
前記複数の略平面螺旋フィルタと電気的に接続されたソレノイドRFフィルタであって、前記複数の略平面螺旋フィルタの巻き軸の方向は、前記ソレノイドRFフィルタの巻き軸を実質的に横断する、ソレノイドRFフィルタを備え、
前記RFフィルタ装置は、プラズマ型処理システムに結合されるように構成され
ており、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の距離は、前記複数の略平面螺旋フィルタの各々からの対流冷却を向上させるために異なる、RFフィルタ装置。
【請求項17】
請求項
16に記載の無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の磁路の強め合い干渉を増加させるように配置される、RFフィルタ装置。
【請求項18】
請求項
16に記載の無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、空芯設計に基づく、RFフィルタ装置。
【請求項19】
無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
間隔をおいた配置で互いに電気結合された複数の略平面螺旋フィルタであって、各々は、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタに結合され、隣接する略平面螺旋フィルタ同士は、互いに逆方向に巻き付けられ、連続的な構成で配置される複数の略平面螺旋フィルタと、
前記複数の略平面螺旋フィルタと電気的に接続されたソレノイドRFフィルタであって、前記複数の略平面螺旋フィルタの巻き軸の方向は、前記ソレノイドRFフィルタの巻き軸を実質的に横断する、ソレノイドRFフィルタと、を備え、
前記RFフィルタ装置は、プラズマ型処理システムに結合されるように構成され
ており、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の距離は、前記複数の略平面螺旋フィルタの各々からの対流冷却を向上させるために異なる、RFフィルタ装置。
【請求項20】
装置であって、
約100kHzから約3MHzの周波数範囲のRF周波数を、約500ワットから約50キロワットの電力レベルで実質的にブロックするための低周波無線周波数(RF)フィルタであって、空芯装置として配置された複数の略平面螺旋フィルタを有する低周波RFフィルタを備え、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして隣接する略平面螺旋フィルタに結合され、交互の前記内側同士および前記外側同士の接続は、強め合うように干渉する磁路を形成し、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、連続的な構成で配置され、前記略平面螺旋フィルタの各々は、コイルである前記略平面螺旋フィルタの特定の端から見て同一方向に巻き付けられており、
前記装置は、さらに、
前記複数の略平面螺旋フィルタと電気的に接続されたソレノイドRFフィルタであって、前記複数の略平面螺旋フィルタの巻き軸の方向は、前記ソレノイドRFフィルタの巻き軸を実質的に横断する、ソレノイドRFフィルタを備え、
前記装置は、プラズマ型処理システムに結合されるように構成され
ており、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の距離は、前記複数の略平面螺旋フィルタの各々からの対流冷却を向上させるために異なる、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張:
本願は、2017年12月29日出願の米国特許仮出願第62/612,015号の優先権の利益を主張する、2018年3月22日出願の米国特許仮出願第15/933,213号の優先権の利益を主張する。それらの各々は、その全てが参照により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書に開示の主題は、プラズマ処理システムにおいて高電力無線周波数(RF)信号をブロックするためのコイルに関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、低RF周波数で用いられるコイルは、インダクタコイルの長さおよび体積を低減するため強磁性コアを採用する。しかし、当業者は、強磁性材料が周波数依存の電気的、磁気的、および熱的特性を有することを認識する。さらに、これらの強磁性コアを用いて設計されたコイルは、厳密な技術指標が盛り込まれない限り、不十分な性能再現性を提供することが示されている。これらの厳密な指標は、コイル製造のコストを上昇させる。また、必要に応じてカスタム加工された強磁性構造は、製造コストをさらに上昇させる。強磁性コアを備えるコイルの代替として、より大きい空芯コアを備えるコイルが用いられうる。しかし、空芯コイルは、通常、強磁性コア型の同等物よりずっと大きい。よって、空芯コイルは、従来、空間的制約が問題とならない状況でのみ用いられうる。
