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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】測定装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/28 20060101AFI20240119BHJP
【FI】
G01B5/28 102
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020079379
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021173694
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】榎本 雅人
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509199(JP,A)
【文献】特開2012-037696(JP,A)
【文献】特開2016-162259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00- 5/30
G01B 21/00-21/32
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元コードをスキャンする2次元コードスキャナと、
前記2次元コードスキャナから、ワークの測定を行うための設定内容の情報を含む設定用2次元コードをスキャンして得られた情報を取得し、前記設定内容に基づいて、データ処理部に前記ワークの測定のための設定を行うプレイバックファイルを作成するプレイバックファイル作成手段と、
前記プレイバックファイルを読み出すためのコードを含むプレイバック用2次元コードを作成する2次元コード作成手段と、
前記2次元コードスキャナを用いて前記プレイバック用2次元コードをスキャンしたときに、前記プレイバックファイルを読み出して前記データ処理部に対して測定のための設定を行う測定制御手段と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記測定装置は、表面粗さ測定装置であり、
前記設定用2次元コードは、前記ワークの表面の機能に関する設定内容を含む、請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
2次元コードスキャナから、ワークの測定を行うための設定内容の情報を含む設定用2次元コードをスキャンして得られた情報を取得し、前記設定内容に基づいて、データ処理部に前記ワークの測定のための設定を行うプレイバックファイルを作成するステップと、
前記プレイバックファイルを読み出すためのコードを含むプレイバック用2次元コードを作成するステップと、
前記2次元コードスキャナを用いて前記プレイバック用2次元コードをスキャンしたときに、前記プレイバックファイルを読み出して前記データ処理部に対して測定のための設定を行うステップと、
を備える測定装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定装置及びその制御方法に係り、特に測定装置において測定条件等の設定を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物の製造工程では、その物の表面形状、輪郭、真円度等の性状の測定(検査)が行われる。物(以下、ワークという。)の性状の測定を行う際には、測定装置において、測定条件、測定の手順及び測定結果の出力方式等の各種の設定を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-137405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークの性状の測定のための測定条件等の設定は、下記のようにして行われる。まず、データ処理部により、測定条件、測定の手順及び測定結果の出力方式等の設定内容を入力し、データ処理部の内部メモリ、又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等のリムーバブルメディアに設定内容を保存する。次に、この内部メモリ又はリムーバブルメディアから設定内容を読み込んだ後、測定部を用いて設定内容に基づくワークの測定を行う。
【0005】
しかしながら、データ処理部の内部メモリを用いる場合には、保存可能な設定の数は内部メモリに制限される。また、近年、情報セキュリティポリシーが重要視されており、物の製造工程においてリムーバブルメディアの使用が制限されつつある。このため、リムーバブルメディアを用いた設定を行うことが困難となっている。
【0006】
測定条件等の設定の別の方法としては、外部装置を測定装置と通信可能に接続し、この外部装置からリモートで測定装置の設定を行うものがある。
【0007】
しかしながら、測定条件等の設定内容には多数の項目が含まれており、これらの項目は測定対象のワークの性状に応じて異なる。このため、上記のいずれの方法であっても、オペレータが外部装置を操作してこれら多数の項目を設定するのは困難であり、また、ミスが発生しやすいという問題がある。
【0008】
