(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 11/02 20060101AFI20240123BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240123BHJP
E03D 11/11 20060101ALI20240123BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
E03D9/00 Z
E03D11/11
G01N1/22 U
(21)【出願番号】P 2020120035
(22)【出願日】2020-07-13
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】丹 国広
(72)【発明者】
【氏名】氏本 勝也
(72)【発明者】
【氏名】窪田 進一
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-146453(JP,A)
【文献】特開2017-96890(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0135422(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0048374(KR,A)
【文献】特開2006-336437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/02
E03D 9/00
E03D 11/11
G01N 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大便用の第1便鉢部と、
小便用の第2便鉢部と、
前記第1便鉢部と前記第2便鉢部とを区切る壁部と、
前記第1便鉢部の底部に接続される便器排水路と、
を有し、
前記便器排水路は、
封水を貯留する封水貯留部と、
前記封水貯留部と前記第1便鉢部の底部との間に設けられ、大便を保持する保持部と、
前記保持部に保持された大便から発せられる気体を吸引する吸引装置と、
前記吸引装置によって吸引された気体に含まれるガスを分析する分析装置と、
を有することを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記分析装置による分析の結果を出力する出力装置を有することを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記保持部は、鉛直上方を向く水平面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記保持部と前記封水貯留部との間に設けられ、前記保持部の底面よりも鉛直上方に位置する底面を備えた盛り上がり部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記便器排水路の径は、前記盛り上がり部において前記保持部よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記保持部と前記封水貯留部との間に設けられた自重式の蓋を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記保持部を加熱するヒータを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記保持部にエアーを吹き付ける吹き付け部を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項9】
前記保持部内で回転する破砕羽を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【請求項10】
前記吸引装置に接続された管の吸入口が、前記第1便鉢部の上端又は前記保持部に固定されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大便から発せられる気体を分析することで体調を分析できることが知られている。また、排便が行われるトイレ装置の構造に関し、節水を目的とした二槽式便器が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
体調の分析には、大便から発せられる気体をppb~pptレベルで分析することが望まれる。しかしながら、二槽式便器を含め、従来のトイレ装置を用いて大便から発せられる微量の気体を高精度で分析することは困難である。
【0004】
本発明は、大便から発せられる気体を高精度で分析することができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の技術の一態様によれば、トイレ装置は、大便用の第1便鉢部と、小便用の第2便鉢部と、前記第1便鉢部と前記第2便鉢部とを区切る壁部と、前記第1便鉢部の底部に接続される便器排水路と、を有し、前記便器排水路は、封水を貯留する封水貯留部と、前記封水貯留部と前記第1便鉢部の底部との間に設けられ、大便を保持する保持部と、前記保持部に保持された大便から発せられる気体を吸引する吸引装置と、前記吸引装置によって吸引された気体に含まれるガスを分析する分析装置と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
開示の技術によれば、大便から発せられる気体を高精度で分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態に係るトイレ装置の動作を示す断面図である。
【
図3】第2実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【
図4】第3実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【
図5】第4実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【
図6】第5実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【
図7】第6実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【
図8】第7実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【
