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特許7425123新規な化合物、これを含む感光性樹脂組成物、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー
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  • 特許-新規な化合物、これを含む感光性樹脂組成物、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】新規な化合物、これを含む感光性樹脂組成物、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー
(51)【国際特許分類】
   C09B 57/00 20060101AFI20240123BHJP
   C07D 259/00 20060101ALI20240123BHJP
   C07D 257/00 20060101ALI20240123BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240123BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240123BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20240123BHJP
【FI】
C09B57/00 X CSP
C07D259/00
C07D257/00
G03F7/004 505
G02B5/20 101
H01L31/02 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022114700
(22)【出願日】2022-07-19
(65)【公開番号】P2023016736
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0097266
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】楊 叡 知
(72)【発明者】
【氏名】金 善 大
(72)【発明者】
【氏名】李 英
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲さい▼ 赫
(72)【発明者】
【氏名】金 二 柱
(72)【発明者】
【氏名】朴 白 晟
(72)【発明者】
【氏名】趙 明 鎬
(72)【発明者】
【氏名】馮 新 惠
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0028564(KR,A)
【文献】特表2019-532145(JP,A)
【文献】特表2019-532918(JP,A)
【文献】国際公開第2011/087521(WO,A1)
【文献】特開2023-001891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 57/00
C07D 201/00-521/00
G03F 7/00-7/42
G02B 5/00-5/32
H01L 31/00-31/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】

前記化学式1中、
AおよびBは、それぞれ独立して、コア-シェル構造からなる化合物であり、
前記コア-シェル構造のコアは、下記化学式1-1で表される基であり、
前記コア-シェル構造のシェルは、下記化学式2-1または化学式2-2で表される化合物であり、
前記化学式1中のLは、下記化学式3で表される基であり、
【化2】

前記化学式1-1中、
~Rは、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、0≦n1+n2≦5であり、
*は、連結部位であり、
【化3】

前記化学式2-1および前記化学式2-2中、
~Lは、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
【化4】

前記化学式3中、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、エーテル基(*-O-*)、*-OC(=O)-*、*-C(=O)O-*、*-O(C=O)NH-*、*-NHC(=O)O-*、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、または下記化学式L-1で表される基であり、
【化5】

前記化学式L-1中、
は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n3は、1~10の整数であり、
前記化学式3および前記化学式L-1中の*は、連結部位である。
【請求項2】
前記化学式1-1中のR~Rのうちの少なくとも1つは、末端に(メタ)アクリレート基を含む基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式3中のLおよびLは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20のアリーレン基であり、
前記化学式1中のRは、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化学式3中のLおよびLは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基であり、
前記化学式1中のRは、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化学式3中のLおよびLは、それぞれ独立して、単結合、エーテル基(*-O-*)、*-OC(=O)-*、*-C(=O)O-*、*-O(C=O)NH-*、*-NHC(=O)O-*、または前記化学式L-1で表される基である、請求項3または4に記載の化合物。
【請求項6】
前記化学式3中のLは、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または前記化学式L-1で表される基である、請求項3または4に記載の化合物。
【請求項7】
前記化学式2-1および前記化学式2-2中のL~Lは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記シェルは、下記化学式2-1-1または下記化学式2-2-1で表される化合物である、請求項7に記載の化合物。
【化6】
【請求項9】
前記シェルは、6.5Å~7.5Åのケージ幅を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記コアの長さは、1nm~3nmである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記コアは、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式A-1~化学式E-1で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の化合物:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

前記化学式A-1~化学式E-1中、
~Rは、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、
およびLは、それぞれ独立して、*-OC(=O)-*または*-C(=O)O-*であり、
10およびL11は、それぞれ独立して、*-O(C=O)NH-*または*-NHC(=O)O-*であり、
12は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、0≦n1+n2≦5であり、
mは、2~20の整数である。
【請求項13】
前記化学式1中のAおよびBは、それぞれ独立して、前記コアおよび前記シェルを1:1のモル比で含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記化学式1で表される化合物は、緑色染料である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項16】
バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含む、請求項15に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
顔料をさらに含む、請求項16に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項18】
マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基もしくは(メタ)アクリロイルオキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項16に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項19】
請求項15に記載の感光性樹脂組成物を硬化してなるカラーフィルター。
【請求項20】
請求項19に記載のカラーフィルターを含む、CMOSイメージセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、新規な化合物、これを含む感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を硬化してなるカラーフィルター、および該カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、先端情報通信処理技術および電子産業全般の急激な発達により、多量の情報を迅速に送受信できる次世代の検出器に対する必要性と、新しい概念の素子およびシステムの開発とが要求されている。このような中、最近、電子技術の注目すべき発達、特にICの線幅のナノサイズ化、各種半導体部品の高性能化という技術の急進展の中で未来型イメージセンサー技術の開発が多角的に進められている。特に、携帯端末の動画処理などが台頭しながら、超小型化、超節電型の映像イメージセンサの技術は既存のCCD(Charge Coupled Device)とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductoructor)とを中心に急速に開発に拍車を加えている。
【0003】
イメージセンサーは、光子を電子に変換してディスプレイで表示したり保存装置に保存できるようにする半導体であり、受光信号を電気信号に変換させる受光素子、変換された電気信号を増幅および圧縮するピクセル回路部分、および前処理されたアナログ信号をデジタルに変換してイメージ信号を処理するASIC部分から構成され、CCD、CMOS、CIS(Contact Image Sensor)などの種類がある。
【0004】
CCDおよびCMOSイメージセンサーは、同一の受光素子を使用しているが、CCDイメージセンサーの場合、受光部で発生した電荷が一列に連結されたMOSキャパシタ(MOS Capacitor)を経て、順次に移動して最終端に連結されたソースフォロワ(Source Follower)で電圧に変換される。一方、CMOSイメージセンサーは、それぞれのピクセル(Pixel)内部に内蔵されたソースフォロワ(Source Follower)で電荷が電圧に変わって、外部に出力される。より具体的にみると、光により発生した電子を、そのままゲートパルスを利用して出力部まで移動させるのがCCDイメージセンサーであり、光により発生した電子を各画素内で電圧に変換した後、多くのCMOSスイッチを通じて出力するのがCMOSイメージセンサーである。このようなイメージセンサーの適用分野は、デジタルカメラ、携帯電話など家庭用製品だけでなく、病院で使用する内視鏡、地球の周を回っている人工衛星の望遠鏡に至るまで非常に広範囲である。
【0005】
一方、顔料を含む感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターでは、顔料粒子の大きさによる輝度および明暗比の限界が存在する。また、イメージセンサー用カラー撮像素子の場合には、微細なパターンの形成のために、より小さい分散粒度が要求される。このような要求に応えるために、顔料の代わりに粒子を形成しない染料を導入して、染料に適した感光性樹脂組成物を製造して輝度および明暗比が改善されたカラーフィルターを実現しようとする試みがある。しかし、染料の場合、顔料に比べて耐光性および耐熱性などの耐久性が劣り、輝度の低下が憂慮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2002-540279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、耐薬品性および耐熱性に優れた新規な染料化合物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記の新規な染料化合物を含む感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、上記感光性樹脂組成物から製造されるカラーフィルターを提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、上記カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1中、
AおよびBは、それぞれ独立して、コア-シェル構造からなる化合物であり、
前記コア-シェル構造のコアは、下記化学式1-1で表される基であり、
前記コア-シェル構造のシェルは、下記化学式2-1または化学式2-2で表される化合物であり、
前記化学式1中のLは、下記化学式3で表される基であり、
【0014】
【化2】
【0015】
前記化学式1-1中、
~Rは、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、0≦n1+n2≦5であり、
【0016】
【化3】
【0017】
前記化学式2-1および前記化学式2-2中、
~Lは、それぞれ独立して、単結合または置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
【0018】
【化4】
【0019】
前記化学式3中、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、エーテル基(*-O-*)、*-OC(=O)-*、*-C(=O)O-*、*-O(C=O)NH-*、*-NHC(=O)O-*、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、または下記化学式L-1で表される基であり、
【0020】
【化5】
【0021】
前記化学式L-1中、
は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n3は、1~10の整数であり、
前記化学式3および前記化学式L-1中の*は、連結部位である。
【0022】
上記化学式1中のR~Rのうちの少なくとも1つは、末端に(メタ)アクリレート基を含む基であることができる。
【0023】
上記化学式3中のLおよびLは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基であり、上記化学式1-1中のRは、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基であり得る。
【0024】
上記化学式3中のLおよびLは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基であり、上記化学式1-1中のRは、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり得る。
【0025】
上記化学式3中のLおよびLは、それぞれ独立して、単結合、エーテル基(*-O-*)、*-OC(=O)-*、*-C(=O)O-*、*-O(C=O)NH-*、*-NHC(=O)O-*、または上記化学式L-1で表される基であり得る。
【0026】
上記化学式3中のLは、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または上記化学式L-1で表される基であり得る。
【0027】