特許文献1には、画像測定装置において、測定の手順を記述したパートプログラムをオフラインティーチングによって生成するパートプログラム生成装置が開示されている。特許文献1では、ワークのCAD(Computer-Aided Design)データを読み込んで、測定対象の測定要素に対応した図形の種類ごとに適用されるエッジ検出ツールの生成条件及び撮像倍率を含む測定条件を設定する。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、測定要素の種類(線、円、円弧等)ごとに、エッジ検出ツールのツールタイプ、ツール数、長さ等のエッジ検出ツール生成条件を設定する必要がある。このため、測定条件等の設定を簡略化して、ミスの発生を抑制することはできなかった。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ワークの測定条件等の設定を簡略化し、測定を効率化することが可能な測定装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る測定装置は、2次元コードをスキャンする2次元コードスキャナと、2次元コードスキャナから、ワークの測定を行うための設定内容の情報を含む設定用2次元コードをスキャンして得られた情報を取得し、設定内容に基づいて、データ処理部にワークの測定のための設定を行うプレイバックファイルを作成するプレイバックファイル作成手段と、プレイバックファイルを読み出すためのコードを含むプレイバック用2次元コードを作成する2次元コード作成手段と、2次元コードスキャナを用いてプレイバック用2次元コードをスキャンしたときに、プレイバックファイルを読み出してデータ処理部に対して測定のための設定を行う測定制御手段とを備える。
【0012】
本発明の第2の態様に係る測定装置は、第1の態様において、測定装置は、表面粗さ測定装置であり、設定用2次元コードは、ワークの表面の機能に関する設定内容を含む。
【0013】
本発明の第3の態様に係る測定装置の制御方法は、2次元コードスキャナから、ワークの測定を行うための設定内容の情報を含む設定用2次元コードをスキャンして得られた情報を取得し、設定内容に基づいて、データ処理部にワークの測定のための設定を行うプレイバックファイルを作成するステップと、プレイバックファイルを読み出すためのコードを含むプレイバック用2次元コードを作成するステップと、2次元コードスキャナを用いてプレイバック用2次元コードをスキャンしたときに、プレイバックファイルを読み出してデータ処理部に対して測定のための設定を行うステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設定用2次元コードを用いることにより、測定のための設定を自動化することができ、測定条件等の設定を簡略化することができる。そして、プレイバック用2次元コードを用いてプレイバックファイルを読み出して設定を行うため、測定条件等の設定のミスを防止することができ、測定を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る測定装置を示す図である。
図2図2は、図1の測定装置の制御系を示すブロック図である。
図3図3は、測定条件等の設定のためのプレイバックファイルの作成方法を示すフローチャートである。
図4図4は、図3におけるプレイバックファイルの作成ステップを示すフローチャートである。
図5図5は、プレイバックファイルを用いた表面粗さ測定の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係る測定装置の制御方法の実施の形態について説明する。
【0017】
[測定装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る測定装置を示す図である。図2は、図1の測定装置の制御系を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る測定装置10は、測定部100、データ処理部200及び2次元コードスキャナ300を備える。
【0019】
測定部100は、例えば、表面粗さ測定装置(例えば、株式会社東京精密製のSURFCOM(登録商標)シリーズ)である。測定部100は、ワークW(不図示)の表面に接触する触針102と、触針102のZ方向の変位を測定する変位検出器104とを備える。
【0020】
駆動部108(図2参照)は、Z方向に立設されたコラム106にZ方向に移動可能に取り付けられている。このコラム106は、ワークWが載置されるテーブル110に固定されている。
【0021】
駆動部108は、測定部100をコラム106に沿ってZ方向に移動させるためのアクチュエータと、触針102及び変位検出器104とコラム106とをXY方向に相対移動させるためのアクチュエータとを含んでいる。これらのアクチュエータは、コラム106内に内蔵されていてもよい。
【0022】
ワークWの表面粗さを測定する際には、まず、テーブル110にワークWを載置する。そして、測定部100の触針102をワークWの表面に接触させて、触針102をワークWの表面に沿って、例えば、X方向に移動させる。これにより、変位検出器104は、触針102のX方向の位置ごとの、触針102のZ方向の変位量(以下、表面粗さデータという。)を測定することが可能になる。
【0023】
2次元コードスキャナ300は、2次元コード(例えば、QR(Quick Response)コード(登録商標)等)を読み取るための装置であり、有線又は無線によりデータ処理部200と通信可能に接続されている。2次元コードスキャナ300は、例えば、読み取り窓から2次元コードに向けて赤色光を投光する光源(例えば、LED(Light Emitting Diode)等)と、撮像素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等)とを備える。
