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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240123BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240123BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B41J2/17 207
B41J2/165 207
B41J2/01 451
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020001493
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2020152099
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2019047647
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】依田 和久
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087719(JP,A)
【文献】特開2011-173385(JP,A)
【文献】特開2012-030452(JP,A)
【文献】特開2014-188800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドから吐出される前記液体を受ける吐出受けと、を備え、
前記吐出受けは、吸収体と、前記吸収体を収容した収容部材と、を有し、
前記吐出受けの前記吸収体にはスリットが設けられ、
前記ヘッドに対して前記吐出受けを相対移動させながら前記ヘッドから前記吸収体の前記スリット内に向けて前記液体を吐出させる制御をする手段を備え、
前記制御をする手段は、複数枚のシートに対して連続して印刷を行う連続印刷中のシート間のタイミングで、前記ヘッドから前記吸収体の前記スリット内に前記液体を吐出させる制御をする
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記吸収体は少なくとも長短2種類の吸収部材を交互に並べて配置している
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記吸収体には、複数の前記スリットが設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記スリットのスリット幅を保持するスリット幅保持部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記収容部材は、前記吸収体の天面の一部を覆う折り曲げ部を有し、
前記吸収体の天面と前記折り曲げ部とで前記スリット保持部材の一部を挟んでいる
ことを特徴とする請求項4に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記制御をする手段は、
同一の前記スリットに対する吐出量が一定量を越える毎に、又は、前記スリットに対する吐出動作を行う毎に、前記スリットを変更して前記液体を吐出させる
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記制御をする手段は、
前記吸収体の移動方向の最下流の前記スリットから最上流の前記スリットに向かう順で、前記スリットを変更して前記液体を吐出させる
ことを特徴とする請求項6に記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記吐出受けを複数備えている
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
前記吐出受け毎に前記液体の吐出量を計測する手段を備えている
ことを特徴とする請求項8に記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
前記吸収体の前記スリットは、相対移動方向の長さを幅とするとき、入口側が底部側よりも幅広である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
前記吸収体の前記スリットは、相対移動方向の長さを幅とするとき、底部側が入口側よりも幅広である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項12】
前記収容部材は、前記吸収体の前記スリットに対応する開口部を有する蓋部を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項13】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドから吐出される前記液体を受ける吐出受けと、を備え、
前記吐出受けは、吸収体と、前記吸収体を収容した収容部材と、を有し、
前記吐出受けの前記吸収体にはスリットが設けられ、
前記ヘッドに対して前記吐出受けを相対移動させながら前記ヘッドから前記吸収体の前記スリット内に向けて前記液体を吐出させる制御をする手段を備え、
前記吸収体には、複数の前記スリットが設けられ、
前記制御をする手段は、
同一の前記スリットに対する吐出量が一定量を越える毎に、又は、前記スリットに対する吐出動作を行う毎に、前記吸収体の移動方向の最下流の前記スリットから最上流の前記スリットに向かう順で、前記スリットを変更して前記液体を吐出させる
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項14】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドから吐出される前記液体を受ける吐出受けと、を備え、
前記吐出受けは、吸収体と、前記吸収体を収容した収容部材と、を有し、
前記吐出受けの前記吸収体にはスリットが設けられ、
前記ヘッドに対して前記吐出受けを相対移動させながら前記ヘッドから前記吸収体の前記スリット内に向けて前記液体を吐出させる制御をする手段を備え、
前記吸収体には、複数の前記スリットが設けられ、
前記制御をする手段は、前記スリットに対する前回の吐出から所定時間が経過する毎に、前記スリットを変更して前記液体を吐出させる
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項15】
前記制御をする手段は、
前記スリット内での吐出位置を変更して前記液体を吐出させる
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するヘッドを備える装置では、ヘッドの状態を維持、回復(メンテナンス)するために、例えば、吐出受けに向けて、液体を付与する付与対象に付着しない液体を吐出する空吐出(フラッシング、パージなどともいう。)などを行うことがある。
