(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】荷電粒子の複数のビームを用いたサンプル検査の方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/28 20060101AFI20240118BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01L21/66 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022041012
(22)【出願日】2022-03-16
(62)【分割の表示】P 2020508399の分割
【原出願日】2018-08-28
【審査請求日】2022-04-06
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,クオ-フェン
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ゾンファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イーシャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾン-ウェイ
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504175(JP,A)
【文献】特開2008-053170(JP,A)
【文献】特開2000-215834(JP,A)
【文献】特開2004-335193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/147
H01J 37/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース、ステージ、及び光学システムを備えるサンプル検査装置であって、
前記ソースは、荷電粒子を放出するように構成され、
前記ステージは、その上のサンプルを支持するように構成され、及び、前記サンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させるように構成され、
前記光学システムは、
前記荷電粒子を用いて前記サンプル上にプローブスポットを形成するように構成され、
前記ステージが前記サンプルを前記第1の方向に前記第1の距離だけ移動する間に、前記プローブスポットを、前記第1の方向の前記第1の距離及び第2の方向の第2の距離に基づいて、第1のサブ領域の第1の終わりから前記第1のサブ領域の第2の終わりまで移動させることによって、前記サンプルの前記第1のサブ領域をスキャンするように構成され、前記第2の距離は、前記第1のサブ領域の前記第1の終わりと前記第2の終わりとの間の距離に対応し、
前記第1のサブ領域をスキャンした後、前記プローブスポットを、前記第1のサブ領域に隣接する前記サンプルの第2のサブ領域の第1の終わりに位置決めすることで前記第2のサブ領域のスキャンを可能にするように構成され、前記第2のサブ領域の前記第1の終わりは、
前記第1のサブ領域の前記第2の終わりよりも前記第1のサブ領域の前記第1の終わりに近
く、前記第1のサブ領域及び前記第2のサブ領域は、前記サンプルの第1のセクションの一部であ
り、
前記プローブスポットは、前記第1の方向に間隔を空けて配置されかつ同時に移動する複数のプローブスポットである、サンプル検査装置。
【請求項2】
前記光学システムは、前記第1のセクションがスキャンされた後、前記プローブスポットを、前記サンプルの第3のサブ領域の第1の終わりに位置決めすることで前記第3のサブ領域のスキャンを可能にするように更に構成され、前記第3のサブ領域は、前記サンプルの第2のセクションの一部である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のセクションは、前記第1のセクションに隣接する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第3のサブ領域は、前記第1のセクションに隣接する、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記光学システムは、レンズ、非点収差補正装置、及び偏向器のうちの1つ以上を含む、請求項1~
4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記プローブスポットにおける前記荷電粒子及び前記サンプルのインタラクションを表す信号を記録するように構成された検出器を更に備える、請求項1~
5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記信号は、二次電子、後方散乱電子、オージェ電子、X線、及びカソードルミネッセンスのうちの少なくとも1つを含む、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
コンピュータによって実行されるとき、荷電粒子を用いて形成されたプローブスポットを用いてステージ上のサンプルをスキャンする方法を前記コンピュータに実行させる命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記方法は、
前記ステージを第1の方向に第1の距離だけ移動させることと、
前記ステージが前記第1の方向に前記第1の距離だけ移動されている間に、前記プローブスポットを、前記第1の方向の前記第1の距離及び第2の方向の第2の距離に基づいて、第1のサブ領域の第1の終わりから前記第1のサブ領域の第2の終わりまで移動させることによって前記サンプルの前記第1のサブ領域をスキャンすることであって、前記第2の距離は、前記第1のサブ領域の前記第1の終わりと前記第2の終わりとの間の距離に対応することと、
前記第1のサブ領域をスキャンした後、前記プローブスポットを、前記第1のサブ領域に隣接する前記サンプルの第2のサブ領域の第1の終わりに位置決めすることで前記第2のサブ領域のスキャンを可能にすることであって、前記第2のサブ領域の前記第1の終わりは、
前記第1のサブ領域の前記第2の終わりよりも前記第1のサブ領域の前記第1の終わりに近
く、前記第1のサブ領域及び前記第2のサブ領域は、前記サンプルの第1のセクションの一部であることと、を含
み、
