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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】総合栄養食ペットフード
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/105 20160101AFI20240122BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20240122BHJP
【FI】
A23K20/105
A23K10/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019236821
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2020108374
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2018247012
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】迫田 順哉
(72)【発明者】
【氏名】吉賀 史里
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049056(JP,A)
【文献】国際公開第2005/058064(WO,A1)
【文献】特開2017-029089(JP,A)
【文献】特開2018-088842(JP,A)
【文献】特開2016-034286(JP,A)
【文献】特許第6253737(JP,B2)
【文献】特表2014-502853(JP,A)
【文献】国際公開第2018/229124(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 40/35
A23K 50/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌ又はネコの栄養食基準を満たすドライフードの総合栄養食ペットフードであって、
アスタキサンチンを含む単細胞生物原料を含有し、
ミール類を含有せず、
前記アスタキサンチンの含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、0.0012~0.008質量%であり、
前記総合栄養食ペットフードのL表色系におけるa値が8.0~20であり、b 値が10~30であり、L 値が40~70である、総合栄養食ペットフード。
【請求項2】
前記アスタキサンチンの含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、0.0012~0.0056質量%である、請求項1に記載の総合栄養食ペットフード。
【請求項3】
前記単細胞生物原料が、ヘマトコッカス藻又はファフィア酵母である、請求項1又は2に記載の総合栄養食ペットフード。
【請求項4】
さらに小麦粉を含有し、前記小麦粉の含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、35~70質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の総合栄養食ペットフード。
【請求項5】
さらに植物性タンパク質を含有し、前記植物性タンパク質が、コーングルテンミール、小麦タンパク質、豆類タンパク質、米タンパク質、及びイモ類タンパク質からなる群から選択される一種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の総合栄養食ペットフード。
【請求項6】
前記植物性タンパク質が、小麦タンパク質、又は豆類タンパク質である、請求項5に記載の総合栄養食ペットフード。
【請求項7】
前記植物性タンパク質の含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、0.5~30質量%である、請求項5又は6に記載の総合栄養食ペットフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総合栄養食ペットフードに関する。
【背景技術】
【0002】
主に犬や猫をターゲットとするペットフードは、水分量が10%程度であるドライフード、15~35%程度であるソフトフード、及び水分量が80%程度であるウエットフードに大別される。
その中でも、ドライフードは、保存安定性、給餌の簡便性、硬い物性により歯や顎の健康にも寄与するなどのメリットを有している。
【0003】
一般的に、ペットフードには、穀類、豆類、デンプン類、植物性タンパク質類、肉類、魚介類、野菜類、添加物(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、フレーバー原料、繊維、着色剤、パウダー状嗜好性向上剤等)等の原料が配合されている。
近年、天然志向や健康志向のユーザーが増えており、ペットフードの原料として、天然素材の原料が望まれている。その中でも、特に天然素材の着色剤が望まれている。
