IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

特許74236572成分無溶剤ポリウレタンラミネート接着剤組成物
<>
  • 特許-2成分無溶剤ポリウレタンラミネート接着剤組成物 図1
  • 特許-2成分無溶剤ポリウレタンラミネート接着剤組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】2成分無溶剤ポリウレタンラミネート接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240122BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20240122BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20240122BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J175/06
C09J175/08
B32B27/00 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021563147
(86)(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 CN2019084037
(87)【国際公開番号】W WO2020215235
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ナン
(72)【発明者】
【氏名】リアン,ジンジン
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,グアン イェウ
(72)【発明者】
【氏名】ケニオン,グラント
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-016181(JP,A)
【文献】国際公開第2015/178360(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/123586(WO,A1)
【文献】特開2003-096428(JP,A)
【文献】特開2011-219698(JP,A)
【文献】特開昭61-098733(JP,A)
【文献】特開平06-184517(JP,A)
【文献】米国特許第05998538(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 175/04
C09J 175/08
C09J 175/06
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)OH含有成分、及び
(B)NCO含有成分
を含んでなり、
OH含有成分(A)とNCO含有成分(B)との間の質量比は1超:1、成分(A)中のOH基と成分(B)中のNCO基との間のモル比は1未満:1であり、
OH含有成分(A)は、成分(A)の少なくとも70重量%を構成する1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールを含み、
NCO含有成分(B)は、成分(B)に基づいて、8重量%~25重量%のNCO基含有量を有
前記1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールは、
I)1つ以上のポリカルボン酸、
II)1つ以上のC -C 15 モノマーポリオール、及び
III)1つ以上の、200Da~4000Daの数平均分子量(Mn)を有するエーテル基を含有するポリオール
に由来する繰り返し単位からなる、2成分無溶剤ポリウレタン接着剤組成物。
【請求項2】
OH含有成分(A)は、20~160mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
OH含有成分(A)は、20~160mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する前記1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールを含むか、又は本質的に該1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールからなるか、又は該1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールからなる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
NCO含有成分(B)は、8重量%~25重量%のNCO基含有量を有する1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーを含むか、又は本質的に該1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーからなるか、又は該1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記1つ以上のポリカルボン酸は、C1-C15脂肪族ジカルボン酸;C6-C20芳香族ジカルボン酸;並びにそれらの混合物から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記1つ以上のC-C15モノマーポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジペンチレングリコール、トリペンチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、2-メチルプロピレングリコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記1つ以上のエーテル基を有するポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリヘキシレングリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ブチレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ブチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、ポリ(ブチレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(ブチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、及びポリ(ペンチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール;及びそれらの混合物から選択される、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールは、25℃で500~10000mPa.sの範囲の粘度を有する、請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記OH含有成分は、25℃で500mPa.s~10000mPa.sの粘度を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
成分(A)と成分(B)との間の質量比は、1超:1~4:1の範囲である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
成分(A)中のOH基と成分(B)中のNCO基との間のモル比は、1未満:1~1:2の範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーは、成分(B)の少なくとも70重量%を構成する、請求項4~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物の硬化物。
【請求項14】
