(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】マルチビーム検査システム用のビーム・アレイ・ジオメトリ最適化装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/09 20060101AFI20240122BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20240122BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H01J37/09 A
H01J37/28 B
H01J37/147 B
(21)【出願番号】P 2022549276
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2021054608
(87)【国際公開番号】W WO2021175685
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-10-11
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン,テ-ユ
(72)【発明者】
【氏名】マーセン,マルティヌス,ゲラルドス,ヨハネス,マリア
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-215969(JP,A)
【文献】特開2019-145506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0155603(US,A1)
【文献】特開2009-009882(JP,A)
【文献】国際公開第2019/110572(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0230697(US,A1)
【文献】国際公開第2016/145458(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0001267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システム(MEMS)構造であって、
第1の走査モードで使用されるように構成されたアパーチャの第1の2次元(2D)の組と、
前記第1の走査モードとは異なる第2の走査モードで使用されるように構成されたアパーチャの第2の2Dの組と、を含み、
アパーチャの前記第2の2Dの組は、アパーチャの前記第1の2Dの組と部分的に重なり、
アパーチャの前記第1の2Dの組は、前記第2の走査モードでは使用されないアパーチャを含み、アパーチャの前記第2の2Dの組は、前記第1の走査モードでは使用されないアパーチャを含む、
微小電気機械システム(MEMS)構造。
【請求項2】
アパーチャの前記第1の2Dの組は、ギザギザの縁をした矩形形状を形成するアパーチャのアレイを含む、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
アパーチャの前記第1の2Dの組は、
アパーチャの第1の列と、
アパーチャの第2の列と、
アパーチャの第3の列と、
アパーチャの第4の列と、を含み、
前記第1、前記第2、前記第3、及び前記第4の列は、第1の方向において互いに平行であり、
前記第1及び前記第3の列は、前記第1の方向に垂直な第2の方向において、前記第2及び前記第4の列からオフセットされている、請求項1に記載の構造。
【請求項4】
前記オフセットは、前記第2の方向において重なっていないアパーチャを含む、請求項3に記載の構造。
【請求項5】
前記第1及び前記第3の列は第1の長さを有し、前記第2及び前記第4の列は第2の長さを有し、前記第1の長さは前記第2
の方向において前記第2の長さよりも長い、請求項
3に記載の構造。
【請求項6】
前記第1の列、前記第2の列、前記第3の列、及び前記第4の列は、前記第1の方向において交互になっている、請求項
5に記載の構造。
【請求項7】
アパーチャの前記第2の2Dの組は、六角形の形状を形成するアパーチャのアレイを含む、請求項1に記載の構造。
【請求項8】
前記第1の走査モードは、連続走査モードである、請求項1に記載の構造。
【請求項9】
アパーチャの前記第1の2Dの組は、前記連続走査モードで動作する場合に回転されるように構成されている、請求項
8に記載の構造。
【請求項10】
前記第2の走査モードはリープアンドスキャンモードである、請求項1に記載の構造。
【請求項11】
ステージ上に配置されたウェーハを検査するための方法であって、
前記ウェーハを検査するために、第1の走査モード及び第2の走査モードから走査モードを選択することであって、
前記第1の走査モードでは、アパーチャアレイのアパーチャの第1の2次元(2D)の組を使用して、前記ウェーハを検査し、
前記第2の走査モードでは、前記アパーチャアレイのアパーチャの第2の2Dの組を使用して、前記ウェーハを検査し、アパーチャの前記第2の2Dの組は、アパーチャの前記第1の2Dの組と部分的に重なる、ことと、
前記選択された走査モードに基づいて、前記アパーチャアレイを構成することと、を含
み、
アパーチャの前記第1の2Dの組は、前記第2の走査モードでは使用されないアパーチャを含み、アパーチャの前記第2の2Dの組は、前記第1の走査モードでは使用されないアパーチャを含む、
方法。
【請求項12】
アパーチャの前記第1の2Dの組は、ギザギザの縁をした矩形形状を形成するアパーチャのアレイを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
アパーチャの前記第1の2Dの組は、
アパーチャの第1の列と、
アパーチャの第2の列と、
アパーチャの第3の列と、
アパーチャの第4の列と、を含み、
前記第1、前記第2、前記第3、及び前記第4の列は、第1の方向において互いに平行であり、
前記第1及び前記第3の列は、前記第1の方向に垂直な第2の方向において、前記第2及び前記第4の列からオフセットされている、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年3月5日に出願された米国特許出願第62/985,669号の優先権を主張するものであり、該出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書の記載は、荷電粒子ビームシステムの分野に関し、より具体的には、マルチビーム検査システム用のビーム・アレイ・ジオメトリの最適化に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路(IC)の製造プロセスでは、未完成の又は完成した回路部品を検査して、それらが設計通りに製造され、欠陥がないことを保証する。走査型電子顕微鏡(SEM)などの荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡又は光学顕微鏡を利用した検査システムが用いられることがある。SEMは、低エネルギー電子(例えば、1keV未満)又は高エネルギー電子を表面に送達し、検出器を使用して、表面を離れる二次電子又は後方散乱電子を記録する。表面上の異なる励起位置についてそのような電子を記録することにより、ナノメートル程度の空間分解能で画像を生成することができる。
【0004】
[0004] SEMは、シングルビームシステム又はマルチビームシステムであり得る。シングルビームSEMは単一の電子ビームを使用して表面を走査し、一方、マルチビームSEMは複数の電子ビームを使用して表面を同時に走査する。マルチビームシステムは、シングルビームシステムと比較すると、より高い撮像スループットを達成することができる。しかしながら、マルチビームシステムは構造がより複雑であり、そのため、幾分か構造的柔軟性に欠ける。マルチビームシステムでの撮像のスループットを最適化することは、システムがより複雑であるせいで、困難な場合がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、マルチビーム検査ツールのビーム・アレイ・ジオメトリの最適化のための装置、システム、及び方法を提供する。実施形態によっては、微小電気機械システム(MEMS)は、アパーチャの第1の列、アパーチャの第2の列、アパーチャの第3の列、及びアパーチャの第4の列を含み得、第1、第2、第3、及び第4の列は第1の方向において互いに平行であり、第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされており、第1及び第3の列は第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2の方向において第2の長さよりも長い。
【0006】
[0006] 実施形態によっては、MEMS構造は、第1の構造であって、アパーチャの第1の列、アパーチャの第1の列の下に配置されたアパーチャの第2の列、アパーチャの第2の列の下に配置されたアパーチャの第3の列、及びアパーチャの第3の列の下に配置されたアパーチャの第4の列を含み、第1、第2、第3、及び第4の列は第1の方向において互いに平行であり、第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされており、第1及び第3の列は第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2の方向において第2の長さよりも長い、第1の構造と、六角形の形状を形成するアパーチャのアレイを含む第2の構造と、を含み得、第1の構造は、第2の構造の上に重ね合わせられている。
【0007】
[0007] 実施形態によっては、ステージ上に配置されたウェーハを検査するための複数のビームを生成するための荷電粒子マルチビームシステムは、第1の構造及び第2の構造を含み得る。第1の構造は、アパーチャの第1の列、アパーチャの第2の列、アパーチャの第3の列、及びアパーチャの第4の列を含み得、第1、第2、第3、及び第4の列は第1の方向において互いに平行であり、第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされており、第1及び第3の列は第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2の方向において第2の長さよりも長い。第2の構造は、六角形の形状を形成するアパーチャのアレイを含み得る。このシステムは、第1の構造を使用する連続走査検査、又は第2の構造を使用するリープアンドスキャン検査を実施するように構成された回路を含むコントローラを更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
【
図2】[0009]本開示の実施形態と一致した、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システムの一部分である例示的なマルチビームシステムを示す概略図である。
【
図3A】[0010]本開示の実施形態と一致する、マルチビームシステムにおけるビームレット生成の概略図である。
