(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】長鎖ポリアミドに基づく発泡体材料の粒子
(51)【国際特許分類】
C08J 9/16 20060101AFI20240123BHJP
C08G 69/36 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C08J9/16 CFG
C08G69/36
(21)【出願番号】P 2021502880
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2019068716
(87)【国際公開番号】W WO2020016102
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-07
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】アーレルス,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヨップ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ライル,フランク
(72)【発明者】
【氏名】グートマン,ペーター
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0294910(US,A1)
【文献】国際公開第2011/134996(WO,A1)
【文献】特開昭59-078235(JP,A)
【文献】特開2016-188342(JP,A)
【文献】特表2016-532737(JP,A)
【文献】特表2016-521796(JP,A)
【文献】特表2019-529638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00- 9/42
B29C 44/00- 44/60、 67/20
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08F 6/00-246/00、301/00
C08G 69/00- 69/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
300kg/m
3未満の嵩密度を有し且つポリアミドに基づく発泡体粒子であって、次の成分:
(A) 15質量%~84質量%の少なくとも1種のラクタムと、
(B) 次の成分:
(B1) 少なくとも1種のC
32~C
40ダイマー酸および
(B2) 少なくとも1種のC
4~C
12ジアミン、
を含む、16質量%~85質量%のモノマー混合物(M)
とを重合させることによって得ることができる少なくとも1種のコポリアミドを85~100質量%含み、
前記モノマー混合物(M)が、前記モノマー混合物(M)の合計モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)を含み、前記成分(A)および(B)の総合計が100質量%であ
り、
前記コポリアミドが、ISO11357-2:2014に従い決定して、150~210℃の範囲の溶融温度(T
m
)を有する、発泡体粒子。
【請求項2】
85質量%~100質量%のコポリアミド、および0質量%~15質量%の添加剤からなる、請求項1に記載の発泡体粒子。
【請求項3】
30~250kg/m
3の範囲の嵩密度を有する、請求項1または2に記載の発泡体粒子。
【請求項4】
成分(A)が、3-アミノプロパノラクタム、4-アミノブタノラクタム、5-アミノペンタノラクタム、6-アミノヘキサノラクタム、7-アミノヘプタノラクタム、8-アミノオクタノラクタム、9-アミノノナノラクタム、10-アミノデカノラクタム、11-アミノウンデカノラクタム、および12-アミノドデカノラクタムからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の発泡体粒子。
【請求項5】
成分(B2)が、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミンおよびドデカメチレンジアミンからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の発泡体粒子。
【請求項6】
前記コポリアミドが、ISO11357-2:2014に従い決定して、20~50℃の範囲のガラス転移温度(T
g)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の発泡体粒子
。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の発泡体粒子を製造するための方法であって、以下の段階:
(a) ポリマーまたはポリマー混合物を提供する段階であって、前記ポリマーまたはポリマー混合物が次の成分:
(A) 15質量%~84質量%の少なくとも1種のラクタムと、
(B) 次の成分:
(B1) 少なくとも1種のC
32~C
40ダイマー酸および
(B2) 少なくとも1種のC
4~C
12ジアミン、
を含む、16質量%~85質量%のモノマー混合物(M)
とを重合させることによって得ることができる少なくとも1種のコポリアミドを85~100質量%含み、