2つのフレキシブル基材を一緒に接合する方法であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の接着剤組成物の2つの成分を混合すること、混合された接着剤組成物を少なくとも1つの基材に塗布すること、及び、次いで該基材を一緒に積層することを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法から得られた、又は請求項13に記載の硬化物を含んでなる、又は請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を使用して製造された、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(A)OH含有成分、及び(B)NCO含有成分を含んでなり、OH含有成分(A)とNCO含有成分(B)との間の質量比は1:1より大きく、成分(A)中のOH基と成分(B)中のNCO基との間のモル比は1:1未満である、2成分無溶剤ポリウレタンラミネート接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル包装、例えばフレキシブルパウチは、製品包装用途に広く使用されている。フレキシブル包装は、通常、例えばプラスチックフィルムやアルミ箔などの複数のフレキシブルフィルムを積層することによって積層材料から調製され、最終的なフレキシブル包装の望ましい機能を提供する。例えば、フレキシブル包装材料は、3層の積層であり得、内層は、包装された製品と直接接触し、シール層として機能する。この目的には、ポリプロピレンとポリエチレンが最良の選択である。中間層は通常、バリア層として機能し、水分、気体、光、又は香りに対するハイバリアを必要とする。アルミニウム箔、金属化プラスチックフィルム、又はナイロンは、望ましいバリア特性を有しているため、バリア層としての中間層として使用できる。外層は通常、強力な機械的特性を有する必要があり、印刷情報面も提供する。ポリエステルフィルムは、その優れた印刷適性、高い機械的性能、及び透明性のために、この目的には最適の選択である。
【0003】
異なる層を共に接合して積層材料を形成するために、接着剤が隣接する層の間に塗布される。これらの接着剤はほとんどが液体の形態であり、適当な溶剤の溶液又は分散液であるか、無溶剤である場合がある。水性接着剤などの溶剤系接着剤は、グラビア又は滑らかなローラーコーティングシリンダーを使用して層の表面に塗布され、オーブンを通過する時に乾燥される。無溶剤接着剤は、接着剤を低粘度段階に維持するためにコーティングシリンダーを加熱した特別な機械を必要とする。異なる層が共に接合されて積層材料を形成し、ロール状に蓄積される。これらのロールは特定の保管状態に保たれ、一部の用途では使用前に接着剤を完全に硬化することができる。
【0004】
多くの種類のポリマー材料がラミネート接着剤として開発されてきたが、ポリウレタン系ラミネート接着剤は、その優れた接合強度、耐熱性、低温下で柔軟性がある、及び耐薬品性のため、依然としてフレキシブル包装材料業界で最も好ましい接着系である。種々のポリウレタンラミネート接着剤の中で、ほぼ100%の固形分で塗布できる無溶剤又は溶剤レスラミネート接着剤が、フレキシブル包装業界において人気が高まっている。溶剤のない接着剤は100%固体として塗布されるため、これは、有機溶剤の排出や乾燥工程を必要としないことを意味し、環境に優しく、エネルギー消費が少ないだけでなく、非常に高速で作動することもできる。水性接着剤などの溶剤系接着剤の一般的な作動速度は、乾燥能力に応じて100~200m/分に制限されているが、無溶剤接着剤は200~400m/分を上回る速度で塗布できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第1518874号明細書
【文献】欧州特許第0150444号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、無溶剤接着剤の固形分100%は、水性接着剤などの溶剤系接着剤に比べてより粘性がある。無溶剤接着剤は非常に高速で塗布されるため、粘度が高いとコーティングローラーから基材表面への転写が不完全になり、接着剤のミストを生じ、気泡を発生させるので、無溶剤ラミネーション接着剤には、塗布温度での高粘度は好ましくない。低い塗布温度、例えば40℃~60℃で低粘度を達成するには、無溶剤接着剤を2成分系として設計する必要がある。イソシアネート成分又はNCO含有成分とも呼ばれるベース成分には、低粘度の低分子量ポリウレタンプレポリマーが含まれており、ヒドロキシル成分又はOH含有成分とも呼ばれる第2の硬化剤成分が、塗布の直前にイソシアネート成分と混合される。
【0007】
イソシアネート成分とヒドロキシル成分を最初に混合し塗布ステーションで塗布した後、ヒドロキシル基とイソシアネート基の反応が始まり、高分子量ポリウレタンポリマーを生じ、粘度が上昇し始める。
【0008】
二成分系の1つの懸念は、混合接着剤組成物が混合時に粘度が2倍になるのに要する時間として定義されるポットライフである。典型的な2成分接着剤のポットライフは15~20分である。製造工程が予期せず中断した場合、混合接着剤組成物の粘度が急激に上昇するならば、組成物を廃棄し、機械を完全に洗浄する必要がある。従って、無溶剤接着剤には長いポットライフが望ましい。
【0009】
低い塗布温度(通常40℃で300~3000mPa・s)で条件に合った塗布粘度を達成するために、イソシアネート成分は通常遊離イソシアネート基の重量百分率(NCO%)が10%~25%である、非常に低分子量のジイソシアネートモノマーを高含有量有する必要がある。ヒドロキシル成分も低分子量プレポリマーである必要があり、150~400mgKOH/gのヒドロキシル価(OHV)を有する。従来の2成分無溶剤ポリウレタンラミネート接着剤の設計では、遊離NCO基と遊離OH基とのモル比は1:1より大きく、通常は1.2:1~2:1の間に設定され、ヒドロキシル成分対イソシアネート成分の質量比は30:100~125:100まで変化する。TDI、MDI、IPDI、HDI、HMDI、XDI、NDIなどを含むジイソシアネート成分の総質量含有量は、接着剤混合物中の30%~50%である。
【0010】
別の懸念は、高レベルの遊離ジイソシアネートモノマー残留物及び高レベルの遊離NCO基含有量は、遊離NCO基とヒドロキシル基との間の反応速度が通常の硬化温度(室温から40℃)で比較的遅いため、硬化速度が遅くなり、接着剤は40℃のオーブンに入れても完全に硬化するのに24時間~72時間かかる。接着剤が完全に硬化した後でのみ、ラミネートをさらに処理してパッケージを作成できる。従って、無溶剤ラミネーション接着剤には、より速い硬化速度が望ましい。
【0011】
高いジイソシアネート含有量に起因する別の懸念は、食品安全性に関する政府の規制である。食品安全性に関する規制は、食品包装が包装された食品と接触した際に安全でなければならないことを義務付けている。TDI、MDI、NDIなどの未反応の遊離芳香族ジイソシアネートモノマーは、水分と反応し、強力なCMR化学物質のクラスとして分類される対応する第一級芳香族アミン(PAA)に加水分解できる。PAA分子は包装材料から包装食品に移行し、生存者に食品安全上の影響を引き起こす。従って、食品安全上の懸念については、PAA分子はプレポリマーのNCO基と完全に反応して、検出できない移行レベル(例えば、<2ppb)に到達する必要がある。このプロセスは、いわゆるPAA減衰である。
【0012】
高レベルの遊離ジイソシアネートモノマーはまた、反密封効果と呼ばれる別の問題を引き起こす可能性がある。かなりの量のモノマーイソシアネートがシール層の外面に移行し、水又はシールフィルム(例えば、LDPEフィルム)からのエルカ酸アミド又はオレイン酸アミドなどの滑り剤と反応する場合、反密封効果が生じる可能性がある。このことで、これらのアミドとモノマーイソシアネート、特に芳香族イソシアネートとの反応による尿素の形成につながる。得られた尿素は通常、非常に高い融点(>200℃)を有し、シールフィルムの表面に移行できる。得られた尿素がシールフィルムの表面に顕著な層を形成すると、シールフィルムはもはや密封できない場合がある。
【0013】