【
図3B】[0011]本開示の実施形態と一致する、本開示の実施形態と一致する、MEMSアパーチャアレイの概略図である。
【
図4A】[0012]ビームレットを生成するための例示的なアパーチャアレイの概略図である。
【
図4B】[0012]ビームレットを生成するための例示的なアパーチャアレイの概略図である。
【
図4C】[0013]異なるビームレットピッチで所与のFOV内でウェーハを走査するために使用され得る異なるアパーチャアレイ内のビームレットの数の例示的なグラフである。
【
図5A】[0014]ビームレットを生成するための例示的なアパーチャアレイの概略図である。
【
図5B】[0014]ビームレットを生成するための例示的なアパーチャアレイの概略図である。
【
図5C】[0014]ビームレットを生成するための例示的なアパーチャアレイの概略図である。
【
図5D】[0015]異なるビームレットピッチで所与のFOV内でウェーハを走査するために使用され得る異なるアパーチャアレイ内の充填率の例示的なグラフである。
【
図6A】[0016]本開示の実施形態と一致する、ビームレットを生成するための例示的なアパーチャアレイの概略図である。
【
図6B】[0017]本開示の実施形態と一致する、異なるビームレットピッチで所与のFOV内でウェーハを走査するために使用され得る異なるアパーチャアレイ内のビームレットの数の例示的なグラフである。
【
図7】[0018]本開示の実施形態と一致する、ビームレットを生成するための例示的なアパーチャアレイの概略図である。
【
図8】[0019]本開示の実施形態と一致する、ウェーハを検査するための例示的なプロセスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0020] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例が、添付の図面に示されている。以下の説明は添付の図面を参照し、異なる図面中の同じ番号は、特に断りの無い限り、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明文中に記載される実施態様は、本開示と一致する全ての実施態様を表すものではない。その代わり、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙される主題に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例にすぎない。例えば、幾つかの実施形態は、電子ビームを利用するという文脈で説明されているが、本開示はそのように限定はされない。他のタイプの荷電粒子ビームも、同様に適用することができる。更に、光学撮像、光検出、x線検出などの他の撮像システムが使用されることができる。
【0010】
[0021] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路から構成される。多数の回路が、同じシリコン片上に一緒に形成されることができ、集積回路又はICと呼ばれる。多数のより多くの回路を基板上に収めることができるように、これらの回路の寸法は劇的に低減された。例えば、スマートフォン内のICチップは、親指の爪ほど小さいことがあり得るが、20億個を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタの寸法は、人間の髪の毛の寸法の1/1000よりも小さい。
【0011】
[0022] これらの極端に小さなICを製造することは、複雑で時間がかかり高価なプロセスであり、しばしば数百にのぼる個別ステップを含む。たった1つのステップでのエラーが、完成したICにおける欠陥をもたらし、そのICを使い物にならなくする可能性がある。従って、製造プロセスの目標の1つは、そのような欠陥を回避して、プロセスにおいて作製される機能的ICの数を最大化すること、即ち、プロセスの全体的歩留まりを向上させることである。
【0012】
[0023] 歩留まりを向上させる1つの構成要素は、チップ作製プロセスを監視して、十分な数の機能的集積回路が製造されていることを確認することである。プロセスを監視する1つの方法は、チップ回路構造物を形成する様々な段階において、チップ回路構造物を検査することである。検査は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して実行してもよい。SEMを使用すると、これらの非常に小さな構造物を撮像する、要するに、ウェーハのこれらの構造物の「写真」を撮ることができる。この画像を使用して、構造物が適切に形成されたかどうか、及び構造物が適切な位置に形成されたかどうかを決定することができる。構造物に欠陥がある場合、欠陥が再発する可能性が低くなるようにプロセスを調節することができる。
【0013】
[0024] SEMの動作原理はカメラと似ている。カメラは、人又は物体から反射又は放射される光の明るさ及び色を受け取って記録することにより、写真を撮る。SEMは、構造物から反射又は放射される電子のエネルギー又は量を受け取って記録することにより、「写真」を撮る。そのような「写真」を撮る前に、電子ビームが構造物の上に提供されることがあり、その構造物から電子が反射又は放射される(出てゆく)ときに、SEMの検出器が、それらの電子のエネルギー又は量を受け取って記録し、画像を生成することができる。そのような「写真」を撮るために、一部のSEMは単一電子ビームを使用し(「シングルビームSEM」と呼ばれる)、一方、一部のSEMは、複数の電子ビームを使用して(「マルチビームSEM」と呼ばれる)、ウェーハの複数の「写真」を撮る。複数の電子ビームを使用することにより、SEMは、これらの複数の「写真」を取得するために、構造物上により多くの電子ビームを提供することができ、その結果、より多くの電子が構造物から出ることになる。したがって、検出器はより多くの出てゆく電子を同時に受け取り、より高い効率及びより速い速度で、ウェーハの構造物の画像を生成することができる。
【0014】
[0025] 複数荷電粒子ビーム撮像システム(例えば、マルチビームSEM)では、複数のビームレットを形成するためにアパーチャアレイが使用され得る。アパーチャアレイは、1本の荷電粒子ビームを複数のビームレットに分割することができる複数の貫通孔(「アパーチャ」)を含み得る。アパーチャアレイ内のアパーチャの数は、複数荷電粒子ビーム撮像システムのスループットに影響を与えることがある。スループットは、撮像システムが、どれ位速く単位時間内に検査タスクを完了することができるかを示す。検査プロセス中に、撮像システムは、サンプルの表面を走査して画像を生成し得る。欠陥検査のために、各ビームレットから画像が生成され得る。単一の荷電粒子ビームによってより多くのビームレットが生成されると(例えば、アパーチャアレイ内により多くのアパーチャがあると)、サンプルを走査するためにより多くの画像を取得することができる。これにより、撮像システムのスループットをより高くすることができる。
【0015】
[0026] アパーチャアレイのジオメトリは、複数荷電粒子ビーム撮像システムのスループットに影響を与えることがある。しかしながら、複数荷電粒子ビーム撮像システムは、通常、特定の走査モードを必要とする特定の用途向けに設計されている。ある走査モードでの撮像システムのスループットを最適化するアパーチャアレイのジオメトリは、別の走査モードでの撮像システムのスループットを最適化しない場合がある。異なる用途に対応するために、複数荷電粒子ビーム撮像システムは、異なる走査モードに対しては、異なるジオメトリを有するアパーチャアレイを使用し得る。アパーチャアレイのジオメトリは、特定の走査モードに対する撮像システムのスループットを最適化する能力に基づいて選択され得る。
【0016】
[0027] 本開示の幾つかの実施形態は、とりわけ、マルチビーム検査システムのためのビーム・アレイ・ジオメトリの最適化のための方法及びシステムを提供する。実施形態によっては、マルチビームシステムは、アパーチャの第1の組及びアパーチャの第2の組を有するアパーチャアレイを使用することがあり、ここで、アパーチャの第1の組は第1の2次元(2D)形状で配置され、アパーチャの第2の組は、第2の2D形状で配置される。マルチビーム検査システムは、荷電粒子ビームをアパーチャの異なる組に投射し得る。マルチビーム検査システムは、とりわけ、異なる通過又は遮断状態(又は「モード」)で動作するように、アパーチャの第1及び第2の組を制御し得る。「通過」状態にあるアパーチャは、電子ビームを通過させることができる。「遮断」状態にあるアパーチャは、電子ビームを遮断することができる。他の状態にあるアパーチャは、とりわけ、電子ビームを集束させたり、又は曲げたりすることができる。マルチビーム検査システムが、荷電粒子ビームをアパーチャの第1及び第2の組に投射する場合、荷電粒子ビームがアパーチャの第1の組のジオメトリで、又はアパーチャの第2の組のジオメトリで投射されることができるように、アパーチャの第1及び第2の組は、通過状態又は遮断状態で動作し得る。アパーチャの第1及び第2の組のジオメトリが異なることに起因して、マルチビーム検査システムは、複数の動作モードを有することができ、また、検査システムのスループットを最適化する複数の用途に適応することができる。
【0017】
[0028] 図面における構成要素の相対的な寸法は、理解しやすいように誇張されていることができる。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様の構成要素又はエンティティを指しており、個々の実施形態に関して異なる点のみが説明されている。
【0018】
[0029] 本明細書で使用する場合、特段の断りが無い限り、「又は」という用語は、実行不可能である場合を除いて、全ての可能な組み合わせを包含する。例えば、構成要素がA又はBを含むことができると記載されている場合、特段の断りが無い限り又は実行不可能で無い限り、構成要素はA、又はB、又はA及びBを含むことができる。第2の例として、構成要素がA、B、又はCを含むことができると記載されている場合、特段の断りが無い限り又は実行不可能で無い限り、構成要素はA、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含むことができる。
【0019】
[0030]
図1は、本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を示す。EBIシステム100は、撮像のために使用されることができる。
図1に示すように、EBIシステム100は、メインチャンバ101、装填/ロックチャンバ102、電子ビームツール104、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)106を含む。電子ビームツール104は、メインチャンバ101内部に配置されている。EFEM106は、第1の装填ポート106a及び第2の装填ポート106bを含む。EFEM106は、追加の装填ポートを含むことができる。第1の装填ポート106a及び第2の装填ポート106bは、検査対象のウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は他の材料で作られたウェーハ)又はサンプル(ウェーハ及びサンプルは、互換的に使用されることができる)を収容するウェーハFOUP(front opening unified pod)を受け取る。「ロット」とは、バッチとして処理するために装填されることができる複数のウェーハである。