【0004】
次世代エッチングツールだけでなく他のプロセスツールの要件は、同世代エッチングツールとほぼ同じ形状因子における付加的な性能特性を要求している。よって、従来の空芯コイルは、一般に、それらの物理的サイズの増加を理由に正当化されることはできない。従って、高電力利用にも適した、RF周波数コイルのための小型ソリューションが望ましい。本欄に記載の情報は、以下に開示の主題の内容を当業者に提供するためであり、認められた先行技術と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】静電チャック(ESC)を備える基板支持アセンブリを含みうるプラズマ型処理チャンバの簡易例。
【0006】
【
図2】
図1のプラズマ型処理システムのいくつかの部品を示す3次元(3D)表現の例。
【0007】
【
図3】開示の主題の様々な実施形態による4つの積層螺旋RFフィルタの3D表現の例。
【0008】
【
図4】
図3の例による積層螺旋RFフィルタおよび従来のソレノイドRFフィルタの使用を示すフィルタモデルの断面の3D表現例。
【0009】
【
図5】
図4のフィルタモデルによる、正規化周波数の関数としての二重周波数RFフィルタの正規化振幅インピーダンス応答グラフの例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここでは、開示の主題は、添付の図面のうちの様々な図面に示されるいくつかの一般的かつ特定の実施形態を参照して詳細に説明される。以下の説明では、開示の主題について十分な理解を提供するために多くの特定の詳細が記載される。しかし、当業者には、開示の主題がこれらの特定の詳細の一部または全てなしで実行されてよいことは明らかだろう。他の例では、周知のプロセス工程または構造は、開示の主題を曖昧にしないように詳細には説明されていない。
【0011】
本明細書に含まれる開示の主題は、RFブロックフィルタ(あるいは、本明細書ではRFフィルタ)として機能する高電力(例えば、約500Wから約50kW)インダクタコイルについて説明する。RFフィルタは、対象の周波数で高インピーダンスをソース側に示す。従って、RFフィルタは、負荷側から見ると優秀な減衰器である。一般に、対象の周波数でこれらの目的を達成するためには、より大きい直径のインダクタ、またはより巻数の多いインダクタが用いられる。比較的小型のサイズを維持するために、本明細書に記載のRFフィルタは、1つ以上の積層の、実質的に平坦なコイルを備える。実施形態では、RFフィルタは、主に、処理の間に様々な基板種を扱う静電チャック(ESC)のヒータに電力を供給するAC回路にRFが入るのを防ぐために用いられる。当業者に理解されるように、ESCヒータは、最終的に基板上に優れた均一性およびエッチング速度をもたらすプロセスの温度プロファイルを維持するために重要な制御を提供する。
【0012】
従来から、低RF周波数で用いられるコイルは、強磁性コア(ニッケル亜鉛フェライト(NiZn)、マンガン亜鉛フェライト(MnZn)、マグネシウム亜鉛フェライト(MgZn)、ニッケルマグネシウムフェライト(NiMg)、棒鋼、鉄粉などの1つ以上のフェライトを含む)に依存する。強磁性コアは、インダクタコイルの長さおよび物理的サイズを低減する。強磁性材料が、周波数依存の電気的、磁気的、および熱的特性を有し、厳密な技術指標が盛り込まれない限り、不十分な再現性能を提供することを示すことは周知である。これらの指標は、材料費を上昇させることが多い。また、カスタム加工された強磁性構造は、製造費を上昇させる傾向がある。
【0013】
代わりに、より大きい空芯コイルが設計されうるが、空芯コイルのサイズは、空芯コイルと同じインダクタンス値を有する強磁性コアを備える同等コイルよりかなり大きくなりうる。従って、空芯コイルは、通常、空間的制約がある(例えば、コイルが処理システムに近接して設置された既存の筐体に収まらなければならない)ときには用いられない。
【0014】
本明細書に開示のRFフィルタは、あらゆる種類の強磁性コアを用いてまたは用いずに構成されてよいため、空芯のみで形成されうる。しかし、RFフィルタは、既存のプラズマ処理システムにおけるRFフィルタ筐体の空間的制約に順応するようにも形成されうる。次世代エッチングツール要件は、同世代プラズマ処理ツールのほぼ同じ適合した機能の使用において付加的な性能特性に対して求められる。よって、従来の空芯のサイズの増加は、一般に正当化されえない。従って、小型の形状因子を有するRFフィルタにおいて特定のインダクタンスレベルが特定されるソリューションが望ましいが、同時に、RFフィルタは、高電力(例えば、約500Wから約50kW)利用にも適していなければならない。
