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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】エステル化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 313/12 20060101AFI20240123BHJP
   A61K 31/335 20060101ALN20240123BHJP
   A61P 11/02 20060101ALN20240123BHJP
   A61P 17/04 20060101ALN20240123BHJP
   A61P 37/08 20060101ALN20240123BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240123BHJP
【FI】
C07D313/12
A61K31/335
A61P11/02
A61P17/04
A61P37/08
C07B61/00 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020040577
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021004232
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2019118214
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】岩▲さき▼ 光浩
(72)【発明者】
【氏名】相川 利昭
(72)【発明者】
【氏名】樋田 沙奈枝
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/041734(WO,A1)
【文献】特開昭63-010784(JP,A)
【文献】特表2022-527114(JP,A)
【文献】特開2009-062296(JP,A)
【文献】Synlett,2004年,(2),Pages 263-266
【文献】Organic Letters,2010年,12(16),Pages 3712-3715
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 313/12
A61K 31/335
A61P 11/02
A61P 17/04
A61P 37/08
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール及び二炭酸ジ-t-ブチルをジメチルアミノピリジン又はN-メチルイミダゾールとトリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン及びジメチルアニリンから選ばれる1種以上の塩基との存在下で反応させる11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルの製造方法。
【請求項2】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール及び二炭酸ジ-t-ブチルをジメチルアミノピリジンとトリエチルアミンとの存在下で反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール及び二炭酸ジ-t-ブチルをN-メチルイミダゾールとトリエチルアミンとの存在下で反応させる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール及び二炭酸ジ-t-ブチルをジメチルアミノピリジン又はN-メチルイミダゾールとトリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン及びジメチルアニリンから選ばれる1種以上の塩基との存在下で反応させることによる11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを製造する工程、
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸t-ブチルエステルと3-ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドとを反応させて11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを製造する工程、
11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルの脱水反応及び脱エステル化反応によりオロパタジンを製造する工程
を含むオロパタジンの製造方法。
【請求項5】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール及び二炭酸ジ-t-ブチルをジメチルアミノピリジンとトリエチルアミンとの存在下で反応させることによる11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを製造する工程、
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルと3-ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドとを反応させて11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを製造する工程、
11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルの脱水反応及び脱エステル化反応によりオロパタジンを製造する工程を含む請求項4に記載のオロパタジンの製造方法。
【請求項6】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール及び二炭酸ジ-t-ブチルをN-メチルイミダゾールとトリエチルアミンとの存在下で反応させることによる11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを製造する工程、
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸t-ブチルエステルと3-ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドとを反応させて11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを製造する工程、
11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルの脱水反応及び脱エステル化反応によりオロパタジンを製造する工程
を含む請求項4に記載のオロパタジンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエステル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(Z)-11-(3’-ジメチルアミノプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸
【0003】
は花粉症、アレルジー性鼻炎、蕁麻疹等のアレルギー性疾患に適用される有用な医薬化合物であり(特許文献1)、一般名のオロパタジンとして知られている。
【0004】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステル
【0005】
はオロパタジンの製造中間体として有用であることが知られている(特許文献2)。
【0006】
また、カルボン酸のt-ブチルエステル化反応をジメチルアミノピリジンの存在下でt-ブチルアルコールと二炭酸ジ-t-ブチルとを使用して行えることが知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】US5116863
【文献】WO2008/041734
【文献】Synlett,2004,263-266