【0024】
データ処理部200は、測定部100を制御して、ワークWの表面粗さの測定を行う装置である。図1に示すように、データ処理部200は、信号ケーブル212を介して測定部100と接続されている。
【0025】
図2に示すように、データ処理部200は、操作部202、ディスプレイ204、プリンタ206、通信インターフェース(通信I/F)208、制御部210及びAD/DA変換器214を備えている、データ処理部200は、通信I/F208を介して、2次元コードスキャナ300及び外部装置500と通信可能となっている。
【0026】
制御部210は、測定部100及びデータ処理部200の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)と、制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として使用可能なSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)と、各種のデータを格納するストレージ(例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等)とを含んでいる。制御部210は、操作部202を介して操作者からの操作入力を受け付け、操作入力に応じた制御信号を各部に送信して、各部の動作を制御する。
【0027】
操作部202は、操作者からの操作入力を受け付ける手段(操作ボタン等)を含んでいる。なお、操作部202としては、ディスプレイ204の表面にタッチパネルを設けてもよい。
【0028】
ディスプレイ204は、例えば、測定部100及びデータ処理部200の操作のためのGUI(Graphical User Interface)、及びワークWの表面粗さの測定結果等を表示するための装置(例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等)等を備える。
【0029】
プリンタ206は、文字、グラフ(例えば、表面粗さ又は形状の測定結果を示すグラフ等)及び2次元コード等を印刷用紙(例えば、普通紙又は感熱紙等)に印刷する装置である。
【0030】
通信I/F208は、2次元コードスキャナ300及び外部装置500との間で通信を行う際に、通信の方式に応じて送受信するデータの変換処理を行う。なお、データ処理部200と、2次元コードスキャナ300及び外部装置500との間の通信方式は特に限定されない。通信方式としては、例えば、有線通信(例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルによる接続、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット接続等)又は無線通信(例えば、LAN、WAN、インターネット接続、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信等)を適用することができる。
【0031】
AD/DA変換器214は、制御部210から出力されるデジタルの駆動制御信号をアナログ信号に変換して測定部100に送信する。また、AD/DA変換器214は、測定部100から受信した測定結果を示すアナログの検出信号をデジタル信号に変換して制御部210に出力する。
【0032】
データ処理部200は、信号ケーブル212を介して、変位検出器104により測定された表面粗さデータを取得する。そして、制御部210は、表面粗さデータに基づいて、測定データ解析処理機能にてワークWの表面粗さの測定結果を算出し、ディスプレイ204、プリンタ206及び外部装置500に出力可能となっている。
【0033】
図1に示すように、データ処理部200には、外部装置500が通信可能に接続されている。外部装置500は、例えば、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等であり、制御部502、操作部504及び表示部506を備える。
【0034】
制御部502は、外部装置500の動作を制御するCPUと、制御プログラムを格納するROMと、CPUの作業領域として使用可能なSDRAMとを含んでいる。制御部502は、操作部504を介して操作者からの操作入力を受け付け、操作入力に応じた制御信号を各部に送信して、各部の動作を制御する。
【0035】
操作部504は、操作者からの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボードと、マウス、タッチパネル等のポインティングデバイスとを備える。
【0036】
表示部506は、例えば、外部装置500の操作のためのGUI(Graphical User Interface)、及び2次元コード等を表示するためのディスプレイ(例えば、LCD等)を備える。
【0037】
外部装置500には、文字及び2次元コード等を印刷用紙(例えば、普通紙又は感熱紙等)に印刷するためのプリンタ508が接続されている。
【0038】
[測定の手順]
以下、本実施形態に係る測定装置10を用いた測定の手順について説明する。
【0039】
本実施形態では、測定条件等の設定内容、及び測定の実行のための通信コマンドの情報を含む2次元コード(設定用2次元コード。例えば、QRコード(登録商標)等)があらかじめ用意されている。測定準備を行う際には、まず、設定用2次元コードを用いて、測定のためのプログラムを含むプレイバックファイルを作成する。そして、測定を実行する場合には、プレイバック用2次元コードを用いて、このプレイバックファイルを読み出して測定条件等を設定して測定を実行する。
