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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-18
(45)【発行日】2024-01-26
(54)【発明の名称】基板支持装置及び基板洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240119BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/304 643A
H01L21/304 643Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019089278
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2020188035
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】千葉 正樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝生
(72)【発明者】
【氏名】石田 信悟
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-214676(JP,A)
【文献】特開昭60-032325(JP,A)
【文献】特開2001-024051(JP,A)
【文献】特開2003-001182(JP,A)
【文献】特開2008-251754(JP,A)
【文献】特開2011-082457(JP,A)
【文献】特開2005-116842(JP,A)
【文献】特開2016-092239(JP,A)
【文献】特開平11-067882(JP,A)
【文献】特開平10-150097(JP,A)
【文献】特開2020-188034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0371646(US,A1)
【文献】実開昭59-002138(JP,U)
【文献】特開2000-035681(JP,A)
【文献】特開2004-146587(JP,A)
【文献】特開2002-204999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の基板を支持する支持面を有し、鉛直軸周りに回転する基板支持部と、
前記支持面の内周部に設けられ、基板を吸着する第1吸着部と、
前記支持面の外周部に設けられ、基板を吸着する第2吸着部と、
前記第1吸着部で基板を吸着するための負圧を付与する第1負圧流路部と、
前記第1負圧流路部とは独立して設けられ、前記第2吸着部で基板を吸着するための負圧を付与する第2負圧流路部と、
前記基板支持部の径方向外側に設けられ、前記基板支持部から外側にはみ出した基板の角部をそれぞれ支持する4つの基板外周支持部と、を備える基板支持装置。
【請求項2】
前記基板支持部は、円盤状である、請求項1に記載の基板支持装置。
【請求項3】
前記第1吸着部は、平面視で円形状又は円形状であり、
前記第2吸着部は、平面視で環状である、請求項1又は請求項2に記載の基板支持装置。
【請求項4】
前記第1吸着部と前記第2吸着部とは、前記基板支持部の径方向に間隔をあけて配置されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板支持装置。
【請求項5】
前記第1吸着部は、前記第2吸着部より基板の吸着力が高く設定されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基板支持装置。
【請求項6】
前記第1吸着部及び前記第2吸着部は、それぞれ前記支持面に沿った吸着溝を有し、
前記第1吸着部の前記吸着溝は、前記第2吸着部の前記吸着溝よりも、平面視における総面積が大きい、請求項5に記載の基板支持装置。
【請求項7】
前記基板外周支持部は、
基端が前記基板支持部に固定されかつ先端部が前記基板支持部から径方向外側に延びるアームと、
前記アームの上面に設けられて基板の外周部を支持する支持パッドと、を備える、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板支持装置。
【請求項8】
前記基板支持部は、鉛直軸周りに一体で回転する支持軸を有し、
前記第1負圧流路部及び前記第2負圧流路部の一部は、それぞれ前記支持軸内に設けられている、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板支持装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板支持装置と、
前記基板支持装置の前記基板支持部に保持された基板に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、を備える基板洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板支持装置及び基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板洗浄装置など、基板に対して所定の処理を施す装置においては、処理に際して基板を基板支持面で吸着して回転させる基板支持装置が用いられている。この基板支持装置において、基板支持面で吸着する基板に反りが生じている場合、基板と基板支持面との間に隙間が生じるため、基板と基板支持面との間の真空(負圧)が破壊され、基板の吸着ができなくなってしまう場合がある。これに対し、基板載置面に設けられた同心円状の第一の溝部及び第一の溝部に交差する第二の溝部を有する吸引部と、基板の質量に対する吸引部における吸引力の比を所定の範囲に設定するエア排気部と、を備えることで、反りが生じた基板であっても吸着可能とする構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-82457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された構成では、基板の質量に応じて吸引力を適切に設定し、設定された吸引力を発揮できるように吸引部を制御する必要があり、吸引力を適切に設定するために手間とコストが掛かるといった問題がある。
【0005】