天然素材の着色剤としては、トマトパウダー、アスタキサンチン等が知られている。
【0004】
特許文献1には、少なくとも1種のキサントフィル(好ましくは、天然産のアスタキサンチン)からなることを特徴とする、育種哺乳動物および生産哺乳動物の生産増加剤が開示されており、育種動物および生産動物の生産を増加させることができるとされている。
また、特許文献2には、アスタキサンチンおよび/またはそのエステルを含有するペット用食物をペットに投与することを特徴とする糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善方法が開示されており、前記方法は、ペットの糞や尿などの排泄物消臭効果、睡眠改善効果、感性改善効果、視覚改善効果、糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善・予防効果を有するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3620858号公報
【文献】特許第4933097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ペットフードを着色するのには、一般的に、赤色40号、赤色102号、赤色106号等の合成着色剤が用いられている。合成着色剤を含むペットフードは、天然志向や健康志向のユーザーに好まれない傾向がある。
一方で、天然着色剤(天然の赤色着色剤)は、上記のようにペットフードのフード粒自体を着色する目的ではなく、育種動物および生産動物の生産を増加させる目的や糖尿病および糖尿病合併症の治療・改善等の目的で、栄養補助食や療法食の原料として使用されていた。そのため、天然着色剤の量が多く、ペットフードとして一般的に求められるような肉の様な色を呈していなかった。通常、栄養補助食や療法食は、月に数回給餌する程度のサプリメントとして利用されるので、ユーザーはその外観について気にすることはあまりなかった。
【0007】
また、天然素材の原料であっても、ミール類(チキンミール等)は食用肉の残渣というイメージの悪さの問題があったことから、適切な検査を行い、品質上問題のないものでも、配合されていることを望まないユーザーがいた。
ミール類の代替原料(たんぱく質源)として、例えば、植物性たんぱく質を用いることが知られている。しかしながら、植物性たんぱく質は白色のものが多い。そのため、ミール類の替わりに植物性たんぱく質を用いたペットフードに着色剤を添加すると、ペットフードの色が濃く、人工的な色合いになる傾向がある。
【0008】
毎日主要な食事として給与することを目的とした総合栄養食は、ユーザーが日常的にペットに与えるペットフードである。そのため、総合栄養食は、原料として天然素材を含み、かつ、天然素材の原料であってもネガティブイメージの強い原料は含まず、さらに、自然な肉の色を呈することが求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザーに一般的に受け入れられる天然素材を原料として含み、かつ、肉の様な色を呈する総合栄養食ペットフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の態様を有する。
[1]イヌ又はネコの栄養食基準を満たす総合栄養食ペットフードであって、アスタキサンチンを含む単細胞生物原料を含有し、ミール類を含有せず、前記アスタキサンチンの含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、0.0012~0.008質量%であり、前記総合栄養食ペットフードのL表色系におけるa値が8.0~20である、総合栄養食ペットフード。
[2]前記アスタキサンチンの含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、0.0012~0.0056質量%である、[1]に記載の総合栄養食ペットフード。
[3]前記単細胞生物原料が、ヘマトコッカス藻又はファフィア酵母である、[1]又は[2]に記載の総合栄養食ペットフード。
[4]さらに小麦粉を含有し、前記小麦粉の含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、35~70質量%である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の総合栄養食ペットフード。
[5]さらに植物性タンパク質を含有し、前記植物性タンパク質が、コーングルテンミール、小麦タンパク質、豆類タンパク質、米タンパク質、及びイモ類タンパク質からなる群から選択される一種以上である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の総合栄養食ペットフード。
[6]前記植物性タンパク質が、小麦タンパク質、又は豆類タンパク質、である、[5]に記載の総合栄養食ペットフード。