上記化学式2-1中のL~Lは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり得る。
【0028】
上記シェルは、下記化学式2-1-1または下記化学式2-2-1で表される化合物であり得る。
【0029】
【化6】
【0030】
上記シェルは、6.5Å~7.5Åのケージ幅を有することができる。
【0031】
上記コアの長さは、1nm~3nmであり得る。
【0032】
上記コアは、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有することができる。
【0033】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式A-1~化学式E-1で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり得る。
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
【化10】
【0038】
【化11】
【0039】
【化12】
【0040】
【化13】
【0041】
上記化学式A-1~化学式E-1中、
~Rは、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、
およびLは、それぞれ独立して、*-OC(=O)-*または*-C(=O)O-*であり、
10およびL11は、それぞれ独立して、*-O(C=O)NH-*または*-NHC(=O)O-*であり、
12は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、0≦n1+n2≦5であり、
mは、2~20の整数である。
【0042】
上記化学式1のAおよびBは、それぞれ独立して、上記コアおよび上記シェルを1:1のモル比で含むことができる。
【0043】
上記化学式1で表される化合物は、緑色染料であり得る。
【0044】
また、本発明は、上記化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0045】
上記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含むことができる。
【0046】
上記感光性樹脂組成物は、顔料をさらに含むことができる。
【0047】
上記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基もしくは(メタ)アクリロイルオキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0048】
さらに、本発明は、上記感光性樹脂組成物を硬化してなるカラーフィルターを提供する。
【0049】
さらに、本発明は、上記カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【0050】
その他、本発明の実施形態の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、耐薬品性および耐熱性に優れた新規な染料化合物が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】化学式2-2-1で表されるシェルのケージ幅(cage width)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0054】
本明細書で特別な言及がない限り、「置換」とは、化合物中の少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸もしくはその塩の基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基、またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0055】
本明細書で特別な言及がない限り、「ヘテロシクロアルキル基」、「ヘテロシクロアルケニル基」、「ヘテロシクロアルキニル基」および「ヘテロシクロアルキレン基」とは、それぞれ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルおよびシクロアルキレンの環内に、少なくとも1つのN(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、またはP(リン原子)のヘテロ原子が存在することを意味する。
【0056】
本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方共に可能であることを意味する。
【0057】
本明細書で別途の定義がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。また「共重合」とは、ブロック共重合またはランダム共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体またはランダム共重合体を意味する。
【0058】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、その位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0059】
また、本明細書で特別な言及がない限り、「*」は、同一または異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0060】
また、本明細書において、化学式1-1で表されるコア(官能基)は、下記構造図に示すように、3種類の共鳴構造を有するが、本明細書では便宜上、1種類の共鳴構造のみを示した。つまり、上記化学式1-1で表されるコア(官能基)は、下記3種類の共鳴構造のうちのいずれか1つで表され得る。
【0061】
【化14】
【0062】
本発明による化合物は、下記化学式1で表される化合物である。
【0063】
【化15】
【0064】
上記化学式1中、
AおよびBは、それぞれ独立して、コア-シェル構造からなる化合物であり、
上記コア-シェル構造のコアは、下記化学式1-1で表される基であり、
上記コア-シェル構造シェルは、下記化学式2-1または化学式2-2で表される化合物であり、
上記化学式1中のLは、下記化学式3で表される基であり、
【0065】
【化16】
【0066】
上記化学式1-1中、
~Rは、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、0≦n1+n2≦5であり、
【0067】
【化17】
【0068】
上記化学式2-1および化学式2-2中、
~Lは、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
【0069】
【化18】
【0070】
上記化学式3中、
~Lは、それぞれ独立して、単結合、エーテル基(*-O-*)、*-OC(=O)-*、*-C(=O)O-*、*-O(C=O)NH-*、*-NHC(=O)O-*、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、または下記化学式L-1で表される基であり、
【0071】
【化19】
【0072】
上記化学式L-1中、
は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
n3は、1~10の整数であり、
上記化学式3および上記化学式L-1中の*は、連結部位である。
【0073】
本発明は、CMOSイメージセンサー内のカラーフィルターに含まれる緑色染料である、改質されたスクアレン染料に関する。ピクセルの大きさが小さくなりながら顔料を利用した微細パターンの製造には限界があり、これを補完するために染料の開発が必要である。しかし、染料は、顔料に比べてパターンの製造時に加工性の側面で問題点がある。顔料は、結晶性を有しており、溶解度が良くないため、ベーク(bake)工程後にPGMEAのような溶媒に溶出されないが、染料は無定形固体であるため、ベーク(bake)工程後に溶媒に溶けて出る短所を有している。特に、CMOSイメージセンサの場合、色材の含有量が高いため、共に使用されるバインダーやモノマーの比率が相対的に低くなって、染料の耐薬品性を増加させることが難しい。また、色材の含有量が高くなる分、色材の耐熱性も重要である。
