(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】保持面形成方法
(51)【国際特許分類】
B24B 41/06 20120101AFI20240123BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20240123BHJP
B23Q 3/08 20060101ALI20240123BHJP
B23Q 3/02 20060101ALI20240123BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B24B41/06 L
B24B7/04 A
B23Q3/08 A
B23Q3/02 A
H01L21/304 631
(21)【出願番号】P 2019079238
(22)【出願日】2019-04-18
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 壮一
(72)【発明者】
【氏名】山下 真司
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-131354(JP,A)
【文献】特開2014-037020(JP,A)
【文献】特開2007-059949(JP,A)
【文献】米国特許第06656818(US,B1)
【文献】特開2014-237210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 41/06
B24B 7/04
B23Q 3/08
B23Q 3/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削砥石を環状に配置した研削ホイールを回転させ、被加工物を吸引保持するチャックテーブルを回転させ該保持面に保持された被加工物を研削砥石で研削する研削装置において、該研削砥石で該保持面を研削して該保持面を形成する保持面形成方法であって、
該研削ホイールを回転させる際の軸となる該研削ホイールの中心を通
り該チャックテーブルの中心よりも外周側に位置する第1回転軸と、該チャックテーブルを回転させる際の軸となる該保持面の中心を通
り該研削砥石の回転中心よりも外周側に位置する第2回転軸とを
、該チャックテーブル側に位置する交点において所定の角度
での第1傾き関係
を有するように配置し、該研削砥石を該保持面の中心を通過する位置に位置づけて該保持面を研削し、少なくとも該保持面中央に
該チャックテーブルの回転中心を中心とする円形の第1面を形成する第1保持面形成工程と、
該第1回転軸と該第2回転軸とを
、該チャックテーブル側に位置する交点において該第1傾き関係
での該角度より大きい角度で傾けた第2傾き関係
を有するように配置し、該研削砥石で該保持面の外周部分を研削して、該第1面からつながる円錐台の側面形状である円環形状の第2面を形成する第2保持面形成工程と、を備え、異なる傾き関係の下で該研削砥石で該保持面を少なくとも2回研削して保持面を形成する保持面形成方法。
【請求項2】
該第1保持面形成工程は、該第1回転軸と該第2回転軸とを平行に配置し、平坦面の該第1面を形成する、請求項1記載の保持面形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持面形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを研削する研削装置は、ウェーハを保持する保持テーブルと、保持テーブルに保持されたウェーハを研削する研削砥石が配設された研削手段とを備えている。
【0003】
研削装置において、研削ホイールや保持テーブルの交換等をした後は、保持テーブルの保持面と研削砥石の研削面とを平行にするため、研削砥石で保持面を研削するセルフグラインドを実施している(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のセルフグラインドは、保持テーブルの回転軸に対して研削ホイールの回転軸を若干傾斜させ、研削砥石を保持テーブルの保持面の中心を通るように接触させて保持面の研削が行われ、保持テーブルの保持面が円錐面に形成される。ウェーハが厚い場合、保持面にウェーハを保持させた際に保持面の円錐面形状にならわずに保持面の円錐面の頂点付近とウェーハの下面の中央との間に隙間が生じてしまうため、この状態でウェーハの研削を行うとウェーハの中央が研削され過ぎて薄くなるという問題がある。