本発明は、反りが生じた基板であっても簡易な構成で確実に保持することが可能な基板支持装置及び基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様においては、基板支持装置が提供される。基板支持装置は、矩形状の基板を支持する支持面を有し、鉛直軸周りに回転する基板支持部を備える。基板支持装置は、支持面の内周部に設けられ、基板を吸着する第1吸着部を備える。基板支持装置は、支持面の外周部に設けられ、基板を吸着する第2吸着部を備える。基板支持装置は、第1吸着部で基板を吸着するための負圧を付与する第1負圧流路部を備える。基板支持装置は、第1負圧流路部とは独立して設けられ、第2吸着部で基板を吸着するための負圧を付与する第2負圧流路部を備える。基板支持装置は、基板支持部の径方向外側に設けられ、基板支持部から外側にはみ出した基板の角部をそれぞれ支持する4つの基板外周支持部を備える。
【0007】
本発明の第2態様においては、基板洗浄装置が提供される。基板洗浄装置は、第1態様の基板支持装置を備える。基板洗浄装置は、基板支持装置の基板支持部に保持された基板に洗浄液を供給する洗浄液供給部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、第1負圧流路部と第2負圧流路部とに独立して負圧を与えるので、基板に反りが生じている場合には、第1吸着部及び第2吸着部のいずれか一方で基板を吸着することができる。これには、第1吸着部、第2吸着部、第1負圧流路部、及び第2負圧流路部を備えればよく、基板の質量等に応じた設定、又は負圧の複雑な制御を行う必要がない。従って、反りが生じた基板であっても簡易な構成で確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る基板洗浄装置(基板支持装置)の一例を示す斜視断面図である。
図2】基板洗浄装置を上方から見た斜視図である。
図3】基板洗浄装置の主要部を示す斜視図である。
図4】基板洗浄装置に設けられた基板支持テーブル及びカップ本体の一部を示す斜視断面図である。
図5】基板洗浄装置に設けられた基板支持テーブル及びカップ本体の一部を拡大して示す断面図である。
図6】基板支持テーブル及び筒状部材を示す斜視図である。
図7】基板支持テーブルの一部を示す平面図である。
図8】基板洗浄装置の基板支持テーブルに設けられた吸着部の構成を示す斜視断面図である。
図9】基板洗浄装置に対して基板を搬送する基板搬送機構を示す斜視図である。
図10】基板洗浄装置の洗浄液供給部の構成を示す斜視図である。
図11】基板洗浄装置の洗浄液供給部の構成を、図10とは異なる方向から見た斜視図である。
図12】基板洗浄装置の洗浄液供給部に設けられた内周側ノズルの構成を示す斜視図である。
図13】基板洗浄装置の洗浄液供給部に設けられた内周側ノズルの構成を示す断面図である。
図14】実施形態に係る基板支持装置において、外周部が上方に反った基板を保持している状態を示す断面図である。
図15】実施形態に係る基板支持装置において、外周部が下方に垂れ下がった基板を保持している状態を示す断面図である。
図16】基板支持装置の吸着部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこの実施形態に限定されない。また、図面においては実施形態の各構成をわかりやすくするために、一部を大きく又は強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造又は形状、縮尺等が異なっている場合がある。
【0011】
図1は、実施形態に係る基板洗浄装置の一例を示す斜視断面図である。図2は、基板洗浄装置を上方から見た斜視図である。図3は、基板洗浄装置の主要部を示す斜視図である。図3では、基板洗浄装置1の主要部を、図2とは異なる角度から見た斜視図を示している。図1から図3に示すように、基板洗浄装置1は、カップ(ケース)2と、実施形態に係る基板支持装置3Aと、洗浄液供給部4と、筒状部材5と、を主に備える。図1に示すように、カップ2は、基板洗浄装置1の上部において外殻を形成しており、カップ本体21と、カバー部材22と、トップカバー23と、トレイ24と、を備えている。カップ2は、基板支持装置3A、洗浄液供給部4、及び筒状部材5を収容する。また、基板支持装置3Aは、図1に示すように、基板支持テーブル(基板支持部)3と、吸着部6と、支持軸7と、第1負圧流路部63と、第2負圧流路部64と、を主に備えている。
【0012】
カップ本体21は、底板部21aと、内周壁部21bと、外周壁部21cと、を一体に有する。底板部21aは、平面視で円環状に形成されている。底板部21aの外周部には、図示しない複数のドレン穴が形成されている。内周壁部21bは、底板部21aの内周部から径方向内側に向かって上方に傾斜して延びている。外周壁部21cは、底板部21aの外周部から上方に向かって立ち上がるように形成されている。
【0013】
外周壁部21cには、周方向の複数個所に不図示の排気孔が形成されている。外周壁部21cの上端には、径方向外側に突出する外周フランジ部が形成されてもよい。図1及び図2に示すように、カップ本体21は、底板部21aと、内周壁部21bと、外周壁部21cとに囲まれ、下方に窪む円環状の内部空間21sを有している。カップ本体21の内部空間21sは、上方に向かって開口している。
【0014】
図4は、基板洗浄装置に設けられた基板支持テーブル及びカップ本体の一部を示す斜視断面図である。図5は、基板洗浄装置に設けられた基板支持テーブル及びカップ本体の一部を拡大して示す断面図である。図4及び図5に示すように、内周壁部21bの径方向内側には、ボス部材25が設けられている。ボス部材25は、内周壁部21bの径方向内側に接合されている。ボス部材25は、平面視において円環状であり、その中央部には、開口25aが形成されている。ボス部材25の上面は、径方向内側に向かって上方に傾斜した傾斜面25bが形成されている。つまり、ボス部材25は、内周壁部21bから上方に隆起して設けられている。ボス部材25の内周部には、上方に向かって筒状に延びる立ち上がり壁25cが形成されている。
【0015】
図1に示すように、カバー部材22は、カップ本体21の外周壁部21c上に設けられている。カバー部材22は、外周立ち上がり壁部22bと、中間カバー部22cと、を有している。カバー部材22の下端部分は、平面視において円環状であり、外周壁部21c上に設けられた不図示の外周フランジ部に係合されている。カバー部材22の径方向内側には、下方に向かって延び、カップ本体21の外周壁部21cの内側に挿入される不図示の筒状の挿入壁部が形成されている。従って、カバー部材22は、カップ本体21に対して取り外し可能となっている。
【0016】
外周立ち上がり壁部22bは、カバー部材22の下端から上方に向かって筒状に延びている。外周立ち上がり壁部22bには、周方向の複数個所に、不図示の排気孔が形成されている。外周立ち上がり壁部22bの上端には、径方向内側に突出する不図示の上端受け部が一体に形成されている。中間カバー部22cは、外周立ち上がり壁部22bの下端から径方向内側に延びている。中間カバー部22cは、後述する基板支持テーブル3上に載置される基板100の上面よりも上方に位置している。中間カバー部22cは、水平面内に沿って位置しており、その中央部に中間開口部(開口部)26が形成されている。中間開口部26は、後述する基板100が中間開口部26を通して出し入れできるよう、その内径が、基板100の対角寸法よりも大きく設定されている。