【0074】
したがって、化合物の構造自体で耐薬品性および耐熱性の全てが優れた染料が必要であるが、本発明者らは、幾多の試行錯誤を経た結果、上記化学式1で表される形態にスクアレン染料を改質することによって、硬化工程および熱工程後にも耐薬品性を維持すると同時に耐熱性も改善された染料を開発するに至った。
【0075】
上記化学式1で表される化合物は、優れた緑色分光特性と高いモル吸光係数とを有する化合物であって、緑色染料として使用することができる。しかし、顔料に比べて耐久性が劣ることにより、カラーレジストを製造した後、ベーク工程で耐薬品性および耐熱性の低下が起こり、輝度が落ちることがある。本発明による化合物は、スクアレン染料の末端を改質すると同時に、スクアレン染料をコアとするコア-シェル(例えば、ロタキサンシェル)構造を合成し、これをダイマー(dimer)形態に追加改質することによって、耐薬品性および耐久性を同時に向上させることができ、これによって、高輝度および高明暗比のカラーフィルターを実現することができる。
【0076】
例えば、上記化学式1において、A(またはB)とLとがシクロアルキレン基やアリーレン基で連結される場合、シクロアルキレン基やアリーレン基を中心に、A(またはB)とLとがオルト(ortho)位置で連結されることもでき、メタ(meta)位置で連結されることもでき、パラ(para)位置で連結されることもできる。これらのうち、パラ(para)位置で連結される場合が、耐薬品性および耐久性の向上の側面でより有利になり得る。
【0077】
例えば、上記化学式1中のR~Rのうちの少なくとも1つは、末端に(メタ)アクリレート基を含む基であることができる。この場合、本発明による化合物の耐薬品性が大幅に向上し得る。
【0078】
本発明による化合物は、上記化学式1中のLを通じてAとBとが互いに結合されており、AおよびBは、それぞれ独立して、コア-シェル構造を有する。この際、シェルは巨大環状化合物であり得、シェルがコアを取り囲みながらコーティング層を形成することができる。特に、AおよびBがそれぞれ単独で存在する場合よりも、上記化学式1のようにダイマーの形態で存在することによって、化合物自体の耐薬品性および耐熱性を大幅に向上させることができる。
【0079】
本発明では、巨大環状化合物に該当するシェルがコアを取り囲む構造によって、つまり、巨大環の内部にコアが存在する構造を有することによって、コア-シェル化合物の耐薬品性および耐熱性を向上させることができ、これによって、高輝度および高明暗比のカラーフィルターを実現することができる。具体的には、本発明による上記化学式1で表される化合物は、リンカーを中心にダイマーの形態を有するが、リンカー両側の構造であるAとBとをなすコアが、それぞれシェルで取り囲まれていない場合、構造自体が非常に不安定になって簡単に分解されてしまうため、AおよびBはそれぞれコア-シェル構造を有することが好ましい。
【0080】
上記コアを構成する上記化学式1-1で表されるコア(官能基)の長さは、1nm~3nm、例えば1.5nm~2nmであり得る。上記化学式1-1で表される基(コア)が上記範囲内の長さを有する場合、コア-シェル構造を容易に形成することができる。言い換えると、上記化学式1-1で表されるコア(官能基)が上記範囲内の長さを有することによって、巨大環状化合物であるシェルが上記化学式1-1で表されるコア(官能基)を容易に取り囲むことができる。上記範囲の長さに該当しない他の官能基をコアとして使用する場合、シェルがコアを容易に取り囲むことが難しいため、耐薬品性および耐熱性の改善を期待し難い。
【0081】
上記コアを構成する上記化学式1-1で表される官能基は、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有することができる。このような分光特性を有する上記化学式1-1で表される官能基をコアとして使用したコア-シェル化合物を、例えば緑色染料として使用することによって、高輝度および高明暗比を有するカラーフィルター用感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0082】
例えば、上記化学式3中のLおよびLが、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である場合、上記化学式1中のRは、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基であり得る。
【0083】
例えば、上記化学式3中のLおよびLが、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基である場合、上記化学式1中のRは、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり得る。
【0084】
例えば、上記化学式1および上記化学式3中のL、LおよびRの定義が、上記と同一である場合、上記化学式3中のLおよびLは、それぞれ独立して、単結合、エーテル基(*-O-*)、*-OC(=O)-*、*-C(=O)O-*、*-O(C=O)NH-*、*-NHC(=O)O-*、または上記化学式L-1で表される基であり得る。
【0085】
例えば、上記化学式1および上記化学式3中のL、LおよびRの定義が、上記と同一である場合、上記化学式3中のLは、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または上記化学式L-1で表される基であり得る。
【0086】
例えば、上記化学式2-1および上記化学式2-2中のL~Lは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり得る。この場合、溶解度に優れ、シェルが上記化学式1-1で表される官能基を含むコアを取り囲む構造を形成しやすい。
【0087】
例えば、上記化学式1中のAおよびBは、それぞれ独立して、上記化学式1-1で表されるコア(官能基)の酸素原子と、および上記化学式2-1または上記化学式2-2で表されるシェルの窒素原子が結合をなしている水素原子との間の非共有結合、つまり、水素結合を含むことができる。
【0088】
具体的に、シェルは、具体的には、下記化学式2-1-1または下記化学式2-2-1で表される化合物であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0089】
【化20】
【0090】
上記シェルのケージ幅(cage width)は、6.5Å~7.5Åであり得、上記シェルの長さは、10Å~16Åであり得る。本明細書において、ケージ幅(cage width)とは、シェル内部の距離、例えば上記化学式2-1-1または上記化学式2-2-1で表されるシェルで、両側にメチレン基が連結された、互いに異なる2個のフェニレン基の間の距離を意味する(図1参照)。上記シェルが上記範囲内のケージ幅を有する場合、上記化学式1-1で表される官能基を含むコアを取り囲む構造のコア-シェル化合物を得ることができ、そのため、上記コア-シェル化合物を染料として感光性樹脂組成物に添加する場合、耐薬品性および耐熱性に優れ、高輝度を有するカラーフィルターを実現することができる。
【0091】
上記コア-シェル化合物は、上記化学式1-1で表される官能基を含むコアおよびシェルが1:1のモル比で構成された化合物であり得る。コアおよびシェルが上記のモル比で存在する場合、上記化学式1-1で表される官能基を含むコアを取り囲むコーティング層(シェル)が良好に形成され得る。
【0092】
上記化学式1で表される化合物が感光性樹脂組成物内で(例えば染料として)使用される場合、後述する溶媒に対する溶解度が5以上、例えば5~10であり得る。当該溶解度は、溶媒100gに溶ける化合物の量(g)で得ることができる。化合物(例えば染料)の溶解度が上記の範囲内である場合、感光性樹脂組成物に含まれる他の成分、つまり、後述するバインダー樹脂、光重合性単量体、および光重合開始剤との相溶性ならびに着色力を確保することができ、染料の析出が防止され得る。
【0093】
上記化学式1で表される化合物は、優れた耐熱性を有することができる。つまり、熱重量分析(TGA)で測定した際の熱分解温度が200℃以上、例えば200℃~300℃であり得る。