【0020】
[0031] EFEM106内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、ウェーハを装填/ロックチャンバ102に運ぶことができる。装填/ロックチャンバ102は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、装填/ロックチャンバ102内のガス分子を除去する。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)がウェーハを装填/ロックチャンバ102からメインチャンバ101に運ぶことができる。メインチャンバ101は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ101内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール104による検査にかけられる。電子ビームツール104は、シングルビームシステム又はマルチビームシステムであり得る。
【0021】
[0032] コントローラ109は、電子ビームツール104に電子的に接続されている。コントローラ109は、EBIシステム100の様々な制御を行うように構成されたコンピュータであり得る。
図1では、コントローラ109は、メインチャンバ101、装填/ロックチャンバ102、及びEFEM106を含む構造の外部にあるものとして示されているが、コントローラ109はこの構造の一部とすることもできることが理解されよう。
【0022】
[0033] 実施形態によっては、コントローラ109は1つ又は複数のプロセッサ(図示せず)を含むことができる。プロセッサは、情報を操作又は処理することができる汎用的な又は特定の電子デバイスであり得る。例えば、プロセッサは、任意の数の、中央処理装置(即ち「CPU」)、グラフィックス処理装置(即ち「GPU」)、光プロセッサ、プログラマブル論理制御装置、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ、IP(intellectual property)コア、プログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)、プログラマブル・アレイ・ロジック(PAL)、汎用アレイロジック(GAL)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、システム・オン・チップ(SoC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びデータ処理可能な任意の種類の回路、の任意の組み合わせを含むことができる。プロセッサはまた、ネットワークを介して結合された複数の機械又はデバイスにまたがって分散した1つ又は複数のプロセッサを含む、仮想プロセッサであり得る。
【0023】
[0034] 実施形態によっては、コントローラ109は更に、1つ又は複数のメモリ(図示せず)を含むことができる。メモリは、(例えば、バスを介して)プロセッサがアクセス可能なコード及びデータを記憶することができる、汎用の又は特定の電子デバイスであり得る。例えば、メモリは、任意の数のランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、光ディスク、磁気ディスク、ハードドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、フラッシュドライブ、セキュリティ・デジタル(SD)カード、メモリスティック、コンパクト・フラッシュ(CF)カード、又は任意の種類の記憶デバイス、の任意の組み合わせを含むことができる。コードには、オペレーティングシステム(OS)、及び特定のタスク用の1つ又は複数のアプリケーション・プログラム(即ち「apps」)が含まれることができる。メモリはまた、ネットワークを介して結合された複数の機械又はデバイスにまたがって分散した1つ又は複数のメモリを含む、仮想メモリであり得る。
【0024】
[0035] ここで
図2を参照すると、
図2は、本開示の実施形態と一致した、
図1のEBIシステム100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール104を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール104(本明細書では装置104とも呼ばれる)は、電子源201、クーロンアパーチャプレート(又は「ガンアパーチャプレート」)271、集光レンズ210、放射源変換ユニット220、一次投影系230、電動ステージ209、及び検査対象のサンプル208(例えば、ウェーハ又はフォトマスク)を保持するために電動ステージ209によって支持されるサンプルホルダー207を含む。マルチビーム電子ビームツール104は更に、二次投影系250及び電子検出デバイス240を含むことができる。一次投影系230は、対物レンズ231を含むことができる。電子検出デバイス240は、複数の検出素子241、242、及び243を含むことができる。ビームセパレータ233及び偏向走査ユニット232が、一次投影系230の内部に配置されることができる。
【0025】
[0036] 電子源201、クーロンアパーチャプレート271、集光レンズ210、放射源変換ユニット220、ビームセパレータ233、偏向走査ユニット232、及び一次投影系230は、装置104の一次光軸204と位置合わせされていることができる。二次投影系250及び電子検出デバイス240は、装置104の二次光軸251と位置合わせされていることができる。
【0026】
[0037] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含んでいてよく、動作中、電子源201は、カソードから一次電子を放出するように構成され、この一次電子は抽出器及び/又はアノードによって抽出されるか又は加速されて、一次電子ビーム202を形成し、これは、(仮想の又は現実の)一次ビームクロスオーバー203を形成する。一次電子ビーム202は、一次ビームクロスオーバー203から放出されるものとして視覚化されることができる。
【0027】
[0038] 放射源変換ユニット220は、画像形成素子アレイ(図示せず)、収差補償器アレイ(図示せず)、ビーム制限アパーチャアレイ(図示せず)、及び予備曲げマイクロ偏向器アレイ(図示せず)を含むことができる。実施形態によっては、予備曲げマイクロ偏向器アレイは、一次電子ビーム202の複数の一次ビームレット211、212、213を、ビーム制限アパーチャアレイ、画像形成素子アレイ、及び収差補償器アレイに垂直に入射するように偏向させる。実施形態によっては、集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させて、平行ビームにし、放射源変換ユニット220に垂直に入射させるように、設計される。画像形成素子アレイは、複数のマイクロ偏向器又はマイクロレンズを含んで、一次電子ビーム202の複数の一次ビームレット211、212、213に影響を与え、且つ、一次ビームレット211、212、及び213の夫々に対して1つずつ、一次ビームクロスオーバー203の複数の(仮想の又は現実の)平行画像を形成し得る。実施形態によっては、収差補償器アレイは、フィールド湾曲補償器アレイ(図示せず)及び非点収差補償器アレイ(図示せず)を含むことができる。フィールド湾曲補償器アレイは、複数のマイクロレンズを含んで、一次ビームレット211、212、及び213のフィールド湾曲収差を補償し得る。非点収差補償器アレイは、複数のマイクロ非点収差補正器を含んで、一次ビームレット211、212、及び213の非点収差を補償し得る。ビーム制限アパーチャアレイは、個々の一次ビームレット211、212、及び213の直径を制限するように構成されることができる。
図2は、例として3つの一次ビームレット211、212、及び213を示しており、放射源変換ユニット220は、任意の数の一次ビームレットを形成するように構成されてもよいことが理解されよう。コントローラ109は、放射源変換ユニット220、電子検出デバイス240、一次投影系230、又は電動ステージ209などの、
図1のEBIシステム100の様々な部分に接続されることができる。実施形態によっては、以下で更に詳細に説明するように、コントローラ109は、様々な画像及び信号の処理機能を実行し得る。コントローラ109は、様々な制御信号を生成して、荷電粒子ビーム検査システムの動作を制御することもある。
【0028】
[0039] 集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させるように構成される。集光レンズ210は更に、集光レンズ210の集束力を変化させることにより、放射源変換ユニット220の下流の一次ビームレット211、212、及び213の電流を調節するように構成されることができる。或いは、個々の一次ビームレットに対応するビーム制限アパーチャアレイ内部のビーム制限アパーチャの半径のサイズを変えることによって、電流を変化させることができる。電流は、ビーム制限アパーチャの半径のサイズと集光レンズ210の集束力の両方を変えることによって、変化させることができる。集光レンズ210は、第1の原理平面の位置が移動可能であるように構成され得る調整可能集光レンズであり得る。調整可能集光レンズは磁気性であるように構成されていてもよく、その結果、オフアクシスのビームレット212及び213が回転角度を有して放射源変換ユニット220を照射することになり得る。回転角度は、集束力、又は調整可能集光レンズの第1の主平面の位置と共に変化する。集光レンズ210は、集光レンズ210の集束力が変化している間に回転角度を不変に保つように構成されることができる、回転防止集光レンズであり得る。実施形態によっては、集光レンズ210は調整可能の回転防止集光レンズであり得、このレンズでは、集束力及び第1の主平面の位置が変化した場合に回転角度が変化しない。
【0029】
[0040] 対物レンズ231は、検査のために、ビームレット211、212、及び213をサンプル208上に集束させるように構成されていてもよく、また、現在の実施形態では、サンプル208の表面上に3つのプローブスポット221、222、及び223を形成し得る。クーロンアパーチャプレート271は、動作時に、一次電子ビーム202の周辺電子を遮断して、クーロン効果を低減するように構成される。クーロン効果は、一次ビームレット211、212、213のプローブスポット221、222、及び223の各々のサイズを拡大し、従って検査解像度を低下させることができる。