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2には、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸
【0009】
をt-ブチルアルコールと無水トリフルオロ酢酸とで又はイソブチレンとオキシ塩化リン等のリンハロゲン化物とでt-ブチルエステル化できることが記載されているが、無水トリフルオロ酢酸のような高価な試薬を用いる方法や排水処理が面倒なリンハロゲン化物を使用する方法は工業的な製法として十分なものではない。
【0010】
本発明は工業的に有利な11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルの製造方法を提供し、さらにはオロパタジンの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール及び二炭酸ジ-t-ブチルをジメチルアミノピリジンとトリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン及びジメチルアニリンから選ばれる1種以上の塩基との存在下で反応させることにより、t-ブチルエステルを製造することができる。また、ジメチルアミノピリジンの代わりにN-メチルイミダゾールを用いてもよい。
【0012】
さらに、得られたt-ブチルエステルを3-ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドと反応させて11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステル
【0013】
を製造し、次いで脱水反応及び脱エステル化反応によりオロパタジンに導くことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のt-ブチルエステル化反応により、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステル化反応をより詳細に説明する。
【0016】
t-ブチルエステル化反応は通常、溶媒中で行われる。溶媒は、エステル化反応に不活性な溶媒であれば特に限定されるものではなく、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒が好ましい。
【0017】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール、二炭酸ジ-t-ブチル、ジメチルアミノピリジン又はN-メチルイミダゾール、及び塩基(トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン又はジメチルアニリン)の混合順序は特に限定されないが、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸、t-ブチルアルコール及びジメチルアミノピリジン又はN-メチルイミダゾールと塩基との混合物に二炭酸ジ-t-ブチルを滴下するのが好ましい。
【0018】
t-ブチルエステル化反応は通常20~80℃で行われ、40~70℃で行うのが好ましい。反応時間は通常1~12時間である。
【0019】
用いられるt-ブチルアルコール及び二炭酸ジ-t-ブチルの量は、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸の1モルに対して通常各々、0.3~3.0モル及び0.9~1.5モルの割合である。また、ジメチルアミノピリジン又はN-メチルイミダゾール及び塩基の量は、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸の1モルに対して通常各々、0.02~1.0モル及び0.3~1.5モルの割合である。
【0020】
反応終了後は、例えば水を加えてトルエン等の有機溶媒で抽出、有機溶媒の留去などの通常の後処理を行うことで目的のt-ブチルエステルを得ることができる。また、必要により再結晶などの方法で精製することができる。
【0021】
次に、オロパタジンの製造方法を説明する。
【0022】
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸t-ブチルは3-ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドと反応させることにより11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルに導くことができる。
【0023】
3-ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドは、例えば、3-ジメチルアミノプロピルクロリド塩酸塩とマグネシウムとから通常のグリニア試薬の製造法に従って製造することができる。3-ジメチルアミノプロピルクロリドの使用量は、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸t-ブチルの1モルに対して、1~2モルの割合が好ましい。3-ジメチルアミノプロピルクロリドは、トルエンとテトラヒドロフランとの混合溶媒等の適当な溶媒に10~40%程度の濃度で溶解させた溶液として使用するのが好ましく、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸t-ブチルをテトラヒドロフラン等の不活性溶媒に溶解させた溶液中に徐々に滴下して添加することが好ましい。適下時の液温は-10~30℃程度が好ましい。
【0024】
上記で得た11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルは脱水反応により、(Z)-11-(3’-ジメチルアミノプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルに導くことができ、これを脱エステル化することでオロパタジンを製造することができる。
【0025】
脱水反応と脱エステル化反応とは、例えば、濃度1~35%程度の塩酸を11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステル1モルに対して1~5モル程度の割合で加え、20~100℃程度の温度で0.5~10時間程度攪拌することにより同時に行うことができる。
【実施例
【0026】
実施例1
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸 1.00g(0.0037モル)、t-ブチルアルコール 0.36g(0.0048モル)、ジメチルアミノピリジン 0.023g(0.0002モル)、トリエチルアミン 0.38g(0.0037モル)及び二炭酸ジ-t-ブチル 1.06g(0.0048モル)をトルエン 8.66gと室温で混合した。この混合液を50℃に昇温し、50℃で5時間攪拌した。この反応液をHPLCで定量分析したところ、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルが70%の収率で得られたことが確認された。
参考例
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸 1.00g(0.0037モル)、t-ブチルアルコール 0.40g(0.0054モル)、ジメチルアミノピリジン0.022g(0.0002モル)及び二炭酸ジ-t-ブチル 1.06g(0.0048モル)をトルエン 8.66gと室温で混合した。この混合液を50℃に昇温し、50℃で5時間攪拌した。この反応液をHPLCで定量分析したところ、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルが51%の収率で得られたことが確認された。
実施例2