【0017】
トップカバー23は、カバー部材22上に設けられている。トップカバー23は、外周ベース部23aと、不図示の挿入壁部と、上部カバー部23cと、を一体に有している。外周ベース部23aは、カバー部材22の上端部分に係合されている。不図示の挿入壁部は、例えば、外周ベース部23aの径方向内側から下方に向かって筒状に延び、カバー部材22の上端の径方向内側に挿入されている。従って、トップカバー23は、外周立ち上がり壁部22bに対して取り外し可能となっている。
【0018】
上部カバー部23cは、外周ベース部23aから径方向内側に延びている。上部カバー部23cは、水平面内に沿って位置しており、その中央部に、上部開口部(開口部)27が形成されている。上部開口部27は、中間開口部26と同様、後述する基板100が上部開口部27を通して出し入れできるよう、その内径が、基板100の対角寸法よりも大きく設定されている。基板100は、上部開口部27及び中間開口部26を通して、基板支持テーブル3に対して上下方向に搬入又は搬出可能となっている。
【0019】
トレイ24は、カバー部材22、及び基板支持テーブル3の下側に配置されている。図4及び図5に示すように、トレイ24は、平面視において円環状であり、その中央部に開口24aを有している。開口24aの内側には、ボス部材25の立ち上がり壁25cが挿入されている。トレイ24は、その内周部に、上方に立ち上がる内周立ち上がり部24bが形成されている。トレイ24は、その内周部が、ボス部材25の傾斜面25b上に載置されている。トレイ24は、ボス部材25の傾斜面25bに沿って、径方向外側に向かって下方に傾斜している。
【0020】
トレイ24の上面には、径方向外側に向かって下方に傾斜した傾斜面24fが形成されている。トレイ24は、ボス部材25よりも径方向外側に延びている。トレイ24は、ボス部材25の径方向外側に向かって下方に傾斜している。トレイ24の外周端部は、カップ本体21の外周壁部21cとの間に、径方向に隙間をあけて設けられている(図1参照)。トレイ24は、基板支持テーブル3、及び筒状部材5の下方において、洗浄液を受ける。
【0021】
図6は、基板支持テーブル及び筒状部材を示す斜視図である。図7は、基板支持テーブルの一部を示す平面図である。図4から図7に示すように、基板支持テーブル3は、テーブル本体31と、内周部材32と、を備えている。テーブル本体31は、円盤状であり、その中央部に下方に窪んだ平面視で円形の凹部31aを有している。テーブル本体31において、凹部31aの径方向外側には、平面視において円環状で鉛直上方を向く外周支持面33Aが形成されている。
【0022】
図5に示すように、テーブル本体31の下面31bは、ボス部材25の立ち上がり壁25c、及びトレイ24の内周立ち上がり部24bの上端との間に、上下方向に間隔をあけて配置されている。テーブル本体31の外周部には、下方に筒状に突出するスカート部31sが形成されている。スカート部31sは、トレイ24の内周立ち上がり部24bの径方向外側に間隔をあけて配置されている。スカート部31sは、トレイ24の内周立ち上がり部24bの上端よりも下方に延びている。スカート部31sの下端は、トレイ24の傾斜面24fとの間に、上下方向に間隔をあけて設けられている。
【0023】
このスカート部31s、及びトレイ24の内周立ち上がり部24bにより、ラビリンス構造が形成され、スカート部31sとトレイ24の傾斜面24fとの隙間を通して、スカート部31s及び内周立ち上がり部24bよりも径方向内側に、後述する洗浄液の飛沫等が侵入しにくくなっている。
【0024】
図4から図7に示すように、内周部材32は、円盤状で、凹部31a内に収容されている。内周部材32は、複数本のボルト39(図6図7参照)により、テーブル本体31に締結固定されている。内周部材32は、鉛直上方を向き、外周支持面33Aと上下方向において同じ高さに形成された内周支持面33Bを有している。これら外周支持面33Aと内周支持面33Bとにより、基板100を下方から支持する支持面33が形成される。また、この支持面33は、基板支持テーブル3の天面3tを形成する。
【0025】
図1から図3に示すように、本実施形態において、基板支持テーブル3の支持面33で支持する基板100は、例えば、平面視で矩形状かつ板状である。基板100は、その外周部の四つの角部101を、支持面33から径方向外側に突出させた状態で基板支持テーブル3に支持される。
【0026】
図8は、基板洗浄装置の基板支持テーブルに設けられた吸着部の構成を示す斜視断面図である。図6から図8に示すように、基板支持テーブル3の天面3t(支持面33)には、基板100の下面を吸着する吸着部6が設けられている。吸着部6は、内周吸着部(第1吸着部)61と、外周吸着部(第2吸着部)62と、を備えている。
【0027】
内周吸着部61は、支持面33の内周支持面33B(内周部)に設けられ、基板100の内周部(又は中央部分)を吸着する。内周吸着部61は、平面視で円形状又はほぼ円形状の領域の内側に設けられる。内周吸着部61は、内周支持面33B(支持面33)に設けられた内周吸着溝(吸着溝)66を有する。内周吸着部61は、内周部材32の外周部32eよりも径方向内側に設けられている。内周吸着部61は、内周支持面33Bにおいて外周部32eから離間した中央部に設けられている。内周支持面33Bにおいて、内周吸着部61の径方向外側には、内周吸着溝66が形成されていない平面視で円環状の平面部37が形成されている。
【0028】
内周吸着溝66は、内周支持面33Bから下方に窪み、内周支持面33Bに沿った方向に連続して形成されている。図7に示すように、内周吸着溝66は、複数の放射状溝66aと、同心円状の複数の環状溝66bと、を有している。複数の放射状溝66aは、基板支持テーブル3の中心C周りの周方向に等間隔又はほぼ等間隔に形成されている。複数の放射状溝66aは、中心Cから径方向外側に向かって放射状に延びている。複数の環状溝66bは、それぞれ環状で、中心Cから径方向に等間隔又はほぼ等間隔で設けられている。
【0029】
内周部材32の中央部には、内周部材32を上下方向に貫通する貫通孔32hが形成されている。貫通孔32hには、後述する第1負圧流路部63を介して付与される負圧が作用する。内周支持面33B上において基板100を支持した状態で、内周吸着溝66と基板100との間に形成される溝内空間に、貫通孔32hを通して負圧が作用する。この負圧により、内周吸着部61は、基板100の下面100bの中央部分を吸着する。
【0030】