【0030】
[0041] ビームセパレータ233は、例えば、静電双極子場及び磁気双極子場(
図2には図示せず)を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタであり得る。動作時には、ビームセパレータ233は、一次ビームレット211、212、及び213の個々の電子に静電双極子場によって静電気力を及ぼすように構成されることができる。静電気力は、個々の電子にビームセパレータ233の磁気双極子場によって及ぼされる磁気力と、大きさは等しいが方向が反対である。従って、一次ビームレット211、212、及び213は、少なくとも実質的にゼロの偏向角で、ビームセパレータ233を少なくとも実質的に真っ直ぐに通過することができる。
【0031】
[0042] 動作時には、偏向走査ユニット232は、一次ビームレット211、212、及び213を偏向させて、サンプル208の表面のセクション内の個々のスキャンエリア全体に渡ってプローブスポット221、222、及び223をスキャンさせるように構成される。サンプル208上での一次ビームレット211、212、及び213、又はプローブスポット221、222、及び223の入射に応答して、サンプル208から電子が出現し、3つの二次電子ビーム261、262、及び263が生成される。二次電子ビーム261、262、及び263の各々は、通常、二次電子(50eV以下の電子エネルギーを有する)及び後方散乱電子(50eVと一次ビームレット211、212、及び213のランディングエネルギーとの間の電子エネルギーを有する)を含む。ビームセパレータ233は、二次電子ビーム261、262、及び263を二次投影系250に向けて偏向させるように構成される。続いて、二次投影系250は、二次電子ビーム261、262、及び263を、電子検出デバイス240の検出素子241、242、及び243に集束させる。検出素子241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263を検出し、例えば、サンプル208の対応するスキャンエリアの画像を構築するために、コントローラ109又は信号処理システム(図示せず)に送信される対応する信号を生成するように構成される。
【0032】
[0043] 実施形態によっては、検出素子241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263をそれぞれ検出し、画像処理システム(例えば、コントローラ109)に向けて対応する強度信号出力(図示せず)を生成する。実施形態によっては、各検出素子241、242、及び243は、1つ又は複数のピクセルを含むことができる。検出素子の強度信号出力は、検出素子内の全てのピクセルによって生成される信号の合計であり得る。
【0033】
[0044] 実施形態によっては、コントローラ109は、画像取得器(図示せず)、ストレージ(図示せず)を含む画像処理システムを含むことができる。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含むことができる。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、個人用コンピュータ、任意の種類の携帯コンピュータ装置など、又はそれらの組み合わせを含むことができる。画像取得器は、媒体、中でもとりわけ導電体、光ファイバーケーブル、携帯型記憶媒体、IR、ブルートゥース(登録商標)、インターネット、無線ネットワーク、無線通信、又はそれらの組み合わせなどを介して、装置104の電子検出デバイス240に通信可能に結合されることができる。実施形態によっては、画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受け取ることができ、画像を構築し得る。画像取得器は、このようにサンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭線を生成すること、インジケータを取得画像に重ね合わせることなど、様々な後処理機能も実施し得る。画像取得器は、取得画像の明るさ及びコントラスト等の調節を実施するように構成されることができる。実施形態によっては、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、他の種類のコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器に結合されることがあり、スキャンされた生の画像データを元画像として保存し、及び処理後の画像を保存するために使用されることができる。
【0034】
[0045] 実施形態によっては、画像取得器は、電子検出デバイス240から受け取った撮像信号に基づいて、サンプルの1つ又は複数の画像を取得し得る。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するためのスキャン動作に対応していることができる。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。この単一の画像は、ストレージ内に記憶されることができる。この単一の画像は、複数の領域に分割されることができる元画像であり得る。これらの領域の各々は、サンプル208のフィーチャを包含する1つの撮像エリアを含むことができる。取得画像は、時系列に複数回サンプリングされた、サンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含むことができる。この複数の画像は、ストレージ内に記憶されることができる。実施形態によっては、コントローラ109は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを実行するように構成されることができる。
【0035】
[0046] 実施形態によっては、コントローラ109は、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含んで、検出された二次電子の分布を取得し得る。検出時間ウィンドウ中に収集された電子の分布データを、ウェーハ表面に入射する一次ビームレット211、212、及び213の各々の対応するスキャンパスデータと組み合わせて使用して、検査中のウェーハ構造の画像を再構築することができる。再構築された画像を使用して、サンプル208の内部構造又は外部構造の様々な特徴を明らかにすることができ、それによって、再構築された画像を使用して、ウェーハ内に存在する可能性がある欠陥を明らかにすることができる。
【0036】
[0047] 実施形態によっては、コントローラ109は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように、電動ステージ209を制御し得る。実施形態によっては、コントローラ109は、電動ステージ209がある方向に連続的に一定の速度でサンプル208を移動できるようにし得る。他の実施形態では、コントローラ109は、電動ステージ209が、スキャンプロセスのステップに応じて、時間外にサンプル208の移動速度を変えられるようにし得る。
【0037】
[0048]
図2は装置104が3つの一次電子ビームを使用することを示しているが、装置104は、2つ以上の一次電子ビームを使用してもよいことが、理解されよう。本開示は、装置104で使用される一次電子ビームの数を制限するものではない。
【0038】
[0049] 単一荷電粒子ビーム撮像システム(「単一ビームシステム」)と比較すると、複数荷電粒子ビーム撮像システム(「マルチビームシステム」)は、異なる走査モードについてスループットを最適化するように設計され得る。本開示の実施形態は、異なるジオメトリを有するビームアレイを使用し、異なるスループット要件及び解像度要件に適応することにより、異なる走査モードでのスループットを最適化する能力を有するマルチビームシステムを提供する。
【0039】
[0050] 本開示の幾つかの実施形態では、マルチビーム検査システム用の異なる2Dジオメトリで配置されたビームレットのアレイを生成するために、(例えば、放射源変換ユニット220の構成要素として実装される)装置を使用し得る。この装置は、アパーチャアレイ中に少なくとも一組のアパーチャを含み得、アパーチャの各組は、アパーチャの異なる2Dジオメトリ配置を含む。この装置は、一次荷電粒子ビーム(例えば、一次電子ビーム202)が、走査モードに基づいてアパーチャアレイを照射することができるように、動作し得る。一次荷電粒子ビームの1つ又は複数のパラメータ(例えば、投影面積)を調整することにより、一次荷電粒子ビームは、異なる用途(例えば、走査モード)の要求に応じて、アパーチャアレイに入射することがあり、その場合、アパーチャアレイのアパーチャの最適な組が選択されることがあり、各用途に対する最適なスループット結果(例えば、最大のスループット)が得られることがある。
図3Aは、そのような装置を含むマルチビームシステムにおけるビームレットの生成を示している。
図3Aに示すような例示的な実施形態では、マルチビームシステムは、ビームレットを生成するためのアパーチャの組を選択することがあり、従って、異なる走査モードでのスループットを向上させることを含めて、異なる走査モードを最適化するように適応する能力を有し得る。
【0040】
[0051]
図3Aは、本開示の実施形態と一致する、マルチビームシステムにおけるビームレット生成の概略図である。例えば、第1の動作モードは、アパーチャの第1の組を使用する走査モードであることがあり、第2の動作モードは、アパーチャの第2の組を使用する走査モードであり得る。
図3Aでは、電子源201は電子を放出し得る。クーロンアパーチャプレート271は、一次電子ビーム202の周辺電子302を遮断して、クーロン効果を低減し得る。集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させて、平行ビームにし、放射源変換ユニット220に垂直方向に入射させることがある。集光レンズ210は、
図2に関連した部分で説明したような、調整可能な集光レンズであり得る。
図3Aでは、調整可能な集光レンズ210の第1の主平面は、電子源201の近くになるように調整されることがあり、この場合、一次電子ビーム202の投影面積は減少し得る。即ち、集光レンズ210の集束力は、
図3Aでは高められていることがある。
【0041】
[0052] 放射源変換ユニット220は、アパーチャアレイを含み得る。アパーチャアレイは、アパーチャ304、306、及び308を含み得る。集光レンズ210が一次電子ビーム202の投影面積を減少させるので、一次電子ビーム202は、アパーチャアレイのアパーチャの一部にしか入射しないことがある。例えば、