【0040】
以下、測定準備段階及び測定実行段階について具体的に説明する。測定準備段階では、まず、2次元コードスキャナ300を用いて、設定用2次元コードを順次スキャンする。設定用2次元コードは、測定の内容、測定条件、及び測定部100に所定の動作を行わせるための通信コマンド等に対応して複数用意されている。2次元コードスキャナ300を用いてスキャンした設定用2次元コードに関する情報はデータ処理部200に送信される。
【0041】
図2に示すように、制御部210は、2次元コード作成機能、2次元コード復号機能、プレイバックファイル(PBファイル)作成機能、及び測定部100を制御する測定制御機能を有している。
【0042】
制御部210は、2次元コードスキャナ300を用いて読み取られた設定用2次元コードに関する情報を2次元コードスキャナ300から受信して、設定用2次元コードに含まれる情報を順次復号する。これにより、制御部210は、設定用2次元コードに記録された測定条件等の設定内容及び通信コマンド等を示すコード(文字列)を取得する(2次元コード復号機能)。
【0043】
次に、制御部210は、測定条件等の設定内容及び通信コマンド等を示すコードを用いてプレイバックファイルを作成する(PBファイル作成機能)。プレイバックファイルには、測定条件等の設定内容、及び通信コマンドを含む測定の実行のためのプログラムが含まれる。
【0044】
また、制御部210は、作成したプレイバックファイルをストレージに格納し、このプレイバックファイルを読み出すためのコード(例えば、ファイルを特定するための情報(ファイル名、パス(path)等)を含む文字列等)を含むプレイバック用2次元コードを作成する(2次元コード作成機能)。このプレイバック用2次元コードを作成してディスプレイ204又はプリンタ206から出力される。なお、プレイバックファイルは、データ処理部200とは別の外部ストレージ又はデータベースに格納されるようにしてもよい。
【0045】
測定を行う際(測定実行段階)には、2次元コードスキャナ300を用いてこのプレイバック用2次元コードを読み取る。制御部210は、プレイバック用2次元コードを復号してプレイバックファイルを読み出すためのコードを取得し、このコードを用いてストレージからプレイバックファイルを読み出す。そして、制御部210は、このプレイバックファイルに記録されたプログラムを用いて測定を行う(測定制御機能)。ここで、制御部210は、プレイバックファイル作成手段、2次元コード作成手段及び測定制御手段として機能する。
【0046】
本実施形態によれば、2次元コードを用いることにより、測定のための設定を自動化することができるので、測定条件等の設定を簡略化し、測定を効率化することができる。
【0047】
(表面粗さ測定の例)
以下、表面粗さ測定を行う例について説明する。
【0048】
測定準備段階では、まず、粗さに関する規格(以下、粗さ規格という。)の設定を行う。ここでは、例えば、日本産業規格(JIS: Japanese Industrial Standards)、国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)又はアメリカ機械学会(ASME: American Society of Mechanical Engineers)等に準拠する粗さ規格を設定するための設定用2次元コードがあらかじめ準備されている。2次元コードスキャナ300を用いて、測定に使用する粗さ規格に対応する設定用2次元コードをスキャンすることにより、制御部210により、プレイバックファイル内に粗さ規格が設定される。
【0049】
次に、測定対象となるワークの表面の機能の設定を行う。表面の機能には、算出する評価パラメータが関連づけられている。表1は、測定対象となるワークの表面の機能と、表面粗さ測定の評価パラメータの対応関係の例を示している。
【0050】
2次元コードスキャナ300を用いて、測定対象となるワークの表面の機能に対応する設定用2次元コードをスキャンすることにより、制御部210により、プレイバックファイル内に、表面の機能に対応する評価パラメータが設定される。
【0051】
【表1】
【0052】
上記の評価パラメータは、JIS B 0601: 2013 (ISO 4287: 1997,Amd.1: 2009)等に規定されている。
【0053】
次に、粗さ規格に準拠した測定条件の設定を行う。2次元コードスキャナ300を用いて、粗さ規格に準拠した測定条件(例えば、カットオフ値等)に対応する設定用2次元コードをスキャンすることにより、制御部210により、プレイバックファイル内に、粗さ規格に準拠した測定条件が設定される。
【0054】
次に、測定動作に付随する操作(以下、自動項目という。)の設定を行う。2次元コードスキャナ300を用いて、自動項目に対応する設定用2次元コードをスキャンすることにより、制御部210により、プレイバックファイル内に、自動項目が設定される。
【0055】
次に、2次元コードスキャナ300を用いて、測定開始を指示するためのコードを含む設定用2次元コードをスキャンする。制御部210は、測定開始を指示するためのコードを認識すると、設定用2次元コードのスキャンを終了し、スキャンした設定用2次元コードに基づいて、プレイバックファイルを作成して、ストレージに格納する。さらに、制御部210は、プレイバック用2次元コードを作成して、ディスプレイ204又はプリンタ206から出力する。
【0056】