図7及び図8に示すように、外周吸着部62は、支持面33の外周支持面33A(外周部)に設けられ、基板100の外側部分を吸着する。外周吸着部62は、平面視で円環状の領域に設けられる。外周吸着部62は、外周支持面33A(支持面33)に沿った外周吸着溝(吸着溝)67を有する。外周吸着溝67は、外周支持面33Aから下方に窪み、外周支持面33Aに沿った方向に連続している。外周吸着溝67は、複数の内側環状溝67aと、複数の円弧状溝67bと、複数の放射状溝67cと、を有している。
【0031】
複数の内側環状溝67aは、テーブル本体31の外周支持面33Aの内周側に形成されている。複数の内側環状溝67aは、中心Cから径方向に間隔をあけて、例えば2つが同心円状に形成されている。各内側環状溝67aは、中心C周りの周方向に連続して平面視で環状に形成されている。複数の円弧状溝67bは、中心C周りの周方向の4個所にそれぞれ形成されている。複数の円弧状溝67bは、内側環状溝67aの径方向外側に、径方向に間隔をあけて、例えば2つが形成されている。各円弧状溝67bは、中心C周りの周方向で互いに隣り合う放射状溝67c同士を連結するように形成されている。各円弧状溝67bは、中心C周りに連続する円弧状に形成されている。複数の放射状溝67cは、径方向に延び、複数の内側環状溝67a及び複数の円弧状溝67b同士を連結する。
【0032】
図8に示すように、テーブル本体31の中央部には、テーブル本体31の下面31bから上方に向かって窪んだ円環状の環状凹部34が形成されている。テーブル本体31内には、環状凹部34から径方向外側に向かって延びる径方向孔35が、各放射状溝67cの下方に形成されている。テーブル本体31には、上下方向に延び、各径方向孔35と放射状溝67cとを連通する連通孔36が形成されている。
【0033】
環状凹部34、径方向孔35、及び連通孔36には、後述する第2負圧流路部64を介して付与される負圧が作用する。外周支持面33A上で基板100を支持した状態では、外周吸着溝67と基板100との間に形成される溝内空間に、環状凹部34、径方向孔35、及び連通孔36を通して負圧が作用する。この負圧により、外周吸着部62は、基板100の下面100bの外側部分を吸着する。
【0034】
吸着部6は、内周吸着部61と外周吸着部62との間に、内周吸着溝66、外周吸着溝67が形成されていない平面部37を備えている。この平面部37により、内周吸着部61と外周吸着部62とは、基板支持テーブル3の径方向に間隔をあけて配置されている。内周吸着部61と外周吸着部62とが、平面部37を介して基板支持テーブル3の径方向に間隔をあけることで、内周吸着部61の外径が外周吸着部62より小さく形成されている。さらに、内周吸着部61の内周吸着溝66は、外周吸着部62の外周吸着溝67よりも、平面視における溝総面積が大きい。その結果、内周吸着部61は、基板100の下面100bにおける単位面積に対して、外周吸着部62による基板100の吸着力より、基板100の吸着力が高くなるように設定されている。
【0035】
図1に示すように、上記した基板支持テーブル3は、その下面に、支持軸7を一体に有している。支持軸7は、上下方向に延びている。支持軸7は、基板洗浄装置1の基部8に、鉛直軸Cv周りに回転自在に支持されている。支持軸7は、支持軸本体71と、中間ブラケット72と、上部ブラケット73と、内部管体74と、を備えている。
【0036】
支持軸本体71は、上下方向に延びる円柱状である。支持軸本体71の中心部には、支持軸本体71を上下方向に貫通する軸貫通孔71h(図8参照)が形成されている。支持軸本体71の上下方向中間部は、基部8に設けられた保持筒82に挿入されている。保持筒82は、上下方向に延びる円筒状で、その下端部に、径方向外側に延びるフランジ部82aを有している。保持筒82は、その下端部が、基部8の支持プレート81に形成された保持孔81hに挿入され、フランジ部82aを支持プレート81の上面に突き当てた状態で、図示しないボルト等によって支持プレート81に締結固定されている。
【0037】
保持筒82内には、軸受75A、75Bが設けられている。軸受75A、75Bは、保持筒82内で上下方向に間隔をあけて設けられている。軸受75A、75Bは、支持軸本体71を上下2個所で鉛直軸Cv周りに回転自在に支持している。支持軸本体71は、上方の軸受75Aの上側に、径方向外側に突出して周方向に連続する環状凸部71cを有している。また、支持軸本体71には、下方の軸受75Bの下側に、リング状のカラー76が嵌め込まれている。環状凸部71cとカラー76とで軸受75A、75Bを上下両側から挟み込むことで、支持軸本体71は、保持筒82に対して上下方向への移動が規制されている。
【0038】
支持軸本体71の下端部71bは、保持筒82から下方に突出し、基板洗浄装置1の基部に設けられた図示しない電動モータ等の回転駆動源に接続されている。この回転駆動源を駆動させることで、支持軸本体71を回転させ、支持軸本体71と一体の基板支持テーブル3を鉛直軸Cv周りに回転駆動させることができる。
【0039】
中間ブラケット72は、保持筒82の上方に設けられている。中間ブラケット72は、ブラケット基部72aと、筒状壁部72bと、を一体に有する。ブラケット基部72aは、支持軸本体71の環状凸部71c上に支持されている。ブラケット基部72aは、円盤状で、その中央部に、上下方向に貫通して支持軸本体71が挿入される軸挿通孔72hが形成されている。筒状壁部72bは、ブラケット基部72aの外周部から上方に向かって筒状に延びている。支持軸本体71は、筒状壁部72bの径方向内側に間隔をあけて挿入されている。
【0040】
図8に示すように、上部ブラケット73は、支持軸本体71の上端部に設けられている。上部ブラケット73は、中間ブラケット72の上端に取り付けられている。上部ブラケット73は、下部フランジ部73aと、筒状部73bと、上部フランジ部73cと、を一体に有している。下部フランジ部73aは、中間ブラケット72の筒状壁部72b上に、図示しないボルト等により締結固定されている。筒状部73bは、円筒状で、下部フランジ部73aの内周部から上方に向かって延びている。筒状部73bには、支持軸本体71の上端部71tが挿入されている。筒状部73bは、支持軸本体71の上端部71tよりも上方に突出して延びている。
【0041】
上部フランジ部73cは、筒状部73bの上端から径方向外側に拡げられて形成されている。上部フランジ部73cは、テーブル本体31の下面31bに、複数本のボルト77(図4参照)により締結固定されている。この上部ブラケット73の筒状部73bの内側で、支持軸本体71の上端部71tと、テーブル本体31の下面31bとは、上下方向に間隔を隔てて配置されている。この構成により、筒状部73bの内側には、支持軸本体71の上端部71tと、テーブル本体31の下面31bとの間に、環状の空間部7sが形成されている。また、筒状部73bの上方には、テーブル本体31の下面31bに形成された環状凹部34が配置されている。すなわち、環状の空間部7sは、環状凹部34を含んで形成されている。