上記の問題に対処するためのいくつかの方策が開示されている。モノマージイソシアネート含有量を減らすためにラミネート接着剤で使用される1つの方策は、主要な成分として低モノマー含有量のプレポリマーを使用することである。これらのプレポリマーは、EP1518874に記載されているように、プレポリマーからモノマーを輝散させることによって達成できる。しかし、このアプローチは非常に困難で時間がかかり、特別な機器が必要であり、通常は非常に高い粘度になる。モノマー含有量を減らすために無溶剤ポリウレタンラミネーション接着剤で使用される別の方策は、残留物のモノマージイソシアネートを完全に反応させるために、非対称ジイソシアネート、例えば、2,4-TDI又は2'4'-MDIのイソシアネート基の異なる反応性を利用して、2:1よりも小さなモル比でヒドロキシル成分と反応させることである。このアプローチは、EP0150444に記載されている。しかし、このアプローチはまた、より低い操作温度で高粘度になる。妥当な使用粘度を実現するためには、70℃以上での塗布が必要であり、ラミネート機械の製造や洗浄には望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の問題を克服するために、本発明は、
(A)OH含有成分、及び
(B)NCO含有成分
を含む、又は本質的にそれらからなり、
OH含有成分(A)とNCO含有成分(B)との間の質量比は1:1より大きく、成分(A)中のOH基と成分(B)中のNCO基との間のモル比は1:1未満である、2成分無溶剤ポリウレタンラミネート接着剤組成物を提供する。
【0015】
好ましくは、OH含有成分(A)は、20~160mgKOH/g、好ましくは70~150mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。より好ましくは、該成分(A)は、1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールを含むか、又は本質的に該1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールからなるか、又は該1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールからなる。特に、該1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールはそれぞれ20~160mgKOH/g、好ましくは70~150mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する。
【0016】
好ましくは、NCO含有成分(B)は、成分(B)に基づいて、8重量%~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%のNCO基含有量を有する。より好ましくは、成分(B)は、1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特に該1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーは、成分(B)に基づいて、それぞれ8重量%~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%のNCO基含有量を有する。
【0017】
本発明の方策は、ヒドロキシル基とイソシアネート基とのモル比を1:1未満の範囲に維持しながら、ヒドロキシル成分の質量当量を増加させることにより、接着剤組成物中のイソシアネート成分の総質量当量を減少させることである。イソシアネート成分の総質量を減少させることにより、接着剤組成物中のモノマージイソシアネート残留物の総量がそれに応じて減少する。本発明において、接着剤組成物中のイソシアネート成分の総含有量は、20重量%~55重量%減少させることができ、それに対応して、モノマージイソシアネート残留物もまた、20重量%~55重量%減少させることができる。
【0018】
こうした混合方策を用いることにより、得られた接着剤組成物は、従来の接着剤組成物と比較してイソシアネート成分をより少なく含む。接合強度は主に硬化ポリウレタンポリマーのウレタン成分に由来することが知られており、通常、イソシアネート成分が少ないとウレタン成分が少なくなり、従って接合強度が低下する。しかしながら驚くべきことに、本発明者らは、本発明の得られた接着剤組成物の接合強度が、従来のポリウレタンラミネーション接着剤と同じレベルのままであることを見出した。
【発明の効果】
【0019】
従って、本発明のポリウレタンラミネート接着剤組成物は、低モノマージイソシアネート含有量、長いポットライフ、速い硬化速度、及び接合強度のような同等の機械的性能の1つ又は複数、好ましくはすべての利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は対照1のスペクトルプロファイルを示す。
図2図2は実施例2-A9のスペクトルプロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は例示的な実施形態の説明のみであり、本発明のより広い態様を限定することを意図するものではないことは、当業者によって理解されるべきである。そのように説明された各態様は、特に明確に反対に示されない限り、他の任意の態様と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示される任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される任意の他の特徴又は複数の特徴と組み合わせることができる。
【0022】
別段の定めがない限り、本発明の文脈において、使用される用語は、以下の定義に従って解釈されるべきである。
【0023】
別段の定めがない限り、本明細書で引用されるすべての重量%又は%は、接着剤組成物の総重量に基づく重量パーセントである。
【0024】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される場合、用語「a」、「an」及び「the」は、単数形及び複数形の両方の指示対象を含む。
【0025】
本明細書で使用される「comprising」及び「comprises」という用語は、「including」、「includes」又は「containing」、「contains」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、さらなる、記載されていない部材、要素又はプロセスステップを除外しない。
【0026】
本明細書で使用される「本質的にからなる」という用語は、記載された成分が、例えば、組成物の本体、例えば組成物の少なくとも80重量%、組成物の少なくとも83重量%、組成物の少なくとも85重量%、又は組成物の少なくとも90重量%を構成することを意味する。
【0027】
成分を定義するために本明細書で使用される「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という用語は、成分の種類を指し、分子の絶対数を指しているのではない。例えば、「1つ以上のポリオール」は、1種類のポリオール又は複数の異なるポリオールの混合物を意味する。
【0028】
本明細書で数値に関連して使用される「約」、「およそ」などの用語は、±10%、好ましくは±5%の数値を指す。
【0029】
別段の定めがない限り、数値の終点の記載には、それぞれの範囲内に包含されるすべての数値及び分数、並びに記載された終点が含まれる。
【0030】
本明細書で引用されているすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
特に定義されていない限り、技術用語及び科学用語を含む本発明で使用されるすべての用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味を有する。
【0032】
本明細書で使用される数平均分子量(Mn)は、溶離液としてTHFを用いたDIN 55672-1に準拠したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。本明細書で使用される重量平均分子量(Mw)もまた、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0033】
本発明は、(A)OH含有成分、及び(B)NCO含有成分を含んでなり、又は本質的にそれらからなり、OH含有成分(A)とNCO含有成分(B)との間の質量比は1:1より大きく、成分(A)中のOH基と成分(B)中のNCO基との間のモル比は1:1未満である、2成分無溶剤ポリウレタンラミネート接着剤組成物を提供する。
【0034】
