(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】オゾン水デリバリシステム及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/78 20230101AFI20240118BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20240118BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20240118BHJP
B01F 23/23 20220101ALI20240118BHJP
B01F 25/42 20220101ALI20240118BHJP
B01F 35/21 20220101ALI20240118BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20240118BHJP
C01B 13/10 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
C02F1/78
C02F1/50 531R
C02F1/50 540B
C02F1/50 550C
C02F1/50 550L
C02F1/50 560Z
B01F21/00
B01F23/23
B01F25/42
B01F35/21
B01F35/221
C01B13/10 D
(21)【出願番号】P 2021510328
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 US2019048411
(87)【国際公開番号】W WO2020046994
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-05-24
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508240030
【氏名又は名称】エムケーエス インストゥルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ザイヴェルト,ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】レ ティク,クリスティアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブラマー,ウルリヒ
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-037695(JP,A)
【文献】特開2006-055719(JP,A)
【文献】特開2008-066460(JP,A)
【文献】特開2001-129376(JP,A)
【文献】特表2003-512736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0021634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/70-1/78
C02F1/50
C01B13/00-13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの接触装置と、
超純水を供給するように構成される少なくとも1つの超純水源と、
前記少なくとも1つの超純水源に連結される少なくとも1つの超純水導路と、
前記少なくとも1つの超純水導路に連結される少なくとも1つの気体導路と、
前記少なくとも1つの超純水導路及び前記少なくとも1つの気体導路を前記少なくとも1つの接触装置の第1の側に接続する少なくとも1つの溶液導路と、
前記少なくとも1つの接触装置の第2の側に接続する少なくとも1つの混合気体導路と、
前記超純水と反応して少なくとも1つの反応溶液を形成する少なくとも1つの気体とオゾンとを含む混合気体を供給するように構成される単一の気体源であって、前記少なくとも1つの気体を前記少なくとも1つの気体導路を介して前記少なくとも1つの超純水導路からの前記超純水と反応させて前記少なくとも1つの反応溶液を形成して前記少なくとも1つの反応溶液を前記少なくとも1つの溶液導路を介して前記少なくとも1つの接触装置の前記第1の側に供給するとともに、前記混合気体を前記少なくとも1つの混合気体導路を介して前記少なくとも1つの接触装置の前記第2の側に供給する単一の気体源と、
前記少なくとも1つの接触装置と接続され
、前記少なくとも1つの接触装置からオゾン水を出力する少なくとも1つのオゾン
水導路と
、
前記少なくとも1つのオゾン水導路に配置され、前記オゾン水中のオゾン濃度を測定するように構成されるセンサと、
前記センサにより経時的に測定される前記オゾン濃度から前記オゾン水におけるオゾン崩壊速度を算出し、前記算出されたオゾン崩壊速度に基づいて前記少なくとも1つの気体の供給量を制御するプロセッサと
を備える、オゾン水デリバリシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの接触装置は、少なくとも1つの充填カラム接触装置を含む、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの接触装置は、塔充填物を内部に含む少なくとも1つの充填カラム接触装置を含む、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの接触装置は、少なくとも1つの膜モジュールを内部に含む少なくとも1つのメンブレン接触装置を含む、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの反応溶液を形成する少なくとも1つの気体は、二酸化炭素であり、前記少なくとも1つの反応溶液は、二酸化炭素水溶液である、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項6】
前記単一の気体源は、0.01SLPMから0.5SLPMの流量で前記少なくとも1つの気体導路に前記二酸化炭素を流すように構成される、請求項5に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項7】
前記単一の気体源は、0.05SLPMから0.3SLPMの流量で前記少なくとも1つの気体導路に前記二酸化炭素を流すように構成される、請求項5に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項8】
前記単一の気体源は、0.1SLPMから0.2SLPMの流量で前記少なくとも1つの気体導路に前記二酸化炭素を流すように構成される、請求項5に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項9】