前記プローブスポットは、前記第1の方向に間隔を空けて配置されかつ同時に移動する複数のプローブスポットである、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
請求項
8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2017年9月7日出願の、米国出願第62/555,542号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、集積回路(IC)の製造などのデバイス製造プロセスにおいて使用される、ウェーハ及びマスクなどのサンプルを検査(例えば、観察、測定、及びイメージング)するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] デバイス製造プロセスは、所望のパターンを基板上に付与することを含むことができる。パターニングデバイスは、代替としてマスク又はレチクルと呼ばれ、所望のパターンを生成するために使用することができる。このパターンを、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、1つのダイ、又はいくつかのダイを含む)上に転写することができる。パターンの転写は、典型的には、基板上に提供された放射感応性材料(レジスト)層上へのイメージングを介する。単一の基板は、連続してパターニングされた近接するターゲット部分のネットワークを含むことができる。この転写に、リソグラフィ装置を使用することができる。1つのタイプのリソグラフィ装置はステッパと呼ばれ、一度にパターン全体をターゲット部分上へと露光させることによって、各ターゲット部分が照射される。別のタイプのリソグラフィ装置はスキャナと呼ばれ、放射ビームを介して所与の方向にパターンをスキャンし、それと同期して、この方向と平行又は逆平行に基板をスキャンすることによって、各ターゲット部分が照射される。パターンを基板上にインプリントすることによって、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することも可能である。
【0004】
[0004] デバイス製造プロセス(例えば、露光、レジスト処理、エッチング、現像、ベーキングなど)の1つ以上のステップを監視するために、デバイス製造プロセスによってパターニングされた基板又はそこで使用されるパターニングデバイスなどのサンプルを検査することが可能であり、サンプルの1つ以上のパラメータを測定することができる。1つ以上のパラメータは例えば、基板又はパターニングデバイス上のパターンのエッジと、パターンの所期の設計の対応するエッジと、の間の距離であるエッジ配置誤差(EPE)を含むことができる。検査は、パターン欠陥(例えば、不良接続又は不良分離)及び招かれざる粒子を見つけることもできる。
【0005】
[0005] デバイス製造プロセスで使用される基板及びパターニングデバイスの検査は、歩留まりの向上を助けることができる。検査から得られる情報を使用して、欠陥を特定するか、又はデバイス製造プロセスを調整することができる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本明細書では、ソース、光学システム、及びステージを備える装置が開示され、ソースは荷電粒子を放出するように構成され、ステージは、その上のサンプルを支持するように構成され、及び、サンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させるように構成され、光学システムは、荷電粒子を用いてサンプル上にプローブスポットを形成するように構成され、光学システムは、ステージがサンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させる間に、プローブスポットを、第1の方向に第1の距離だけ及び第2の方向に第2の距離だけ、同時に移動させるように構成され、光学システムは、ステージがサンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させた後、プローブスポットを、第1の方向とは反対の方向に、第1の距離からプローブスポットのうちの1つの幅を差し引いた距離だけ、移動させるように構成される。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態によれば、荷電粒子は電子を含む。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態によれば、装置は、プローブスポットにおける荷電粒子とサンプルとのインタラクションを表す信号を記録するように構成される。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態によれば、信号は、二次電子、後方散乱電子、オージェ電子、X線、及びカソードルミネッセンスのうちの、少なくとも1つを含む。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態によれば、光学システムは、プローブスポットを、第2の方向とは反対の方向に第2の距離だけ移動させるように構成される。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態によれば、光学システムは、プローブスポットを、第1の方向とは反対の方向に、幅の[(M-1)N+1]倍だけ移動させるように構成され、Mは第1の方向に間隔を空けて配置されたプローブスポットの数であり、Nは幅の単位での第1の方向のプローブスポットのピッチである。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態によれば、光学システムは、レンズ、非点収差補正装置、及び偏向器のうちの1つ以上を含む。
【0013】