【0042】
内部管体74は、上下方向に延びる円管状で、支持軸本体71に形成された軸貫通孔71h内に挿入されている。内部管体74には、上下方向に貫通する貫通孔74hが形成されている。内部管体74の上端部において貫通孔74hの内側には、上部アタッチメント78Aが嵌め込まれている。上部アタッチメント78Aは、上下方向に貫通する貫通孔78hを有している。上部アタッチメント78Aの上端部は、テーブル本体31の下面31bに挿入されている。貫通孔78hは、貫通孔32hに連通している。
【0043】
図1に示すように、内部管体74の下端部において貫通孔74hの内側には、下部アタッチメント78Bが嵌め込まれている。下部アタッチメント78Bは、上下方向に貫通する貫通孔78gを有している。貫通孔78gは、貫通孔32hに連通している。支持軸7には、下部アタッチメント78Bの貫通孔78gと、内部管体74の貫通孔74hと、上部アタッチメント78Aの貫通孔78hとにより、上下方向に延びる第1負圧流路部63が形成されている。
【0044】
また、図8に示すように、内部管体74の外径は、軸貫通孔71hの内径よりも小さい。支持軸本体71の上端部71tには、下方に窪む軸上端凹部71dが形成されている。また、軸上端凹部71dの上部には、円環状のカラー79が装着されている。上部アタッチメント78Aは、カラー79の中央部に形成された貫通孔79h内に挿入されている。この構成により、内部管体74は、軸貫通孔71hの中心Cに位置合わせした状態で配置されている。
【0045】
内部管体74の外周面と、軸貫通孔71hの内周面との間には、上下方向に連続する円筒状の第2負圧流路部64が形成されている。第2負圧流路部64の上端は、軸上端凹部71dの底面に開口している。カラー79には、貫通孔79hの径方向外側に、複数の流通孔79gが形成されている。複数の流通孔79gは、周方向に等間隔をあけて設けられている。各流通孔79gは、カラー79を上下方向に貫通して形成されている。これにより、第2負圧流路部64は、カラー79の複数の流通孔79gを介して、上部ブラケット73の上端部の環状の空間部7sに連通している。
【0046】
このように、第1負圧流路部63及び第2負圧流路部64は、それぞれ支持軸7内に設けられている。第1負圧流路部63と第2負圧流路部64とは、支持軸7内で互いに独立して設けられている。支持軸本体71の下端部において、第1負圧流路部63を形成する下部アタッチメント78Bの貫通孔78gと、第2負圧流路部64とが下方に向かって開口している。支持軸本体71の下部アタッチメント78Bには、図示しない真空ポンプ等の負圧発生源が、図示しない配管を介して接続されている。この負圧発生源で発生する負圧は、第1負圧流路部63を介して、外周吸着部62に付与される。すなわち、第1負圧流路部63は、内周吸着部61で基板100を吸着するための負圧を付与するために用いられる。
【0047】
また、支持軸本体71の下端部には、下部アタッチメント78Bとは別の図示しない真空ポンプ等の負圧発生源が、図示しない配管を介して接続されている。この負圧発生源で発生する負圧は、第2負圧流路部64を介して、外周吸着部62に付与される。すなわち、第2負圧流路部64は、外周吸着部62で基板100を吸着するための負圧を付与するために用いられる。なお、上記では、第1負圧流路部63と第2負圧流路部64とで、別の負圧発生源が用いられる構成を例に挙げて示しているが、この構成に限定されない。例えば、1つの負圧発生源を用いて、第1負圧流路部63及び第2負圧流路部64の双方に対して負圧を与える構成であってもよい。
【0048】
図1及び図6に示すように、基板支持テーブル3の径方向外側には、基板外周支持部9が設けられている。基板外周支持部9は、基板支持テーブル3で基板100を保持した際、基板支持テーブル3から外側にはみ出した基板100の外側部分の下方に位置するよう設けられている。基板外周支持部9は、基板100が正方形状である場合、基板支持テーブル3から外側にはみ出した基板100の4つの角部101の下方に延びるように設けられている。すなわち、基板外周支持部9は、基板支持テーブル3の周方向の4個所に例えば90°間隔で、それぞれ設けられている。なお、基板外周支持部9の数は、任意であり、1から3カ所又は5カ所以上に設けられてもよい。また、複数の支持パッド94の配置は、任意であり、例えば、基板100が長方形状である場合、基板100の4つの角部101の下方に延びるように設けられてもよい。
【0049】
図6に示すように、基板外周支持部9は、アーム91と、支持パッド94と、を備えている。アーム91は、アーム基部92と、アーム本体93と、を備えている。アーム基部92は、アーム91の基端91aを形成し、基板支持テーブル3の外周部にボルト95により締結固定されている。従って、複数のアーム91は、基板支持テーブル3と一体となって回転する。アーム本体93は、アーム基部92との間に、後述する筒状部材5を挟んで連結されている。アーム本体93は、筒状部材5から径方向外側に向かって延びている。このアーム本体93によって形成されるアーム91の先端部91bは、基板支持テーブル3から径方向外側に延びている。
【0050】
支持パッド94は、アーム91のアーム本体93の上面に設けられている。図5に示すように、支持パッド94は、上下方向において、基板支持テーブル3の天面3t(外周支持面33A)よりも、所定寸法下方に配置されている。その結果、基板外周支持部9の支持パッド94は、基板支持テーブル3から外側にはみ出した基板100の外周部の4つの角部101が外周支持面33Aよりも所定寸法以上下方に垂れ下がった場合に、基板100の外周部の4つの角部101を下方から支持する。
【0051】
なお、支持パッド94の上端は、外周支持面33Aと同一面となる高さに設定されてもよい。また、支持パッド94は、基板100を傷つけないように、ゴム又は樹脂等の素材で設けられてもよい。また、支持パッド94は、アーム本体93の長手方向に沿って所定間隔(又は一定間隔)で複数設けられてもよい。
【0052】
図9は、基板洗浄装置に対して基板を搬送する基板搬送機構を示す斜視図である。図9に示すように、基板100は、基板支持テーブル3の天面3t上に、基板搬送機構200によってセットされる。基板搬送機構200は、基板100の上面100tに吸着する複数の吸着パッド201と、複数の吸着パッド201を保持するパッドブラケット202と、パッドブラケット202を少なくとも上下方向に移動させるアーム部203と、を有する。各吸着パッド201は、図示しない真空ポンプ等の負圧発生源に接続されており、基板100の上面100tを吸着して保持する。なお、複数の吸着パッド201の配置は任意である。