【0094】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式A-1~化学式E-1で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0095】
【化21】
【0096】
【化22】
【0097】
【化23】
【0098】
【化24】
【0099】
【化25】
【0100】
【化26】
【0101】
【化27】
【0102】
上記化学式A-1~化学式E-1中、
~Rは、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、シラン基、シロキサン基、置換もしくは非置換のエポキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり、
およびLは、それぞれ独立して、*-OC(=O)-*または*-C(=O)O-*であり、
10およびL11は、それぞれ独立して、*-O(C=O)NH-*または*-NHC(=O)O-*であり、
12は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基であり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、0~5の整数であり、ただし、0≦n1+n2≦5であり、
mは、2~20の整数である。
【0103】
上記化学式1で表される化合物は、緑色染料として単独で使用することもでき、調色染料と混合して使用することもできる。
【0104】
調色染料の例としては、トリアリールメタン系染料、アントラキノン系染料、ベンジリデン系染料、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アザポルフィリン染料、インディゴ系染料、キサンテン系染料などが挙げられる。
【0105】
また、上記化学式1で表される化合物は、顔料と混合して使用することもできる。
【0106】
顔料としては、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、黒色顔料などを使用することができる。
【0107】
赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド89などが挙げられる。緑色顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン58などが挙げられる。青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16などのような銅フタロシアニン顔料が挙げられる。黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー139などのイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138などのキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150などのニッケル錯体顔料などが挙げられる。黒色顔料の例としては、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、カーボンブラックなどが挙げられる。これら顔料は、単独でもまたは2種以上混合して使用することもでき、これらの例に限定されるものではない。
【0108】
顔料は、分散液の形態でカラーフィルター用感光性樹脂組成物に含まれ得る。このような顔料分散液は、顔料と溶媒、分散剤、分散樹脂などを含むことができる。
【0109】
溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができ、これらのうち、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを使用することができる。
【0110】
分散剤は、顔料が分散液内に均一に分散されるように助け、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性の分散剤の全てを使用することができる。具体的には、ポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独でもまたは2種以上を混合しても使用することができる。
【0111】
分散樹脂は、カルボキシ基を含むアクリル系樹脂を使用することができ、これは顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性も改善することができる。
【0112】
上記化学式1で表される化合物および顔料を混合して使用する場合、上記化学式1で表される化合物および顔料は、1:9~9:1の質量比で、具体的には3:7~7:3の質量比で混合して使用することができる。上記質量比の範囲で混合する場合、色特性を維持しながら、高い輝度および明暗比を有することができる。
【0113】
また、本発明の他の一実施形態によれば、上記化学式1で表される化合物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0114】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)着色剤(上記化学式1で表される化合物)、(B)バインダー樹脂、(C)光重合性単量体、(D)光重合開始剤、および(E)溶媒を含むことができる。
【0115】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0116】
(A)着色剤
着色剤は、上記化学式1で表される化合物を含むことができ、上記化学式1で表される化合物については、上述のとおりである。
【0117】
着色剤は、上記化学式1で表される化合物以外に追加的に顔料をさらに含むことができ、顔料については、上述のとおりである。
【0118】
上記化学式1で表される化合物は、感光性樹脂組成物の総質量に対して0.5質量%~10質量%、例えば0.5質量%~5質量%の含有量で含まれ得る。上記化学式1で表される化合物の含有量が上記範囲内である場合、所望する色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0119】
(B)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、1つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂であり得る。
【0120】
第1エチレン性不飽和単量体は、1つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0121】
第1エチレン性不飽和単量体は、アルカリ可溶性樹脂の総質量に対して5質量%~50質量%、例えば10質量%~40質量%の含有量で含まれ得る。
【0122】
第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0123】
バインダー樹脂の具体的な例としては、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらを単独または2種以上混合して使用することもできる。
【0124】
バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであり得る。バインダー樹脂の重量平均分子量が上記の範囲であれば、基板との密着性に優れ、物理的、化学的物性が良く、粘度が適切である。
【0125】
バインダー樹脂の酸価は、15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであり得る。バインダー樹脂の酸価が上記範囲内である場合、優れたピクセルの解像度を得ることができる。
【0126】
バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%、例えば5質量%~20質量%の含有量で含まれ得る。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内である場合、カラーフィルターの製造時、現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑性を得ることができる。