[0013] 本明細書には、サンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させること、サンプルが第1の方向に第1の距離だけ移動されている間に、荷電粒子の1つ以上のビームによってサンプル上に形成されるプローブスポットを、第1の方向に第1の距離だけ及び第2の方向に第2の距離だけ、同時に移動させること、サンプルが第1の方向に第1の距離だけ移動された後、プローブスポットを、第1の方向とは反対の方向に、第1の距離からプローブスポットのうちの1つの幅を差し引いた距離だけ移動させること、を含む方法が開示される。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態によれば、荷電粒子は電子を含む。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態によれば、方法は、プローブスポットにおける荷電粒子とサンプルとのインタラクションを表す信号を記録することを更に含む。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態によれば、信号は、二次電子、後方散乱電子、オージェ電子、X線、及びカソードルミネッセンスのうちの、少なくとも1つを含む。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態によれば、方法は、プローブスポットを、第2の方向とは反対の方向に第2の距離だけ移動させることを更に含む。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態によれば、方法は、荷電粒子の1つ以上のビームによってサンプル上の領域が検査された旨の決定と同時に、プローブスポットを、第1の方向とは反対の方向に、幅の[(M-1)N+1]倍だけ移動させることを更に含み、Mは第1の方向に間隔を空けて配置されたプローブスポットの数であり、Nは幅の単位での第1の方向のプローブスポットのピッチである。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態によれば、方法は、プローブスポットを、第2の方向とは反対の方向に第2の距離だけ移動させることを更に含む。
【0020】
[0020] 本明細書には、記録された命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品が開示され、命令は、コンピュータによって実行されるとき、上記の方法のうちのいずれかを実装する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】[0021]本開示の実施形態に適合する、荷電粒子ビーム検査を実施するように構成された装置を概略的に示す図である。
【
図2A】[0022]荷電粒子の複数のビームを使用して荷電粒子ビーム検査を実施するように構成された装置を概略的に示す図であり、複数のビームにおける荷電粒子は単一のソースからのものである(「マルチビーム」装置)。
【
図2B】[0023]代替のマルチビーム装置を概略的に示す図である。
【
図2C】[0024]代替のマルチビーム装置を概略的に示す図である。
【
図3A】[0025]本開示のいくつかの実施形態に従った、荷電粒子の複数のビームを使用してサンプルを検査することを概略的に示す図である。
【
図3B】[0025] 本開示のいくつかの実施形態に従った、荷電粒子の複数のビームを使用してサンプルを検査することを概略的に示す図である。
【
図3C】[0026]時間期間T1、T2、及びT3のうちの1つの間の、サンプルに対する
図3A及び
図3Bにおけるプローブスポットのうちの1つの移動を概略的に示す図である。
【
図3D】[0027]時間期間T1、T2、及びT3の間の、絶対基準フレームに対する
図3A及び
図3Bにおけるプローブスポットのうちの1つの移動を概略的に示す図である。
【
図4A】[0028]本開示のいくつかの実施形態に従った、荷電粒子の複数のビームを使用してサンプルを検査することを概略的に示す図である。
【
図4B】[0029]本開示のいくつかの実施形態に従った、絶対基準フレームに対するプローブスポット及びサンプルの移動を概略的に示す図である。
【
図5】[0030]荷電粒子の1つ以上のビームによってサンプル上に形成される複数のプローブスポットを使用して、サンプルを検査する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0031] サンプル(例えば、基板及びパターニングデバイス)を検査するための様々な技法が存在する。1つの種類の検査技法は光学検査であり、光ビームが基板又はパターニングデバイスに誘導され、光ビームとサンプルのインタラクション(例えば、散乱、反射、回折)を表す信号が記録される。別の種類の検査技法は荷電粒子ビーム検査であり、荷電粒子(例えば、電子)がサンプルに誘導され、荷電粒子とサンプルのインタラクション(例えば、二次放出又は後方散乱放出)を表す信号が記録される。
【0023】
[0032] 本明細書で使用される場合、特に記載のない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除き、すべての可能な組み合わせを包含する。例えば、データベースがA又はBを含むことができると示されている場合、特に指定のない限り、又は実行不可能でない限り、データベースはA、又はB、又はA及びBを含むことができる。第2の例として、データベースがA、B、又はCを含むことができると示されている場合、特に指定のない限り、又は実行不可能でない限り、データベースはA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことができる。
【0024】
[0033]
図1は、本開示の実施形態に適合する、荷電粒子ビーム検査を実施することが可能な装置100を概略的に示す。
図1を参照すると、装置100は、自由空間内に荷電粒子を発生させることが可能なソース10、ビーム抽出電極11、コンデンサレンズ12、ビームブランキング偏向器13、アパーチャ14、スキャン偏向器15、及び対物レンズ16などの、荷電粒子のビームを生成及び制御するように構成された、コンポーネントを含むことができる。装置100は、荷電粒子のビームとサンプルのインタラクションを表す信号を検出するように構成された、コンポーネントを含むことができる。こうしたコンポーネントは、E×B荷電粒子迂回デバイス17及び信号検出器21を含むことができる。装置100は、信号を処理するように、又は他のコンポーネントを制御するように構成された、プロセッサなどのコンポーネントを含むこともできる。
【0025】
