(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、障害管理システム、障害管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
G06F11/07 181
G06F11/07 140P
(21)【出願番号】P 2019216964
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】玉置 健太
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-228932(JP,A)
【文献】特開2004-109661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器にインストールされたプログラムに係る障害情報を、当該機器から取得する障害情報取得部と、
プログラムごとに設定される、監視レベルの設定と、監視キーワードの設定と、を含む、設定情報を受信する設定情報受信部と、
前記監視キーワードが、取得した障害情報に含まれているか否かを判断し、前記監視キーワードが取得した障害情報に含まれている場合に、前記障害情報取得部が取得した障害情報と、プログラムごとに設定された監視レベルのうち当該障害情報に係るプログラムの監視レベルと、に基づいて、前記障害情報に関する障害通知の送信の要否を判定する判定部と、
前記判定部によって障害通知の送信が必要と判断された場合に障害通知を送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記障害情報は、障害レベル情報を含み、
前記判定部は、前記障害レベル情報と前記監視レベルとを比較する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記監視レベルは、プログラムの利用用途に応じて定められる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記監視レベルの設定では、プログラムが利用される業種を設定することができ、前記業種を設定すると、前記監視レベルが設定される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
プログラムがインストールされた機器と、前記機器からの情報を処理する情報処理装置とを備えた障害管理システムであって、
前記機器は、
プログラムの障害を検知する障害検知部を備え、
前記情報処理装置は、
前記障害検知部が障害を検知したプログラムに係る障害情報を、当該機器から取得する障害情報取得部と、
プログラムごとに設定される、監視レベルの設定と、監視キーワードの設定と、を含む、設定情報を受信する設定情報受信部と、
前記監視キーワードが、取得した障害情報に含まれているか否かを判断し、前記監視キーワードが取得した障害情報に含まれている場合に、前記障害情報取得部が取得した障害情報と、プログラムごとに設定された監視レベルとに基づいて、障害が生じたプログラムに対応して定められた通知先に対する障害通知の送信の要否を判定する判定部と、
前記判定部によって障害通知の送信が必要と判断された場合に障害通知を送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする障害管理システム。
【請求項6】
前記機器は、プログラムの利用用途に関して項目を入力すると監視レベルが設定される設定画面を表示し、表示された監視キーワードの中から設定する監視キーワードを選択する設定画面を表示する
請求項5に記載の障害管理システム。
【請求項7】
情報処理装置による障害管理方法であって、
前記情報処理装置が、
機器にインストールされたプログラムに係る障害情報を、当該機器から取得するステップと、
プログラムごとに設定される、監視レベルの設定と、監視キーワードの設定と、を含む、設定情報を受信するステップと、
前記監視キーワードが、取得した障害情報に含まれているか否かを判断し、前記監視キーワードが取得した障害情報に含まれている場合に、前記機器から取得した障害情報と、プログラムごとに設定された監視レベルとに基づいて、障害が生じたプログラムに対応して定められた通知先に対する障害通知の送信の要否を判定するステップと、
障害通知の送信が必要と判断された通知先に障害通知を送信する送信ステップと、
を備えたことを特徴とする障害管理方法。
【請求項8】
情報処理装置をコンピュータによって制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
機器にインストールされたプログラムに係る障害情報を、当該機器から取得する障害情報取得部と、
プログラムごとに設定される、監視レベルの設定と、監視キーワードの設定と、を含む、設定情報を受信する設定情報受信部と、
前記監視キーワードが、取得した障害情報に含まれているか否かを判断し、前記監視キーワードが取得した障害情報に含まれている場合に、前記障害情報取得部が取得した障害情報と、プログラムごとに設定された監視レベルとに基づいて、障害が生じたプログラムに対応して定められた通知先に対する障害通知の送信の要否を判定する判定部と、
前記判定部によって障害通知の送信が必要と判断された場合に障害通知を送信する送信部と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、障害管理システム、障害管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが利用している機器でアプリケーションプログラム(以下、単にプログラムという)の動作不正に基づく障害が発生すると、機器から障害情報を受信する障害管理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種の障害管理装置は、例えば、複合機、プリンタ等の機器から上記障害情報を取得し、取得した障害情報に基づいてプログラムの開発担当者等に障害通知を送信する。障害通知を受けた開発担当者等は、障害対応支援装置にアクセスするなどして障害情報を入手することで、発生した障害に対する必要な対策の検討を行うことが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術によれば、機器から取得した障害情報に基づく障害通知が全て開発担当者等に送信されるため、通知先の開発担当者等は、自分が利用しない障害情報に関する障害通知についても何らかの対応をとる必要が生じていた。このため、通知先に無駄な業務が発生し、業務効率が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、障害情報の通知先の業務効率を向上可能な情報処理装置、障害管理システム、障害管理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、機器にインストールされた