【0003】
従来、円筒形状ドラム上に用紙を保持して搬送する搬送部と、円筒形状ドラムに向けて液体を吐出する液体吐出ヘッドと、円筒形状ドラムにおいて、用紙が保持されない領域に吐出された液体を回収する空吐出インク回収部6とを備えるものがある(特許文献1)。
【0004】
また、ヘッドから吸引排出した廃液となるインクを収容する廃インクタンクとして、廃インクの導入位置から一方向に延在するスリットを形成した廃インク吸収体を備えるものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-205956号公報
【文献】特開2000-127439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、吐出受けにスリットが形成されていたとしても、スリット内で廃液などの堆積物が成長して満杯になったときには、吐出受けを交換しなければならない。そのため、吐出受けの交換頻度を少なくするためには、吐出受けの長寿命化が求められる。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出受けの交換頻度を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体を吐出する装置は、
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドから吐出される前記液体を受ける吐出受けと、を備え、
前記吐出受けは、吸収体と、前記吸収体を収容した収容部材と、を有し、
前記吐出受けの前記吸収体にはスリットが設けられ、
前記ヘッドに対して前記吐出受けを相対移動させながら前記ヘッドから前記吸収体の前記スリット内に向けて前記液体を吐出させる制御をする手段を備え、
前記制御をする手段は、複数枚のシートに対して連続して印刷を行う連続印刷中のシート間のタイミングで、前記ヘッドから前記吸収体の前記スリット内に前記液体を吐出させる制御をする
構成とした。
【0009】
本発明によれば、吐出受けの交換頻度を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置である印刷装置の概略説明図である。
図2】同印刷装置の吐出ユニットの一例の平面説明図である。
図3】同印刷装置の吐出受けの配置を説明する説明図である。
図4】第1実施形態における吐出受けの外観斜視説明図である。
図5】同吐出受けの液体受け部の交換手順の説明に供する斜視説明図である。
図6】同空吐出受けの液体受け部の外観斜視説明図である。
図7】同液体受け部の短手方向に沿う(図6の面Sにおける)断面説明図である。
図8】同液体受け部の吸収部材の一例の斜視説明図である。
図9】第1実施形態における吐出受け(液体受け部)に対する空吐出動作の制御に係わる部分の説明に供するブロック図である。
図10】第1実施形態における空吐出動作の制御の説明に供するフロー図である。
図11】空吐出受けとヘッドとを相対移動させて空吐出を行うことによる作用効果の説明に供する説明図である。
図12】本発明の第2実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図13】本発明の第3実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図14】本発明の第4実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図15】本発明の第5実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図16】本発明の第6実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図17】本発明の第7実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図18】本発明の第8実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図19】本発明の第9実施形態における液体受け部の斜視説明図である。
図20】同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図21】本発明の第10実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図22】本発明の第11実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図23】本発明の第12実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図24】本発明の第13実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図25】本発明の第14実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図26】本発明の第15実施形態における空吐出動作の制御における吐出対象スリットの選択処理の説明に供するフロー図である。
図27】同じく液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図28】本発明の第16実施形態における空吐出動作の制御における吐出対象スリットの選択処理の説明に供するフロー図である。
図29】本発明の第17実施形態における空吐出動作の制御における吐出位置の選択処理の説明に供するフロー図である。
図30】同じく液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図31】本発明の第18実施形態における空吐出動作の制御における吐出対象スリットの選択処理の説明に供するフロー図である。
図32】同じく液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図33】本発明の第19実施形態における空吐出動作の制御における吐出対象スリットの選択処理の説明に供するフロー図である。
図34】本発明の第20実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図35】同液体吐出受け部材の吸収体及びスリット幅保持部材の斜視説明図である。
図36】本発明の第21実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
図37】本発明の第22実施形態における液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。図1は同実施形態に係る液体を吐出する装置である印刷装置の概略説明図、図2は同印刷装置の吐出ユニットの一例の平面説明図、図3は同印刷装置の吐出受けの配置を説明する説明図である。