[0034] 検査プロセスの一例において、荷電粒子のビーム18が、ステージ30上に位置決めされたサンプル9(例えば、ウェーハ又はマスク)に誘導される。ビーム18とサンプル9のインタラクションを表す信号20が、E×B荷電粒子迂回デバイス17によって信号検出器21へと案内される。プロセッサは、ステージ30を移動させるか、又はビーム18にスキャンさせることができる。
【0026】
[0035] 荷電粒子ビーム検査は、荷電粒子ビーム検査において使用される荷電粒子が光学検査において使用される光よりも短い波長を有するため、光学検査よりも高い解像度を有することができる。デバイス製造プロセスが進化するにつれて、基板及びパターニングデバイス上のパターンの寸法が小さくなればなるほど、荷電粒子ビーム検査は広く使用されるようになる。荷電粒子ビーム検査のスループットは、使用される荷電粒子間でのインタラクション(例えば、クーロン効果)に起因して、相対的に低い。荷電粒子の複数のビームを使用して、スループットを増加させることができる。
【0027】
[0036] 一例において、荷電粒子の複数のビームがサンプル上の複数の領域を同時にスキャンすることが可能である。複数のビームのスキャンは同期されるか又は独立していることができる。複数の領域はそれらの間に重複を有すること、連続エリアをカバーするためにタイル表示されること、又は互いに分離されること、ができる。ビームとサンプルのインタラクションから生成される信号は、複数の検出器によって収集することができる。検出器の数は、ビームの数よりも少ない、ビームの数に等しい、又はビームの数よりも多いことができる。複数のビームは個別に制御するか、又はまとめて制御することができる。
【0028】
[0037] 荷電粒子の複数のビームは、サンプルの表面上に複数のプローブスポットを形成することができる。プローブスポットは、表面上の複数の領域をそれぞれ、又は同時にスキャンすることができる。ビームの荷電粒子は、プローブスポットの位置から信号を生成することができる。信号の1つの例が二次電子である。二次電子は、通常、50eVよりも少ないエネルギーを有する。信号の別の例は、ビームの荷電粒子が電子であるときの、後方散乱電子である。後方散乱電子は、ビームの電子の着地エネルギーに近いエネルギーを有することができる。プローブスポットの位置からの信号は、複数の検出器によってそれぞれ、又は同時に収集することができる。
【0029】
[0038] 複数のビームは、複数のソースからそれぞれ、又は単一ソースからのものとすることができる。ビームが複数のソースからのものである場合、複数のコラムがビームをスキャンして表面上に合焦させ、ビームによって生成された信号はそれぞれコラム内の検出器によって検出することができる。複数のソースからのビームを使用する装置を、マルチコラム装置と呼ぶことができる。コラムは独立しているか、又は、多軸磁性又は電磁化合物の対物レンズを共有することができる(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,294,095号を参照のこと)。マルチコラム装置によって生成されるプローブスポットは、30~50mmの大きさの距離だけ間隔を空けて配置することができる。
【0030】
[0039] ビームが単一ソースからのものである場合、ソース変換ユニットを使用して、単一ソースの複数の仮想イメージ又は実イメージを形成することができる。イメージ及び単一ソースの各々は、ビームの放出器と見なすことができる(ビームレットのすべてが同じソースからのものである場合、「ビームレット」とも呼ばれる)。ソース変換ユニットは、荷電粒子を単一ソースから複数ビームレットに分割することが可能な複数の開口を伴う、導電層を有することができる。ソース変換ユニットは、単一ソースの複数の仮想イメージ又は実イメージを形成するようにビームレットに影響を与えることが可能な、光学要素を有することができる。イメージの各々は、ビームレットのうちの1つを放出するソースと見なすことができる。ビームレットは、ミクロン単位の距離だけ間隔を空けて配置することができる。投影システム及び偏向スキャンユニットを有することができる単一のコラムを使用して、ビームレットをスキャンし、サンプルの複数領域上に合焦させることができる。ビームレットによって生成される信号は、単一コラム内部の検出器の複数検出要素によってそれぞれ検出することができる。単一ソースからのビームを使用する装置は、マルチビーム装置と呼ぶことができる。
【0031】
[0040] 単一ソースのイメージを形成するために、少なくとも2つの方法が存在する。第1の方法では、各光学要素は、1つのビームレットを合焦させ、それによって1つの実イメージを形成する、静電マイクロレンズを有する(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,244,949号を参照のこと)。第2の方法では、各光学要素は、1つのビームレットを偏向させ、それによって1つの仮想イメージを形成する、静電マイクロ偏向器を有する(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,943,349号及び米国特許出願第15/065,342号を参照のこと)。実イメージの方が高い電流密度を有し得るため、第2の方法における荷電粒子間のインタラクションは、第1の方法における荷電粒子間のインタラクションよりも弱い可能性がある。
【0032】
[0041]
図2Aは、荷電粒子の複数のビームを使用して荷電粒子ビーム検査を実施することが可能な装置400を概略的に示し、複数のビームにおける荷電粒子は単一のソースからのものである(マルチビーム装置)。装置400は、自由空間内に荷電粒子を発生させることが可能なソース401を有する。一例において、荷電粒子は電子であり、ソース401は電子銃である。装置400は、荷電粒子を用いてサンプル407の表面上に複数のプローブスポットを生成すること、及び、サンプル407の表面上のプローブスポットをスキャンすることが可能な、光学システム419を有する。光学システム419は、コンデンサレンズ404と、コンデンサレンズ404に関してアップストリーム又はダウンストリームにある主アパーチャ405と、を有することができる。本明細書で使用される「コンポーネントAはコンポーネントBに関してアップストリームにある」という表現は、装置の通常動作において、荷電粒子のビームがコンポーネントBに到達する前にコンポーネントAに到達することを意味する。