なお、本実施形態では、粗さ規格、表面機能及び自動項目については、測定装置10の管理者等がカスタマイズすることが可能となっている。ここで、カスタマイズは、2次元コードを作成する際に、通信コマンドのパラメータ(例えば、粗さ規格(JIS又はISO)を示すパラメータ)を任意に設定することにより行う。例えば、データ処理部200を用いて、粗さ規格を測定に使用するものに変更したり、表面機能に対応する評価パラメータの種類(表1参照)を変更したり、又は測定動作に付随する動作の内容を変更する。そして、制御部210は、変更した内容を2次元コード化して(2次元コード作成機能)、ディスプレイ204又はプリンタ206から出力する。なお、このカスタマイズ機能は、外部装置500にもたせてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、2次元コードとしてQRコード(登録商標)を用いた例について説明するが、本発明はこれに限定されない。例えば、マイクロQRコード又はiQRコード(登録商標)等のほかの2次元コード、若しくはカメレオンコード(登録商標)又はEPICコード(登録商標)等のカラー2次元コード等を用いてもよい。また、2次元コードに代えてICタグを用いてもよい。なお、QRコードについては、JIS X 0510: 2018(ISO/IEC 18004: 2015)に規定されている。ここで、IECは国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)である。
【0058】
また、本実施形態において、測定条件の内容及び通信コマンド等を2次元コード化したり、プレイバック用2次元コードを作成する場合には、本実施形態に係る測定装置10に対して機械可読性を有し、かつ、対人可読性を有しない符号(例えば、バイナリーコード等)を用いてもよい。すなわち、制御部210は、例えば、測定条件の内容及び通信コマンド等の文字列をバイナリーコード等に変換し、このバイナリーコードを2次元コード化する。このような2次元コードを読み取って復号して得られるバイナリーコードには対人可読性がないので、セキュリティの観点から好ましい。
【0059】
[表面粗さ測定におけるプレイバックファイルの作成方法]
図3は、測定条件等の設定のためのプレイバックファイルの作成方法を示すフローチャートである。
【0060】
まず、2次元コードスキャナ300を用いて、測定条件等の設定用2次元コードをスキャンする(ステップS10)。
【0061】
次に、制御部210は、スキャンした設定用2次元コードに基づいてプレイバックファイルを作成する(ステップS12)。
【0062】
次に、制御部210は、プレイバック用2次元コードを作成し、ディスプレイ204又はプリンタ206から出力する(ステップS14)。
【0063】
図4は、図3におけるプレイバックファイルの作成ステップを示すフローチャートである。
【0064】
まず、制御部210は、2次元コードスキャナ300を用いて読み取られた粗さ規格の設定用2次元コードの情報を取得し、粗さ規格の設定を行う(ステップS120)。
【0065】
次に、制御部210は、2次元コードスキャナ300を用いて読み取られたワークの表面の機能の設定用2次元コードの情報を取得し、表面の機能及び評価パラメータの設定を行う(ステップS122)。
【0066】
次に、制御部210は、2次元コードスキャナ300を用いて読み取られた測定条件の設定用2次元コードの情報を取得し、粗さ規格に準拠した測定条件の設定を行う(ステップS124)。
【0067】
次に、制御部210は、2次元コードスキャナ300を用いて読み取られた測定動作に付随する操作の設定用2次元コードの情報を取得し、測定動作に付随する操作の設定を行う(ステップS126)。
【0068】
次に、制御部210は、ステップS120からS126において取得した設定内容を含むプレイバックファイルを作成する(ステップS128)。
【0069】
(表面粗さ測定の手順)
図5は、プレイバックファイルを用いた表面粗さ測定の手順を示すフローチャートである。
【0070】
まず、2次元コードスキャナ300を用いて、プレイバック用2次元コードをスキャンする(ステップS20)。
【0071】
次に、制御部210は、スキャンしたプレイバック用2次元コードからプレイバックファイルを特定するための情報を取得し、プレイバック用2次元コードに対応するプレイバックファイルをストレージから読み出す(ステップS22)。
【0072】
次に、制御部210は、プレイバックファイルの設定内容を読み出し、測定部100に制御信号を送信して、測定を実行する(ステップS24)。そして、制御部210は、ディスプレイ204、プリンタ206又は外部装置500に測定結果を出力する(ステップS26)。
【0073】
本実施形態によれば、設定用2次元コードを用いることにより、測定のための設定を自動化することができ、測定条件等の設定を簡略化することができる。そして、プレイバック用2次元コードを用いて設定を行うため、測定条件等の設定のミスを防止することができ、測定を効率化することができる。
【符号の説明】
【0074】
10…測定装置、100…測定部、102…触針、104…変位検出器、106…コラム、200…データ処理部、202…操作部、204…ディスプレイ、206…プリンタ、208…通信インターフェース(通信I/F)、210…制御部、212…信号ケーブル、300…2次元コードスキャナ、500…外部装置、502…制御部、504…操作部、506…表示部、508…プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5