前記モノマー混合物(M)が、前記モノマー混合物(M)の合計モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)を含み、前記成分(A)および(B)の総合計が100質量%である、段階、
(b) 前記ポリマーまたはポリマー混合物に、二酸化炭素、
または二酸化炭素および窒素の混合物を発泡剤として含浸させる段階、および
(c) 発泡剤含有ポリマーまたはポリマー混合物を発泡下で膨張させて発泡体粒子を得る段階、
を含む方法。
【請求項8】
段階(b)において、前記ポリマーまたはポリマー混合物のペレットに、オートクレーブ中18~25MPaの範囲の圧力で、180~250℃の範囲の温度で1~5時間、ガス状二酸化炭素、
または二酸化炭素および窒素の混合物を含浸させる、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
段階(b)において、前記ポリマーまたはポリマー混合物を溶融し、ポリマー溶融物に二酸化炭素、
または二酸化炭素および窒素の混合物を含浸させる、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の発泡体粒子を製造する方法であって、以下の工程:
(a) ポリマーまたはポリマー混合物を提供する段階であって、前記ポリマーまたはポリマー混合物が次の成分:
(A) 15質量%~84質量%の少なくとも1種のラクタムと、
(B) 次の成分:
(B1) 少なくとも1種のC
32~C
40ダイマー酸および
(B2) 少なくとも1種のC
4~C
12ジアミン、
を含む、16質量%~85質量%のモノマー混合物(M)
とを重合させることによって得ることができる少なくとも1種のコポリアミドを85~100質量%含み、
前記モノマー混合物(M)が、前記モノマー混合物(M)の合計モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)を含み、前記成分(A)および(B)の総合計が100質量%である、段階、
(b) 前記ポリマーまたはポリマー混合物を、各場合とも前記ポリマーまたはポリマー混合物に基づいて、0質量%~1質量%の核形成剤と一緒に溶融し、1質量%~3.5質量%の二酸化炭素、
または二酸化炭素および窒素の混合物を発泡剤として含浸させる段階、および
(c) 発泡剤含有ポリマー溶融物を、穿孔プレートを通して200℃と280℃の間の温度でペレット化チャンバ内に押出す段階、および
(d) 膨張した発泡体粒子をペレット化チャンバから排出し、5~90℃の温度の水が、周囲圧力より0.1バール~20バール高い圧力でペレット化チャンバを通って流れる段階、
を含む方法。
【請求項11】
使用される前記コポリアミドが、DIN EN ISO15512:2017-03に従い決定して、0.05質量%~1.0質量%の範囲の水含有量を有する、請求項
7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
自動車産業、風力発電産業、建築産業、包装産業、スポーツおよびレジャー産業のための、輸送におけるおよび/または建造における、発泡体成形品の製造に、請求項1から
6のいずれか1項に記載の発泡体粒子を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドに基づき、少なくとも1種の長鎖コポリアミドを85質量%~100質量%含む発泡体粒子に関するものであり、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WO2011/134996は、膨張ポリアミドを得るために予備発泡で発泡させることができ、且つ自動車産業、航空産業、建設産業、包装産業、スポーツおよびレジャー産業において、輸送においておよび/または建造において使用するための粒子発泡体の製造に適した、膨張性ポリアミドに基づくペレットを記載している。
【0003】
US2007/036967はとりわけ、ナイロン-6ペレットとポリカーボネートペレットの混合物を二軸押出機で押出し、その後続いて水中ペレット化することによって得られると言われる、600kg/m3の密度を有する硬質膨張ポリアミドペレットを記載している。
【0004】
JP7179645は、1~5質量部の水を含有するポリアミドの溶融押出、続くストランドペレット化によって得られる、円筒形の高密度ポリアミド発泡体粒子を記載している。
【0005】
WO2014/198779は、DIN EN ISO527-2により測定した破断点伸びが100%を超える熱可塑性エラストマーから膨張ペレットを製造する方法を記載しており、この方法は、(a)発泡剤を含むポリマー溶融物を、150℃と280℃の間の温度に制御された穿孔ディスクを通してペレット化チャンバ内へ押す工程と、b)切断装置を使用し、穿孔ディスクを通して押したポリマー溶融物を個々の膨張ペレットに細断する工程と、c)液体流を使用してペレット化チャンバからペレットを排出する工程とを含み、発泡剤がCO2またはN2またはCO2とN2との組合せを含み、発泡剤を含むポリマー溶融物中の発泡剤の量が0.5質量%~2.5質量%の範囲にあり、150℃と280℃の間の温度に制御され且つ圧力が周囲圧力よりも0.1バール~20バール高い液体流がペレット化チャンバを横断し、ペレット化チャンバ内の液体の圧力および温度、並びに穿孔ディスクの温度が、加圧液体中でペレットが含有する発泡剤によってペレットが膨張して連続表皮を有する膨張ペレットが製造されるように選択される。使用される熱可塑性エラストマーの1つは、ポリエーテルコポリアミド(PEBA)である。