図9】第8実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0009】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【0010】
第1実施形態に係るトイレ装置100は、
図1に示すように、便器本体110と、コントロールパネル130と、便座140とを有する。便座140は便器本体110の上に載置される。
【0011】
便器本体110は、大便用の第1便鉢部111と、小便用の第2便鉢部112と、第1便鉢部111と第2便鉢部112とを区切る壁部113とを有する。第1便鉢部111の底部に大便用の便器排水路116が接続され、第2便鉢部112の底部に小便用の便器排水路118が接続されている。便器排水路116及び118は、便器本体110の底部に設けられた合流部119において互いに接続されている。
【0012】
便器排水路116は、合流部119と第1便鉢部111の底部との間にU字状の封水貯留部115を有し、便器排水路118は、合流部119と第2便鉢部112の底部との間にU字状の封水貯留部117を有する。封水貯留部115、117のそれぞれに封水が貯留される。便器排水路116は、更に、封水貯留部115と第1便鉢部111の底部との間に設けられ、大便を保持する保持部114を有する。保持部114は、例えば、鉛直上方を向く水平面114Aを有し、水平方向に延びる。保持部114は、例えば、便座140の座面に略平行な面を有してもよい。保持部114は、例えば、便器排水路116の第1便鉢部111につながる開口に略平行な面を有してもよい。
【0013】
便器本体110は、第1便鉢部111の上端近傍に、第1便鉢部111の内面を洗浄する水等の洗浄液を排出する洗浄液ノズル121を有し、第2便鉢部112の上端近傍に、第2便鉢部112の内面を洗浄する水等の洗浄液を排出する洗浄液ノズル122を有する。
【0014】
コントロールパネル130は、吸引装置131と、分析装置132と、出力装置133と、制御装置134とを備える。
【0015】
吸引装置131には管123を介して、可動式の吸入ヘッド120が接続されている。吸入ヘッド120は、例えば、便器本体110の縁の上の第1位置と、第1便鉢部111の上端の中央近傍の第2位置との間に移動可能である。
【0016】
分析装置132は、吸引装置131によって吸引された気体の組成を分析する。分析装置132は、例えば電界非対称波形イオン移動度分光分析(Field Asymmetric Ion Mobility Spectrometry:FAIMS)システムを備える。FAIMSシステムは、非対称の交流信号が印加される1対の電極を備えたイオンフィルタを有しており、イオン化した化学物質をイオンフィルタに流すと、その移動度の差によって選別される。イオンフィルタを通過した化学物質をイオン検出電極に衝突させ、イオン検出電極で発生した電流を検出することで、化学物質を特定できる。このようなFAIMSシステムを分析装置132に用いることで、吸引装置131によって吸引された気体に、どのような化学物質がどのような濃度で含有されているかを容易に分析できる。
【0017】
出力装置133は、分析装置132による分析の結果を出力する。出力装置133は、例えば表示装置を備える。出力装置は、記憶媒体に出力結果を記憶させてもよく、無線又は有線の通信により外部機器に分析結果を送信してもよい。
【0018】
制御装置134は、吸引装置131、分析装置132及び出力装置133を制御する。
【0019】
次に、第1実施形態に係るトイレ装置100の動作について説明する。
図2は、トイレ装置100の動作を示す断面図である。
【0020】
トイレ装置100を用いて排便が行われると、壁部113により区切られた大便用の第1便鉢部111、小便用の第2便鉢部112に、それぞれ大便、小便が導かれる。なお、排便行為の際には、吸入ヘッド120は便器本体110の縁の上の第1位置に配置しておく。第2便鉢部112に導かれた小便は、第2便鉢部112の内面に沿って封水貯留部117まで落下する。一方、第1便鉢部111に導かれた大便1は、第1便鉢部111の内面に沿って落下するが、封水貯留部115に達する前に保持部114の水平面114A上に保持される。そして、保持部114に保持された大便から発せられる気体は第1便鉢部111内に拡散していく。
【0021】
大便から発せられる気体が第1便鉢部111内に拡散した状態で、制御装置134を動作させると、吸入ヘッド120を第1便鉢部111の上端の中央近傍の第2位置に移動させ、吸引装置131が気体の吸引を開始する。すなわち、吸引装置131は、大便から発せられ、第1便鉢部111内に拡散した気体を、吸入ヘッド120及び管123を介して吸引する。そして、分析装置132が、吸引装置131によって吸引された気体に含まれるガスを分析し、出力装置133が、分析装置132による分析の結果を出力する。分析装置132による分析が終了すると、吸引装置131による気体の吸引を終了し、吸入ヘッド120を第1位置に移動させる。分析装置132は、例えば、気体に含まれるアンモニア等の化学物質の濃度を分析する。
【0022】
その後、洗浄液ノズル121から水を排出することで、第1便鉢部111が洗浄され、大便1が封水貯留部115に導かれ、合流部119から外部に排出される。また、洗浄液ノズル122から水を排出することで、第2便鉢部112が洗浄され、小便が合流部119から外部に排出される。
【0023】
第1実施形態によれば、小便から発せられる気体の影響を受けずに、大便1から発せられる気体の分析を行うことができる。また、第1便鉢部111と第2便鉢部112とが区切られていたとしても、大便1が封水中に落下した状態で大便1から発せられる気体を分析しようとする場合、大便1から発せられた気体が封水に溶け込んだり、封水から発せられた気体が混入したりする。従って、大便1が封水中に落下していると、大便1から発せられた気体を高精度で分析することは困難である。これに対し、第1実施形態では、大便1が保持部114に保持された状態で吸引装置131による吸引と、分析装置132による分析とが行われる。このため、第1実施形態によれば、封水の影響を抑制しながら、大便1から発せられた気体を高精度で分析することができる。すなわち、大便1から発せられた気体を、その成分比及び濃度の変化を抑制しながら、回収して高精度で分析することができる。そして、この分析結果を用いることで、被験者の体調を高精度で管理し、病気の早期発見に貢献することができる。
【0024】