前記単一の気体源は、一定の気体流量で前記少なくとも1つの気体導路に前記二酸化炭素を流すように構成される、請求項5に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項10】
前記単一の気体源は、可変の気体流量で前記少なくとも1つの気体導路に前記二酸化炭素を流すように構成される、請求項5に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項11】
前記混合気体は、酸素、オゾン、及び二酸化炭素を含む、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項12】
前記混合気体は、窒素、二酸化窒素、及び二酸化二窒素からなる群から選択される少なくとも1つの気体を含む、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項13】
前記単一の気体源、前記少なくとも1つの超純水源、前記少なくとも1つの超純水導路、前記少なくとも1つの溶液導路、前記少なくとも1つの混合気体導路、前記少なくとも1つのオゾン
水導路、及び前記少なくとも1つの気体導路のうち少なくとも1つに配置されたプロセッサ、バルブ、質量流量コントローラ、流量センサ、ゲージ、インジケータ、流体絞り、及びセンサのうち少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項14】
前記接触装置に形成され、前記少なくとも1つの溶液導路を介して前記少なくとも1つの超純水源と接続される少なくとも1つの超純水流入口と、
前記接触装置に形成され、前記少なくとも1つの混合気体導路を介して前記
単一の気体源と接続される少なくとも1つの混合気体流入口と
をさらに備える、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの混合気体流入口は、前記少なくとも1つの超純水流入口から離れた位置にある、請求項14に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのオゾン
水導路は、毎分0.2リットルから毎分70リットルの流量で
前記オゾン水を出力するように構成される、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのオゾン
水導路は、毎分3リットルから毎分40リットルの流量で
前記オゾン水を出力するように構成される、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのオゾン
水導路は、毎分2リットルから毎分20リットルの流量で
前記オゾン水を出力するように構成される、請求項1に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項19】
第1の接触装置と、
超純水を前記第1の接触装置に供給するように構成される少なくとも1つの超純水源と、
前記少なくとも1つの超純水源及び前記第1の接触装置に連結される少なくとも1つの超純水導路と、
前記少なくとも1つの超純水導路に連結される少なくとも1つの気体導路と、
前記少なくとも1つの超純水導路及び前記少なくとも1つの気体導路を前記第1の接触装置の第1の側に接続する少なくとも1つの溶液導路と、
前記第1の接触装置で生成されたオゾン水を出力する少なくとも1つの第1の接触装置導路を介して前記第1の接触装置の第2の側に接続される少なくとも1つの第2の接触装置と、
前記少なくとも1つの第2の接触装置に接続する少なくとも1つの混合気体導路と、
前記超純水と反応して少なくとも1つの反応溶液を形成する少なくとも1つの気体とオゾンとを含む混合気体を供給するように構成される単一の気体源であって、前記少なくとも1つの気体を前記少なくとも1つの気体導路を介して前記少なくとも1つの超純水導路からの前記超純水と反応させて前記少なくとも1つの反応溶液を形成して前記少なくとも1つの反応溶液を前記少なくとも1つの溶液導路を介して前記第1の接触装置の前記第1の側に供給するとともに、前記混合気体を前記少なくとも1つの混合気体導路を介して前記少なくとも1つの第2の接触装置に供給する単一の気体源と、
前記少なくとも1つの第2の接触装置及び前記第1の接触装置と接続され、前記少なくとも1つの第2の接触装置からの前記混合気体の一部を前記第1の接触装置に向けるように構成された少なくとも1つのオフガス導路と、
前記少なくとも1つの第2の接触装置と接続され
、前記少なくとも第2の接触装置からオゾン水を出力する少なくとも1つのオゾン
水導路と
、
前記少なくとも1つのオゾン水導路に配置され、前記オゾン水中のオゾン濃度を測定するように構成されるセンサと、
前記センサにより経時的に測定される前記オゾン濃度から前記オゾン水におけるオゾン崩壊速度を算出し、前記算出されたオゾン崩壊速度に基づいて前記少なくとも1つの気体の供給量を制御するプロセッサと
を備える、オゾン水デリバリシステム。
【請求項20】
前記第1の接触装置及び前記少なくとも1つの第2の接触装置のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの充填カラム接触装置を含む、請求項
19に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項21】
前記第1の接触装置及び前記少なくとも1つの第2の接触装置のうち少なくとも1つは、塔充填物を含む内部に含む少なくとも1つの充填カラム接触装置を含む、請求項
19に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項22】
前記第1の接触装置及び前記少なくとも1つの第2の接触装置のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの膜モジュールを内部に含む少なくとも1つのメンブレン接触装置を含む、請求項
19に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項23】
前記第1の接触装置及び前記少なくとも1つの第2の接触装置と接続され、前記第1の接触装置から出力されるオゾン水を前記少なくとも1つの第2の接触装置に汲み上げるように構成される少なくとも1つのポンプをさらに備える、請求項
19に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの反応溶液を形成する少なくとも1つの気体は、二酸化炭素であり、前記少なくとも1つの反応溶液は、二酸化炭素水溶液である、請求項
19に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項25】
前記単一の気体源は、0.01SLPMから0.5SLPMの流量で前記少なくとも1つの気体導路に前記二酸化炭素を流すように構成される、請求項