【0012】
印刷装置1は、搬入部10と、印刷部20と、乾燥部30と、搬出部40とを備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入されるシートPに対し、印刷部20で液体を付与して所要の印刷を行う。その後、印刷装置1は、乾燥部30でシートPに付着した液体を乾燥させ、シートPを搬出部40に排出する。
【0013】
搬入部10は、搬入トレイ11と、給送装置12と、レジストローラ対13とを備えている。搬入トレイ11には複数のシートPが積載される。給送装置12は、搬入トレイ11からシートPを1枚ずつ分離して送り出す。レジストローラ対13は、給送装置12で給送されるシートPを印刷部20へ送り込む。
【0014】
給送装置12には、ローラやコロを用いた装置や、エアー吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置12により搬入トレイ11から送り出されたシートPは、その先端がレジストローラ対13に到達した後、レジストローラ対13が所定のタイミングで駆動することにより、印刷部20へ送り出される。
【0015】
印刷部20は、シートPを搬送するシート搬送装置21を備えている。シート搬送装置21は、ドラム51及び吸引装置52などを有している。ドラム51は、シートPを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)である。吸引装置52は、ドラム51の周面に吸引力を生じさせる吸引手段である。
【0016】
また、印刷部20は、シート搬送装置21のドラム51に担持されたシートPに向けて液体を吐出する液体吐出部22を備えている。
【0017】
また、印刷部20は、送り込まれたシートPを受け取ってドラム51との間でシートPを渡す渡し胴24と、ドラム51によって搬送されたシートPを乾燥部30へ受け渡す受け渡し胴25を備えている。
【0018】
搬入部10から印刷部20へ搬送されてきたシートPは、渡し胴24に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴24の回転に伴って搬送される。渡し胴24により搬送されたシートPは、ドラム51との対向位置でドラム51へ受け渡される。
【0019】
ドラム51の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シートPの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム51の表面には、複数の吸引穴が分散して形成されている。吸引手段である吸引装置52によってドラム51の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0020】
そして、渡し胴24からドラム51へ受け渡されたシートPは、シートグリッパ106によって先端が把持されるとともに、吸引装置52による吸い込み気流によってドラム51上に吸着担持され、ドラム51の回転に伴って搬送される。
【0021】
液体吐出部22は、液体吐出手段である吐出ユニット23(23A~23F)を備えている。例えば、吐出ユニット23Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット23Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット23Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット23Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、吐出ユニット23F,23Fは、YMCKのいずれか、或いは、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。さらに、表面コート液などの処理液を吐出する吐出ユニットを設けることもできる。
【0022】
吐出ユニット23は、例えば、図2に示すように、複数のノズルを配列したノズル列101を有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)100をベース部材102に配置したフルライン型ヘッドである。
【0023】
液体吐出部22の各吐出ユニット23は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラムに担持されたシートPが液体吐出部22との対向領域を通過するときに、吐出ユニット23から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0024】
また、シート搬送装置21のドラム51には、複数(ここでは3つ)の吐出受け200(200A,200B,200C)がほぼ等角度で配置されている。吐出ユニット23のヘッド100の維持回復を行うときに、吐出受け200に対してシート材Pに付与しない液体(空吐出滴)を吐出する空吐出動作が行われる。
【0025】
乾燥部30は、乾燥機構部31と吸引搬送機構部32とを備えている。乾燥機構部31は、印刷部20でシートP上に付着した液体を乾燥させる。吸引搬送機構部32は、印刷部20から搬送されてくるシートPを吸引した状態で搬送する。
【0026】
印刷部20から搬送されてきたシートPは、吸引搬送機構部32に受け取られた後、乾燥機構部31を通過するように搬送され、搬出部40へ受け渡される。
【0027】
乾燥機構部31を通過するとき、シートP上の液体には乾燥処理が施される。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シートP上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シートPのカールが抑制される。
【0028】
搬出部40は、複数のシートPが積載される搬出トレイ41を備えている。乾燥部30から搬送されてくるシートPは、搬出トレイ41上に順次積み重ねられて保持される。
【0029】
なお、印刷装置1には、例えば、シートPに対して前処理を行う前処理部を印刷部20の上流側に配置したり、液体が付着したシートPに対して後処理を行う後処理部を乾燥部30と搬出部40との間に配置したりすることもできる。
【0030】
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液をシートPに塗布する先塗り処理を行うものが挙げられる。また、後処理部としては、例えば、印刷部20で印刷されたシートを反転させて再び印刷部20へ送ってシートPの両面に印刷するためのシート反転搬送処理や、複数枚のシートを綴じる処理などを行うものが挙げられる。
【0031】
なお、液体を吐出する装置として、カットされたシートPに印刷を施す印刷装置で説明しているが、連帳紙などの連続体に印刷を施す印刷装置などにも同様に本願発明を適用できる。