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸 2.00g(0.0075モル)、t-ブチルアルコール 1.11g(0.015モル)、ジメチルアミノピリジン 0.093g(0.0008モル)及びトリエチルアミン 0.75g(0.0075モル)をトルエン 8.66gと室温で混合し、40℃に昇温した。この混合液中に二炭酸ジ-t-ブチル 1.79g(0.0082モル)とトルエン 3.90gとの混合液を40℃で6.5時間かけて滴下し、滴下終了後、40℃で2時間攪拌した。この反応液をHPLCで定量分析したところ、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルが95%の収率で得られたことが確認された。
実施例3~5
実施例2のトリエチルアミンの代わりにピリジン(実施例3)、ジイソプロピルエチルアミン(実施例4)、ジメチルアニリン(実施例5)をそれぞれ使用し、それ以外は実施例2と同様の方法で反応を行った。得られた11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルの収率は下表の通りであった。

【0027】

実施例6
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸 2.00g(0.0075モル)、t-ブチルアルコール 1.11g(0.015モル)、N-メチルイミダゾール 0.061g(0.0007モル)及びトリエチルアミン 0.75g(0.0075モル)をトルエン8.66gと室温で混合し、50℃に昇温した。
この混合液中に二炭酸ジ-t-ブチル 1.79g(0.0082モル)とトルエン 3.90gとの混合液を50℃で6.5時間かけて滴下し、滴下終了後、50℃で2時間攪拌した。この反応液をHPLCで定量分析したところ、11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルが97%の収率で得られたことが確認された。
実施例7
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸 40.00g(0.15モル)、t-ブチルアルコール 22.10g(0.30モル)、N-メチルイミダゾール 6.15g(0.075モル)、及びトリエチルアミン 7.54g(0.075モル)をトルエン173.20gに室温で混合し55℃に昇温した。この混合液中に二炭酸ジ-t-ブチル 34.50g(0.16モル)とトルエン 77.94gとの混合液を55℃で7時間かけて滴下し、滴下終了後、55℃で1.5時間攪拌した。この反応液を22℃まで冷却した後、5%塩酸 108.65gをこの反応液に滴下して30分攪拌後、静置して有機層を分取した。有機層を10%炭酸カリウム水 78.30gで洗浄し、有機層 314.57gを分取した。有機層を減圧濃縮により109.24gまで濃縮し、濃縮液に2-プロパノール 100.01gを混合した。混合液を減圧濃縮により95.34gまで濃縮し、濃縮液に2-プロパノール100.10gを混合した。混合液を減圧濃縮により56.59gまで濃縮し、濃縮液に2-プロパノール39.93gを混合した。混合液を減圧濃縮により89.06gまで濃縮し、濃縮液に2-プロパノール 48.99gを混合した。混合液を50℃まで昇温した後、40℃まで冷却して、水 26.31gをこの混合液に40℃で2時間かけて滴下し、40℃で2時間攪拌して結晶の析出を確認した。ここに水 26.31gを40℃で2時間かけて滴下し、40℃で1時間攪拌した後、3.5時間かけて40℃から7℃まで冷却し、7℃で13.5時間攪拌した。このスラリー状の反応液を7℃でろ過して結晶を分取した。得られた結晶を7℃の2-プロパノール 42.13gと水 26.40gとの混合液で洗浄後、減圧乾燥して11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステル 44.55g(0.14モル)を収率92%で得た。
実施例8
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸 20.00g(0.075モル)、t-ブチルアルコール 11.06g(0.15モル)、N-メチルイミダゾール 0.61g(0.0075モル)、及びトリエチルアミン 7.54g(0.075モル)をトルエン86.65gに室温で混合し55℃に昇温した。この混合液中に二炭酸ジ-t-ブチル 17.25g(0.079モル)とトルエン 38.97gとの混合液を55℃で7.5時間かけて滴下し、滴下終了後、55℃で3時間攪拌した。この反応液を28℃まで冷却した後、5%塩酸 59.92gをこの反応液に滴下して30分攪拌後、静置して有機層を分取した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水 127.79gで洗浄し、有機層 152.80gを分取した。有機層を減圧濃縮により48.11gまで濃縮し、濃縮液に2-プロパノール 49.99gを混合した。混合液を減圧濃縮により50.92gまで濃縮し、濃縮液に2-プロパノール50.00gを混合した。混合液を減圧濃縮により40.46gまで濃縮し、濃縮液に2-プロパノール19.99gを混合した。混合液を減圧濃縮により43.17gまで濃縮し、濃縮液に2-プロパノール 19.99gを混合した。混合液を50℃まで昇温した後、40℃まで冷却して、水 13.10gをこの混合液に40℃で2時間かけて滴下し、40℃で2時間攪拌して結晶の析出を確認した。ここに水 13.10gを40℃で2時間かけて滴下し、40℃で1時間攪拌した後、3.5時間かけて40℃から7℃まで冷却し、7℃で13時間攪拌した。このスラリー状の反応液を7℃でろ過して結晶を分取した。得られた結晶を7℃の2-プロパノール 21.06gと水 13.20gとの混合液で洗浄後、減圧乾燥して11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステル 22.63g(0.070モル)を収率94%で得た。
実施例9
11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステル 6.49g(0.02モル)及びテトラヒドロフラン50mlの混合物に15~20℃で、3-ジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリド0.03モルを含有するトルエン(15.4ml)/テトラヒドロフラン(11.7ml)混合溶媒溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間攪拌し、HPLCで原料の消失を確認した。この反応液を、30mlの水と5.4gの酢酸との混合液に加えた後、28%アンモニア水でpHを9.6にした。分液した有機層を15%食塩水50mlで洗浄後、濃縮し、11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを97.7%の収率で得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
δ 1.41(s,9H),1.43-1.45(m,2H),1.96(q,J=8.4Hz,1H),2.19-2.26(m,2H),2.26(s,6H),3.20(q,J=8.0Hz,1H),3.48(s,1H),5.02(d,J=15.6Hz,1H),5.45(d,J=15.6Hz,1H),6.87(d,J=6.8Hz,1H),7.03(d,J=7.6Hz,1H),7.13-7.16(m,2H),7.23(t,J=8.0Hz,2H),7.67(d,J=2.0Hz,1H),8.08(d,J=9.6Hz,1H)
実施例10
11-ヒドロキシ-11-(3’-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステル 8.04g(0.02モル)、35%塩酸4.2g(0.04モル)及びトルエン16.0mlの混合物を100℃で6時間攪拌し、HPLCで原料の消失を確認し、オロパタジンが得られたことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明方法によりオロパタジンの製造中間体として有用な11-オキソ-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸のt-ブチルエステルを製造することができる。さらに、オロパタジンを製造することができる。