24に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項26】
前記混合気体は、酸素、オゾン、及び二酸化炭素を含む、請求項
19に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項27】
前記混合気体は、窒素、二酸化窒素、及び二酸化二窒素からなる群から選択される少なくとも1つの気体を含む、請求項
19に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項28】
前記単一の気体源、前記少なくとも1つの超純水源、前記少なくとも1つの超純水導路、前記少なくとも1つの溶液導路、前記少なくとも1つの第1の接触装置導路、前記少なくとも1つの混合気体導路、前記少なくとも1つのオフガス導路、少なくとも1つのオゾン
水導路、及び前記少なくとも1つの気体導路のうち少なくとも1つに配置されたプロセッサ、バルブ、質量流量コントローラ、流量センサ、ゲージ、インジケータ、流体絞り、ポンプ、及びセンサのうち少なくとも1つをさらに備える、請求項
19に記載のオゾン水デリバリシステム。
【請求項29】
オゾン水を供給する方法であって、
単一の気体源から二酸化炭素とオゾンとを含む混合気体を超純水に供給して前記二酸化炭素を前記超純水と反応させて超純水中に二酸化炭素が溶解した二酸化炭素水溶液を形成し、
前記二酸化炭素水溶液を少なくとも1つの接触装置に流し込み、
内部に前記二酸化炭素水溶液が流れる前記少なくとも1つの接触装置に前記単一の気体源から前記混合気体を流し込み、
前記少なくとも1つの接触装置内の前記超純水中に前記オゾンの少なくとも一部を溶解させ、
前記超純水中に溶解したオゾンのオゾン崩壊速度を前記二酸化炭素水溶液の二酸化炭素成分を用いて遅くし、
前記少なくとも1つの接触装置からオゾン水を出力
し、
前記少なくとも1つの接触装置から出力される前記オゾン水中のオゾン濃度を経時的に測定して前記オゾン水におけるオゾン崩壊速度を算出し、
前記算出されたオゾン崩壊速度に基づいて前記二酸化炭素の供給量を制御する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年8月29日に提出された「オゾン水デリバリシステム及び使用方法」という表題の米国仮特許出願第62/724,368号に対する優先権を主張するものであり、この仮特許出願のすべての内容は本明細書に参照により組み込まれる。
【背景】
【0002】
現在、オゾンは、半導体製造、ソーラーパネル加工、衛生用途、食品加工、フラットパネル加工などをはじめとする数多くの用途において使用されている。一部の用途においては、オゾンを脱イオン水中に溶解させる場合がある。しかしながら、オゾンは、脱イオン超純水と非常に反応し易いため、数秒でオゾンが超純水中で崩壊することになる。半導体製造用途、ソーラーパネル及びフラットパネル製造などの用途においては、超純水中に高い濃度でオゾンを溶解させる必要がある。しかしながら、脱イオン超純水中に溶解しているオゾンの濃度が高くなると、オゾンの崩壊の速さが増加する。例えば、単一の半導体ウェハ加工のような用途においては、ランダムに流量が変化する液体中で溶解オゾンが必要であり、このランダムに流量が変化する液体によって供給パイプ内での滞留時間が変化することがあり、オゾン崩壊における付加的な変動として、少ない流量においてオゾンの崩壊の量がより多くなる。加えて、工業的に使用される超純水中に通常わずかに存在する水酸化物イオン及び過酸化物がオゾンの崩壊を引き起こすことがある。この結果として、異なる位置に供給される超純水中のこれらの不純物の濃度の変動により、製造位置及び/又は製造場所の間でオゾンの崩壊が異なる場合がある。
【0003】
これに対して、オゾン水中のオゾンの崩壊速度を制御するために数多くの手法が用いられている。例えば、
図1は、半導体製造用途において現在用いられているオゾン水デリバリシステムの一例を示すものである。図示されているように、オゾン水デリバリシステム1は、超純水源導路7(以下、UPW源導路7)を介して超純水源5(以下、UPW源5)と流体的に接続される接触装置3を含んでいる。気体源及び/又はオゾン生成器9(以下、気体源9)が気体流入導路11を介して接触装置3と接続されている。典型的には、気体混合物は、二酸化炭素(CO
2)、オゾン(O
3)、及び酸素(O
2)を含んでいる。水を気体混合物から安全に分離し、水、気体、又はその両方が気体源9に逆流することを防止するために1以上のバルブ装置13及び/又はインジケータが使用される。使用中は、気体源9からの気体混合物を接触装置3内で向流を用いてUPW源5からの超純水と接触させることにより、気体源9からのオゾンの一部を超純水に溶解させる。気体混合物中の二酸化炭素(CO
2)の一部は、水酸化物イオンの濃度を低下させる炭酸に変わる。炭酸イオンは、超純水中の溶解オゾンの崩壊速度を効果的に下げる水酸ラジカルを捕捉する。その後、溶解オゾンが接触装置3から放出又は除去され、溶解オゾン導路19を介して溶解オゾン出力17を形成する。二酸化炭素(CO
2)、酸素(O
2)、オゾン(O
3)のようなオフガス21は、オフガス導路23を介して接触装置3から放出され得る。
図1におけるシステムは有用なものであるとされているが、数多くの短所も判明している。例えば、
図1に示されるオゾン水デリバリシステムによれば約25ppmから50ppmのオゾン濃度が得られる。しかしながら、
図1に示されるオゾン水デリバリシステム1を用いて約50ppmよりも高いオゾン濃度を得ることは難しいとされている。さらに、物質移動効率を上げるためには、接触装置3の充填カラムを高く又は大きくする必要があるため、大きな作業領域が必要となる。加えて、二酸化炭素のような気体を超純水に溶解させる、あるいは超純水から残留酸素を除去するためには、通常、膜モジュールが使用される。不運なことに、市場において最も入手し易い膜モジュールは、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンのようなプラスチック、あるいは、過酸化物やオゾンのような酸化剤に対して非常に反応し易い同様の材料を含んでいる。さらに、二酸化炭素とオゾンの溶解度は異なっている。このため、接触装置内の二酸化炭素の濃度は流れの構成によってかなり異なる。例えば、充填カラム接触装置内で向流を構成した場合には、接触装置3内の気体混合物導路11からの流入口の近傍で二酸化炭素が溶解し、UPW
源導路
7からの流入口の近傍でオゾンが溶解することになり得るため、オゾン水の形成の効率が低下し得る。
図2は、向流の構成を用いた充填カラム接触装置3における二酸化炭素の濃度プロファイルをグラフで示すものである。