【0006】
WO2017/013510は、改善された溶剤耐性および40~700kg/m3の密度を有し、50~90質量%の半結晶性ポリマーおよび10~50質量%のポリフェニレンエーテルから形成される発泡した材料を記載している。使用される半結晶性ポリマーは、ポリアミド、ポリエステルおよびポリオレフィンであってよい。発泡体は、押出機中でポリマー溶融物に発泡剤を含浸させることによって得られる。
【0007】
WO2016/030333はとりわけ、ポリエーテル-ブロック-アミド(PEBA)およびナイロン-12に基づく膨張粒子を、ポリマー溶融物の押出およびCO2での含浸、続く水中ペレット化によって製造する方法を記載している。非晶質画分は、鎖延長剤、例えば反応性エポキシ基を有するスチレンアクリレートを加えることによって増加する。
【0008】
WO2018/050487は、少なくとも1種のコポリアミドを含むポリマーフィルムを記載しており、コポリアミドは、15質量%~84質量%の少なくとも1種のラクタム、および16質量%~85質量%の、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸と少なくとも1種のC4~C12ジアミンとを含むモノマー混合物を重合させることによって調製されている。
【0009】
半結晶性ポリマー、例えばポリアミドまたはポリエステルは、その高い化学的安定性、熱安定性および応力亀裂耐性により、粒子発泡体にとって興味深いものである。しかしながら半結晶性ポリマーの場合、均質な発泡体構造および機械的特性を有する発泡体をもたらすための発泡の処理ウィンドウ(processing window)は小さすぎる。鎖延長剤および/または架橋剤などの添加剤の添加は、機械的特性に悪影響を与える可能性がある。溶融粘度を調整するために充填剤を添加すると、一般的には高密度となり、発泡体の脆化につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO2011/134996
【文献】US2007/036967
【文献】JP7179645
【文献】WO2014/198779
【文献】WO2017/013510
【文献】WO2016/030333
【文献】WO2018/050487
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って本発明の目的は、ポリアミドに基づく発泡体粒子およびその製造方法を提供することであり、これは、添加剤がなくても、特に鎖延長剤または高い割合の充填剤がなくても処理が可能であり、密度が低く且つ機械的特性が良好な発泡体をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、300kg/m3未満の嵩密度を有し且つポリアミドに基づく発泡体粒子であって、次の成分:
(A) 15質量%~84質量%の少なくとも1種のラクタムと、
(B) 次の成分:
(B1) 少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸および
(B2) 少なくとも1種のC4~C12ジアミン、
を含む、16質量%~85質量%のモノマー混合物(M)
とを重合させることによって得ることができる少なくとも1種のコポリアミドを85~100質量%含む、発泡体粒子によって達成され、
モノマー混合物(M)は、モノマー混合物(M)の合計モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)を含み、成分(A)および(B)の総合計は100質量%である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましくは、発泡体粒子は、以下に記載するコポリアミドの85質量%~100質量%、および0質量%~15質量%の添加剤、例えば核形成剤、染料、顔料、充填剤、難燃剤、難燃剤相乗剤、帯電防止剤、安定剤(例えば、加水分解安定剤)、界面活性化物質、可塑剤および赤外線不透明剤(infrared opacifiers)からなる。
【0014】
さらに好ましくは、発泡体粒子は、98質量%~99.9質量%の以下に記載するコポリアミド、および0.1質量%~2質量%の核形成剤、特にタルクからなる。
【0015】
発泡体粒子は、300kg/m3未満、好ましくは30~250kg/m3の範囲、さらに好ましくは40~200kg/m3の範囲、および最も好ましくは80~150kg/m3の範囲の嵩密度を有する。
【0016】
コポリアミド
本発明によれば、コポリアミドは、次の成分:
(A) 15質量%~84質量%の少なくとも1種のラクタムと、
(B) 次の成分:
(B1) 少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸および
(B2) 少なくとも1種のC4~C12ジアミン、
を含む、16質量%~85質量%のモノマー混合物(M)
とを重合させることによって調製され、