[7]前記植物性タンパク質の含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、0.5~30質量%である、[5]又は[6]に記載の総合栄養食ペットフード。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザーに一般的に受け入れられる天然素材を原料として含み、かつ、肉の様な色を呈する総合栄養食ペットフードが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
【0012】
「総合栄養食」とは、ペットフードのうち、犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品である。総合栄養食の基準としては、例えば、AAFCO(Association of American Feed Control Officials)の定めた基準を用いることが挙げられる。
なお、本明細書において、「総合栄養食」は、成長段階は問わず、「幼犬・幼猫期/成長期またはグロース」「成犬期・成猫期/維持期またはメンテナンス」「妊娠期・授乳期」のいずれかの段階の基準を満たすものでもよく、これらの3段階全てを満たす「全成長段階」又は「オールステージ用」であってもよい。
【0013】
本明細書において、L、a及びbは、CIE(国際照明委員会)で標準化されている、L表色系測定(JISZ8729)で表される値である。Lにおいて、Lは値が0のとき黒色方向、値が100のとき白色方向の拡散色として、色の明度を表す。aは色度を表し、aは赤と緑の間の色相であって負の値の場合は緑方向の色相で、正の値は赤方向の色相を表す。bは黄色と青の間の色相であって負の値は青方向の色相、正の値は黄色方向の色相を表す。なお、Lは三次元の座標として表現される。
【0014】
本明細書において、粒状ペットフードとは、ペットフードの一部または全部として用いられる粒の集合を意味する。本明細書において、パウダー状嗜好性向上剤、油脂等でコーティングされていない粒(未コーティングの粒)を「フード粒」ともいう。
【0015】
本明細書において「嗜好性」とは、ペットに好まれて食されるか否かの指標であり、食感、食味、におい等に起因する。
本明細書において、粉(パウダー)の「コーティング」とは、粉(パウダー)を粒の表面に付与して、粒の表面に付着させることを意味する。
本明細書において、液の「コーティング」とは、液を粒の表面に付与して、粒の表面に付着させることを意味し、付与した液の一部または全部が粒に浸み込む場合も含む。例えば、油脂の「コーティング」とは、油脂を粒の表面に付与して、粒に付着させることを意味し、付与した油脂の一部または全部が粒に浸み込む(含浸される)場合を含む。
【0016】
本明細書において、水分含有量の値は常圧加熱乾燥法で得られる値である。
常圧加熱乾燥法は、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを分析試料とし、分析試料2~5gを正確に量ってアルミニウム製秤量皿に入れ、135℃で2時間分析試料を乾燥し、デシケーター中で放冷後、分析試料の重さを正確に量って、乾燥前後の分析試料の重量差から水分含有量を求める。
より具体的には、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを分析試料とする。アルミ秤量缶の質量(W1グラム)を恒量値として予め測定する。このアルミ秤量缶に分析試料を入れて質量(W2グラム)を秤量する。つぎに強制循環式の温風乾燥器を使用して、135℃で2時間分析試料を乾燥させる。乾燥雰囲気中(シリカゲルデシケーター中)で分析試料を放冷した後、質量(W3グラム)を秤量する。得られた各質量から下記式を用いて分析試料の水分含有量を求める。
分析試料の水分含有量(単位:質量%)=(W2-W3)÷(W2-W1)×100
水分含有量は、最終製品を製造日から30日以内に開封した直後に測定した値、又はこれと同等の条件で測定した値とする。
【0017】
(総合栄養食ペットフード)
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、イヌ又はネコの栄養食基準を満たす総合栄養食ペットフードであって、アスタキサンチンを含む単細胞生物原料を含有し、ミール類を含有せず、前記アスタキサンチンの含有量が、前記総合栄養食ペットフード全量に対して、0.0012~0.008質量%であり、前記総合栄養食ペットフードのL表色系におけるa値が8.0~20である、総合栄養食ペットフードである。
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、天然着色剤により呈色されているため、天然志向のユーザーに良好な印象を与えることができる。また、ネガティブイメージの強いミール類を含まず、かつ、肉の様な色をしているため、給餌の際にペットの健康に影響を及ぼすかもしれないという不安感を与えることがない。そのため、本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、総合栄養食ペットフードとして、有用である。