図2の横軸は、接触装置3を形成する充填カラムの横セクションを表している(以下、カラムセクション)。セクション1は、UPW源導路7からの流入口とオフガス導路23への流出口の近傍のカラムの上部を表している。セクション20は、気体流入導路11及び溶解オゾン導路19の近傍のカラムの底部を表している。
【0004】
上記の観点から、高いオゾン濃度を有する超純水を選択的に提供することが可能なオゾン水デリバリシステムに対する需要が引き続き存在している。
【概要】
【0005】
本出願は、従来技術のシステムよりも高い濃度の溶解オゾンを含む超純水をより多く供給することが可能なオゾン水デリバリシステムの様々な実施形態を開示している。ある実施形態においては、オゾン水デリバリシステムは、オゾン反応性を調整し、正確な溶解オゾン測定値を維持できるように構成され得る。より具体的には、一実施形態においては、本出願は、超純水を供給するように構成される少なくとも1つの超純水源と接続される少なくとも1つの接触装置を含むオゾン水デリバリシステムを開示している。少なくとも1つの超純水導路が超純水源に連結され得る。さらに、少なくとも1つの溶液導路が、超純水導路を介して接触装置及び超純水源と接続され得る。少なくとも1つの気体を含む1以上の気体源が、超純水源、超純水導路、及び溶液導路のうち少なくとも1つと接続され得る。使用中は、超純水と反応した際に少なくとも1つの溶液を形成するように気体が使用され得る。少なくとも1つの混合気体導路が、気体源及び接触装置と接続され得る。混合気体導路は、少なくとも1つの混合気体を接触装置に供給するように構成され得る。最後に、少なくとも1つのオゾン水出力導路が接触装置と接続され得る。
【0006】
他の実施形態においては、本出願は、オゾン水デリバリシステムにより生成されるオゾン水の様々な特性、濃度、流量などを測定するように構成される1以上のセンサを含むオゾン水デリバリシステムを開示している。より具体的には、オゾン水デリバリシステムは、超純水を供給するように構成される少なくとも1つの超純水源と接続される少なくとも1つの接触装置を含み得る。少なくとも1つの超純水導路が超純水源に連結され得る。さらに、少なくとも1つの溶液導路が、超純水導路を介して接触装置及び超純水源と接続され得る。少なくとも1つの気体を含む1以上の気体源が、超純水源、超純水導路、及び溶液導路のうち少なくとも1つと接続され得る。使用中は、超純水と反応した際に少なくとも1つの溶液を形成するように気体が使用され得る。少なくとも1つの混合気体導路が、気体源及び接触装置と接続され得る。混合気体導路は、少なくとも1つの混合気体を接触装置に供給するように構成され得る。最後に、少なくとも1つのオゾン水出力導路が接触装置と接続され得る。1以上のセンサは、オゾン水デリバリシステム内に位置していてもよく、オゾン濃度、流量、温度などの出力オゾン水の様々な特性を測定するために使用されてもよい。
【0007】
他の実施形態においては、本出願は、内部に複数の接触装置を含むオゾン水デリバリシステムを開示している。より具体的には、本出願は、内部に第1の接触装置と少なくとも1つの第2の接触装置を有するオゾン水デリバリシステムを開示している。少なくとも1つの超純水源が、超純水を第1の接触装置に供給するように構成され得る。少なくとも1つの超純水導路が超純水源及び第1の接触装置に連結され得る。少なくとも1つの溶液導路が、超純水導路を介して第1の接触装置及び超純水源と接続され得る。少なくとも1つの気体を含む1以上の気体源が、超純水源、超純水導路、及び溶液導路のうち少なくとも1つと接続され得る。使用中は、超純水と反応した際に少なくとも1つの溶液を形成するように気体が使用され得る。第2の接触装置は、第1の接触装置から出力されたオゾン水を第2の接触装置に移送するように構成される少なくとも1つの第1の接触装置導路を介して第1の接触装置に接続している。少なくとも1つの混合気体導路が、気体源及び第2の接触装置と接続され得る。混合気体導路は、少なくとも1つの混合気体を第2の接触装置に供給するように構成され得る。少なくとも1つのオフガス導路が、第2の接触装置及び第1の接触装置と接続され、オフガス導路は、混合気体の一部を第2の接触装置から第1の接触装置に向けるように構成される。少なくとも1つのオゾン水出力導路は、第2の接触装置と接続され得る。
【0008】
また、本出願は、オゾン水を供給する方法を開示している。より具体的には、本出願は、現在実現可能なものよりも溶解オゾンの濃度が高い超純水をより多く供給する方法を開示している。一実施形態においては、オゾン水を供給する方法は、二酸化炭素を超純水に溶解させた二酸化炭素水溶液を形成することを含む。二酸化炭素水溶液を少なくとも1つの接触装置に流し込む。内部に二酸化炭素水溶液が流れる接触装置に少なくとも一部にオゾンを含む少なくとも1つの混合気体を流し込む。接触装置内の超純水中にオゾンの少なくとも一部を溶解させる。超純水中の溶解オゾンのオゾン崩壊速度を二酸化炭素水溶液の二酸化炭素成分を用いて遅くし、接触装置からオゾン水を出力する。
【0009】
また、他の実施形態においては、本出願は、オゾン反応性を調整又は制御する方法を開示している。より具体的には、本出願は、オゾン反応性を測定し、これに応答して第1の接触装置に流れ込む二酸化炭素ガスの量を制御する方法を開示している。一実施形態においては、第2のセンサが、オゾン水デリバリシステム内の少なくとも1つのバルブを介して流れの状態を選択的に制御するために用いられる。
【0010】
本明細書に開示される新しいオゾン水デリバリシステムの他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を考慮すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書で述べられるオゾン水デリバリシステムとその使用方法についての新しい側面は、以下の図面を参照することにより一層明らかになるであろう。
【0012】
【
図1】
図1は、従来技術のオゾン水デリバリシステムの模式図を示すものである。
【0013】
【
図2】
図2は、
図1に示される従来技術の充填カラム接触装置における二酸化炭素の濃度プロファイルを表したグラフを示すものである。
【0014】
【
図3】
図3は、接触装置において使用される超純水に気体の二酸化炭素を供給する気体源を有するオゾン水デリバリシステムの実施形態の模式図を示すものである。
【0015】
【
図4】
図4は、接触装置において使用される超純水に気体の二酸化炭素を供給する気体源を有するオゾン水デリバリシステムの他の実施形態の模式図を示すものである。
【0016】
【
図5】
図5は、接触装置において使用される超純水に気体の二酸化炭素を供給する気体源を有するオゾン水デリバリシステムの他の実施形態の模式図を示すものである。
【0017】
【
図6】
図6は、オゾン反応性を測定するための装置を組み込んだオゾン水デリバリシステムの他の実施形態の模式図を示すものである。