モノマー混合物(M)は、モノマー混合物(M)の合計モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)を含み、成分(A)および(B)の総合計は100質量%である。
【0017】
コポリアミドは、好ましくは、40質量%~83質量%の成分(A)および17質量%~60質量%の成分(B)、さらに好ましくは60質量%~80質量%の成分(A)および20質量%~40質量%の成分(B)を重合させることによって調製されている(成分(A)および(B)の総合計は100質量%である)。
【0018】
成分(A)および(B)は、触媒の存在下で重合させてよい。好ましい触媒は、リン化合物、例えば、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、トリフェニルホスフィンまたはトリフェニルホスファイトである。
【0019】
成分(A)および(B)の重合はコポリアミドを形成し、従って成分(A)に由来する構造単位および成分(B)に由来する構造単位を含む。成分(B)に由来する構造単位は、成分(B1)および(B2)、および任意に成分(B3)に由来する構造単位を含む。
【0020】
コポリアミドは、好ましくはランダムコポリマーである。
【0021】
一般に、コポリアミドは、ISO11357-2:2014に従い決定して、20~50℃の範囲、好ましくは23~47℃の範囲、および特に好ましくは25~45℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0022】
一般に、コポリアミドは、ISO11357-2:2014に従い決定して、150~210℃の範囲、好ましくは160~205℃の範囲、および特に好ましくは160~200℃の範囲の溶融温度(Tm)を有する。
【0023】
コポリアミドは一般に、1:1の質量比のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中0.5質量%のコポリアミド溶液で決定して、150~300ml/gの範囲、好ましくは160~290ml/gの範囲、およびさらに好ましくは170~280ml/gの範囲の粘度数(VN)を有する。
【0024】
成分(A)
本発明によれば、成分(A)は少なくとも1種のラクタムである。本発明の文脈において、「ラクタム」とは、環内に好ましくは4~12個の炭素原子、さらに好ましくは5~8個の炭素原子を有する環状アミドを意味すると理解される。
【0025】
適したラクタムは、例えば、3-アミノプロパノラクタム(プロピオ-3-ラクタム;β-ラクタム;β-プロピオラクタム)、4-アミノブタノラクタム(ブチロ-4-ラクタム;γ-ラクタム;γ-ブチロラクタム)、アミノペンタノラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、6-アミノヘキサノラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタノラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノラクタム)、8-アミノオクタノラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-ラクタム;η-オクタノラクタム)、9-アミノノナノラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノラクタム)、10-アミノデカノラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノラクタム)、11-アミノウンデカノラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノラクタム)および12-アミノドデカノラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)からなる群から選択される。
【0026】
ラクタムは、非置換または少なくとも単置換である。少なくとも単置換のラクタムが使用される場合、その窒素原子および/または環炭素原子は、C1-~C10-アルキル、C5-~C6-シクロアルキル、およびC5-~C10-アリールからなる群から互いに独立して選択される1つ、2つ、またはそれ以上の置換基を有する。
【0027】
適したC1-~C10-アルキル置換基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルである。適したC5-~C6-シクロアルキル置換基は、例えばシクロヘキシルである。好ましいC5-~C10-アリール置換基は、フェニルまたはアントラニルである。
【0028】
非置換のラクタムを用いることが好ましく、γ-ラクタム(γ-ブチロラクタム)、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が好ましい。δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が特に好ましく、ε-カプロラクタムが特に好ましい。
【0029】
モノマー混合物(M)
本発明によれば、成分(B)はモノマー混合物(M)である。モノマー混合物(M)は、成分(B1)、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸、および(B2)、少なくとも1種のC4~C12ジアミンを含む。