【0032】
次に、第1実施形態における吐出受けについて図4及び図5を参照して説明する。図4は同吐出受けの外観斜視説明図、図5は同吐出受けの液体受け部の交換手順の説明に供する斜視説明図である。
【0033】
吐出受け200は、液体受け部201と、支持ケース202とを備えている。液体受け部201は、ヘッド100から吐出される吐出液体を受ける。支持ケース202は、液体受け部201をドラム51に支持する支持部材である。
【0034】
支持ケース202は、底面に、液体受け部201を着脱可能に支持するスライドレール部材203をドラム51の軸方向に移動可能に備えている。
【0035】
そして、液体受け部201が満杯になったことが満タン検知手段で検知されたときには、ユーザーは液体受け部201を支持ケース202から引き出して交換することができる。
【0036】
この液体受け部201の交換は、図5(a)の矢印方向にスライドレール部材203を引き出して図5(b)に示す状態にする。次いで、図5(b)に示すように、使用済の液体受け部201を矢印方向に取り出して、図5(c)に示すようにスライドレール部材203を空の状態にする。その後、新品の液体受け部201をスライドレール部材203にセットし、スライドレール部材203を支持ケース202内に戻して図4の状態にする。
【0037】
このように、液体受け部201のみを交換できるようにすることで、交換部品を減らし、低コスト化を図ることができる。ただし、吐出受け200は、液体受け部201のみで構成することもできる。
【0038】
次に、空吐出受けの液体受け部について図6ないし図8を参照して説明する。図6は同液体受け部の外観斜視説明図、図7は同液体受け部の短手方向に沿う(図6の面Sにおける)断面説明図、図8は同液体受け部の吸収部材の一例の斜視説明図である。
【0039】
液体受け部201は、吸収体211と、吸収体211を収容した収容部材である収容ケース212とを備えている。
【0040】
吸収体211には、長手方向に沿ってスリット213が設けられている。吸収体211の長手方向は、ドラム51の軸方向であり、搬送方向と直交する方向でもある。スリット213は、1本以上であればよい。本実施形態では、搬送方向に並ぶ3本のスリット213(213A~213C)を設けている。
【0041】
吸収体211は、複数枚の吸収部材211Aと平板状の吸収部材211Bとを含む。吸収部材211Aは、スリット213を形成する貫通溝211aが形成されている。吸収部材211Bは、収容ケース212の底面に配置した平板状の部材である。そして、収容ケース212の底面から、吸収部材211B、複数枚の吸収部材211Aを順次積層している。
【0042】
収容ケース212は、例えば液体透過性がない樹脂などで形成している。
【0043】
スリット213を形成する貫通溝211aは、図8に示すように、吸収部材211Aにおける長手方向端部が閉じられた形状でもよく、又は、その長手方向端部が開いている、すなわち閉じられていない形状でもよい。
【0044】
次に、第1実施形態における吐出受け(液体受け部)に対する空吐出動作の制御に係わる部分について図9のブロック図を参照して説明する。
【0045】
空吐出制御手段701は、制御する手段であり、ヘッド駆動制御部702によってヘッド100を駆動して、シート材P間でヘッド100から吐出受け200に向けて液体を吐出する空吐出動作を制御する。
【0046】
ドラムモータ駆動制御部703は、ドラムモータ751を駆動制御してドラム51を回転駆動する。なお、ドラムモータ駆動制御部703は、印刷装置1の主制御部によって構成され、シート材Pを搬送している間はドラム51を駆動している。
【0047】
空吐出制御手段701は、ドラム51の回転位置を検出するエンコーダ752を入力する。そして、空吐出制御手段701は、ドラム51のホーム位置からの回転量に基づいて、吐出受け200がヘッド100に対向する位置で、ヘッド100から液体を吐出させる空吐出動作を制御する。
【0048】
吐出量計測手段710は、空吐出制御手段701によってヘッド100から吐出された液体量(空吐出量)を計測する。この吐出量計測手段710で計測する空吐出量は、例えば、吐出受け200毎、吐出受け200のスリット213毎、又は、スリット213の異なる吐出位置毎に、計測して記憶保持する。また、空吐出量の計測は、例えば、吐出滴数×1滴当たりの滴量、の算出によって行うことができる。
【0049】
次に、本実施形態における空吐出動作の制御について図10のフロー図を参照して説明する。
【0050】
空吐出制御手段701は、空吐出動作を行うか否かを判別し(ステップS1、以下「S1」というように表記する。)。
【0051】
空吐出動作は、例えば、所定枚数のシート材Pへの印刷を行ったとき、或いは、シート材Pに対する印刷が終了する毎に、空吐出動作を行う。
【0052】
また、初期動作を行っているときなど、シート材Pに対して印刷を行っていないが、ヘッド100がデキャップ状態でドラム51が回転する場合がある。そこで、印刷中及び印刷中以外で、ヘッド100がデキャップ状態にあるときには、空吐出動作を行うようにすることができる。つまり、ヘッド100がデキャップ状態にあるときには、ノズル内での乾燥が進むので、空吐出動作を行うことでノズルの乾燥を抑制することができる。
【0053】
一方、印刷中のデキャップ状態以外のときには、空吐出動作を行わない構成とすることもできる。これにより、空吐出動作に伴う液体の無駄な消費を抑えることができる。
【0054】
そして、空吐出動作を行うときには、吐出を行う吐出受け200を選択する(S2)。この吐出受け200の選択は、前回の吐出した吐出受け200がn番目であれば、今回吐出する吐出受け200として(n+1)番目を選択する。例えば、前回、吐出受け200Aに吐出したとすれば、今回は吐出受け200Bを選択する。
【0055】
つまり、ドラム51の周囲に複数の吐出受け200を配置して場合、各吐出受け200に吐出する液体量をある程度同じにすることで複数の吐出受け200の重量バランスをとることができる。これにより、ドラム51の重量の部分的な偏りによる回転変動を抑制できる。
【0056】
なお、吐出量計測手段710で各吐出受け200A~200Cへの各吐出量(廃液量)を計測しておき、廃液量の少ない吐出受け200を選択するようにすることで、より正確に各吐出受け200の重量バランスをとることができる。
【0057】
次いで、吐出を行う吐出受け200の複数のスリット213A~213Cの内の液体を吐出するスリット213を選択する(S4)。
【0058】
その後、ドラム51の位置が選択した吐出受け200のスリット213の位置(空吐出位置)になったか否かを判別し(S4)、空吐出位置になったときに、ヘッド100を駆動して液体を選択した吐出受け200のスリット213に向けて吐出させる(S5)。
【0059】