以下、成分(A)及び(B)について詳細に説明する。
【0035】
<(A)OH含有成分>
一般に、本発明において有用なOH含有成分は特に限定はなく、(A)と(B)の質量比がより1:1より大きく、(A)と(B)とのモル比が1:1未満で、本発明の目的を満たすことができる限り、ポリウレタン接着剤に従来使用されている任意のOH含有成分であり得る。
【0036】
好ましくは、本発明のOH含有成分は、例えば、20~160mgKOH/g、50~150mgKOH/g、70~120mgKOH/g、例えば60mgKOH/g、80mgKOH/g、90mgKOH/g、100mgKOH/g、110mgKOH/g、130mgKOH/gの範囲の低いヒドロキシル価(OHV)を有する。
【0037】
好ましくは、本発明のOH含有成分は、2~5、好ましくは2.2~4の平均OH官能価を有する。
【0038】
本発明において、ヒドロキシル価(OHV)は、1グラムのヒドロキシル成分のアセチル化に取り込まれた酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義され、1グラムのヒドロキシル成分のヒドロキシル含有量に相当するミリグラム単位の水酸化カリウム(KOH)の質量の単位で表される。本発明において、OHVは、DIN 53240-2に従って決定される。
【0039】
本発明において、OH含有成分は、1つ以上のポリオール(多価アルコールとしても知られる)を含み得、OH含有成分全体の総ヒドロキシル価が上記で定義された範囲内にある限り、各ポリオールは20~160mgKOH/g、50~150mgKOH/g、70~120mgKOH/g、例えば60mgKOH/g、80mgKOH/g、90mgKOH/g、100mgKOH/g、110mgKOH/g、130mgKOH/g、の範囲のヒドロキシル価を有する必要はない。
【0040】
本明細書で使用される「ポリオール」という用語は、分子が他の官能基を含むかどうかにかかわらず、2つ以上のヒドロキシル基を有する分子として理解されるべきである。しかしながら、本発明において有用なポリオールは、好ましくは、官能基としてOH基のみを含むか、又は他の官能基が存在する場合、これらの他の官能基のいずれもが、本発明の条件下で少なくともイソシアネートに対する反応性がない。
【0041】
本発明において、成分(A)の粘度は、60℃以下などの低温で確実に接着剤を塗布できる限り特に制限されない。最終用途の観点から、成分(A)の粘度は、好ましくは25℃で500~10000mPa・sの範囲であり、より好ましくは25℃で500~5000mPa・sの範囲であり、例えば、25℃で600、800、1000、1200、1400、1600、2000、2400、2500、2700、3000、3300、3600、3900、4200、4500、4800mPa・sである。
【0042】
本発明のOH含有成分は、1つ以上のポリオールを含み得、OH含有成分全体の最終粘度が上記で定義された範囲内にある限り、各ポリオールが25℃で500~1000mPa.sの範囲、より好ましくは500~5000mPa.sの範囲、例えば、25℃で600、800、1000、1200、1400、1600、2000、2400、2500、2700、3000、3300、3600、3900、4200、4500、4800mPa.sの粘度を有する必要はない。好ましくは、本発明で有用な各ポリオールは、上記で定義された範囲の粘度を有する。
【0043】
本発明で使用できるポリオールは特に限定されず、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールなど、ポリウレタン接着剤の調製に従来から使用されているものを本発明では使用できる。好ましくは、本発明のOH含有成分は、1つ以上のポリエーテルエステルポリオールを含む、もしくは本質的にそれからなる、もしくはそれからなる。
【0044】
最終的に得られるOH含有成分は、20~160mgKOH/g、50~150mgKOH/g、70~120mgKOH/g、例えば60mgKOH/g、80mgKOH/g、90mgKOH/g、100mgKOH/g、110mgKOH/g、130mgKOH/gの範囲のOHVを有し、25℃で500~10000mPa・s、より好ましくは25℃で500~5000mPa・s、例えば、25℃で600、800、1000、1200、1400、1600、2000、2400、2500、2700、3000、3300、3600、3900、4200、4500、4800mPa・sの範囲の粘度を有する限り、ポリウレタン接着剤の調製に一般的に使用されるポリエーテルエステルポリオールを本発明で使用できる。好ましくは、本発明で有用な各ポリエーテルエステルポリオールは、上記で定義された範囲のOHV及び粘度を有する。
【0045】
好ましくは、本発明のポリエーテルエステルポリオールは、
I)1つ以上のポリカルボン酸、
II)1つ以上のC-C15モノマーポリオール、及び
III)1つ以上の、200Da~4000Daの数平均分子量(Mn)を有するエーテル基を含有するポリオール
に由来する繰り返し単位を含む。
【0046】
ポリエーテルエステルポリオールの成分I)として使用するのに適したポリカルボン酸は、C-C15脂肪族ジカルボン酸、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、及びアゼライン酸;C-C20芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェン酸及び2,6-ナフタレンジカルボン酸;並びにそれらの混合物から選択される。
【0047】
成分II)として適当な1つ以上のC-C15モノマーポリオールは、(i)任意選択で最大3つのエーテル基を含むことができるα,ω-末端ヒドロキシル基を含む非分岐の脂肪族ジオール、及び(ii)2以上のヒドロキシル官能価を有するポリオールからなる群から選択できる。本発明で使用される好ましいモノマーポリオールには、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジペンチレングリコール、トリペンチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、2-メチルプロピレングリコール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0048】
成分III)として使用するのに適当なポリオールは、
数平均分子量(Mn)が200Da~4000Da、例えば300Da、400Da、500Da、600Da、800Da、1000Da、1500Da、1800Da、2000Da、2300Da、2600Da、3000Da、3300Da、3500Da、3800Daのエーテル基を含むポリオールである。成分III)のポリオールは、既知の方法で、例えば、OH基などの少なくとも1つの反応性水素原子を含むスターター化合物とC-Cアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフランもしくはエピクロルヒドリン又はそれらの2つ以上の混合物との触媒反応によって得ることができる。本発明において有用なエーテル基は、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの2つ以上の混合物に由来する。適当たなスターター化合物は、好ましくは、エチレングリコール、1,2-又は1,3-プロピレングリコール、1,4-又は1,3-ブチレングリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ヒドロキシルメチルシクロヘキサン、又は2-メチルプロパン-1,3-ジオールである。
【0049】
特に、成分III)として使用されるポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリヘキシレングリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ブチレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ブチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、ポリ(ブチレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(ブチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、及びポリ(ペンチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール;並びにそれらの混合物であり得る。