【0015】
よって、高電力利用で用いられうる小型の形状因子を有するRFフィルタを設計するための方法および技術を含む様々な実施形態が以下に詳細に説明される。さらに、開示の主題は、開示の主題の実施形態を実行するための装置についても説明する。開示の主題の1つ以上の実施形態は、プラズマ型処理システム内で生成される無線周波数(RF)電力をフィルタリングするためのフィルタに関する。RF電力は、例えば、少なくともプラズマ型処理システムの静電チャック(ESC)から伝送されてよい。プラズマ型処理システムは、ESCの第1部分に配置された第1加熱素子と、ESCの第2部分に配置された第2加熱素子とを含んでよい。プラズマ型処理システムは、さらに、加熱素子に給電するための電源(交流(AC)電源など)を含んでよい。RFフィルタは、RF電力をフィルタリングする、または、RF電力が一方向に伝送されるのを妨げてよく(それにより、電磁適合性(EMC)不足、干渉問題、および/または電力損失問題を最小限に抑え)、AC電力(50Hzまたは60Hz)が加熱素子に対して別方向に伝送されることを可能にしてよい。よって、RFフィルタは、RF電力がプラズマ型処理システムの特定の部品に不適切に向けられる、または伝送されることによって生じうるEMC不足、干渉問題、および電力損失問題を解消または軽減してよい。
【0016】
ここで
図1を参照すると、プラズマ型処理チャンバの簡易例が示されている。
図1は、シャワーヘッド電極103および基板支持アセンブリ107Aが配置されているプラズマ型処理チャンバ101Aを含むことが示されている。通常、基板支持アセンブリ107Aは、略等温の表面を提供し、基板105のための加熱素子およびヒートシンクの両方として機能してよい。基板支持アセンブリ107Aは、上記のように、基板105の処理を支援するために加熱素子が含まれるESCを備えてよい。当業者に理解されるように、基板105は、基本的な半導体(例えば、シリコンまたはゲルマニウム)を含むウエハ、複合素子(例えば、砒化ガリウム(GaAs)または窒化ガリウム(GaN))を含むウエハ、または、当技術分野で周知の様々な他の基板種(伝導性、半導電性、および非導電性の基板)であってよい。
【0017】
動作中に、基板105は、ロードポート109によって基板支持アセンブリ107Aの上に搭載される。ガスライン113は、1つ以上のプロセスガスをシャワーヘッド電極103に供給する。次に、シャワーヘッド電極103は、1つ以上のプロセスガスをプラズマ型処理チャンバ101Aに配送する。1つ以上のプロセスガスを供給するためのガス源111は、ガスライン113に結合されている。RF電源115は、シャワーヘッド電極103に結合されている。
【0018】
動作中に、プラズマ型処理チャンバ101Aは、真空ポンプ117によって排気される。RF電力は、シャワーヘッド電極103と、基板支持アセンブリ107Aの内部または上に含まれる下部電極(図示せず)との間に容量結合される。基板支持アセンブリ107Aは、通常、2つ以上のRF周波数が供給される。例えば、様々な実施形態では、RF周波数は、約1MHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz、および他の所望の周波数のうちの少なくとも1つの周波数から選択されてよい。しかし、本明細書に記載の開示を読み理解すると、当業者は、特定のRF周波数をブロックする、または部分的にブロックするために必要なコイルが必要に応じて設計されうることを認識するだろう。よって、本明細書に記載の特定の周波数は、単に理解を容易にするために提供されている。RF電力は、基板105とシャワーヘッド電極103との間の空間で1つ以上のプロセスガスをプラズマに励起するために用いられる。関連技術では周知のように、プラズマは、基板105の上に様々な層(図示せず)を堆積させるのを支援しうる。他の用途では、プラズマは、基板105の上の様々な層にデバイスフィーチャをエッチングするために用いられうる。上記のように、基板支持アセンブリ107Aは、その中に組み込まれたヒータ(図示せず)を有してよい。当業者は、プラズマ型処理チャンバ101Aの詳細な設計が変化に富んでよい一方で、RF電力は、少なくとも基板支持アセンブリ107Aによって結合されることを認識するだろう。
【0019】
次に
図2を参照すると、
図1のプラズマ型処理システムのいくつかの部品を示す3次元(3D)表現が示されている。
図1のプラズマ型処理チャンバ101Aのチャンバ部分101Bは、RFフィルタ筐体201、交流(AC)コネクタ203、電力ケーブル205、およびRF給電ケーブル207を含むことが示されている。