このように、本実施形態では、ドラム51の回転を停止することなく、ドラム51の回転に伴って吐出受け200が移動している状態、すなわち、吐出受け200とヘッド100とを相対移動させながら、吐出受け200のスリット213に対してヘッド100から液体を吐出(空吐出する)。
【0060】
なお、空吐出受け200のスリット213は、ドラム51のホーム位置を基準として、ドラム51の回転量(回転位置)情報として得ることができる。そこで、ドラム51のホーム位置からの回転量が空吐出受け200のスリット213の位置に相当する回転量になったとき、ヘッド100から液体を吐出する。なお、ヘッド100の駆動タイミング(空吐出タイミング)は、ドラム51の回転速度とヘッド100からの吐出速度、ヘッド100と吐出受け200のスリット213までの距離などによって変化する。
【0061】
ここでは、複数の吐出受け200を空吐出動作毎に変更し、あるいは、吐出受け200に吐出した廃液量の計測結果に基づいて変更する例で説明しているが、例えば、最も早くヘッド100に到達する吐出受け200を選択して空吐出を行うようにすることもできる。
【0062】
このようにすれば、選択した空吐出受け200が空吐出位置に到達するまでの時間が短縮され、空吐出動作に要する時間を短くすることができる。
【0063】
空吐出は、複数枚のシートに対して連続して印刷を行う連続印刷中のシート間(紙間)のタイミングで行うと好ましい。また、複数枚への印刷を行う印刷ジョブを複数実行する場合における複数の印刷ジョブの間のタイミングで空吐出を行ってもよい。
【0064】
また、各吐出受け200毎の廃液量の計測を行わず、例えば、いずれか1つの吐出受けが満タンになったときには、すべての吐出受け200の交換を促すようにすることもできる。これにより、吐出受け200の交換作業の回数を減らすことができる。
【0065】
次に、空吐出受けとヘッドとを相対移動させて空吐出を行うことによる作用効果について図11も参照して説明する。
【0066】
図11(a)に示すように、吐出受け200とヘッド100とを相対移動させながらスリット213に向けて液体300を吐出させるとき、ドラム51の回転に伴って吐出受け200のスリット213の内部に気流301が発生する。
【0067】
この気流301によって、スリット213内に吐出された液体は、スリット213Cよりも、スリット213の側壁面213a、213bに多く付着する(図7も参照)。また、スリット213の側壁面213aと213bとの間では、気流301の下流側となる例えば側壁面213aにより多く付着する。なお、図11(b)、(c)はスリット213内での付着状態の観察結果を示している。
【0068】
このように、スリット213の側壁面213a、213bに液体300を付着させることができることで、液体300をスリット213の底面213cから液体300の乾燥などによる堆積物が堆積する場合に比べて、堆積物の成長を抑制できる。
【0069】
これにより、吐出受け200、本実施形態では液体受け部201の高寿命化を図れ、吐出受け200の交換頻度を少なくできる。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態における液体受け部について図12を参照して説明する。図12は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0071】
本実施形態では、吸収体211は、前記第1実施形態のスリット213を形成する貫通溝211aを形成した複数枚の吸収部材211Aを収容ケース212の底面から順次積層している。
【0072】
これにより、同じ形状の吸収部材211Aで構成するので、コストを低減できる。
【0073】
次に、本発明の第3実施形態における液体受け部について図13を参照して説明する。図13は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0074】
本実施形態では、吸収体211は、長さの異なる長短2種類の吸収部材211C、211Dを使用している。そして、吸収部材211C,211Dを、長さの短い吸収部材211Dを長さの長い吸収部材211Cで挟むように、交互に並べて配置している。吸収部材211Dの上方空間がスリット213となる。
【0075】
これにより、吸収部材211の長さを異ならせるだけで良いので、吸収部材の加工が容易になる。
【0076】
次に、本発明の第4実施形態における液体受け部について図14を参照して説明する。図14は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0077】
本実施形態では、吸収体211は、1つの吸収部材211Eにスリット213を彫り込んで加工している。
【0078】
これにより、部品点数が少なくなり、吸収体211を収容ケース212に組み付けるときの作業性が向上する。
【0079】
なお、上記各実施形態において、スリット213と空吐出する液体の色との関係を固定しておき、スリット213の短手方向における幅を液体の色に応じて異ならせることもできる。
【0080】
このようにすれば、堆積速度の異なる液体を使用する場合、各スリット213の堆積高さを均すことができる。
【0081】
次に、本発明の第5実施形態における液体受け部について図15を参照して説明する。図15は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0082】
本実施形態では、スリット213の短手方向における幅を液体の色に応じて異ならせた吸収部材211D1~211D3を設けている。ここでは、吸収部材211D1の幅W11、吸収部材211D2の幅W12、吸収部材211D3の幅W13を、W1>W2>W3、の関係にしているが、これに限定されるものでない。
【0083】
これにより、吐出頻度の高い色の液体を幅の広いスリット213へ、吐出頻度の低い色の液体を幅の狭いスリット213へ、それぞれ吐出することで、各スリット213の堆積高さを均すことができる。
【0084】
次に、本発明の第6実施形態における液体受け部について図16を参照して説明する。図16は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0085】
本実施形態では、吸収体211は吸収部材211F、211Gを組み合わせて構成し、相対移動方向の幅Wが高さ方向で異なるスリット213を形成している。吸収体211のスリット213は、入口側の幅W1が底部側の幅W2よりも幅広である形状としている。つまり、スリット213の幅は、ヘッド100のノズルから近いほど広く、ノズルから遠いほど狭くなる。
【0086】
これにより、液体や吐出条件により、スリット213内で側壁面213a、213bの上部に液体が付着しやすい場合、液体が堆積できる領域が広くなり、寿命が延びる。
【0087】