【0050】
好ましくは、本発明において有用なポリエーテルエステルポリオールは、2~5、好ましくは2.2~4の平均OH官能価を有する。
【0051】
好ましくは、1つ以上のポリエーテルエステルポリオールは、成分(A)の少なくとも70重量%、例えば、成分(A)の少なくとも80重量%、成分(A)の少なくとも90重量%、又は成分(A)の100重量%を構成する。
【0052】
<(B)NCO含有成分>
本発明において有用なNCO含有成分は、ポリウレタン接着剤の調製に一般的に使用される限り、特に限定されない。好ましくは、成分(B)中のNCO基含有量は、成分(B)に基づいて8重量%~25重量%、好ましくは10~20重量%の範囲であり、例えば、13重量%、15重量%、及び18重量%であり、ISO 14896/3に従って決定される。
【0053】
好ましくは、成分(B)は、1つ以上のNCO末端ポリウレタン(PU)プレポリマーを含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる。全NCO含有成分のうちの総NCO基含有量が上記で定義された範囲内にある限り、各NCO末端PUプレポリマーは、8重量%~25重量%、好ましくは10~20重量%の範囲、例えば13重量%、15重量%、及び18重量%のNCO基含有量を有する必要はない。好ましくは、本発明において有用なNCO末端PUプレポリマーは、上記で定義された範囲のNCO基含有量を有する。
【0054】
本発明において有用なNCO末端PUプレポリマーは、ポリオール又はポリオール混合物を化学量論的に過剰のポリイソシアネートと反応させることによって得られる。プレポリマーの調製に使用されるポリオールは、ポリウレタン合成に一般的に使用される任意のすべてのポリオール、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、又はそれらの2つ以上の混合物であり得る。
【0055】
ポリエーテルポリオールは、1つ以上の第一級又は第二級アルコール基を含む多くのアルコールから製造できる。ポリエーテルの製造の開始剤として、例えば、以下の化合物、又はこれらの化合物の混合物を使用できる:水、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ヘキサンジオール、3-ヒドロキシフェノール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、及びソルビトール。エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、及びトリメチロールプロパンが好ましく使用される。上記のポリエーテルの製造のための環状エーテルとして適当なのは、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、もしくはテトラヒドロフランなど、又はこれらのアルキレンオキシドの混合物である。
【0056】
ポリエステルポリオールは、例えば、低分子量アルコール、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロール、又はトリメチロールプロパンをカプロラクトンと反応させることによって製造できる。またポリエステルポリオールを製造するための多官能性アルコールとして適当なのは、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,4-ブタントリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びポリブチレングリコールである。
【0057】
他の適当なポリエステルポリオールは、重縮合によって製造できる。例えば、二官能性及び/又は三官能性アルコールは、化学量論量以下の量のジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸の混合物、又はそれらの反応性誘導体と縮合して、ポリエステルポリオールを形成できる。適当なジカルボン酸は、例えば、アジピン酸又はコハク酸、及び最大16個のC原子を有するそれらの高同族体、さらに不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸又はフマル酸など、ならびに芳香族ジカルボン酸、特に異性体フタル酸、例えばフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸などである。適当なトリカルボン酸としてはクエン酸又はトリメリット酸が挙げられる。上述の酸は、個別に、又はそれらの2つ以上の混合物として使用できる。特に適当なアルコールは、ヘキサンジオール、ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエート、もしくはトリメチロールプロパン、又はそれらの2つ以上の混合物である。遊離のポリカルボン酸の代わりに、(可能であれば)対応するポリカルボン酸無水物又は好ましくは1~3個のC原子を有するアルコールとの対応するポリカルボン酸エステルを使用することもできる。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、もしくは複素環式、又はその両方であり得る。適当なポリカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、二量体脂肪酸、もしくは三量体脂肪酸、又はそれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0058】
油脂化学起源のポリエステルポリオールを使用することもできる。そのようなポリエステルポリオールは、例えば、少なくとも一部に1~12個のC原子を有する1つ以上のアルコール不飽和脂肪酸を含む脂肪混合物のエポキシ化トリグリセリドの完全開環と、それに続くトリグリセリド誘導体の部分的エステル交換によって生成でき、アルキル残基に1~12個のC原子を有するアルキルエステルポリオールを生成する。
【0059】
ポリカーボネートポリオールは、例えば、ジオール、例えばプロピレングリコール、1,4-ブタンジオールもしくは1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくはテトラエチレングリコールなど、又はこれらのジオールの2つ以上の混合物と、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネート、又はホスゲンとの反応によって得ることができる。
【0060】
PUプレポリマーの調製に有用なポリエーテルエステルポリオールには、例えば、上記の成分(A)に記載されたものが挙げられる。
【0061】
PUプレポリマーを合成するために使用されるポリオールの分子量は、好ましくは、100~20000g/molの範囲、特に、100~4500g/mol、例えば150、200、400、800、1000、1500、1800、2000、2200、2600、3000、3300、3500、3800、4000、4300g/molなどである。平均OH官能価は2~5の範囲、好ましくは2.2~4.5であり得る。
【0062】
ポリオールに対するポリイソシアネートの化学量論的過剰(NCO基とOH基とのモル比に関して)は、特に1:1~1.8:1、好ましくは1:1~1.6:1、特に好ましくは1.05:1~1.5:1である。
【0063】
使用される過剰のイソシアネートのために、NCO末端PUプレポリマーは、通常一定量のイソシアネートモノマー、すなわち、特に芳香族ポリイソシアネートモノマー、例えば、MDIなどを、プレポリマー及びモノマーの総重量に対して典型的には0.1~25重量%の量で有する。
【0064】
プレポリマーの分子量(Mn)は、200~100,000g/molの範囲、例えば200~10,000g/mol、200~5000g/mol、300~3000g/mol、400~2000g/mol、500~1500g/molなどである。
【0065】