図3Aでは、アパーチャ304、306、及び308のみが、一次電子ビーム202によって投影される。アパーチャアレイのアパーチャ又は関連する構成要素は、異なる通過状態又は遮断状態で動作し、一次電子ビーム202からの電子が選択されたアパーチャを通過するのを有効又は無効にするように、制御され得る。通過状態にあるアパーチャ又は関連する構成要素は、ビームがアパーチャを通過するのを可能にすることがあり、遮断状態にあるアパーチャ又は関連する構成要素は、ビームがアパーチャを通過するのを阻止し得る。例えば、アパーチャアレイは、通過状態又は遮断状態にあるアパーチャの第1の組み合わせを有するアパーチャの第1の組と、通過状態又は遮断状態にあるアパーチャの第2の組み合わせを有するアパーチャの第2の組と、を含み得る。
【0042】
[0053] 実施形態によっては、アパーチャアレイは、微小電気機械システム(MEMS)アパーチャアレイであることがあり、又は、関連する構成要素は、MEMSアパーチャアレイなどのMEMSアレイの一部であり得る、MEMSであることがある。MEMSアパーチャアレイの各アパーチャは、偏向構造(例えば、磁気コイル、電気プレート、又は任意の電磁ビーム偏向デバイス)、及びその偏向構造の下流にあるチョッピングアパーチャを含み得る。
【0043】
[0054]
図3Bは、本開示の実施形態と一致する、MEMSアパーチャアレイ350の概略図である。アパーチャアレイ350は、チョッピングアパーチャ330、332、及び334とそれぞれ対応する偏向構造324、326、及び328を含む、複数の偏向構造を含み得る。
図3Bに示すように、各チョッピングアパーチャは、対応する偏向構造の開口部と中心位置合わせされた穴を有し得る。チョッピングアパーチャの穴は、偏向構造の開口部よりも小さいことがある。アパーチャアレイ350のアパーチャは、通過状態又は遮断状態になるように、独立して個別に制御され得る。例えば、チョッピングアパーチャ330は、通過状態になるように制御され、この場合、偏向構造324は偏向構造324に入ってくる電子ビーム336を真っ直ぐに通過するように誘導し、電子ビーム336はチョッピングアパーチャ330を出てゆくことができる。同様に、チョッピングアパーチャ332は、通過状態になるように制御され、この場合、偏向構造326は偏向構造326に入ってくる電子ビーム338を真っ直ぐに通過するように誘導し、電子ビーム338はチョッピングアパーチャ332を出てゆくことができる。別の例では、チョッピングアパーチャ334は、遮断状態になるように制御され、この場合、偏向構造328は電子ビーム340が無効になるように(例えば、入射方向から逸れ、チョッピングアパーチャ334の壁に当たるように)誘導し、電子ビーム340は、チョッピングアパーチャ334の穴を通過するのを阻止され得る。チョッピングアパーチャは、走査モードに関連付けられたアパーチャの組の2D形状に応じて、遮断状態になるように制御され得る。実施形態によっては、偏向構造は、アパーチャアレイとは別個の1つ又は複数の構成要素の一部であり得る。
【0044】
[0055] なお、
図3Aで生成されるビームレットの数は、一次電子ビーム202の出力角度、及び一次電子ビーム202によって投影されたアパーチャの通過又は遮断状態によって決まることに留意されたい。例えば、
図3Aでは、一次電子ビーム202は、アパーチャ304、306、及び308に投影され、これらをカバーし得る。アパーチャ304、306、及び308の全てが通過状態で動作する場合、生成されるビームレットの数は3である。アパーチャ304、306、及び308の一部のみが通過状態で動作する場合(例えば、アパーチャ304のみが通過状態で動作する場合)、生成されるビームレットの数は3より少なくなる(例えば、1である)。しかしながら、生成されるビームレットの数の上限は、一次電子ビーム202の出力角度によって制限され得る。例えば、
図3Aに示すように、一次電子ビーム202がその最大出力角度内でアパーチャ304、306、及び308のみをカバーする場合、生成されるビームレットの数の上限は3であり得る。
【0045】
[0056] 例示的な実施形態である
図3A及び
図3Bが示すように、異なる2D形状のアパーチャの組の通過状態又は遮断状態を制御することにより、マルチビームシステムは、様々な用途の異なるスループット要求に適応できる異なる動作モード間で切り替わることができる。そのような設計は、マルチビームシステムの複雑さを大幅に増加させることはなく、また、著しいコストを招くことなく、単一の解決策でより多くの用途選択肢をユーザに提供する。
【0046】
[0057]
図3Aに示すように、放射源変換ユニット220は、ビーム集束、誘導、又は偏向構成要素を含み得、これらは、ビームレット314、316、及び318が集束し、放射源変換ユニット220の下流にある共通エリアを横断するようにし得る。なお、
図3A~
図3Bは、原理を説明し、本開示の例示的な実施形態を説明するための概略図に過ぎず、実際の装置及びシステムは、図示したよりも多い、少ない、若しくは全く同じ構成要素を含み得、又は、同じ方式若しくは異なる方式の構成要素の構成及び配置を有し得ることに留意されたい。
【0047】
[0058] 本開示は、マルチビームシステムのビーム・アレイ・ジオメトリの最適化のための装置及び方法を提案する。実施形態によっては、装置は、放射源変換ユニット220の一部であるか又は放射源変換ユニット220に関連付けられた1つ又は複数の構成要素として実装され得る。例えば、放射源変換ユニット220は、マルチビームシステムにおいて異なる走査モード(例えば、リープアンドスキャンモード、連続走査モード)に対して使用されることになるアパーチャアレイのアパーチャの1つ又は複数の組を含み得る。アパーチャの第1の組は、第1のジオメトリパターンをしたビームレットの第1の組がウェーハを走査できるようにし得る。アパーチャの第2の組は、第2のジオメトリパターンをしたビームレットの第2の組がウェーハを走査できるようにし得る。実施形態によっては、アパーチャの複数の組は、互いに重ね合わされ、同じ通過若しくは遮断状態で、又は異なる通過若しくは遮断状態で動作するように構成され得る。通過状態にあるアパーチャは、ビームがアパーチャを通過するのを可能にすることがあり、遮断状態にあるアパーチャは、ビームがアパーチャを通過するのを阻止し得る。実施形態によっては、アパーチャの通過又は遮断状態は、放射源変換ユニット220の回路によって独立して制御され得る。実施形態によっては、アパーチャアレイは、微小電気機械システム(MEMS)アパーチャアレイであり得る。実施形態によっては、回路は、プロセッサ(例えば、
図1のコントローラ109のプロセッサ)、実行可能命令を記憶するメモリ(例えば、
図1のコントローラ109のメモリ)、又はそれらの組み合わせ、であり得る。異なる走査モード下でアパーチャの組の通過又は遮断状態を制御すると、選択されたビーム・アレイ・ジオメトリを有するアパーチャのみを、対応する走査モードに対して使用することができ、選択されていないビーム・アレイ・ジオメトリを有するアパーチャは使用できないことが確実になることがあり、それによって、ビームレットの形状を制御する際の誤りが防止される。なお、マルチビームシステムは、任意の数の任意のモードで動作することができることに留意されたい。
【0048】
[0059] 同様に、装置がアパーチャの2つ以上の組を含み、マルチビームシステムが2つ以上の走査モードで動作することができる場合、アパーチャアレイ内の異なるグループのアパーチャが、呼応して異なる通過又は遮断状態で動作するように構成され得る。実施形態によっては、異なるグループのアパーチャの通過又は遮断状態は、放射源変換ユニット220の回路によって独立して制御され得る。
【0049】
[0060] 装置のアパーチャアレイのアパーチャのグループのサイズ、位置、及び配置は、一次荷電粒子ビームが、マルチビームシステムの各動作モードにおいて実質的に1つのグループに投射されるように制御され得る限り、任意の構成とすることができる。
図4A~
図4B、
図6A、及び
図7は、本開示の実施形態と一致する、ビームレットを生成するための例示的なアパーチャアレイの概略図である。アパーチャアレイは、
図2及び
図3A~
図3Bの放射源変換ユニット220で使用され得る。実施形態によっては、
図4A~
図4B、
図6A、及び
図7で示されるアパーチャアレイは、MEMSアパーチャアレイであり得る。
【0050】
[0061] マルチビームツールを使用した画像取得には、電子ビームツール(例えば、
図1~
図2の電子ビームツール104)によって複数の検査ビームを生成することと、検査対象のウェーハ(例えば、
図2のサンプル208)に渡ってあるパターン(例えば、ラスターパターン)でビームを走査することと、が含まれることがある。画像取得器は、第1の領域内でウェーハの表面に渡って検査ビームを走査すること、及び検出器(例えば、
図2の検出デバイス240)から出力された信号を検出することにより、第1の撮像エリアの画像を取得するように構成され得る。ビーム走査の範囲は、電子ビームツールの視野(FOV)によって制限されることがあり、従って、第1の撮像エリアはFOVと一致し得る。別のエリアを撮像するために、ウェーハがサンプルステージ(例えば、
図2の電動ステージ209)によって移動され、ビームが、ウェーハの新しいエリアに渡って走査される。リープアンドスキャンモードでは、撮像は、FOV内部の特定の領域で行われることがあり、完了すると、ステージが移動され、このプロセスが繰り返される。
【0051】
[0062] 連続走査モードでは、ウェーハがx方向及びy方向に沿って可動ステージによって運ばれている間に、撮像が連続的に行われることがある。例えば、ステージを、荷電粒子ビームコラムの下で連続的な直線運動で移動させることがある。一方、荷電粒子源(例えば、
図2の電子源201)によって生成される1つ又は複数の荷電粒子ビーム(例えば、
図2の一次ビームレット211、212、又は213)は、ラスターパターンなどのパターンで走査ラインに沿って直線状に行ったり来たりして走査され得る。従って、1つ又は複数の荷電粒子ビームは、移動するウェーハを離散的なストリップ状のセグメントでカバーするように、移動される。マルチビーム装置を使用する連続走査に関する更なる情報が、米国特許出願第62/850,461号に見られ、該特許出願はその全体が参照により組み込まれる。
【0052】
[0063]
図4Aは、放射源変換ユニット220で使用され得る正方形のパターンをしたアパーチャの組404Aを有する例示的なアパーチャアレイ402A(以降では、正方形アパーチャアレイと呼ばれる)を示す。陰影付きの及び陰影無しのセクションに描かれたドットは、所与のピッチ(ビームレット又はアパーチャの中心間の距離)でFOV内のウェーハの特定領域を走査することができる実現可能なビームレットの総数を表している。アパーチャアレイのビームレットの充填率は、FOV内のウェーハの領域で実現可能なビームレットの総数のうちの、アパーチャアレイの下で走査するために使用され得るビームレットの割合を計算することにより、求めることができる。例えば、充填率は、FOV内のドットの総数のうちの、陰影付きの正方形の領域内のドットの割合であり得る。リープアンドスキャンモードで動作するマルチビームシステム(例えば、
図1のEBIシステム100)では、正方形アパーチャアレイ402Aを使用したビームレット充填率は、64%であり得る。
【0053】
[0064]