【0018】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、L表色系におけるa値が8.0~20であり、好ましくは8.0~18であり、より好ましくは8.5~16であり、さらに好ましくは8.8~14である。
表色系におけるa値が上記の範囲内であれば、ペットフードが肉の様な色となる。
【0019】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、L表色系におけるb値は10~30であることが好ましく、14~26であることがより好ましく、18~22であることがさらに好ましい。
さらに、L表色系におけるL値は40~70であることが好ましく、45~65であることがより好ましく、50~60であることがさらに好ましい。
表色系におけるL値及びb値が上記の範囲内であれば、ペットフードがより肉の様な色となりやすい。
【0020】
すなわち、本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、L表色系におけるa値が9.0~14であり、b値が18~22であり、L値が50~60であることが最も好ましい。
表色系におけるa値、L値、及びb値が上記の範囲内であれば、ペットフードが最も肉の様な色となりやすい。
【0021】
[測色方法]
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードの測色方法は、例えば、総合栄養食ペットフードを粉砕し、その粉砕物を10mL量の測定用容器に約80%の分量で加え、測色色差計を用いて、測色することができる。
【0022】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、ドライフード(水分量10%程度)、ソフトフード(水分量15~35%程度)、ウエットフード(水分量が80%程度)、セミモイストフード(水分量はソフトフードとウエットフードとの間程度)、ジャーキー類等のいずれであってもよいが、保存安定性、給餌の簡便性、硬い物性により歯や顎の健康にも寄与するなどのメリットを有することから、ドライフードであることが好ましい。
【0023】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードの水分含有量は、イヌ用の総合栄養食ペットフードの場合は、3.0~14質量%が好ましく、5.0~13質量%がより好ましく、8.0~12質量%がさらに好ましい。ネコ用の総合栄養食ペットフードの場合は、2.0~10質量%が好ましく、3.0~9.0質量%がより好ましく、4.0~8.0質量%がさらに好ましい。水分含有量が前記範囲内であると、十分な嗜好性が得られる。
【0024】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、粒状ペットフードであることが好ましく、膨化粒であることがより好ましい。膨化粒は、原料混合物を粒状に成形した粒であって、原料混合物の内部で起泡させる膨化工程を経て得られる粒である。膨化工程は、加熱、発酵、化学反応または減圧などの手法により、原料混合物の内部で気体を発生させる工程をいう。膨化工程では、気体が発生することにより原料混合物の体積が増加し多孔質の性状となる。原料混合物の体積が増加することにより嵩密度が低下する。膨化工程の前、膨化工程の後、または膨化工程と同時に原料混合物を粒状に成形することにより膨化粒が得られる。
一方で、非膨化粒は膨化工程を経ずに製造された粒である。
【0025】
以下本実施形態に係る総合栄養食ペットフードに含有される各成分について、詳細に説明する。
【0026】
<アスタキサンチンを含む単細胞生物原料>
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、アスタキサンチンを含む単細胞生物原料を含有する。前記単細胞生物原料として、具体的には、ヘマトコッカス藻等の藻類、ファフィア酵母等の酵母類、海洋性細菌、汽水域生息細菌などが挙げられる。その中でも、培養や抽出のしやすさ、アスタキサンチンを高濃度で含有すること、生産性の高さ等の観点からヘマトコッカス藻又はファフィア酵母が好ましい。
【0027】
≪ヘマトコッカス藻≫
ヘマトコッカス藻は、通常は緑藻であるためクロロフィル含量が高く緑色であるが、ストレスを受けると、アスタキサンチン含量が高くなり、赤い球形となる。本実施形態に係る総合栄養食ペットフードにおいては、アスタキサンチンを多く含有したヘマトコッカス藻を用いる。また、ヘマトコッカス属に属する緑藻類では、例えば、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus deroebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。