プログラムに係る障害情報を、当該機器から取得する障害情報取得部と、プログラムごとに設定される、監視レベルの設定と、監視キーワードの設定と、を含む、設定情報を受信する設定情報受信部と、前記監視キーワードが、取得した障害情報に含まれているか否かを判断し、前記監視キーワードが取得した障害情報に含まれている場合に、前記障害情報取
得部が取得した障害情報と、プログラムごとに設定された監視レベルのうち当該障害情報
に係るプログラムの監視レベルと、に基づいて、前記障害情報に関する障害通知の送信の
要否を判定する判定部と、前記判定部によって障害通知の送信が必要と判断された場合に
障害通知を送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プログラムの開発担当者等の業務効率を向上可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の障害管理システムを含む構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の複合機(機器、情報処理装置)のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態の情報処理装置が取得する設定情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の情報処理装置が取得する障害情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の複合機(機器、情報処理装置)の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の障害管理システムで実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、実施形態の監視レベルを設定するための設定画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の監視キーワードを設定するための設定画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2実施形態の障害管理システムを含む構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態の複合機(機器)の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態の情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態の障害管理システムで実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、情報処理装置、障害管理システム、障害管理方法、及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下では、機器を複合機(Multifunction Peripheral)とした例を説明するが、これに限定されるものではなく、本発明は、プリンタ、プロジェクタ、会議システム等の各種機器に適用可能である。なお、複合機とは、印刷機能、複写機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する装置である。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態は、複合機が機器の機能と情報処理装置の機能とを有する例である。
図1において、実施形態に係る障害管理システムを構成する複合機1は、インターネットなどのネットワークNを介して、端末2と、通知先3と接続されている。
【0011】
端末2は、複合機1にインストールされるプログラムの開発者が利用するもので、プログラムの開発ツール等を備えている。通知先3は、複合機1のプログラムに関する障害が発生した場合に、必要に応じて障害通知を受信する。詳細は後述するが、通知先3は、開発担当者や商品担当者等によって適宜設定される。
【0012】
次に、
図2を参照して、複合機1のハードウェア構成を説明する。複合機1は、コントローラ10、近距離通信回路20、エンジン制御部30、操作パネル40、ネットワークI/F50を備えている。
【0013】
これらのうち、コントローラ10は、コンピュータの主要部であるCPU11、システムメモリ(MEM-P)12、ノースブリッジ(NB)13、サウスブリッジ(SB)14、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)17、HDDコントローラ18、及び、記憶部であるHD19を有し、NB13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス21で接続した構成となっている。
【0014】
これらのうち、CPU11は、複合機1の全体制御を行う制御部である。NB13は、CPU11と、MEM-P12、SB14、及びAGPバス21とを接続するためのブリッジであり、MEM-P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0015】
MEM-P12は、コントローラ10の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM12a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM12bとからなる。なお、RAM12bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0016】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス21、PCIバス22、HDDコントローラ18およびMEM-C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C17を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部31及びプリンタ部32との間でPCIバス22を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0017】