近時、腸内細菌が産生する物質が宿主におよぼす影響について盛んに研究されており、大便から発せられる気体を分析することで腸内の状態を把握することができる。下記のA~Hは、これまで公表されている研究の一部であり、これらの知見を元に大便から発生するガスを日々採取し、ガスの種類、濃度、気体の比率、推移等を分析することで発病に至らない未病時の健康状態なども解るようになり、未病状態で対策を打てる。また、未病状態で対策しても体調が改善しているのか判別できない場合、当該対策を継続するのが難しいこともある。これに対し、本実施形態によれば、健康が改善されていく様子等も容易に把握することができ、健康状態を維持するために非常に有効である。また、大便から発せられる気体には癌等の病気を示すマーカ等も含まれていると考えられており、それらが今後明確になれば具体的な病気の発見にもつながる。
【0025】
A.ビフィズス菌が産生する酢酸による病原性大腸菌感染症の予防
Nature, 469, 543-547 (2011)
http://first.lifesciencedb.jp/archives/2284
【0026】
B.腸内細菌の産生する酪酸による制御性T細胞の分化の誘導(腸管免疫系の恒常性の維持に貢献する)
Nature, 504, 446-450 (2013)
http://first.lifesciencedb.jp/archives/8073
【0027】
C.腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸を、宿主が短鎖脂肪酸受容体GPR41と43を介して感知し、エネルギー恒常性を維持している。
【0028】
特に、GPR41は交感神経系を、GPR43は白色脂肪組織におけるインスリンシグナルをコントロールしている。
【0029】
https://www.brh.co.jp/publication/journal/086/research/1.html
【0030】
D.腸内細菌代謝産物、探査脂肪酸とその受容体を介した宿主への影響
実験医学 Vol. 37, No.2 (増刊) 2019
【0031】
E.アンモニアは、食物などに含まれるタンパク質が腸管内で腸内細菌(アンモニア生産菌)によって代謝される際に発生する。
【0032】
腸管から吸収されたアンモニアは門脈から肝臓に入り、通常は無毒化される。
【0033】
しかし、腸内フローラの破綻(dysbiosis)によるアンモニア生産増加に併せて肝硬変などで肝臓の解毒能が低下した状態では、血液中のアンモニア濃度は上昇し、血流を介して脳に達し、肝性脳症を発症する。
【0034】
Clin Infect Dis. 67, 869 (2018)
https://www.amed.go.jp/news/release_20180501.html
【0035】
F.腸管内で加水分解されたコリンが腸内細菌により代謝されトリメチルアミン(TMA)になり、
更に門脈を介して肝臓に運ばれ酵素酸化でトリメチルアミンオキシド(TMAO)となり血液中を循環、動脈硬化を促進、動脈硬化性心疾患を惹起する。
【0036】
nature:Gut flora metabolism of phosphatidylcholine promotes cardiovascular disease(2011)
【0037】
G.腸内細菌によって産生される,食品タンパク質由来トリプトファン代謝産物であるインドールが,腎不全の進行促進に対する原因の一つであることが明らかとなっている。
【0038】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/55/3/55_203/_pdf/-char/ja
【0039】
H.日本人には、硫化水素を出す特異な菌(硫酸還元菌、サルモネラ)が存在している。硫化水素は、酪酸の上皮細胞のエネルギーである酪酸利用を阻害する。
【0040】
DNA Res. 23, 125 (2016)
【0041】
なお、トイレ装置に、排便を行った個人を特定するための入力装置やセンサを付加してもよい。個人を特定することで、当該個人に関するデータを継続して取得し、排出される気体の傾向等を考慮しながら健康状態をより正確に把握することが可能となる。例えば、スマートフォンのアプリ等でデータ通信して個人を特定し、データをスマートフォンやクラウドコンピュータ等で一括管理してもよい。
【0042】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図3は、第2実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【0043】
第2実施形態に係るトイレ装置200においては、
図3に示すように、便器排水路116に、保持部114の下流側に設けられ、保持部114の底面である水平面114Aよりも鉛直上方に位置する底面201Aを備えた盛り上がり部201が設けられている。盛り上がり部201はダム状に形成されていてもよい。盛り上がり部201において便器排水路116の径が保持部114よりも小さくなっていてもよい。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0044】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第2実施形態によれば、大便の封水貯留部115への落下を抑制し、大便を保持部114により保持しやすい。例えば、大便の形状が球状である場合、便器排水路116に導かれた大便が水平面114Aの上を転がり得るが、第2実施形態によれば、大便が転がったとしても、盛り上がり部201により大便の封水貯留部115への落下を抑制できる。保持部114での大便の保持量を高めることで、吸入ヘッド120から取り込まれる気体に占める、大便から発せられる気体の割合を高めることができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図4は、第3実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【0046】
第3実施形態に係るトイレ装置300においては、
図4に示すように、便器排水路116に、保持部114の下流側に設けられた自重式の蓋301が設けられている。蓋301は、便器排水路116の水平方向に延びる部分の天井を軸にして開閉可能に設けられている。便器排水路116の下側の内面で蓋301に対向する部分に、粘度の低い液体が流れる幅が数ミリメートル程度の溝が設けられていてもよい。粘度の低い液体が流れる溝が蓋301の下端に設けられていてもよい。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0047】