【0018】
【
図7】
図7は、
図3及び
図4に示される接触装置における二酸化炭素の濃度プロファイルを表したグラフを示すものである。
【0019】
【
図8】
図8は、複数の接触装置を組み込んだオゾン水デリバリシステムの実施形態の模式図を示すものである。
【0020】
【
図9】
図9は、複数の接触装置を組み込んだオゾン水デリバリシステムの他の実施形態の模式図を示すものである。
【詳細な説明】
【0021】
本出願は、新しいオゾン水デリバリシステムのいくつかの実施形態を開示している。一実施形態においては、本明細書に開示される新しいオゾン水デリバリシステムは、約50ppmよりも高いオゾン濃度を有するオゾン水を供給するように構成され得る。他の実施形態においては、本明細書に開示される新しいオゾン水デリバリシステムは、約100ppmよりも高いオゾン濃度を有するオゾン水を供給するように構成され得る。必要に応じて、本明細書に開示される新しいオゾン水デリバリシステムは、約50ppm以下のオゾン濃度を有するオゾン水を供給するように構成され得る。さらに、新しいオゾン水デリバリシステムは、超純水の流量を毎分20リットル(LPM)以上としつつ約50ppmよりも高いオゾン濃度のオゾン水を供給するように構成され得るが、当業者であれば、本明細書に開示されるオゾン水デリバリシステムが、約20LPM未満の流量で超純水を供給するように構成され得ることを理解するであろう。他の実施形態においては、オゾン水デリバリシステムは、超純水の流量が20LPM以上で約100ppmよりも高いオゾン濃度を有するオゾン水を供給するように構成され得る。必要に応じて、オゾン水デリバリシステムは、超純水の流量が2LPM以上で様々なオゾン濃度を有するオゾン水を供給するように構成され得る。システムは、必要に応じて、オゾン水の流量を2LPMから20LPMよりも多い値までランダムに変化させつつ、一定のオゾン濃度を供給するように構成され得る。
【0022】
図3~
図6は、新しいオゾン水デリバリシステムの様々な実施形態の模式図を示すものである。図示されるように、本明細書に開示されるオゾン水デリバリシステム30は少なくとも1つの接触装置32を含んでいる。図示された実施形態においては、オゾン水デリバリシステム30において単一の接触装置32が用いられているが、当業者であれば、任意の数の接触装置が用いられてもよいことを理解するであろう。さらに、一実施形態においては、接触装置32は充填カラム構成を含んでいる。さらに、一実施形態においては、接触装置32は、塔充填物で充填された充填カラムを含んでいる。他の実施形態においては、接触装置32は、メンブレンを利用した装置又は少なくとも1つの膜モジュールを含んでいる。接触装置32は、少なくとも1つの超純水導路36(以下、UPW導路36)を介して少なくとも1つの脱イオン超純水源34(以下、UPW源34)と流体的に接続されていてもよい。UPW導路36は、UPW源34から接触装置32に脱イオン超純水を移送するように構成されている。図示された実施形態において、接触装置32の表面上に少なくとも1つの超純水及び/又は反応物流入口40を形成してもよい。当業者であれば、接触装置32上に任意の数の流入口又は流出口を形成し得ることを理解するであろう。
図3及び
図4には図示されていないが、当業者であれば、UPW導路36上に1以上のコントローラ、バルブ装置、流体絞り、センサ、インジケータ、流れコントローラなどを含め得ることを理解するであろう。
【0023】
図3~
図6を再び参照すると、1種類以上の気体、反応物、及び/又は流体を供給するように構成される少なくとも1つの気体又は流体源60(以下、気体源60)が、UPW源34、UPW導路36、及び/又は接触装置32のうち少なくとも1つと接続されていてもよい。図示された実施形態においては、気体源60は、少なくとも1つの連結部材48を介してUPW導路36に連結される少なくとも1つの気体導路42に連結されている。このため、UPW導路36を流れる超純水は、気体導路42内の少なくとも1つの気体又は流体と反応して少なくとも1つの反応溶液を形成し得る。この少なくとも1つの反応溶液は、少なくとも1つの超純水流入口40を介して接触装置32に流入し得る。例えば、脱イオン超純水は、二酸化炭素と反応して二酸化炭素水溶液を生成し得る。さらに、UPW導路36と同様に、気体導路42は、気体導路42上に設けられた、あるいは気体導路42と接続された1以上のコントローラ、バルブ装置、絞り、質量流量コントローラ、センサ、インジケータ、流量調整器などを含んでいてもよい。例えば、
図3、
図4、及び
図6に示される実施形態においては、気体導路42は、水及び/又は気体が気体源に逆流することを防止するように構成された2つのバルブ44と1つのインジケータ46とを含んでいるが、当業者であれば、様々な用途のために様々なコンポーネントが気体導路42上で使用され得ることを理解するであろう。オプションとして、
図5は、オゾン水デリバリ装置30の別の実施形態を示すものである。図示されているように、
図5に示されるオゾン水デリバリ装置30は、
図3、
図4、及び
図6に示されるオゾン水デリバリ装置30の構成要素の多くを含んでいる。しかしながら、
図5に示されるオゾン水デリバリ装置30は、UPW導路36、溶液導路38のうちの少なくとも1つ、あるいはその両方に配置されたバルブ44を含んでいる。さらに、少なくとも1つのバルブ44、少なくとも1つの流体絞り50、及び少なくとも1つの逆止弁52、及び少なくとも1つの制御弁54が気体導路42上に位置していてもよい。図示された実施形態においては、制御弁54の上流側でUPW導路36内を流れる超純水に二酸化炭素が加えられる。
【0024】
一実施形態においては、気体源60は、超純水が少なくとも1つの溶液導路38を介して接触装置32に入る前に、超純水導路36内を流れる超純水に二酸化炭素(CO2)を加えて二酸化炭素水溶液を形成するように構成され得る。使用中は、二酸化炭素水溶液の二酸化炭素成分を用いて使用中の接触装置32内の溶解オゾンの崩壊速度を下げてもよい。例えば、一実施形態においては、気体源60及び気体導路42は、約0.01標準リットル毎分(以下、SLPM)から約0.5SLPMの流量でUPW導路36内を流れる超純水に二酸化炭素の流れを供給するように構成されている。必要に応じて、気体源60及び気体導路42は、約0.005標準リットル毎分(以下、SLPM)から3.0SLPM又はそれよりも多い流量でUPW導路36内を流れる超純水に二酸化炭素の流れを供給するように構成される。一実施形態においては、気体源60は、接触装置32に流れ込む超純水の流量とは関係なく、一定の流量でUPW導路36に気体(例えば二酸化炭素など)の絶え間ない流れを供給するように構成されていてもよい。