【0127】
(C)光重合性単量体
光重合性単量体は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0128】
光重合性単量体は、エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こすことによって、耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0129】
光重合性単量体の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0130】
光重合性単量体の市販品を例に挙げれば次のとおりである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックス(登録商標、以下同じ)M-101、同M-111、同M-114など;日本化薬株式会社製のKAYARAD(登録商標、以下同じ)TC-110S、同TC-120Sなど;大阪有機化学工業株式会社製のV-158、V-2311などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-210、同M-240、同M-6200など;日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA、同HX-220、同R-604など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260、V-312、V-335HPなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-309、同M-400、同M-405、同M-450、同M-7100、同M-8030、同M-8060など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA、同DPCA-20、同-30、同-60、同-120など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295、同-300、同-360、同-GPT、同-3PA、同-400などが挙げられる。これら市販品は、単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。
【0131】
光重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0132】
光重合性単量体は、感光性樹脂組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%、例えば5質量%~20質量%の含有量で含まれ得る。光重合性単量体の含有量が上記範囲内である場合、カラーフィルターの製造時、パターン特性および現像性に優れている。
【0133】
(D)光重合開始剤
光重合開始剤は、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物などを使用することができる。
【0134】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0135】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0136】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0137】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ペンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0138】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-トリクロロメチル(カルバゾール)-6-トリアジン、2-4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジンなどが挙げられる。
【0139】
オキシム系化合物の例としては、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンなどが挙げられる。
【0140】
光重合開始剤としては、上記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0141】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物の総質量に対して0.1質量%~5質量%、例えば1質量%~3質量%の含有量で含まれ得る。光重合開始剤の含有量が上記範囲内である場合、カラーフィルター製造のためのパターン形成工程において、露光時に光重合が十分に起こるようになって感度に優れ、透過率が改善される。
【0142】
(E)溶媒
溶媒は、特に制限されないが、具体的に例を挙げれば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸アルキルエステル類;メチルヒドロキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、ブチルヒドロキシアセテートなどのヒドロキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシメチルアセテート、メトキシエチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシメチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどの酢酸アルコキシアルキルエステル類;メチル3-ヒドロキシプロピオネート、エチル3-ヒドロキシプロピオネートなどの3-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネートなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、プロピル2-ヒドロキシプロピオネートなどの2-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-エトキシプロピオネート、メチル2-エトキシプロピオネートなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-エトキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシエチルプロピオネート、2-ヒドロキシ-2-メチルエチルプロピオネート、ヒドロキシエチルアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエートなどのエステル類;またはピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類の化合物がある。また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸 、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フェニルセロソルブアセテートなども使用できる。これら溶媒は、単独でもまたは2種以上混合しても使用することができる。
【0143】
溶媒中の混和性(miscibility)および反応性などを考慮すれば、好ましくは、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシエチルプロピオネートなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類である。
【0144】
溶媒は、感光性樹脂組成物の総質量に対して残部量で含まれ得、具体的には20質量%~90質量%の含有量で含まれ得る。溶媒の含有量が上記範囲内である場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、厚さ3μm以上の膜で優れた平坦性を維持することができる。
【0145】
その他添加剤