図4Bは、放射源変換ユニット220で使用され得る六角形のパターンをしたアパーチャの組404Bを有する例示的なアパーチャアレイ402B(以降では、六角形アパーチャアレイと呼ばれる)を示す。
図4Aと同様に、陰影付きの及び陰影無しのセクションに描かれたドットは、所与のピッチでFOV内のウェーハの特定領域を走査することができる実現可能なビームレットの総数を表している。充填率は、FOV内のドットの総数のうちの、陰影付きの六角形の領域内のドットの割合であり得る。リープアンドスキャンモードで動作するマルチビームシステム(例えば、
図1のEBIシステム100)では、六角形アパーチャアレイ402Bを使用したビームレット充填率は、83%であり得る。
【0054】
[0065]
図4Cは、異なるビームレットピッチで所与のFOV内でウェーハを走査するために使用され得る異なるアパーチャアレイ内のビームレットの数の例示的なグラフを示す。横軸は、マイクロメートル(「μm」)単位でビームレットピッチを示すことがあり、左から右へと値が減少する。縦軸は、所与のFOV内でウェーハを走査するのに使用することができるビームレットの数を示すことがある。曲線408Cは、リープアンドスキャンモードでウェーハを走査するために、ビームレットピッチを変化させた正方形アパーチャアレイ(例えば、
図4Aの正方形アパーチャアレイ402A)で使用することができるビームレットの数を表す。曲線410Cは、リープアンドスキャンモードでウェーハを走査するために、ビームレットピッチを変化させた六角形アパーチャアレイ(例えば、
図4Bの六角形アパーチャアレイ402B)で使用することができるビームレットの数を表す。
図4Cに示すように、いずれのアパーチャアレイで使用できるビームレットの数も、ビームレットピッチが減少するにつれて増加する、というのも、アパーチャアレイ内で使用できるビームレットの数は、各アパーチャ間の距離が縮まるにつれて増加するからである。
【0055】
[0066] 実施形態によっては、マルチビームシステムは、六角形アパーチャアレイ402Bを使用してウェーハの一部を走査し、飛び越えて(例えば、ウェーハを走査するための蜂の巣パターンを使用することにより)、ウェーハの別の隣接部分を走査し得る。例えば、ビームレットピッチが210μmである正方形アパーチャアレイにより、リープアンドスキャンモードを使用して、169本のビームレットがFOV内のウェーハを走査可能になることがあり、一方、ビームレットピッチが210μmである六角形アパーチャアレイにより、同じリープアンドスキャンモードを使用して、217本のビームレットが同じFOV内のウェーハを走査可能になることがある。従って、六角形アパーチャアレイ402Bは、リープアンドスキャンモードを使用するマルチビームシステムにおいて、正方形アパーチャアレイ402Aよりも望ましいことがある、というのも、アパーチャアレイ402Bは、より高い撮像スループットをもたらすからである。
【0056】
[0067]
図5A、
図5B、及び
図5Cは、放射源変換ユニット220で使用され得る、例示的な回転した六角形アパーチャアレイ502A、502B、及び502Cをそれぞれ示す。
図5Dは、異なるビームレットピッチで所与のFOV内でウェーハを走査するために使用され得る異なるアパーチャアレイ内の充填率の例示的なグラフを示す。六角形アパーチャアレイ502A、502B、及び502Cは、それぞれアパーチャの組504A、504B、及び504Cを含み、この順序でビームレットのピッチは減少する。例えば、六角形アパーチャアレイ502Aは、アパーチャアレイの各辺に沿って3つのビームレットを有することがあり、六角形アパーチャアレイ502Bは、アパーチャアレイの各辺に沿って6つのビームレットを有することがあり、六角形アパーチャアレイ502Cは、アパーチャアレイの各辺に沿って9つのビームレットを有し得る。六角形アパーチャアレイは、リープアンドスキャンモードで使用される場合には、正方形アパーチャアレイに比べて撮像システムのスループットを高めるが、六角形アパーチャアレイは、連続走査モードで使用するのは好ましくないことがある。六角形アパーチャアレイ502A、502B、及び502Cの形状に起因して、連続走査モードで動作しているマルチビームシステムで六角形アパーチャアレイを使用すると、ウェーハの走査中に利用されないビームの領域506A、506B、及び506Cがもたらされる、というのも、領域506A、506B、及び506Cにあるビームを使用する走査は、利用されたビームによって行われた以前の走査と重複するからである。即ち、領域506A、506B、及び506Cは、FOV内の「利用されない」領域である。更に、ビームレットピッチが六角形アパーチャアレイ502Aから六角形アパーチャアレイ502Cにかけて減少するにつれて、この利用されない領域に起因して、連続走査モードでは、
図5Dの曲線510によって表されるように、充填率は(例えば、74%から65%へ、更に61%へ)減少する。曲線508は、連続走査モードにおける異なるビームレットピッチでの正方形アパーチャアレイの充填率を表す。
図5Dに示すように、連続走査モードで撮像システムを動作させる場合、撮像スループットを高めるためには(例えば、ウェーハを走査するために使用されるビームレットの数を増やすためには)、一辺当たりのビームの数が増加するにつれて、正方形アパーチャアレイが、六角形アパーチャアレイよりも望ましくなることがある。しかしながら、正方形アパーチャアレイでは、連続走査モードでの撮像スループットを最大化できないことがある。
【0057】
[0068]
図6Aは、放射源変換ユニット220で使用され得るギザギザの縁をした矩形パターンのアパーチャの組604Aを有する例示的なアパーチャアレイ602A(以降では、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイと呼ばれる)を示す。例えば、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602Aは、アパーチャの第1の列605Aと、第1の列605Aの下にあるアパーチャの第2の列606Aと、を含み得る。幾つかの実施形態では、第1の列605Aは、第2の列606Aよりも長い(例えば、より多くのアパーチャを有する)ことがあるが、他の幾つかの実施形態では、第1の列605A及び606Aは、長さは同じであるが、互いからオフセットされていることがある。
図6Aに示すように、第1の列605A及び第2の列606Aは、水平方向に互いからオフセットされていることがあり、アパーチャアレイ602Aにギザギザの縁をした矩形の形状をもたらしている。ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602Aは、複数の第1の列605A及び複数の第2の列606Aを含み得、第1の列605A及び第2の列606Aは、列605A及び606Aが延びる方向(例えば、水平方向)とは垂直な方向(例えば、垂直方向)に、交互になっている。
【0058】
[0069] ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602を使用することの利点の1つは、連続走査モードで使用した場合、利用されない領域が最小限に抑えられることである。例えば、
図6Aに示す実施形態では、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602が特定の態様で回転された場合、利用されない領域はなくなることがある。従って、連続走査モードで使用されると、マルチビームシステムにおけるギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602Aの充填率は、アレイ502Cの利用されない領域に起因して、六角形アパーチャアレイ502Cの充填率よりも高くなることがある。即ち、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602Aを使用すると、連続走査モードで動作する場合、撮像システムのスループットがより高くなることがある(例えば、81%の充填率)。
【0059】
[0070] 実施形態によっては、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ624Aの形状は、列を追加又は低減することにより、変更され得る。例えば、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ624Aは、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602Aよりもより多くの交互になった列を有することがあり、ここで、交互になった列のそれぞれは、列605A及び606Aよりも短い(例えば、より少ないアパーチャを有する)。実施形態によっては、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ626Aは、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602Aよりもより少ない交互になった列を有することがあり、ここで、交互になった列のそれぞれは、列605A及び606Aよりも長い(例えば、より多くのアパーチャを有する)。
【0060】
[0071]
図6Bは、異なるビームレットピッチで所与のFOV内でウェーハを走査するために使用され得る異なるアパーチャアレイ内のビームレットの数の例示的なグラフを示す。横軸は、マイクロメートル単位でビームレットピッチを示すことがあり、左から右へと値が減少する。縦軸は、所与のFOV内でウェーハを走査するのに使用され得るビームレットの数を示すことがある。曲線608Bは、連続走査モードでウェーハを走査するために、ビームレットピッチを変化させた六角形アパーチャアレイ(例えば、
図5Cの六角形アパーチャアレイ502C)で使用することができるビームレットの数を表す。曲線610Bは、連続走査モードでウェーハを走査するために、ビームレットピッチを変化させたギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ(例えば、
図6Aのギザギザの縁をした矩形アレイ602A)で使用することができるビームレットの数を表す。
図6Bに示すように、いずれのアパーチャアレイで使用できるビームレットの数も、ビームレットピッチが減少するにつれて増加する、というのも、アパーチャアレイ内で使用できるビームレットの数は、各アパーチャ間の距離が縮まるにつれて増加するからである。ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイは、撮像システムを連続走査モードで動作させる場合、利用されない領域をもたらさないことがあるので、ギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイは、六角形アパーチャアレイに比べて、より高いスループットを達成し、より好ましいことがある。例えば、連続走査モードでは、ビームレットピッチが210μmである六角形アパーチャアレイにより、161本のビームレットがFOV内のウェーハを走査可能になることがあり、一方、ビームレットピッチが210μmであるギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイにより、217本のビームレットが同じFOV内のウェーハを走査可能になることがある。