このため、超純水の流量が少ないときには、超純水中の二酸化炭素の有効成分が高くなることがあり、これにより、超純水中の溶解オゾンの濃度が高まる。他の実施形態においては、気体源60は、気体に対して超純水が一定比となるように気体(例えば二酸化炭素など)の流れをUPW導路36に供給するように構成され得る。他の実施形態においては、気体源60及び気体導路42は、UPW導路36内を流れる超純水に二酸化炭素の流れを約0.05SLPMから約0.3SLPMの流量で供給するように構成される。必要に応じて、気体源60及び気体導路42は、UPW導路36内を流れる超純水に二酸化炭素の流れを約0.1SLPMから約0.2SLPMの流量で供給するように構成されるが、当業者であれば、気体源60及び気体導路42は、UPW導路36内を流れる超純水に二酸化炭素の流れを所望の流量で供給するように構成され得ることを理解するであろう。このため、二酸化炭素をUPW導路36に導入する割合を選択的に制御するために1以上の質量流量コントローラ44及びバルブ46を用いてもよい。別の実施形態においては、気体源60は、気体導路42に窒素を供給するように構成されていてもよい。必要に応じて、気体源60は、気体導路42、UPW源34、接触装置32、及びこれらに類するもののうち少なくとも1つに様々な気体又は流体を供給するように構成されていてもよい。
【0025】
図3~
図6に示されるように、気体源60は、少なくとも1つの混合気体導路62及び少なくとも1つの混合気体流入口68を介して接触装置32と接続されていてもよい。図示された実施形態においては、単一の気体源60が、接触装置32と流体的に接続されている。例えば、
図3~
図6に示される単一の気体源60は、酸素(O2)、オゾン(O3)、及び二酸化炭素(CO2)からなる混合気体を接触装置32に供給するように構成されていてもよい。他の実施形態においては、混合気体は、酸素(O2)、オゾン(O3)、二酸化炭素(CO2)、及び約2ppm未満の窒素(N2)からなるが、当業者であれば、2ppmよりも多くの窒素(N2)を用いてもよいことを理解するであろう。他の気体としては、窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素が挙げられるが、これらに限られるものではない。別の実施形態においては、複数の気体源60が、接触装置32と連結されていてもよく、あるいは接触装置32と流体的に接続されていてもよい。例えば、混合気体導路62が混合気体を混合して、それぞれの供給源から接触装置32に移送するように、オゾン(O3)/酸素(O2)、及び二酸化炭素(CO2)のそれぞれの供給源がそれぞれ気体導路62に連結されていてもよい。一実施形態においては、気体源60は、オゾンを混合気体導路62に供給するように構成された少なくとも1つのオゾン生成器に接続されていてもよく、さらに/あるいはこのような少なくとも1つのオゾン生成器を含んでいてもよい。使用中は、混合気体導路62を介して接触装置32に導入される混合気体中の二酸化炭素は、混合気体源60の一部としてのオゾン生成器におけるオゾン生成の効率を上げる機能を有し、接触装置32内の混合気体入力領域で水に溶解したオゾンのオゾン崩壊を抑制するとともに、二酸化炭素水溶液の二酸化炭素成分は、接触装置32の気体流出口側での溶解オゾンの崩壊速度を下げる。このため、様々な付加的な気体(例えば、二酸化炭素、窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素など)を用いてオゾン生成器内で酸素をオゾンに変換するプロセスの効率を改善し、さらに/あるいは選択的に制御してもよい。
【0026】
図3~
図6に示されるように、少なくとも1つのバルブ、質量流量コントローラ、インジケータ、センサなどが、気体源60及び混合気体導路62の一方又はその両方に配置されていてもよく、あるいはこれと接続されていてもよい。例えば、
図3~
図6に示されるオゾン水デリバリシステム30の実施形態においては2つのバルブ64と1つのインジケータ66が含められているが、当業者であれば、任意の数のバルブ、質量流量コントローラ、インジケータ、センサなどが、混合気体導路62に連結されていてもよく、あるいは混合気体導路62と接続されていてもよいことを理解するであろう。
【0027】
図3~
図6を再び参照すると、使用中は、二酸化炭素水溶液は溶液導路38を介して接触装置32に導入される。上述したように、混合気体導路62からの混合気体は接触装置32に導入される。混合気体中のオゾンは、超純水と反応し超純水中に溶解して溶解オゾン(DIO3)を形成する。溶液導路38を介して接触装置32に導入された超純水中の二酸化炭素は、新しく形成された溶解オゾンの崩壊速度を抑制するために使用され得る。その後、オゾン水は、少なくとも1つのオゾン水導路72を介して接触装置32からオゾン水出力70において放出される。一実施形態においては、オゾン水出力70からのオゾン水の流量は、約0.2LPMから約70LPMである。他の実施形態においては、オゾン水出力70からのオゾン水の流量は、約3LPMから約40LPMである。必要に応じて、
図3及び
図4に示されるオゾン水デリバリシステム30は、オゾン水出力70から約2LPMから約20LPMのオゾン水を出力するように構成されていてもよい。さらに、接触装置32から少なくとも1つのオフガス導路82を介して酸素(O2)、オゾン(O3)、二酸化炭素(CO2)のようなオフガス80及び他の気体を除去してもよい。
【0028】
図4及び
図6は、内部に少なくとも1つのプロセッサを有する
図3に示されるオゾン水デリバリシステム30の別の実施形態を示すものである。図示されるように、少なくとも1つのセンサ、インジケータ、バルブなどがオゾン水導路72上に配置されていてもよい。例えば、図示された実施形態においては、センサ74がオゾン水導路72に連結されているが、当業者であれば、様々な他のコンポーネントが同様に含まれていてもよいことを理解するであろう。例えば、一実施形態においては、センサ74は、オゾン水導路72近傍のオゾン濃度を測定するように構成されていてもよいが、当業者であれば、本明細書に開示されている様々なオゾン水デリバリシステムは、オゾン水デリバリシステム内の様々な位置に配置された1以上のセンサ74を含んでいてもよく、センサ74は、オゾン濃度、二酸化炭素濃度、流量、温度などを測定するように構成されていてもよいことを理解するであろう。センサ74は、少なくとも1つのプロセッサ導路76を介して少なくとも1つのプロセッサ78と接続されていてもよい。さらに、プロセッサ78は、プロセッサ導路76を介してUPW源34、バルブ44、インジケータ46、気体源60、バルブ64、及びインジケータ66のうちの少なくとも1つと接続されていてもよい。このため、プロセッサ78は、UPW源34、バルブ44、 インジケータ46、気体源60、質量流量コントローラ64、インジケータ66、センサ74のうちの少なくとも1つからデータを受信し、これらのうち少なくとも1つにデータを供給するように構成され得る。