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特許7423618透明フィルムの頂面での正確な光トポグラフィ測定のための除去可能な不透明コーティング
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  • 特許-透明フィルムの頂面での正確な光トポグラフィ測定のための除去可能な不透明コーティング 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】透明フィルムの頂面での正確な光トポグラフィ測定のための除去可能な不透明コーティング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240122BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01B11/24
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021521026
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019056839
(87)【国際公開番号】W WO2020081882
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】62/748,300
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/597,131
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ディグー プラサンナ
(72)【発明者】
【氏名】シェン シャオメン
(72)【発明者】
【氏名】サイトー ジェイソン
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0112730(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0195855(US,A1)
【文献】特開2017-122716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ上に高反射コーティングを堆積させるステップと、
前記高反射コーティングの表面のトポグラフィを測定するステップと、
前記トポグラフィを測定した後に、前記ウエハから前記高反射コーティングを除去するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングが有機材料を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングが1~2の屈折率値を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングが入射光の少なくとも20パーセントを反射することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングが、堆積させると、40×40マイクロメートルの解像度で下層パターントポグラフィを維持することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングが前記ウエハに破壊的応力を引き起こさないことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングが金属材料を含まないことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングが不透明であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記ウエハが透明材料の層を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングの前記堆積させるステップがスピンコータによって行われることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記トポグラフィを測定するステップが光干渉法を使用して行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、ウエハ形状が測定されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、ウエハ平坦度が測定されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、両面ナノトポグラフィが測定されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、高解像度のエッジロールオフが測定されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記高反射コーティングの前記除去するステップが溶剤を使用して行われることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記溶剤がプロピレングリコールメチルエーテルであることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記溶剤が乳酸エチルであることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記溶剤がテトラメチルアンモニウムヒドロキシドであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載される実施形態は、一般に、光トポグラフィ測定に関し、より詳細には、除去可能な不透明コーティングを使用する透明フィルムの頂面での改善された光トポグラフィ測定に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2018年10月19日に出願された「透明フィルムの頂面での正確な光トポグラフィ測定のための除去可能な不透明コーティング」と題する米国仮特許出願第62/748,300号の優先権を主張するものであり、その主題を本願に引用して援用する。