好ましくは、1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーは、成分(B)の少なくとも70重量%、例えば成分(B)の少なくとも80重量%、成分(B)の少なくとも90重量%、又は成分(B)の少なくとも95重量%を構成する。
【0066】
<成分(A)と(B)の「逆混合比」>
低い総ジイソシアネート含有量、長いポットライフ、速い硬化速度及び同等の機械的性能などの本発明のポリウレタン接着剤の望ましい効果を達成するために、OH含有成分(A)とNCO-含有成分(B)との間の質量比は、1:1より大きく、例えば1:1~4:1の範囲、例えば1.2:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3.0:1、3.5:1などとすべきである。成分(A)中のOH基と成分(B)中のNCO基との間のモル比は、1:1未満、例えば、1:1~1:2の範囲、例えば1:1.2、1:1.3、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8などとすべきである。本発明では、このような質量比とモル比の逆混合方式を「逆混合比」と呼び、得られた接着剤を「逆混合比」接着剤とも呼ぶ。
【0067】
例えば、15%のモノマーイソシアネートを含む同じNCO含有成分を使用して、NCO含有成分が100:50の質量比でOH含有成分と混合される場合、接着剤中の総遊離モノマーイソシアネートは10%である。NCO含有成分がOH含有成分と100:100の質量比で混合される場合、接着剤中の総遊離モノマーイソシアネートは7.5%である。NCO含有成分がOH含有成分と100:200の質量比で混合される場合、接着剤中の総遊離モノマーイソシアネートは5%である。
【0068】
二成分接着剤組成物中の成分(A)及び(B)の含有量は、上記の逆混合比が満たされている限り特に限定されない。
【0069】
上記成分(A)及び(B)に加えて、本発明のポリウレタンラミネート接着剤組成物は、従来の添加剤、例えば粘着付与剤、安定剤、架橋剤、粘度調整剤、顔料、可塑剤又は酸化防止剤などを含み得る。
【0070】
従来の添加剤は、互いに独立して、成分(A)及び(B)の一方又は両方に含まれ得る。
【0071】
本発明の別の態様では、2つのフレキシブル基材を一緒に接合する方法であって、本発明の接着剤組成物の2つの成分を混合すること、混合された接着剤組成物を少なくとも1つの基材に塗布すること、及び、次いで接着剤を固定するのに十分な時間、該基材を一緒に合わせることを含む方法が提供される。
【0072】
本出願のPUラミネート接着剤の2つの成分は、使用前に混合され、次いで、フィルムなどの接合されるフレキシブル基材の少なくとも1つに塗布され、次いで、該基材が一緒に積層される。接着剤の量は、通常、約1~5g/mである。
【0073】
本発明のさらに別の態様では、本発明の接着剤組成物の反応生成物が提供される。
【0074】
本発明のさらに別の態様では、本発明の方法から得られた、本発明の硬化物を含む、又は本発明の接着剤組成物を使用して製造された物品が提供される。
【実施例
【0075】
以下の実施例は、当業者が本発明をよりよく理解し、実施するのを支援することを意図される。本発明の範囲は、実施例によって限定されるのではなく、添付の請求項で規定される。特に明記されていない限り、すべての部と百分率は重量に基づく。
【0076】
<酸価の決定>
酸価は、ASTM D4662-93:ポリウレタン原料の標準試験方法:ポリオールの酸価及びアルカリ価の決定に従って決定した。
【0077】
具体的には、ある量の試料を150mLの三角フラスコに量り入れ、50mLの予め中和したエタノール/ジエチルエーテル50:50(v/v)溶媒混合物に溶解した。試料が完全に溶解し、30秒間休止した後、滴定剤としてc(KOH)=0.1mol/Lエタノール溶液を使用し、指示薬としてフェノールフタレインを使用して溶液を滴定した。溶液が赤くなった時に滴定を停止し、滴定剤の消費量をVEPとして記録した。酸価(AV)は以下の式で計算できる。
【0078】
【数1】
【0079】
AV:試料の酸価(mgKOH/g)
EP:溶液が赤くなった時の滴定剤の消費量(mL)
c(KOH):滴定剤の濃度(mol/L)、ここではc(KOH)は0.1mol/Lである。
f:単位なしの滴定剤の補正係数
KOH:KOHの分子量、ここでは56.11g/molである。
:試料の重量(g)
【0080】
<ヒドロキシル価(OHV)の決定>
ヒドロキシル価は、DIN 53240-2:ヒドロキシル価の決定-第2部:触媒を使用した方法に従って決定した。
【0081】
具体的には、以下の試薬を最初に調製した。
滴定剤:水酸化カリウム溶液、メタノール中0.5mol/L(Sinopharm製、すぐに使用可能)
アセチル化混合物:無水酢酸溶液、10%NMP(琥珀色のガラス瓶に保存)
触媒溶液:4-N-ジメチルアミノピリジン、NMP中1%
【0082】
適切なサンプル量を150mL三角フラスコに量り入れ3つのサンプルを調製し、2つの空の150mL三角フラスコをブランク試料として使用した。30mL触媒溶液と10mLアセチル化混合物を各三角フラスコに加え、撹拌しながら15分間密封し、次に3mLの脱イオン水を加え、撹拌しながらさらに12分間密封した。すべての試料とブランク溶液は、滴定剤としてc(KOH)=0.5mol/Lメタノール溶液を使用し、指示薬としてフェノールフタレインを使用して滴定した。溶液が赤くなった時に滴定を停止し、滴定剤の消費量を記録し、2つのブランクの平均消費量をVblankとした。ヒドロキシル価(OHV)は以下の式で計算できる。
【0083】
【数2】
【0084】
OHV:ヒドロキシル価(mgKOH/g)
AV:試料の酸価(mgKOH/g)
EP:溶液が赤くなった時の試料の滴定剤消費量(mL)。
Blank:溶液が赤くなった時の2つのブランクの平均滴定剤消費量(mL)
c(KOH):滴定剤の濃度(mol/L)、ここではc(KOH)は0.5mol/Lである。
f:単位なしの滴定剤の補正係数、
KOH:KOHの分子量、ここでは56.11g/molである。
:試料の重量(g)
【0085】
<OH官能価の決定>
OH官能価は、以下の式によって計算した。
【0086】
【数3】
【0087】
:ポリエステルポリオールの平均OH官能価
OH:式中の全ヒドロキシル基のモル当量
COOH:式中の全カルボン酸基のモル当量
Monomer:式中の全モノマーのモル当量
【0088】
<粘度試験方法>
25℃における粘度は、#63スピンドルを装填したブルックフィールド粘度計LVTを使用して試験し、40℃における粘度は、#27スピンドルを装填した、熱硬化性加熱アタッチメントを備えたブルックフィールド粘度計DV2Tを使用して試験した。
【0089】
<NCO%の決定>
NCO%は、ISO 14896/3:プラスチック-ポリウレタン原料-イソシアネート含有量の決定に従って決定した。
【0090】
具体的には、以下の試薬を最初に調製した。
滴定剤:1mol/L塩酸塩のメタノール水溶液(Sinopharm製、すぐに使用可能)
反応溶液: 1mol/Lジブチルアミンの無水トルエン溶液(琥珀色のガラス瓶に保存)
【0091】
適切な量の試料(約2g)を容器に量り入れた。30mLのトルエンを加えてそれを溶解した。20mLの反応溶液を加え、容器を密封し、磁気攪拌下10分間反応を行った。その後、30mLのメタノールを添加し、過剰のジブチルアミンを滴定剤で逆滴定した。NCO%は、以下の式で計算される。
【0092】
【数4】
【0093】
NCO%:試料のイソシアネート含有量
EP:試料の滴定剤消費量(mL)
Blank:ブランクの滴定剤消費量(mL)
c(HCl):滴定剤の濃度(mol/L)、ここではc(HCl)は1.0mol/Lである。
f:単位なしの滴定剤の補正係数
NCO:NCOの分子量、ここでは42.02g/molである。
:試料の重量(g)
1000:gからmgへの変換係数
【0094】
<ポリエーテル-エステルポリオールの調製手順>