したがって、プロセッサ78は、システム内でシステムを通して使用されるセンサ、UPW源、バルブ、質量流量コントローラ、気体源などを介して超純水、混合気体、及び/又はオゾン水の流れを許容、制限、及び/又は制御するように構成され得る。使用中は、プロセッサ78は、オゾン濃度、水の流量、及びオゾン水の同様の特性及び接触装置32内の圧力、UPW源34内の圧力などの動作特性をモニタリングするように構成され得る。さらに、プロセッサ78は、これに伴ってUPW源34、質量バルブ44、インジケータ46、気体源60、バルブ64、インジケータ66、及びセンサ74の性能を選択的に変化させるように構成され得る。接触装置32内の圧力は、プロセッサ78によって有効な一定値に制御され得る。接触装置32の圧力は、1バールから4バールの間、1.8バールから2.5バールの間などとなるように構成されていてもよいが、当業者であれば、接触装置32内の圧力は用途に応じてこれよりも高くても低くてもよいことを理解するであろう。
図7は、
図3及び
図4に示される構成を用いたCO2液体濃度及びCO2気体濃度のプロファイルをグラフとして示すものである。当業者であれば、
図5及び
図6に示される実施形態は、CO2液体濃度及びCO2気体濃度に関してこれと同様のグラフを示すことを理解するであろう。図示されているように、接触装置32内のCO2の分布は、
図1に示される従来技術の向流構成を用いた充填カラム接触装置3における二酸化炭素の濃度プロファイルよりも均一なものとなる。さらに、当業者であれば、メンブレン接触装置を含む構成では、移送プロセスの原理が似ているために、
図1に示される従来技術の向流構成を用いた充填カラム接触装置3における二酸化炭素の濃度プロファイルと同様に、二酸化炭素の濃度プロファイルにおいて同様の不均一性が生じてしまうことを理解するであろう。
【0029】
図6は、2つのオゾンセンサを含むオゾン水デリバリシステムの実施形態を示しているが、当業者であれば、任意の数のセンサを用いてもよいことを理解するであろう。一実施形態においては、第1のセンサ74は、連続的に動作するように構成されていてもよく、制御可能弁212及びプロセッサ78と協働して、出力されたオゾン水72中のオゾン濃度を制御してもよい。必要に応じて、図示された実施形態においては、オゾン水デリバリシステム30は、少なくとも第2のセンサ204(例えばオゾン測定装置)を含み得る。一実施形態においては、第2のセンサ204は、測定装置74の精度を制御するように構成されていてもよい。他の実施形態においては、第2のセンサ204は、オゾン水デリバリシステム30の出力の様々な特性を測定するように構成されていてもよい。例えば、第2のセンサ204は、導路72中の溶解オゾン濃度を測定し、プロセッサ78と協働して、第1のセンサ74により測定されたオゾン濃度を第2のセンサ204により測定されたオゾン濃度と比較し、偏差がある場合には、これに伴って第1のセンサ74のゼロ点を調整するように構成されていてもよい。一実施形態においては、例えば、オゾンセンサ204に新しいオゾン水を充填した後に、少なくとも1つのバルブ213を用いてシステム内の流れの状態を選択的に制御してもよい。必要に応じて、その後、センサ204内に滞留している水のオゾン濃度をコントローラ78によって経時的に追跡する。経時的なオゾン濃度曲線から崩壊速度を算出してもよい。その後、処理ターゲット表面で所望のオゾン反応性を実現するために、測定されたオゾン崩壊速度に基づいてコントローラ78によって二酸化炭素の供給量を制御してもよい。一実施形態においては、1以上のオゾンセンサ204(光学センサ、可視光センサ、IRセンサ、UVセンサなど)を使用してもよい。例えば、オゾンセンサ204は、可視光の吸収に基づいてオゾンを測定するように構成され得る。第2のセンサ204は、基準センサとして動作するように構成されていてもよく、供給された水の中のオゾン濃度を所定の時点で測定するように構成されていてもよい。その後、両方のセンサの測定値を比較してもよい。この構成により、ゼロ点の再較正のためにセンサに溶解オゾンを含まない水を充填するために中断することなく連続して第1のセンサ74を動作させることが可能になる。これにより動作可能時間が長くなるため、システム全体に対して経済的な利点が多い。
【0030】
図8及び
図9は、オゾン水デリバリシステムの他の実施形態を示すものである。図示されているように、オゾン水デリバリシステム100は、第1の接触装置102aと、少なくとも第2の接触装置102bとを含んでいる。一実施形態においては、第1の接触装置102a、第2の接触装置102b、又はその両方が、充填カラム構成を含んでいる。必要に応じて、第1の接触装置102a及び/又は第2の接触装置102bの少なくとも一方は、充填カラム構成を含んでいなくてもよい。例えば、第1の接触装置102a及び/又は第2の接触装置102bの少なくとも一方は、メンブレンを利用した装置又は少なくとも1つの膜モジュールを含んでいてもよい。第1の接触装置102aは、少なくとも1つの超純水導路106(以下、UPW導路106)を介して少なくとも1つの超純水源104(以下、UPW104)と流体的に接続され得る。
図8及び
図9には示されていないが、再び、当業者であれば、1以上のコントローラ、バルブ装置、センサ、インジケータなどを連結部材
118上に含めてもよいことを理解するであろう。
【0031】
再び
図8及び
図9を参照すると、少なくとも1つの気体源130は、少なくとも1つの気体導路112を介してUPW源104、UPW導路106、及び/又は接触装置102aのうち少なくとも1つと接続され得る。図示された実施形態においては、気体源130は、少なくとも1つの連結部材118を介してUPW導路106に連結される少なくとも1つの気体導路112に連結される。先の実施形態と同様に、UPW導路106を流れる超純水は、気体導路112内の気体と反応して少なくとも1つの反応溶液を形成する。さらに、UPW導路106と同様に、気体導路112は、気体導路112上に配置されるか、気体導路112と接続される1以上のコントローラ、バルブ装置、質量流量コントローラ、センサ、インジケータなどを含み得る。例えば、図示された実施形態においては、気体導路112は、気体導路112上に配置され、水及び/又は気体が気体源130に逆流することを防止するように構成された2つのバルブ114と1つのインジケータ116を含んでいるが、当業者であれば、様々な用途のために、任意の数のバルブ、インジケータ、コントローラなどを気体導路112上に含めてもよく、あるいは気体導路112と接続してもよいことを理解するであろう。
【0032】