【0053】
アーム部203は、例えば、ロボットアーム等が適用され、パッドブラケット202を任意の方向に移動させる構成であってもよい。基板100は、この基板搬送機構200によって、中間開口部26及び上部開口部27(図1参照)を介して基板支持テーブル3に載置され、また、基板支持テーブル3の基板100は、基板搬送機構200によって、基板洗浄装置1の外部に搬出される。この基板搬送機構200は、図示しない制御装置等により制御されて、基板100の搬送を自動で行ってもよいし、作業者によるマニュアル操作によって基板100の搬送を行ってもよい。
【0054】
図10は、基板洗浄装置の洗浄液供給部の構成を示す斜視図である。図11は、基板洗浄装置の洗浄液供給部の構成を、図10とは異なる方向から見た斜視図である。図10及び図11に示すように、洗浄液供給部4は、上部ノズル(上部供給部)41(図3参照)と、下部ノズル(下部供給部)42と、内周側ノズル(内周側供給部)43と、を備える。なお、図10では、上部ノズル41を省略して示している。上部ノズル41は、図3に示すように、基板支持テーブル3上に支持された基板100の上面100tに対して、上方から洗浄液を供給する。上部ノズル41は、基板支持テーブル3の天面3tの上方に間隔をあけて配置されている。
【0055】
上部ノズル41は、図示では1本である例を示しているが、複数本が1列に並べられて用いられてもよい。上部ノズル41が複数本である場合、例えば、基板支持テーブル3の径方向に並べられて配置されてもよい。また、上部ノズル41の下面には、洗浄液を吹き出す吐出口(図示無し)を備えている。従って、複数の上部ノズル41が基板支持テーブル3の径方向に並べられて配置される構成では、上部ノズル41の吐出口が基板支持テーブル3の径方向に並んだ状態となっている。また、この上部ノズル41は、図示しないノズル駆動部により、基板支持テーブル3の天面3tの上方において、径方向に基板支持テーブル3の移動可能であってもよい。
【0056】
上部ノズル41には、配管を通して、図示しない洗浄液供給源から洗浄液が供給される。上部ノズル41は、洗浄液供給源から供給された洗浄液を、吐出口から下方に向かって吐出する。上部ノズル41から吐出される洗浄液は、基板支持テーブル3に支持された基板100の上面100tに供給される。
【0057】
図10及び図11に示すように、下部ノズル42は、基板支持テーブル3に支持される基板100の下側に設けられている。下部ノズル42は、基板支持テーブル3の径方向外側に設けられ、基板100の外側部分の下面100bに対して洗浄液を吹き付ける。下部ノズル42は、トレイ24上に、ブラケット44を介して固定されている。トレイ24上には、周方向に延びる平面視円弧状のベース金具45が固定されている。ブラケット44は、ベース金具45の周方向一方の端部に固定されている。
【0058】
ブラケット44には、上方に突出する突出部44aが形成されている(図11参照)。下部ノズル42は、突出部44aに形成されたノズル支持面44bに支持される、その結果、下部ノズル42のノズル口42sは、鉛直方向に対して斜め上方に向けられる。下部ノズル42には、配管49を通して、図示しない洗浄液供給源から洗浄液が供給される。下部ノズル42は、洗浄液供給源から供給される洗浄液を、ノズル口42sから斜め上方に向かって噴出する。下部ノズル42から噴出される洗浄液は、基板支持テーブル3から径方向外側に張り出した基板100の角部101の下面に向かって吹き付けられる。
【0059】
下部ノズル42は、1本であることに限定されず、複数であってもよい。複数の下部ノズル42が用いられる場合、基板支持テーブル3の径方向に並べられて配置されてもよい。また、複数の下部ノズル42が用いられる場合、各下部ノズル42のノズル口42sの向きは同一であってもよいし、互いに異なってもよい。また、下部ノズル42が設けられる箇所は、基板支持テーブル3の外側の1カ所に限定されず、基板支持テーブル3の外側の複数カ所に設けられてもよい。また、下部ノズル42は、基板支持テーブル3の径方向、又は基板支持テーブル3を周回する方向に、図示しない移動機構によって移動可能であってもよい。
【0060】
筒状部材5は、基板支持テーブル3の径方向外側、かつ下部ノズル42の径方向内側に設けられている。筒状部材5は、基板洗浄装置1内において浮遊している洗浄液のミスト等が、基板支持テーブル3と基板100との間に侵入するのを抑制する。筒状部材5は、基板支持テーブル3の外周面との間に径方向に間隔をあけて設けられている。筒状部材5は、基板100の下側で上下方向に延びる円筒状である。図5に示すように、筒状部材5は、上端5tが基板100の下面100bとの間に隙間をあけて設けられている。この隙間は、基板100の支持面33上に支持された基板100が自重により下方に垂れ下がるように変形しても、基板100が筒状部材5に干渉しない大きさに設定されている。
【0061】
図10及び図11に示すように、筒状部材5は、鉛直軸Cv周りにおける周方向の複数個所に設けられたアーム(支持部材)91によって支持されている。これら複数のアーム91により、筒状部材5が安定的に保持されている。筒状部材5は、アーム91を介して基板支持テーブル3に支持されている。筒状部材5は、周方向の4個所に設けられた基板外周支持部9のそれぞれにおいて、アーム91を構成するアーム基部92とアーム本体93との間に挟み込まれて固定されている。従って、筒状部材5は、基板支持テーブル3と一体で回転する。
【0062】
図12は、基板洗浄装置の洗浄液供給部に設けられた内周側ノズルの構成を示す斜視図である。図13は、基板洗浄装置の洗浄液供給部に設けられた内周側ノズルの構成を示す断面図である。内周側ノズル43は、基板支持テーブル3と筒状部材5との間において、基板100の下面100bに洗浄液を吹き付ける。内周側ノズル43は、本体部46と、ノズル管(ノズル)47と、を有している。本体部46は、筒状部材5の径方向外側に配置されている。本体部46は、トレイ24上に、ブラケット48を介して固定されている。ブラケット48は、ベース金具45の周方向他方の端部に固定されている。内周側ノズル43は、下部ノズル42に対して鉛直軸Cv周りの位置がずれている。その結果、特に基板支持テーブル3の径方向外側の空間が狭い場合に、内周側ノズル43と下部ノズル42とを効率よく配置することができる。
【0063】
ノズル管47は、第一管部47aと、第二管部47bと、を有している。第一管部47aは、本体部46から基板支持テーブル3の径方向内側に延び、筒状部材5の下方を通って筒状部材5よりも径方向内側まで延びている。第二管部47bは、第一管部47aの径方向内側の端部から屈曲(湾曲)し、上方に向かって延びている。なお、第二管部47bは、鉛直方向から傾いて配置されている。第二管部47bの傾斜角度は、上記した下部ノズル42のノズル口42sの向きと同一であってもよいし、異なってもよい。