本明細書で使用される「コンポーネントBはコンポーネントAに関してダウンストリームにある」という表現は、装置の通常動作において、荷電粒子のビームがコンポーネントAに到達した後にコンポーネントBに到達することを意味する。光学システム419は、ソース401の複数の仮想イメージ(例えば、仮想イメージ402及び403)を形成するように構成されたソース変換ユニット410を有する。仮想イメージ及びソース401は各々、ビームレット(例えば、ビームレット431、432、及び433)の放出器と見なすことができる。ソース変換ユニット410は、ソース401からの荷電粒子を複数のビームレットに分割することが可能な複数の開口を伴う導電層412、及び、ソース401の仮想イメージを形成するようにビームレットに影響を与えることが可能な光学要素411を有することができる。光学要素411は、ビームレットを偏向させるように構成されたマイクロ偏向器とすることができる。ビームレットの電流は、導電層412内の開口のサイズ、又はコンデンサレンズ404の合焦力によって、影響を受ける可能性がある。光学システム419は、複数のビームレットを合焦させ、それによってサンプル407の表面上に複数のプローブスポットを形成するように構成された、対物レンズ406を含む。ソース変換ユニット410は、プローブスポットの収差(例えば、フィールド曲率及び非点収差)を減少させるか又は無くすように構成された、マイクロ補償器も有することができる。
【0033】
[0042]
図2Bは、代替のマルチビーム装置を概略的に示す。コンデンサレンズ404は、ソース401からの荷電粒子をコリメートする。ソース変換ユニット410の光学要素411は、マイクロ補償器413を備えることができる。マイクロ補償器413は、マイクロ偏向器から分離しているか、又はマイクロ偏向器と一体化していることができる。分離している場合、マイクロ補償器413はマイクロ偏向器のアップストリームに位置決めすることができる。マイクロ補償器413は、コンデンサレンズ404又は対物レンズ406のオフアクシス収差(例えば、フィールド曲率、非点収差、又はディストーション)について補償するように構成される。オフアクシス収差は、オフアクシス(すなわち、装置の1次光軸に沿っていない)ビームレットによって形成されるプローブスポットのサイズ又は位置に、悪影響を及ぼす可能性がある。対物レンズ406のオフアクシス収差は、ビームレットの偏向によって完全に無くならない可能性がある。マイクロ補償器413は、対物レンズ406のオフアクシス収差の残余(すなわち、ビームレットの偏向によって無くならないオフアクシス収差の部分)、又はプローブスポットのサイズの不均一性について、補償することができる。マイクロ補償器413の各々は、導電層412内の開口のうちの1つと位置合わせされる。マイクロ補償器413は、各々が4つ又はそれ以上のポールを有することができる。ビームレットの電流は、導電層412内の開口のサイズ及び/又はコンデンサレンズ404の位置によって、影響を受ける可能性がある。
【0034】
[0043]
図2Cは、代替のマルチビーム装置を概略的に示す。ソース変換ユニット410の光学要素411は、事前屈曲マイクロ偏向器414を備えることができる。本例における事前屈曲マイクロ偏向器414は、導電層412内の開口を通過する前にビームレットを屈曲させるように構成された、マイクロ偏向器である。
【0035】
[0044] 単一ソースからの荷電粒子の複数のビームを使用する装置の付加的な説明は、米国特許出願公開第2016/0268096号、第2016/0284505号、及び2017/0025243号、米国特許第9607805号、米国特許出願第15/365,145号、第15/213,781号、第15/216,258号、及び第62/440,493号、並びに、PCT出願第PCT/US17/15223号で見ることが可能であり、それらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
[0045] サンプル(例えば、基板又はパターニングデバイス)の特定の領域が荷電粒子のビームを用いて検査されることになるとき、ビームによって生成されるプローブスポット又はサンプルを、プローブスポットが特定の領域内に存在するように移動させることができる。サンプル全体にわたってプローブスポットを移動させることは、ビームを屈曲させることによって相対的に高速とすることができる。
図1の装置100の例では、スキャン偏向器15に電気信号を印加することによって、ビーム18を屈曲させることができる。サンプルを移動させることは、その移動が機械的である(例えば、可動ステージを介する)ため、相対的に低速である。偏向器に印加される電気信号はサンプルの機械的移動よりも容易に制御できるため、プローブスポットの移動の確度及び精度は、サンプルの移動の確度及び精度よりも高い可能性がある。また、サンプルの慣性及びサンプルを移動させるように構成された任意の機械的機構により、及び、サンプルの機械的移動のヒステリシスにより、サンプルの移動の変更は、プローブスポットの移動の変更よりも困難である。少なくともこれらの理由により、プローブスポット及びサンプルの相対的位置が変更されるとき、プローブスポットを移動させることはサンプルを移動させることよりも好ましい。例えば、プローブスポットの移動レンジが制限されることに起因して、サンプルを移動させなければならないとき、サンプルを一定の速さ(一定の大きさ及び一定の方向の両方)で移動させることは、サンプルを様々な速さで移動させることよりも好ましい。
【0037】
[0046]
図3A及び
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態に従った、荷電粒子の複数のビームを使用してサンプルを検査することを概略的に示す。
図3A及び
図3Bに示される本例では、4つのビームがサンプル上に4つのプローブスポット310A~310Dを生成する。
図3Aは、サンプルに対する4つのプローブスポット310A~310Dの移動を示す。
図3Bは、絶対基準フレームに対する4つのプローブスポット310A~310D及びサンプルの移動を示す。4つのプローブスポット310A~310Dは行内に配置可能であるが、必ずしもこの限りではない。図示された例において、4つのプローブスポットの直径はWである。しかしながら、いくつかの実施形態において、プローブスポットの直径は必ずしも同じではない。本例に示される検査されるべき領域300の形状は長方形であるが、必ずしもこの限りではない。説明の便宜上、絶対基準フレーム内には2つの方向x及びyが定義されている。x及びyの方向は、相互に直交する。