【0061】
[0072]
図7は、2Dの六角形形状702を形成するアパーチャの第1の組(例えば、
図4Bの六角形アパーチャアレイ402B)と、2Dのギザギザの縁をした矩形形状704を形成するアパーチャの第2の組(例えば、
図6Aのギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602A)と、を含むアパーチャアレイ700の一例を示す。アパーチャアレイ700は、ギザギザの角部のアパーチャの4つの組704Aを備えた六角形の形状を有し得る。ギザギザの角部のアパーチャの各組704Aは、列が延びる方向(例えば、水平方向)に垂直な方向(例えば、垂直方向)にオフセットされた、少なくとも2列のアパーチャを含み得る。各オフセット列は、六角形の形状の水平の辺から90度よりも大きく延びる六角形の形状の辺から延びることがある。
【0062】
[0073] 実施形態によっては、マルチビームシステム(例えば、
図1のEBIシステム100)は、異なる走査モードで動作し得る。例えば、マルチビームシステムは、高解像度の用途についてはリープアンドスキャンモードで動作し、大電流用途については連続走査モードで動作し得る。実施形態によっては、アパーチャの六角形の組702(例えば、
図3Bのアパーチャ330又は332)は、リープアンドスキャンモード中に、通過状態で動作して、一次電子ビーム(例えば、
図2の一次電子ビーム202)からの電子がアパーチャの六角形の組702を通過できるように、制御され得る。リープアンドスキャンモード中、アパーチャの六角形の組702と共有されていない、アパーチャのギザギザの縁をした矩形の組704(例えば、ギザギザの角部のアパーチャ704A)のアパーチャ(例えば、
図3Bのアパーチャ334)は、遮断状態で動作して、一次電子ビームからの電子が、共有されていないアパーチャを通過するのを遮るように制御され得る。例えば、各アパーチャは、通過状態又は遮断状態のいずれかになるように独立して個別に制御されることがあり、通過状態では、偏向構造(例えば、
図3Bの偏向構造324又は326)は、電子ビーム(例えば、
図3Bの電子ビーム336又は338)を、アパーチャの中へと真っ直ぐに通過するように誘導することができ、遮断状態では、偏向構造(例えば、
図3Bの偏向構造328)は、電子ビーム(例えば、
図3Bの電子ビーム340)を無効にするように(例えば、入射方向から逸れ、アパーチャの壁に当たるように)誘導することができ、電子ビームは、アパーチャを通過するのを阻止され得る。
【0063】
[0074] 実施形態によっては、連続走査モード中に、アパーチャのギザギザの縁をした矩形の組704は、通過状態で動作して、一次電子ビームからの電子がアパーチャのギザギザの縁をした矩形の組704を通過できるように、制御され得る。連続走査モード中、アパーチャのギザギザの縁をした矩形の組704と共有されていないアパーチャの六角形の組702のアパーチャは、遮断状態で動作して、一次電子ビームからの電子が、共有されていないアパーチャを通過するのを遮るように制御され得る。実施形態によっては、アパーチャアレイ700の中心にあるより暗い領域は、一次電子ビームからの電子が、リープアンドスキャンモードと連続走査モードの両方の間、アパーチャを通過できるように、常に通過状態で動作するように制御され得るアパーチャを示す。
【0064】
[0075]
図7は、アパーチャアレイ700の境界に沿ったアパーチャを明示的に示していないが、アパーチャが境界上に存在して、アパーチャアレイ700に独自の形状を与えていることが理解されよう。
【0065】
[0076]
図8は、ウェーハを検査する例示的なプロセス800を示す。このプロセスは、アパーチャアレイ(例えば、
図4Bの六角形アパーチャアレイ402B、
図6Aのアパーチャアレイ602A、
図7のアパーチャアレイ700)を使用してウェーハ(例えば、
図2のサンプル208)を走査することができる検査システム(例えば、
図1のEBIシステム100)を含み得る。アパーチャアレイは、2Dの六角形形状を形成するアパーチャの第1の組(例えば、
図7のアパーチャの組702、
図4Bの六角形アパーチャアレイ402B)と、2Dのギザギザの縁をした矩形形状を形成するアパーチャの第2の組(例えば、
図7のアパーチャ704、
図6Aのギザギザの縁をした矩形アパーチャアレイ602A)と、を含み得る。アパーチャアレイは、ギザギザの角部のアパーチャの4つの組(例えば、
図7のギザギザの角部のアパーチャ704A)を備えた六角形の形状を有し得る。ギザギザの角部のアパーチャの各組は、列が延びる方向(例えば、水平方向)に垂直な方向(例えば、垂直方向)にオフセットされた、少なくとも2列のアパーチャを含み得る。各オフセット列は、六角形の形状の水平の辺から90度よりも大きく延びる六角形の形状の辺から延びることがある。
【0066】
[0077] ステップ801では、検査システムは、ウェーハを検査するために、第1の走査モード及び第2の走査モードから走査モードを選択し得る。第1の走査モードでは、アパーチャアレイのアパーチャの第1の2Dの組を使用して、ウェーハを検査し得る。例えば、検査システムは、アパーチャの第1の2Dの組を使用して、高解像度の用途についてはリープアンドスキャンモードで動作し、大電流用途については連続走査モードで動作し得る。実施形態によっては、アパーチャの六角形の組(例えば、
図3Bのアパーチャ330又は332)は、リープアンドスキャンモード中に、通過状態で動作して、一次電子ビーム(例えば、
図2の一次電子ビーム202)からの電子がアパーチャの六角形の組を通過できるように、制御され得る。リープアンドスキャンモード中、アパーチャの六角形の組と共有されていない、アパーチャのギザギザの縁をした矩形の組(例えば、ギザギザの角部のアパーチャ704A)のアパーチャ(例えば、
図3Bのアパーチャ334)は、遮断状態で動作して、一次電子ビームからの電子が、共有されていないアパーチャを通過するのを遮るように制御され得る。例えば、各アパーチャは、通過状態又は遮断状態のいずれかになるように独立して個別に制御されることがあり、通過状態では、偏向構造(例えば、
図3Bの偏向構造324又は326)は、電子ビーム(例えば、
図3Bの電子ビーム336又は338)を、アパーチャの中へと真っ直ぐに通過するように誘導することができ、遮断状態では、偏向構造(例えば、
図3Bの偏向構造328)は、電子ビーム(例えば、
図3Bの電子ビーム340)を無効にするように(例えば、入射方向から逸れ、アパーチャの壁に当たるように)誘導することができ、電子ビームは、アパーチャを通過するのを阻止され得る。
【0067】
[0078] 第2の走査モードでは、アパーチャアレイのアパーチャの第2の2Dの組を使用して、ウェーハを検査し得る。例えば、連続走査モード中に、アパーチャのギザギザの縁をした矩形の組は、通過状態で動作して、一次電子ビームからの電子がアパーチャのギザギザの縁をした矩形の組を通過できるように、制御され得る。連続走査モード中、アパーチャのギザギザの縁をした矩形の組と共有されていないアパーチャの六角形の組のアパーチャは、遮断状態で動作して、一次電子ビームからの電子が、共有されていないアパーチャを通過するのを遮るように制御され得る。実施形態によっては、アパーチャの第2の2Dの組は、アパーチャの第1の2Dの組と部分的に重複し得る(例えば、
図7のアパーチャアレイ700の中心のより暗い領域)。これらの重複するアパーチャは、一次電子ビームからの電子が、リープアンドスキャンモードと連続走査モードの両方の間、アパーチャを通過できるように、常に通過状態で動作するように制御され得る。
【0068】
[0079] ステップ803では、検査システムは、選択された走査モードに基づいてアパーチャアレイを構成し得る。例えば、連続走査モードが選択された場合、アパーチャアレイを適切に回転させて、アパーチャのギザギザの縁をした矩形の組に対応する走査エリアを最大化させることがある。一方、リープアンドスキャンモードが選択された場合、アパーチャアレイを回転させる必要はないことがある。更に、アパーチャアレイのアパーチャの通過状態及び遮断状態は、呼応して調整され得る。
【0069】
[0080] 本開示の態様は、以下の番号付きの条項に記載される。
1.微小電気機械システム(MEMS)構造であって、
第1の走査モードで使用されるように構成されたアパーチャの第1の2次元(2D)の組と、
第1の走査モードとは異なる第2の走査モードで使用されるように構成されたアパーチャの第2の2Dの組と、を含み、
アパーチャの第2の2Dの組は、アパーチャの第1の2Dの組と部分的に重なる、微小電気機械システム(MEMS)構造。
2.アパーチャの第1の2Dの組は、ギザギザの縁をした矩形形状を形成するアパーチャのアレイを含む、条項1に記載の構造。
3.アパーチャの第1の2Dの組は、第2の走査モードでは使用されないアパーチャを含み、アパーチャの第2の2Dの組は、第1の走査モードでは使用されないアパーチャを含む、条項1に記載の構造。
4.アパーチャの第1の2Dの組は、
アパーチャの第1の列と、
アパーチャの第2の列と、
アパーチャの第3の列と、
アパーチャの第4の列と、を含み、
第1、第2、第3、及び第4の列は、第1の方向において互いに平行であり、
第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされている、条項1~3の何れか一項に記載の構造。
5.オフセットは、第2の方向において重なっていないアパーチャを含む、条項3に記載の構造。
6.第1及び第3の列は、第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2に方向において第2の長さよりも長い、条項4~5の何れか一項に記載の構造。
7.第1の列、第2の列、第3の列、及び第4の列は、第1の方向において交互になっている、条項6に記載の構造。
8.アパーチャの第2の2Dの組は、六角形の形状を形成するアパーチャのアレイを含む、条項1~7の何れか一項に記載の構造。
9.第1の走査モードは、連続走査モードである、条項1~8の何れか一項に記載の構造。
10.アパーチャの第1の2Dの組は、連続走査モードで動作する場合に回転されるように構成されている、条項9に記載の構造。
11.第2の走査モードはリープアンドスキャンモードである、条項1~10の何れか一項に記載の構造。
12.微小電気機械システム(MEMS)構造であって、
ギザギザの縁をした矩形形状を形成するアパーチャのアレイを含む、アパーチャの第1の2次元(2D)の組と、
六角形の形状を形成するアパーチャのアレイを含む、アパーチャの第2の2Dの組と、を含み、
アパーチャの第2の2Dの組は、アパーチャの第1の2Dの組と部分的に重なり、
アパーチャの第1の2Dの組は第1の走査モードで使用されるように構成され、アパーチャの第2の2Dの組は、第1の走査モードとは異なる第2の走査モードで使用されるように構成されている、微小電気機械システム(MEMS)構造。