【0064】
第二管部47bは、径方向において、基板支持テーブル3の外周面と筒状部材5とのほぼ中間部に配置されている。このように、筒状部材5が、基板支持テーブル3との間に径方向に間隔をあけて設けられることで、筒状部材5と基板支持テーブル3との間にノズル管47を配置するスペースを確保することができる。
【0065】
また、内周側ノズル43の本体部46は、筒状部材5の径方向外側に配置されているので、基板支持テーブル3の外周面と筒状部材5との間の限られたスペースに本体部46を配置する必要がなく、ノズル管47のみを基板支持テーブル3と筒状部材5との間に挿入配置すればよいので、筒状部材5を基板支持テーブル3から離して配置する必要がない。その結果、筒状部材5により、洗浄液のミスト等が基板支持テーブル3と基板100との間に侵入するのを効果的に抑制することができる。
【0066】
内周側ノズル43の本体部46には、配管(図示省略)を通して、図示しない洗浄液供給源から洗浄液が供給される。洗浄液供給源から供給される洗浄液は、ノズル管47を通して、基板支持テーブル3の外周面と筒状部材5との間で、基板100の下面100bに向かって吹き付けられる。なお、内周側ノズル43で吹き付ける洗浄液の流量は、下部ノズル42で吹き付ける洗浄液の流量(単位時間あたりの流量)よりも少なく設定されてもよい。
【0067】
次に、上記したような基板洗浄装置1における基板100の洗浄方法について説明する。まず、基板洗浄装置1の外部において、基板搬送機構200の複数の吸着パッド201を基板100の上面100tに吸着させ、基板100を保持する。続いて、基板搬送機構200は、アーム部203を駆動することにより、複数の吸着パッド201で吸着保持した基板100を、トップカバー23の上部開口部27の上方から下降させ、上部開口部27、及びカバー部材22の中間開口部26を通して、基板支持テーブル3の天面3t上に載置させる。
【0068】
次いで、図示しない真空ポンプ等の負圧発生源で発生される負圧を、第1負圧流路部63、第2負圧流路部64を介して、内周吸着部61、外周吸着部62にそれぞれ付与する。その結果、吸着部6の内周吸着部61及び外周吸着部62で生じる吸引力により、基板100が基板支持テーブル3の支持面33に吸着される。このとき、基板100は、内周吸着部61により下面100bの中央部が吸着され、外周吸着部62により下面100bの外周部(外側部分)が吸着される。吸着部6による基板100の吸着後、基板搬送機構200は、複数の吸着パッド201による吸着を解除する。続いて、基板100の吸着を解除した基板搬送機構200の複数の吸着パッド201は、上方に退避する。
【0069】
図14は、上記した基板洗浄装置1に備える基板支持装置3Aにおいて、外周部が上方に反った基板100を保持している状態を示す断面図である。図14に示すように、基板100の外周部が応力によって上方に反っている場合、基板100の下面100bの外周部と支持面33の外周支持面33Aには、上下方向に隙間ができてしまう(図14の一点鎖線参照)。このような場合、外周吸着部62における真空状態は破壊され、基板100の外周部を吸着することができない場合がある。一方、基板100の下面100bの中央部は、内周吸着部61に吸着された状態を維持している。
【0070】
内周吸着部61と外周吸着部62とが、平面部37を介して基板支持テーブル3の径方向に間隔をあけているので、内周吸着部61の外径Dが小さく形成されている。さらに、内周吸着部61の内周吸着溝66は、外周吸着部62の外周吸着溝67よりも、平面視における溝総面積が大きい。その結果、内周吸着部61は、外周吸着部62より基板100の吸着力が高く設定されている。このように、内周吸着部61の外径を小さくしつつ、内周吸着部61における吸着力を高めることで、基板100の外周部が上方に反っている場合であっても、内周吸着部61により基板100を確実に吸着保持することができる。
【0071】
図15は、基板洗浄装置1に備える基板支持装置3Aにおいて、外周部が下方に垂れ下がった基板100を保持している状態を示す断面図である。図15に示すように、基板100の剛性が低い場合、又は応力によって基板100の外周部が下方に反っている場合、基板100の下面100bの外周部が、基板支持テーブル3の径方向外側で下方に垂れてしまう場合がある(図15の一点鎖線参照)。この外周部の垂れにより、基板100の中央部が持ち上げられ、内周吸着部61における真空状態が破壊される場合がある。
【0072】
このような場合、基板支持テーブル3から外側にはみ出した基板100の4つの角部101が外周支持面33Aよりも所定寸法以上下方に垂れ下がると、基板外周支持部9の支持パッド94が、基板100の4つの角部101を下方から支持する。その結果、基板100の中央部が持ち上げられることが抑制され、内周吸着部61により基板100の中央部を吸着させることができる。また、内周吸着部61によって吸着できない場合でも、外周吸着部62より基板100を吸着するので、基板100を確実に保持できる。
【0073】
また、基板100の反りによって基板100の下面100bの中央部が支持面33から上方に浮かび上がってしまう場合、内周吸着部61における真空状態は破壊され、基板100の中央部を吸着保持することができない。一方、基板100は、外周部が基板外周支持部9の支持パッド94により支持されることで、反りが一部矯正された状態となっている。その結果、内周吸着部61では吸着できないとしても、外周吸着部62より基板100を確実に吸着させることができる。
【0074】
このように、基板100の反りが下向きに凸状又は上向きに凸状となっている場合のいずれであっても、内周吸着部61及び外周吸着部62の少なくとも一方により基板100の吸着を行うので、1つの吸着部により基板100を吸着する場合と比較して、基板100が吸着不能となる事態を少なくすることができる。
【0075】
基板100が基板支持テーブル3の支持面33に保持された後、図示しない電動モータを駆動することにより基板支持テーブル3を鉛直軸Cv周りに回転させる。これにより、基板100は、基板支持テーブル3と一体に回転する。この状態で、上部ノズル41の吹出口から基板100の上面100tに洗浄液を吐出する。なお、上部ノズル41は、洗浄液を吐出しつつ、基板支持テーブル3の径方向に移動(スキャン)してもよい。
【0076】
また、下部ノズル42において、洗浄液を、ノズル口42sから斜め上方に向かって噴出させる。下部ノズル42から噴出される洗浄液は、基板支持テーブル3の外周面から径方向外側に張り出した基板100の下面100bに向かって吹き付けられる。さらに、内周側ノズル43のノズル管47から、基板支持テーブル3の外周面と筒状部材5との間において、基板100の下面100bに向かって洗浄液を吹き付ける。なお、内周側ノズル43で吹き付ける洗浄液の流量は、下部ノズル42で吹き付ける洗浄液の流量よりも少ない。