メカニカル撹拌機、窒素入口、温度計、分別蒸留システムを備えた3Lの4口反応容器に、最初に表1に示す量のジカルボン酸とポリエーテルポリオールを加え、窒素ガスでパージし、次に窒素雰囲気下で210℃に加熱し、温度が下がり始め、水が蒸留しなくなるまでこの温度に保った。次に、反応混合物を170℃に冷却し、次にモノマーポリオールを表1に示す量で容器に加え、次に反応混合物を4時間かけて230℃にゆっくりと加熱し、230℃で2時間保持した。次に、容器を230℃に保ちながら8時間で600mbar~200mbarに真空引きし、その後200mbarと230℃でもう4時間設定し、酸価が3mgKOH/g未満になり、ポリエーテルエステルポリオールを得た。得られたポリエーテルエステルポリオールのヒドロキシル価及び粘度を、上記の方法を使用して試験し、表1に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
<(A)OH含有成分>
A1:P1
A2:P2
A3:P3
A4:P4
A5:P5
A6:P6
A7:P7
A8:P8
A9:P9
A10:P10
A11(参考):P11
A12:P12
A13:90重量部のP7及び10重量部のヒマシ油(OHV:154mgKOH/g)、
A13のOHV=110mgKOH/g、粘度=25℃で2700mPa・s
A14:88重量部のP6及び10重量部のP13及び2重量部のポリエーテルポリオー
ル(Kukdo Chemicals Co., Ltd.から購入、商品名GY-6
00E)、A14のOHV=118mgKOH/g
A15:68重量部のP6及び30重量部のP13及び2重量部のポリエーテルポリオー
ル(Kukdo Chemicals Co., Ltd.から購入、商品名GY-6
00E)、A15のOHV=120mgKOH/g
A16:48重量部のP6及び50重量部のP14及び2重量部のポリエーテルポリオー
ル(Kukdo Chemicals Co., Ltd.から購入、商品名GY-6
00E)、A16のOHV=122mgKOH/g
A17(参考):70重量部のP14及び30重量部のポリエーテルポリオール(Kuk
do Chemicals Co., Ltd.から購入、商品名GY-440)、A
17のOHV=240mgKOH/g、粘度=25℃で1500mPa・s
【0097】
<(B)NCO含有成分>
B1:40重量部のP12及び60重量部のCovestroDesmodur(登録商
標)2460M(Covestro AG製、50%~60%の2,4'-MDI、
≧40%4,4'-MDI及び<0.8%2,2'-MDI)を混合し、ゆっくりと
70℃に加熱した。NCO%が16重量%未満になったら、加熱を停止する。最
終NCO%は15.5重量%で、粘度は40℃で2500mPa・sであった。
B2:29重量部のPPG1000、6重量部のPPG450、5重量部のヒマシ油(O
HV:150~160mgKOH/g)、12重量部のCovestroDes
modur(登録商標)0118I(Covestro AG製、>98%4,4
'-MDI及び<1.8%2,4'-MDI異性体)、48重量部のCovestr
oDesmodur(登録商標)2460Mを混合し、ゆっくりと70℃に加熱
した。NCO%が16.5重量%未満になったら、加熱を停止する。最終NC
O%は16.0重量%で、粘度は40℃で1200mPa・sであった。
B3:50重量部のP6及び50重量部のCovestroDesmodur(登録商標)
2460Mを混合し、ゆっくりと70℃に加熱した。NCO%が13重量%未満
になったら、加熱を停止する。最終NCO%は13.0重量%であり、粘度は4
0℃で4060mPa・sであった。
【0098】
<2成分無溶剤PU接着剤>
各接着剤は、OH含有成分とNCO含有成分を表2に記載されている量で混合することによって得た。
【0099】
【表2】

【0100】
<ポットライフ>
ラミネーション接着剤は、対照1(A11とB1を混合することにより)、対照2(A17とB2を混合することにより)、実施例3-A2(A2とB1を混合することにより)、実施例2-A8(A8とB1を混合することにより)、実施例6-A8(A8とB12を混合することにより)、及び実施例6-A13(A13とB2を混合することにより)から形成した。
【0101】
各接着剤を40℃に加熱し、最初と5分間隔で粘度をチェックした。結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
表3に示すように、本発明の実施例3-A2、実施例2-A8、及び実施例6-A8の「逆混合比」接着剤のポットライフは30分より長く、実施例6-A13は20分より長かったが、対照1及び対照2の従来のラミネーション接着剤系は20分未満であった。従来の接着剤対照1(B1/A11)の粘度は、はるかに速い速度で増加し、30分未満で5000mPa・sに到達したが一方で、5000mPa・sに到達するのに実施例2-A8(B1+A8)の「逆混合比」接着剤は約40分、実施例3-A2(B1+A2)は50分以上かかった。これは、「逆混合比」ラミネーション接着剤はより長いポットライフとオープンタイムを有するため、積層操作においてより扱いやすく、従って手入れが簡単である。
【0104】
<硬化速度>
本発明における硬化速度は、FT-IRによる約2270cm-1でのラミネーション接着剤の経時的なNCOピーク強度によって特徴付けられる。これにより、ラミネーション接着剤の化学硬化速度が得られる。
【0105】
ラミネーション接着剤は、対照1(A11とB1を混合することにより)及び実施例2-A9(A9とB1を混合することにより)から形成した。対照1及び実施例2の各接着剤を使用して、厚さ12μmのアルミニウム箔のシートを厚さ40μmのポリエチレンフィルムのシートに接合して、2つのラミネートを形成した。ラミネートを40℃のオーブンで硬化し、15mm幅のストリップをそれぞれ18時間、24時間、30時間、36時間、48時間でラミネートから取り出した。ラミネートストリップは、接着破壊を確実にするために180°の剥離によって分離したので、接着剤はすべてポリエチレンフィルムの表面に残った。接着剤のFT-IRスペクトルをThermo iS5 FT-IR分光計で収集し、18時間、24時間、30時間、36時間、及び48時間で収集したスペクトルプロファイルをそれぞれ経時的に重ねた。
【0106】
対照1のスペクトルプロファイルを図1に示した。24時間の硬化後も2270cm-1で非常に強い吸収があり、このことは接着剤中の残留NCO基の含有量が高いことを示しており、そして48時間の硬化後も、このピークは完全には消失しなかった。対照的に、図2に示すように、24時間の硬化後に2270cm-1に非常に弱い吸収ピークが観察され、48時間の硬化後にベースラインと区別できなかったが、このことは従来のラミネート接着剤対照1と比較して、本発明のラミネート接着剤の硬化速度がずっと速いことを示している。図1のポットライフ曲線は、従来のラミネート接着剤(対照1)の粘度の増加がより速いことを示したが、硬化速度テストでは、遊離NCO含有量がより多くなると完全に硬化するのにより長時間を要することが示された。
【0107】
<一次芳香族アミン(PAA)の移行>
FDAコンプライアンス及びEU規制では、PAAのフレキシブルな包装材料から包装食品への移行は、BfR試験法を使用した移行テストの検出不可能なレベル、又は検出限界(食品模擬物で10億分の2,2ppb)未満でなければいけないことを義務付けている。上記のように、PAAは、過剰なモノマーイソシアネートが水分と反応した時に生成する。従って、高レベルの過剰イソシアネートは、過剰な第一級芳香族アミンの原因となる可能性があり、移行試験に合格するためにより長い硬化時間を要する。
【0108】
ラミネーション接着剤は、対照1(A11とB1を混合することにより)、実施例2-A8(A8とB1を混合することにより)及び実施例2-A9(A9及びB1を混合することにより)から形成した。
【0109】
複数のプリントPET/vmPETラミネートを、従来の接着剤(対照1)及び「逆混合比」接着剤(実施例2)のそれぞれを使用して、40μmポリエチレンフィルムのシートに積層した。これらのラミネートを40℃オーブンで硬化し、24時間及び48時間の硬化後、表面積400cmのパウチをこのフレキシブルラミネートフィルムで作成した。パウチを作成後、PAAの移行レベルをBfR試験法を使用して直ちに測定した。結果を表4に示す。
【0110】
【表4】

【0111】