図3Bに示されるように、時間期間T1の間、サンプルは絶対基準フレームに対してy方向に長さKだけ移動するが、絶対基準フレームに対しx方向には移動せず、4つのプローブスポット310A~310Dは、絶対基準フレームに対してy方向に長さKだけ移動し、絶対基準フレームに対してx方向に長さLだけ移動する。これに対応して、
図3Aに示されるように、時間期間T1の間、4つのプローブスポット310A~310Dは、サンプルに対してy方向の移動はゼロであり、サンプルに対してx方向には長さLだけ移動する。したがって、時間期間T1の間、4つのプローブスポット310A~310Dは、y方向にサンプルと同じ速さで移動する。
【0038】
[0047] 開示された実施形態において、時間期間T1の間のプローブスポット310A~310Dの移動方向は同じである必要はない。時間期間T1の間にプローブスポット310A~310Dが移動する長さは同じである必要はない。プローブスポット310A~310Dは、互いに関連して移動する場合、又は互いに関連して移動しない場合がある。
【0039】
[0048]
図3A及び
図3Bに示された例では、時間期間T1の間、4つのサブ領域300Aは4つのプローブスポット310A~310Dによって検査される。時間期間T1の終わりに、4つのプローブスポット310A~310Dは、絶対基準フレームに対してx方向に長さLだけ、ほぼ瞬間的に移動し、絶対基準フレームに対してy方向に幅W(すなわち、4つのプローブスポット310A~310Dのうちの1つの幅)だけ、ほぼ瞬間的に移動する。この移動は、この移動の間のサンプルの移動が無視できるほどであるように、十分迅速である。代替として、この移動に必要な時間は時間期間T1に含まれる。したがって、サンプルに対して、4つのプローブスポット310A~310Dはサブ領域300Bの終わりまで移動し、サブ領域300Bはサブ領域300Aに隣接し得る。
【0040】
[0049] 時間期間T2及びT3の間、4つのプローブスポット310A~310D及びサンプルは、時間期間T1の間と同様に移動する。このようにして、4つのサブ領域300B及び4つのサブ領域300Cは、それぞれ、4つのプローブスポット310A~310Dによって検査される。
【0041】
[0050] 時間期間T2の終わりに、4つのプローブスポット310A~310Dは、時間期間T1の終わりと同じように、サブ領域300Cの終わりに移動する。サブ領域300Cはサブ領域300Bに隣接し得る。
【0042】
[0051]
図3A及び
図3Bに示された例では、4つのプローブスポット310A~310Dのx方向のピッチSは3Wに等しい。したがって、時間期間T3の終わりに、検査されるサブ領域300A~300Cの組み合わせはx方向にギャップを有さない。時間期間T3の終わりに、4つのプローブスポット310A~310Dは、絶対基準フレームに対して-x方向に長さLだけ、ほぼ瞬間的に移動し、絶対基準フレームに対して-y方向に10Wだけ、ほぼ瞬間的に移動する。この移動は、この移動の間のサンプルの移動が無視できるほどであるように、十分迅速である。したがって、サンプルに対して、4つのプローブスポット310A~310Dはサブ領域300Dの終わりまで移動し、そのうちの1つはサブ領域300Cのうちの1つに隣接し得る。この移動の後、4つのプローブスポット310A~310Dは、絶対基準フレームに対して時間期間T1の初めと同じ位置にある。追加のサブ領域(例えば、300D)は、追加の時間期間(例えば、時間期間T4)の間、4つのプローブスポット310A~310Dによって検査することができる。
【0043】
[0052] 時間期間T1~T3の始まりから終わりまでに、サンプルは絶対基準フレームに対してy方向に3Kだけ移動し、4つのプローブスポット310A~310Dは絶対基準フレームに対してy方向の移動はゼロであり、4つのプローブスポット310A~310Dはサンプルに対して-y方向に12Wだけ移動する。したがって、3Kは12Wに等しく、すなわちKは4Wに等しい。時間期間T1~T3の間のサンプルの速さは一定のままであり得る。
【0044】
[0053] 一般化するために、プローブスポットの数がMであり、x方向のプローブスポットのピッチがS=NWであるとき、Nは2に等しいか又は2より大きい整数であり、x方向にギャップを有さないために検査されるサブ領域の組み合わせに必要な時間期間の数はNであり、時間期間の各々の間にサンプルが進行する距離KはMWに等しい。
図3A及び
図3Bの例では、N=3、M=4、及びK=4Wである。
【0045】
[0054]
図3Cは、時間期間T1、T2、及びT3のうちの1つの間の、サンプルに対するプローブスポット310A~310Dのうちの1つの移動を概略的に示す。サンプルに対して、プローブスポットは、この時間期間の間、x方向にのみ距離Lだけ移動するが、y方向には移動しない。
図3Dは、その時間期間の間の、絶対基準フレームに対するプローブスポットの移動を概略的に示す。絶対基準フレームに対してプローブスポットは、この時間期間の間、x方向に距離Lだけ移動し、y方向に距離Kだけ移動する。絶対基準フレームに対して、プローブスポットの移動方向及びサンプルの移動方向は、角度θ=arctan(L/K)を有する。
【0046】
[0055]
図4Aは、本開示の例示的実施形態に従った、荷電粒子の複数のビームを使用してサンプルを検査することを概略的に示す。示された本例において、複数のビームはサンプル上に複数のプローブスポットを生成する。絶対基準フレームに対するプローブスポット及びサンプルの移動は、
図4Aに示されている。プローブスポットは、1つ以上の行に配置され得るが、必ずしもこの限りではない。本例に示される、検査されるべき領域510、520、及び530の形状は長方形であるが、必ずしもこの限りではない。便宜上、2つの方向x及びyは絶対基準フレーム内に定義される。x及びy方向は相互に直交する。領域510、520、及び530は、x方向に沿って互いに関連してオフセットされる。更に、領域510、520、及び530の各々は、y方向に延在する。
【0047】
[0056] 時間期間T10の間、領域510は
図3A~
図3Dの実施形態に従って、プローブスポットによって検査される。サンプルは、時間期間T10の間、y方向に移動する。プローブスポットは、時間期間T10の間、y方向にサンプルと同じ速さで移動する。時間期間T10の終わりに、