研削ホイールを回転させ回転する被加工物をインフィード研削する研削装置においては、被加工物の中央が薄くなることを防止して平坦なウェーハに仕上げるという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、研削砥石を環状に配置した研削ホイールを回転させ、被加工物を吸引保持するチャックテーブルを回転させ該保持面に保持された被加工物を研削砥石で研削する研削装置において、該研削砥石で該保持面を研削して該保持面を形成する保持面形成方法であって、該研削ホイールを回転させる際の軸となる該研削ホイールの中心を通り該チャックテーブルの中心よりも外周側に位置する第1回転軸と、該チャックテーブルを回転させる際の軸となる該保持面の中心を通り該研削砥石の回転中心よりも外周側に位置する第2回転軸とを、該チャックテーブル側に位置する交点において所定の角度での第1傾き関係を有するように配置し、該研削砥石を該保持面の中心を通過する位置に位置づけて該保持面を研削し、少なくとも該保持面中央に該チャックテーブルの回転中心を中心とする円形の第1面を形成する第1保持面形成工程と、該第1回転軸と該第2回転軸とを、該チャックテーブル側に位置する交点において該第1傾き関係での該角度より大きい角度で傾けた第2傾き関係を有するように配置し、該研削砥石で該保持面の外周部分を研削して、該第1面からつながる円錐台の側面形状である円環形状の第2面を形成する第2保持面形成工程と、を備え、異なる傾き関係の下で該研削砥石で該保持面を少なくとも2回研削して保持面を形成する保持面形成方法である。
本発明に備える該第1保持面形成工程においては、該第1回転軸と該第2回転軸とを平行に配置させ、平坦面の該第1面を形成することが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、保持面に被加工物を保持したときに、保持面の中心付近に形成される保持面と被加工物との隙間をなくすために、2回の研削加工を施して第1面と第2面とを形成している。そのため、保持面の中心で被加工物が変形させられる原因となるような力が加わらなくなるため、保持面と被加工物との間に隙間ができなくなり、保持面の中央部分の被加工物が研削されすぎて薄くなるという問題を解決することができる。
これにより、従来はφ200mmのシリコンウェーハは200~300nm以内の厚み差に仕上げることが限界であったが、本発明では、100nm以内の厚み差に仕上げることが可能になった。
また、第2面に加えてさらに第3面、第4面、・・・といったようにさらに複数の面を形成することも可能であり、これによって、さらに確実に保持面に被加工物を保持することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】(a)は、研削手段を用いて保持面を研削して平坦な第1面を形成する第1保持面形成工程の様子を表す断面図であり、(b)は、第1保持面形成工程の実施後に研削手段とチャックテーブル5との傾きを変えてから再び研削手段を用いて保持面を研削して第1面の円の外側に連なる円錐台側面形状の第2面を形成する第2保持面形成工程の様子を表す断面図であり、(c)は、両工程を経て形成された保持面を表す断面図である。
【
図3】(a)は、研削手段を用いて保持面を研削して円錐面形状の第1面を形成する第1保持面形成工程の様子を表す断面図であり、(b)は、第1保持面形成工程の実施後に研削手段とチャックテーブル5との傾きを変えてから再び研削手段を用いて保持面を研削して第1面の外側に連なる円錐台側面形状の第2面を形成する第2保持面形成工程の様子を表す断面図であり、(c)は、両工程を経て形成された保持面を表す断面図である。
【
図4】(a)は、チャックテーブルを紙面奥行き側にも傾けてから、研削手段を用いて保持面を研削してドーム状の第1面を形成する第1保持面形成工程の様子を表す断面図であり、(b)は、第1保持面形成工程の実施後に研削手段とチャックテーブル5との傾きを変えてから再び研削手段を用いて保持面を研削して第1面の外側に連なる円錐台側面形状の第2面を形成する第2保持面形成工程の様子を表す断面図であり、(c)は、両工程を経て形成された保持面を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 研削装置の構成
図1に示す研削装置1は、チャックテーブル5に保持された半導体ウェーハ等の被加工物Wを、研削手段3を用いて研削する研削装置である。以下、研削装置1の構成について説明する。
【0010】
研削装置1には、研削装置1に備える各種の機構を電気的に制御する制御手段2が備えられている。
【0011】
図1に示すように、研削装置1には、Y軸方向に延設されたベース10と、ベース10の上における+Y方向側に立設されたコラム11とが備えられている。
【0012】
コラム11の-Y方向側の側面には、研削手段3と研削送り手段4とが備えられている。