図1の基板支持アセンブリ107Aの最上部分107Bも示されている。上記のように、基板支持アセンブリ107Aは、ESCを含んでよい。
【0020】
様々な実施形態では、ESCは、基板支持アセンブリ107Aの最上部分107Bの2領域において調整可能な温度制御能力を有する調整可能ESC(TESC)であってよい。ESCの温度調整能力は、基板105に近接して、ESCの最上部分の下に埋設された2つの電気加熱素子(
図1の基板支持アセンブリ107Aにおける破線部分)を実装することによって達成されてよい。2領域TESCの場合では、2領域のそれぞれに1つの電気加熱素子が実装される。
【0021】
電気加熱素子は、交流(AC)電源(図示せず)によってACコネクタ203からRFフィルタ筐体201および電力ケーブル205を通って供給されるACによって給電されてよい。RFフィルタ筐体201は、RF電力が電気加熱素子に配送されることを防ぐ、または低減するために、RFフィルタ(
図2には示されていないが、
図3および
図4を参照して以下に詳細に説明される)も含む。各電気加熱素子の温度は、当技術分野では周知の技術によって制御されてよい。
【0022】
図1および
図2を共に参照すると、プラズマ型処理チャンバ101Aの動作中に、RF電力は、RF給電ケーブル207(
図1では図示せず)を通じて基板支持アセンブリ107A(ESC)に、および、RF電源115からシャワーヘッド電極103に供給される。よって、ESCは、下部電極として機能する。等電位磁力線は、基板105の上で基板105とシャワーヘッド電極103との間に設定される。プラズマ処理の間に、陽イオンは、基板105の表面に衝突するために等電位磁力線を横切って加速することで、エッチング指向性の向上などの所望のエッチング効果を提供する(当業者は、エッチングに対して成膜に必要なあらゆる適した改質を認識するだろう)。
【0023】
次に
図3を参照すると、4つの積層螺旋RFフィルタ300の3D表現が示されている。Z軸は、連続する螺旋間の接続部を示すために誇張されている。
図3は、第1螺旋RFフィルタ301A、第2螺旋RFフィルタ301B、第3螺旋RFフィルタ301C、および第4螺旋RFフィルタ301Dを含むことが示されている。各螺旋RFフィルタは、略平面であり、続くRFフィルタに略平行である。例えば、一実施形態では、「略平面」および「略平行」は、螺旋RFフィルタ内およびフィルタ間の素子が、それぞれ互いに約0°から約5°の範囲であることを意味すると解釈されてよい。様々な実施形態では、「略平面」および「略平行」は、螺旋RFフィルタ内およびフィルタ間の素子が、それぞれ互いに約0°から約10°の範囲であることを意味すると解釈されてよい。様々な実施形態では、「略平面」および「略平行」は、螺旋RFフィルタ内およびフィルタ間の素子が、それぞれ互いに約0°から約30°の範囲であることを意味すると解釈されてよい。本明細書に記載の開示に基づいて、当業者は、「略平面」および「略平行」の用語の適切な意味を認識するだろう。さらに、当業者は、本明細書に記載の開示を読み理解すると、一定の状況および設計パラメータに適した合計インピーダンス値に応じて、より多くの螺旋RFフィルタまたはより少ない螺旋RFフィルタが用いられてよいことを認識するだろう。
【0024】
以下により詳細に説明されるように、螺旋RFフィルタ301A~301Dは、各々、螺旋の内縁または螺旋の外縁のいずれかにおいて、次に続く螺旋RFフィルタに交互に結合される。例えば、第1螺旋RFフィルタ301Aは、内縁303Aにおいて第2螺旋RFフィルタ301Bに接続され、第2螺旋RFフィルタ301Bは、外縁303Bにおいて第3螺旋RFフィルタ301Cに接続され、第3螺旋RFフィルタ301Cは、内縁303Cにおいて第4螺旋RFフィルタ301Dに接続されている。従って、4つの積層螺旋RFフィルタ300は、互いの上に積み重ねられている。以下により詳細に説明されるように、この配置は、低周波RF電力をブロックするのに十分なインダクタンスも提供する小型ソリューションを提供する。
【0025】
引き続き
図3を参照すると、交互の内側同士および外側同士の接続部303A~303Cは、強め合うように干渉する磁路を提供するように機能することで、コイルの合計インダクタンスを増加させる。本明細書では、コイルは、螺旋RFフィルタと同じであると考えられてよい。