図3Bにおける時間期間T3の終わりと同様に、プローブスポットは、プローブスポットが絶対基準フレームに対して時間期間T10の始まりと同じ位置にあるように、絶対基準フレームに対して-y方向に、ほぼ瞬間的に移動する。その後、サンプルは、プローブスポットが領域520のサブ領域の終わりに位置決めされるように移動し、サブ領域のうちの少なくとも1つはy方向に領域520のエッジにある。
【0048】
[0057] 時間期間T20の間、領域520は、時間期間T10の間と同様に検査され、サンプル及びプローブスポットはy方向に同じ速さで移動する。時間期間T20の終わりに、
図3Bにおける時間期間T3の終わりと同様に、プローブスポットは、プローブスポットが絶対基準フレームに対して時間期間T20の始まりと同じ位置にあるように、絶対基準フレームに対して-y方向に、ほぼ瞬間的に移動する。その後、サンプルは、プローブスポットが領域530のサブ領域の終わりに位置決めされるように移動し、サブ領域のうちの少なくとも1つはy方向に領域530のエッジにある。
【0049】
[0058] 時間期間T30の間、領域530は、時間期間T10の間と同様に検査され、サンプル及びプローブスポットはy方向に同じ速さで移動する。
【0050】
[0059]
図4Aに示される領域510、520、及び530の検査の間、サンプルは1つの方向(すなわち、y方向)に移動する。サンプルを同じ移動方向に連続して移動させることによって、サンプルの機械的移動におけるヒステリシスの影響を低減させることができる。
【0051】
[0060]
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態に従った、絶対基準フレームに対するプローブスポット及びサンプルの移動を概略的に示す。
【0052】
[0061] 時間期間T10の間、領域510は
図3A~
図3Dの実施形態に従って、プローブスポットによって検査される。サンプルは、時間期間T10の間、y方向に移動する。プローブスポット及びサンプルは、時間期間T10の間、y方向に同じ速さで移動する。時間期間T10の終わりに、
図3Bにおける時間期間T3の終わりと同様に、プローブスポットは、プローブスポットが絶対基準フレームに対して時間期間T10の始まりと同じ位置にあるように、絶対基準フレームに対して-y方向に、ほぼ瞬間的に移動する。その後、サンプルは、プローブスポットが領域520のサブ領域の終わりに位置決めされるように移動し、サブ領域のうちの少なくとも1つは-y方向に領域520の極端にある。
【0053】
[0062] 時間期間T20の間、領域520は
図3A~
図3Dの実施形態に従って、プローブスポットによって検査される。サンプルは、時間期間T20の間、-y方向に移動する。プローブスポット及びサンプルは、時間期間T20の間、-y方向に同じ速さで移動する。時間期間T20の終わりに、
図3Bにおける時間期間T3の終わりと同様に、プローブスポットは、プローブスポットが絶対基準フレームに対して時間期間T20の始まりと同じ位置にあるように、絶対基準フレームに対してy方向に、ほぼ瞬間的に移動する。その後、サンプルは、プローブスポットが領域530のサブ領域の終わりに位置決めされるように移動し、サブ領域のうちの少なくとも1つは-y方向に領域530のエッジにある。
【0054】
[0063] 時間期間T30の間、領域530は、時間期間T10の間と同様に検査され、サンプル及びプローブスポットはy方向に同じ速さで移動する。
【0055】
[0064]
図4Bに示される領域510、520、及び530の検査の間、サンプルは前後に(すなわち、-y方向及びy方向の両方に)移動する。
図4Bに示されるサンプルの移動距離は、
図4Aに示されるサンプルの移動距離よりも短い。
【0056】
[0065]
図5は、荷電粒子の1つ以上のビームによってサンプル上に形成される複数のプローブスポットを使用して、サンプルを検査する方法のフローチャートである。ステップ610において、サンプルは、第1の方向(例えば、y方向)に第1の距離(例えば、距離K)だけ移動され(サブステップ611)、同じ時間期間の間に、サンプルが移動されるとき、プローブスポットは、第1の方向に第1の距離だけ(サブステップ612)、及び第2の方向(例えば、x方向)に第2の距離(例えば、距離L)だけ(サブステップ613)移動される。サンプルの表面上でプローブスポットが移動される間、プローブスポットにおける荷電粒子及びサンプルのインタラクション(例えば、二次放出又は後方散乱放出)を記録することができる。ステップ620において、ステージがサンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させた後、プローブスポットは、第1の方向とは反対の方向(例えば、-y方向)に第3の距離だけ移動され(サブステップ621)、第3の距離は、第1の距離からプローブスポットのうちの1つの幅(例えば、幅W)を差し引いた距離に等しく、任意選択として、プローブスポットは、第2の方向とは反対の方向(例えば、-x方向)に、第2の距離だけ移動される(任意選択サブステップ622)。その後フローは、次の反復を開始できるようにステップ610に戻る。
【0057】
[0066] 任意選択ステップ630において、サンプル上の領域が荷電粒子の1つ以上のビームによって検査された旨の決定と同時に、フローは任意選択ステップ640に進む。任意選択ステップ640において、プローブスポットは第1の方向とは反対の方向(例えば、-y方向)に第4の距離だけ移動され(任意選択サブステップ641)、第4の距離は、プローブスポットのうちの1つの幅(例えば、幅W)の[(M-1)N+1]倍に等しく、任意選択として、プローブスポットは、第2の方向とは反対の方向(例えば、-x方向)に第2の距離だけ移動される(任意選択サブステップ642)。ここで、Mは、第1の方向に間隔を空けて配置されるプローブスポットの数であり、Nは、プローブスポットのうちの1つの幅(例えば、幅W)の単位での第1の方向のプローブスポットのピッチである。その後、次の反復を開始できるようにステップ610に戻る。
【0058】
[0067]1. ソース、ステージ、及び光学システムを備える装置であって、
ソースは、荷電粒子を放出するように構成され、