研削手段3には、Z軸方向の第1回転軸35を有するスピンドル30と、スピンドル30を、第1回転軸35を軸にして回転駆動するスピンドルモータ32と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31とが備えられている。スピンドル30の下端には、マウント33が接続されており、マウント33の下面には、研削ホイール34が着脱可能に配設されている。研削ホイール34は、基台341と基台341の下面に環状に配設された複数の研削砥石340とから構成されている。研削砥石340は、例えば、レジンボンドやメタルボンド等によって固着されたダイヤモンド砥粒等によって形成されており、その下面340aは被加工物Wを研削する研削面となっている。
【0013】
研削送り手段4には、Z軸方向の回転軸45を有するボールネジ40と、ボールネジ40に対して平行に配設された一対のガイドレール41と、ボールネジ40を回転軸45を軸にして回動させるZ軸モータ42と、内部のナットがボールネジ40に螺合して側部がガイドレール41に摺接する昇降板43と、昇降板43に連結され研削手段3を保持するホルダ44とが備えられている。
Z軸モータ42によってボールネジ40が駆動されて、回転軸45を軸にして回転すると、これに伴い、昇降板43がガイドレール41に案内されてZ軸方向に昇降移動して、ホルダ44に保持されている研削手段3がZ軸方向に昇降移動する構成となっている。研削送り手段4を用いて研削手段3を駆動して、研削砥石340をチャックテーブル5に保持されている被加工物Wに対して接近及び離間させることができる。
【0014】
図1に示すように、研削装置1のベース10の上には、チャックテーブル5が備えられている。チャックテーブル5は、被加工物Wを保持する円板形状のテーブルであり、保持面500を有する吸引部50と吸引部50を囲繞する枠体51とを備えている。また、チャックテーブル5は、吸引路52を介して吸引源53に接続されている。例えば、吸引源53によって発揮される吸引力を、吸引路52を通じて保持面500に伝達することによって、保持面500の上に被加工物Wを吸引保持することができる。
チャックテーブル5には、チャックテーブル5をZ軸方向の第2回転軸55を軸にして回転させる回転手段54が配設されている。
また、チャックテーブル5には、図示しない傾き調整手段が配設されている。傾き調整手段を用いてチャックテーブル5を傾けることによって、第2回転軸55がZ軸方向に対して傾斜することとなる。なお、傾き調整手段としては、例えば特許文献1の可動支持部を用いることができる。
さらに、チャックテーブル5の周囲にはカバー12が配設されており、カバー12には蛇腹13が伸縮自在に連結されている。カバー12とチャックテーブル5とは、被加工物Wの研削加工の際に、ベース10の内部に配設されている図示しないY軸方向への移動手段によって駆動されて、Y軸方向に一体的に往復移動する。このとき、カバー12のY軸方向の移動に伴って蛇腹13が伸縮することとなる。
【0015】
図1に示すように、研削装置1のベース10の上には、ウェーハ上面ハイトゲージ60、保持面ハイトゲージ61、及び算出手段62を備えた厚み測定手段6が配設されている。研削加工中、ウェーハ上面ハイトゲージ60を被加工物Wの表面Waに当接させつつ、保持面ハイトゲージ61をチャックテーブル5の保持面500に当接させることによって、被加工物Wの表面Wa及びチャックテーブル5の保持面500の高さを測定して、測定された両者の高さの値を基に、算出手段62において被加工物Wの厚みを算出することができる。
【0016】
2 保持面形成方法
上記の研削装置1を用いて保持面500を研削して、所望の形状を有する保持面500を形成する保持面形成方法について説明する。
【0017】
[第1実施形態]
(第1保持面形成工程)
まず、
図1に示すチャックテーブル5を図示しないY軸方向への移動手段を用いてY軸方向に移動させて、
図2(a)に示すように、研削砥石340の下面340bがチャックテーブル5の保持面500の中心Oを通るように位置合わせする。
次に、第1回転軸35と第2回転軸55との傾き関係が第1傾き関係となるように第2回転軸55の傾きを調整する。第1実施形態においては、第1傾き関係を、
図2(a)に示すような、第1回転軸35と第2回転軸55とが互いに平行となる関係とする。従って、図示しない傾き調整手段を用いてチャックテーブル5を傾斜させて、第1回転軸35と第2回転軸55とが互いに平行になるように調整する。
なお、
図2(a)に示すように、第1回転軸35と第2回転軸55とが平行であるときには、便宜上、第1回転軸35と第2回転軸55との間の角度θ1を0度とする。
【0018】
その後、
図1及び