表4に示すように、PAA移行試験の結果により、総ジイソシアネート含有量が少ないと、検出できないレベルのPAA移行に到達するのに要する時間が短くなることが確認された。イソシアネート基とヒドロキシル基とのモル比指数が同じで、40℃オーブン、空気中の水分との開放接触などの理想的な条件下で硬化した場合でも、従来のラミネート接着剤は、検出できないレベルのPAA移行に到達するのに依然として48時間の硬化を必要とした。本発明の「逆混合比」ラミネート接着剤は、はるかに速く硬化したので、24時間の硬化後にPAA移行試験に合格した。
【0112】
<接合強度>
ラミネーション接着剤は、対照1(A11とB1を混合することにより)、実施例2-A9(A9とB1を混合することにより)、実施例2-A8(A8とB1を混合することにより)、及び実施例6-A9(A9とB2を混合することにより)から形成した。
【0113】
これらの接着剤をラミネートの製造に使用した。各ラミネートは、約1.7gsmの接着剤コーティング重量で80μmの低密度ポリエチレンフィルムに事前にラミネートしたBOPP//vmPETラミネートフィルムでできていた。ラミネーション終了後、各ラミネートを40℃のオーブンで48時間硬化した。接合強度(BS)は、機械方向(MD)と横方向(TD)の両方で測定し、表5にまとめた。本発明において、BSは、インストロンユニバーサル引張試験機で試験し、試験片を15mmのストリップに切断し、剥離シード(seed)は100mm/分であり、剥離角度は90°であり、データは3回の測定の平均値として記録した。
【0114】
【表5】

【0115】
驚くべきことにこれらのデータから、本発明の接着剤では、NCO含有量が低くても、NCO含有量が高い従来の接着剤に匹敵する接合強度を示し、これは予想外の効果であることが分かる。
【0116】
いくつかの好ましい実施形態を説明したが、上記の教示に照らして、多くの変更及び変形がそれに対して行われ得る。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、具体的に記載されている以外の方法で実施できることを理解されたい。
本発明には、以下の好適な態様が含まれる。
[1](A)OH含有成分、及び
(B)NCO含有成分
を含んでなり、
OH含有成分(A)とNCO含有成分(B)との間の質量比は1:1より大きく、成分(A)中のOH基と成分(B)中のNCO基との間のモル比は1:1未満である、2成分無溶剤ポリウレタン接着剤組成物。
[2]OH含有成分(A)は、20~160mgKOH/g、好ましくは70~150mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する、[1]に記載の組成物。
[3]OH含有成分(A)は、好ましくは、20~160mgKOH/g、好ましくは70~150mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価を有する1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールを含むか、又は本質的に該1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールからなるか、又は該1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールからなる、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]NCO含有成分(B)は、成分(B)に基づいて、8重量%~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%のNCO基含有量を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
[5]NCO含有成分(B)は、8重量%~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%のNCO基含有量を有する1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーを含むか、又は本質的に該1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーからなるか、又は該1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーからなる、[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物。
[6]前記ポリエーテル-エステルポリオールは、
I)1つ以上のポリカルボン酸、
II)1つ以上のC -C 15 モノマーポリオール、及び
III)1つ以上の、200Da~4000Daの数平均分子量(Mn)を有するエーテル基を含有するポリオール
に由来する繰り返し単位を含む、[3]~[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7]前記1つ以上のポリカルボン酸は、C1-C15脂肪族ジカルボン酸、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、及びアゼライン酸;C6-C20芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェン酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸;並びにそれらの混合物から選択される、[6]に記載の組成物。
[8]前記1つ以上のC -C 15 モノマーポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジペンチレングリコール、トリペンチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、2-メチルプロピレングリコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、[6]又は[7]に記載の組成物。
[9]前記1つ以上のエーテル基を有するポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリヘキシレングリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ブチレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ブチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、ポリ(ブチレンオキシド-co-ペンチレンオキシド)グリコール、ポリ(ブチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール、及びポリ(ペンチレンオキシド-co-ヘキシレンオキシド)グリコール;及びそれらの混合物から選択される、[6]~[8]のいずれか一項に記載の組成物。
[10]前記ポリエーテル-エステルポリオールは、25℃で500~10000mPa.sの範囲、より好ましくは25℃で500~5000mPa.sの範囲の粘度を有する、[6]~[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[11]前記OH含有成分は、25℃で500mPa.s~10000mPa.s、好ましくは25℃で500mPa.s~5000mPa.sの粘度を有する、[1]~[10]のいずれか一項に記載の組成物。
[12]成分(A)と成分(B)との間の質量比は、1:1~4:1、好ましくは1:1~2:1の範囲である、[1]~[11]のいずれか一項に記載の組成物。
[13]成分(A)中のOH基と成分(B)中のNCO基との間のモル比は、1:1~1:2、好ましくは1:1.2~1:2の範囲である、[1]~[12]のいずれか一項に記載の組成物。
[14]前記1つ以上のポリエーテル-エステルポリオールは、成分(A)の少なくとも70重量%、例えば成分(A)の少なくとも80重量%、成分(A)の少なくとも90重量%、又は成分(A)の100重量%を構成する、[1]~[13]のいずれか一項に記載の組成物。
[15]前記1つ以上のNCO末端ポリウレタンプレポリマーは、成分(B)の少なくとも70重量%、例えば成分(B)の少なくとも80重量%、成分(B)の少なくとも90重量%、又は成分(B)の少なくとも95重量%を構成する、[1]~[14]のいずれか
図1
図2