図3の接続部303A~303Cに示された配置が用いられない場合は、結果として得られる構成は、磁場の少なくとも一部を打ち消すことで、渦電流損失を増加させ、コイルの合計インダクタンスを低減させる可能性がある。しかし、様々な実施形態では、明確に図示されていなくても当業者には容易に理解可能であるが、コイル間の強め合い干渉は、螺旋の交互層のみを同一方向(例えば、時計回りまたは反時計回り)に巻くことによって実現されてよい。よって、螺旋の隣接する層は、互いから反対方向に巻き付けられる。螺旋は、次に、例えば、第1コイルの内側端子から次のコイルの外側端子に接続される。概して、螺旋RFフィルタの数は、動作周波数に基づいて設計されうる。
【0026】
様々な実施形態では、様々な螺旋RFフィルタは、それぞれ、異なる形態を取ってよい。例えば、螺旋は、螺旋の一部から螺旋の隣接部分までのピッチが実質的に一定になる(例えば、実質的に平行な曲線を有する)ように巻き付けられてよい。他の実施形態では、螺旋は、螺旋の一部から螺旋の隣接部分までのピッチが異なる(例えば、増加する、減少する、またはその任意の組み合わせ)ように巻き付けられてよい。さらに他の実施形態では、連続する螺旋のピッチにおける他の形状変化(例えば、アルキメデスの螺旋の近似)が考えられてよい。
【0027】
また、様々な実施形態では、隣接する個々の螺旋RFフィルタ間のZ間隔(例えば、
図3参照)は、積層螺旋RFフィルタの合計インダクタンス値を変更するように調節されてよい。所望の電気的特性を備えるRFフィルタを設計するために間隔を変更することに加えて、間隔は、例えば、冷却要件などの物理的パラメータに対応するように調節されうる。隣接する螺旋RFフィルタ間に広い間隔を有すること、または、螺旋RFフィルタ内の一コイル部分から別のコイル部分までに広いピッチを有することは、(例えば、対流冷却を向上させるために受動空気または強制空気がコイルを超えて移動されることによって)冷却の向上を可能にしてよい。
【0028】
本明細書に記載の開示を読み理解すると、当業者は、ワイヤのゲージ、およびワイヤが形成される材料が、電気的パラメータの特定のセット(電圧、電流、およびそれにより螺旋RFフィルタ内で搬送される総電力など)のために選択されうることを認識するだろう。例えば、14ゲージの凝集体サイズの銅線は、15アンペアの電流を適切に扱うことができるが、10ゲージ(凝集体サイズ)の電線は、30アンペアの電流が必要であり、6ゲージ(凝集体サイズ)の電線は、50アンペアの電流が必要であってよい。また、螺旋ごとの電線数(例えば、撚線構造技術)は、特定のフィルタの設計について異なりうる。かかる撚線構造技術は、当技術分野では周知である。
【0029】
様々な実施形態では、個々の電線は、それぞれ、電線に形成された被膜などの絶縁材で被覆されてよい。かかる被膜は、当技術分野では周知である。
【0030】
本明細書に記載の開示を読み理解すると、当業者は、特定の形状因子(全体の物理的サイズまたはアスペクト比)について、プラズマ型処理システム内の電力レベル、システムによって用いられる周波数、上記の様々な変数(サイズ、ピッチ、材料など)が所望の設計のために変更されうることを認識するだろう。
【0031】
従って、RFフィルタの様々な実施形態は、電気加熱素子に給電するためのAC電力を伝送してよい。RFフィルタは、上述のEMC不足問題、干渉問題、および電力損失問題を軽減する、または最小限にするため、RF電力がESCからプラズマ型処理チャンバ101A(
図1参照)の外側の他の部品に伝送されるのを最小限にしてもよい、またはブロックしてもよい。
【0032】
開示の主題は、当技術分野では周知の、非螺旋(すなわち、従来型)ソレノイドなどの様々な技術に対する大きな改善である。しかし、これらの技術は、以前は小型形成因子として高電力領域における高電力プラズマ処理システムに適用されてこなかった。さらに、当技術分野で用いられた様々な形態のコイルは、交互の内側同士および外側同士の接続部303A~303Cが本明細書に記載の強め合うように干渉する磁路を提供することを認めなかった。従って、1つの平面コイルの内側部分(例えば、接続点)は、隣接するコイルの内側部分に接続され、次のコイルの外側部分は、次の平面コイルの外側部分に接続される。よって、各平面コイルは、コイルの特定の端から見て同一方向に巻き付けられる(例えば、全てが時計回りに、または全てが反時計回りに巻き付けられる)。概して、極めて高いインダクタンス量は、比較的小容積で実現可能である。
【0033】
次に
図4を参照すると、
図3の例に従って積層螺旋RFフィルタを用いるフィルタモデル400の断面3D表現の例が示されている。
図4に示されるフィルタモデル400は、かかるコイルの力を借りて、高周波RF信号(例えば、約4MHzから約100MHz)RF電力および低周波RF信号(例えば、100kHzから約3MHz)RF電力の両方をフィルタリングする能力を有する。フィルタモデル400は、第1フィルタ筐体容積410、第2フィルタ筐体容積420、および第1筐体容積410と第2筐体容積420(すなわち、それぞれ低周波および高周波)との間に設置された間仕切壁401を含むことが示されている。第1フィルタ筐体容積410は、その中に積層螺旋RFフィルタ403を有する。積層螺旋RFフィルタ403は、