【0003】
半導体ウエハ上の透明フィルム上での光トポグラフィ測定は、測定の精度に影響を及ぼす透明フィルム効果によって影響を受ける。透明フィルム効果を補償するために使用される既存の技法は、フィルムの光学特性および厚さに関する追加情報を必要とする補正モデルに基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2010/0112730号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルム特性に関するこの追加情報が不正確または不完全である場合、補正は、不正確になる。補正モデルは、周知の実際の光学フィルムの特性を用いた実験的または工学的分析において有用である場合があるが、実際のフィルム特性が変化する大量生産環境における生産計測には複雑すぎて時間がかかりすぎる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の新規な態様では、透明フィルムの頂面での正確な光トポグラフィ測定のための除去可能な不透明コーティングを使用する方法は、ウエハの頂面に高反射コーティングを堆積させるステップと、高反射コーティング上のトポグラフィを測定するステップと、ウエハから高反射コーティングを除去するステップと、を含む。
【0007】
第2の新規の態様では、高反射コーティングは、有機材料を含む。
【0008】
第3の新規の態様では、高反射コーティングは、1~2の屈折率値を含む。
【0009】
第4の新規の態様では、高反射コーティングは、635ナノメートルの2つ以上の複合波長を含む。
【0010】
第5の新規の態様では、高反射コーティングは、入射光の少なくとも20パーセントを反射する。
【0011】
第6の新規の態様では、高反射コーティングは、堆積させると、少なくとも40×40マイクロメートルの解像度で下層パターンのトポグラフィを維持する。
【0012】
第7の新規の態様では、高反射コーティングは、ウエハに形状変化の応力を引き起こさない。
【0013】
さらなる詳細ならびに実施形態および技法は、以下の詳細な説明に記載される。本概要は、本発明を規定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0014】
同様の数字が同様の構成要素を示す添付の図面は、本発明の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】透明層間の複数の界面からの光反射を示す図である。
図2】頂面の高反射率コーティングのみからの光反射を示す図である。
図3】ウエハ測定プロセスの複数のステップを示す図である。
図4】ウエハの高反射率コーティングのプロセスを示す図である。
図5】高反射率のウエハコーティングのプロセスを説明する流れ図100である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、背景の例および本発明のいくつかの実施形態を詳細に参照し、それらの例を添付の図面に示す。以下の説明および特許請求の範囲において、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「頂部」、「底部」、「左」、および「右」などの関係用語は、記載されている構造の異なる部分間の相対的な向きを説明するために使用されることがあり、記載されている全体的な構造は、実際には、3次元空間において任意の仕方で配向される得ることを理解されたい。
【0017】
ウエハ形状およびトポグラフィ計測は、重要な分野であり、半導体産業においてますます重要性を増している。多くのインラインウエハ処理ステップは、1つ以上の透明層の使用を含む。ウエハは、多くの場合、やはり少なくとも部分的に透明な基板の上に製造される。光学計測を使用して少なくとも部分的に透明な層の特性を測定する場合、入射光のすべてが頂面から反射するわけではない。少なくとも部分的に透明な層の頂面から反射しない光は、少なくとも部分的に透明な層を通過し、次いで、他の後続の表面から反射する。後続の表面からのこれらの反射は、少なくとも部分的に透明な層の頂面の不正確な光学測定を引き起こす。不正確さの理由は、頂面から反射する光を、少なくとも部分的に透明な層の底面から反射する光と区別することができないためである。したがって、少なくとも部分的に透明な層の底面で輪郭であるものが、少なくとも部分的に透明な層の頂面で輪郭として現れることがある。
【0018】
図1は、少なくとも部分的に透明な層の頂面での入射光の多重反射を示す。図1に示すウエハは、6つの層を含む。層6(n6)は、部分的に透明な基板である。層1~5も、少なくとも部分的に透明である。光学検査中、入射光は、層1の頂面に向けられる。本例では、層1の頂面の特性の測定が望まれている。しかしながら、層1の少なくとも部分的な透明性に起因して、入射光は、層1によって完全には反射されない。むしろ、入射光の一部は、層1を通過し、層1と層2との間の表面界面から反射する。入射光の一部は、層2も通過し、層2と層3との間の表面界面から反射する。入射光の一部は、層3も通過し、層3と層4との間の表面界面から反射する。入射光の一部は、層4も通過し、層4と層5との間の表面界面から反射する。入射光の一部は、層5も通過し、層5と層6との間の表面界面から反射する。入射光の一部は、層6も通過し、層6の底面から反射する。したがって、図1は、頂部透明層の所望の頂面からの反射ではない、入射光のウエハからの多重反射が生成されることを示す。透明層の頂面の特性の測定を改善するためには、新規の方法が必要である。