MEM-C17は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD19は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD19は、CPU11の制御にしたがってHD19に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス21は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0018】
また、近距離通信回路20には、通信回路20aが備わっている。近距離通信回路20は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。更に、エンジン制御部30は、スキャナ部31及びプリンタ部32によって構成されている。また、操作パネル40は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部40a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル40bを備えている。コントローラ10は、複合機1全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル40からの入力等を制御する。スキャナ部31又はプリンタ部32には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0019】
なお、複合機1は、操作パネル40のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0020】
また、ネットワークI/F50は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路20及びネットワークI/F50は、PCIバス22を介して、ASIC16に電気的に接続されている。
【0021】
図3は、複合機1に記憶される設定情報を示す図である。設定情報は、プログラムIDに対応づけて、監視キーワード61、監視レベル62、障害レベル63、利用用途64、通知先65が記憶される。設定情報は、プログラムの開発担当者や商品担当者によって設定される。
図4は、検知された障害に関する障害情報である。障害情報は、障害内容66と障害レベル67とが関連付けて記憶される。
【0022】
続いて、
図5を参照して、本発明に関連する複合機1の機能構成を説明する。複合機1は、機器(複合機本体)70の機能と情報処理装置80の機能とを備える。コントローラ10は、CPU11が各種メモリ部に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、設定情報受信部71、設定情報変更部72、障害検知部73、障害情報取得部81、設定情報取得部82、判定部83、障害通知送信部84、として機能する。
【0023】
上記制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、上記制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の複合機1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。さらには、上記制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0024】
設定情報受信部71は、プログラム開発者用の端末2からプログラムの設定情報を受信する。具体的には、プログラム開発時に設定された、
図3に示す設定情報を受信する。設定情報受信部71が受信する設定情報には、通知先65は設定されていないが、必要に応じて開発担当者が設定することも可能である。
【0025】
設定情報変更部72は、端末2から受信した設定情報に対して、通知先65を追加するとともに、各種設定情報を書き換える。具体的には、複合機1へのプログラムのインストール完了後に、必要に応じて商品担当者の操作に基づいて設定情報変更部72が設定情報を変更する。障害検知部73は、プログラム動作不正に基づく障害を検知する。障害検知部73は、例えば、プログラムにおける例外の発生の検知やプログラムのエラー情報の検知などによって障害を検知する。
【0026】
障害情報取得部81は、機器にインストールされたプログラムに係る障害情報を、当該機器から取得する。具体的には、障害情報取得部81は、障害検知部73から、障害が発生したプログラムのプログラムIDとともに、障害内容や障害レベル等の障害情報を取得する。設定情報取得部82は、設定情報変更部72によって設定された監視レベル等の設定情報を取得する。
【0027】
判定部83は、障害情報取得部81が取得した障害情報と、プログラムごとに設定された監視レベルとに基づいて、障害が生じたプログラムに対応して定められた通知先に対する障害通知の送信の要否を判定する。具体的には、判定部83は、障害情報取得部81が取得したプログラムID及び障害情報と、設定情報取得部82が取得した監視レベルを含む設定情報とを比較して、通知先への障害通知の送信要否を判定する。障害通知送信部84は、判定部83から障害通知要の判定結果を受けると、設定された通知先に障害通知を通知する。
【0028】
次に、
図6を参照して、障害管理システムの動作を説明する。まず、プログラムが機器にインストールされるまでの流れを説明する。プログラムの開発担当者は、プログラムの開発ツールがインストールされた端末2でプログラムを作成し(S1)、
図3に示す設定情報を入力する(S2)。
【0029】
ここで、設定情報の入力について説明する。
図7、
図8は、端末2が備える開発ツールにおける設定画面である。開発担当者は、プログラム作成後にプログラムの利用用途に関して分類の項目を順次入力する。
図7の画面Aでは、作成したプログラムが商用かテスト用かを選択する。商用であれば「production」を、テスト用であれば「prototype」を選択する。画面Aの例では、「production」が選択されており、OKボタンを指定すると画面Bに推移する。
【0030】
画面Bでは、作成されたプログラムが利用される業種を設定することができ、業種を設定するとプログラムの監視レベルの初期レベルが設定される。画面Bに示す初期レベルは、「H」は監視レベルが高く、5段階中の最高レベル5を表す。初期レベル「M」は、監視レベル3を、画面Bには表示されていないが、初期レベル「L」は監視レベル1を示す。この初期レベル設定は、例えば、医療業に係るプログラムは、人的影響が発生する可能性を鑑みて「H」とする、など適宜設定可能である。なお、開発担当者は、設定された初期レベルを任意に変更できる。
【0031】