13.アパーチャの第1の2Dの組は、第2の走査モードでは使用されないアパーチャを含み、アパーチャの第2の2Dの組は、第1の走査モードでは使用されないアパーチャを含む、条項12に記載の構造。
14.アパーチャの第1の2Dの組は、
アパーチャの第1の列と、
アパーチャの第2の列と、
アパーチャの第3の列と、
アパーチャの第4の列と、を含み、
第1、第2、第3、及び第4の列は、第1の方向において互いに平行であり、
第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされている、条項12~13の何れか一項に記載の構造。
15.オフセットは、第2の方向において重なっていないアパーチャを含む、条項14に記載の構造。
16.第1及び第3の列は第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2に方向において第2の長さよりも長い、条項14~15の何れか一項に記載の構造。
17.第1の列、第2の列、第3の列、及び第4の列は、第1の方向において交互になっている、条項16に記載の構造。
18.第1の走査モードは、連続走査モードである、条項12~17の何れか一項に記載の構造。
19.アパーチャの第1の2Dの組は、連続走査モードで動作する場合に回転されるように構成されている、条項18に記載の構造。
20.第2の走査モードはリープアンドスキャンモードである、条項12~19の何れか一項に記載の構造。
21.微小電気機械システム(MEMS)構造であって、
ギザギザの角部のアパーチャの4つの組を備えた六角形の形状を形成するアパーチャアレイを含み、
ギザギザの角部のアパーチャの各組は、
第1の方向に延びる2列のアパーチャを含み、この2列のアパーチャは第1の方向に垂直な第2の方向においてオフセットされており、
各列は、六角形の形状の第1の辺から第1の方向に延びており、六角形の形状の第1の辺は、第1の方向に延びる六角形の形状の第2の辺から90度よりも大きく第3の方向に延びている、微小電気機械システム(MEMS)構造。
22.アレイは、ギザギザの縁をした矩形形状を形成するアパーチャの第1の2Dの組を含む、条項21に記載の構造。
23.ギザギザの縁をした矩形形状は、六角形の形状を形成するアパーチャの少なくとも一部、及びギザギザの角部のアパーチャの4つの組を含む、条項22に記載の構造。
24.アレイは、六角形の形状を形成するアパーチャの第2の2Dの組を含む、条項21~23の何れか一項に記載の構造。
25.アパーチャの第1の2Dの組は、第2の走査モードでは使用されないアパーチャを含み、アパーチャの第2の2Dの組は、第1の走査モードでは使用されないアパーチャを含む、条項22~24の何れか一項に記載の構造。
26.オフセットは、第2の方向において重なっていないアパーチャを含む、条項21~25の何れか一項に記載の構造。
27.第1の走査モードは、連続走査モードである、条項25~26の何れか一項に記載の構造。
28.アパーチャの第1の2Dの組は、連続走査モードで動作する場合に回転されるように構成されている、条項25~27の何れか一項に記載の構造。
29.第2の走査モードはリープアンドスキャンモードである、条項25~28の何れか一項に記載の構造。
30.微小電気機械システム(MEMS)構造であって、
アパーチャの第1の列と、
アパーチャの第1の列の下に配置されたアパーチャの第2の列と、
アパーチャの第2の列の下に配置されたアパーチャの第3の列と、
アパーチャの第3の列の下に配置されたアパーチャの第4の列と、を含み、
第1、第2、第3、及び第4の列は、第1の方向において互いに平行であり、
第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされている、微小電気機械システム(MEMS)構造。
31.第1及び第3の列は第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2に方向において第2の長さよりも長い、条項30に記載の構造。
32.第1の列、第2の列、第3の列、及び第4の列は、第1の方向において交互になっている、条項31に記載の構造。
33.構造は、マルチビーム検査システムの連続走査モードで使用されるように構成されている、条項30~32の何れか一項に記載の構造。
34.構造は、連続走査モードで動作する場合に回転されるように構成されている、条項33に記載の構造。
35.微小電気機械システム(MEMS)構造であって、
第1の構造であって、
アパーチャの第1の列と、
アパーチャの第2の列と、
アパーチャの第3の列と、
アパーチャの第4の列と、を含み、
第1、第2、第3、及び第4の列は、第1の方向に互いにおいて平行であり、
第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされている、第1の構造と、
六角形の形状を形成するアパーチャのアレイを含む、第2の構造と、を含み、
第1の構造は第2の構造の上に重ねられている、微小電気機械システム(MEMS)構造。
36.第1及び第3の列は第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2に方向において第2の長さよりも長い、条項35に記載のMEMS構造。
37.第1の列、第2の列、第3の列、及び第4の列は、第1の方向において交互になっている、条項36に記載のMEMS構造。
38.第1の構造は、マルチビーム検査システムの連続走査モードで使用されるように構成されている、条項35~37の何れか一項に記載のMEMS構造。
39.第1の構造は、連続走査モードで動作する場合に回転されるように構成されている、条項38に記載のMEMS構造。
40.第2の構造は、マルチビーム検査システムのリープアンドスキャンモードで使用されるように構成されている、条項35~39の何れか一項に記載のMEMS構造。
41.ステージ上に配置されたウェーハを検査するための複数のビームを生成するための荷電粒子マルチビームシステムであって、
第1の構造であって、
アパーチャの第1の列と、
アパーチャの第2の列と、
アパーチャの第3の列と、
アパーチャの第4の列と、を含み、
第1、第2、第3、及び第4の列は、第1の方向において互いに平行であり、
第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされている、第1の構造と、
六角形の形状を形成するアパーチャのアレイを含む、第2の構造と、
第1の構造を使用する連続走査検査、又は第2の構造を使用するリープアンドスキャン検査を実施するように構成された回路を含むコントローラと、を含む、荷電粒子マルチビームシステム。
42.第1及び第3の列は第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2に方向において第2の長さよりも長い、条項41に記載のシステム。
43.第1の列、第2の列、第3の列、及び第4の列は、第1の方向において交互になっている、条項42に記載のシステム。
44.回路は、連続走査検査を実施する場合に第1の構造を回転させるように更に構成されている、条項41~43の何れか一項に記載のシステム。
45.ステージ上に配置されたウェーハを検査するための方法であって、
ウェーハを検査するために、第1の走査モード及び第2の走査モードから走査モードを選択することであって、
第1の走査モードでは、アパーチャアレイのアパーチャの第1の2次元(2D)の組を使用して、ウェーハを検査し、
第2の走査モードでは、アパーチャアレイのアパーチャの第2の2Dの組を使用して、ウェーハを検査し、ここで、アパーチャの第2の2Dの組は、アパーチャの第1の2Dの組と部分的に重なる、ことと、
選択された走査モードに基づいて、アパーチャアレイを構成することと、を含む方法。
46.アパーチャの第1の2Dの組は、ギザギザの縁をした矩形形状を形成するアパーチャのアレイを含む、条項45に記載の方法。
47.アパーチャの第1の2Dの組は、第2の走査モードでは使用されないアパーチャを含み、アパーチャの第2の2Dの組は、第1の走査モードでは使用されないアパーチャを含む、条項45に記載の方法。
48.アパーチャの第1の2Dの組は、
アパーチャの第1の列と、
アパーチャの第2の列と、
アパーチャの第3の列と、
アパーチャの第4の列と、を含み、
第1、第2、第3、及び第4の列は、第1の方向において互いに平行であり、
第1及び第3の列は、第1の方向に垂直な第2の方向において、第2及び第4の列からオフセットされている、条項45~47の何れか一項に記載の方法。
49.オフセットは、第2の方向において重なっていないアパーチャを含む、条項47に記載の方法。
50.第1及び第3の列は第1の長さを有し、第2及び第4の列は第2の長さを有し、第1の長さは第2に方向において第2の長さよりも長い、条項48~49の何れか一項に記載の方法。
51.第1の列、第2の列、第3の列、及び第4の列は、第1の方向において交互になっている、条項50に記載の方法。
52.アパーチャの第2の2Dの組は、六角形の形状を形成するアパーチャのアレイを含む、条項45~51の何れか一項に記載の方法。
53.第1の走査モードは、連続走査モードである、条項45~52の何れか一項に記載の方法。
54.アパーチャの第1の2Dの組は、連続走査モードで動作する場合に回転されるように構成されている、条項53に記載の方法。
55.第2の走査モードはリープアンドスキャンモードである、条項45~54の何れか一項に記載の方法。
【0070】
[0081] なお、アパーチャアレイのより多くの例示的な実施形態が可能であり、それらは、本開示で提示された例によって限定されないことに留意されたい。
【0071】
[0082] プロセッサ(例えば、
図1~2のコントローラ109のプロセッサ)が、モードの選択を実行し、選択されたモード、画像処理、データ処理、ビームレット走査、データベース管理、グラフィック表示、荷電粒子ビーム装置の動作、又は別の撮像デバイス、などに基づいてアパーチャアレイを構成する、ための命令を記憶する、非一時的なコンピュータ可読媒体が提供され得る。非一時的な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッド・ステート・ドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記録媒体、CD-ROM、他の任意の光学データ記録媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM若しくは他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び前述のもののネットワーク化されたもの、が挙げられる。
【0072】
[0083] 本開示の実施形態は、上記で説明し、添付の図面に図示した通りの構成に限定されるものではなく、また、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を加えることができることを理解されたい。