【0030】
モノマー混合物(M)は、モノマー混合物(M)の合計モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)、好ましくは47~53モル%の範囲の成分(B1)および47~53モル%の範囲の成分(B2)、さらに好ましくは49~51モル%の範囲の成分(B1)および49~51モル%の範囲の成分(B2)を含む。
【0031】
成分(B)は、成分(B3)、少なくとも1種のC4~C20二酸をさらに含んでよい。
【0032】
成分(B)が成分(B3)をさらに含む場合、成分(B)は、各場合とも成分(B)の合計モル量に基づいて、45~54.9モル%の範囲の成分(B1)、45~55モル%の範囲の成分(B2)および0.1~10モル%の範囲の成分(B3)を含むことが好ましい。
【0033】
成分(B)が成分(B3)をさらに含む場合、成分(B1)、(B2)および(B3)のモル百分率は、通常は合計で100モル%になる。
【0034】
モノマー混合物(M)は、水をさらに含んでよい。
【0035】
成分(B1)
本発明によれば、成分(B1)は、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸である。本発明の文脈において、「少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸」とは、厳密に1種のC32~C40ダイマー酸か、または2種以上のC32~C40ダイマー酸の混合物のいずれかを意味する。C32~C40ダイマー酸は、例えば、不飽和脂肪酸、例えば、不飽和C16脂肪酸、不飽和C18脂肪酸および不飽和C20脂肪酸を二量体化することによって得ることができる。
【0036】
成分(B1)は、特に好ましくは、少なくとも1種のC36ダイマー酸である。C36ダイマー酸は、好ましくは、不飽和C18脂肪酸から進めて調製される。C36ダイマー酸は、さらに好ましくは、ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)およびリノール酸((9Z、12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択されるC18脂肪酸から進めて調製される。不飽和脂肪酸からの成分(B1)の調製は、さらに三量体酸を形成することができ、未反応の不飽和脂肪酸の残留物も残ることがある。
【0037】
好ましくは本発明によれば、成分(B1)は、各場合とも成分(B1)の合計質量に基づいて、最大で0.5質量%の未反応の不飽和脂肪酸、および最大で0.5質量%のトリマー酸、さらに好ましくは最大で0.2質量%の未反応の不飽和脂肪酸および最大で0.2質量%のトリマー酸を含む。
【0038】
使用するダイマー酸は市販品として入手可能である。例には、Oleon社のRadiacid0970、Radiacid0971、Radiacid0972、Radiacid0975、Radiacid0976、およびRadiacid0977、Croda社のPripol1006、Pripol1009、Pripol1012、およびPripol1013、BASF SE社のEmpol1008、Empol1012、Empol1061、およびEmpol1062、並びにArizona Chemical社のUnidyme10およびUnidyme Tlが含まれる。
【0039】
成分(B1)は一般に、190~200mg KOH/gの範囲の酸価を有する。
【0040】
成分(B2)
本発明によれば、成分(B2)は、少なくとも1種のC4~C12ジアミンである。本発明の文脈において、「少なくとも1種のC4~C12ジアミン」とは、厳密に1種のC4~C12ジアミンか、または2種以上のC4~C12ジアミンの混合物のいずれかを意味する。
【0041】
適した成分(B2)の例は、1,4-ジアミノブタン(ブタン-1,4-ジアミン;テトラメチレンジアミン;プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン;ペンタン-1,5-ジアミン;カダベリン)、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン;ヘキサン-1,6-ジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)、1,11-ジアミノウンデカン(ウンデカメチレンジアミン)および1,12-ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)からなる群から選択される。
【0042】
好ましくは、成分(B2)は、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミンおよびドデカメチレンジアミンからなる群から選択される。
【0043】
成分(B3)
本発明によれば、成分(B)に存在する任意の成分(B3)は、少なくとも1種のC4~C20二酸である。本発明の文脈において、「少なくとも1種のC4~C20二酸」とは、厳密に1種のC4~C20二酸か、または2種以上のC4~C20二酸の混合物のいずれかを意味する。
【0044】