【0077】
上部ノズル41から基板100の上面100tに供給された洗浄液は、基板100の回転により遠心力が作用し、上面100tを外側に拡がる。上面100tに拡がった洗浄液は、基板100の上面100tの端部から径方向外側に飛散する。このようにして、基板100の上面100tが、洗浄液によって洗浄される。基板100の上面100tの端部から径方向外側に飛散した洗浄液の一部は、カップ本体21の外周壁部21cから底板部21aへと流れ落ちて回収される。
【0078】
また、基板100の上面100tの端部から径方向外側に飛散した洗浄液の他の一部は、飛沫(ミスト)状となり、例えば、カップ本体21に設けられる図示しない排気口から基板洗浄装置1内のガスとともに外部に排出される。また、洗浄液の飛沫は、上部ノズル41から供給された洗浄液が基板100の上面100tに当たることでも形成される。洗浄液の飛沫は、基板100の下側に回り込む場合がある。この洗浄液の飛沫は、上面100tを洗浄した後に形成されており、汚損している。この洗浄液の飛沫が基板100の下側に付着した場合、下部ノズル42から噴出される洗浄液により、基板支持テーブル3から径方向外側に張り出した基板100の下面100bを洗浄することができる。
【0079】
なお、基板100は矩形状であるので、下部ノズル42から噴出される洗浄液は、基板100の下面100bに断続的に吹き付けられることになる。その結果、洗浄液の飛沫が生じる。すなわち、基板洗浄装置1内では、洗浄液の飛沫が多く形成された状態となり、基板100の下側に回り込みやすくなっている。基板100の下側に回り込んだ飛沫は、筒状部材5によって、筒状部材5よりも径方向内側に侵入することが抑制されている。その結果、洗浄液の飛沫が、基板100の下面100bと基板支持テーブル3の天面3tとの隙間に入り込むのを抑えることができる。
【0080】
また、基板支持テーブル3と筒状部材5との間に、基板100の上面100t側から回り込んだ洗浄液の飛沫が入り込んだ場合であっても、内周側ノズル43から吹き付けられる洗浄液により基板100の下面100bが洗浄される。しかも、内周側ノズル43で吹き付ける洗浄液の流量は、下部ノズル42で吹き付ける洗浄液の流量よりも少ない。このため、内周側ノズル43で吹き付ける洗浄液が、基板100の下面100bと基板支持テーブル3の天面3tとの隙間に入り込むのを抑えることができる。
【0081】
基板100の下側において、下部ノズル42、内周側ノズル43から噴出された洗浄液は、トレイ24の傾斜面24f上に流れ落ちる。傾斜面24fは、径方向外側に向かって下方に傾斜しているので、傾斜面24f上の洗浄液は径方向外側に向けて流れ、トレイ24の外周端部とカップ本体21の外周壁部21cとの隙間から、カップ本体21の底板部21a上に落ちて回収される。
【0082】
このように、基板100の上面100t、及び下面100bに洗浄液が供給されることで、基板100が洗浄される。このような基板100の洗浄は、予め定めた所定時間にわたって継続される。基板100の洗浄後、基板搬送機構200の複数の吸着パッド201を、基板支持テーブル3上に吸着保持された基板100の上面100tに吸着させ、基板100を再度保持する。続いて、吸着部6の内周吸着部61及び外周吸着部62による吸引力を解除した後、基板搬送機構200のアーム部203を駆動することにより、吸着パッド201で吸着保持した基板100を、基板支持テーブル3上から上昇させ、トップカバー23の上部開口部27、及びカバー部材22の中間開口部26を通して、基板洗浄装置1の外部に搬出する。この動作により、洗浄後の基板100は、基板洗浄装置1から搬出される。
【0083】
図16は、基板支持装置3Aの吸着部6の変形例を示す平面図である。上記した実施形態では、吸着部6の内周吸着溝66が、複数の放射状溝66aと、複数の環状溝66bと、を有している構成を例に挙げて説明しているが、この形態に限定されない。例えば、内周吸着溝66に代えて、図16に示す内周吸着溝66Bが用いられてもよい。内周吸着溝66Bは、図16に示すように、内周支持面33Bに沿った面内で互いに直交する第一直線溝66x、及び第二直線溝66yと、を有している。
【0084】
内周吸着溝66Bは、上記した内周吸着溝66と同一又はほぼ同一の領域において設けられている。この内周吸着溝66Bであっても、上記した内周吸着溝66と同様の効果を奏する。また内周吸着溝は、上記した内周吸着溝66又は内周吸着溝66Bの構成に限定されず、任意の形態を適用可能である。また、外周吸着溝についても、上記した外周吸着溝67の構成に限定されず、任意の形態を適用可能である。
【0085】
以上のように、本実施形態によれば、内周吸着部61に負圧を付与する第1負圧流路部63と、外周吸着部62に負圧を付与する第2負圧流路部64とが独立して設けられるため、内周吸着部61及び外周吸着部62のいずれか一方で基板100を吸着保持することができる。従って、基板100に反りが生じている場合でも、内周吸着部61及び外周吸着部62のいずれか一方で確実に吸着することができる。すなわち、反りが生じている基板100であっても簡易な構成で確実に保持することができる。
【0086】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態では、内周吸着部61と外周吸着部62との間に平面部37が設けられ、内周吸着部61と外周吸着部62とが基板支持テーブル3の径方向に間隔をあけて配置されている構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、平面部37を設けず、内周吸着部61と外周吸着部62とを、基板支持テーブル3の径方向に間隔をあけずに配置する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1・・・基板洗浄装置、3・・・基板支持テーブル(基板支持部)、3A・・・基板支持装置、3t・・・天面、4・・・洗浄液供給部、7・・・支持軸、9・・・基板外周支持部、33・・・支持面、61・・・内周吸着部(第1吸着部)、62・・・外周吸着部(第2吸着部)、63・・・第1負圧流路部、64・・・第2負圧流路部、66、66B・・・内周吸着溝(吸着溝)、67・・・外周吸着溝(吸着溝)、91・・・アーム、91a・・・基端、91b・・・先端部、94・・・支持パッド、100・・・基板、101・・・角部、C・・・中心、Cv・・・鉛直軸
図1
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