監視レベルの設定後は、
図8に示す画面で、監視キーワードの設定を行うことができる。詳細は後述するが、監視キーワードは、障害情報を通知先に通知するか否かの判定に用いられる。画面Cは、
図7の画面Bの入力が完了した後に表示される画面で、設定する監視キーワード候補が表示される。図では、2つのキーワード候補のみが表示されているが、開発担当者の操作によって予め定められたキーワード候補を順次表示できる。表示された中から、監視キーワードを選択すると、画面Dに推移し、設定した監視レベルと監視キーワードが表示され、開発担当者は設定内容を確認してOKボタンを指定すると設定作業が完了する。
【0032】
図6に戻って、作成されたプログラムと、上述のとおり設定された設定情報と、が複合機1に送られる(S3)。複合機1は、送られたプログラムをインストールするとともに(S4)、設定情報受信部71が受信した設定情報に対して設定情報変更部72によって設定情報の追加、変更を行う(S5)。ここでは、通知先の設定が追加される。設定情報の変更は、プログラムのインストールを担当する商品担当者によって、必要に応じて行われる。
【0033】
続いて、プログラムがインストールされた複合機1をユーザが使用している間に障害が発生した場合の流れについて説明する。障害検知部73が障害を検知すると(S11)、判定部83は、通知先3に障害通知を通知すべきか否かの判定処理を行う(S12)。判定処理の詳細は、別途フローチャートを用いて説明する。判定部83の判定の結果、通知先3に障害通知を通知すべきと判断されると、障害通知送信部84は、通知先3に障害通知を送信する(S13)。なお、障害通知は、障害が発生したことのみを通知するものであってもよく、また、障害内容を通知するものであってもよい。
【0034】
次に、
図9を参照して、判定部83が行う判定処理について説明する。判定部83は、障害情報取得部81から障害を発生したプログラムIDとともに障害情報が入力されると、設定情報取得部82が取得して複合機1のMEM-C17に記憶された設定情報のうち、上記プログラムIDに対応する設定情報を読み出す(S21)。判定部83は、読み出した設定情報に存在する監視キーワードが障害情報に含まれているか否かを判断し(S22)、含まれていれば、障害情報の障害レベルが設定情報の監視レベル条件に一致するか否かを判断する(S23)。具体的には、
図4に示す障害が発生したプログラムに係る障害情報に含まれる障害レベルが
図3に示す監視レベルに対応したものになっているか否かを判断する。例えば、プログラムIDが「0001」のプログラムに関する障害情報であれば、通知先「○○」に対する障害通知の要否は、障害情報に含まれる障害レベルが「2」以上であるか否かによって判断される。すなわち、障害レベルが「1」の場合、障害通知は不要と判断する。
【0035】
判定部83は、S23において、障害情報の障害レベルが設定情報の監視レベル条件に一致すると判断すると、障害通知送信部84に対して、障害通知を送信する旨の指示を出力し(S24)、判定処理を終了する。判定部83は、S22において、読み出した設定情報に存在する監視キーワードが障害情報に含まれていないと判断すると、S23、S24をスキップして判定処理を終了する。また、判定部83は、S23において、障害情報の障害レベルが設定情報の監視レベル条件に一致しないと判断すると、S24をスキップして判定処理を終了する。
【0036】
以上説明したとおり、第1実施形態の情報処理装置によれば、判定部83が、障害情報取得部81が取得した障害情報と、プログラムごとに設定された設定情報の監視レベルとに基づいて、通知先に対する障害通知の送信の要否を判定する。このため、開発担当者等の通知先が必要としない障害情報が当該通知先に通知されることを削減できる。したがって、通知先での不要な業務の発生を抑制できるので業務効率を向上させることができる。
【0037】
また、判定部83は、プログラムごとに設定された監視キーワードが受信した障害情報に含まれているか否かについても判断して障害通知の送信の要否を判定する。このため、より詳細な情報に基づいて上記判定を行うことができるので、真に必要な障害通知のみを通知先に行うことを可能とする。したがって、通知先において更なる業務効率の向上を図ることができる。
【0038】
加えて、プログラム作成後に、設定情報に利用用途を設定しているので、以下の効果を得ることができる。この種プログラムは、複数をグループ化してパッケージにしてから、機器にインストールすることが行われている。本実施形態においては、プログラムの利用用途を設定しているので、プログラムのパッケージ化にあたり、誤ったパッケージ化を防ぐことができる。すなわち、パッケージの利用用途と、プログラムの利用用途とを比較することで、誤ったパッケージ化を防ぐことができるものである。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態は、情報処理装置の機能を、複合機1でなく、この複合機1にネットワーク接続されるサーバが有する例である。なお、上述した第1実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図10において、複合機(機器)1は、インターネットなどのネットワークNを介して、端末2、通知先3、サーバ(情報処理装置)4と接続されている。
【0040】
図11を参照して、サーバ4のハードウェア構成を説明する。
図11に示されているように、サーバ4は、コンピュータによって構築されており、CPU91、ROM92、RAM93、HD94、HDDコントローラ95、ディスプレイ96、外部機器接続I/F97、ネットワークI/F98、データバス99、キーボード100、ポインティングデバイス101、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ102、メディアI/F103を備えている。
【0041】
これらのうち、CPU91は、サーバ4全体の動作を制御する。ROM92は、IPL等のCPU91の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM93は、CPU91のワークエリアとして使用される。HD94は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ95は、CPU91の制御にしたがってHD94に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ96は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F97は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F98は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。データバス99は、CPU91等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0042】