図2に示すように、研削手段3のスピンドルモータ32を用いてスピンドル30を、第1回転軸35を軸にして回転させることによって、スピンドル30に接続された研削砥石340を、第1回転軸35を軸にして回転させるとともに、回転手段54を用いてチャックテーブル5を、第2回転軸55を軸にして回転させる。
研削砥石340とチャックテーブル5とが回転している状態で、研削送り手段4のZ軸モータ42を用いてボールネジ40を回動させて、昇降板43をガイドレール41に沿って-Z方向に降下させる。これにより、ホルダ44を介して昇降板43に支持されている研削手段3が-Z方向に降下していき、
図2(a)に示すように、研削砥石340の下面340bとチャックテーブル5の保持面500とが当接する。
研削砥石340の下面340bとチャックテーブル5の保持面500とが当接している状態で、さらに研削砥石340をチャックテーブル5の保持面500に対して押し下げていくことによって保持面500を研削して、
図2(a)に示すようなXY平面に平行な平坦な第1面50Aを形成する。
【0019】
(第2保持面形成工程)
次に、研削送り手段4を用いて研削砥石340を上昇させて、研削砥石340を第1面50Aから離間させる。そして、第1回転軸35と第2回転軸55との傾き関係が第2傾き関係となるように第2回転軸55の傾きを調整する。図示しない傾き調整手段を用いて、第2回転軸55を-Y方向に傾けて、例えば、
図2(b)に示すように、第1回転軸35と第2回転軸55との間の角度がθ2(θ2≠0)となるように調整する。
なお、第2傾き関係における第1回転軸35と第2回転軸55とのなす角度θ2は、上記の第1傾き関係における第1回転軸35と第2回転軸55とのなす角度θ1よりも大きいものとする。
【0020】
その後、研削砥石340及びチャックテーブル5を、第1回転軸35及び第2回転軸55を軸としてそれぞれ回転させながら、研削送り手段4を用いて研削砥石340を降下させて、研削砥石340の下面340bとチャックテーブル5の保持面500を構成する第1面50Aとを当接させる。このとき、
図2(b)に示すように、第1面50Aの中心Oと研削砥石340の下面340bとの間には隙間が空いた状態となっている。この状態で研削送り手段4を用いて、再び研削砥石340を-Z方向に押し下げていき、第1面50Aの外周部分を研削して、第2面50Bを形成する。
【0021】
このとき、
図2(b)に示すように、第1面50Aの研削を行いながら、例えば、保持面ハイトゲージ61をチャックテーブル5の上に接触させて、研削によって変化する第2面50Bの高さを監視することにより、第2面50Bが予め定められた高さになるまで研削することができる。
また、第1面50Aの面積が予め定められた面積になるまで研削することができる。
例えば、第1面50Aは直径10mmの円になるまで研削する。
【0022】
以上のように、保持面500を研削することによって、
図2(c)に示すように、保持面500の中央に平坦な円形状の第1面50Aを残しつつ、第1面の円の径方向と-Z方向との間に延びるように、第1面50Aからつながる円錐面、または円錐台の側面の形状を有する第2面50Bを形成することができる。
【0023】
[第2実施形態]
(第1保持面形成工程)
まず、
図1に示すチャックテーブル5を図示しないY軸方向への移動手段を用いてY軸方向に移動させて、
図3(a)に示すように、研削砥石340の下面340bがチャックテーブル5の保持面500の中心Oを通るように位置合わせする。
次いで、図示しない傾き調整手段を用いてチャックテーブル5を傾けることによって、第1回転軸35と第2回転軸55との傾き関係を第1傾き関係に調整する。第2実施形態においては、第1傾き関係を、
図3(a)に示すような、第1回転軸35と第2回転軸55とが0度でない所定の角θ3をなしている関係とする。
【0024】
その後、第1実施形態と同様に、研削砥石340及びチャックテーブル5を第1回転軸35及び第2回転軸55を軸としてそれぞれ回転させる。研削砥石340及びチャックテーブル5が回転している状態で、研削送り手段4を用いて研削砥石340を-Z方向に降下させる。これにより、
図3(a)に示すように、研削砥石340の下面340bとチャックテーブル5の保持面500とが当接する。
【0025】
研削砥石340の下面340bとチャックテーブル5の保持面500とが当接している状態で、さらに研削砥石340をチャックテーブル5の保持面500に対して押し下げていくことによって、保持面500を研削して、
図3(a)に示すように、保持面500の中心Oを頂点に持つ円錐面形状の第1面50Cを形成する。
【0026】
(第2保持面形成工程)