必要に応じて、気体源130は、超純水が少なくとも1つの溶液導路120を介して第1の接触装置102aに入る前に、超純水導路106内を流れる超純水に二酸化炭素(CO2)を加えて二酸化炭素水溶液を形成するように構成され得る。当業者であれば、気体源130及び気体導路112が、所望の流量でUPW導路106内を流れる超純水に二酸化炭素の流れを供給するように構成され得ることを理解するであろう。例えば、一実施形態においては、気体源130及び気体導路112は、超純水の流量とは関係なく、一定の流量でUPW導路106内を流れる超純水に二酸化炭素に流れを供給するように構成され得る。
【0033】
図8及び
図9を再び参照すると、気体源130は、少なくとも1つの混合気体導路132を介して第2の接触装置102bと接続されていてもよい。先の実施形態と同様に、気体源130は、少なくとも1つのオゾン生成器に連結されていてもよく、少なくとも1つのオゾン生成器に接続されていてもよく、あるいは内部に少なくとも1つのオゾン生成器を含んでいてもよい。図示された実施形態においては、単一の気体源130が第2の接触装置102bと流体的に接続されているが、任意の数の気体源130を使用してもよい。先の実施形態と同様に、
図7及び
図8に示される気体源130は、酸素(O2)、オゾン(O3)、及び二酸化炭素(CO2)からなる混合気体を接触装置32に供給するように構成され得る。別の実施形態においては、複数の気体源130が、第2の接触装置102bに連結されていてもよく、あるいは第2の接触装置102bと流体的に接続されていてもよい。例えば、混合気体導路132が混合気体を混合して、それぞれの供給源から第2の接触装置102bに移送するように、酸素(O2)、オゾン(O3)、及び二酸化炭素(CO2)のそれぞれの供給源がそれぞれ混合気体導路132に連結されていてもよい。
図7及び
図8に示されるように、少なくとも1つのバルブ、質量流量コントローラ、インジケータ、センサなどが、混合気体導路132上に配置されていてもよく、あるいは混合気体導路132と接続されていてもよい。例えば、水及び/又は気体が気体源130に逆流することを防止するように構成された
図7及び
図8に示されるオゾン水デリバリシステム100の実施形態においては2つのバルブ134と1つのインジケータ136が含められているが、当業者であれば、任意の数のバルブ、質量流量コントローラ、インジケータ、センサなどが、混合気体導路132に連結されていてもよく、あるいは混合気体導路132と接続されていてもよいことを理解するであろう。
【0034】
使用中は、溶液導路120を介して二酸化炭素水溶液が第1の接触装置102aに導入される。さらに、混合気体導路132からの混合気体が第2の接触装置102bに導入される。一部の混合気体は、第1の接触装置102a及び第2の接触装置102bと流体的に接続される少なくとも1つのオフガス連結導路164を介して第2の接触装置102bから第1の接触装置102aに向かう。第2の接触装置102bからの混合気体を第1の接触装置102aに導入してもよく、これが第1の接触装置102a内の二酸化炭素水溶液と反応することにより、二酸化炭素水溶液中の混合気体中にオゾンを溶解させて溶解オゾン/UPW溶液を得ることができる。少なくとも1つの第1の接触装置オフガス導路168を介してオフガス166を第1の接触装置102aから除去しつつ、少なくとも1つの第1の接触装置導路152を介して第1の接触装置102a内の溶解オゾン/UPW溶液を第1の接触装置102aから除去して第2の接触装置102bに流し込んでもよい。図示された実施形態においては、第1の接触装置導路152を介して溶解オゾン/UPW溶液を第1の接触装置102aから第2の接触装置102bに向けるために少なくとも1つのポンプ150が用いられ得る。
【0035】
再び
図8及び
図9を参照すると、第1の接触装置102aからの溶解オゾン/UPW溶液は、気体源130からの混合気体の存在下で第2の接触装置102bに向かう。その結果、第2の接触装置102b内のオゾン混合気体が溶解オゾン/UPW溶液に溶解することにより、少なくとも1つの第2の接触装置出力導路162を介して第2の接触装置102bから出力され得る溶解オゾン160の濃度が高まる。当業者であれば、
図7及び
図8は、直接に連結されている第1の接触装置及び第2の接触装置を示しているが、第1の接触装置及び第2の接触装置は所望の構成で連結されていてもよいことを理解するであろう。
【0036】
オプションとして、
図9は、内部に少なくとも1つのプロセッサを有する、
図8に示されるオゾン水デリバリシステム100の別の実施形態を示すものである。上述した先の実施形態と同様に、少なくとも1つのセンサ、インジケータ、バルブなどが第2の接触装置出力導路162上に配置され得る。例えば、図示された実施形態においては、センサ170は第2の接触装置出力導路162に連結されているが、当業者であれば、圧力センサやレベルセンサなどの他の様々な構成要素が同様に含まれていてもよいことを理解するであろう。センサ170は、少なくとも1つのプロセッサ導路172を介して少なくとも1つのプロセッサ174と接続され得る。さらに、プロセッサ174は、プロセッサ導路172を介してUPW源104、質量流量コントローラ114、インジケータ116、気体源130、質量流量コントローラ134、ポンプ150、及びインジケータ136のうち少なくとも1つと接続され得る。このため、プロセッサ174は、UPW源104、質量流量コントローラ114、インジケータ116、気体源130、質量流量コントローラ134、インジケータ136、及びセンサ170のうち少なくとも1つからデータを受信し、これにデータを供給するように構成され得る。使用中は、プロセッサ174は、溶解オゾン濃度及びオゾン水の同様の特性をモニタリングし、これに伴い、UPW源104、質量流量コントローラ114、インジケータ116、気体源130、質量流量コントローラ134、ポンプ150、及びセンサ170の性能を選択的に変化させるように構成され得る。ポンプ150は、接触装置102aの圧力よりも0.1バールから1バール高く、例えば0.2バールから0.7バール高く接触装置102bの圧力を設定するように制御され得るが、当業者であれば、接触装置102bが所望の圧力で動作し得ることを理解するであろう。このため、
図9には示されていないが、当業者であれば、ポンプ150がプロセッサ174と接続されていてもよいことを理解するであろう。第2の接触装置102bにおける圧力は、プロセッサ174によって有効な一定値に制御される。第2の接触装置102bの圧力は、1バールから4バール、例えば1.8バールから2.5バールとなるように構成され得る。
【0037】
本明細書に開示された実施形態は本発明の原理を説明するためのものである。他の改良を用いることができ、そのような改良は本発明の範囲内に属する。したがって、本出願に開示されている装置は、本明細書にまさに示され述べられているものに限られるものではない。