【0028】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードにおいて、上記ヘマトコッカス藻は、ヘマトコッカス藻それ自体であってもよく、生のままで乾燥した状態であってもよく、抽出物であってもよい。ヘマトコッカス藻抽出物は、例えば、細胞壁を破砕して、アセトン、エーテル、クロロホルム、アルコール等の有機溶剤で抽出したものや超臨界状態の二酸化炭素によって抽出されたものが挙げられる。
【0029】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードにおけるヘマトコッカス藻は、上記の中でも、ヘマトコッカス藻抽出物を含む原料(ヘマトコッカス藻抽出物原料)が好ましい。
ヘマトコッカス藻抽出物原料としては、グリセリン、プロピレングリコール等の溶剤にヘマトコッカス藻抽出物が分散された液体原料と、ヘマトコッカス藻抽出物、及び賦形剤(ショ糖、ゼラチン、二酸化ケイ素等)を含む粉体原料とが挙げられるが、天然志向や健康志向のユーザーに対しての訴求力が高いことから、粉体原料であるヘマトコッカス藻抽出物原料を用いることが特に好ましい。
【0030】
≪ファフィア酵母≫
ファフィア酵母は、ミズキやナラの樹液に生息し、桃色~赤色のコロニーを形成する無胞子酵母である。
【0031】
本発明の第1の態様に係る総合栄養食ペットフードにおいて、上記ファフィア酵母は、ファフィア酵母それ自体であってもよく、生のままで乾燥した状態であってもよく、処理されたものであってもよい。処理されたファフィア酵母としては、ファフィア酵母の細胞壁を酵素処理、機械処理又はアルカリ処理したものが挙げられる。処理されたファフィア酵母として、具体的には、グリセリン、プロピレングリコール等の溶剤にファフィア酵母処理物が分散された液体原料と、ファフィア酵母処理物、及び賦形剤(クエン酸、炭酸カルシウム等)を含む粉体原料とが挙げられる。
【0032】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードにおけるファフィア酵母は、上記の中でも、天然志向や健康志向のユーザーに対しての訴求力が高いことから、生のままで乾燥した状態のファフィア酵母が好ましい。
【0033】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードのアスタキサンチンの含有量は、総合栄養食ペットフード全量に対して、0.0012~0.008質量%であり、好ましくは0.0012~0.0072質量%であり、より好ましくは0.0012~0.0064質量%であり、さらに好ましくは0.0012~0.0056質量%である。
アスタキサンチンの含有量が、上記範囲内であれば、肉のような色に調製することが容易となる。また、アスタキサンチンは抗酸化力を有するため、単細胞生物原料の含有量が、上記範囲内であれば、製造段階での総合栄養食ペットフードの原料の酸化を防ぎ、総合栄養食ペットフードの原料の劣化を防ぐことができる。
【0034】
単細胞生物原料の含有量は、総合栄養食ペットフード全量に対して、0.3~2.0質量%が好ましく、0.3~1.8質量%がより好ましく、0.3~1.6質量%がさらに好ましく、0.3~1.4質量%が特に好ましい。
【0035】
なお、本実施形態に係る総合栄養食ペットフードの抗酸化力の評価方法としては、例えば、一重項酸素消去能 (single oxygen absorption capacity; SOAC)測定法が挙げられる。
SOAC法では、食品抽出物液中に、一重項酸素発生剤と一重項酸素によって分解する指示薬(例えば、Endoperoxide試薬)を加え、35℃にて反応させ、指示薬の量が減少する量(吸光度)を経時的に測定する。指示薬の残量が多いほど、総合栄養食ペットフードの抗酸化活性が強いことを意味する。
【0036】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、さらに、小麦粉、植物性タンパク質を含むことが好ましい。
【0037】
・小麦粉
小麦粉は穀類(トウモロコシ、小麦、米、大麦、燕麦、ライ麦等)の中でもタンパク質消化率が特に高いため、好ましい。さらに小麦粉は白度が高いため、本実施形態に係る総合栄養食ペットフードを肉のような色に調製することが容易となる。
【0038】
小麦粉の含有量は、総合栄養食ペットフード全量に対して、35質量%~70質量%であることが好ましく、40~65質量%であることがより好ましく、45~60質量%であることがさらに好ましい。
小麦粉の含有量が、上記範囲内であれば、肉のような色に調色することが容易となる。
【0039】
・植物性タンパク質
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、総合栄養食の基準を満たすために、ミール類以外のタンパク質源が必要となるが、上記小麦粉をタンパク質源となる程多く配合する事が難しい場合がある。その場合、下記の動物性タンパク質、又は、植物性タンパク質が含有されていることが好ましい。
動物性タンパク質としては、牛、豚、羊、鹿、ウサギ等の畜肉や獣肉;鶏、七面鳥、ウズラ等の鳥肉などの肉類、まぐろ、かつお、あじ等の魚類;えび、かに等の甲殻類;たこ、いか等の軟体動物;ほたて、さざえ等の貝類;フィッシュエキス類;鰹節などの魚介類が挙げられる。