次に、本発明の第7実施形態における液体受け部について図17を参照して説明する。図17は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0088】
本実施形態では、吸収体211は吸収部材211H、211Iを組み合わせて構成し、相対移動方向の幅Wが高さ方向で異なるスリット213を形成している。スリット213は、底部側の幅W2が底部側の幅W2よりも幅広である形状としている。つまり、スリット213の幅は、ヘッド100のノズルから近いほど狭く、ノズルから遠いほど広くなる。
【0089】
これにより、液体や吐出条件により、スリット213内で側壁面213a、213bの下部に液体が付着しやすい場合、液体が堆積できる領域が広くなり、寿命が延びる。
【0090】
次に、本発明の第8実施形態における液体受け部について図18を参照して説明する。図18は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0091】
本実施形態では、収容ケース212は、フィルムケース212Aと保持ケース212Bで構成している。なお、吸収体211は、前記第3実施形態と同じにしているが、他の実施形態でもよい。この点は、以下の実施形態でも同様である。
【0092】
ここで、フィルムケース212Aは、吐出された液体を収容するため、液体透過性の無い材料(例えばプラスチックフィルム)を使用している。一方、保持ケース212Bは、フィルムケース212Aの形状を保持できる素材・形状のものが使われる(紙・プラスチック等)。なお、保持ケース212Bを紙で形成することで、低コスト化、リサイクル性を向上でき、軽量化できる。
【0093】
次に、本発明の第9実施形態における液体受け部について図19及び図20を参照して説明する。図19は同液体受け部の斜視説明図、図20は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0094】
本実施形態では、液体受け部201の収容ケース212の開口部側を覆う蓋部214を設けている。蓋部214には、スリット213に対応する開口部215を設けている。
【0095】
これにより、ドラム51の回転によって吐出受け200が回転するとき、吸収体211が収容ケース212からドラム外周方向に飛び出すことを防止できる。
【0096】
次に、本発明の第10実施形態における液体受け部について図21を参照して説明する。図21は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0097】
本実施形態では、液体受け部201の収容ケース212の開口部側を覆う蓋部214を設けている。蓋部214には、スリット213に対応する開口部215を設けるとともに、スリット213の側壁面213a、213b側に折り曲がる折り曲げ部214aを設けている。
【0098】
これにより、吸収体211が収容ケース212からドラム外周方向に飛び出すことを防止できるとともに、吸収体211の幅方向位置を規制することができる。特に、第3実施形態の吸収体211のように長短の吸収部材211C,211Dを交互に並べる構成にあっては、長い吸収部材211Cが経時的に廃液を吸収して倒れることを防止できる。
【0099】
次に、本発明の第11実施形態における液体受け部について図22を参照して説明する。図22は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0100】
本実施形態では、液体受け部201の収容ケース212の開口部に折り曲げ部212aを形成している。
【0101】
これにより、吸収体211の高さ方向の位置を規制できる。
【0102】
なお、本実施形態のように、第3実施形態の吸収体211を使用する構成では、曲げ部212aと接触しない吸収部材211C、211Dが生じるが、これらの曲げ部212aと接触しない吸収部材211C、211Dは吸収部材間の摩擦力で保持する。
【0103】
次に、本発明の第12実施形態における液体受け部について図23を参照して説明する。図23は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0104】
本実施形態では、吐出受け200の支持ケース202は、収容ケース212の開口部側を覆う蓋部204を一体に設け、蓋部204にはスリット213に対向する開口部205を形成している。
【0105】
これにより、吐出受け200の回転によって吸収体211が収容ケース212からドラム外周方向に飛び出すことを防止できる。
【0106】
次に、本発明の第13実施形態における液体受け部について図24を参照して説明する。図24は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0107】
本実施形態では、吐出受け200の支持ケース202の開口部には折り曲げ部202aを形成している。
【0108】
これにより、吐出受け200の回転によって液体受け部201が支持ケース202からドラム外周方向に飛び出すことを防止できる。
【0109】
次に、本発明の第14実施形態における液体受け部について図25を参照して説明する。図25は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0110】
本実施形態では、吐出受け200の支持ケース202は、収容ケース212の開口部側を覆う蓋部204を一体に設けている。そして、蓋部204にはスリット213に対向する開口部205を設けるとともに、スリット213の側壁面213a、213b側に折り曲がる折り曲げ部204aを設けている。
【0111】
これにより、吸収体211が収容ケース212からドラム外周方向に飛び出すことを防止できるとともに、吸収体211の幅方向位置を規制できる。
している。
【0112】
これにより、吐出受け200の回転によって吸収体211が収容ケース212からドラム外周方向に飛び出すことを防止できる。
【0113】
次に、本発明の第15実施形態における空吐出動作の制御について図26及び図27も参照して説明する。図26は同空吐出動作の制御における吐出対象スリットの選択処理の説明に供するフロー図、図27は同じく液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0114】
吐出対象スリットの選択処理では、第1スリットに対して一定量を吐出済か否かを判別し(S11)、第1スリットに対して一定量を吐出済でなければ、第1スリットを吐出対象スリットとして選択する(S13)。これにより、例えば図27(a)に示すように、スリット213Aが選択されてヘッド100から液体300が吐出される。
【0115】
第1スリットに対して一定量を吐出済であれば、第2スリットに対して一定量を吐出済か否かを判別し(S12)、第2スリットに対して一定量を吐出済でなければ、第2スリットを吐出対象スリットとして選択する(S14)。これにより、例えば図27(b)に示すように、スリット213Bが選択されてヘッド100から液体300が吐出される。