適した成分(B3)の例は、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸およびヘキサデカン二酸からなる群から選択される。
【0045】
好ましくは、成分(B3)は、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、デカン二酸(セバシン酸)およびドデカン二酸からなる群から選択される。
【0046】
本発明はまた、請求項1から6のいずれか1項に記載の発泡体粒子を製造するための方法であって、以下の段階:
(a) ポリマーまたはポリマー混合物を提供する段階であって、ポリマーまたはポリマー混合物が次の成分:
(A) 15質量%~84質量%の少なくとも1種のラクタムと、
(B) 次の成分:
(B1) 少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸および
(B2) 少なくとも1種のC4~C12ジアミン、
(B) 任意に少なくとも1種のC4~C20二酸、
を含む、16質量%~85質量%のモノマー混合物(M)
とを重合させることによって得ることができる少なくとも1種のコポリアミドを85~100質量%含み、
モノマー混合物(M)が、モノマー混合物(M)の合計モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)を含み、成分(A)および(B)の総合計が100質量%である、段階、
(b) ポリマーまたはポリマー混合物に、二酸化炭素、窒素またはそれらの混合物を発泡剤として含浸させる段階、および
(c) 発泡剤含有ポリマーまたはポリマー混合物を発泡下で膨張させて発泡体粒子を得る段階、
を含む方法を提供する。
【0047】
1つの可能な方法の変形では、段階(b)において、ポリマーまたはポリマー混合物のペレットに、オートクレーブ中18~25MPaの範囲の圧力で、180~250℃の範囲の温度で1~5時間、ガス状二酸化炭素、窒素またはそれらの混合物を含浸させる。
【0048】
代替の方法の変形では、段階(b)において、ポリマーまたはポリマー混合物を溶融し、ポリマー溶融物に二酸化炭素、窒素またはそれらの混合物を含浸させる。
【0049】
好ましい方法は、以下の工程:
(a) ポリマーまたはポリマー混合物を提供する段階であって、ポリマーまたはポリマー混合物が次の成分:
(A) 15質量%~84質量%の少なくとも1種のラクタムと、
(B) 次の成分:
(B1) 少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸および
(B2) 少なくとも1種のC4~C12ジアミン、
(B) 任意に少なくとも1種のC4~C20二酸、
を含む、16質量%~85質量%のモノマー混合物(M)
とを重合させることによって得ることができる少なくとも1種のコポリアミドを85~100質量%含み、
モノマー混合物(M)が、モノマー混合物(M)の合計モル量に基づいて、45~55モル%の範囲の成分(B1)および45~55モル%の範囲の成分(B2)を含み、成分(A)および(B)の総合計が100質量%である、段階、
(b) ポリマーまたはポリマー混合物を、各場合ともポリマーまたはポリマー混合物に基づいて、0質量%~1質量%、好ましくは0.1質量%~0.7質量%の核形成剤と一緒に溶融し、1質量%~3.5質量%、好ましくは1.5~2.5質量%の二酸化炭素、窒素またはそれらの混合物を発泡剤として含浸させる段階、および
(c) 発泡剤含有ポリマー溶融物を、穿孔プレートを通して200℃と280℃の間の温度でペレット化チャンバ内に押出す段階、および
(d) 膨張した発泡体粒子をペレット化チャンバから排出し、5~90℃の温度の水が、周囲圧力より0.1バール~20バール高い圧力でペレット化チャンバを通って流れる段階、
を含む。
【0050】
驚くべきことに、発泡剤が最大量の場合に予想されるような最低の嵩密度は得られないが、発泡剤の量が3.5質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、および特に2質量%以下の場合、嵩密度が特に低くなることが見出された。発泡剤の量が1質量%未満の場合、同様に嵩密度が上昇する。ここで、それぞれの質量割合は、発泡剤がその中に存在するポリマー溶融物の総質量に基づく。
【0051】
使用される発泡剤の最適量は、使用される熱可塑性ポリマーおよび発泡剤の組成に依存し、一般に1質量%と3.5質量%の間である。さらに好ましくは、二酸化炭素および窒素の発泡剤混合物が、ポリマーまたはポリマー混合物に基づいて、1質量%~3.5質量%、好ましくは1.5質量%~2.5質量%の範囲の量で使用される。
【0052】
前述の方法で使用するコポリアミドは、好ましくは、0.05質量%~1.0質量%の範囲の水含有量を有する。使用するポリアミドの水含有量は、DIN EN ISO15512:2017-03に従い決定することができる。水含有量が約1質量%の場合、コポリアミドを予備乾燥しなければならない。
【0053】
本発明の方法において、さらなる添加剤、例えば染料、顔料、充填剤、難燃剤、難燃剤相乗剤、帯電防止剤、安定剤(例えば、加水分解安定剤)、界面活性物質、可塑剤および赤外線不透明剤を、慣用の量で、ポリマーまたはポリマー混合物に加えることが可能である。
【0054】