本発明の感光性樹脂組成物は、塗布時に染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリロキシ基を含むシラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;ラジカル重合開始剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0146】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するために、エポキシ化合物などの添加剤をさらに含むことができる。
【0147】
エポキシ化合物の例としては、フェノールノボラックエポキシ化合物、テトラメチルビフェニルエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0148】
添加剤の含有量は、所望する物性により容易に調節することができる。
【0149】
また、本発明の他の一実施形態は、上述した感光性樹脂組成物を硬化してなるカラーフィルターを提供する。カラーフィルターの製造方法は次のとおりである。
【0150】
何も塗布されていないガラス基板上に、または保護膜であるSiNが500Å~1500Åの厚さに塗布されているガラス基板上に、上述した感光性樹脂組成物をスピンコーティング、スリットコーティングなどの適当な方法を使用し、3.1μm~3.4μmの厚さにそれぞれ塗布する。塗布後には、カラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射する。光を照射した後、塗布層をアルカリ現像液で処理すれば塗布層の未照射部分が溶解され、カラーフィルターに必要なパターンが形成される。このような工程を、必要なR、G、Bの色の数により繰り返し行うことによって、所望するパターンを有するカラーフィルターを得ることができる。
【0151】
また上記工程で、現像により得られた画像パターンを再び加熱したりまたは活性線照射などにより硬化することによって耐クラック性、耐溶剤性などをより向上させることができる。
【0152】
また、本発明の他の一実施形態は、上記カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【実施例
【0153】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は、本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明は下記の実施例により限定されるのではない。
【0154】
(ダイマー化合物の製造)
(合成例1:化学式E-1で表される化合物の合成)
【0155】
【化28】
【0156】
[4-メトキシ-フェニル]-(1-メチル-ペンチル)-フェニル-アミン([4-methoxy-phenyl]-(1-methyl-pentyl)-phenyl-amine)(10.2g、4.5mmol)と3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(3,4-Dichloro-3-cyclobutene-1,2-dione)(6.15g、4.1mmol)をトルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れて1時間reflux攪拌した。反応物を減圧蒸留し、これをアセトン(80ml)と塩化水素(20ml、2N)を水で1時間、還流攪拌後、塩化メチレンで抽出して、中間体1-1(intermediate 1-1)で表される化合物を得た。
【0157】
【化29】
【0158】
中間体1-1で表される化合物(50mmol)と、[4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニロキシ)-フェニル]-(1-メチル-ヘキシル)-フェニル-アミン([4-(tert-Butyl-dimethyl-silanyloxy)-phenyl]-(1-methyl-hexyl)-phenyl-amine)(50mmol)とを、トルエン(300mL)およびブタノール(300mL)の混合溶媒中に入れ、還流して生成した水を、ディーンスターク(Dean-stark)蒸留装置で除去した。12時間攪拌後、反応物を減圧蒸留して、カラムクロマトグラフィーで精製して、中間体1-2(intermediate 1-2)で表される化合物を得た。
【0159】
【化30】
【0160】
中間体1-2で表される化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、ピリジン-2,6-ジカルボニルジクロリド(Pyridine-2,6-dicarbonyldichloride)(20mmol)、およびp-キシレンジアミン(p-xylylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、中間体1-2が溶解している溶液中に、常温で5時間、同時に滴下した。12時間後、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、中間体1-3(intermediate 1-3)で表される化合物を得た。
【0161】
【化31】
【0162】
中間体1-3で表される化合物(5mmol)を50mLテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)溶媒に溶かした後、テトラブチルアンモニウムフルオリド(tetrabutylammonium fluoride)(2.5mmol)を常温で投入した。30分後、カラムクロマトグラフィーで分離して、中間体1-4(intermediate 1-4)で表される化合物を選択的に得た。
【0163】
【化32】
【0164】
中間体1-4で表される化合物(10mmol)を50mLクロロホルム(chloroform)溶媒に溶かした後、炭酸カリウム(potassium carbonate)(5mmol)および1,6-ジヨードエタン(1,6-diiodoethane)(5mmol)を常温で投入した。1時間後、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記化学式E-1で表される化合物を得た。
【0165】
【化33】
【0166】
(合成例2:化学式E-2で表される化合物の合成)
【0167】
【化34】
【0168】
1,6-ジヨードエタン(1,6-diiodoethane)の代わりにビス(2-ヨードエチル)エーテル(Bis(2-iodoethyl)Ether)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式E-2で表される化合物を得た。
【0169】
【化35】
【0170】
(合成例3:化学式E-3で表される化合物の合成)
【0171】
【化36】
【0172】
1,6-ジヨードヘキサン(1,6-diiodohexane)の代わりにアジポイルクロリド(Adipoyl chloride)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式E-3で表される化合物を得た。
【0173】
【化37】
【0174】
(合成例4:化学式E-4で表される化合物の合成)
【0175】
【化38】
【0176】
1,6-ジヨードヘキサン(1,6-diiodohexane)の代わりにエチレンジカルバモイルクロリド(Ethylendicarbamoylchloride)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式E-4で表される化合物を得た。
【0177】
【化39】
【0178】
(合成例5:化学式E-5で表される化合物の合成)
【0179】
【化40】
【0180】
[(2,4-ジメチル)-フェニル]-(2-メトキシシクロヘキシル)-フェニル-アミン([(2,4-dimethyl)-phenyl]-(2-methoxy cyclohexyl)-phenyl-amine)(100mmol)と3,4-ジヒドロキシ-シクロブト-3-エン-1,2-ジオン(3,4-Dihydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione)(50mmol)とを、トルエン(300mL)およびブタノール(300mL)に入れ、還流して生成した水をディーンスターク(Dean-stark)蒸留装置で除去した。12時間攪拌後、反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して、中間体2-1(intermediate 2-1)で表される化合物を得た。