植物性タンパク質としては、コーングルテンミール、小麦タンパク質、豆類タンパク質、米タンパク質、イモ類タンパク質等が挙げられる。
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、上記の中でも、植物性タンパク質が含有されていることが好ましく、小麦タンパク質、豆類タンパク質、及びイモ類タンパク質からなる群から選択される1種以上である事が好ましく、小麦タンパク質、又は豆類タンパク質がより好ましく、豆類タンパク質がさらに好ましい。
【0040】
上記豆類タンパク質として、具体的には、大豆タンパク質、エンドウマメタンパク質、レンズマメタンパク質、ヒヨコマメタンパク質が好適に挙げられる。前記豆類タンパク質は、白度が高いため、肉のような色に調色することが容易となり好ましい。
【0041】
植物性タンパク質の含有量は、総合栄養食ペットフード全量に対して、0.5~30質量%であることが好ましく、1~25質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることがさらに好ましい。
【0042】
原料の配合は特に限定されない。総合栄養食の基準を満たすとともに、良好な成形性が得られるように設定することが好ましい。
ドライタイプの総合栄養食のペットフードの配合(外添剤も含む)の例を以下に示す。
(ドライタイプの総合栄養食のペットフードの配合例)
穀類、豆類、デンプン類の合計10~70質量%、肉類および魚介類の合計1~70質量%、植物性タンパク質1~70質量%、外添剤1~20質量%、残りはその他の成分。
【0043】
本実施形態に係る粒状ペットフードを構成する粒の形状は、ペットが食するのに好適な形状であればよく、特に限定されない。
例えば球状、楕円体状(碁石状)、ドーナッツ状、ペレット状、円柱状、多角柱状、板状、クローバー状、ハート状、星状、十字状等あらゆる形状が適用可能である。
また、粒の大きさは、ペットが一口で頬張れる小粒形状であってもよいし、ペットが複数回にわたってかじり付くことができる大粒形状であってもよい。
例えば、フード粒の大きさは最短径及び最長径が、共に3~30mmであることが好ましく、共に6~16.5mmであることがより好ましく、共に7~12mmであることがさらに好ましい。
【0044】
本実施形態に係る総合栄養食ペットフードは、上述した原料以外のペットフードにおいて公知の原料を適宜用いることができる。
粉体原料として、具体的には、穀類(トウモロコシ、小麦、小麦ふすま、米、パン粉、大麦、燕麦、ライ麦等)、いも類(さつまいも、馬鈴薯等)、豆類(丸大豆等)、デンプン類(小麦デンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン、加工デンプン等)、野菜類、種実類、きのこ類、果実類、藻類、卵類、糖類、乳類、添加物(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、フレーバー原料、繊維、着色剤、パウダー状嗜好性向上剤等)等が挙げられる。
パウダー状嗜好性向上剤として、より具体的には、動物原料エキス、植物原料エキス、酵母エキス、酵母の乾燥物等が挙げられる。
液体原料(半固形原料も含む)として、具体的には、水、油脂(鶏油(チキンオイル)、豚脂(ラード)、牛脂(タロー)、乳性脂肪、魚油等の動物性油脂;オリーブ油、カカオ油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、ヤシ油、つばき油等の植物性油脂)、液糖、液体嗜好性向上剤、保湿剤、保存料、乳化剤、香料、着色剤等が挙げられる。
上記着色剤は、赤色40号、赤色102号、赤色106号等の合成着色剤も含まれるが、本実施形態に係る総合栄養食ペットフードにおいては、前記合成着色剤は含有していないことが好ましい。
【0045】
(総合栄養食ペットフードの製造方法)
本発明の総合栄養食ペットフードの製造方法は、例えば、後述の公知の方法を用いることができる。
【0046】
[造粒工程]
造粒工程は、原料混合物を造粒して粒を得る工程である。
造粒工程としては、原料を混合して原料混合物とし、該原料混合物を粒状に成形(造粒)する方法等が挙げられる。
造粒工程として、具体的には、エクストルーダーを用いて粒(膨化粒)を製造する方法が挙げられる。
エクストルーダーを用いて粒を製造する方法は、例えば「小動物の臨床栄養学 第5版」(Michael S. Hand、Craig D. Thatcher, Rebecca L. Remillard, Philip Roudebusg、Bruce J. Novotny 編集、Mark Morris Associates 発行;2014年;p.209~p.215)に記載されている方法が適用できる。
【0047】
エクストルーダーを用いて粒を製造する方法の例を説明する。まず、粒の原料を、必要に応じて粉砕した後、混合する。グラインダー等を用いて粉砕しつつ混合してもよい。また必要に応じて水(製造工程中で揮発し、最終的に原料組成には含まれない)を加えて原料混合物を得る。