図3および上記の付随する説明に従って「n」層の積層螺旋コイル(nは「1」以上の整数)を有する。第2フィルタ筐体容積420は、その中に従来型RFフィルタ(例えば、ソレノイド)405を有する。
【0034】
図5は、
図4のフィルタモデルによる二重周波数RFフィルタの正規化振幅インピーダンス応答グラフ500の例を示す。縦軸のインピーダンスの正規化振幅は、横軸の正規化周波数の関数として示されている。正規化振幅インピーダンス応答グラフ500は、低周波部品応答曲線部分501のインピーダンス、および高周波部品応答曲線部分503のインピーダンスを、共に正規化周波数の関数として示す。正規化振幅インピーダンス応答グラフ500は、
図4の例に示される特定の筐体の適合機能要件を維持しながら、両方の周波数で極めて好ましいRF排除性能を示す。
【0035】
上述のように、正規化振幅インピーダンス応答グラフ500の縦軸および横軸は、それぞれ、インピーダンスおよび周波数に関して正規化される。特定の実施形態例では、インピーダンスの振幅は、RFフィルタの実際の実装に応じて約500オームから約10kオームの範囲でありうる。
【0036】
上述の多チャンネル動作用のRFフィルタを設計するための別の因子もまた、撚線技術の特定の実施形態に依存する。撚線技術の実施形態は、チャンネル間のインダクタンス振幅の平衡を保つ際に考慮すべき因子でありうる。上記
図3を参照して示され説明された積層螺旋RFフィルタに関して、チャンネル間の良好な相互インダクタンスを得ることで、コイルインダクタンスは、平行に電気結合されたいくつかの別々のチャンネルではなく、1つの巻きと見なされうる。良好な相互インダクタンスは、望ましくない寄生共振を低減するまたは最小限にすることもできる。寄生共振は、プラズマまたは高調波/相互変調歪み(IMD)発生システムにおいてRFフィルタの効果を低減させうる、または問題にしうる。
【0037】
概して、開示の主題は、同世代のRFフィルタ設計に対して多くの利点を有する。その利点は、例えば、(1)強磁性材料コアに依存する必要がないため、1つの製造単位から次へのより優れた再現性と共に、コア飽和問題を解消または低減することと、(2)特定の設計では、1つ以上の強磁性材料の組み合わせが実施されうることと、(3)(空芯設計として実装された場合でも)高電力ソリューションと結合されてもコンパクトな設計(例えば、既存のRFフィルタ筐体に適合する小型形状因子)であることと、(4)空芯設計は、螺旋の電線の抵抗加熱から熱を低減または除去するために空気冷却による効率的な対流熱伝達を可能にすることと、を含む。
【0038】
従って、互いの上に積み重ねられた螺旋(例えば、略平面螺旋)は、低周波RF電力をブロックするのに十分なインダクタンスも提供する小型ソリューションである。螺旋は、内側同士から交互に接続されて(
図3参照)、上述の螺旋の合計インダクタンスを増加させ強め合うように干渉する磁路を提供する。螺旋層の数は、動作周波数に基づいて設計されうる。螺旋RFフィルタ構造のアスペクト比は、特定の物理的および電気的考慮から適宜に設計されうる。本明細書に記載されるように、RFフィルタの設計は、例えば、電力処理能力、電線電流処理能力、動作周波数、許容RF寄生効果、高電圧指標、および放熱要件を含む多くの因子に依存する。このRFフィルタの設計は、起点となるソレノイドコイル設計について周知の標準方法を用いてよいが、RFフィルタはカスタム設計のため、標準方法に従う必要はない。そのため、本明細書に記載のRFフィルタは、半導体資本設備のRFサブシステム開発で用いられてよく、本明細書に記載の周波数指標、機械的指標、適合機能指標、および高電圧指標の複合セットに従ってよい。さらに、本明細書に記載のRFフィルタは、NiZn、MnZn、MgZn、NiMg、棒鋼、鉄粉、および当技術分野で周知の他の材料、または特定の設計のためのこれらの組み合わせのフェライトを含む強磁性材料と併せて用いられることもできる。
【0039】
よって、上記説明は、開示の主題を具現化する説明用の例、装置、システム、および方法を含む。記載には、説明の目的で、開示の主題の様々な実施形態の理解を提供するために多くの特定の詳細が記載された。しかし、当業者には、主題の様々な実施形態がこれらの特定の詳細なしで実行されてよいことは明らかだろう。さらに、様々な記載の実施形態を曖昧にしないように、周知の構造、材料、および技術は、詳細には示されていない。
【0040】