【0181】
【化41】
【0182】
中間体2-1で表される化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、 ピリジン-2,6-ジカルボニルジクロリド(Pyridine-2,6-dicarbonyl dichloride)(20mmol)およびp-キシレンジアミン(p-xylylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、中間体2-1が溶解している溶液中に、常温で5時間、同時に滴下した。12時間後、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、中間体2-2(intermediate 2-2)で表される化合物を得た。
【0183】
【化42】
【0184】
中間体2-2で表される化合物(5mmol)を50mLテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)溶媒に溶かした後、BBr(2.5mmol)およびKI(3mmol)を常温で投入した。30分後、カラムクロマトグラフィーで分離して、中間体2-3(intermediate 2-3)で表される化合物を選択的に得た。
【0185】
【化43】
【0186】
中間体2-3で表される化合物(10mmol)を50mLクロロホルム(chloroform)溶媒に溶かした後、炭酸カリウム(potassium carbonate)(5mmol)および1,6-ジヨードエタン(1,6-diiodoethane)(5mmol)を常温で投入した。1時間後、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記化学式E-5で表される化合物を得た。
【0187】
【化44】
【0188】
(比較合成例1:化学式Xで表される化合物の合成)
【0189】
【化45】
【0190】
[(2,4-ジメチル)-フェニル]-(1-メチル-プロピル)-フェニル-アミン([(2,4-dimethyl)-phenyl]-(1-Methyl-propyl)-phenyl-amine)(100mmol)および3,4-ジヒドロキシ-シクロブト-3-エン-1,2-ジオン(3,4-Dihydroxy-cyclobut-3-ene-1,2-dione)(50mmol)を、トルエン(300mL)およびブタノール(300mL)に入れ、還流して生成した水をディーンスターク(Dean-stark)蒸留装置で除去した。12時間攪拌後、反応物を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して、中間体3-1(intermediate 3-1)で表される化合物を得た。
【0191】
【化46】
【0192】
中間体3-1で表される化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、 ピリジン-2,6-ジカルボニルジクロリド(Pyridine-2,6-dicarbonyl dichloride)(20mmol)、およびp-キシレンジアミン(p-xylylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、中間体3-1が溶解している溶液中に、常温で5時間、同時滴下した。12時間後、減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで分離して、下記化学式Xで表される化合物を得た。
【0193】
【化47】
【0194】
(感光性樹脂組成物の製造)
感光性樹脂組成物の製造に使用される成分の仕様は次のとおりである。
【0195】
(A)染料
(A-1)合成例1で製造された化合物(化学式E-1で表される)
(A-2)合成例2で製造された化合物(化学式E-2で表される)
(A-3)合成例3で製造された化合物(化学式E-3で表される)
(A-4)合成例4で製造された化合物(化学式E-4で表される)
(A-5)合成例5で製造された化合物(化学式E-5で表される)
(A-6)比較合成例1で製造された化合物(化学式Xで表される)
(A’)顔料分散液
(A’-1)C.I.ピグメントグリーン緑色顔料7
(A’-2)C.I.ピグメントグリーン58
(B)バインダー樹脂
重量平均分子量が22,000g/molであるメタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(混合質量比 15質量%/85質量%)
(C)光重合性単量体
ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート
(D)光重合開始剤
(D-1)1,2-オクタンジオン
(D-2)2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン
(E)溶媒
(E-1)シクロヘキサノン
(E-2)プロピレングリコールメチルエーテルアセテート。
【0196】
(実施例1~実施例5および比較例1~比較例4)
下記表1の組成で各成分を混合して、感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、溶媒に光重合開始剤を溶解した後、常温で2時間攪拌し、染料(または顔料分散液)を投入して30分間攪拌した。その後、バインダー樹脂と光重合性単量体とを添加して、常温で2時間攪拌した。得られた溶液のろ過を3回行い、不純物を除去して、感光性樹脂組成物を製造した。
【0197】
【表1】
【0198】
(評価)
(耐熱性、耐薬品性および輝度の測定)
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に1μm~3μmの厚さに、実施例1~実施例5および比較例1~比較例4で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを使用して60mJ/cmの条件で全面露光した。この後、230℃の熱風循環式乾燥炉中で20分間乾燥させて、同一な厚さのサンプルを得た。画素層は、膜厚測定用途マルチチャンネル分光器(MCPD3000、大塚電子株式会社製)を利用して、輝度(GY@Gy0.635)、耐熱性および耐薬品性を測定して、その結果を下記表2に示した。
【0199】
(1)耐熱性の測定
作製したサンプルを、追加でコンベクションオーブンを利用して230℃/60分処理した後、処理前と処理後の色変化を、MCPD大塚電子株式会社製)を利用して、C光源基準の色特性を評価した。ΔEab値を計算して、耐熱性を測定した。
【0200】
(2)耐薬品性(耐溶出性)の測定
作製したサンプルを2×2cmの大きさで切り取った後、PGMEA溶液に90℃/10分沈澱させた。その処理前と処理後の色変化をMCPD(大塚電子株式会社製)を利用して、C光源基準の色特性を評価した。ΔEab値を計算して、耐薬品性を測定した。
【0201】
(3)輝度の測定
作製したサンプルを、MCPD(大塚電子株式会社製)を利用して、C光源基準の色特性を評価した。評価した結果をGy0.635を基準として、輝度(GY)を測定した。
【0202】
【表2】
【0203】
上記表2から、本発明による化合物を染料として含む実施例1~実施例5の場合、比較例1~比較例4の場合と比較して、耐薬品性および耐熱性の全てが優れており、高輝度を得ることができた。また、着色剤を全く含まないか、または着色剤として顔料分散液のみを含む場合には、耐熱性および耐薬品性が、実際の工程への適用が不可能なほどに非常に劣ることも確認できた。
【0204】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるはずである。したがって、上記した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。
図1