【0019】
新規の方法を図2に示す。図2は、透明層頂面の光学測定を改善するための、「物理層」とも呼ばれる高反射率コーティングを示す。頂部透明層の頂面に高反射率コーティングを堆積させる。高反射コーティングが頂部透明層の頂面全体にわたって均一な厚さを有するように、高反射コーティングを堆積させる。堆積させた高反射コーティングの均一な厚さは、堆積された高反射コーティングの頂面が第1の透明層の頂面とマッチングすることを確実にする。一例では、高反射率コーティングの材料は、入射光の少なくとも20パーセントを反射する。高反射率コーティングの反射率を高めることにより、光強度に基づいて、高反射率コーティングから反射された光と後続の層から反射された光を区別する能力が高まる。
【0020】
一例では、高反射率コーティングは、ある種のフォトレジストなどの有機材料である。
【0021】
別の例では、高反射コーティングは、1~2の屈折率値を有する。
【0022】
別の例では、高反射コーティングは、635ナノメートルの2つ以上の複合波長を含む。
【0023】
別の例では、高反射コーティングは、入射光の少なくとも20パーセントを反射する。
【0024】
別の例では、高反射コーティングは、堆積させると、40×40マイクロメートルの解像度で下層パターンのトポグラフィを維持する。
【0025】
別の例では、高反射コーティングは、頂部透明層の頂面に破壊的な応力を引き起こさない。
【0026】
別の例では、高反射コーティングは、頂部透明層に破壊的な応力を引き起こさない。
【0027】
別の例では、高反射コーティングは、ウエハに破壊的応力、または形状変化の応力、またはトポグラフィ変化の応力を引き起こさない。
【0028】
別の例では、高反射コーティングは、金属を含まない。
【0029】
別の例では、高反射コーティングは、不透明である。
【0030】
図3は、高反射コーティングを使用して透明層の頂面特性を測定するためのステップを示す。ステップ1では、ウエハの頂部透明層の頂面は、コーティングされていない。ステップ2では、ウエハの頂部透明層の頂面が高反射コーティングでコーティングされる。一例では、コーティングは、有機非金属材料である。別の例では、コーティングは、金属層である。コーティングは、透明フィルムの底部またはフィルムスタックの内部界面からの反射を防止する。したがって、頂面から反射された光のみが、ウエハ頂面トポロジーを測定するために使用される。本明細書において、コーティングのために有機材料を使用することは、有機膜の堆積が膜応力を、応力がウエハの曲げを誘発するレベルまで増加させないという点で有利であることに留意されたい。
【0031】
ステップ3では、高反射コーティングでコーティングされたウエハの頂面のトポグラフィが測定される。ウエハをコーティングした後に頂面トポグラフィを測定することで、反射された位相の歪みまたは反射された光強度の変動の損失などの透明フィルムの影響が回避されるため、透明フィルムの存在下でより正確な光トポグラフィ測定が提供される。
【0032】
ステップ4では、高反射コーティングが除去される。高反射コーティングは、様々なやり方を使用して除去することができる。一例では、高反射コーティングは、溶剤を使用して除去される。溶剤には、プロピレングリコールメチルエーテル、乳酸エチル、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
図4は、高反射コーティングをウエハの頂面に堆積させるための方法を示す。ウエハは、真空チャックと接触している。高反射率材料のディスペンサがウエハの上方に配置されている。次いで、ディスペンサが高反射率材料をウエハの頂面に吐出しながら、ウエハを回転させる。真空チャックによってウエハを回転させている間に、ディスペンサは、ウエハの中心またはウエハの外縁、およびそれらの中間のすべての場所に高反射材料を堆積させるように移動する。
【0034】
図5は、透明フィルムの頂面での正確な光トポグラフィ測定のための除去可能な不透明コーティングのステップを説明する流れ図である。ステップ101において、高反射コーティングがウエハの頂面に配置される。ステップ102において、高反射コーティングの頂面トポグラフィ測定が行われる。一例では、表面トポグラフィ測定は、ウエハ形状、ウエハ平坦度、両面ナノトポグラフィ、および高解像度のエッジロールオフを測定することができる光干渉法ベースのフルウエハ形状寸法計測プラットフォームを使用して行われる。
【0035】
ステップ103において、頂面トポグラフィ測定が完了すると、高反射コーティングは、ウエハを損傷することなくウエハから除去される。一例では、反射コーティングは、プロピレングリコールメチルエーテル、乳酸エチル、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの溶剤を使用して除去される。ステップ104において、ウエハは、最終使用のためにさらに処理される。
【0036】
透明フィルムの頂面での正確な光トポグラフィ測定のための除去可能な不透明コーティングを使用するこの方法により、以下が可能になる。
頂面のトポグラフィの正確な測定。
ウエハとの物理的接触によってトポグラフィを測定する場合の、ウエハの頂面への物理的損傷の防止。
光学測定を使用することによる、測定時間の短縮。
溶剤洗浄による高反射率コーティングの迅速な除去。
【0037】
特定の具体的な実施形態が教示目的で上述されているが、本特許文書の教示は、一般的な適用可能性を有し、上述した具体的な実施形態に限定されない。したがって、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態の様々な特徴の様々な変形、適合、および組合せを実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5