本明細書では、「または」という用語は、包含的または排他的な意味で解釈されてよい。さらに、他の実施形態は、当業者が記載の開示を読み理解することによって理解されるだろう。さらに、本明細書に記載の開示を読み理解すると、当業者は、本明細書に記載の技術および例の様々な組み合わせが全て様々な組み合わせで適用されてよいことを容易に理解するだろう。
【0041】
様々な実施形態が個別に説明されているが、これらの個別の実施形態は、独立した技術または設計と見なされることを意図していない。上記のように、様々な部分は、それぞれ、相互に関係し合い、本明細書に記載の他の粒子状物質センサ較正システムの実施形態と別々にまたは併せて用いられてよい。
【0042】
従って、本明細書に記載の開示を読み理解すると当業者には明らかになるように、多くの修正および変更が行われうる。本明細書に挙げられた方法および装置に加えて、本開示の範囲内で機能的に同等な方法および装置は、当業者には前述から明らかになるだろう。いくつかの実施形態の要点および特徴は、他の要点および特徴に含まれてよい、または置き換えられてよい。かかる修正および変更は、添付の特許請求の範囲に該当することが意図される。よって、本開示は、添付の特許請求の範囲と共に、かかる特許請求の範囲の権利を有する同等物の全範囲の用語によってのみ限定される。本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためだけであり、限定する意図はないことも理解されたい。
【0043】
本開示の要約は、読者が技術的開示の本質を素早く確かめることができるように記載されている。要約は、特許請求の範囲を説明または限定するために用いられないという理解で提出されている。また、前述の発明を実施するための形態では、本開示を合理化するために、様々な特徴が1つの実施形態においてグループ化されてよいことがわかるだろう。この開示方法は、特許請求の範囲を限定していると解釈されるべきでない。よって、以下の特許請求の範囲は、これにより発明を実施するための形態に組み込まれ、各形態は、別々の実施形態として独立している。例えば本開示は、以下の形態で実現できる。
[形態1]
無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
間隔をおいた配置で互いに電気結合された複数の略平面螺旋フィルタであって、各々は、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして隣接する略平面螺旋フィルタに結合され、連続的な構成で配置される複数の略平面螺旋フィルタを備える、無線周波数フィルタ装置。
[形態2]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、実質的に互いに平行に積み重ねられる、無線周波数フィルタ装置。
[形態3]
形態2に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、空芯をさらに備える、無線周波数フィルタ装置。
[形態4]
形態2に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、強磁性コア材料をさらに備える、無線周波数フィルタ装置。
[形態5]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、約500ワットから約50キロワットを処理可能な撚線構造を備える、無線周波数フィルタ装置。
[形態6]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、約500オームから約10キロオームのインピーダンス値を提供する、無線周波数フィルタ装置。
[形態7]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタは、約100kHzから約3MHzの範囲の低周波RF電力を低減させる、無線周波数フィルタ装置。
[形態8]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の距離は、実質的に等しい、無線周波数フィルタ装置。
[形態9]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の距離は、異なる、無線周波数フィルタ装置。
[形態10]
形態9に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の前記距離は、前記複数の略平面螺旋フィルタの各々からの対流冷却を向上させるために異なる、無線周波数フィルタ装置。
[形態11]
形態9に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する前記略平面螺旋フィルタ間の前記距離は、前記RFフィルタ装置の合計インピーダンス値を変更するために異なる、無線周波数フィルタ装置。