次に、研削送り手段4を用いて研削砥石340を上昇させて、研削砥石340を第1面50Cから離間させる。そして、第1回転軸35と第2回転軸55との間の傾き関係が第2傾き関係となるように、図示しない傾き調整手段を用いてチャックテーブル5を傾ける。このとき、
図3(b)に示すように、第1回転軸35と第2回転軸55との間の角θ4が、第1傾き関係における第1回転軸35と第2回転軸55とがなす角θ3よりも大きくなるように傾ける。
【0027】
その後、チャックテーブル5及び研削砥石340を第1回転軸35及び第2回転軸55を軸としてそれぞれ回転させながら、研削送り手段4を用いて研削砥石340を降下させて、研削砥石340の下面340bとチャックテーブル5の第1面50Cとを当接させる。このとき、
図3(b)に示すように、第1面50Cの中心Oと研削砥石340の下面340bとの間には隙間が空いた状態となっており、この状態で、研削砥石340を-Z方向に押し下げていくことによって、第1面50Cの外周部分を研削して、第2面50Dを形成する。
【0028】
このとき、第1実施形態と同様に、
図3(b)に示すように、第1面50Cの研削中に、例えば、保持面ハイトゲージ61を第2面50Dの上に接触させて、研削によって変化する第2面50Dの高さを監視することにより、第2面50Dが予め定められた高さになるまで研削することができる。
また、第1面50Cの面積が予め定められた面積になるまで研削することができる。
このようにして、保持面500を研削することにより、
図3(c)に示すように、中央に円錐面の形状を有する第1面50Cを残しつつ、第1面50Cからつながる円錐台の側面の形状を有する第2面50Dを形成することができる。
【0029】
また、例えば、第1保持面形成工程において、
図4(a)に示すように、チャックテーブル5を-Y方向に傾けて第1回転軸35と第2回転軸55とが角θ3をなすようにするだけでなく、チャックテーブル5をX軸方向にも傾斜させてから、研削砥石340を保持面500に当接させて保持面500を研削することにより、ドーム状の第1面50Eを形成することができる。
その後、
図4(b)に示すように、さらに、チャックテーブル5を-Y方向に傾けて、第1回転軸35と第2回転軸55との間の角を、θ3よりも大きな角度を有するθ4にした後に、再び保持面500の研削を行うことにより、
図4(c)に示すような、ドーム状の第1面50Eにつながる円錐台の側面形状を有する第2面50Fを形成することができる。
なお、第1回転軸35と第2回転軸55との間の角をθ4にする際に、チャックテーブルをX軸方向にも傾けてもよい。
【0030】
以上のように、第1保持面形成工程と第2保持面形成工程とを順次行うことにより、円形の第1面と円環状の第2面とを形成することができる。これにより、保持面500の第1面と第2面とに被加工物Wを保持したときに、中心Oと被加工物Wとの間に隙間ができなくなり、保持面500の中央付近に位置している被加工物Wが研削されすぎてしまうという問題を解決することができる。
【0031】
なお、本発明にかかる保持面形成方法は、上記のような第1保持面形成工程と第2保持面形成工程とから構成されるものに限定されない。すなわち、第2保持面形成工程において第2面を形成した後に、例えば、チャックテーブル5をさらに傾けて、第1回転軸35と第2回転軸55とがなす角が、第2傾き関係のときの第1回転軸35と第2回転軸55とがなす角よりも大きな角度となるような第3傾き関係にしてから、第2面を研削することによって、第2面の外周に連なる第3面を形成することができる。同様にして、第4面、第5面、・・・というように、さらに複数の面を形成することも可能であり、被加工物Wを保持した際に、保持面500と被加工物Wの間の隙間ができるのをより確実に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0032】
1:研削装置 10:ベース 11:コラム 12:カバー 13:蛇腹
2:制御手段 3:研削手段 30:スピンドル 31:ハウジング
32:スピンドルモータ
33:マウント 34:研削ホイール 340:研削砥石 340b:研削砥石の下面
431:基台 35:第1回転軸 4:研削送り手段 40:ボールネジ
41:ガイドレール 42:Z軸モータ 43:昇降板 44:ホルダ 45:回転軸
5:チャックテーブル 50:吸引部 500:保持面 51:枠体 52:吸引路
53:吸引源 54:回転手段 55:第2回転軸
6:厚み測定手段 60:ウェーハ上面ハイトゲージ 61:保持面ハイトゲージ
62:算出手段 W:被加工物 Wa:被加工物の表面 O:保持面の中心
50A:平坦な第1面 50C:円錐面形状の第1面 50E:ドーム状の第1面
50B、50D、50F:円錐台の側面形状の第2面
θ1~θ4:第1回転軸と第2回転軸とがなす角