熱伝導率への放射の寄与を低減するための適した赤外線不透明剤は、例えば、金属酸化物、非金属酸化物、金属粉末、例えばアルミニウム粉末、炭素、例えばカーボンブラック、グラファイトまたはダイヤモンド、有機染料および染料顔料である。赤外線不透明剤の使用は、特に高温での用途に有利である。特に好ましい赤外線不透明剤は、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄または二酸化ジルコニウムである。上記の材料は、個別にか、または組み合わせて、すなわち複数の材料から構成される混合物の形態で使用することができる。充填剤が使用される場合、これらは無機および/または有機であってよい。
【0055】
充填剤が存在する場合、これらは、例えば、有機および無機粉末または繊維状材料およびそれらの混合物である。使用される有機充填剤は、例えば、木粉、デンプン、亜麻繊維、麻繊維、ラミー繊維、ジュート繊維、サイザル繊維、綿繊維、セルロース繊維またはアラミド繊維であってよい。適した無機充填剤の例には、シリケート、重晶石、ガラスビーズ、ゼオライト、金属および金属酸化物が含まれる。粉状無機物質、例えばチョーク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミニウムニトレート、アルミニウムシリケート、バリウムスルフェート、カルシウムカーボネート、カルシウムスルフェート、シリカ、石英粉、エアロシル、アルミナ、マイカまたはウォラストナイト、またはビーズまたは繊維の形態の無機物質、例えば、鉄粉、ガラスビーズ、ガラス繊維または炭素繊維などの使用が特に好ましい。平均粒子径、または繊維状フィラーの場合は繊維の長さは、セルサイズ以下の領域でなければならない。0.1~100μmの範囲、特に1~50μmの範囲の繊維の平均粒子径または平均長さが好ましい。
【0056】
適した難燃剤は、例えば、トリクレジルホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェートおよびテトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェートである。すでに述べたハロゲン置換ホスフェートとは別に、無機難燃剤を、赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、三酸化ヒ素、アンモニウムポリホスフェートおよびカルシウムスルフェート、またはシアヌル酸誘導体、例えばメラミンまたは少なくとも2種の難燃剤、例えばアンモニウムホスフェートおよびメラミンの混合物、および任意にデンプンおよび/または膨張性グラファイトの形態で使用して、製造された発泡した熱可塑性ポリマーを難燃性にすることも可能である。一般に、発泡剤含有システムの合計質量に基づいて、0質量%~50質量%、好ましくは5質量%~25質量%の難燃剤または難燃剤混合物を使用することが適切であることが見出されている。
【0057】
ポリマー溶融物をペレット化チャンバに注入する前に、ポリマー溶融物をCO2発泡剤またはCO2およびN2の混合物と混合する。さらに、ポリマー溶融物に共発泡剤を加えることが可能である。使用する共発泡剤は、アルカン、例えばエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ハロゲン化炭化水素またはHCFC、またはそれらの混合物であってよい。発泡剤としてCO2またはCO2およびN2の混合物を単独で使用することは、これらが不燃性であり、製造中に爆発の危険を生じる雰囲気が存在しない不活性ガスであるので、特に有利である。これにより、コストのかかる安全対策が不要になり、製造における潜在的なリスクが大幅に軽減される。同様に、揮発性の可燃性物質が気化するため、製品の保管期限が不要であることも有利である。
【0058】
1種以上の核形成剤が発泡剤含有ポリマー溶融物にさらに加えられる場合、さらなる利点が生じる。適した核形成剤は、特にタルク、フッ化カルシウム、ナトリウムフェニルホスフィネート、および細かく分割されたポリテトラフルオロエチレンであり、それぞれ個別であるか、または任意の所望の混合物中にある。核形成剤は、さらに好ましくはタルクである。ポリマー溶融物の合計質量に基づく核形成剤の割合は、好ましくは0.1質量%~2質量%、特に0.2質量%~0.8質量%である。
【0059】
水圧の上昇は一般に、嵩密度を低下させ、さらに狭い粒子径分布を有するさらに均質な生成物をもたらす。
【0060】
穿孔プレートを離れた後の、ペレット中に存在する発泡剤は膨張させて、適した液体冷却剤、一般に水または水性混合物と接触させ、水または水性混合物に懸濁した膨張した発泡体粒子が得られる。
【0061】
膨張した発泡体粒子は、慣用の態様で、例えばメッシュスクリーンまたは湾曲したスクリーンで例えば濾過することによって、または通常は連続遠心分離機によって、水流から分離する。
【0062】
工程(d)の後に得られる膨張した発泡体粒子は、通常は5~300kg/m3、好ましくは30~200kg/m3、およびさらに好ましくは40~150kg/m3の嵩密度を有する。
【0063】
膨張した発泡体粒子は一般に、少なくともほぼ球形である。直径は、開始ペレットの選択された粒子質量および生成される嵩密度に依存する。しかし発泡体粒子は、通常は1~30mm、好ましくは3.5~25mm、および特に4.5~20mmの直径を有する。
【0064】