【0116】
第2スリットに対して一定量を吐出済であれば、第3スリットを吐出対象スリットとして選択する(S15)。これにより、例えば図27(c)に示すように、スリット213Cが選択されてヘッド100から液体300が吐出される。
【0117】
そして、第3スリットを吐出対象スリットとして選択したときには、各スリット213の一定量吐出済フラグをリセットする(16)。これにより、次回は、再度、第1スリットから吐出を開始することになる。
【0118】
このように、複数のスリット213を有するとき、一定量を吐出する毎に、吐出対象のスリットを変更することにより、廃液の堆積をスリット毎に分散することができ、廃液が堆積できる領域が広くなる。また、一定量まで同じスリット213に吐出し続けることで、乾燥しやすい液体を使用したときに、吐出受け200に着弾した廃液の表面が乾燥しにくくなり、廃液の堆積速度を低下させることができる。
【0119】
また、本実施形態では、吸収体211の移動方向の最下流のスリット213Aから最上流のスリット213Cに向かう順で、スリットを変更して液体を吐出させている。ここで、ドラム51が回転して吸収体211がヘッド23の下に進入したときにヘッド23と対向するスリットの順で、スリットを変更して液体を吐出させているということもできる。
【0120】
このような順でスリットを変更して液体を吐出させることで、ドラム51の回転方向に合わせて吐出受け200内で複数箇所に液体を吐出させることができ、制御が簡易となる。
【0121】
また、吸収体211の移動方向の最上流のスリット213Aから最下流のスリット213Cに向かう順で、スリットを変更して液体を吐出させてもよい。
【0122】
次に、本発明の第16実施形態における空吐出動作の制御について図28も参照して説明する。図28は同空吐出動作の制御における吐出対象スリットの選択処理の説明に供するフロー図である。
【0123】
本実施形態では、前回の空吐出動作における吐出対象スリットが第3スリットであるか否かを判別する(S21)。このとき、前回の空吐出動作における吐出対象スリットが第3スリットであるときには、第1スリットを吐出対象スリットとして選択する(S23)。
【0124】
前回の空吐出動作における吐出対象スリットが第3スリットでないときには、前回の吐出対象スリットが第1スリットであるか否かを判別する(S22)。このとき、前回の空吐出動作における吐出対象スリットが第1スリットであるときには、第2スリットを吐出対象スリットとして選択する(S24)。
【0125】
前回の空吐出動作における吐出対象スリットが第1スリットでないときには、第3スリットを吐出対象スリットとして選択する(S25)。
【0126】
このように、空吐出動作を行う毎に、吐出対象スリットを変更する、つまり、連続して同じスリットに吐出しないことで、乾燥し難い液体の吸収体211への浸透時間を延ばし、液体を吸収体211の表面に堆積しにくくすることができる。
【0127】
次に、本発明の第17実施形態における空吐出動作の制御について図29及び図30も参照して説明する。図29は同空吐出動作の制御における吐出位置の選択処理の説明に供するフロー図、図30は同じく液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0128】
吐出位置の選択処理では、同一のスリット213内において複数の吐出位置を設定しておき、空吐出動作で吐出する吐出位置、即ち、ヘッド100と1つのスリット213との相対位置を変更する。
【0129】
つまり、例えば図30に示すように、第1吐出位置F1から第3吐出位置F3までを設定しているとき、第1吐出位置F1に対して一定量を吐出済か否かを判別する(S31)。このとき、第1吐出位置F1に対して一定量を吐出済でなければ、第1吐出位置F1を吐出位置として選択する(S33)。これにより、例えば図30(a)に示すように、第1吐出位置F1にヘッド100から液体300が吐出される。
【0130】
第1吐出位置F1に対して一定量を吐出済であれば、第2吐出位置F2に対して一定量を吐出済か否かを判別する(S22)。このとき、第2吐出位置F2に対して一定量を吐出済でなければ、第2吐出位置を吐出位置として選択する(S24)。これにより、例えば図30(b)に示すように、第2吐出位置F2にヘッド100から液体300が吐出される。
【0131】
第2吐出位置F2に対して一定量を吐出済であれば、第3吐出位置F3を吐出位置として選択する(S35)。これにより、例えば図30(c)に示すように、第3吐出位置F3にヘッド100から液体300が吐出される。
【0132】
そして、第3吐出位置F3を吐出位置として選択したときには、各吐出位置の一定量吐出済フラグをリセットする(S36)。これにより、次回は、再度、第1吐出位置から吐出を開始することになる。
【0133】
このように、複数の吐出位置を有するとき、一定量を吐出する毎に、吐出位置を変更することにより、廃液の堆積を分散させることができ、廃液が堆積できる領域が広くなり、高寿命化を図れ、交換頻度を下げることができる。
【0134】
次に、本発明の第18実施形態における空吐出動作の制御について図31及び図32も参照して説明する。図31は同空吐出動作の制御における吐出対象スリットの選択処理の説明に供するフロー図、図32は同じく液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0135】
本実施形態では、図32に示すように、ヘッド100にスリット213内での廃液の堆積量(堆積高さ)を検知する非接触型検知手段180を備えている。
【0136】
そこで、図31を参照して、第1スリットの堆積量が閾値以下であるか否かを判別する(S41)。このとき、第1スリットの堆積量が閾値以下であれば、第1スリットを吐出対象スリットとして選択する(S44)。
【0137】
第1スリットの堆積量が閾値以下でなければ、第2スリットの堆積量が閾値以下か否かを判別する(S42)。このとき、第2スリットの堆積量が閾値以下であれば、第2スリットを吐出対象スリットとして選択する(S45)。
【0138】
第2スリットの堆積量が閾値以下でなければ、第3スリットの堆積量が閾値以下か否かを判別する(S43)。このとき、第3スリットの堆積量が閾値以下であれば、第3スリットを吐出対象スリットとして選択する(S46)。
【0139】
そして、第3スリットの堆積量が閾値以下でなければ、当該吐出受け200について満タン処理を行って交換を促す(S47)。
【0140】
このように、複数のスリットを有するとき、堆積量が閾値に達する毎に吐出対象スリットを変更することにより、廃液の堆積を分散させることができ、高寿命化を図れ、交換頻度を下げることができる。
【0141】