得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧した後、出口から押し出す。出口には所定の形状の穴が形成されたプレートと、該プレートから押し出された原料混合物を所定の長さ(厚さ)に切断するカッターが設けられている。原料混合物は該プレートの穴から押し出され、カッターで切断されることにより所定の形状に成形されると同時に、加圧状態から常圧に開放されることによって原料混合物中の水蒸気が膨張し、これによって原料混合物が膨化して多孔質の粒が得られる。
【0048】
[乾燥工程]
乾燥工程は、上記造粒工程により、得られた粒を乾燥する工程である。
粒を乾燥する方法としては、自然に乾燥させる方法、温風を吹き付けて乾燥させる方法、減圧して乾燥させる方法、フリーズドライで乾燥させる方法等の公知の方法が挙げられる。これらの乾燥方法の中でも、温風を吹き付けて乾燥させる方法が、ペットフードの風味を向上させる点で好ましい。
【0049】
乾燥する際の粒の温度及び粒に吹き付ける温風の温度は特に限定されない。例えば、温風の温度としては、150℃以下が好ましい。また、温風の温度の下限値は特に限定されず、通常は室温を超える温度であり、30℃以上であることが好ましい。この温度範囲で乾燥させる場合、当該加熱処理の時間は、1分~120分が好ましい。
上記温度範囲及び時間範囲の下限値以上であると、比較的短時間で粒を乾燥させることができる。上記温度範囲の上限値以下であると、粒が過度に加熱されることを防げる。
【0050】
[油脂コーティング工程]
本発明の総合栄養食ペットフードの製造方法は、油脂コーティング工程を含んでいてもよい。
油脂コーティング工程は、上記乾燥工程により、得られたフード粒を油脂でコーティングする工程である。
フード粒を油脂でコーティングする方法としては、例えば、フード粒に油脂を噴霧する方法、粒と油脂とをタンク等の容器に入れ撹拌器で撹拌する方法、前記容器を振動させる方法、真空コート法等を用いることができる。
【0051】
真空コート法は、加温した粒と油脂等を接触又は付着させた状態で、減圧する方法である。真空コート法を用いることにより、フード粒の表面だけでなく、フード粒の内部へ油脂を含浸させることができる。
真空コート法における減圧の程度は、特に限定されない。フード粒の大きさや硬さに応じて適宜調整すればよく、例えば0.1~0.3気圧まで減圧する程度が挙げられる。
【0052】
油脂コーティング工程は複数回に分けて行ってもよい。例えば、上記乾燥工程により得られたフード粒に、一部の油脂を添加し、攪拌又は振動混合させた後に、再度残りの油脂を添加する方法が挙げられる。油脂コーティング工程を複数回に分けて行うことにより、乾燥した粒から細かな粉が発生すること(粉立ち)を防止することができる。
【0053】
油脂を投入する際の温度は、油脂が固化しない程度であれば、特に限定されないが、油脂の酸化を防ぐ観点から、なるべく低い温度であることが好ましく、例えば40~80℃とすることができる。
【0054】
[パウダーコーティング工程]
本発明の総合栄養食ペットフードの製造方法は、パウダーコーティング工程を含んでいともよい。
パウダーコーティング工程は、上記乾燥工程により、得られたフード粒又は、油脂コーティングを有する粒を、パウダー状嗜好性向上剤でコーティングする工程である。
【0055】
前記粒をパウダー状嗜好性向上剤でコーティングする方法としては、前記粒と、パウダー状嗜好性向上剤とを、タンク等の容器に入れ撹拌器で撹拌する方法、前記容器を振動させる方法等が挙げられる。
【0056】
パウダー状嗜好性向上剤を前記粒に付着させる際の前記粒の温度は、35~75℃が好ましく、40~65℃がより好ましく、45~55℃がさらに好ましい。その際のパウダー状嗜好性向上剤は10~25℃が好ましい。前記粒の温度が上記の範囲であると、前記粒に付着されるパウダー状嗜好性向上剤の被覆量(パウダーコーティング量)が多くなり易い。
【実施例
【0057】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0058】
<実施例1>
表1及び表2に示す配合で、総合栄養食ペットフードを構成する原料を混合した。得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、混練しながら100℃~140℃で1~5分間の加熱処理を施してデンプン成分をアルファ化し、エクストルーダーの出口で粒状に押出造粒すると同時に膨化させた。得られた粒を乾燥機を用いて、90℃で60分間の乾燥処理を行い、実施例1の総合栄養食ペットフードを得た。
<実施例2~5、比較例1~4>
上記実施例1と同様の方法により、表1及び表2に示す、各例の総合栄養食ペットフードを製造した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
[総合栄養食ペットフードの測色方法]