非球形、例えば伸長した(elongate)、円筒形のまたは楕円形の発泡体粒子の場合、直径は最長の寸法を意味する。
【0065】
発泡体粒子には帯電防止剤が施されていることがある。好ましい実施形態では、これはコーティングによって達成される。
【0066】
本発明により製造される膨張した発泡体粒子は、当業者に既知の方法によって発泡した造形体(発泡体)を製造するために使用することができる。
【0067】
例えば、膨張した発泡体粒子は、連続法またはバッチ方式で、接着剤、例えば文献から既知のポリウレタンまたはエポキシ接着剤を用いて、互いに結合することができる。
好ましくは、本発明の発泡体粒子は、閉鎖型内で互いに熱溶着される。この目的のため、発泡体粒子を型に導入し、型を閉じた後に温度を導入し、この結果、発泡体粒子が互いに溶着して、好ましくは5~300kg/m3の範囲の密度を有する発泡体が形成される。発泡体は、半製品、例えば、スラブ、プロファイルまたはシート、または単純な若しくは複雑な形状を有する完成した造形品であってよい。よって「発泡体」という用語には、半製品の発泡体製品および発泡体成形品も含まれる。
【0068】
非常に特に好ましい実施形態では、成形品は、当業者に既知の「VARIOTHERM」法によって溶着される。これは、膨張した粒子を型内で圧縮し、次いで熱媒体を使用して型の壁を加熱し、粒子が互いに溶着するまで所望の温度に保持することを伴う。その後続いて、冷却媒体に型の壁を通過させることによって、溶着した粒子を急速に冷却し、崩壊を防いで完成した構成要素を取り出すことができる。
【0069】
我々は、PA6.6.36に基づく膨張した発泡体粒子から作られた成形品が、驚くほど硬質であることを見出した。
【0070】
よってこれらの成形品は、優れた引張強度および圧縮強度、十分に低い圧縮残留歪みおよび許容可能な熱安定性を示すので、スポーツおよびレジャー分野における対応する適用向けに、例えばテニスラケットのフレーム、スキーまたはスノーボードのコア材料、水上スポーツの設備、ゴルフクラブ、自転車のフレーム、おもちゃ、モデル建造に、包装または自動車産業において、および産業用途向けに、使用可能である。これらの成形品は、複合材料のコア材料として、自動車建造の絶縁材料として、例えば電池の絶縁材に、特に適している。造形体は、造船、航空宇宙建造、風力タービン建造、鉄道および道路車両建造におけるサンドイッチ建造のコア材料としても適している。それらは、例えば、自動車車両部品、例えばトランクベース、荷物棚、車体補強材、クラッシュパッドおよびサイドドアトリムなどの製造に役立つ。
【0071】
従って本発明は、自動車産業、風力発電産業、建築産業、包装産業、スポーツおよびレジャー産業、輸送および/または建造のための発泡体成形品の製造に、本発明の発泡体粒子を使用する方法を提供する。
【実施例】
【0072】
使用した原材料:
PA6.6/36 Ultramid RX2240、BASF SE社の高粘度コポリアミド、ISO3146による融点199℃、ISO1183による密度1.1g/cm3
PA6 BASF SE社のUltramid(登録商標)B27、ナイロン-6
タルク Mondo Minerals社のIT Extra microscale talc
【0073】
試験法:
嵩密度は、DIN ISO697:1984-01に従い、500mlの容器に膨張した粒子を入れ、天びんを使用して質量を決定することにより決定した。
【0074】
使用したポリアミドの水含有量は、DIN EN ISO15512:2017-03に従い決定した。
【0075】
実施例1:溶融物押出
0.134質量%の水含有量を有する99.5質量部のPA6.6/36ポリアミドを、二軸押出機(軸直径18mm、長さ/直径(L/D)比=40)中250℃で溶融し、0.5質量部のタルクと混合した。その後続いて、CO2またはCO2/N2の混合物を発泡剤として溶融物に計り入れ、均一に混合して、穿孔プレート(穴直径1mm)を通して押出した。穿孔プレートは、加熱カートリッジによって電気的に加熱し、280℃または240℃の温度に保った。押出したストランドは、1MPaの圧力で水中ペレット化(UWP)によりペレット化し、回転ブレードリングに固定された10枚のブレードを用いて、平均直径2mmおよび平均質量2mgを有する発泡体粒子を得た。
【0076】
ポリマー溶融物に加えた発泡剤の量(100部のポリアミド/タルク溶融物に基づく)、発泡剤を含んだ溶融物と穿孔プレートの温度、および得られた発泡体粒子の嵩密度を表1にまとめる。
【0077】
【0078】
実施例2および比較実験:オートクレーブ法
20個のPA6.6/36ペレットを従来のステンレス鋼茶漉しに導入し、高圧オートクレーブに入れた。オートクレーブを閉じ、CO2またはN2を20MPaの圧力で注入し、180~235℃の範囲の温度で3時間含浸を行った。その後続いて、ボールバルブを開くことにより、オートクレーブを唐突に減圧した。オートクレーブを室温まで冷却した後、発泡したポリアミド粒子を取り出した。
【0079】
含浸条件および発泡特性を表2にまとめる。
【0080】
【0081】
PA6/6.36が押出機中で処理される210~250℃の温度範囲では、粘度は実質的に一定であった。これにより、より安定した粒子発泡体が得られた。対照的に、PA6の場合、粘度は上記の温度範囲内に有意に収まった。