なお、本実施形態では、吐出スリットを選択する例で説明しているが、前記第17実施形態のように複数の吐出位置を設定して、各吐出位置での堆積量を検知して、堆積量が閾値になる毎に吐出位置を変更することもできる。
【0142】
また、第1スリットから第3スリットは、吸収体211の移動方向の最下流のスリット213Aから最上流のスリット213Cに向かう順に設定してもよい。ここで、ドラム51が回転して吸収体211がヘッド23の下に進入したときにヘッド23と対向するスリットの順ということもできる。
【0143】
また、第1スリットから第3スリットは、吸収体211の移動方向の最上流のスリット213Aから最下流のスリット213Cに向かう順に設定してもよい。
【0144】
また、廃液の堆積量(堆積高さ)を検知する非接触型検知手段180に替えて、吐出量から吐出位置を変更してもよい。
【0145】
次に、本発明の第19実施形態における空吐出動作の制御について図33も参照して説明する。図33は同空吐出動作の制御における吐出対象スリットの選択処理の説明に供するフロー図である。
【0146】
本実施形態では、前回の吐出から所定時間を経過したか否かを判別する(S51)。そして、所定時間が経過していなければ、前回吐出したスリット213を選択し(S53)、所定時間が経過していれば、次のスリット213を選択する(S52)
【0147】
このように、前回の空吐出動作から所定時間が経過する毎に、吐出対象スリットを変更することにより、廃液の浸透時間を確保して、液体を吸収体211の表面に堆積しにくくすることができる。
【0148】
次に、本発明の第20実施形態における液体受け部について図34及び図35を参照して説明する。図34は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図、図35は同液体吐出受け部材の吸収体及びスリット幅保持部材の斜視説明図である。
【0149】
本実施形態では、液体受け部201の収容ケース212の開口部側において、スリット213のスリット幅Wを保持するスリット幅保持部材216(216A、216B)を設けている。
【0150】
スリット幅保持部材216は、ステンレスなどの材質の線状部材を屈曲して凹凸を形成し、吸収部材211Cの頂部と、吸収部材211C、211C間にそれぞれ嵌め込んでいる。
【0151】
また、液体受け部201の長手方向では、複数のスリット幅保持部材216A、216Bを配置している。スリット幅保持部材216は3つ以上としてもよい。
【0152】
これにより、吐出受け200の回転による吸収部材211Cの揺動や、吸収部材211C、211Dのはめ込み方によるスリット213のスリット幅Wの変動を抑制できる。
【0153】
次に、本発明の第21実施形態における液体受け部について図36を参照して説明する。図36は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0154】
本実施形態では、前記第20実施形態において、収容ケース212に、両側の吸収部材211C、211Cの天面の一部を覆う折り曲げ部212aを設けている。
【0155】
そして、収容ケース212の折り曲げ部212aと吸収部材211Cの天面との間でスリット幅保持部材216の一部216aを挟んでいる。
【0156】
これにより、吐出受け200の回転によって吸収部材211C及びスリット幅保持部材216が収容ケース212からドラム外周方向に飛び出すことを防止できる。
【0157】
また、本実施形態では、収容ケース212と吸収部材211Cの外側壁面との間でもスリット幅保持部材216を挟んでいる。これにより、吸収部材211C及びスリット幅保持部材216が飛び出しをより確実に防止できる。
【0158】
次に、本発明の第22実施形態における液体受け部について図37を参照して説明する。図37は同液体受け部の短手方向に沿う断面説明図である。
【0159】
本実施形態では、スリット幅保持部材216は、吸収部材211Cの天面だけでなく、吸収部材211Dの天面と接触させている。これにより、吐出受け200の回転によって吸収部材211Dの位置がずれることを防止できる。
【0160】
なお、前記第20実施形態ないし第22実施形態において、液体受け部201の長手方向では、スリット幅保持部材216の数は2つに限られない。1つのスリット幅保持部材216を使用する場合には、液体受け部201の長手方向の中央部に配置することが好ましい。3つ以上のスリット幅保持部材216を使用する場合には、液体受け部201の長手方向において隣り合うスリット幅保持部材216同士の間隔を均等にしたり、ノズルの対向位置にスリット幅保持部材216が位置しないようにしたりできる。
【0161】
本願において、吐出される「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0162】
「液体吐出ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0163】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0164】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0165】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0166】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0167】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0168】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0169】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0170】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0171】
また、ヘッドに対して吐出受けを相対移動させる態様としては、吐出受けを固定するとともに、ヘッドを吐出受けに対して移動させる構成としてもよい。
【0172】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0173】
1 印刷装置
10 搬入部
20 印刷部
21 シート搬送装置
22 液体吐出部
23 吐出ユニット
51 ドラム
52 吸引装置(吸引手段)
100 液体吐出ヘッド(ヘッド)
200 空吐出受け
201 液体受け部
202 支持ケース
203 スライドレール部材
211 吸収体
211A~211I 吸収部材
212 収容ケース(収容部材)
213,213A~213C スリット
216 スリット幅保持部材
710 空吐出制御手段(制御する手段)
図1
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