また、キーボード100は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス101は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ102は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW104に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F103は、フラッシュメモリ等の記録メディア105に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。なお、複合機1のハードウェア構成は、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0043】
次に、
図12を参照して、本発明に関連する複合機(機器)1の機能構成を説明する。コントローラ10は、CPU11が各種メモリ部に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、設定情報受信部111、設定情報変更部112、設定情報送信部113、障害検知部114、障害情報送信部115、として機能する。
【0044】
設定情報受信部111は、第1実施形態と同様に端末2からプログラムの設定情報を受信する。設定情報変更部112も第1実施形態と同様に端末2から受信した設定情報に対して、通知先3を追加するとともに、各種設定情報を書き換える。設定情報送信部113は、設定情報変更部112で設定された設定情報をサーバ4に送信する。障害検知部114は、プログラム動作不正に基づく障害を検知する。障害情報送信部115は、障害検知部114が検知した障害に関する障害情報を、障害が発生した複合機のID、障害が発生したプログラムのIDとともにサーバ4に送信する。
【0045】
次に、
図13を参照して、サーバ(情報処理装置)4の機能構成を説明する。CPU11が各種メモリ部に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、障害情報取得部121、設定情報取得部122、判定部123、障害通知送信部124、として機能する。
【0046】
上記制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。また、上記制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態のサーバ4で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。さらには、上記制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0047】
障害情報取得部121は、複合機1から、障害が発生した複合機のID、障害が発生したプログラムのIDとともに、障害内容や障害レベル等の障害情報を取得する。設定情報取得部122は、複合機1から監視レベル等の設定情報を取得する。判定部123は、障害情報取得部121が取得した障害情報と、設定情報取得部122が取得した監視レベルを含む設定情報と、に基づいて、通知先3への障害通知の送信要否を判定する。障害通知送信部124は、判定部123から障害通知要の判定結果を受けると、設定された通知先3に障害通知を通知する。
【0048】
次に、
図14を参照して、障害管理システムの動作を説明する。まず、プログラムが機器にインストールされるまでの流れを説明する。プログラムの開発担当者は、プログラムの開発ツールがインストールされた端末2でプログラムを作成し(S31)、
図3に示す設定情報を入力する(S32)。
【0049】
続いて、作成されたプログラムと、上述のとおり設定された設定情報と、が複合機1に送られる(S33)。複合機1は、送られたプログラムをインストールするとともに(S34)、設定情報受信部111が受信した設定情報に対して設定情報変更部112によって設定情報の追加、変更を行う(S35)。ここでは、通知先の設定が追加される。設定情報の変更は、プログラムのインストールを担当する商品担当者によって、必要に応じて行われる。その後、複合機1は、追加、変更した設定情報をサーバ4に送信する(S36)。サーバ4は、受信した設定情報をHD94に記憶する(S37)。
【0050】
プログラムがインストールされた複合機1をユーザが使用している間に障害が発生した場合の流れについて説明する。複合機1は、障害検知部114が障害を検知すると(S41)、障害情報送信部115は、障害が発生した複合機のID、障害が発生したプログラムのIDとともにサーバ4に障害情報を送信する(S42)。障害情報を受信したサーバ4は、判定部123が、通知先3に障害通知を通知すべきか否かの判定処理を行う(S43)。判定処理の詳細は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。判定部123の判定の結果、通知先3に障害通知を通知すべきと判断されると、障害通知送信部84は、通知先3に障害通知を送信する(S44)。
【0051】
以上説明したとおり、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、障害情報を管理する情報処理装置を機器である複合機1とネットワーク接続されるサーバ4としたので、情報処理装置で複数の機器の障害情報を集中管理することができる。
【0052】
上記の実施形態に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、サーバ4は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0053】
なお、機器は、複合機1に限られない。機器は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 複合機(機器、情報処理装置)
4 サーバ(情報処理装置)
81、121 障害情報取得部
73、114 障害検知部
83、123 判定部
84、124 障害通知送信部(送信部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】