第3実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第3実施形態によれば、大便が液状である場合でも、大便を保持部114に保持しやすい。保持部114での大便の保持量を高めることで、吸入ヘッド120から取り込まれる気体に占める、大便から発せられる気体の割合を高めることができる。
【0048】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
図5は、第4実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【0049】
第4実施形態に係るトイレ装置400には、
図5に示すように、保持部114を加熱するヒータ401が設けられている。例えば、ヒータ401は制御装置134により制御される。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0050】
第4実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第4実施形態によれば、保持部114に保持された大便をヒータ401により温め、大便からの気体の放出を促進することができる。
【0051】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。
図6は、第5実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【0052】
第5実施形態に係るトイレ装置500には、
図6に示すように、保持部114にエアーを吹き付ける吹き付け部501が設けられている。吹き付け部501は、エアー供給源502と、エアー供給源502から供給されたエアーを保持部114に導く管503とを備える。例えば、エアー供給源502は制御装置134により制御される。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0053】
第5実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第5実施形態によれば、保持部114に保持された大便にエアーを吹き付け、大便からの気体の放出を促進することができる。
【0054】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。
図7は、第6実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【0055】
第6実施形態に係るトイレ装置600には、
図7に示すように、保持部114に保持された大便を破砕する破砕機601が設けられている。破砕機601は、モータ602と、モータ602に回転軸が繋がれた破砕羽603とを備える。破砕羽603は、モータ602の駆動により、保持部114内で回転する。例えば、モータ602は制御装置134により制御される。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0056】
第6実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第6実施形態によれば、保持部114に保持された大便を破砕機601により破砕し、大便の表面積を増やして大便から放出される気体の量を増加させることができる。このため、吸入ヘッド120から取り込まれる気体に占める、大便から発せられる気体の割合を高めることができる。更に、大便の表面から発せられる気体だけでなく、内部から発せられる気体も回収でき、大便の形状の影響を受けにくく、より安定した分析を行うことができる。
【0057】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。
図8は、第7実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【0058】
第7実施形態に係るトイレ装置700では、
図8に示すように、管123に代えて管723が設けられている。管723の一端は、管123と同様に、吸引装置131に接続されている。管723の他端に吸入ヘッドが設けられておらず、管723の他端は、洗浄液ノズル121の近傍に設けられた吸入口720に接続されている。つまり、吸入口720は、第1便鉢部111の上端に固定されている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0059】
第7実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第7実施形態では、大便から発せられる気体が吸入口720及び管723を介して吸引装置131に吸引される。第7実施形態によれば、可動式の吸入ヘッド120が設けられていないため、分析時に吸入ヘッド120の移動に伴う時間を省略することができる。また、メンテナンス作業を軽減できる。
【0060】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。
図9は、第8実施形態に係るトイレ装置を示す断面図である。
【0061】
第8実施形態に係るトイレ装置800では、
図9に示すように、管723に代えて管823が設けられている。管823の一端は、管723と同様に、吸引装置131に接続されている。管823の他端は、保持部114の近傍に設けられた吸入口820に接続されている。他の構成は第7実施形態と同様である。
【0062】
なお、第2~第8実施形態のうちの2以上の実施形態を組み合わせてもよい。
【0063】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0064】
100、200、300、400、500、600、700、800 トイレ装置
110 便器本体
111 第1便鉢部
112 第2便鉢部
113 壁部
114 保持部
114A 水平面
115、117 封水貯留部
116、118 便器排水路
119 合流部
120 吸入ヘッド
121、122 洗浄液ノズル
131 吸引装置
132 分析装置
133 出力装置
134 制御装置
201 盛り上がり部
201A 底面
301 蓋
401 ヒータ
501 吹き付け部
601 破砕機
720、820 吸入口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】