まず、各例の総合栄養食ペットフードについて、岩谷産業株式会社製ミルサーを用いてそれぞれ均一に粉砕して、各例の総合栄養食ペットフード粉砕物を得た。次いで、前記粉砕物を、10mL量の測定用容器に約80%の分量で入れ、測色色差計(商品名:ZE6000、日本電色工業株式会社製)を用い、機器付属のマニュアルに従って、3箇所について、CIELAB色空間における各座標値の測色をそれぞれ行った。
その結果を表3及び表4に示す。
【0062】
[総合栄養食ペットフードの見た目の官能評価]
実施例1の総合栄養食ペットフードと、比較例1~3の総合栄養食ペットフードとを比較し、「どちらが自然な肉のような色に見えるか」、アンケート(モニター数17人)を実施した。また、実施例2の総合栄養食ペットフードと、比較例4の総合栄養食ペットフードとを比較し、「どちらが自然な肉のような色に見えるか」、アンケート(モニター数17人)を実施した。
上記質問への全回答数に対して、比較例のそれぞれの総合栄養食ペットフードより実施例のそれぞれの総合栄養食ペットフードの方が、「肉のような色に見える」と回答した人の割合を百分率(単位:%)で算出した。その結果を表5及び表6に示す。
【0063】
[総合栄養食ペットフードの製造段階での抗酸化力の評価]
実施例1の総合栄養食ペットフードの構成からファフィア酵母を除き、その分小麦粉を含有した配合の総合栄養食ペットフードを、実施例1の総合栄養食ペットフードと同様の方法で製造した。得られた総合栄養食ペットフードを比較例5とする。
実施例1の総合栄養食ペットフードと、比較例5の総合栄養食ペットフードとをそれぞれ500gノンバリア包材に入れ、恒温高湿機(温度37%、湿度75%RH)で経時での酸化を確認した。
総合栄養食ペットフードの経時での酸化の評価は下記に示すSOAC法により、評価した。
【0064】
<脂溶性成分の抽出>
まず、褐色遠沈管(10ml容量)に上記実施例1及び比較例5のそれぞれの総合栄養食ペットフード(以下サンプルという)を100mg測りとる。そこに、抽出溶媒(エタノール:クロロホルム:重水=50:50:1)を2~3ml加え、攪拌する(操作1)。静置後、ピペットを使って、抽出液を褐色メスフラスコ(10ml容量)に移す(操作2)。
抽出液が無色になるまで(サンプルが白くなる)まで前記操作1、操作2を繰り返す。次いで、抽出溶媒により10mlに調整後、PTFEシリンジフィルター(25mm、0.45μm)で抽出液をろ過し、サンプル抽出液とした。
【0065】
<SOAC法測定>
共栓付石英セルに、ジフェニルベンゾフラン(DPBF)と上記抽出溶媒との混合溶液(DPBF:94.4mg/L)0.5ml、及び、D-α-トコフェロールと上記抽出溶媒との混合溶液(D-α-トコフェロール:0.5mM)、又は、サンプル抽出液を1ml入れる。
ブランクに上記抽出溶媒を入れて紫外可視分光光度計(商品名:UV-1800、島津製作所社製)にセットし、上記石英セルに、さらに、3-(1,4-エピジオキシ-4メチル-1,4-ジヒドロ-1-ナフチル)プロピオン酸と上記抽出溶媒との混合溶液(3-(1,4-エピジオキシ-4メチル-1,4-ジヒドロ-1-ナフチル)プロピオン酸:316.5mg/L)(EP(Endoperoxide)試薬)を1.5ml加え、6連セルホルダーにセットする。上記サンプル抽出液を測定する場合には、1セル目にブランク、2セル目に上記D-α-トコフェロールと上記抽出溶媒との混合溶液、3~6セル目に上記サンプル抽出液をセットする。
次いで、温度35℃に設定された紫外可視分光光度計(商品名:UV-1800、島津製作所社製)に、上記セルをそれぞれセットし、413nmの吸光度を測定開始し、2時間の経時変化を測定する。
なお、サンプル抽出液の色により、吸光度が変化するため、サンプルのみの吸光度を差し引いて計算する。
その結果を表7に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】
表3及び表5に示す通り、本発明を適用した実施例1の総合栄養食ペットフードは、ファフィア酵母の含有量が適度であり、a値が8.0~20であるため、比較例1~3の総合栄養食ペットフードより、自然な肉のような色に見えるという評価が高かった。
【0072】
比較例4の総合栄養食ペットフードは、白度の高い小麦粉ではなく、黄みの強いとうもろこしが多く配合されているため、相対的に赤みが弱くなり、a値が8.0未満であった。
そのため、表4及び6に示すように、a値が8.0~20である実施例2の総合栄養食ペットフードの方が、比較例4の総合栄養食ペットフードより、自然な肉のような色に見えるという評価が高かった。
【0073】
表7に示す通り、本発明を適用した実施例1の総合栄養食ペットフードは、比較例5の総合栄養食ペットフードより、酸価の変化率が小さいことが確認できる。そのため、総合栄養食ペットフードに含まれる油脂等の劣化度合いが小さく、本発明を適用した実施例1の総合栄養食ペットフードの方が、比較例5の総合栄養食ペットフードより、経時安定性が高いことが確認できる。
【0074】
以上より、本発明を適用した実施例の総合栄養食ペットフードは、天然の着色剤を含有し、ミール類は含まれていないが、肉の様な色を有し、天然志向や健康志向のユーザーに対しての訴求力が高いことが確認できる。