ステージは、その上のサンプルを支持するように構成され、及び、サンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させるように構成され、
光学システムは、
荷電粒子を用いてサンプル上にプローブスポットを形成するように構成され、
ステージがサンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動する間に、プローブスポットを、(i)第1の方向に第1の距離だけ及び(ii)第2の方向に第2の距離だけ、移動させるように構成され、
ステージがサンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させた後、プローブスポットを、第1の方向とは反対の方向に、第1の距離からプローブスポットのうちの1つの幅を差し引いた距離にほぼ等しい第3の距離だけ、移動させるように構成される、装置。
【0059】
2.荷電粒子は電子を含む、条項1に記載の装置。
【0060】
3.プローブスポットにおける荷電粒子及びサンプルのインタラクションを表す信号を記録するように構成された、検出器を更に備える、条項1及び2のいずれか一項に記載の装置。
【0061】
4.信号は、二次電子、後方散乱電子、オージェ電子、X線、及びカソードルミネッセンスのうちの少なくとも1つを含む、条項3に記載の装置。
【0062】
5.光学システムは、プローブスポットを、第2の方向とは反対の方向に第2の距離だけ移動させるように構成される、条項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【0063】
6.プローブスポットは、第1の方向に間隔を空けて配置され、
Mはプローブスポットの数であり、
Nは第1の方向のプローブスポットのピッチであり、
Nは整数であり、プローブスポットのうちの1つの幅の単位で測定され、
光学システムは、プローブスポットが、第1の方向とは反対の方向にピッチだけ移動された後、プローブスポットを第1の方向とは反対の方向に第4の距離だけ移動させるように更に構成され、
第4の距離は、プローブスポットのうちの1つの幅の[(M-1)N+1]倍にほぼ等しい、条項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【0064】
7.光学システムは、レンズ、非点収差補正装置、及び偏向器のうちの1つ以上を含む、条項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【0065】
8.サンプルを第1の方向に第1の距離だけ移動させること、
サンプルが第1の方向に第1の距離だけ移動されている間に、サンプル上のプローブスポットを、(i)第1の方向に第1の距離だけ、及び(ii)第2の方向に第2の距離だけ、同時に移動させることであって、プローブスポットは、荷電粒子の1つ以上のビームによってサンプル上に形成される、移動させること、及び、
サンプルが第1の方向に第1の距離だけ移動された後、プローブスポットを、第1の方向とは反対の方向に第3の距離だけ移動させることであって、第3の距離は、第1の距離からプローブスポットのうちの1つの幅を差し引いた距離にほぼ等しい、移動させること、
を含む、方法。
【0066】
9.荷電粒子は電子を含む、条項8に記載の方法。
【0067】
10.プローブスポットにおける荷電粒子及びサンプルのインタラクションを表す信号を記録することを更に含む、条項8及び9のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
11.信号は、二次電子、後方散乱電子、オージェ電子、X線、及びカソードルミネッセンスのうちの少なくとも1つを含む、条項10に記載の方法。
【0069】
12.プローブスポットを、第2の方向とは反対の方向に第2の距離だけ移動させることを更に含む、条項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
13.プローブスポットは、第1の方向に間隔を空けて配置され、
Mはプローブスポットの数であり、
Nは第1の方向のプローブスポットのピッチであり、
Nは整数であり、プローブスポットのうちの1つの幅の単位で測定され、
方法は、プローブスポットが、第1の方向とは反対の方向にピッチだけ移動された旨を決定した後、プローブスポットを第1の方向とは反対の方向に第4の距離だけ移動させることを更に含み、
第4の距離は、プローブスポットのうちの1つの幅の[(M-1)N+1]倍にほぼ等しい、条項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
14.プローブスポットを、第2の方向とは反対の方向に第2の距離だけ移動させることを更に含む、条項13に記載の方法。
【0072】
15.コンピュータによって実行されるとき、コンピュータに条項8から14のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を有する、非一時的コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品。
【0073】
[0068] 上記の開示はマルチビーム装置(すなわち、荷電粒子の複数のビームを使用して荷電粒子ビーム検査を実施することが可能な装置であり、複数のビームにおける荷電粒子は単一ソースからのものである)に関するものであるが、実施形態はマルチコラム装置(すなわち、荷電粒子の複数のビームを使用して荷電粒子ビーム検査を実施することが可能な装置であり、荷電粒子の複数のビームは複数のソースから発生する)においても適用可能とすることができる。マルチコラム装置の付加的な説明は、米国特許第8,294,095号に見ることが可能であり、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
[0069] 本明細書に開示される概念は、シリコンウェーハなどのサンプル又はクロムオンガラスなどのパターニングデバイス上での検査に使用可能である一方で、開示された概念は、任意のタイプのサンプル、例えば、シリコンウェーハ以外のサンプルの検査と共に使用可能であることを理解されたい。
【0075】
[0070] 上記の説明は、限定的ではなく例示的であるものと意図されるしたがって、当業者であれば、下記に示される特許請求の範囲の範囲を逸脱することなく、説明されたように修正可能であることが明らかとなろう。