[形態12]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの少なくとも1つの略平面螺旋フィルタのピッチは、前記螺旋フィルタの全ての部分において径方向に均一である、無線周波数フィルタ装置。
[形態13]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの少なくとも1つの略平面螺旋フィルタのピッチは、前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタのピッチとは異なる、無線周波数フィルタ装置。
[形態14]
形態1に記載の無線周波数フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの少なくとも1つの前記略平面螺旋フィルタのピッチは、前記螺旋フィルタの一区画から別の区画まで径方向に異なる、無線周波数フィルタ装置。
[形態15]
システムであって、
プラズマ処理システムの静電チャックに結合された低周波無線周波数(RF)フィルタであって、約100kHzから約3MHzの周波数範囲のRF周波数を実質的にブロックし、間隔をおいた配置で互いに電気結合された複数の略平面螺旋フィルタを有する低周波RFフィルタと、
約3MHzを超えるRF周波数を実質的にブロックするためのソレノイド配置の高周波RFフィルタと、
を備える、システム。
[形態16]
形態15に記載のシステムであって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタに結合される、システム。
[形態17]
形態15に記載のシステムであって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、第1部分および第2部分を含み、前記第1部分から前記第2部分に略平行な曲線を有する実質的に一定のピッチを有する、システム。
[形態18]
形態15に記載のシステムであって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、第1部分および第2部分を含み、前記第1部分から前記第2部分に異なるピッチを有する、システム。
[形態19]
形態15に記載のシステムであって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各略平面螺旋フィルタのピッチは、アルキメデスの螺旋に近似する、システム。
[形態20]
形態15に記載のシステムであって、
前記低周波RFフィルタおよび前記高周波RFフィルタは、プラズマ型処理システムのRFフィルタ筐体内に設置されるような物理的サイズにされる、システム。
[形態21]
無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
間隔をおいた配置で互いに平行に電気結合された複数の略平面螺旋フィルタであって、各々は、約500ワットから約50キロワットを処理可能な撚線構造を有する複数の略平面螺旋フィルタを備える、RFフィルタ装置。
[形態22]
形態21に記載の無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、前記複数の略平面螺旋フィルタの連続する略平面螺旋フィルタの配置に基づいて、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタに結合される、RFフィルタ装置。
[形態23]
形態21に記載の無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタ間の磁路の強め合い干渉を増加させるように配置される、RFフィルタ装置。
[形態24]
形態21に記載の無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
前記複数の略平面螺旋フィルタの各々は、空芯設計に基づく、RFフィルタ装置。
[形態25]
無線周波数(RF)フィルタ装置であって、
間隔をおいた配置で互いに電気結合された複数の略平面螺旋フィルタであって、各々は、内側同士の電気的接続または外側同士の電気的接続のいずれかとして前記複数の略平面螺旋フィルタの隣接する略平面螺旋フィルタに結合され、隣接する略平面螺旋フィルタ同士は、互いに逆方向に巻き付けられ、連続的な構成で配置される複数の略平面螺旋フィルタを備える、RFフィルタ装置。
[形態26]
装置であって、
約100kHzから約3MHzの周波数範囲のRF周波数を、約500ワットから約50キロワットの電力レベルで実質的にブロックするための低周波無線周波数(RF)フィルタであって、空芯装置として配置された複数の略平面螺旋フィルタを有する低周波RFフィルタを備える、装置。